JP3470858B2 - 転炉の炉体寿命の延長方法 - Google Patents
転炉の炉体寿命の延長方法Info
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Description
炭精錬する転炉における転炉寿命の延長方法に関する。
を行う従来の転炉操業においては、転炉内張り煉瓦の損
耗は、スラグの塩基度(CaOwt%/SiO2 wt
%、以下CaO/SiO2 と記する)が高いほど、Mg
O濃度が高いほど、T.Feが低いほど低くなることが
以前から知られている。
しては、吹錬中のスラグCaO、MgO濃度を高くし、
かかるスラグを転炉内張りにコーテイングし、転炉内張
り煉瓦の溶損を抑制し、転炉寿命の延長を図っている。
スラグに固化材、煉瓦屑を投入し、転炉を傾動して炉体
内張り煉瓦に付着させる方法(スラグコーテイング法)
が知られている。この方法においては化学的に炉体煉瓦
の損耗を抑制し、また、スラグコーテイング材により炉
体煉瓦への熱負荷を軽減して熱スポーリングを抑制し、
煉瓦の損耗を軽減している。
テイング層が吹錬中に剥離することが多い。そこで、特
開昭61−157610号公報、特開昭61−5623
号公報等ではスラグコーテイング後において強制冷却
し、スラグを炉壁に付着させる方法が、特公昭61−5
9364号公報では転炉終点のスラグ成分組成を望まし
い範囲に制御する方法がそれぞれ開示されている。ま
た、特開昭62−13407号公報には出鋼後において
炉内に固化材、煉瓦屑を投入する方法が開示されてい
る。
において脱燐精錬を行い、この脱燐溶銑を他の転炉に装
入し、脱炭精錬を行なって溶鋼を製造するスラグレス製
鋼方法を実施している。この製鋼方法においては脱燐精
錬は比較的低温(1400〜1500℃)で精錬を行う
ので耐火物の損耗は少ない。他方、脱炭精錬においては
終点温度が1630℃以上、場合によっては1700℃
となる高温精錬を行っている。そこで転炉耐火物の損耗
が激しくなってきた。
炉において、上記従来のスラグコーテイング方法を適用
することは不適切である。即ち、スラグコーテイング方
法において転炉炉内を強制冷却する方法では炉体を冷却
するので、熱経済上望ましくない。また、転炉終点のス
ラグの成分組成を所定の範囲に制御しても、転炉終点温
度が低い場合にはスラグコーテイングが不十分となり、
次の吹錬において高温吹錬を行うとスラグコーテイング
層が剥離する。
屑を投入する方法は、転炉で溶製する溶鋼成分組成が1
チャージ毎に異なり、そのためスラグの成分組成や量が
異なるために、その都度固化材、煉瓦屑の種類と投入量
を検討する必要があり、不便である。更に、固化材、煉
瓦屑の投入には時間を要し、生産性を低下させる問題が
ある。
スラグコーテイングの保護効果をより長時間維持し、転
炉の生産性を阻害することのないような脱炭精錬転炉の
寿命延長方法を課題とする。
の操業条件と炉体寿命との関係を種々解析した結果、炉
内で生成するスラグのマグネシヤ(MgO)濃度が10
wt%以上の場合には炉体寿命が延長されることを知見
し、下記の発明をするに至った。
特徴とする転炉の炉体寿命の延長方法である。 (a)転炉に予め脱燐精錬された脱燐溶銑を装入し、 (b)更に、前記転炉に造滓材を添加し、転炉内に生成
されるスラグの塩基度(CaOwt%/SiO2 wt
%)を3〜6の範囲として前記脱燐溶銑を酸素吹錬によ
って脱炭精錬するに際し、前記スラグ中のMgO含有量
が10wt%以上となるように、MgOを含む造滓材を
少なくとも当該酸素吹錬の前半までに転炉に添加し、 (c)前記脱炭精錬における溶鋼の終点温度を1650
℃以上とすることによって、生成したスラグ中に溶解す
るMgO濃度を10wt%以上確保して溶鋼を出鋼し、 (d)前記出鋼に際して、生成したスラグの一部を転炉
内に残留させ、この残留させたスラグで転炉内張りのス
ラグコーテイングを行う。
0wt%以上である場合には、粘性が高く、脱燐作用が
低下するので、溶鋼の終点のP含有量を通常の粗鋼規格
のP含有量である0.02wt%以下程度とするために
は、装入する溶銑として予め脱燐精錬された脱燐溶銑を
使用することが不可欠である。脱炭精錬炉で脱燐精錬の
負荷がなくなればスラグ量は10〜20kg/ton 程度で
よく、また少量のMgO添加でMgO濃度を高めること
が可能となる。その結果、炉内に生成したスラグはMg
O濃度が10wt%以上の高い融点と粘性を有している
ので、このスラグで転炉内煉瓦をスラグコーテイングす
ると炉体の寿命を延長させることができる。
脱燐溶銑は、燐(P)含有量が0.03wt%以下に脱
燐精錬された脱燐溶銑であることを特徴とする転炉の炉
体寿命の延長方法である。転炉に装入する脱燐溶銑が
0.03wt%以下に脱燐精錬されていれば、転炉にお
いては、更に脱燐精錬をする必要がなく、スラグのMg
O濃度を10wt%以上としても問題がない。
て、MgOを含む造滓材として軽焼ドロマイト又は生ド
ロマイトを用い、軽焼ドロマイト、及び/又は生ドロマ
イトを溶銑装入に先立ち、転炉に装入することを特徴と
する転炉の炉体寿命の延長方法である。転炉で精錬中に
生成するスラグのMgO濃度を10wt%以上とするた
めには、軽焼ドロマイト、及び/又は生ドロマイトを例
えば4kg/ton(溶銑)以上転炉に装入することに
より容易に達成できる。また、このスラグは強固なスラ
グ層として内張りを保護する作用がある。
れかにおいて、生成するスラグの量を溶鋼1ton当た
り20kg以下とすることを特徴とする転炉の炉体寿命
の延長方法である。従来においては、通常スラグ発生量
が30〜40kg/tonであるが、20kg/ton
以下とすることにより、スラグ処理量を低下させること
ができ、製鋼作業をより経済的にすることができる。ま
た、脱燐溶銑のP含有量が0.03wt%以下である場
合にはスラグ量が20kg/ton以下でも粗鋼規格の
P含有量である0.02wt%以下程度とすることがで
きる。
れかにおいて、前記転炉は底吹き転炉、又は上底吹き転
炉であることを特徴とする転炉の炉体寿命の延長方法で
ある。上記炉体寿命の延長方法は底吹き転炉、又は上底
吹き転炉のいずれでも実施できる。
す。また、図2には脱炭精錬の状況をモデル的に示す。
脱炭精錬においては、まず脱燐溶銑4を転炉2に装入
し、所定量の焼石灰等の造滓材を装入し、ランス12か
ら酸素を吹錬し、CaO、SiO2 、FeO等を主成分
とするスラグ6を生成させ、溶銑を脱炭精錬する。精錬
中においてスケール、鉄鉱石、マンガン鉱石等も装入す
る(図1)。
鋼口8を介して溶鋼を取鍋に出湯する。この転炉におけ
る溶銑の脱炭精錬における酸素吹錬は例えば約15分間
で、出湯時間(倒炉開始から出湯終了まで)は通常5分
間程度かかる。
点は、MgO含有量が10wt%以上のスラグを精錬中
に生成させる点である。この場合には炉体煉瓦の損耗を
より効果的に防止する点である。MgOを含む造滓材を
装入する時期は少なくとも吹錬前半であればよい。しか
し、より望ましいのは通常精錬の中期で転炉に装入する
軽焼ドロマイト、及び/又は生ドロマイトを溶銑装入に
先立って予め転炉に装入することである。
は生ドロマイト中のMgOがスラグに十分溶解し、Mg
O含有量の高いスラグが精錬中に生成され、炉体煉瓦の
損耗をより効果的に防止する点である。なお、通常の脱
炭精錬においては転炉炉内で発生するスラグ量は20〜
40kg/ton(溶鋼)である。
るのは、転炉内張りの内で、最も損耗が大きい湯面直上
の炉体煉瓦(図2のA)の損耗速度である。この損耗速
度を340ton(溶銑量)転炉において種々の操業条
件で測定した。その結果、以下のような結果が得られ
た。
0wt%以上の場合には炉体寿命が延長されることか
ら、本発明では、予め転炉に軽焼ドロマイト及び/又は
生ドロマイトを4kg/ton(溶鋼)以上装入し、脱
炭精錬をするとスラグのMgO濃度を10wt%以上と
することができる。なお、軽焼ドロマイト等を8kg/
ton(溶鋼)以上装入しても、スラグに均一に溶解し
ないので効果的でない。
(図2のA)の損耗速度との関係を示す。MgO濃度が
10wt%以上とこれ以下では上記損耗速度に大きな差
がある。軽焼ドロマイト及び/又は生ドロマイトを装入
しない場合に比較し、上記炉体煉瓦の損耗速度は、例え
ば約0.19mm/ch(チャージ)から約20〜30
%低下した。また、MgO濃度が20wt%以上では、
溶鋼の飛散(スピッテイング)が多く、炉体煉瓦の損耗
速度の低下も飽和した。
状は脱燐精錬に不利となり、脱燐溶銑のP含有量0.0
4〜0.05wt%が、溶鋼の終点P含有量として通常
望ましい0.02wt%以下に低下しない場合もある。
そこで、溶銑のP含有量を望ましくは0.03wt%以
下とする必要があった。即ち、脱炭精錬においては脱燐
精錬をあまり行わない精錬とする必要がある。
瓦の損耗速度との関係を示す。図に示すように、通常の
塩基度(3〜6)においては、スラグのT.Feが約2
0wt%から約15wt%に低下すると、上記炉体煉瓦
の損耗速度は約60%以下に低下した。
ら約15wt%に低下させても、溶銑P含有量が0.0
3wt%以下である場合には、脱燐精錬を余り実施する
必要がないので、溶鋼の終点のP含有量を通常の粗鋼規
格のP含有量である0.02wt%以下程度とすること
ができた。
濃度との関係を示す。通常の脱炭精錬においては終点温
度は1650℃以上であるが、1650℃以下の場合に
はスラグのMgO濃度を10wt%以上とすることがで
きない。即ち、スラグの温度を1650℃以上にしない
と、装入したMgOがスラグに均一に溶解せず、また、
MgO濃度を10wt%以上とすることによりスラグコ
ーティングの効果が十分に発揮されることが判明した。
又は上底吹き転炉のいずれでも実施できることはいうま
でもない。
転炉において実施した例を示す。従来の軽焼ドロマイト
及び/又は生ドロマイトを予め装入しない場合には、上
記炉体煉瓦の損耗速度は0.17〜0.22mm/ch
であった。その他の条件は下記の通りである。
立ち、軽焼ドロマイト及び/又は生ドロマイトを4kg
/tonから8kg/tonを予め転炉に装入した。こ
の場合には炉体煉瓦の損耗速度は0.07〜0.12m
m/chであった。即ち、約60%低減でき、従って転
炉寿命を2倍に延長できた。その他の条件は下記の通り
である。
00chから7000〜8000chに延長することが
できた。
転炉の寿命を従来よりも大幅に延長でき、例えば約2倍
に延長することができる。また、生成するスラグ量を低
減できるので、製鋼作業の経済性を更に向上させること
ができる。本発明の経済的な効果は極めて大きいと共
に、年間を通じての転炉稼働率の増大も得られるので生
産能率の向上は甚大であり、産業上の効果は著しい。
図である
度を測定した箇所を示す図である。
ラグのMgO含有量との関係を示す図である。
ラグT.Feとの関係を示す図である。
を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 下記の工程を備えたことを特徴とする転
炉の炉体寿命の延長方法。 (a)転炉に予め脱燐精錬された脱燐溶銑を装入し、 (b)更に、前記転炉に造滓材を添加し、転炉内に生成
されるスラグの塩基度(CaOwt%/SiO2 wt
%)を3〜6の範囲として前記脱燐溶銑を酸素吹錬によ
って脱炭精錬するに際し、前記スラグ中のMgO含有量
が10wt%以上となるように、MgOを含む造滓材を
少なくとも当該酸素吹錬の前半までに転炉に添加し、 (c)前記脱炭精錬における溶鋼の終点温度を1650
℃以上とすることによって、生成したスラグ中に溶解す
るMgO濃度を10wt%以上として該溶鋼を出鋼し、 (d)前記出鋼に際して、生成したスラグの一部を転炉
内に残留させ、この残留させたスラグで転炉内張りのス
ラグコーテイングを行う。 - 【請求項2】 前記脱燐溶銑は、燐(P)含有量が0.
03wt%以下に脱燐精錬された脱燐溶銑であることを
特徴とする請求項1記載の転炉の炉体寿命の延長方法。 - 【請求項3】 MgOを含む造滓材として軽焼ドロマイ
ト又は生ドロマイトを用い、軽焼ドロマイト、及び/又
は生ドロマイトを溶銑装入に先立ち、転炉に装入するこ
とを特徴とする請求項1又は2記載の転炉の炉体寿命の
延長方法。 - 【請求項4】 生成するスラグの量を溶鋼1ton当た
り20kg以下とすることを特徴とする請求項1から3
のいずれかに記載の転炉の炉体寿命の延長方法。 - 【請求項5】 前記転炉は底吹き転炉、又は上底吹き転
炉であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに
記載の転炉の炉体寿命の延長方法。
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JP06738997A JP3470858B2 (ja) | 1997-03-05 | 1997-03-05 | 転炉の炉体寿命の延長方法 |
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JPH10245616A JPH10245616A (ja) | 1998-09-14 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102925617A (zh) * | 2012-10-31 | 2013-02-13 | 攀钢集团研究院有限公司 | 一种用于提钒转炉溅渣护炉的调渣剂 |
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CN114214476A (zh) * | 2021-12-17 | 2022-03-22 | 山东泰山钢铁集团有限公司 | 一种延长转炉出钢口寿命的方法 |
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1997
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CN102925617B (zh) * | 2012-10-31 | 2014-12-17 | 攀钢集团研究院有限公司 | 一种用于提钒转炉溅渣护炉的调渣剂 |
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