JP3764543B2 - 含鉄冷材の溶解方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、含鉄冷材の溶解方法に関し、とくに溶解炉耐火物の損耗を軽減するための溶解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高炉や電炉を用いずに溶融鉄を製造する技術の開発が多数試みられており、その一つに炭材の燃焼による含鉄冷材の溶解方法がある。これは転炉型の溶解炉で石炭、コークス等の炭材の燃焼エネルギーにより、スクラップ、海綿鉄、ペレット、固形銑鉄、鉄鉱石等の含鉄冷材を溶解して、高炭素の溶融鉄を製造するものである。
【0003】
このような含鉄冷材の溶解方法の例として、特開平1−283312号公報に開示されているように、上吹きランスと三重管の底吹き羽口を有する転炉を用い、一定量以上の高炭素の溶融鉄(以下、種湯という)の存在する転炉内に含鉄冷材を供給し、三重管羽口から粉状炭材、酸素、冷却用ガス等を吹き込みつつ、上吹きランスから酸素を吹き付けて、含鉄冷材の溶解を行う方法がある。
【0004】
この方法は、安価な炭材例えば微粉炭を飛散ロスなく利用しうるという利点を有するが、炉底から多量の炭材と各種ガスを吹き込むため、炉底の耐火物が損耗し易いという問題がある。
【0005】
また、炭材の燃焼エネルギーを利用した溶解方法において、炭材原単位、酸素原単位を低減させるためには、二次燃焼(CO→CO2の燃焼)の比率を高めることが不可欠とされており、例えば上記公報においては、底吹き方法の改善により、二次燃焼率(CO2/(CO+CO2))を30%程度まで高め得ることが示されている。
【0006】
しかし、二次燃焼は炉内で発生したCOガスが炉内上部空間で酸素により燃焼する反応であり、その発熱量が大きいため排ガス温度が非常な高温になり、炉壁耐火物の溶損が激しくなるという問題がある。
【0007】
二次燃焼に伴う耐火物溶損の問題は、溶融還元法や転炉でのスクラップ多量溶解法にも共通する問題であり、従来から種々の対策が提案されてきた。例えば、特開昭61−67708号公報には、鉄合金の精錬方法において、上吹きランスの酸素含有ガス供給系とは独立した系から各種の冷媒を炉壁に向かって噴射し、炉壁を冷却することによって二次燃焼による耐火物の溶損を軽減しようとする方法が開示されている。
【0008】
しかし、この方法では、設備・操業が複雑になると共に、冷媒のコストやこれによる熱損失が問題となる。また、炉壁耐火物を背面から冷却して溶損軽減を図ろうとする試み(例えば、特開平5−25531号公報)もあるが、安全性の問題や熱損失が著しく大きくなるという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の対象である含鉄冷材の溶解方法は、上吹きランスと底吹き羽口を有する転炉を用い、種湯の存在する転炉内に含鉄冷材を供給し、底吹き羽口から炭材を吹き込むとともに、上吹きランス又は上吹きランスと底吹き羽口から酸素を供給して含鉄冷材を溶解し溶融鉄を得るものであるが、浴の強撹拌に伴う炉底耐火物の損耗と二次燃焼率が高いことによる炉壁耐火物の損耗を如何に軽減するかが課題となる。
【0010】
特にこのような溶解方法では、単位生産量当りの炉内容積が比較的大きいことから、耐火物コストの生産コストに与える影響が大きく、耐火物の損耗を軽減することが重要になる。
【0011】
一方、先に述べたような耐火物を冷却する方法は、設備・操業が複雑になるとともに熱損失が大きく経済的でない。
そこで本発明は、耐火物を冷却する方法によらず、溶解炉の炉底及び炉壁耐火物の損耗を大幅に軽減しうる含鉄冷材の溶解方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の発明者らは、前項に記載の含鉄冷材の溶解方法において、溶解終了後炉内の溶融鉄の一部を排出するに際し、炉内のスラグを耐火物表面に付着させることにより耐火物損耗の軽減を図ることを意図して、種々の検討を行った。
【0013】
炉内のスラグを耐火物表面に付着させる方法いわゆるスラグコーティングは、通常の転炉製鋼法においても試みられている。しかし、含鉄冷材の溶解方法では炉内に常に種湯が存在し、出湯時の溶融鉄温度も転炉の出鋼温度より200〜300℃低いため、転炉のスラグコーティングに関する知識は適用できない。
【0014】
本発明者らは実験的検討を行い、溶解終了時のスラグ組成の制御と上吹きランスからの不活性ガスの吹き付け等の手段により、耐火物表面に炉内のスラグを付着させ得ることを見出した。
【0015】
本発明はこの知見に基づきなされたもので、その要旨は、
(1)上吹きランスと底吹き羽口を有する転炉を用い、高炭素の溶融鉄の存在する上記転炉内に含鉄冷材を供給し、底吹き羽口から前記溶融鉄中に炭材を吹き込むと共に、上吹きランス又は上吹きランスと底吹き羽口から酸素を供給して含鉄冷材の溶解を行うに際して、溶解過程における溶融鉄の温度を1450℃以下に維持し、溶解終了時点での炉内のスラグの(CaO+MgO)/SiO2重量比が1.5〜2.1の範囲になるように副原料使用量を調節するとともに、溶解終了後炉内の溶融鉄の一部を排出するに際し、転炉の炉体を出湯側及び排滓側に傾転させて炉内のスラグを耐火物表面に付着させる処理を行うことを特徴とする含鉄冷材の溶解方法である。
【0016】
(2)転炉の炉体を傾転させて炉内のスラグを耐火物表面に付着させる処理を行った後、炉体を直立させ上吹きランスから不活性ガスを炉内のスラグ表面に吹き付けて、炉内のスラグを炉壁耐火物表面に付着させる処理を行うことを特徴とする前項(1)記載の含鉄冷材の溶解方法である。
【0017】
(3)また、転炉の炉体を傾転させて炉内のスラグを耐火物表面に付着させる処理を行った後、炉体を直立させ上吹きランスから不活性ガスとともに酸化カルシウム、酸化マグネシウム、クロム鉱石及び炭酸カルシウムの内の一種類以上の粉体を炉内のスラグ表面に吹き付けて、炉内のスラグとともに前記粉体を炉壁耐火物表面に付着させる処理を行うことを特徴とする前項(1)記載の含鉄冷材の溶解方法である。
【0018】
(4)さらに、転炉の炉体を傾転させて炉内のスラグを耐火物表面に付着させる処理を行った後、炉体を直立させ上吹きランスから不活性ガスを炉内のスラグ表面に吹き付けて炉内のスラグを炉壁耐火物表面に付着させるとともに、別のランスを炉内に挿入して不活性ガスとともに酸化カルシウム、酸化マグネシウム、クロム鉱石及び炭酸マグネシウムの内の一種類以上の粉体を炉壁耐火物に向けて吹き付けて、炉内のスラグとともに前記粉体を炉壁耐火物表面に付着させる処理を行うことを特徴とする前項(1)記載の含鉄冷材の溶解方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
転炉製鋼法における通常のスラグコーティングでは、出鋼後炉内にスラグのみが存在する状態で炉を直立させて、炉底耐火物表面にスラグを付着させるが、本発明の対象である含鉄冷材の溶解方法においては、炉内に常に種湯が存在するため、このような方法で炉底耐火物にスラグコーティングすることができない。
【0020】
しかし、本発明の発明者らは、スラグの流動性を適度に調節することにより、種湯が存在する状態でも炉底耐火物へのスラグコーティングが可能なことを見出した。すなわち、含鉄冷材の溶解が終了して、出湯・出滓のため炉を水平近くまで傾転させる際に、炉内のスラグ層の側端が炉底耐火物の表面を移動することになるが、スラグの流動性と粘着性が適正な範囲内であれば、炉の傾転時に炉底耐火物のほぼ全表面にスラグを付着させることができる。
【0021】
また、本発明者らは、このようにしてスラグコーティングを行うための炉内のスラグの流動性・粘着性を制御する指標として、スラグの(CaO+MgO)/SiO2重量比によるのが適切なこと、及び溶解終了時にこの値を1.5〜2.1の範囲に調節することによって、炉底及び炉壁耐火物表面へのスラグコーティングが可能なことを見出した。
【0022】
以下、この指標が適切な理由及びこの値を上記の範囲に制限する理由について説明する。
含鉄冷材の溶解方法における炉内のスラグの主成分は、スクラップ、固形銑鉄等の冷材中のSiが酸化されて生成するSiO2と、造滓材として投入される生石灰、ドロマイト、マグネサイト等のCaO、MgOである。この他に、少量のAl2O3、FeO、MnO等が含まれるが、これらはいずれも10%以下である。
【0023】
なお溶解炉耐火物として、通常は耐スポーリング性の良いMgO煉瓦、MgO−C煉瓦などが用いられるので、スラグ中のMgO濃度がほぼ飽和になるようにMgO源を添加する。したがって、スラグ中のMgO濃度は通常10〜20%となり、またCaO/MgO重量比は通常2〜4程度に調節される。
【0024】
このようなCaO−MgO−SiO2三元系で、CaO/MgOが2〜4のスラグの融点は、その状態図からも推測できるように、おおむねB=(CaO+MgO)/SiO2の値によって定まる。純粋な三元系の場合、B=0.7〜1.0では融点は1350℃以下、B=1.0〜1.5で融点は1350〜1450℃位で、Bが1.5以上になると融点は急激に増大する。
【0025】
実際の炉内のスラグは上記三成分の他に少量のAl2O3、FeO、MnO等の融点を下げる成分を含むため、B=1.5〜2.1の範囲で、融点が1350〜1500℃程度になる。含鉄冷材の溶解における出湯温度、したがって溶解終了時のスラグ温度は通常1400〜1450℃に保たれるから、Bが1.5〜2.1のスラグは、ほぼ融点付近±50℃位の温度範囲に保たれ、半ば流動性を有しつつも耐火物への付着性が良好となる。
【0026】
本発明において、溶解終了時の炉内のスラグのB((CaO+MgO)/SiO2)の値を1.5以上とする理由は、この値が1.5未満ではスラグの流動性が良すぎて耐火物表面に付着しないためである。またBの値を2.1以下とする理由は、これを超えるとスラグの流動性が程んどなくなり、耐火物表面への付着性が無くなるためである。
【0027】
また本発明において、溶解過程における溶融鉄の温度を1450℃以下に維持する理由は、これを超えると炉底耐火物の損耗が著しくなると共に、炉体を傾転させて耐火物表面に付着させたスラグが溶出剥離し易くなるためである。
【0028】
なお、出湯時に転炉の炉体を出湯側及び排滓側に傾転させ上記組成のスラグを耐火物表面に付着させるに当って、炉体の傾転は通常の転炉の作業標準に基いて行ってもよい。しかし、スラグの付着量を多くするためには、傾転速度を調節し又は/及び複数回前後に傾転させるような操作を行うことが好ましい。
【0029】
このように溶解終了時のスラグ組成を制御して炉体の傾転を適切に行うことにより、炉底に30〜50mm程度の厚みのコーティングスラグ層が形成されることが確かめられた。
【0030】
請求項1記載の本発明により、炉底耐火物のほぼ全表面にスラグコーティングすることが可能となった。また同時に出湯側、出滓側の炉壁耐火物の一部にスラグを付着させることも可能である。しかし、両トラニオン側の炉壁にスラグを付着させることは困難で、高二次燃焼溶解における炉壁耐火物の損耗防止という観点からは、これだけでは十分でない。
【0031】
そこで、請求項2記載の本発明は、上記のように転炉の炉体を傾転させて炉内のスラグを炉底及び炉壁耐火物に付着させる処理を行った後、炉体を直立させ上吹きランスより不活性ガスを炉内のスラグ表面に吹き付けて、炉内のスラグを炉壁耐火物表面に付着させる処理を行うことを特徴とする。
【0032】
不活性ガスとして例えばN2ガスを用い、その流量はスラグのスプラッシュが炉壁上部まで達するに十分な流量、例えば上吹き酸素の流量と同程度にする。不活性ガス吹き付けの条件(流量やランス高さ)は、炉壁のどの高さまでスラグを付着させるかを考慮して適宜選定すればよい。
【0033】
この時の炉内のスラグの(CaO+MgO)/SiO2の値が1.5〜2.1の範囲内であれば、スラグは適度な流動性と粘着性を有し、後の実施例に示すように、数分間の吹き付けで数十mmの厚みの付着スラグ層を形成させることができる。この付着したスラグは、多くの場合次回の溶解終了時点でも残存していることが目視観測で確かめられており、高二次燃焼操業を行った場合の炉壁耐火物損耗量の低減に顕著な効果がある。
【0034】
上記のように上吹きランスより不活性ガスを吹き付けて、炉壁耐火物に炉内のスラグを付着させる処理を行うに際して、付着したスラグ層の耐用性を増すために、上吹きランスより不活性ガスとともに酸化カルシウム、酸化マグネシウム、クロム鉱石及び炭酸カルシウムの内の1種類以上の粉体を炉内のスラグ表面に吹き付けて、スラグの飛沫とともに前記粉体を炉壁耐火物表面に付着させることが望ましい。
【0035】
また、上吹きランスより不活性ガスを炉内のスラグ表面に吹き付けて、炉内のスラグを炉壁耐火物表面に付着させる処理を行うに際し、別のランスを炉内に挿入して不活性ガスとともに酸化カルシウム、酸化マグネシウム、クロム鉱石及び炭酸カルシウムの内の1種類以上の粉体を炉壁耐火物に向けて吹き付けて、炉内のスラグとともに前記粉体を炉壁耐火物表面に付着させることが、さらに望ましい。
【0036】
このように粉体を同時に吹き付ける効果は、耐火物の溶射補修の機構と類似しており、粉体自身が耐火物表面に到達した際に、付随して飛散したスラグ粒滴が粉体と耐火物あるいは粉体同士を接着させる役割をする。これにより、付着物層の厚みが増すと共にその融点が高くなって、付着物層の耐用性が増す。後の実施例に示すように、一回粉体吹き付けを行うとその後3〜4回の溶解操業中付着物層が残存することが確められた。
【0037】
なお、本発明に用いられる粉体は、前記の諸物質の一種類以上を主成分とするものであればよく、この他に少量の不純物や副原料成分を含んでいてもよい。
【0038】
表1に、本発明の方法(本法)と従来法で炉壁耐火物の損耗速度を比較した結果の例を示す。本法1は炉内のスラグの組成を制御し炉体の傾転のみでスラグを付着させた場合、本法2はこれに加えて上吹きランスから不活性ガスを吹き付けて、スラグのスプラッシュを付着させた場合、本法3は上吹きランスから不活性ガスと前記粉体の同時吹き付けを行った場合、本法4は本法2に加えて別のランスで前記粉体を炉壁耐火物に向けて吹き付けた場合である。
【0039】
従来法は本法1と同じ操作で、炉内のスラグの(CaO+MgO)/SiO2の値が1.5〜2.1の範囲外であった場合である。
【0040】
【表1】
【0041】
炉壁耐火物の損耗速度は、スラグの組成制御を行うことによって1/2以下になった。また、本法1から本法4の順に損耗速度が小さくなっており、本法3及び4では従来法の1/4以下の損耗速度であった。
【0042】
本法3に比べ本法4では、耐火物損耗速度が減少することと炉内のスラグ組成の変化が少ないことが特徴としてあげられる。これは上吹きランスから炉内のスラグ表面に粉体を吹き付ける本法3では、本法4に比べ炉内のスラグ中に残留する粉体が多く、炉壁に付着する粉体の割合が少ないことによる。
【0043】
したがって、設備改造をさらに必要とするが、本法4のように上吹きランスと別系統から粉体を炉壁に吹き付ける方が耐火物損耗の抑制に関しては好ましい。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
上吹きランスと6本の三重管羽口を有する転炉を用い、前ヒートの種湯約100tが存在する炉内に型銑60tとスクラップ60tを装入して溶解し、約120tの溶融鉄を製造した。この際6本の三重管羽口の内管よりN2ガスをキャリアーガスとして無煙炭を吹込み、中管から酸素ガス、外管から冷却用のプロパンガスを吹込んだ。主な操業条件は、
であった。
【0045】
実施例 1
上記の操業条件で含鉄冷材の溶解を行うに際し、副原料としての生石灰及軽焼マグネサイトの投入量を調節して、溶解終了時点での炉内のスラグの(CaO+MgO)/SiO2を1.25〜2.6の範囲で5段階に変え、5ヒートの溶解操業を行った。
【0046】
それぞれのヒートで溶解終了後炉内の溶融鉄の一部を排出するに際し、炉体を出湯側及び排滓側に傾転させて、炉底及び炉壁耐火物にスラグを付着させる処理を行った。表2に溶解終了時のスラグ組成と耐火物への付着状況を調査した結果を示す。
【0047】
【表2】
【0048】
実施例である試験番号1〜3は(CaO+MgO)/SiO2が1.5〜2.1の範囲内の場合で、炉底及び炉腹部の耐火物にスラグが付着している状況が目視観察された。
【0049】
一方比較例である試験番号4ではスラグの流動性が良く、耐火物の目地が見え炉底及び炉腹へのスラグの付着は認められなかった。また、同じく比較例である試験番号5では炉底及び炉腹へのスラグの付着がなく、スラグが固まっている様子が観察された。
【0050】
実施例 2
上記実施例1の試験番号3の溶解操業で炉体を傾転させた後、スラグ組成はCaO=45%、MgO=15%、SiO2=30%で、((CaO+MgO)/SiO2=2.0)であり、炉内のスラグ量は約10t、種湯の量は約100tであった。この条件で、炉体を直立させ上吹きランスから窒素ガスを30000 Nm3/h、ランス−スラグ面間距離3mで、炉内のスラグ表面に2分間吹き付けた。
【0051】
吹き付け後、炉内頂部の耐火物の高さまで、20mm程度の厚みにスラグが付着している様子を観察できた。
この付着スラグは次回の溶解操業終了時点では残存しており、さらに溶解をもう一度実施すると、スラグは消失することを確認した。つまり溶解2回分の耐用性があることが分かった。
【0052】
実施例 3
実施例2と同じ条件で溶解操業と炉体の傾転を行った後炉体を直立させ、炉内のスラグ組成、スラグ量、種湯量が上記実施例2とほぼ同じ条件下で、上吹きランスから窒素ガス30000Nm3/hと100メッシュアンダーの石灰粉を300kg/min の速度で、ランス−スラグ面間距離3mで、炉内のスラグ表面に2分間吹き付けた。
【0053】
吹き付け後、炉内頂部の耐火物の高さまで、20mm程度の厚みにスラグが付着している様子を観察できた。
この付着スラグは溶解操業3回分の耐用性があることを確認した。
【0054】
実施例 4
実施例2と同じ条件で溶解操業と炉体の傾転を行った後炉体を直立させ、炉内のスラグ組成、スラグ量、種湯量も実施例2とほぼ同じ条件下で、上吹きランスから窒素ガス30000 Nm3/hと100メッシュアンダーの酸化マグネシウム粉を300kg/min の速度で、ランス−スラグ面間距離3mで、炉内のスラグ表面に2分間吹き付けた。
【0055】
吹き付け後、炉内頂部の耐火物の高さまで、20mm程度の厚みにスラグが付着している様子を観察できた。
この付着スラグは溶解操業4回分の耐用性があることを確認した。
【0056】
【発明の効果】
本発明により、溶解炉内に一定量以上の種湯の存在する含鉄冷材の溶解方法のおいても、簡便な指標でスラグ組成を制御して、炉底及び炉壁耐火物にスラグコーティグを行うことが可能になり、これにより、炉底及び炉壁耐火物の損耗速度を大幅に低減することが可能になった。
【0057】
本発明の方法は、従来提案されている耐火物の冷却を行う方法と較べて、作業コストや熱損失の増加が小さくかつ簡便に実施できるため、その工業的意義は大きい。
Claims (4)
- 上吹きランスと底吹き羽口を有する転炉を用い、高炭素の溶融鉄の存在する上記転炉内に含鉄冷材を供給し、底吹き羽口から前記溶融鉄中に炭材を吹き込むと共に、上吹きランス又は上吹きランスと底吹き羽口から酸素を供給して含鉄冷材の溶解を行うに際して、溶解過程における溶融鉄の温度を1450℃以下に維持し、溶解終了時点での炉内のスラグの(CaO+MgO)/SiO2重量比が1.5〜2.1の範囲になるように副原料使用量を調節するとともに、溶解終了後炉内の溶融鉄の一部を排出するに際し、転炉の炉体を出湯側及び排滓側に傾転させて炉内のスラグを耐火物表面に付着させる処理を行うことを特徴とする含鉄冷材の溶解方法。
- 転炉の炉体を傾転させて炉内のスラグを耐火物表面に付着させる処理を行った後、炉体を直立させ上吹きランスから不活性ガスを炉内のスラグ表面に吹き付けて、炉内のスラグを炉壁耐火物表面に付着させる処理を行うことを特徴とする請求項1記載の含鉄冷材の溶解方法。
- 転炉の炉体を傾転させて炉内のスラグを耐火物表面に付着させる処理を行った後、炉体を直立させ上吹きランスから不活性ガスとともに酸化カルシウム、酸化マグネシウム、クロム鉱石及び炭酸カルシウムの内の一種類以上の粉体を炉内のスラグ表面に吹き付けて、炉内のスラグとともに前記粉体を炉壁耐火物表面に付着させる処理を行うことを特徴とする請求項1記載の含鉄冷材の溶解方法。
- 転炉の炉体を傾転させて炉内のスラグを耐火物表面に付着させる処理を行った後、炉体を直立させ上吹きランスから不活性ガスを炉内のスラグ表面に吹き付けて炉内のスラグを炉壁耐火物表面に付着させるとともに、別のランスを炉内に挿入して不活性ガスとともに酸化カルシウム、酸化マグネシウム、クロム鉱石及び炭酸マグネシウムの内の一種類以上の粉体を炉壁耐火物に向けて吹き付けて、炉内のスラグとともに前記粉体を炉壁耐火物表面に付着させる処理を行うことを特徴とする請求項1記載の含鉄冷材の溶解方法。
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