JP3486889B2 - 二以上の転炉を用いた製鋼方法 - Google Patents

二以上の転炉を用いた製鋼方法

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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、予め高炉溶銑の脱
燐精錬を行い、この脱燐精錬された溶銑を転炉において
脱炭精錬を行い、円滑に連続した生産性の高い溶銑から
の製鋼方法に関する。
【0002】
【従来の技術】伝統的転炉製鋼法においては、同一の転
炉において高炉溶銑の脱燐精錬と脱炭精錬とを行なっ
て、製鋼作業を行っていた。しかし、近年の鋼材の品質
に対する要求が高くなる一方、連続鋳造の拡大や、真空
脱ガス、取鍋精錬等の溶鋼の二次精錬が普及するに伴
い、転炉における出鋼温度が上昇し、転炉に於ける脱燐
能力が低下してきた。この理由は、脱燐反応は高温ほど
不利に進行するからである。
【0003】そこで、転炉に装入する溶銑を予め処理し
て、特に燐(P)成分をある程度除去してから転炉に装
入する溶銑予備処理法が発展してきた。この方法は例え
ば、溶銑鍋又は一の転炉等において溶銑の脱燐精錬を行
ない、この脱燐された溶銑を他の転炉に移動して脱炭精
錬を行なう製鋼法である。
【0004】かかる技術として、特開平2−20071
5号公報、特公平2−14404号公報、特公昭61−
23243号公報の提案がある。また、本願の発明者も
既に従来の製鋼工場を改造し、複数の転炉のそれぞれの
炉前作業床に作業床開口部を設け、一の転炉で溶銑の脱
燐精錬をした溶湯を受湯鍋に受け、この受湯鍋を前記作
業床開口部を通して他の一の転炉に運搬し、この転炉に
装入し、ここで脱炭精錬を行なう精錬方法を開発してい
る(特開平6−41624号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記製鋼方法におい
て、一の転炉等で溶銑の脱燐精錬を行ない直ちに出湯
し、これを他の転炉等で少なくとも脱燐精錬時間以内で
の時間内で脱炭精錬することが円滑な製鋼作業上必要で
ある。
【0006】本発明前における340ton転炉におけ
る脱燐精錬の概要を図10に示す。上記溶銑の脱燐精錬
は低温(1250〜1400℃)で行われており、ま
た、溶銑の脱燐精錬のためにスラグのFeO(5〜10
%)を高くするため、スラグがフォーミングしており、
直ちに出湯すると、炉口からスラグが流出し、又は受湯
鍋に大量のスラグが流入するので、図に示す様な鎮静時
間が4分程度を要していた。そのため、脱燐精錬時間
は、例えば平均約36分であった。
【0007】一方、この脱燐溶銑の他の転炉における脱
炭精錬時間は種々の改良により平均29分、スラグコー
テイングをしない場合には27分である。従って、脱炭
精錬炉は少なくとも7分、最大9分遊び時間が発生し、
従ってその分製鋼能率が低下していた。この7分間の遊
び時間を短縮すると約20%の生産向上が得られる。ま
た、この遊び時間において脱炭精錬炉の炉内温度の低下
があり、煉瓦の損耗等も発生し、転炉寿命の低下ももた
らしていた。
【0008】そこで、本発明は、脱燐精錬時間を低下さ
せ、脱炭精錬炉の遊び時間を無くし、円滑な製鋼作業を
確保し、更に製鋼能率の向上を目的とする。上記脱燐精
錬において溶鋼のP含有量を粗鋼成分のP含有量(所謂
規格値、通常0.02wt%以下)以下に精錬し、脱炭
精錬においては実質的に脱燐精錬をせず、製鋼能率の向
上を目的とする。
【0009】また、上記製鋼方法で発生するスラグは減
少しているが、更に減少することが望ましい。また、脱
炭精錬する溶銑は既に十分脱燐精錬されているので更に
脱燐する必要はない。そこで、高価なマンガン合金を節
約するため、脱炭精錬において可能な範囲でマンガン鉱
石を装入し、これを還元して溶鋼のMn含有量を高める
ことが一部実施されているが、マンガン鉱石中のMnの
溶鋼への還元歩留りは充分は言えない現状にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題について種々研
究した結果、溶銑を脱燐精錬することにより、P含有量
を通常の粗鋼成分のP含有量(所謂規格値、通常0.0
2wt%以下)まで精錬し、脱炭精錬において実質的に
脱炭精錬のみを行ない、必要によりマンガン鉱石を装入
することにより達成できることを知見し、下記の発明を
するに至った。
【0011】第1の発明は、下記の工程を備えたことを
特徴とする二以上の転炉を用いた製鋼方法。 (a)一の転炉にSi含有量が0.3wt%以下の溶銑
を装入し、溶銑の燐(P)含有量を粗鋼で要求されてい
るP含有量(鋼の成分規格値)以下に脱燐精錬し、
(b)前記脱燐精錬された溶銑を他の転炉に装入し、実
質的に造滓材を装入せず脱炭精錬を行ない、(c)前記
脱炭精錬された溶鋼と、脱炭精錬中に増加したスラグ量
のみを必要に応じて前記他の転炉から出鋼し、又は排出
する。
【0012】上記発明においては、脱燐精錬において溶
銑のP含有量は粗鋼のP含有量(鋼の成分規格値)まで
精錬されているので、脱炭精錬においてはPを精錬する
ための焼石灰等の造滓材を装入する必要がなく、脱炭精
錬を極めて簡素化でき、精錬時間も短縮できる。従っ
て、全体として製鋼能率を向上できる。なお、脱炭精錬
において生成するスラグは各チャ−ジ毎に排出する必要
はなく、ある程度多くなってから、即ち必要に応じて排
出する。
【0013】第2の発明は、前記脱燐精錬を行う溶銑の
Si含有量が0.3wt%超える場合には、予め脱珪素
処理を行い、Si含有量を0.3wt%以下とすること
を特徴とする二以上の転炉を用いた製鋼方法である。脱
燐精錬を行う溶銑のSi含有量が0.3wt%超える場
合には、予め脱珪素処理を行い、Si含有量を0.3w
t%以下とすることにより脱燐精錬時間を短縮し、溶銑
のP含有量を粗鋼のP含有量(鋼の成分規格値)まで容
易に精錬することができる。
【0014】第3の発明は、前記脱珪素処理を、高炉鋳
床における脱珪素処理及び/又は溶銑鍋における脱珪素
処理を行い、Si含有量を0.3wt%以下とすること
を特徴とする二以上の転炉を用いた製鋼方法である。高
炉鋳床における脱珪素処理と溶銑鍋における脱珪素処理
は従来からも行われており比較的に容易に実施できる方
法であるので、Si含有量が0.3wt%以上の場合に
は、これらの方法を単独又は重複して適用することがで
きる。
【0015】第4の発明は、前記脱珪素処理を、脱燐精
錬を行う転炉でSi含有量を0.3wt%以下とし、生
成したスラグを排出し、引き続いて脱燐精錬を行うこと
を特徴とする二以上の転炉を用いた製鋼方法である。脱
燐精錬を行う転炉(脱燐精錬炉)において酸素ガスを吹
錬することにより極めて短時間に脱珪素を行うことが可
能である。
【0016】第5の発明は、前記脱炭精錬を行う転炉に
おいて、更にマンガン鉱石を装入し、終点における溶鋼
のマンガン(Mn)含有量を最大、粗鋼で要求されてい
るMn規格値の上限以内においてMn含有量を高めるこ
とを特徴とする二以上の転炉を用いた製鋼方法である。
脱炭精錬を行う転炉において、更にマンガン鉱石を装入
すると、溶銑の炭素(C)によりマンガン鉱石が還元さ
れるので、粗鋼で要求されているMn規格値の上限以内
においてMn含有量を高めることができ、高価なマンガ
ン合金を節約することができる。また、本発明では、脱
炭精錬において実質的に造滓材を装入しないので炉内に
残留しているスラグのMnO濃度は希釈されない。従っ
て、装入したマンガン鉱石のMn分が効率よく溶鋼に還
元され、マンガン歩留は飛躍的に向上する。
【0017】第6の発明は、前記マンガン鉱石の装入に
際し、マンガン鉱石に含まれているシリカ(SiO2
に対して所定の塩基度(CaOwt%/SiO2 wt
%、以下CaO/SiO2 と略す)となるように更にC
aOを含む造滓材を装入することを特徴とする二以上の
転炉を用いた製鋼方法である。マンガン鉱石は例えば1
0wt%以下のシリカ(SiO2 )を含んでおり、場合
によってはスラグの塩基度(CaO/SiO2 )を低下
させることがあるので、最小限のCaOを含む造滓材を
装入し、炉体損耗や複燐を防止する。
【0018】第7の発明は、前記脱炭精錬を行う転炉に
おいて、前記脱燐精錬された溶銑の装入に先立ち、スラ
グ固化剤を装入することを特徴とする二以上の転炉を用
いた製鋼方法である。脱炭精錬を行う転炉において、溶
銑の装入に先立ち、スラグ固化剤を装入すると、脱燐精
錬溶銑を装入しても突沸することなく、安全な精錬がで
きる。
【0019】第8の発明は、前記スラグ固化剤が軽焼ド
ロマイト及び/又は生ドロマイトであることを特徴とす
る二以上の転炉を用いた製鋼方法である。軽焼ドロマイ
ト及び/又は生ドロマイトはスラグに容易に溶解し、M
gO濃度を高めて、炉体煉瓦を保護し炉体寿命を延長さ
せることができる。
【0020】第9の発明は、前記脱燐精錬を行う転炉
に、溶銑を装入するに先立ちスクラップの全量を装入す
ることを特徴とする二以上の転炉を用いた製鋼方法であ
る。脱燐精錬を行う転炉に、溶銑を装入するに先立ちス
クラップの全量を装入すると容易にスクラップを溶解
し、脱燐精錬溶銑の生産量を増加させる効果がある。
【0021】第10の発明は、前記スクラップの一部又
は全部を、脱燐精錬及び/又は脱炭精錬で生成したスラ
グの磁選屑とすることを特徴とする二以上の転炉を用い
た製鋼方法である。スクラップの一部又は全部を、脱燐
精錬及び/又は脱炭精錬で生成したスラグを磁選した磁
選屑とすることにより、溶銑温度が低い場合でもスラグ
生成が円滑となり、終点のP含有量が安定して、低くな
る。
【0022】第11の発明は、前記脱炭精錬を前記脱燐
精錬時間以内において行うことを特徴とする二以上の転
炉を用いた製鋼方法である。脱炭精錬を脱燐精錬時間内
において行うことにより、脱燐精錬溶銑は待ち時間なし
に脱炭精錬を行うことができ、製鋼能率を向上させるこ
とができる。
【0023】第12の発明は、前記一及び/又は他の転
炉が上吹き転炉、底吹き転炉、及び上底吹き転炉にいず
れかであることを特徴とする二以上の転炉を用いた製鋼
方法である。上記脱燐精錬及び脱炭精錬は、上吹き転
炉、底吹き転炉、及び上底吹き転炉にいずれにおいても
実施できる。
【0024】第13の発明は、上記1から12のいずれ
かに記載の製鋼方法を一連の転炉操業において少なくと
も80%以上を実施することを特徴とする二以上の転炉
を用いた製鋼方法である。上記第1から12の発明のい
ずれかに係る製鋼方法のチャージを一連の転炉操業、例
えば1日の操業において少なくとも80%以上を実施す
ると、スラグ中のMnO濃度が徐々に増加し、マンガン
の歩留まりが高くなる効果がある。なお、その他のチャ
ージは通常の精錬、即ち脱燐精錬と脱炭精錬を同一転炉
において実施するチャージである。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、溶銑の転炉における脱燐精
錬の概要は、周知の通り溶銑装入後、ランスから酸素を
吹錬し、所定量の焼石灰等を装入し、CaO、Si
2 、FeO等を主成分とするスラグを生成させ、溶銑
から燐を除去する工程である。溶銑の脱燐精錬が終了す
ると倒炉して出鋼口を介して取鍋に出湯を行う。
【0026】従来の溶銑の脱燐精錬の概要を図10に示
す。スクラップ装入に続いて、例えば溶銑340ton
を装入後、造滓材としての焼石灰(6ton/ch)、
ホタル石(0.6ton/ch)、都合により生ドロマ
イト等を装入しながら、酸素吹錬を約13分間行う。
【0027】その後、溶銑とスラグの分離を行うためリ
ンスを3分間程度行う。その後、従来はスラグフォーミ
ングの鎮静化のため約4分を待ち、その後出湯する。図
に示すように脱燐精錬時間は約36分である。一方、こ
の脱燐精錬を脱炭精錬する時間は約29分であり、脱炭
精錬する転炉(以下、脱炭転炉という)は約7分間の非
稼働時間があった。
【0028】本発明における340ton転炉における
脱燐精錬の概要を図1に、また、Si含有量と脱燐精錬
時間との関係を図2に、精錬時間配分を図3に示す。図
2に示すように、従来例においては高炉からの溶銑のS
i含有量は0.3〜0.5wt%程度であったが、本発
明では望ましくは0.3wt%以下の溶銑を使用するの
で、脱燐精錬時間は32.2分以下となり、約10%の
生産性の向上が得られる。
【0029】最近の高炉操業においては溶銑のSi含有
量は0.3wt%以下であるので、上記操業に問題はな
い。しかし、非定常的な操業(高炉休風後等)ではSi
が0.3wt%を超えることがあるが、このような場合
には溶銑鍋等で予め脱珪素を行ない、脱燐精錬時間の延
長を防止する。
【0030】本発明ではSi0.3wt%以下の溶銑を
使用するため、スラグ量は図6に示すように、従来(4
0〜50kg/ton)より少なく(20〜30kg/
ton以下,図6参照)、精錬中におけるスラグフォー
ミングも少ないので鎮静時間(従来4分)を要せず、図
1に示すように、脱燐精錬時間は従来の36分から3
2.2分に短縮でき、脱炭精錬時間に接近した。
【0031】また、略同一の塩基度で、より少ないスラ
グ量で脱燐精錬を行っているにもかかわらず、本発明の
脱燐精錬においてはPが通常粗鋼で要求されている(規
格値)0.02wt%以下に精錬される(図6参照)。
このため脱炭精錬においてはPを精錬する必要がない。
スラグ量が少ないために円滑なスラグ生成が行われたた
めと推定される。
【0032】なお、本発明における脱燐精錬において
は、十分な脱燐精錬と精錬時間の短縮を確保するため、
スラグの塩基度を1.5〜5程度とする。必要によりス
ラグフォーミングを抑制するため、コークスを0.5t
on/ch程度装入する。また、脱燐精錬を促進するた
めにはスラグ中のFeO濃度を高くする。このため、吹
錬中期に鉄鉱石或いはミルスケールを装入する(図1参
照)。
【0033】次に、図4に脱炭精錬の状況を示す。この
精錬においては主に脱炭精錬を目的とするため、吹錬す
る酸素量を多くする。溶銑のP含有量は既に規格値
(0.02wt%)以下となっているため、従来多く使
用している焼石灰等の造滓材を一連の吹錬の最初のチャ
ージ以外は原則として装入しない。従って、炉内に生成
するスラグ量は図6に示すように10〜30kg/to
nと少ない。しかも、出鋼後において原則として炉内に
残留させるため排出するスラグ量は従来と比較し大きく
減少する(図6参照)。
【0034】本発明の脱炭精錬においては、マンガン鉱
石を可能な範囲で装入する。高炉溶銑のMn含有量は通
常0.2〜0.3wt%であり、脱燐精錬された溶銑の
Mn含有量は、通常0.15〜0.25wt%である。
また、脱炭精錬においても同程度である。一方粗鋼のM
n含有量(規格値)は鋼種によるが、低炭素鋼では例え
ば0.40〜0.60wt%、高マンガン鋼では例えば
1.0〜1.2wt%である。そこで通常は出鋼時にお
いて高価なマンガン合金を添加して規格値とする。
【0035】本発明では脱炭精錬において脱燐精錬をす
る必要がない。そこで、本発明ではマンガン鉱石(例え
ば、Mn約50wt%,Fe約10wt%以下,SiO
2 約10wt%以下)を装入する。マンガン鉱石を精錬
中に添加すると効率よく還元され、溶鋼のMn含有量を
最大、粗鋼のMn含有量の上限値まで高めておくことが
でき、より経済的に製鋼作業が可能となる。
【0036】しかし、マンガン鉱石にはSiO2 を含有
しているので、これを溶解し、塩基度(1.5〜5)と
なるようにCaOを含む造滓材を装入する。マンガン鉱
石はコストの高いマンガン合金鉄の添加量を最小限とす
るように、可能な範囲で多く装入する。マンガン鉱石の
Mn分は、スラグのMnO濃度が吹錬前から高く維持さ
れており、造滓材による希釈も少ないので、マンガンの
溶鋼鋼への還元歩留まりは高い。
【0037】更に、本発明における脱炭精錬において特
徴的なことは、脱燐精錬された溶銑の装入に先立ち、ス
ラグ固化剤を装入する。この場合には、脱燐溶銑を装入
した際に溶銑の突沸現象を抑える作用があり、安全な操
業を担保する。スラグ固化剤としては、煉瓦屑、焼石
灰、軽焼ドロマイト、生ドロマイト等がある。上記スラ
グ固化剤のうち、軽焼ドロマイト、生ドロマイトは、溶
解性、経済性、更には炉体寿命を延長する点から望まし
い。
【0038】脱燐溶銑を脱炭精錬炉に装入するに先立ち
予め軽焼ドロマイト及び/又は生ドロマイトを添加する
と、脱炭精錬中において十分スラグに溶解し、MgO濃
度を高める作用がある。このようなスラグはスラグ自体
がMgOを溶解度限まで含有しているため、マグネシヤ
(MgO)煉瓦からなる炉体煉瓦の損耗を抑制し、炉体
寿命を延長させる効果がある。
【0039】さらに、溶鋼を出鋼後において炉体を傾動
して炉内に残留したスラグを炉体内張り煉瓦に付着さ
せ、所謂スラグコーテイングを行う。このスラグコーテ
イングは炉体寿命の延長に大きく貢献し、脱燐精錬炉と
同程度の炉体寿命となる。従って、脱燐精錬時間と脱炭
精錬時間の時間的サイクルが同じとなるだけでなく、双
方の炉体寿命も同程度になり円滑な一貫した製鋼作業が
可能となった。
【0040】本発明においては上記スラグコ−テイング
により、脱炭精錬炉から排出されるスラグは最大約10
kg/ton、少ない場合には全く排出しない。すでに
述べた通り、脱燐精錬で発生するスラグ量も40kg/
ton以下であり、その一部はリサイクルできるので、
粗鋼1ton当たり外部に排出するスラグ量は約40k
g/ton以下である。
【0041】本発明においては、脱燐精錬時間を従来よ
り短縮できるので、脱燐精錬を行う転炉に、溶銑を装入
するに先立ちスクラップの全量を装入することが時間的
に可能である。また、脱燐精錬は低い温度(1300〜
1400℃)で行われるが、溶銑の炭素量が高いため
に、スクラップを容易に溶解するので、スクラップの装
入が可能である。スクラップの装入量は熱バランスの点
から溶銑量の約10wt%以内である。スクラップの装
入は、脱燐精錬溶銑の生産量を増加させる効果がある。
【0042】また、上記スクラップの一部又は全部を、
脱燐精錬及び脱炭精錬において発生したスラグの磁選屑
とすることができる。磁選屑とは、脱燐精錬及び脱炭精
錬において発生したスラグを磁選機にかけて選別した粒
鉄等を多く含む(約50wt%)部分である。磁選屑は
溶解したスラグを約50wt%含むので、溶銑温度が低
い場合でもスラグ生成が円滑となり、終点のP含有量が
より安定して、更に低くすることができる。
【0043】本発明においては、脱炭精錬は脱燐精錬時
間以内において行うことができるので、脱燐精錬溶銑は
待ち時間なしに脱炭精錬を行うことができ、製鋼能率を
向上させることができる。また、本発明における転炉と
は、上吹き酸素転炉、底吹き酸素転炉、及び上底吹き酸
素転炉にいずれであってもよい。
【0044】さらに、上記のような製鋼方法を一連の操
業、例えば1日の操業において多数回繰り返すことによ
り、マンガンの還元歩留まりは向上する。以下において
この点を説明する。本発明の操業においては、マンガン
鉱石のMn分は、スラグのT.Feが低く、かつスラグ
のMnO濃度は吹錬前から高く維持されているので、装
入したマンガン鉱石の多くが還元される。
【0045】上記マンガンの鉱石の還元歩留は、前述の
本発明の各態様、例えば実質的に造滓材を装入しないチ
ャージ、あるいはマンガン鉱石を装入するチャージの一
連の操業における比率によって大きく変化する。この点
を図7により説明する。図7は1日の全チャージ数(通
常約40チャージ)を100%とし、1日の内で本発明
を実施するチャージ数の比率が向上するとマンガン歩留
まりが向上することを示す。ここで、例えば50%の比
率は1日が40チャージであれば20チャージが本発明
のチャージであることを意味する。
【0046】この40チャージは、どのような態様で実
施してもよい。例えばマンガン鉱石を使用した5チャー
ジを連続し、次に通常の転炉操業(脱燐精錬と脱炭精錬
を同一転炉で行う精錬操業、即ちマンガン鉱石を装入し
ないチャージ)を5チャージ行う操業を1日4回繰り返
す場合等を意味する。
【0047】また、図7の縦軸のマンガン歩留まりは、
転炉に装入した全マンガン量(スラグ中のマンガン量と
マンガン鉱石中のマンガン量)に対する出鋼された鋼中
のマンガン量の比(%)を意味する。図7からマンガン
鉱石を装入するチャージが80%以上においてはマンガ
ン歩留まりが約60から80%程度となるので望まし
い。
【0048】
【実施例】本発明の効果を確認するため低炭素鋼(C:
0.1wt%未満)、中炭素鋼(C:0.1〜0.2w
t%)、高炭素鋼(C:0.2wt%超え)をそれぞれ
50チャ−ジ製造し、製造過程における成分組成の変化
を図8と図9に示す。溶銑のSi含有量が0.3wt%
以下の溶銑を使用することにより、粗鋼のP含有量はい
ずれも0.02wt%以下に精錬されている。また、粗
鋼のMn含有量はマンガン鉱石の装入量に応じて高める
ことができた。その他の精錬データは図1から図7に示
す通りである。
【0049】
【発明の効果】本発明においては、Si含有量が0.3
wt%以下の溶銑を脱燐精錬し、この溶銑を脱炭精錬す
ることにより、従来、脱炭精錬時間より長かった脱燐精
錬を短縮でき、スラグコーテイング時間を含めた脱炭精
錬時間により近づくことができる。従って全体として所
謂製鋼時間を約20%短縮することができる。
【0050】更に、本発明においては、溶銑を転炉にお
いて溶銑の燐(P)含有量を粗鋼で要求されているP含
有量(鋼の成分規格値)以下に精錬し、脱燐精錬された
溶銑を転炉に装入し、実質的に造滓材を装入せず脱炭精
錬を行う。従って、脱炭精錬を行う転炉において、マン
ガン鉱石を装入し、粗鋼で要求されているMn規格値の
上限以内においてMn含有量を高めることが可能とな
り、極めて経済的な製鋼方法が実現できる。また、この
製鋼方法は発生するスラグを最小に抑えることができる
ので、省資源の効果もある。よって本発明の産業上の効
果は著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における脱燐精錬工程を示す図である。
【図2】本発明における脱炭精錬工程を示す図である。
【図3】溶銑のSi量と脱燐精錬時間との関係を示す図
である。
【図4】本発明における溶銑の脱燐精錬時間を示す図で
ある。
【図5】本発明における溶銑の脱燐精錬時間と脱炭精錬
時間を示す図である。
【図6】本発明における溶銑と溶鋼の成分組成の変化を
示す図である。
【図7】一連の操業における本発明の実施比率とマンガ
ン歩留まりとの関係を示す図である。
【図8】本発明により各種炭素鋼を製造した場合におけ
る脱燐精錬における溶銑とスラグの成分組成の変化を示
す図である。
【図9】本発明により各種炭素鋼を製造した場合におけ
る脱炭精錬における溶鋼及びスラグの成分組成の変化を
示す図である。
【図10】本発明前における脱燐精錬の過程を示す図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小平 悟史 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 菊地 一郎 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 新井 学 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 田中 秀栄 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 川嶋 一斗士 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 井上 茂 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−245614(JP,A) 特開 平10−245617(JP,A) 特開 平7−41815(JP,A) 特開 平5−86412(JP,A) 特開 平6−41624(JP,A) 特開 平10−306306(JP,A) 特開 昭55−50414(JP,A) 特開 昭59−104417(JP,A) 特公 平3−77246(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21C 5/00 - 5/50

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の工程を備えたことを特徴とする二以
    上の転炉を用いた製鋼方法。 (a)一の転炉に珪素(以下Siと記する)含有量が
    0.3wt%以下の溶銑を装入し、溶銑の燐(以下Pと
    記する)含有量を粗鋼で要求されているP含有量(鋼の
    成分規格値)以下に脱燐精錬し、 (b)前記脱燐精錬された溶銑を他の転炉に装入し、造
    滓材を装入せず脱炭精錬を行い、 (c)前記他の転炉から、前記脱炭精錬された溶鋼を出
    鋼し、脱炭精錬中に増加したスラグ量のみを排出する。
  2. 【請求項2】前記脱燐精錬を行う溶銑のSi含有量が0・3
    wt%超える場合には、予め脱珪素処理を行い、Si含有量
    を0・3wt%以下とすることを特徴とする請求項1記載の
    二以上の転炉を用いた製鋼方法。
  3. 【請求項3】前記脱珪素処理を、高炉鋳床における脱珪
    素処理及び/又は溶銑鍋における脱珪素処理を行い、Si
    含有量を0・3wt%以下とすることを特徴とする請求項2
    記載の二以上の転炉を用いた製鋼方法。
  4. 【請求項4】前記脱捷素処理を、脱燐精錬を行う転炉で
    Si含有量を0・3wt%以下に精錬し、生成したスラグを排
    出し、引き続いて脱燐精錬を行うことを特徴とする請求
    項2記載の二以上の転炉を用いた製鋼方法。
  5. 【請求項5】前記脱炭精錬を行う転炉において、更にマ
    ンガン鉱石を装入し、終点における溶鋼のマンガン(以
    下Mnと記する)含有量を最大、粗鋼で要求されているMn
    規格値の上限以内においてMn含有量を高めることを特徴
    とする請求項1から4のいずれかに記載の二以上の転炉を
    用いた製鋼方法。
  6. 【請求項6】前記マンガン鉱石の装入に際し、マンガン
    鉱石に含まれているシリカ(SiO2)に対して所定の塩基
    度(CaOwt%/SiO2Wt%)となるように更にCaOを含む造
    渾材を装入することを特徴とする請求項5記載の二以上
    の転炉を用いた製鋼方法
  7. 【請求項7】前記脱炭精錬を行う転炉において、前記脱
    燐精錬された溶銑の装入に先立ち、スラグ固化剤を装入
    することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の
    二以上の転炉を用いた製鋼方法。
  8. 【請求項8】前記スラグ固化剤が軽焼ドロマイト及び/
    又は生ドロマイトであることを特徴とする請求項1から7
    のいずれかに記載の二以上の転炉を用いた製鋼方法。
  9. 【請求項9】前記脱燐精錬を行う転炉に、溶銑を装入す
    るに先立ちスクラップの全量を装入することを特徴とす
    る請求項1から8のいずれかに記載の二以上の転炉を用い
    た製鋼方法。
  10. 【請求項10】前記スクラップの一部又は全部を脱燐精
    錬及び/又は脱炭精錬で生成したスラグの磁選屑とする
    ことを特徴とする請求項9に記載の二以上の転炉を用い
    た製鋼方法。
  11. 【請求項11】前記脱炭精錬を前記脱燐精錬時間以内に
    おいて行うことを特徴とする請求項1から10のいずれか
    に記載の二以上の転炉を用いた製鋼方法。
  12. 【請求項12】前記一及び/又は他の転炉が上吹き転
    炉、底吹き転炉、及び上底吹き転炉にいずれかであるこ
    とを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の二以
    上の転炉を用いた製鋼方法。
  13. 【請求項13】前記請求項1から12のいずれかに記載の
    製鋼方法を一連の転炉操業において少なくとも80%以上
    を実施することを特徴とする二以上の転炉を用いた製鋼
    方法。
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