JP2783894B2 - 鉄浴式の溶融還元法 - Google Patents

鉄浴式の溶融還元法

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JP2783894B2 JP2076828A JP7682890A JP2783894B2 JP 2783894 B2 JP2783894 B2 JP 2783894B2 JP 2076828 A JP2076828 A JP 2076828A JP 7682890 A JP7682890 A JP 7682890A JP 2783894 B2 JP2783894 B2 JP 2783894B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、金属酸化物の溶融還元法に関し、特に、鉄
および合金鉄浴の溶融還元法に関わるものである。
(従来の技術) 鉄浴式の溶融還元法(以下、溶融還元と言う)は、炉
内にあらかじめ、溶銑、スラグ炭材を保持させておき、
この中に鉄鉱石、石炭、石灰等の原料を供給するととも
に、酸素ガスを吹込み、石炭を燃焼させて、この燃焼熱
により鉄鉱石を還元させ、溶銑を得るものである。
この溶融還元の操業においては生産性を上げるため
に、還元反応を良好に進行させる必要がある。このため
に、還元反応に必要な熱を多量に供給しなければなら
ず、炉内でのガスの燃焼すなわち二次燃焼率(炉内ガス
の(H2H+CO2)/(H2+H2O+CO+CO2)×100%))を
高め、酸素量・石炭量当たりの発熱量を増加させる操業
方法が取られる。通常、二次燃焼率は30〜70%に設定さ
れており、この操業形態によって、生産性が増大し、酸
素、石炭原単位は向上する。しかし、発生熱量が多いこ
とから、ガス温度が上昇し、耐火物の溶損を招く結果と
なる。
現在使用されている溶融還元炉用の耐火物は、MgO−C
r2O3系やMGO−C系、Al2O3系等が使用されているが、現
状では次のような問題点がある。
炉下部(鉄浴やスラグ浴に浸漬している部分)では、
操業温度は1500℃程度と比較的低温ではあるが、底吹ガ
スによる撹拌力が大きいことから損耗速度は1〜4mm/h
程度である。炉上部(ガス燃焼部)では、二次燃焼率が
高いことからガス温度が高く1700〜2000℃である。また
スラグスプラッシュの飛散によりスラグの侵食も受け
る。
したがって損耗速度も大きく、現状では3〜10mmであ
る。MgO−C系レンガの溶出防止のためにスラグ中MgO濃
度を飽和濃度に近づける必要がある。高MgO濃度にする
ためには、一般的に操業中にドロマイトを添加させるこ
とからコストアップとなり、高MgOスラグの吸湿・膨張
により資源としての再利用が困難である。
溶融還元法が現状のコークス−高炉法とコスト的に競
争できるレベルの耐火物損耗速度としての目標値は、0.
5〜1mm/hであると考えられる。
このような耐火物の損耗の最大の原因は、熱による溶
損であり、溶損速度を抑制する方法としては操業温度を
低下させることが考えられる。特開昭62−230908号公報
には、操業中の脱燐を進行させるために、溶銑中のC>
3.5%とし、出銑温度を液相線より200℃以上高く、かつ
1450℃以下に保持して操業する低温操業の技術が開示さ
れている。
また、転炉操業において耐火物の溶損を防止する方法
として、スラグコーティング形成用羽口を任意数、転炉
炉壁易溶損部に装着し、羽口から制御した冷却ガスを吹
込めるようにすることにより、転炉耐火物の大幅な寿命
延長を図る技術が特開昭60−135512号公報に開示されて
いる。
また効率的な溶融還元の操業方法として、安定な操業
を行うための操業条件として、底吹ガスによる撹拌強
度、上吹き酸素の供給方法、スラグ量についての研究の
結果として、底吹ガスによる撹拌強度を1〜6kW/t、上
吹酸素による凹み深さLo−L<35(α・q/P)1/2、スラ
グ量を1500kg/m2以上とすることを発見し、発明者らは
先に特願平1−280459号(特開平3−140405号公報)と
して出願した。
たゞし α:底吹ガスの容積変化率(−) q:羽口1本当りのガス流量(Nm3/h) P:炉内圧力(atm) L:上吹酸素のスラグに対する凹み深さ(m) L0:スラグ厚み(m) (発明が解決しようとする課題) 通常の溶融還元操業においては、還元反応速度を高く
確保するために、1500℃程度で行われている。1500℃以
下で操業した場合、前述のように脱燐に関しては効果的
ではあるが、スラグ粘性が増加してスラグの撹拌が不良
になり、石炭の燃焼の伝達が悪化する。また、還元反応
速度が低下することにより、スラグ中の酸化鉄濃度が増
加し、スラグの異常フォーミングが発生し操業が不安定
になるだけでなく、スラグの排出時にスラグ中に含有さ
れる酸化鉄のロスが増大して鉄歩留が低下する。
また、スラグコーティング層の形成のための羽口を任
意数設けることは、二次燃焼率が低く、高温ガスにさら
されている時間が短かい転炉においては、耐火物損耗抑
制に有効であるが、溶融還元炉においては、上部空間は
非常な高温に曝されるだけでなく長時間の操業を行うた
め、出銑、排滓時に形成されたスラグコーティング層も
わずかの時間で溶融してしまい、耐火物表面が露出し、
あまり効果的ではなかった。
安定な操業条件として提案した技術についても、操業
を安定的に行うため現状の1500℃程度の操業温度での反
応速度の向上、ダスト発生量の抑制を前提にしたもので
あり、耐火物、操業温度をも含めた範囲での全体として
の最適操業条件とはなっていなかった。
このように、操業条件の個々については、最適と考え
られるような技術についての多くの開発が行われている
が、これらは、問題となっている課題の一面だけに注目
した解決策でしかなく、プロセス全体としての問題解決
とはなっていない。
本発明は、このような一面的な最適条件でなく、プロ
セス全体としての最適条件を提案するためになされたも
のであり、耐火物の損耗を抑制するための低温操業を行
うにあたり、高生産性を確保しつつ、従来技術では困難
であった低温での安定操業を可能にするための技術を提
案するものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、溶融還元における前述した課題を解決する
ために、実操業に適用可能な大形の試験炉において、種
々の研究を重ねた結果発明されたものであって、鉄皮の
内側に耐火壁を有する溶融炉に、鉄鉱石または予備還元
鉱石、炭素質物質および副材等を投入し、炉の上方から
スラグに向けて酸素を吹込む鉄浴式の溶融還元法におい
て、溶融炉上部の前記耐火壁を冷却構造体で構成すると
ともに、スラグ組成がCaO/SiO2:1.1〜1.4、Al2O3:15〜2
5wt%、MgO<13wt%となるように炉内における鉱石中脈
石分および炭素質物質中灰分に対する副材の配合比率を
調整しつつ、溶銑温度を1420℃以下とし、かつ鉄浴上の
スラグを鉄浴単位面積(m2)当たり2000kg以上として操
業することを特徴とするものである。
(作用) 以下、図面を用いて、本発明について詳細に説明す
る。
第1図は、本発明の実施による操業の一断面を示す図
である。
1は、炉体の耐火レンガであり、MgO,Al2O3,Cr2O3,炭
素等の耐火性の強い材質からなる。2は、底吹羽口であ
り、鉄浴およびスラグ浴を撹拌することを目的として、
ガスを吹込む。撹拌が主目的であることから、ガス種は
特に限定されるものではなく、通常は窒素、アルゴン、
炭酸ガス、酸素を用いる。5は、底吹ガス配管である。
4は、レンガ冷却部であり、レンガの外面は鉄皮を通
じて、冷却水により冷却するとともに、レンガ内には貫
通パイプを埋め込み冷却ガスを流してレンガを冷却す
る。ガスは冷却を目的とするものであれば、特に制限は
ないが、通常は、窒素、炭酸ガス、溶融還元炉からの排
ガス等を用いる。また、冷却ガスに水が混在する気水で
もよい。この部分のレンガは冷却を効率的に行うため、
例えば、Al2O3−CやMgO−Cのような熱伝導率の高いも
のを使用することが望ましい。
3は、金属製の冷却盤であり、内面を耐火物でコーテ
ィングすることもある。金属表面が溶融しないだけの冷
却水を流す。冷却盤は、通常は、銅もしくは、銑鉄、鋼
鉄を用いるが、特に熱負荷の大きい部分には、チタン製
のものも使用する場合がある。
冷却構造部4および3は、主としてスラグが被る炉体
部よりも上部に設置することが普通であり、レンガ冷却
部4と冷却盤3は、各々単独に設置されることもある
が、第1図には、両者を併せて設置した例を示した。ま
た、場合によっては、冷却盤3はスラグ上面よりも下に
設置することもある。
6は、原料の供給用のベルトコンベアであり、7は、
原料の投入用のシュートである。第1図には、原料を上
方から供給する例を示したが、粉状の原料をスラグに吹
付けたり、鉄浴もしくはスラグ浴中に吹込む方法もあ
る。
8は、上吹の酸素ランスであり、二次燃焼を促進する
ために、通常はノズルの数が4〜20と複数のものを用い
る。
9は、排ガス回収用のガスダクトであり、通常は耐熱
のため、水冷されるか、耐火物のライニングを施す。ま
た、水冷の場合は排ガスの顕熱を蒸気等で回収すること
もある。
10は、レンガ冷却用のガス配管であり、11はレンガ冷
却および冷却盤冷却用の冷却水配管である。
12は、鉄浴であり、鉄は多量に炭素を含み、通常は2
%から、炭素飽和の状態にある。13はスラグ浴であり、
鉄浴の撹拌用ガス、酸化鉄還元の際に生ずる一酸化炭素
ガスが通過することにより泡立っており、静止状態の1.
5〜3倍に膨れている。
まず、本発明の主要な特徴の一つである低温操業につ
いて説明する。
鉄浴部の温度を低温に維持した状態で操業することに
より次に示すような効果が維持できる。
溶銑、スラグの温度が低いため、溶銑やスラグに接し
ている部分の耐火物の損耗速度が低下する。
溶銑顕熱、スラグ顕熱および排ガス顕熱が減少するた
め、炉内で発生した熱が有効に還元に使用されるととも
に、排ガス顕熱として系外へ持ち去られる熱量が減少し
熱収支が改善される。この結果として石炭、酸素原単位
が低下でき、生産性も向上する。
排ガス温度が低下することから、排ガス回収装置の熱
負荷が減少して、必要冷却水量が低減できるとともに、
冷却水配管、排ガス回収装置の寿命が延長する。
溶銑およびスラグの温度が低下することにより、熱力
学的にP,Mnのスラグ相への分配比が高くなり、溶銑中の
不純物を除去しやすくなる。このため、高純度鋼の製造
が容易になり、脱P,脱Mnのための精錬処理費用が低減で
きる。
溶融還元において発生するスラグを資源として再利用
する場合、高炉スラグと同様にセメント用原料や路盤材
としての利用が考えられる。この場合には、スラグ中Mg
O濃度が高いと固化時にMgO相を析出し、空気中の水分の
吸湿により膨張するため、利用するためのMgO濃度は13
%が上限であるとされている。内張りにMgO系レンガを
使用する場合、レンガの溶出を抑えるため、スラグにMg
Oを付加させる操業が一般に行われている。低温操業の
場合、スラグ中のMgO飽和溶解度が低下し、スラグをMgO
飽和としても13%以下に抑えることが容易となる。
炉下部の耐火物の損耗速度の低下した状況を第2図に
示す。
第2図は、100T鉄浴炉における溶銑温度が1350〜1600
℃の試験操業により、得られた知見であり、当設備は、
第1図の設備構成と等しく、原料はすべて上方から投入
し、酸素は全量を上方のランスから吹付けた。吹付の撹
拌は窒素ガスを吹込んで行った。撹拌力は下記式で求
め、鉄浴重量あたり、2〜6kW/tの範囲であった。
ε=(6.18・Q・T/WT)ln(1+h0/1.46×103) Q:底吹ガス流量(Nm3/min) T:浴温度(K) WT:溶銑量(t) h0:浴 深(m) ε:撹拌エネルギー(Watt/t) 操業条件は、二次燃焼率が40〜45%であり、スラグ組
成は、CaO/SiO21.2〜1.35であり、Al2O314〜17%かつ、
MgO<13%であった。レンガは、MgO−Cである。スラグ
量は1200kg/m2である。
図中の○は、鉄浴部(炉底)のレンガ損耗速度であ
り、●は、スラグ浴部(炉壁)のレンガ損耗速度であ
る。
鉄浴部、スラグ浴部ともレンガの損耗速度は溶銑温度
の低下とともに減少しており、1420℃以下であれば前述
した目標値である0.5mm/hを達成していることがわか
る。
しかし、温度が低いため還元反応速度定数が小さくな
り、高還元反応速度が得られない問題が生ずる。そこ
で、この問題を解決する方法として、発明者らは種々条
件下での操業実験を行い、スラグ量を増やすことによっ
て高還元反応速度定数が得られることを見出した。
第3図は第2図と同じ条件での操業において、スラグ
量を1200kg/m2とし、見かけの反応速度定数を溶銑温度
毎に調査した結果である。鉄の還元反応式は一般に次式
で表わされており、操業条件を基準化した還元反応速度
を R=k(%T.Fe) R:還元反応速度(kmol・O2/m2・min) (%T.Fe):スラグ中のトータル鉄重量%(%) k:見かけの還元反応速度定数 (kmol・O2/m2・min(%T.Fe)) 比較するために、単位面積当り、スラグ中(T.Fe)1
%当りの見かけの反応速度定数kを求め、溶銑温度に対
してプロットした。第3図より明らかなように、還元反
応速度定数kは溶銑温度の低下とともに減少している。
そこで、本発明者らは、溶銑温度を1360℃〜1420℃に
維持した操業において、スラグ量を増大させる試験を行
った。
第4図は、見かけの還元反応速度定数とスラグ量の関
係を示した図である。
スラグ量が増大するとともに、見かけの還元反応速度
も増大しており、スラグ量が2000kg/m2以上で急激に増
加していることがわかる。
高炉法における生産性は、炉床面積当り、約100T/m2
・Dであり、この値と比較して溶融還元を商業規模で操
業するにあたり、同等レベルの生産性を達成するために
は、見かけの還元反応速度は0.09kmol・O2/m2・min(T.
Fe)以上でなければならない。
第4図に示すように、スラグ量を2000kg/m2以上に増
加させることにより、0.09以上にすることが可能である
ことがわかった。スラグ量が1500kg/m2から2000kg/m2
増大させることによって、見かけの還元反応速度が急激
に増大している原因としては、スラグ層の厚みが増大
し、上吹き酸素によるスラグ層の凹みの大きさよりもス
ラグ厚みの方が大きくなり、酸素による鉄浴の再酸化が
防止できたためである。
次に、スラグ組成について述べる。
前述のように溶銑温度が1420℃以下でもスラグ量の増
大により高生産性が得られることを示したが、これは低
温においても流動しやすいスラグ組成を保つことによっ
て可能となる。
前述のように、スラグのセメント用原料や路盤材とし
ての再利用を考えると、MgO濃度を10%以下にしなけれ
ばならないが、低温化することにより、スラグ中へのMg
O飽和溶解度は低下するため、スラグのMgO調整のために
は低温化は効果的である。
MgO濃度13%以下の条件のもとで、1420℃以下でもス
ラグの流動性が確保できる組成は、いわゆるMelilite相
であり、CaO/SiO2=0.8〜1.4かつAl2O3<25%の範囲で
ある。しかしAl2O3が15%未満ではスラグの融点が上昇
するため1420℃以下で操業するためにはAl2O3=15〜25
%の範囲が望ましい。
溶融還元において、還元反応速度はスラグ中CaO/SiO2
に強く依存しており、さらにPuMn等の不純物もCaO/SiO2
が低いと除去しにくいことから、CaO/SiO2は1.1以上と
するのが望ましい。
以上のことから、スラグ組成の範囲としては、CaO/Si
O2=1.1〜1.4、MgO<13%、Al2O3=15〜25%(スラグ中
の重量%)の範囲になるように、供給される鉱石中脈石
分および炭素質物質中灰分に対して、副材供給量を調整
する必要がある。供給する副材としては石灰、ドロマイ
ト、硅石もしくはアルミナ等がある。
次に耐火物について述べる。
耐火物の材質については現在、製鉄業で使用されてい
るものとしてMgO系、Al2O3系、CaO系、SiO2系、Cr2O
3系、ZrO2系がある。CaO系とSiO2系では上述のスラグ組
成条件下では、レンガ損耗速度が大きすぎるため耐用性
に問題がある。Cr2O3系の場合、耐火物の溶損によりレ
ンガ中のCrが溶鉄中に溶解し、Cr濃度が増大することか
ら使用は避ける方がよい。ZrO2系では、ZrO2がスラグ層
に混入することにより、スラグの粘性が増加するため、
スラグの流動性を悪化させる。
以上のことから耐火物としてはMgO系もしくはAr2O3
のものを使うのが望ましい。
最後に溶融炉上部の耐火壁の冷却構造について述べ
る。
溶融還元では還元熱を供給するため、炉内の上部空間
で二次燃焼を起こさせることから、上部空間でのガス温
度は非常に高温となる。また、炉内壁の表面は飛散して
きたスラグによって、常時漏れた状態であり、レンガの
母材内へのスラグ湿潤、レンガ母材の溶出が容易に生
じ、レンガの損耗に伴ない、スラグ中にMgOやAl2O3が混
入し、スラグ組成を変化させる結果をまねく。
すなわち、操業の全期間にわたり、上述のスラグ組成
を維持するためには多量の副材を操業中に供給しなけれ
ばならないことになる。
そこで、スラグ面より上部の耐火壁を冷却し、もしく
は大部分を耐火物を内張りしない冷却盤構造とすること
を提案した。
耐火壁の冷却方法としては、炉外部(鉄皮側)からの
水冷、もしくは気水の吹付けによる冷却、レンガの中に
鉄皮側から炉内に向けて1本から複数本の貫通パイプを
埋設し、この貫通パイプ内にCO2,N2,もしくは炉から発
生する排ガスを使用できる。また、これらの冷却ガスに
水を添加した気水を使用することにより、冷却能力は増
大する。
また、炉内側より、ガス、水もしくは粉体等の冷却媒
体を直接吹付ける方法があるが、いずれの方法でもよ
い。
この場合、冷却の範囲はできるだけ広く、冷却強度は
大きくする方がよいが、過剰な実施は建設費、操業コス
トの上昇をまねくため、最小限に抑えるのがよい。本発
明者らの経験によると、冷却強度は20000kcal/m2・h以
上、冷却面積は少なくともスラグ上面から炉口までの間
の下部1/2の面積は必要である。
耐火物を使用しない冷却盤構造としては、冷却強度が
大きければ構造はいずれのものでもよいが、たとえば高
炉で使用されているステーブ型もしくは電炉で使用され
ている水冷パネル型のものが容易に施工できる。材質と
しては、鋳鉄、銅、チタンなどがあるがいずれのもので
もよい。
本発明は、操業を低温かつ安定に行うことを特徴とす
るものであるが、製造された溶銑の温度が低いために、
出銑後、下工程でのハンドリングに問題が生ずる場合に
は、低温での溶融還元操業により所定量の溶銑を製造し
た後、鉱石の供給のみを減少、もしくは停止させて、溶
銑を必要温度まで上昇させる方法を行ってもよい。
(実 施 例) 本発明を第1図に示す如く、100T浴の溶融還元炉を使
用して実施した。実施にあたり使用した耐火物の材質、
および構造を第1表に、全期間にわたり共通の操業条件
を第2表に示す。
第3表に各期間における操業結果を示す。
以下、操業結果について説明する。
比較例1においては、レンガの冷却はなく、かつ1500
℃の高温での操業であり、レンガの損耗速度も大きく、
レンガからのMgOの溶出量も多く、スラグ中MgO濃度が1
9.3%にもなっており、セメント用原料としては使用で
きない。また、熱収支も悪化しており石炭原単位、生産
性も悪い。
比較例2においては、レンガの冷却はないが、溶銑温
度1395℃の低温で操業を行った例である。レンガの冷却
を行っていないことから、低温でありながら炉上部の耐
火物の損耗量が大きく、スラグ中MgOが増大しており、
このスラグをセメント用原料には使用できない。また、
スラグ量が少ないことから上吹酸素とメタルの接触によ
り鉄ダストの発生量も多く見かけの反応速度定数が低
く、スラグ中(T.Fe)も高くなり、スロッピングの発生
により、操業を続けることができなかった。
比較例3においては、炉上部を鉄皮からの外部冷却と
貫通パイプによる冷却構造を採用した炉体を使用した操
業結果である。
貫通パイプの構造としては、内径2,4,6mmの炭素鋼お
よびステンレス鋼を部位毎に分けて埋設し、それぞれ効
果を確かめた。貫通パイプによる冷却効果はパイプの埋
設密度、ガス流量、およびレンガ材質、ガス材質を考慮
した伝達係数を与えた単純な伝熱モデルによる計算によ
り、ほぼ推定できることがわかった。操業結果として
は、1405℃の低温で操業したが、CaO/SiO2が1.45と高か
ったことから、スラグ中に固相が発生しスラグの粘性の
増大によって流動性が悪化したため、スロッピングを発
生し長時間にわたる安定操業が不可能であった。
実施例1,2はともに、本発明に基づいて操業を行った
結果であり、耐火物の損耗速度は小さく、スラグ中MgO
濃度も低く抑えられている。低温での安定操業が長時間
達成できており、生産性、石炭原単位とも良好な結果が
得られた。
特に炉上部の耐火物については、試験期間1に行った
比較例1,2においては目視でも損耗量が確認できるレベ
ルであったが、実施例1,2及び比較例3においてはほと
んど損耗量がわからない程度であった。
(発明の効果) 本発明の実施により、1420℃以下の低温での安定操業
を実現でき、炉下部の耐火物の溶損速度を0.5mm/h以下
に抑制させることができるだけでなく、従来技術では15
00℃以上でしか得られなかった高い還元反応速度定数を
達成した。
また、鉄ダストの発生を抑制するとともに、熱収支も
改善でき、生産性、石炭原単位についても良好な結果が
得られた。操業によって発生するスラグも、セメント用
原料や路盤材として再利用可能となるため、溶銑製造の
トータルコストについては従来技術に比べ大幅な削減が
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施による操業の一断面を示す説明
図、第2図は溶銑温度と炉下部のレンガ損耗速度との関
係を示す図表、第3図は溶銑温度と見かけの還元反応速
度定数との関係を示す図表、第4図はスラグ量と見かけ
の還元反応速度定数との関係を示す図表である。
フロントページの続き (72)発明者 阪本 克彦 大阪府堺市築港八幡町1 新日本製鐵株 式会社堺製鐵所内 (56)参考文献 特開 平1−195214(JP,A) 特開 平1−191723(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21B 11/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄皮の内側に耐火壁を有する溶融炉に、鉄
    鉱石または予備還元鉱石、炭素質物質および副材等を投
    入し、炉の上方からスラグに向けて酸素を吹込む鉄浴式
    の溶融還元法において、溶融炉上部の前記耐火壁を冷却
    構造体で構成するとともに、スラグ組成がCaO/SiO2:1.1
    〜1.4、Al2O3:15〜25wt%、MgO<13wt%となるように炉
    内における鉱石中脈石分および炭素質物質中灰分に対す
    る副材の配合比率を調整しつつ、溶銑温度を1420℃以下
    とし、かつ鉄浴上のスラグを鉄浴単位面積(m2)当たり
    2000kg以上として操業することを特徴とする鉄浴式の溶
    融還元法。
JP2076828A 1989-09-04 1990-03-28 鉄浴式の溶融還元法 Expired - Fee Related JP2783894B2 (ja)

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