JP3486887B2 - 複数の転炉を使用する製鋼方法 - Google Patents
複数の転炉を使用する製鋼方法Info
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Description
溶銑の脱燐精錬を行い、この脱燐精錬された溶銑を他の
一以上の転炉において一の転炉における脱燐精錬時間内
において脱炭精錬を行い、円滑に連続した生産性の高い
溶銑からの製鋼方法に関する。
炉において溶銑の脱燐精錬と脱炭精錬とを行なって、製
鋼作業を行っていた。しかし、近年の鋼材の品質に対す
る要求が高くなる一方、連続鋳造の拡大や、真空脱ガ
ス、取鍋精錬等の溶鋼の二次精錬が普及するに伴い、転
炉における出鋼温度が上昇し、転炉に於ける脱燐能力が
低下してきた。この理由は、脱燐反応は高温ほど不利に
進行するからである。
て、特に燐(P)成分をある程度除去してから転炉に装
入する溶銑予備処理法が発展してきた。この方法の一つ
として、一の転炉等において溶銑の脱燐精錬を行ない、
この脱燐された溶銑を他の転炉に移動して脱炭精錬を行
なう製鋼法が実施されている。
号公報、特公平2−14404号公報、特公昭61−2
3243号公報の提案がある。また、本願の発明者も既
に従来の製鋼工場を改造し、複数の転炉のそれぞれの炉
前作業床に作業床開口部を設け、一の転炉で溶銑の脱燐
精錬をした溶湯を受湯鍋に受け、この受湯鍋を前記作業
床開口部を通して他の一の転炉に運搬し、この転炉に装
入し、ここで脱炭精錬を行なう精錬方法を開発している
(特開平6−41624号公報)。
て、一の転炉等で溶銑の脱燐精錬を行ない直ちに出湯
し、これを他の転炉等で少なくとも脱燐精錬時間以内で
の時間内で脱炭精錬することが円滑な製鋼作業上必要で
ある。
る脱燐精錬の概要を図11に示す。上記溶銑の脱燐精錬
は低温(1250〜1400℃)で行われており、ま
た、溶銑の脱燐精錬のためにスラグのFeO(5〜10
%)を高くするため、スラグがフォーミングしており、
直ちに出湯すると、炉口からスラグが流出し、又は受湯
鍋に大量のスラグが流入するので、図に示す様な鎮静時
間が4分程度を要していた。そのため、脱燐精錬時間
は、例えば平均約36分であった。
炭精錬時間は種々の改良により平均29分、スラグコー
テイングをしない場合には27分である。従って、脱炭
精錬炉は少なくとも7分、最大9分遊び時間が発生し、
従ってその分製鋼能率が低下していた。この7分間の遊
び時間を短縮すると約20%の生産向上が得られる。ま
た、この遊び時間において脱炭精錬炉の炉内温度の低下
があり、煉瓦の損耗等も発生し、転炉寿命の低下ももた
らしていた。
せ、脱炭精錬炉の遊び時間を無くし、円滑な製鋼作業を
確保し、更に製鋼能率の向上を目的とする。上記脱燐精
錬において溶鋼のP含有量を粗鋼成分のP含有量(所謂
規格値、通常0.02wt%以下)以下に精錬し、脱炭
精錬においては実質的に脱燐精錬をせず、製鋼能率の向
上を目的とする。
究した結果、溶銑のSi含有量が低いほど脱燐精錬が進
行し、特にSiが0.3wt%以下の場合には、P含有
量を通常の粗鋼成分のP含有量(所謂規格値、通常0.
02wt%以下)まで精錬でき、脱炭精錬において実質
的に脱炭精錬のみを行うことにより達成できることを知
見し、下記の発明をするに至った。
特徴とする複数の転炉を使用する製鋼方法である。 (a)一の転炉において溶銑のSi含有量が0.3wt
%未満の溶銑を所定の時間内に脱燐精錬し、溶銑のP含
有量を粗鋼で要求されているP含有量(鋼の成分規格
値)以下に精錬し、(b)前記脱燐精錬された溶銑を他
の一以上の転炉に装入し、実質的に造滓材を装入せず前
記所定の時間内に主に脱炭精錬を行う。
銑のP含有量は粗鋼のP含有量(鋼の成分規格値)まで
精錬されているので、脱炭精錬においてはPを精錬する
ための焼石灰等の造滓材を装入する必要がなく、主に脱
炭精錬を行うので極めて簡素化でき、精錬時間も短縮で
きる。また、脱燐精錬するに際して、Si含有量が0.
3wt%以下の溶銑を使用しているので、スラグ発生量
が少なく、主にスラグの鎮静時間を無くすことができる
と共に、また、排滓時間が短縮でき、脱燐精錬時間を短
縮できるため、全体として製鋼能率を向上できる。
0.3wt%を超える場合には、予めSi含有量を0.
3wt%以下に予備精錬することを特徴とする複数の転
炉を使用する製鋼方法である。
0.3wt%以下であるが、高炉操業が不安定になると
0.3wt%を超えることがある。この場合には溶銑の
Si含有量を0.3wt%以下に予備精錬し、脱燐精錬
時間を可及的に短縮できる。
on)において図1に示すような脱燐精錬を行う。スク
ラップを装入後、高炉からの溶銑を装入し、酸素吹錬を
開始し、焼石灰、螢石、鉄鉱石等を装入しながら精錬を
行う。酸素吹錬が終了するとリンスを行い出湯する。
る溶銑のSi含有量の影響を図2から図7において説明
する。図2には脱燐精錬において装入又は添加したCa
O量と溶銑のSi含有量から計算で求められる塩基度
(CaOwt%/SiO2 wt%,図ではC/Sと表示
する)とスラグの分析から得られた塩基度との関係を示
す。この図から溶銑にSi含有量が高いほど計算塩基度
(C/S)と分析塩基度の解離が大きい、CaOが有効
に脱燐反応に作用していないことが判る。
のSi含有量とPの分配率(LP =(P)/[P])と
の関係を示す。Si含有量が低い程LP が高いことを示
す。即ち、恐らくSi含有量が低い程均一なスラグが生
成されているためと推定される。
に精錬する精錬時間と溶銑のSi含有量との関係を示
す。Si含有量が低い程精錬時間が短縮されることを示
す。更に、図5にはSi含有量が0.3wt%である場
合における脱燐精錬時間を具体的に示す。
後のP含有量との関係を示す。溶銑のSi含有量が低い
ほど脱燐精錬処理後のP含有量が低いことを示す。 更
に、図7は、溶銑のSi含有量は低いほど一日当たりの
脱燐精錬チャージ(チャージ/日)が高い、即ち生産性
が高くなることを示す。
装入され、図8に示すような脱炭精錬が行われ最終的に
予め定められた鋼にされる。この脱炭精錬は、主に鋼中
の炭素を酸素吹錬して目的とする炭素含有量とする精錬
である。原則としては焼石灰等の造滓材は装入せず、鉄
源となる鉄鉱石、スケール等を装入する。
中においてマンガン鉱石を装入して溶鋼のMn含有量を
高くし、高価なマンガン合金を節約する。但し、脱燐溶
銑のP含有量が粗鋼で要求されているP含有量(鋼の成
分規格値)以上の場合には、焼石灰等の造滓材を装入す
ることを排除するものではい。
炉の寿命を最大限とするため、脱燐溶銑を装入するに先
立ち予め軽焼ドロマイト及び/又は生ドロマイトを添加
することができる。そして、脱炭精錬中において十分ス
ラグに溶解し、MgO濃度を10wt%以上とする。こ
のようなスラグはスラグ自体がMgOを溶解度限まで含
有しているため、マグネシヤ(MgO)煉瓦からなる炉
体煉瓦の損耗を抑制し、炉体寿命を延長させる効果があ
る。
して炉内に残留したスラグを炉体内張り煉瓦に付着さ
せ、所謂スラグコーテイングを行う。このスラグコーテ
イングは炉体寿命の延長に大きく貢献し、脱燐精錬炉と
同程度の炉体寿命となる。従って、脱燐精錬時間と脱炭
精錬時間の時間的サイクルが同じとなるだけでなく、双
方の炉体寿命も同程度になり円滑な一貫した製鋼作業が
可能となる。
通り脱燐精錬は溶銑のSi含有量により変化する。そこ
で本発明においては溶銑のSi含有量は少なくとも0.
3wt%以下とする。可能なかぎり脱炭精錬時間の時間
差を少なくするためである。溶銑のSi含有量が、0.
2wt%以下であることはより望ましい。しかし、Si
含有量が0.05wt%未満では脱燐精錬をするための
スラグが生成されないので望ましくない。
用するが、定常的な高炉操業ではSiが0.3wt%以
下であるので問題はない。しかし、非定常的な操業(高
炉休風後)ではSiが0.3wt%を超えることがある
が、このような場合には溶銑鍋等で予め脱珪素を行う。
使用することができる。即ち、前述の通り、本発明は少
なくとも略同一容量の2基の転炉において実施すること
ができる。しかし、例えば340tonの脱燐精錬炉1
基と、170ton容量の脱炭精錬炉を2基組み合わせ
てもよい。脱炭精錬は粗鋼のC成分により異なる精錬を
することが望ましい。そこで、脱炭精錬炉を1基或いは
2基以上備えても本発明は実施できる。
き転炉のみならず、転炉型の精錬容器、例えば上底吹き
転炉、底吹き転炉を含む概念である。これらの各種の転
炉において実施できることはいうまでもない。
wt%以下)、中炭素鋼(C:0.1〜0.2wt
%)、高炭素鋼(C:0.3wt%以上)をそれぞれ5
0チャージ製造し、上記脱燐精錬、及び脱炭精錬におけ
る成分組成の変化を図9及び図10に示す。溶銑のSi
含有量が低い程脱燐精錬後のP含有量が低く、通常の粗
鋼で要求されるP含有量(規格値)まで低下しており、
脱炭精錬においては全く脱燐を行う必要がなかった。ま
た、既に述べたように脱燐精錬時間は平均32.2分、
脱炭精錬時間は平均29分であり、脱燐精錬した溶銑は
円滑に脱炭精錬することができ、鋼を連続的に生産でき
た。
wt%以下の溶銑を脱燐精錬し、この溶銑を脱炭精錬す
ることにより、従来、脱炭精錬時間より長かった脱燐精
錬を短縮でき、スラグコーテイング時間を含めた脱炭精
錬時間により近づくことができる。従って全体として所
謂製鋼時間を約20%短縮することができる。
が無くなったので、安価なMn鉱石を最大限使用するこ
とができ、高価なマンガン合金を節約できるので、従来
よりもより経済的に鋼の製造ができる。更に、脱炭精錬
炉の炉体寿命が脱燐精錬炉と同程度になるため、同時に
炉体修理を行うことができ円滑な製鋼作業ができる。こ
れらの効果は極めて大きく、生産能率の向上は甚大であ
り、産業上の効果は著しい。
ある。
関係を示す図である。
関係を示す図である。
の関係を示す図である。
間を示す図である。
関係を示す図である。
数を示す図である。
%以下)、中炭素鋼(C:0.1〜0.2wt%)、高
炭素鋼のそれぞれに適用した場合における成分組成の変
化を示す図である。
t%以下)、中炭素鋼(C:0.1〜0.2wt%)、
高炭素鋼のそれぞれに適用した場合における成分組成の
変化を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 下記の工程を備えたことを特徴とする複
数の転炉を使用する製鋼方法。 (a)一の転炉において、溶銑のSi(珪素)含有量が
0.3wt%以下の溶銑に、造滓材 を添加し、酸素ガ
スで吹錬し、リンスを行い、該溶銑を脱燐精錬して溶銑
の燐(P)含有 量を粗鋼で要求されているP含有量
(鋼の成分規格値)以下に精錬し、 (b)他の一以上の転炉に、軽焼ドロマイト及び/又は
生ドロマイトを装入し、前記脱燐精 錬された溶銑を装
入し、焼石灰を含む造滓材を添加せず、酸素ガスで吹錬
して、脱炭精錬 を行う。 - 【請求項2】 前記脱炭精練において、精錬中に鉄鉱石
又はスケールを含む鉄源及び/又はマンガン鉱石を装入
することを特徴とする請求項1記載の複数の転炉を使用
する製鋼方法。 - 【請求項3】 前記溶銑のSi含有量が0.3wt%を
超える場合には、予めSi含有量を0.3wt%以下に
予備精錬することを特徴とする請求項1又は2記載の複
数の転炉を使用する製鋼方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06739197A JP3486887B2 (ja) | 1997-03-05 | 1997-03-05 | 複数の転炉を使用する製鋼方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06739197A JP3486887B2 (ja) | 1997-03-05 | 1997-03-05 | 複数の転炉を使用する製鋼方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10245617A JPH10245617A (ja) | 1998-09-14 |
JP3486887B2 true JP3486887B2 (ja) | 2004-01-13 |
Family
ID=13343644
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP06739197A Expired - Fee Related JP3486887B2 (ja) | 1997-03-05 | 1997-03-05 | 複数の転炉を使用する製鋼方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3486887B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4718722B2 (ja) * | 2001-06-06 | 2011-07-06 | 新日本製鐵株式会社 | 転炉型溶銑予備処理方法 |
JP5870771B2 (ja) * | 2011-05-23 | 2016-03-01 | Jfeスチール株式会社 | 溶鋼の製造方法 |
-
1997
- 1997-03-05 JP JP06739197A patent/JP3486887B2/ja not_active Expired - Fee Related
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