JP2002047508A - 転炉吹錬方法 - Google Patents

転炉吹錬方法

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JP2002047508A
JP2002047508A JP2000230962A JP2000230962A JP2002047508A JP 2002047508 A JP2002047508 A JP 2002047508A JP 2000230962 A JP2000230962 A JP 2000230962A JP 2000230962 A JP2000230962 A JP 2000230962A JP 2002047508 A JP2002047508 A JP 2002047508A
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Yuichi Kanzaki
祐一 神崎
Ikuo Hoshikawa
郁生 星川
Takashi Fujita
藤田  貴
Masanobu Nakamura
正信 中村
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶銑特に脱りんまたは脱珪脱りんした溶銑予
備処理銑を転炉にて吹錬する際に、吹止スラグ中の
(T.Fe)を低く制御する転炉吹錬方法を提供する。 【解決手段】 転炉吹錬において、脱りんまたは脱珪脱
りんした溶銑予備処理銑を用い、吹錬開始直前あるいは
直後に、生石灰および軽焼ドロマイト等のCaO分を投
入し、全吹錬時間の50%以上経過後に、珪石等のSi
2分の(50〜100%)を投入することを特徴とす
る転炉吹錬方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉で製造された
溶銑を転炉にて吹錬する際に、吹止スラグ中の(T.F
e)分を低く制御する転炉吹錬方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】転炉吹錬の役割は、溶銑中の不純物であ
るC,Si,Pの各成分を酸化除去し、かつこれら不純
物の酸化熱を利用して所定の温度まで溶鋼の温度を上昇
させることである。転炉吹錬の最大の機能とは、上吹き
ランスを介してあるいは炉底に設置された羽口を介して
多量の酸素を高速で溶銑に供給し、溶銑中に3.8〜
4.8質量%(以下、単に%と略する)程度含まれている
C分を規格値である0.03〜0.8%程度まで除去す
るものである。
【0003】従って一般に吹止時点ではスラグの酸化度
が高くなっており、スラグの酸化度の指標として一般的
に用いられている(T.Fe)が通常15〜25%程度
が含まれている。ここで(T.Fe)とはスラグ中の
(FeO)および(Fe23)中のFe分の質量濃度を
示すものであり、通常の転炉スラグでは、(FeO)が
主体である。
【0004】転炉吹錬では、脱りんのために生石灰や軽
焼ドロマイトなどの副原料を加え、溶銑中のP分をスラ
グへ移行させて脱りんを行う。この(T.Fe)は、(1)
式で示される脱りん反応を促進するために、或る所定濃
度は必要とされる。 2P+5(FeO)+3(CaO)=(3CaO・P25)+5Fe (1) 一方で過剰な(T.Fe)は、転炉コストおよび製品品
質に重大な悪影響を及ぼす。コスト面では、転炉炉寿命
の低下の悪影響が大きい。この原因は、(FeO)は低
融点で、かつ酸化物の溶解度が高いため、(FeO)が
スラグ中に高濃度で存在すると耐火物中の酸化物を溶解
し、耐火物の溶損が大きくなる点である。しかも、転炉
では高温かつ酸化性雰囲気で精練を行うため、炉の内張
り耐火物がMgO−Cなど高価なものであるので、この
点からもコストアップに拍車を掛ける。また品質面への
影響は、アルミナ系介在物に起因する製品欠陥の増加で
ある。すなわち転炉スラグ中の(FeO)濃度が高い
と、吹錬終了後に脱酸剤として溶鋼にAl合金を添加す
るが、溶鋼を取鍋へ移しかえる際に随伴して流出する転
炉スラグ中の(FeO)が、溶鋼中Alを酸化し、多量
のアルミナ系介在物を生成させるからである。
【0005】このように、吹止時の転炉スラグの(T.
Fe)が高いとコストおよび品質面に重大な悪影響を及
ぼすため、これを低く制御する吹錬方法が提案されてき
ており、その代表的なものは二つある。一つは転炉の炉
底からCO、アルゴンおよび窒素などのガスを吹き込
み、鋼浴の攪拌を強化して(FeO)の生成を抑制する
底吹き技術である。もう一つは、吹錬末期に上吹酸素流
量を低下させる操業技術がある。これらは、下記のよう
な(T.Fe)の生成と脱炭反応機構の推定に基づいて
導かれた技術である。
【0006】下記(2)式で示される転炉での脱炭反応
における律速段階は、吹錬時期によって二通りあると考
えられている。第一に吹錬初期および中期は、吹き込ま
れる酸素に対して溶鋼中のC量は十分多いため脱炭反応
は酸素供給律速であり、供給された酸素はほぼ全量が溶
鋼中のCと反応し脱炭する。第二に吹錬末期では、溶鋼
中Cが0.2〜0.4%程度まで低下するため、酸素が
溶鋼に当たる火点などの脱炭反応サイトへの溶鋼中Cの
供給律速となる。すなわち吹錬末期は(2)式の脱炭反
応と(3)式の酸化反応との競合が起こっている。 C+1/2O2(g)=CO(g) ―――(2) Fe(l)+1/2O2(g)=(FeO)――――(3)
【0007】上記から、底吹ガスにより溶鋼の強攪拌を
行えば、効果的に脱炭反応サイトへ溶鋼中Cを供給で
き、酸素の脱炭効率を向上させることができる。すなわ
ち(2)式の反応を促進することで(3)式の反応が抑
制され、スラグ中(T.Fe)を低減できる。例えば、
鉄と鋼76(1990)p1793(日本鉄鋼協会発
行)にある図5に示すように、底吹ガス量を増加させる
ことにより(T.Fe)を低く制御できることが知られ
ている。
【0008】また、吹錬末期に上吹酸素流量を低下させ
れば、(2)式および(3)式で反応に使用される酸素
の絶対量が減少することにより(T.Fe)を低減でき
る。例えば、鉄と鋼70(1984)S248の図6に
記載されるように、300トン転炉で吹錬末期に酸素流
量を低下させることによって吹止スラグ中の(T.F
e)を低減できたという知見がある。これらの底吹き技
術や上吹酸素流量制御技術は、吹止スラグ中(T.F
e)低減の点で非常に効果的であり、近年普及してきた
技術である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】底吹き攪拌はスラグ中
(T.Fe)低減の点で非常に効果的であるものの、図
5 でわかるように、底吹き攪拌だけで十分低い(T.F
e)を得るには底吹きガス流量は0.3Nm3/t.m
in.程度以上の多量のガスを必要とする。とくに底吹
きガス流量の多い領域ではスラグ中(T.Fe)の低減
効果が小さくなるため、スラグ中(T.Fe)をさらに
下げようとすると一層の底吹き攪拌が必要となり、底吹
き設備コストおよび底吹きガスコストが多大になるとい
う弊害がある。最近、転炉での脱りんのための生石灰原
単位の低減を目的として、溶銑段階で[Si]と[P]
を除去する溶銑予備処理が普及している。高炉からの出
銑された溶銑中[Si]が高いと、転炉ではスラグの脱
りん能を維持すべくスラグ塩基度(%CaO)/(%S
iO2)を3.5程度に高めるために、転炉では多量の
生石灰を必要とする。このため、高炉からの出銑された
溶銑に対して酸化鉄等で脱珪処理を施し、溶銑中[S
i]を0.15%程度まで低下させる方法が行なわれて
いる。また、溶銑中のPの除去については、転炉で生石
灰を添加して脱りんする方法が汎用されていたが、転炉
での精錬は通常約1650℃の高温で行なわれるため、
低温処理を好む脱りん処理にとって有利な方法とは言え
ない。これに対し溶銑予備処理は、約1300℃の低温
で行なわれるため、脱りん効率の点ではより有効な方法
と言える。このため、溶銑段階で製品規格[P]程度ま
で脱りんを行なう方法も一般的に行なわれている。予備
処理によって脱りんを行なう際には、前処理で予め脱珪
処理を行なって脱りんする場合と、高炉から出銑された
溶銑にそのまま脱りん剤を添加して脱りんする場合があ
る。そして、溶銑脱りん処理を終えた溶銑を転炉で吹錬
する際に、溶銑中の[P]量が製品規格以下まで低減し
ている場合は最早脱りんは不要であるから、転炉吹錬で
は脱炭および昇温のみを行なえばよい。しかしながら、
全くスラグのない状態(スラグレス)で吹錬を行なう
と、排ガスへのダストロスが著しく増加するため、通常
は、吹錬中の溶銑のカバーを目的として少量の生石灰が
添加される。脱りんまたは脱珪脱りんした溶銑予備処理
銑の吹錬では、銑中[Si]が0.01%以下と低く、
処理しない一般銑([Si]0.20〜0.50%)や
脱珪処理銑([Si]0.15〜0.20%)と比較し
てスラグ量が少ないので同じ上吹酸素流量ではスラグ中
(T.Fe)が増加しやすいので、前記底吹き攪拌を強
化する底吹技術の改善だけではスラグ中(T.Fe)の
低減はさらに困難となる。また、吹錬末期に上吹酸素流
量を低下する技術は、前記のようにスラグ中(FeO)
の絶対量を減少させる効果がある反面、吹錬時間の延長
を招くため、転炉の生産性を阻害するという問題が生ず
る。前記事情に鑑みて、脱りんまたは脱珪脱りんした溶
銑予備処理銑を用いたスラグ量の少ない転炉吹錬におい
て、少量の底吹きガス流量下で溶鋼攪拌を行っても吹止
スラグ中の(T.Fe)を低く制御できる吹錬方法の開
発が望まれていた。
【0010】本発明は、上記の問題点を解消するために
なしたものであって、その目的は、溶銑特に脱りんまた
は脱珪脱りんした溶銑予備処理銑を転炉にて吹錬する際
に、吹止スラグ中の(T.Fe)を低く制御する転炉吹
錬方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、発明者らは、吹止スラグ中の(T.Fe)が吹錬末
期のスラグ組成や底吹きガス流量によってだけで決まる
のではなく、吹錬途中の(T.Fe)レベルに大きく依
存すること、および吹錬途中の(T.Fe)レベルがス
ラグ組成で制御できることを見出した。具体的には、吹
錬途中のスラグ中(CaO)と(SiO2)の比(Ca
O)/(SiO2)(以下塩基度と称する)を制御するこ
とにより、吹錬途中のスラグ中(T.Fe)を低くし
て、その結果吹止スラグ中(T.Fe)を低減できる方
法を見出して本発明を完成させた。
【0012】本発明に係る請求項1は転炉吹錬におい
て、脱りんまたは脱珪脱りんした溶銑予備処理銑を用
い、吹錬開始直前あるいは直後に、生石灰および軽焼ド
ロマイト等のCaO分を投入し、全吹錬時間の50%以
上経過後に、珪石等のSiO2分の(50〜100%)
を投入することを特徴とする転炉吹錬方法である。この
溶銑予備処理銑は[Si]が低いので[Si]が酸化さ
れて生成するスラグの量が少なすぎるので、吹錬開始直
前または直後にCaO分と一緒に全SiO2投入量の0
〜50%のSiO2分を投入する。ここで耐火物をカバ
ーするために前チャージのスラグを残す場合にはこの投
入SiO2量は無しかまたは少量とすることができる。
一方CaO分の滓化は吹錬開始とともに溶鋼温度が上昇
するにつれて進行し、滓化したSiO2とスラグを形成
し、残りのSiO2分(50〜100%)が投入される
まで、いわゆる全吹錬時間の50%以上経過時まで吹錬
途中のスラグ塩基度を高く維持する。これにより図2に
示すように塩基度を2.5以上に高くして、吹錬途中の
スラグ中(T.Fe)を低くする。その後残りのSiO2
分を投入して所定の吹止スラグの塩基度に調節するが、
吹止スラグ中(T.Fe)は図1に示すように低くな
る。
【0013】請求項2は転炉吹錬において、脱りんまた
は脱珪脱りんした溶銑予備処理銑を用い、溶銑装入前
に、生石灰および軽焼ドロマイト等のCaO分を炉内へ
投入してスラグコーティングを行い、全吹錬時間の50
%以上経過後に、珪石等のSiO2分の(50〜100
%)を投入することを特徴とする転炉吹錬方法である。
転炉では、炉底の耐火物の溶損防止を目的として、前回
吹錬時のスラグの一部または全部を排滓せずに炉内に残
し、溶銑装入前に炉内へ生石灰、軽焼ドロマイト等を添
加してスラグを固化する、いわゆるスラグコーティング
が一般的に行われている。この場合吹錬開始してもCa
O分が炉底、炉壁から浮上、滓化するのが遅れ気味とな
りスラグ中CaO量がスラグコーティングなしのケース
に比べて少なく、増加するのも遅い。一方吹錬開始直前
または直後に投入されるSiO2分は全吹錬時間の50
%以上経過後まで吹錬途中のスラグ塩基度を高めるため
にスラグ中(CaO)に見合って全SiO2分投入量0
〜50%の範囲のうち低い方となる。とくに耐火物の保
護として前チャージのスラグを残す場合は更に低くな
る。全吹錬時間の50%以上経過後にSiO2分の50
〜100%が投入されるが、CaOの滓化が遅れるため
経過時間が長い方がまたSiO2分の投入量が多い方が
望ましく、これにより吹錬途中のスラグ塩基度を高めて
(T.Fe)を低くできる。こうすることにより吹止ス
ラグ中の(T.Fe)を低く抑制できる。
【0014】請求項3は転炉吹錬において、脱りんまた
は脱珪脱りんした溶銑予備処理銑を用い、溶銑装入前
に、生石灰および軽焼ドロマイト等のCaO分の一部を
炉内へ投入してスラグコーティングを行い、かつ吹錬開
始直前または直後に、前記CaO分の残部と必要に応じ
て全SiO2投入量の0〜50%のSiO2分を投入し、
さらに全吹錬時間の50%以上経過後に、珪石等のSi
2分の(50〜100%)を投入することを特徴とす
る転炉吹錬方法である。耐火物保護のため溶銑装入前に
行われるスラグコーティングの効果とスラグコーティン
グしたCaO分の滓化遅れによる吹錬途中のスラグ塩基
度の上昇し難い不具合を勘案した方法であって通常予備
処理銑の装入前にCaO分の50%程度がスラグコーテ
ィングのため装入され、残りは吹錬開始直前または直後
に装入される。
【0015】本発明に係る請求項4は 全吹錬時間が7
0%以上経過後、珪石等のSiO2分の(50〜100
%)を投入することを特徴とする請求項1または2また
は3に記載の転炉吹錬方法である。この方法では、スラ
グ塩基度を低下させるSiO 2分の投入をさらに遅らせ
て、CaO投入時から全吹錬時間の70%以上経過時ま
での長い期間、炉内スラグの塩基度を高く維持すること
により、吹錬途中のスラグ中(T.Fe)を低くするこ
とで、その後の吹止スラグの(T.Fe)を確実に低下
させることができる
【0016】本発明に係る請求項5は全吹錬時間が30
乃至50%経過時の転炉スラグの塩基度(CaO/Si
2)が2.5以上であることを特徴とする請求項1乃
至4のいずれかに記載の転炉吹錬方法であり、溶銑装入
前および/または吹錬開始直前、直後に装入されたCa
O分が吹錬時間の経過とともに滓化していくが、これに
対してSiO2分を溶銑の[Si]が酸化して(Si
2)になる量に加え吹錬開始直前または直後に投入さ
れる珪石量を全珪石量の0〜50%に調整することによ
り、全吹錬時間が30乃至50%の経過時点でスラグ塩
基度を2.5以上にすることを要旨とする。これにより
吹錬途中のスラグ中(T.Fe)を確実に低下させ、ひ
いては吹止スラグの(T.Fe)の低下に繋がるもので
ある。一般に溶銑予備処理銑は[Si]が低いので吹錬
開始直前または直後に投入される珪石量は全珪石投入量
の20〜50%程度となる。
【0017】また本発明に係る請求項6は請求項1乃至
5のいずれかに記載の転炉吹錬方法において脱りんまた
は脱珪、脱りんした溶銑予備処理銑に代えて溶銑([S
i]0.20〜0.50%)または脱珪溶銑予備処理銑
([Si]0.15〜0.20%)を用いることを特徴
とする転炉吹錬方法であり、これによると脱りんまたは
脱珪、脱りんした溶銑予備処理銑に比べて溶銑から入る
[Si]が多く、吹錬で酸化されて容易にスラグ(Si
2)になるので、吹錬開始直前または直後の投入珪石
量は無いか少量にし、かつ同じく投入されるCaO分を
多くして吹錬途中のスラグ塩基度を高く、具体的には全
吹錬時間が30乃至50%の経過時点でスラグ塩基度を
2.5以上にして、これにより吹錬途中のスラグ中
(T.Fe)を確実に低下させ、ひいては吹止スラグの
(T.Fe)の低下に繋げる。
【0018】
【発明の実施の形態】高炉溶銑を主原料とする転炉吹錬
は脱炭と脱りんを主体とする不純物除去を目的として行
われる。まず脱炭は上吹きランスを介して多量の酸素を
高速で溶銑に供給することで行われ、溶銑中のC3.8
〜4.8%を吹止C0.03〜0.8%まで除去する。
脱りんは前述(1)式に示すように(CaO)と(Fe
O)により行われ、吹止スラグの塩基度は3〜4.5程
度と高い。この塩基度は脱りん以外に転炉耐火物のMg
O分の溶損を防ぐ目的でも高いことを要し、CaO,M
gO分を有する軽焼ドロマイトがCaO源として生石灰
とともに使用される。
【0019】従来、塩基度が高いほど転炉の吹止(T.
Fe)は高くなるとされてきた。これはスラグ中(Fe
O)の活量係数が塩基度に大きく依存するためであり、
2CaO・SiO2組成であるほぼ塩基度2におけるス
ラグ中の(FeO)の活量係数が最大値をとり、これよ
り塩基度が高くなるにつれ、また低くなるにつれスラグ
中(FeO)の活量係数は小さくなり、その結果(Fe
O)濃度は高くなる。転炉スラグの吹止塩基度は一般的
に3〜4.5程度であり、この範囲においては塩基度が
高いほど転炉の吹止(T.Fe)は高くなるとされてき
た。この傾向は、吹止時点ではスラグと溶鋼がほぼ平衡
状態にあるいう仮定に基づいた平衡論の立場で説明され
てきたものであり、これ自体は正しい現象であり、正し
い解釈であった。
【0020】発明者らは吹錬途中の(T.Fe)レベル
も吹止(T.Fe)に影響しているのではないかと考え
た。これを確認するために、全吹錬時間の30%および
70%経過後に一旦吹錬を中断し、この時点でのスラグ
組成を調査した。調査対象とした転炉は240t転炉で
あり、あらかじめ溶銑脱珪、脱りん処理した溶銑を用
い、底吹きガスとしてN2およびCOガスを用いた。上
吹き酸素流量は750〜800Nm3/min.,底吹き
ガス流量は初期8Nm3/min.,中期および末期20
Nm3/min.であり、上吹き酸素および底吹きガス
流量のパターンはすべて同一条件下で調査した。
【0021】結果は、図1に示す通り、吹錬途中の
(T.Fe)レベルが高い場合は吹止(T.Fe)が高く
なっており、これに対し(T.Fe)が低い場合には吹
止(T.Fe)が低くなっているから、吹錬途中の(T.
Fe)を低減させることが吹止(T.Fe)の低減に重
要であることが判明した。またこの吹錬途中の(T.F
e)が、その時のスラグの塩基度に依存していることを
見出した。全吹錬時間の30%および70%経過時にお
けるスラグの塩基度と(T.Fe)の関係をプロットし
たグラフを図2に示す。図2より、吹錬途中の(T.F
e)を低減するには、その時のスラグの塩基度を高くす
ればよいことが判明した。すなわち吹錬途中のスラグ中
(T.Fe)を約15%以下に低減するためにはその時
のスラグの塩基度を2.5以上に高くする必要があるこ
とが分かった。
【0022】この吹錬途中の(T.Fe)の挙動につい
て、次のように解釈できる。吹錬途中の脱炭効率はほぼ
100%の状態で推移する。すなわち、火点においては
(2)式の脱炭反応と(3)式Feの酸化が同時に起こ
っており、(3)式の反応で生成した(FeO)は一旦
スラグへ移行する。 C+1/2O2 =CO(g)――――(2) Fe(l)+1/2O2(g)=(FeO)――――(3) (FeO)+C=CO(g)+Fe(l)――――――(4) このスラグ中(FeO)が溶鋼中のCにより(4)式の
反応で還元されるため、吹錬途中では見かけ上ほぼ10
0%の脱炭酸素効率となっているのである。
【0023】従って、吹錬途中のスラグ中(FeO)を
低減するには(4)式の反応を促進させる必要がある。
ここで重要な点は、吹錬途中のスラグと溶鋼は非平衡状
態にあるため、吹止スラグのような平衡論に基づく挙動
とは異なり、反応速度論に基づく挙動を示す点である。
(4)式の反応に対して、スラグ中(SiO2)は溶鋼
とスラグの界面において(FeO)の移動を阻害する界
面活性成分であるため、その存在は(4)式の反応を阻
害する方向に作用する。このため、吹錬途中では、スラ
グの低塩基度化に伴ってスラグ中(T.Fe)は高くな
る。加えて、スラグの低塩基度化は融点の低下を伴うた
め液相スラグ量が増加し、その結果スラグ中(T.F
e)活量が低下するために、同様に(4)式の反応を抑
制する作用が生ずる。
【0024】一方、通常の転炉吹錬では、生石灰および
軽焼ドロマイトなどのCaO分および珪石などのSiO
2分は吹錬開始直前あるいは直後に全量を投入すること
が一般的であるが、「我が国における酸素製鋼法の歴
史」日本鉄鋼協会(1982)p345にある図7が示
すように、吹錬途中のスラグ中の(%CaO)は一定値
を示すのではなく、吹錬中に徐々に上昇することが知ら
れている。これはCaOの融点が2570℃と高くかつ
スラグ中SiO2と反応して高融点化合物である2Ca
O・SiO2を生成するため、CaOのスラグへの溶解
が遅れるためとされている。実際に吹錬途中のスラグを
サンプリングしてスラグ塩基度の推移を調査したとこ
ろ、図4に示すように吹錬途中はCaOのスラグへの溶
解途中にあるため、吹錬終了時点に比べて吹錬途中のス
ラグの塩基度は低いことがわかる。なお、吹錬終了時点
では十分な温度とCaOの溶解時間を確保できているた
め、副原料投入量から計算される塩基度と実際のスラグ
分析値に基づく塩基度は等しく、CaOは完全にスラグ
へ溶解しているのである。これより吹錬途中のCaOの
溶解遅れにより吹錬途中のスラグ塩基度が低下し、これ
が吹止時点でのスラグ中(T.Fe)を高くしているこ
とが分かった。
【0025】以上の知見に基づき、吹錬初期および中期
のスラグ塩基度を高く保持し、吹錬末期の塩基度を脱り
んに適切な3.0〜4.5に制御することにより、吹止
スラグ中(T.Fe)を低く制御できると考え、次のよ
うな実験を行った。スラグの塩基度調整用のSiO2
として珪石を用いた場合の、珪石投入タイミングと吹止
スラグ中(T.Fe)の関係を図3に示す。調査に用い
た転炉の炉容は240tで、あらかじめ溶銑脱珪、脱り
ん処理した溶銑を用い,底吹きガスとしてN2およびC
Oガスを用いた。上吹き酸素流量は750〜800Nm
3/min.、底吹きガス流量は初期8Nm3/mi
n.,中期および末期20Nm3/min.であり、上
吹き酸素および底吹きガス流量のパターンはすべて同一
条件下で調査した。図3より、スラグコーチングなしの
ケースでは、珪石投入タイミングを全吹錬時間の50%
以上経過後、望ましくは70%以上経過後にすることに
よって、吹錬開始または直後に珪石を投入するケースに
比べて吹止スラグ中(T.Fe)を低く制御できること
がわかる。
【0026】一方、転炉耐火物の溶損抑制を目的とし
て、溶銑の転炉装入前に生石灰および軽焼ドロマイト等
のCaO分を炉内に投入し、炉底の耐火物をスラグコー
ティングする操業が広く行われている。この場合、投入
副原料中の従来のように吹錬直後にSiO2分と残りの
CaO分を全部投入する条件の下では、スラグコーティ
ングのCaO分が吹錬を開始しても炉底あるいは炉壁か
ら浮上しないため図4のスラグコーティングありのケー
スに示すように吹錬初期および中期までスラグの塩基度
がとくに低く推移し、図2のスラグコーティングありの
ケースに示すように吹錬初期および中期のスラグ塩基度
が低く、スラグ中(T.Fe)濃度は高くなっている。
このときの吹錬において、スラグコーティングに使用し
たCaO分は吹錬末期に溶鋼温度の上昇とともに炉底や
炉壁から浮上して滓化するため、図3のスラグコーティ
ングありのケースに示すように珪石の投入時期を中期以
降(例えば全吹錬時間の70%経過)に遅らせれば、C
aO分の滓化が遅れても吹錬途中のスラグ塩基度を高く
保持することが可能であり,その結果吹錬途中の(T.
Fe)を低くし、吹止スラグ中(T.Fe)の抑制に対
して特に大きな効果をもたらすことができる。その後浮
上滓化したCaO分と投入され滓化したSiO2分とが
所定の塩基度3.5〜4.0を有する吹止スラグを形成
する。
【0027】本発明の転炉吹錬方法は次のようにして実
施することができる。溶銑および/または脱りんもしく
は脱珪、脱りん予備処理銑85〜100%,残部リター
ンスクラップ(以下溶銑等という)を転炉に装入し、上
吹き酸素と底吹き攪拌ガスとを用いて吹錬を行う。吹錬
時間15〜20分で[C]を3.8〜4.8%から0.
03〜0.8%範囲内にある目標値に、[P]は0.1
0〜0.15%(脱りん予備処理銑の場合、0.01〜
0.05%)から0.01〜0.03%範囲内にある目
標値へ、脱炭、脱りんし、次いで成分調整を行い出鋼す
る。底吹き攪拌ガスの種類として通常CO、N2やAr
が用いられる。生石灰や軽焼ドロマイト等のCaO分の
装入時期および量については、一つは、溶銑等を転炉炉
内に装入してから吹錬開始直前または直後に、全量のC
aO分を装入する。もう一つが転炉耐火物の溶損防止の
ため溶銑等の装入前に、脱りんまたは脱珪脱りん予備処
理銑(以下脱珪脱りん銑という)の場合に装入CaO分
の50%を装入し、また未処理溶銑や脱珪予備処理銑の
場合には装入CaO分の20〜30%を装入する。残り
のCaO分は吹錬開始直前または直後に装入する。脱
珪、脱りん銑では脱りん後の[P]レベルが製品規格
[P]レベル以下まで低下していれば、転炉では脱りん
のためのスラグを生成させる必要はないが、完全にスラ
グのない状態で吹錬すればFeのダストロスやスラグ中
(T.Fe)の極端な増大を引き起こすため、最低でも
5kg/t程度のCaO分を装入するのが一般的であ
る。
【0028】とくに本発明の特徴である珪石等のSiO
2分の装入時期および量は全吹錬時間の50%以上経過
後に、望ましくは70%以上経過後に装入するのがよい
が、その量はSiO2分の50〜100%である。前チ
ャージのスラグを残した場合などは、前チャージスラグ
からSiO2分があるため、別途添加する珪石等のSi
2分は全量を吹錬時間の50%以上望むべきは70%
以上経過後に投入すればよい。また、前チャージスラグ
を完全に排滓し、とくにSiO2分の残存がない場合
は、CaOの溶解促進のために、SiO2分の50%以
下の分を吹錬開始直前あるいは直後にCaO分とともに
投入し、残りのSiO2分の50〜100%分を吹錬時
間の50%以上望ましくは70%以上経過後に投入すれ
ばよい。なほ、本発明は高炉からの溶銑[Si]が低
く、吹止スラグの塩基度を調整するためのSiO2源の
添加を必要とする場合に有効な方法であるが、最近溶銑
段階で[Si]および[P]の両方を除去する溶銑予備
処理が普及しており、この予備処理した溶銑の転炉吹錬
においては必ず転炉でSiO2源の添加を必要とするこ
とから、とくに効果的な方法である。
【0029】前述のごとく、転炉吹錬開始直前または直
後の時点でCaO分は全量装入されているが、その滓化
はスラグコーティングをした場合にはしない場合に比べ
て遅れる。一方転炉吹錬開始直前または直後の時点でS
iO2分は脱りんまたは脱珪脱りんした溶銑予備処理銑
を使用する場合は溶銑等の[Si]が少ないから珪石等
で0〜50%分投入される。また前チャージのスラグを
残したり、未処理溶銑や脱珪処理銑を使用する場合には
スラグのSiO2が相当量確保できるので珪石等の投入
はほとんどされない。残りのSiO2分は全吹錬時間の
50%以上望ましくは70%以上経過後に投入する。こ
うすることにより吹錬開始から初期、中期にわたりCa
O分、SiO2分が滓化して吹錬途中のスラグが生成さ
れてスラグの塩基度(CaO)/(SiO2)を高めに
維持することができスラグ中の(T.Fe)を低く抑え
る。具体的には全吹錬時間が30〜50%経過の時スラ
グの塩基度を2.5以上にして吹錬途中のスラグ中
(T.Fe)を5〜12%にすることが望ましい。こう
することにより、吹止スラグ中(T.Fe)を15%以
下に抑制することが可能となる。
【0030】本発明の転炉吹錬方法によれば、出鋼トン
当たりの吹止スラグ量は脱りんまたは脱珪、脱りん銑で
あれば20〜40kg/t,未処理溶銑であれば70〜
100kg/t程度となる。
【0031】
【実施例】実施例1として、240t転炉で、あらかじ
め溶銑脱珪および脱りん処理した溶銑およびスクラップ
を用い、底吹きガスとしてCOガスを用いた。溶銑配合
率は98%、スクラップ配合率は2%とし、溶銑成分は
[C]=4.2%、[Si]≦0.01%,[Mn]=
0.15%,[P]=0.025%の溶銑を用いた。全
吹錬時間は18分で、上吹き酸素流量は、全吹錬時間の
80%まで750Nm3/min.,その後は吹錬終了
まで650Nm3/min.とし、底吹きガス流量は全
吹錬時間の50%まで8Nm3/min.,その後は吹
錬終了まで20Nm3/min.とした。副原料は、吹
錬開始直後に生石灰2.2t,軽焼ドロマイトを1.1
t炉内に投入し、珪石については全吹錬時間の53%経
過後に0.9t投入した。この結果、吹止溶鋼中[C]
=0.05%,吹止温度1645℃において、吹止スラグ
中(T.Fe)=11.5%と低い値が得られた。
【0032】実施例2として、240t転炉で、あらか
じめ溶銑脱珪および脱りん処理した溶銑およびスクラッ
プを用い、底吹きガスとしてCOガスを用いた。溶銑配
合率は98%、スクラップ配合率は2%とし、溶銑成分
は[C]=4.1%、[Si]≦0.01%,[Mn]
=0.12%,[P]=0.021%の溶銑を用いた。
全吹錬時間は18分で、上吹き酸素流量は、全吹錬時間
の80%まで750Nm3/min.,その後は吹錬終
了まで650Nm3/min.とし、底吹きガス流量は
全吹錬時間の50%まで8Nm3/min.,その後は
吹錬終了まで20Nm3/min.とした。前回吹錬時
のスラグを約3t炉内に残した状態で生石灰1.5tお
よび軽焼ドロマイトを1.2t炉内に投入し、スラグコ
ーティングを行った。その後溶銑を装入し、珪石につい
ては全吹錬時間の75%経過後に0.9t投入した。こ
の結果、吹止溶鋼中[C]=0.06%,吹止温度165
3℃において、吹止スラグ中(T.Fe)=9.8%と
低い値が得られた。
【0033】実施例3として、240t転炉で、あらか
じめ溶銑脱珪および脱りん処理した溶銑およびスクラッ
プを用い、底吹きガスとしてCOガスを用いた。溶銑配
合率は98%、スクラップ配合率は2%とし、溶銑成分
は[C]=4.2%、[Si]≦0.01%,[Mn]
=0.17%,[P]=0.035%の溶銑を用いた。
全吹錬時間は18分で、上吹き酸素流量は、全吹錬時間
の80%まで750Nm3/min.,その後は吹錬終
了まで650Nm3/min.とし、底吹きガス流量は
全吹錬時間の50%まで8Nm3/min.,その後は
吹錬終了まで20Nm3/min.とした。前回吹錬時
のスラグを約3T炉内に残した状態で生石灰1.5tお
よび軽焼ドロマイトを1.2t炉内に投入し、スラグコ
ーティングを行った。この場合は溶銑[P]が規格
[P]≦0.015%に対して高いから転炉での脱りん
のためのスラグ量を確保する必要があるため、溶銑を装
入し、吹錬を開始した直後にさらに生石灰1.5tを投
入した。珪石については吹錬開始直後に生石灰とともに
0.3t投入し、全吹錬時間の75%経過後に0.9t
投入した。この結果、吹止溶鋼中[C]=0.05%,吹
止温度1649℃において、吹止スラグ中(T.Fe)
=12.0%と低い値が得られた。
【0034】実施例4として、240t転炉で、脱珪処
理した溶銑およびスクラップを用い、底吹きガスとして
COガスを用いた。溶銑配合率は95%、スクラップ配
合率は5%とし、溶銑成分は[C]=4.7%、[S
i]=0.18%,[Mn]=0.23%,[P]=
0.097%の溶銑を用いた。全吹錬時間は19分で、
上吹き酸素流量は、全吹錬時間の80%まで750Nm
3/min.,その後は吹錬終了まで650Nm3/mi
n.とし、底吹きガス流量は全吹錬時間の50%まで8
Nm3/min.,その後は吹錬終了まで20Nm3/m
in.とした。前回吹錬時のスラグを約3T炉内に残し
た状態で生石灰1.5tおよび軽焼ドロマイトを1.2
t炉内に投入し、スラグコーティングを行った。この場
合は溶銑[P]が規格[P]≦0.025%に対して高
いために転炉での脱りんのためのスラグ量を確保する必
要があるため、溶銑を装入し、吹錬を開始した直後にさ
らに生石灰4.5tおよび軽焼ドロマイト2.0tを投
入した。珪石については、全吹錬時間の75%経過後に
1.2t投入した。この結果、吹止溶鋼中[C]=0.
04%,吹止温度1663℃において、吹止スラグ中
(T.Fe)=11.3%と低い値が得られた。
【0035】比較例1として、240t転炉で、あらか
じめ溶銑脱珪および脱りん処理した溶銑およびスクラッ
プを用い、底吹きガスとしてCOガスを用いた。溶銑配
合率は98%、スクラップ配合率は2%とし、溶銑成分
は[C]=4.0%、[Si]≦0.01%,[Mn]
=0.11%,[P]=0.021%の溶銑を用いた。
全吹錬時間は18分で、上吹き酸素流量は、全吹錬時間
の80%まで750Nm3/min.,その後は吹錬終
了まで650Nm3/min.とし、底吹きガス流量は
全吹錬時間の50%まで8Nm3/min.,その後は
吹錬終了まで20Nm3/min.とした。副原料は、
吹錬開始直後に生石灰2.4t,軽焼ドロマイトを0.
9tに加えて珪石0.7tを炉内に投入した。この結
果、吹止溶鋼中[C]=0.05%、吹止温度1652
℃において、吹止スラグ中(T.Fe)=19.0%と
非常に高い値となった。
【0036】比較例2として、240t転炉で、あらか
じめ溶銑脱珪および脱りん処理した溶銑およびスクラッ
プを用い、底吹きガスとしてCOガスを用いた。溶銑配
合率は98%、スクラップ配合率は2%とし、溶銑成分
は[C]=4.1%、[Si]≦0.01%,[Mn]
=0.14%,[P]=0.019%の溶銑を用いた。
全吹錬時間は18分で、上吹き酸素流量は、全吹錬時間
の80%まで750Nm3/min.,その後は吹錬終
了まで650Nm3/min.とし、底吹きガス流量は
全吹錬時間の50%まで8Nm3/min.,その後は
吹錬終了まで20Nm3/min.とした。前回吹錬時
のスラグを約3t炉内に残した状態で生石灰2.0tお
よび軽焼ドロマイトを1.2t投入し、スラグコーティ
ングを行った。その後溶銑を装入し、吹錬開始直後に珪
石0.7tを炉内に投入した。この結果、吹止溶鋼中
[C]=0.05%,吹止温度1667℃において、吹止
スラグ中(T.Fe)=35.1%と非常に高い値とな
った。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る請求
項1の方法によれば転炉吹止スラグ(T.Fe)を15
%以下に抑制できるので、転炉耐火物の寿命の延長が図
られて製鋼コストの改善をもたらし、そして溶鋼中の脱
酸剤に起因する酸化物系介在物の減少できるので鋼製品
の品質改善に寄与すること大である。請求項2、3の方
法によれば、前述の効果に加えて耐火物の寿命延長が更
に改善される。請求項4の方法によれば、前述の効果を
更に確実に向上できる。請求項5の方法によれば前述の
効果をより確実に達成できるのである。請求項6の方法
によれば、吹止スラグ量の低減に伴うスラグ処理コスト
の低減と吹止スラグ中(T.Fe)の増加を抑制するこ
とより転炉耐火物寿命の改善と製品品質の向上を確実に
達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吹錬中のスラグ中(T.Fe)の
変化を示した図である。
【図2】本発明に係る吹錬途中のスラグ中塩基度と
(T.Fe)の関係を示した図である。
【図3】本発明に係る珪石投入時期と吹止スラグ中
(T.Fe)の関係を示した図である。
【図4】本発明に係る吹錬途中のスラグ中塩基度の変化
を示した図である。
【図5】従来例の底吹きガス流量とスラグ中(T.F
e)の関係を示した図である。
【図6】従来例の吹止[C]と吹止スラグ中(T.F
e)の関係を示した図である。
【図7】従来例の上吹き試験転炉におけるスラグ成分の
変化を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 貴 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 中村 正信 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 Fターム(参考) 4K002 AB02 AB04 AC07 AC08 AE02 BB10 4K014 AA01 AA03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】転炉吹錬において、脱りんまたは脱珪脱り
    んした溶銑予備処理銑を用い、吹錬開始直前あるいは直
    後に、生石灰および軽焼ドロマイト等のCaO分を投入
    し、全吹錬時間の50%以上経過後に、珪石等のSiO
    2分の(50〜100%)を投入することを特徴とする
    転炉吹錬方法。
  2. 【請求項2】 転炉吹錬において、脱りんまたは脱珪脱
    りんした溶銑予備処理銑を用い、溶銑装入前に、生石灰
    および軽焼ドロマイト等のCaO分を炉内へ投入してス
    ラグコーティングを行い、全吹錬時間の50%以上経過
    後に、珪石等のSiO2分の(50〜100%)を投入
    することを特徴とする転炉吹錬方法。
  3. 【請求項3】 転炉吹錬において、脱りんまたは脱珪脱
    りんした溶銑予備処理銑を用い、溶銑装入前に、生石灰
    および軽焼ドロマイト等のCaO分の一部を炉内へ投入
    してスラグコーティングを行い、かつ吹錬開始直前また
    は直後に、前記CaO分の残部を投入し、全吹錬時間の
    50%以上経過後に、珪石等のSiO 2分の(50〜1
    00%)を投入することを特徴とする転炉吹錬方法。
  4. 【請求項4】 全吹錬時間が70%以上経過後、珪石等
    のSiO2分の(50〜100%)を投入することを特
    徴とする請求項1または2または3に記載の転炉吹錬方
    法。
  5. 【請求項5】 全吹錬時間が30乃至50%経過時の転
    炉スラグの塩基度(CaO/SiO2)が2.5以上で
    あることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載
    の転炉吹錬方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の転炉
    吹錬方法において脱りんまたは脱珪、脱りんした溶銑予
    備処理銑に代えて溶銑または脱珪した溶銑予備処理銑を
    用いることを特徴とする転炉吹錬方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012062567A (ja) * 2010-08-20 2012-03-29 Jfe Steel Corp 転炉での溶銑の脱炭精錬方法
WO2013190591A1 (ja) * 2012-06-18 2013-12-27 Jfeスチール株式会社 精錬方法及び溶鋼の製造方法
JP2016079434A (ja) * 2014-10-14 2016-05-16 新日鐵住金株式会社 転炉操業方法
CN112853029A (zh) * 2020-12-30 2021-05-28 唐山燕山钢铁有限公司 低碳、高氧钢种的吹炼方法
CN114959181A (zh) * 2022-05-31 2022-08-30 宝武集团鄂城钢铁有限公司 一种螺纹钢快速升温精炼方法、螺纹钢生产方法和螺纹钢
CN115011752A (zh) * 2022-05-24 2022-09-06 石家庄钢铁有限责任公司 一种转炉采用石灰石炼钢控制炉渣碱度的方法

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