JP2002105521A - 溶銑脱りん方法 - Google Patents

溶銑脱りん方法

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JP2002105521A JP2000294303A JP2000294303A JP2002105521A JP 2002105521 A JP2002105521 A JP 2002105521A JP 2000294303 A JP2000294303 A JP 2000294303A JP 2000294303 A JP2000294303 A JP 2000294303A JP 2002105521 A JP2002105521 A JP 2002105521A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応容器内のフリーボード部の耐火物内面に
スラグの付着、成長を抑制する溶銑脱りん方法を提供す
る。 【解決手段】 全CaO分の25質量%以上を転炉スラ
グ中のCaOで置き換えた脱りん剤と酸化剤を用いて行
う溶銑脱りん処理であって、脱りん処理期間中の少なく
とも80%以上にわたり、反応容器内のスラグの液相率
を45質量%以下、または80質量%以上に保つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉で製造された
溶銑中に含有されるP(りん)分を、転炉装入前に溶銑
予備処理によって効率よく除去することのできる溶銑脱
りん方法で、特に反応容器のフリーボード部の耐火物内
面に予備処理スラグの付着、成長を抑制する方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】最近、溶銑段階で[Si],[P]分を
除去する溶銑予備処理が普及している。そのなかで脱り
ん反応は2P+5(FeO)+4(CaO)=(4Ca
O・P25)+5Fe式で行われる。従来、溶銑中のり
ん分の除去については、転炉で多量の生石灰を添加して
脱りんする方法が汎用されていたが、転炉での精練は通
常約1650℃の高温で行われるため、低温処理が適す
る脱りん処理にとって転炉の精練は有利な方法とは言え
ない。これに対し溶銑予備処理は、約1300℃で転炉
精練に比べ低温で行われるため、脱りん処理の点ではよ
り有効な方法である。
【0003】また溶銑予備処理によって脱りんを行う際
には、前処理で予め脱珪処理を行って後脱りんを行う場
合と、高炉から出銑された溶銑にそのまま脱りん剤を添
加して脱りんする場合とがある。そして、溶銑脱りん処
理後の溶銑を転炉で吹錬する際に、溶銑中の[P]量が
製品規格以下まで低減している場合は最早脱りんは不要
であるから、転炉吹錬では脱炭および昇温のみを行えば
よいが、全くスラグのない状態(スラグレス)で吹錬を
行うと、排ガスへのダストロスが著しく増加するため、
通常は吹錬中の溶銑のカバーを目的として少量の生石灰
が添加される。一方溶銑の[P]が製品規格以下まで低
減していない場合は、転炉吹錬工程でも多少の脱りんが
必要となるので、溶銑中の[P]量に応じた生石灰の添
加が行われる。
【0004】つまり予め溶銑脱りん処理を行った場合で
も、前述のごとく転炉吹錬工程では副原料の添加が少量
であっても不可欠であり、その結果として脱りん未処理
溶銑を使用した場合の2〜3割程度の転炉スラグが生成
する。他方、転炉の精練温度は約1650℃と高温であ
るため、前述のごとくスラグの脱りん能は低く、したが
って精練時に生成する転炉スラグ中のりん濃度は低くな
る。特に溶銑脱りん処理を行った溶銑を用いたときの転
炉スラグは、溶銑中の[P]が低いことから、りん濃度
は非常に低く、0.4〜0.8質量%程度であり、かつ
通常50質量%程度のCaOを含んでいる。よってこの
転炉スラグを溶銑脱りん処理時の脱りん剤として利用す
れば再度脱りん能を発揮することが確認されている。溶
銑脱りん後の予備処理スラグ中に含まれるりん濃度は通
常2〜4質量%程度であるから、溶銑脱りん剤としてり
ん濃度の低い転炉スラグを使用すれば、予備処理スラグ
中へりんを効果的に取り込んで濃化することができ、脱
りん剤として用いられる生石灰の使用量を大幅に削減で
きる。
【0005】こうした転炉スラグを利用した溶銑脱りん
処理を例示すると、高炉設備から出銑された溶銑は混銑
車で移送する過程で溶銑予備処理され、その後転炉で吹
錬処理される。ここで従来は、溶銑予備処理および転炉
吹錬で生成した予備処理スラグや転炉スラグは系外へ搬
出され、セメント原料や路盤材などとして使用されてい
たが、上記転炉スラグを利用するプロセスでは、転炉か
ら生じる転炉スラグの全量を溶銑予備処理工程へリター
ンして溶銑脱りん剤として有効利用し、生成した予備処
理スラグのみが系外へ搬出される。このプロセスを採用
する際の通常一般的な転炉スラグ組成(質量%)は次の
通りである。CaO:45〜53,SiO2:12〜1
8,MgO:6〜8,FeO:10〜12,Fe23
4〜5,MnO:3〜10,P25:1.0〜1.8
【0006】溶銑脱りん処理が行われる反応容器として
は、混銑車の他、取鍋や転炉型脱りん炉等が使用される
が、いずれにしても、転炉吹錬工程で副生する転炉スラ
グを脱りん剤として利用することにより、生石灰の使用
量は大幅に削減できて多大なコスト低減が可能となる。
このように転炉スラグを脱りん剤として再利用すること
は、例えば特公昭55―30042号公報や特開平4―
333506号公報に記載されている技術である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】転炉スラグを脱りん剤
として用い混銑車等の反応容器内で溶銑脱りん処理を行
う場合に生ずる大きな操業上の問題の一つは、溶銑面よ
り上部の空間いわゆるフリーボード部の耐火物内面への
予備処理スラグ(以下スラグと称する)の付着現象であ
る。この付着物は溶銑脱りん処理の繰り返しとともに成
長し、約200回の脱りん処理を行った時点では、付着
物の厚みは約1mにも達する場合がある。混銑車天井部
の耐火物内面に生成した付着物の鉱物相をX線回折によ
り同定したところ、主要鉱物相として2CaO・SiO
2相および2CaO・SiO2・Al 23相の存在が確認
された。当該スラグを光学反射顕微鏡で組織観察したと
ころ、図4に示すように2CaO・SiO2相の間を2
CaO・SiO2・Al23相が埋めていることが判明
した。さらに当該スラグを1350℃で溶融させた後に
急冷し、組織観察を行った結果、図5に示すように2C
aO・SiO2相の周りに2CaO・SiO2・Al23
相のデンドライトが確認された。これから、溶銑処理温
度では高融点の2CaO・SiO2相と低融点の液相が
共存し、2CaO・SiO2・Al23相は冷却過程で
液相から晶出したものであることが分かる。したがっ
て、低融点の液相が高融点の2CaO・SiO2相のバ
インダーの役目を果たしていることが明らかとなった。
【0008】フリーボード部の耐火物内面へのスラグの
付着が増大する原因は以下のように考えられる。図6
は,脱りん剤中のCaO分をどれだけ転炉スラグで置き
換えたかを示す指標(脱りん剤の転炉スラグ置換率)と
スラグ中の遊離石灰量の関係を示したものである。ここ
で脱りん剤の転炉スラグ置換率は次の式により求めた。
脱りん剤の転炉スラグ置換率(%)=(転炉スラグ中の
CaO分量)/(脱りん剤の全CaO分量)×100
また図6中の計算f-CaO濃度は、投入された脱りん
剤中の生石灰分がすべて遊離石灰になったと仮定して計
算した結果である。図6に示すように、脱りん剤の転炉
スラグ置換率0%、すなわち石灰系脱りん剤を用いた従
来の脱りん処理では,処理後のスラグにおける遊離石灰
の濃度は0.1%〜28%と大きくばらついている。と
ころが脱りん剤の転炉スラグ置換率が25%以上になる
と、処理後のスラグ中の遊離石灰濃度は大きく減少す
る。スラグ中の遊離石灰の存在形態としては、未滓化石
灰と晶出石灰の二つがあるが、転炉スラグの置換率=0
%、すなわち従来の脱りん処理のスラグを観察した結
果、未滓化石灰が多量に存在することが確認された。
【0009】一方,脱りん剤として転炉スラグを使用し
た脱りん処理の場合、スラグ中には未滓化石灰は確認で
きなかった。つまり生石灰は融点が2570℃と高いた
め他の酸化物との反応が遅く、低融点相の生成が困難で
ある。したがって従来の転炉スラグを用いず生石灰と酸
化鉄をベースとした脱りん処理では、スラグの液相が少
なく、高融点鉱物を繋ぎ止めるバインダーが不十分なた
め、耐火物へのスラグ付着は生じない。これに対して、
転炉スラグは一旦溶融過程を経て冷却したプリメルト品
であるため、液相が短時間で容易に生成される。これが
脱りん剤として転炉スラグを増量使用することにより混
銑車等の反応容器の天井部へのスラグの付着が増大する
原因と考えられる。
【0010】脱りん処理では脱りんのための酸化剤とし
て供給する鉄鉱石粉や酸素ガスが溶銑中の[C]と反応
し、COガスの発生を伴いながら脱りんが進行する。こ
のためスラグ中にCOガスがトラップされスラグがフオ
ーミングする。フオーミングが甚だしい場合は、スラグ
が反応容器の炉口から溢れ出る、いわゆるスロッピング
を引き起こす。スロッピングは軌道や周辺設備の焼損等
重大なトラブルの原因となるため、脱りん処理において
はスロッピングの発生率を低位に抑制することが重要で
ある。スロッピングの発生を抑制するには混銑車等の反
応容器内で溶銑面上に十分な空間いわゆるフリーボード
部を確保しておく必要があるが、脱りん剤として転炉ス
ラグを使用した場合は、フリーボード部の耐火物内面へ
のスラグ付着が著しく、フリーボード部が小さくなり,
容易にスロッピングを誘発していた。
【0011】このため,反応容器内のフリーボード部を
確保するために、容器内に受ける溶銑量を減らさざるを
得ず,脱りん処理能力の低下や容器の耐火物コストの上
昇などの問題を抱えていた。すなわち、転炉スラグを脱
りん剤として利用することで,脱りんのための生石灰が
大幅に削減でき,脱りんコストの大幅な低減が可能とな
る一方、フリーボード部へスラグが付着、成長するとい
った問題を抱えており、転炉スラグを脱りん剤として再
利用する上での大きな障害となっていた。
【0012】本発明は、上記の問題点を解消するために
なしたものであって、その目的は、反応容器内のフリー
ボード部の耐火物内面にスラグの付着、成長を抑制する
溶銑脱りん方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に係る本発明は全CaO分の25質量%
以上を転炉スラグ中のCaOで置き換えた脱りん剤と酸
化剤を用いて行う溶銑脱りん処理であって、脱りん処理
期間中の少なくとも80%以上にわたり、反応容器内の
スラグの液相率を45質量%以下、または80質量%以
上に保つことを特徴とする溶銑脱りん方法である。これ
の作用、効果を説明するとCaO当量で25質量%以上
占める脱りん剤で溶銑予備処理を行うと、この脱りん剤
によって液相が生成し易く、生成したスラグが反応容器
のフリーボード部の耐火物内面に付着、成長しやすいの
で、これを防ぐため脱りん処理期間中の始めを除いた脱
りん反応の進行がすすむ80%以上の期間にわたり、生
成するスラグの液相率を45質量%以下、または80質
量%以上に保つことによりスラグが耐火物内面に付着、
成長することを抑制するものである。スラグ中の液相率
を45質量%以下にすると、高融点鉱物相間を繋ぎ止め
るバインダーが少なく、かつ耐火物への接着力も低下す
るためスラグは付着せずに落下する。一方液相率が80
質量%以上にすると、スラグの粘性が低いためフリーボ
ード部に飛散してもスラグは垂れ落ち、付着しない。こ
こにいう液相率とはスラグ全重量に占めるスラグ中液相
の重量の割合を示すものであり、平衡状態の液相率はス
ラグ組成と温度が決まれば一義的に決まるものである。
従ってスラグ組成が決定すれば予備処理時のスラグ液相
率は熱力学計算を実施することにより精度よく推定する
ことが可能である。最近、多元系スラグの高温での各相
の組成・構成比を計算する熱力学ソフトが汎用されてお
り、これらを用いれば溶銑処理温度での液相率は容易に
計算できる。例えば熱力学ソフトとしてはアーヘン工科
大学で開発されたCHEMSAGEが、また計算に用い
るモデルとしてはGaye−Kapoor−Frohb
ergらの編集のものを使用すれば良い。
【0014】請求項2に係わる本発明は反応容器内のス
ラグ中のAl23濃度とMgO 濃度が、脱りん処理期
間中の少なくとも80%以上にわたり、(%Al23
+1.7(%MgO)≦5質量%として、反応容器内の
スラグの液相率を45質量%以下に保つことを特徴とす
る方法であって、この濃度式を満足することによりスラ
グ中の液相率を45質量%、好ましくは43質量%以下
にして、耐火物内面にスラグの付着、成長を抑制するこ
とができる。
【0015】
【発明の実施の形態】発明者らは、フリーボード部の耐
火物内面における付着物の生成は、スラグの液相率によ
り左右されると考えた。すなわち液相率が低ければ高融
点鉱物相間を繋ぎ止めるバインダーが少なく、かつフリ
ーボード部耐火物(主としてAl23−SiC−C系煉
瓦や高アルミナ質系煉瓦)への接着力も低下するため、
スラグは付着せずに落下する。一方液相率が高い場合は
スラグの粘性が低いためいったんフリーボード部に飛散
してもスラグは垂れ落ちてしまい、やはり付着しない。
すなわち、フリーボード部に飛散したスラグが付着物と
して残存するには、固相と液相があるバランスで混在し
ている必要がある。
【0016】発明者等は、上記を実証するため、表1に
示す溶融した試薬合成スラグ(No.1〜18)を準備
し、この各試薬合成スラグに一定時間耐火物を浸漬さ
せ、耐火物に付着したスラグの重量とスラグ組成との関
係を調査するラボテストを実施した。表1にスラグ組成
から求めた1350℃における液相率と耐火物に付着し
たスラグの重量を示す。
【0017】
【表1】
【0018】図1に、上記表1に示す、脱りん処理時の
スラグ温度である1350℃における液相率と浸漬した
耐火物への付着物の重量との関係を示す。これより、付
着量は液相率45質量%以下、または80質量%以上で
はほぼ0となり、液相率60%付近で最大となる分布を
示した。すなわち、スラグ組成を制御して脱りん中のス
ラグの液相率を45質量%以下または80質量%以上に
保持することにより、フリーボード部の付着物を低減で
きることが明らかとなった。図2に、転炉スラグを使用
した場合の、脱りん処理中のスラグ液相率と全スラグ量
(計算値)の推移の例を示す。本図のスラグ液相率は、
脱りん処理前に混銑車内に残留していた脱珪スラグ、脱
りん剤として吹き込んだ転炉スラグ、生石灰等から計算
されるスラグ組成に基づいて、CHEMSAGEを用い
て計算したものである。本図より、転炉スラグを用いて
脱りん処理した場合、脱りん処理の全期間に亙ってスラ
グ液相率は付着しやすい範囲内にあることがわかる。本
図には、脱りん処理中の全スラグ量の計算値を示してい
るが、脱りん処理開始後数分間はスラグ量が少ないため
に,混銑車天井部への付着の影響は小さい。したがって
脱りん処理期間中、初期の20%程度の期間は、スラグ
組成をさほど問題としなくても良く、その後の80%の
期間において、付着し難い組成に制御することが重要で
ある。
【0019】スラグの液相率を45質量%以下の低液相
率側に制御するには、スラグ中のAl23濃度(以下
(Al23)で表す)低減、(MgO)低減、(Fe
O)低減などの方策が考えられるが、(FeO)濃度は
脱りんのためには適正な濃度、すなわち7質量%前後に
制御する必要があり、大幅に濃度を上下することは困難
である。
【0020】一方スラグの液相率を80質量%以上の高
液相率側にコントロールするには、スラグ中の(Al2
3)増量、(FeO)増量などが考えられるが、(F
eO)は前述の理由から濃度を大幅に上下することが困
難である。ここで(MgO)はスラグへの飽和溶解度が
低いため、(MgO)が上がるとスラグの融点は上昇
し、液相率は低下する。またスラグの高液相率化には、
スラグの融点を下げる元素を添加することも有効であ
る。このような元素としてNa2OやCaF2があるが、
CaF2は添加しすぎるとスロッピングを引き起こしや
すくなるため、やはり大幅に濃度を上下することは困難
である。またスラグ中(Al23)を増加させるために
は脱りんの促進剤としてアルミドロス、ボーキサイトな
どを使用すれば良い。
【0021】転炉スラグを脱りん成分として使用する場
合、スラグの(%CaO)/(%SiO2)で表される
塩基度は1.3〜2.3の範囲になる。そこで発明者ら
は塩基度1.3〜2.3の範囲で、スラグの液相率に及
ぼすスラグ中Al23濃度,MgO濃度の影響について
調査した。調査に用いたスラグ組成とCHEMSAGE
により計算した液相率を表1に示す。
【0022】まず、低液相側に関する調査の結果、液相
率を45質量%以下の範囲内に抑えるためには、スラグ
中(Al23)および(MgO)を(%Al23)+
1.7(%MgO)≦5質量%に規制すればよいことを
明らかにした。ここで(%MgO)の係数を1.7とし
たのは、(%Al23)の液相率に及ぼす影響と(%M
gO)の液相率に及ぼす影響の比が1.7であるためで
ある。図3にスラグ塩基度が1.3におけるスラグ中
(%Al23)+1.7(%MgO)と脱りん処理温度
である1350℃における液相率の変化を示す。脱りん
処理は、脱りん剤としてCaO源を吹き込むため、脱り
ん処理の進行とともに塩基度は高くなり、塩基度の増加
とともに液相率が低くなる。したがって最も低塩基度で
ある塩基度1.3のスラグにおいて、脱りん処理中の液
相率を45質量%以下にすれば、脱りん処理期間全般に
亙って液相率は45質量%以下にできる。(Al23
および(MgO)を上記の範囲に規定した理由は以下の
通りである。スラグ中の(Al 23)および(MgO)
を上記範囲に制御すると、脱りん処理時のスラグの液相
率が45質量%以下となり、高融点鉱物相を繋ぎ止める
バインダーが不足するため、付着物は生成しなくなる。
スラグ中のAl23源としては、(1)高炉スラグ、
(2)転炉スラグ、(3)脱りん脱硫の促進剤として添
加されるAl23,の3つがある。スラグ中の(Al2
3)を脱りん処理の間低位に保つためには、これらA
23の混入源を管理する必要がある。すなわち、
(1)高炉スラグの混銑車への混入を低減する。(2)
転炉副原料中のAl23量を管理する。(3)脱りん脱
硫の促進剤Al23の代替剤としてCaF2,CaC
2,Na2CO3等を使用する、などの対策を実施すれ
ば可能である。
【0023】つぎに高液相側の検討として、スラグの塩
基度を低減し、(FeO)を増加した表1のNo.2の
ケースがある。これによると液相率90.44質量%で
大幅に付着量を減少せしめた結果が得られた。
【0024】なお、天井部付着物発生の抑制には、望ま
しくは脱りん処理の始めから終わりまでスラグの液相率
を上記の範囲に制御すること、言い換えれば(Al
23)および(MgO)を前述の範囲に制御することが
望ましいが、実質的な効果を得るには脱りん処理期間の
80%以上にわたり液相率を上記範囲内に制御すればよ
い。
【0025】
【実施例】(実施例1)特定の混銑車について、以下の
脱りん方法で150回の脱りん処理を実施した。高炉鋳
床上で脱珪処理を実施し、脱珪された溶銑を280〜3
20tの範囲で混銑車に受銑した。当該処理で発生した
脱珪スラグをスラグドラッガーにより除去した後、転炉
スラグ粉15〜25kg/t,生石灰粉7〜13kg/
t,蛍石粉0.9〜1.5kg/t,鉄鉱石粉20〜4
0kg/tの混合物を溶銑中に侵漬したランスから10
Nm3/minの窒素ガスと共に吹き込み、脱りん処理
を行った。また脱りん処理中には水冷式のランスから溶
銑上に酸素ガス0.5〜3.0Nm3/t吹付けた。こ
のとき、スラグ中の(MgO)は転炉スラグからの混入
により1.5〜2質量%であった。転炉スラグ中の(A
23)は不可避的に混入してくるものの、脱りん脱硫
剤中のAl23分を管理することにより、混銑車内のス
ラグ中(Al23)を0.5〜1.5質量%の範囲に抑
えて、(%Al23)+1.7(%MgO)≦4.9質
量%の範囲に調整した。この結果スラグ中の液相率は3
9質量%〜44質量%の範囲となり、当該混銑車は、1
50回の脱りん処理終了後もフリーボード部へのスラグ
付着はほとんど認められなかった。
【0026】(比較例)特定の混銑車について、以下の
脱りん方法で150回の脱りん処理を実施した。高炉鋳
床上で脱珪処理を実施し、脱珪された溶銑を280〜3
20tの範囲で混銑車に受銑した。当該処理で発生した
脱珪スラグをスラグドラッガーにより除去した後、Al
23分の高い転炉スラグ粉(Al23濃度=8質量%)
15〜25kg/t,生石灰粉7〜13kg/t,蛍石
粉0.9〜1.5kg/t,鉄鉱石粉20〜40kg/
tの混合物を溶銑中に侵漬したランスから10Nm3/
minの窒素ガスと共に吹き込み、脱りん処理を行っ
た。また脱りん処理中には水冷式のランスから溶銑上に
酸素ガス0.5〜3.0Nm3/t吹付けた。このと
き、混銑車内のスラグ中(Al23)は4.5〜7.0
質量%の間になっていた。当該混銑車では、150回の
脱りん処理終了後にフリーボード部の耐火物内壁に厚み
700mm,付着量15tのスラグ付着が認められた。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る溶銑
脱りん方法によれば、混銑車等の反応容器のフリーボー
ド部へのスラグの付着、成長が抑制されるので、反応容
器の受銑量の確保が可能で、しかもスラグの除去作業が
不要となるので、結果的に脱りん処理能力を維持でき、
かつ反応容器の耐火物損傷が無くなり耐火物コストが節
減できる。また脱りんされた溶銑を用いた転炉吹錬工程
で副生する転炉スラグを脱りん剤として再利用が可能と
なり、全体に生石灰の使用量を大幅に削減できて、多大
なコスト低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1350℃における液相率とスラグ付着量の関
係を示す。
【図2】脱りん処理中のスラグ液相率と全スラグ量の推
移を示す。
【図3】1350℃の液相率とAl23,MgO濃度と
の関係を示す。
【図4】フリーボード部付着物の顕微鏡写真を示す。
【図5】付着物のEPMA像を示す。
【図6】脱りん剤の転炉スラグ置換率とスラグ中遊離石
灰濃度の関係を示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】全CaO分の25質量%以上を転炉スラグ
    中のCaOで置き換えた脱りん剤と酸化剤を用いて行う
    溶銑脱りん処理であって、脱りん処理期間中の少なくと
    も80%以上にわたり、反応容器内のスラグの液相率を
    45質量%以下、または80質量%以上に保つことを特
    徴とする溶銑脱りん方法。
  2. 【請求項2】 反応容器内のスラグ中のAl23濃度と
    MgO 濃度が、脱りん処理期間中の少なくとも80%
    以上にわたり、(%Al23)+1.7(%MgO)≦
    5質量%として、反応容器内のスラグの液相率を45質
    量%以下に保つことを特徴とする請求項1記載の溶銑脱
    りん方法。
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