JP2022057595A - 溶銑の脱燐方法および溶鋼の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】精錬過程で生成するスラグを再利用する溶銑の脱燐方法および溶鋼の製造方法を提案する。【解決手段】容器内に溶銑を装入し、精錬剤を添加して酸素吹錬し溶銑を脱燐するに当たり、当該チャージの前チャージの溶銑から溶鋼を製造する酸素吹錬において発生した脱炭スラグを容器に残し、その冷却材として、溶銑の脱燐処理において発生した後、冷却し固化させておいた固化スラグを用いる溶銑の脱燐方法である。容器内に溶銑または溶銑と冷鉄源を装入し、脱珪脱燐処理を行う第一の工程と、発生したスラグを容器から排出する第二の工程と、容器内に精錬剤を添加して酸素吹錬し、脱炭脱燐を行う第三の工程と、その工程で発生したスラグを容器に残して冷却し固化させる第四の工程と、を有し、容器内に残したスラグの冷却材として、当該チャージより過去のチャージの第二の工程で排出して冷却し固化させておいた固化スラグを用いる溶鋼の製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、精錬過程で生成するスラグを再利用する溶銑の脱燐方法および溶鋼の製造方法に関する。
多工程にわたる精錬処理を転炉に集約して行い、溶銑のもつエネルギーのロスを大幅に低減すると共に、転炉の前後工程の固定費(設備費や労務費)の大幅な軽減を可能とする方法が、例えば、特許文献1や2に開示されている。
特許文献1には、脱炭精錬終了後、精錬容器内から脱炭精錬した溶鋼を出鋼し、脱炭精錬で生成した脱炭スラグの全部または一部を精錬容器内に残して冷却し固化させた状態で、精錬容器内に次チャージの溶銑と鉄スクラップを装入して脱珪脱燐処理を行う際に、精錬容器内に残した脱炭スラグの冷却材として、事前に精錬容器または他の精錬容器から排出して冷却し固化させておいた脱炭スラグを使用する技術が開示されている。
また、特許文献2には、転炉スラグが膨張しないように改質することを目的として、同一の転炉または、2基の転炉を連続で用いて1チャージ分の溶鋼を溶製する際にスラグを2回以上排出する方法において、1回目に排出されたスラグの上に2回目以降のスラグを排出させて2つのスラグを混合させる技術が開示されている。
特開2014-169492号公報 特開2005-194574号公報
しかしながら、上記従来の技術には、未だ解決すべき以下のような問題があった。上記特許文献1に開示の技術は、脱炭スラグの冷却材として、事前に固化した脱炭スラグを使用するので、高塩基度となり、脱珪脱燐処理時の初期塩基度が上昇して、滓化不良となるおそれがあった。さらに、脱珪脱燐処理後に中間排滓を行う操業では、2種類のスラグが発生し、スラグ置場の分別運用や路盤用スラグ特性の管理など煩雑な管理を必要とする問題が生じた。
また、上記特許文献2に開示の技術は、上記2種類のスラグを混合して路盤材などの他の材料の原料に転炉スラグを改質するものであるが、精錬剤として利用可能な脱炭スラグを排出してしまい、有効利用できない問題があった。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、溶銑の脱珪脱燐処理時に精錬剤の早期滓化が促進され、かつ、CaO源を削減でき、さらに、鉄歩留まりの向上に寄与する溶銑の脱燐方法および溶鋼の製造方法を提案することにある。
上記課題を解決し、上記の目的を実現するため開発した本発明は、下記の要旨構成に示すとおりである。即ち、本発明にかかる溶銑の脱燐方法は、溶湯容器内に少なくとも溶銑を装入し、CaOを含む精錬剤を添加して酸素吹錬することにより前記溶銑を脱燐するに当たり、前記溶湯容器で当該チャージの前チャージの溶銑から溶鋼を製造する酸素吹錬において発生した脱炭スラグの一部または全部を前記溶湯容器に残し、前記溶湯容器内に残した前記脱炭スラグの冷却材として、溶銑の脱燐処理において発生した後、冷却し、固化させておいた固化スラグを用いることを特徴とする。
また、本発明にかかる溶鋼の製造方法は、第一に、転炉型の精錬容器内に溶銑または溶銑と冷鉄源を装入し、脱珪および脱燐処理を行う第一の工程と、該第一の工程で脱珪および脱燐処理した溶銑を前記精錬容器内に保持したまま、発生した脱燐スラグの一部を前記精錬容器から排出する第二の工程と、前記精錬容器内に保持した溶銑にCaOを含む精錬剤を添加して酸素吹錬することにより、脱炭および仕上げ脱燐を行って溶鋼を得る第三の工程と、を有し、前記精錬容器内で当該チャージの前チャージの溶銑から溶鋼を製造する酸素吹錬において発生した脱炭スラグの一部または全部を前記精錬容器に残したまま当該チャージの溶銑を装入し、前記精錬容器内に残した前記脱炭スラグの冷却材として、溶銑の脱燐処理において発生した後、冷却し、固化させておいた固化スラグを用いることを特徴とする。
また、本発明にかかる溶鋼の製造方法は、第二に、転炉型の精錬容器内に溶銑または溶銑と冷鉄源を装入し、脱珪および脱燐処理を行う第一の工程と、該第一の工程で脱珪および脱燐処理した溶銑を前記精錬容器内に保持したまま、発生した脱燐スラグの一部を前記精錬容器から排出する第二の工程と、前記精錬容器内に保持した溶銑にCaOを含む精錬剤を添加して酸素吹錬することにより、脱炭および仕上げ脱燐を行って溶鋼を得る第三の工程と、該第三の工程で得られた溶鋼を出鋼し、前記精錬容器内の脱炭スラグの一部または全部を次チャージの溶銑の精錬で利用するために前記精錬容器に残して冷却し、少なくとも一部を固化させる第四の工程と、を繰り返して実施し、前記第四の工程における前記精錬容器内に残した前記脱炭スラグの冷却材として、当該チャージより過去のチャージの第二の工程で排出して冷却し、固化させておいた固化スラグを用いることを特徴とする。
なお、本発明にかかる溶鋼の製造方法については、
a.前記第四の工程で前記精錬容器内に添加する前記固化スラグは、前記第一の工程で発生した脱燐スラグおよび前記第三の工程で発生した脱炭スラグを排滓容器内またはスラグ処理場内で少なくとも一部が溶融した状態で混合したものであること、
b.前記第二の工程において、前記精錬容器から排出した脱燐スラグを排滓容器に収容し、前記第四の工程において、脱燐スラグを収容した前記排滓容器に前記精錬容器内の脱炭スラグの一部を排出して少なくとも一部が溶融した状態で混合し、前記排滓容器から脱燐スラグおよび脱炭スラグを含む混合スラグを排出して冷却し、固化させること、
c.前記固化スラグは、第一の工程で発生した脱燐スラグと第三の工程で発生した脱炭スラグの合計に対して第三の工程で発生した脱炭スラグを80質量%以下混合したものであること、
d.前記固化スラグは、粒度が50mm以下であること、
などがより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
以上説明したように、本発明にかかる溶銑の脱燐方法および溶鋼の製造方法によれば、精錬容器内に残したいわゆる脱炭スラグの冷却材として脱燐スラグを含む低塩基度スラグを用いたので、脱珪脱燐処理時のスラグ滓化が促進され、CaO源削減および処理時間短縮が可能となると同時に、脱炭精錬後に残留させる脱炭スラグ量が増加し、新規CaO源削減および鉄歩留まりの向上を図ることができる。
本発明の一実施形態にかかる溶鋼の製造方法の説明図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる溶鋼の製造方法を説明する図である。高炉で製造された溶銑10は、(a)~(g)の各工程を順に経由して溶鋼11となり、さらに(h)の工程を経由して次チャージ以後の各工程(a)~(h)を順に繰り返す。
(第一の工程)
転炉型の精錬容器1に溶銑10または溶銑10と冷鉄源としての鉄スクラップ12を装入し、脱珪および脱燐処理を行う。図1(a)は、転炉(溶湯容器や精錬容器の一例)1内に冷鉄源としての鉄スクラップ12を装入している様子を示す。図1(b)は、その後、溶銑鍋2から転炉1に溶銑10を注いでいる様子を示す。図1(c)は、溶銑10の注入完了後、転炉1を傾けて、限界傾動角を確認している様子を示す。そして、転炉1を直立状態に保ち、必要に応じて、加熱源や精錬剤を添加する。次いで、上吹きランス3を転炉1内に上方から降下させ、この上吹きランス3から酸素源を供給して、溶銑10内のSi(珪素)とP(燐)を予め設定した濃度まで低下させる脱珪および脱燐処理を行う(図1(d))。ここで、溶銑と鉄スクラップを主原料としているが、鉄スクラップは、必要に応じて使用しなくともよい。なお、溶銑10は、溶銑予備処理工程で処理し、溶銑10中のSi、PおよびS(硫黄)を予め設定した濃度まで低下させたものを用いてもよい。また、上吹きランス3からの酸素の供給に代えて、または、加えて、底吹き羽口4から酸化性ガスを供給してもよい。底吹き羽口4から溶銑10の攪拌のために非酸化性ガスを供給してもよい。
(第二の工程)
直立状態の転炉1を排滓側に傾動させ、第一の工程で生成したスラグ(脱燐スラグ)13を転炉1から排滓容器5へ排出する(図1(e))。排滓容器5は図示しない運搬台車などでスラグ処理場に運ばれる。
(第三の工程)
転炉1を直立させた状態で、CaOを含む精錬剤を添加して、上吹きランス3を転炉1内に降下させ、この上吹きランス3から酸素を供給(酸素吹錬)して、第一の工程で脱珪脱燐処理した溶銑10中のC(炭素)およびPを、予め設定した濃度まで低下させて溶鋼11とする脱炭精錬および仕上脱燐処理を行う(図1(f))。ここで、上吹きランス3からの酸素の供給に代えて、または、加えて、底吹き羽口4から酸化性ガスを供給してもよい。底吹き羽口4から溶銑の攪拌のために非酸化性ガスを供給してもよい。上吹きランス3や底吹き羽口から、酸化性ガスや非酸化性ガスと同時に精錬剤を供給してもよい。
(出鋼工程)
直立状態の転炉1を出鋼側に傾動させ、転炉1側壁に設けられた排出口6を介して、第三の工程で得られた溶鋼11を溶鋼鍋(図示しない)へ出鋼する(図1(g))。
(第四の工程)
第三の工程で生成したスラグ(脱炭スラグ)14を、転炉1内に残して冷却し固化させる(図1(h))。ここでは、直立状態の転炉1を排滓側に傾動させ、脱炭スラグ14の一部が転炉1内に残るように、脱炭スラグ14の残部を排滓容器5へ排出しているが、脱炭スラグ14の全部を転炉1内に残してもよい。
上記のように固化させた脱炭スラグ14を転炉1内残した状態で、前記した第一の工程に戻り、再度、転炉1内に次チャージの溶銑10と冷鉄源12を装入し、第四の工程までを繰り返し実施する。
上記した例では、一の転炉1を用いて、第一の工程の脱珪および脱燐処理(図1(d))および第三の工程の酸素吹錬(図1(f))を行っている。それに代えて、第一の工程後に排出口6から溶銑10のみを排出し、その後第二の工程でスラグ13を排出してもよい(図1(e))。さらに、第一の工程で脱珪および脱燐処理を施した溶銑11を別の転炉1に装入し、第三の工程の酸素吹錬(図1(f))を行ってもよい。
以上に示した溶鋼の製造において、第三の工程で生成したスラグ14を有効に再利用するためには以下の条件が必要である。
・第四の工程で転炉1内に残したスラグ14に添加する冷却材15は、第一工程の脱珪および脱燐処理時に速やかにスラグが再溶解すること、そのため、第四の工程で炉内に残留させたスラグの塩基度が高くなりすぎないこと。
・路盤材用原料として、製品に必要な強度と水和反応時の膨張率を低減した、塩基度を適切に管理したスラグ運用ができること。
・上記2つの条件を前提として、生産性を阻害しないこと。
ここで、上記の条件を満足するために、まず、図1に示すように予め転炉1(または、別の転炉)から排出して冷却し固化しておいた脱燐スラグ13を用いることが有効であることを見出した。脱炭スラグ14のみを固化して冷却材として用いる場合に比べ、脱燐スラグ13を冷却材として脱炭スラグ14の固化に用いることにより、固化スラグの塩基度が下がり、第一の工程の脱珪および脱燐処理開始時にスラグの滓化が促進される。もって、処理時間の短縮が図れるとともに、脱炭スラグの固化を行うことで前チャージの脱炭スラグの残し量が増加され、脱炭スラグ中には粒鉄が含まれるので、新たなCaO源の削減および鉄歩留まりの向上を図ることが可能となった。
スラグの特性を調整する目的でも、脱燐スラグ13と脱炭スラグ14を混合することが好ましい。脱燐スラグはその特性上、塩基度(CaO/SiO)が低く、遊離石灰含有量が比較的少ないため、水浸膨張試験での膨張率は比較的低位である一方、フォーミングした気泡を含有する密度の小さいスラグであり、固化後に破砕して製造したスラグ粒子の強度が比較的低いため、土木的な用途によっては使用に適さないという課題がある。一方、脱炭スラグは、塩基度が高く、多量の遊離石灰(F.CaO)が含まれていることから路盤材などの用途に用いるには水蒸気エージングなどで十分に水和膨張を抑制する必要があるが、低粘性で比較的流動性の高いスラグのため気孔率は低く、緻密で強度の高いスラグ粒子となる傾向がある。これらの両スラグを少なくとも一部が溶融した状態で混合することでそれぞれのスラグの中間的特性とすることができ、たとえば、修正CBR等で表される、路盤材製品に必要な強度を発現させ、かつ水和反応時のスラグ膨張率を低減させるのに適した原料スラグを得ることが可能となる。両スラグの混合方法として、排滓容器5内またはスラグ処理場内で少なくともスラグの一部が溶融した状態で混合することが好ましい。具体的には、これらのスラグは1250℃程度の温度でもCaO-SiO-Fe系やCaO-SiO-Al系などの低融点の液相を多量に含み得るので、スラグの少なくとも一部が1250℃以上の状態で両者のスラグを混合することが好適であり、転炉スラグが1400℃以上の流動性が比較的良好な状態で混合する場合には、排出スラグの自由落下による運動エネルギーを活用するだけでも十分な混合状態を実現できるのでより好ましい。排滓容器5内で混合する場合には、第二の工程で脱燐スラグ13を受滓した排滓容器5をそのまま待機させておき、第四の工程で脱炭スラグを受滓することがより好ましい。こうすることで、1600℃程度で処理される脱炭スラグの顕熱で、低融点の脱燐スラグ13を溶融させ、排滓容器内で十分に混合させることで物理的に更に均一な特性の混合スラグとすることができる。したがって、第四の工程の冷却材としても、路盤材用原料としてもより適切な品質を確保することができる。
第四の工程の冷却材として、混合スラグ中の脱炭スラグは、80質量%以下であることが、好ましい。脱炭スラグが80質量%を超えると、冷却固化後のスラグの塩基度および融点が高くなりすぎ、第一の工程におけるスラグの溶解に必要な時間が無用に増加するからである。
また、路盤材用原料として、混合スラグ中の脱炭スラグは、30~70質量%であることが、好ましい。混合スラグ中の脱炭スラグが30質量%以上であれば、混合スラグ中の気孔量を低減して路盤材などの用途に適したスラグ粒子の強度向上を図るのに効果的であり、混合スラグ中の脱炭スラグが70質量%以下であれば、混合スラグ中の遊離石灰含有量が比較的低位となり、適度な蒸気エージング処理によって路盤材などの用途に適した水浸膨張率の低いスラグ資材をより確実に得ることが可能となる。
第四の工程で冷却材15として用いる混合スラグは、冷却し固化させたスラグを粉砕し、50mm以下の粒度に調整したものを使用することが好ましい。ここで、50mm以下の粒度とは、網目の短径または短辺が50mmの篩下を用いることを表す。スラグ粒度を調整することで脱炭スラグ14との反応を促進し、脱炭スラグ14を速やかに固化させることができる。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
試験は以下の手順で行った。
まず、容量380トン装入できる上底吹き可能な転炉型精錬容器1内に脱炭スラグを3~13kg/溶銑-トン程度残留させた状態で、予め脱燐スラグと脱炭スラグとを混合しておいた混合スラグを冷却材として、1~20kg/溶銑-トン投入し、脱炭スラグを固化させた。
続いて、上記した精錬容器1内に冷鉄源12を全装入物に対する割合で10~20質量%程度装入し、さらに、溶銑を装入し、溶銑中のSi濃度に応じて、珪素源および塩基度調整用の石灰源を添加したのち、脱珪および脱燐処理のための吹錬を実施した(第一の工程)。この吹錬時の熱源である珪素源としては、SiCブリケット、FeSi合金または珪石を使用した。そして、第一の工程の終了後、速やかに中間排滓作業(第二の工程)を行い、続けて、脱炭吹錬を行い(第三の工程)、出鋼した(出鋼工程)。
ここで用いた混合スラグは、前述の中間排滓で脱燐スラグ13を受滓した排滓容器5内に、第四の工程で出鋼後に残留したスラグ14の一部を受滓し、排滓容器5内で溶融混合させたうえで、冷却し固化したスラグを粉砕して、50mm以下の粒度を調整したものを使用した。
評価は、冷却材のスラグ混合比率や銘柄を変え、脱珪および脱燐処理前のスラグ滓化状況、初期塩基度および処理時間を比較した。溶銑装入時に突沸がなく、未滓化のスラグが12分以内になくなるものを○印とした。また、未滓化のスラグが12分を超えて残留するものを×とした。スラグの滓化状況は、スラグサンプルを採取したうえで冷却し、断面観察から、面積率で求めた。
各試験状況と試験結果を表1に示す。
Figure 2022057595000002
表1の結果から、転炉内に残置した脱炭スラグの冷却材として、脱燐スラグおよび混合スラグを用いた処理No.1~5は、脱珪および脱燐処理の初期滓化に優れており、処理時間の短縮が認められた。冷却材として脱炭スラグを100%用いた処理No.6では、脱珪および脱燐処理の初期滓化に劣っており、処理時間が増加した。また、冷却材として、鉄鉱石を用いた処理No.7は、脱珪および脱燐処理時に突沸し、処理の中断を余儀なくされた。
次に、混合スラグの路盤材用原料としての特性を評価するため、各種組成のスラグを調整した。混合物の特性は、JIS A5015:2013に準拠して、水浸膨張率の測定と、一般的な嵩強度の測定で行った。
各試験状況と試験結果を表2に示す。
Figure 2022057595000003
表2の評価結果から、脱燐スラグと脱炭スラグを適量混合したNo.2~4のスラグは嵩強度および水浸膨張性に優れており、路盤材などの用途に適していることがわかる。脱燐スラグが多すぎるもの(No.1)は嵩強度に劣り、脱炭スラグが多すぎるもの(No.5および6)は水浸膨張性に劣る。なお、表2には、表1に示す残留脱炭スラグの冷却材としての適性を併記した。No.1~5のスラグは冷却材としての適性を有する。
以上、本発明を、実施の形態を参照しながら説明してきたが、本発明は何ら上記の実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部または全部を組み合わせて、本発明の溶鋼の製造方法を構成する場合も含むものである。さらに、本発明は、性質の異なる複数のスラグの有効利用に適用して好適である。
1 転炉型精錬容器
2 溶銑鍋
3 上吹きランス
4 底吹き羽口
5 排滓容器
6 排出口
10 溶銑
11 溶鋼
12 冷鉄源(鉄スクラップ)
13 脱燐スラグ
14 脱炭スラグ
15 冷却材(固化スラグ)

Claims (7)

  1. 溶湯容器内に少なくとも溶銑を装入し、CaOを含む精錬剤を添加して酸素吹錬することにより前記溶銑を脱燐するに当たり、
    前記溶湯容器で当該チャージの前チャージの溶銑から溶鋼を製造する酸素吹錬において発生した脱炭スラグの一部または全部を前記溶湯容器に残し、
    前記溶湯容器内に残した前記脱炭スラグの冷却材として、溶銑の脱燐処理において発生した後、冷却し、固化させておいた固化スラグを用いることを特徴とする溶銑の脱燐方法。
  2. 転炉型の精錬容器内に溶銑または溶銑と冷鉄源を装入し、脱珪および脱燐処理を行う第一の工程と、
    該第一の工程で脱珪および脱燐処理した溶銑を前記精錬容器内に保持したまま、発生した脱燐スラグの一部を前記精錬容器から排出する第二の工程と、
    前記精錬容器内に保持した溶銑にCaOを含む精錬剤を添加して酸素吹錬することにより、脱炭および仕上げ脱燐を行って溶鋼を得る第三の工程と、を有し、
    前記精錬容器内で当該チャージの前チャージの溶銑から溶鋼を製造する酸素吹錬において発生した脱炭スラグの一部または全部を前記精錬容器に残したまま当該チャージの溶銑を装入し、
    前記精錬容器内に残した前記脱炭スラグの冷却材として、溶銑の脱燐処理において発生した後、冷却し、固化させておいた固化スラグを用いることを特徴とする溶鋼の製造方法。
  3. 転炉型の精錬容器内に溶銑または溶銑と冷鉄源を装入し、脱珪および脱燐処理を行う第一の工程と、
    該第一の工程で脱珪および脱燐処理した溶銑を前記精錬容器内に保持したまま、発生した脱燐スラグの一部を前記精錬容器から排出する第二の工程と、
    前記精錬容器内に保持した溶銑にCaOを含む精錬剤を添加して酸素吹錬することにより、脱炭および仕上げ脱燐を行って溶鋼を得る第三の工程と、
    該第三の工程で得られた溶鋼を出鋼し、前記精錬容器内の脱炭スラグの一部または全部を次チャージの溶銑の精錬で利用するために前記精錬容器に残して冷却し、少なくとも一部を固化させる第四の工程と、を繰り返して実施し、
    前記第四の工程における前記精錬容器内に残した前記脱炭スラグの冷却材として、当該チャージより過去のチャージの第二の工程で排出して冷却し、固化させておいた固化スラグを用いることを特徴とする溶鋼の製造方法。
  4. 前記第四の工程で前記精錬容器内に添加する前記固化スラグは、前記第一の工程で発生した脱燐スラグおよび前記第三の工程で発生した脱炭スラグを排滓容器内またはスラグ処理場内で少なくとも一部が溶融した状態で混合したものであることを特徴とする請求項3に記載の溶鋼の製造方法。
  5. 前記第二の工程において、前記精錬容器から排出した脱燐スラグを排滓容器に収容し、
    前記第四の工程において、脱燐スラグを収容した前記排滓容器に前記精錬容器内の脱炭スラグの一部を排出して少なくとも一部が溶融した状態で混合し、
    前記排滓容器から脱燐スラグおよび脱炭スラグを含む混合スラグを排出して冷却し、固化させることを特徴とする請求項3または4に記載の溶鋼の製造方法。
  6. 前記固化スラグは、第一の工程で発生した脱燐スラグと第三の工程で発生した脱炭スラグの合計に対して第三の工程で発生した脱炭スラグを80質量%以下混合したものであることを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の溶鋼の製造方法。
  7. 前記固化スラグは、粒度が50mm以下であることを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載の溶鋼の製造方法。
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