JP2002105526A - 未滓化石灰が少ない溶銑脱燐方法 - Google Patents
未滓化石灰が少ない溶銑脱燐方法Info
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Abstract
いること無しに、添加した石灰を完全に溶融させるとと
もに耐火物溶損も少ない脱燐精錬を実施することを可能
とする方法を提供する。 【解決手段】 上底吹き機能を有する精錬炉を用いた溶
銑脱燐処理において、石灰と酸素及び/又は酸化鉄の量
を調整して、スラグ塩基度を0.8〜1.8、スラグ中T
・Feを質量パーセントで8〜19%とし、10mm以上の
塊状石灰源の原単位を10kg/t以下とすることを特
徴とする未滓化石灰が少ない溶銑脱燐方法。
Description
て、蛍石に代表されるハロゲン化物を用いること無し
に、添加した石灰を完全に溶融させるとともに耐火物溶
損も少ない脱燐精錬方法に関する。
部は完全にはスラグに溶融できず未溶解のままで残留す
ることが知られている(未滓化石灰)。この未滓化石灰
はスラグ冷却後、水和反応等により膨張するためスラグ
の利用に対する大きな妨げとなっている。
下のようなものが知られている。特開昭53-94503号公報
には転炉滓にアルミナを添加する方法が、特開昭56-447
09号公報には珪酸、酸化鉄を添加する方法が、特開昭59
-20415号公報にはフライアッシュ等の改質剤を添加する
方法が開示されている。これらの方法は、いずれも転炉
から排出したスラグを他の容器で改質するものであり設
備投資が必要となる。また、特開昭56-90916号公報には
底吹き転炉出鋼後の炉内に残した転炉滓にSiO2、Al2O
3、Fe2O3等を添加する方法が開示されているが、転炉の
tap-to-tap(溶銑装入から次チャージの溶銑装入までの
時間)が長くなるため生産性を悪化する。
する方法は広く用いられている。特に上底吹き機能を有
した精錬炉を用いた方法としては、特開昭58-16007号公
報に開示されているが、塩基度が2以上で酸化鉄が15
%という高融点スラグを生成するため、滓化を促進する
ため蛍石を多量に使用している。また、特開昭63-93813
号公報に開示されている2基の転炉形式の炉を用いた方
法においても、その「脱燐炉で使用される精錬剤として
は上記転炉滓と生石灰以外に酸化鉄及び蛍石を基本の副
成分として配合するのが良い」とされており実施例でも
蛍石を使用している。これらの場合、蛍石は耐火物に大
きな悪影響を与えるという問題がある。
いずに溶銑脱燐の反応効率を向上させる試みはなされて
いる。
を0.6〜2.5、(T・Fe)を10〜30重量%、温度を1
200〜1450℃にする方法が開示されており、実施例にも
蛍石を使用したという記載は無いが、スラグ中の未滓化
石灰に関しては何ら開示されていない。ここで(T・Fe)
は、スラグ中のT・Fe濃度を示し、以下では他の成分に
ついても同様とする(「T・Fe」は「Total Fe」の
略)。
鉄が主成分のフラックスを用いた転炉での溶銑脱燐にお
いて、塩基度=1.2〜2.0、(Al2O3)=2〜16
%、(T・Fe)=7〜30%にする方法が開示されている。
この場合、スラグ中の(%F)と耐火物溶損指数の関係は
記載されているが、(Al2O3)の影響についての記載は
ない。一般に、(Al2O3)を多量に添加する場合にはス
ラグのMgO溶解度が増加し、蛍石を使った場合以上に耐
火物溶損を引き起こす問題がある。また、実施例には(T
・Fe)が20%以上の結果しか示されていないが、このよ
うに高濃度の(T・Fe)の場合には耐火物溶損は極めて激し
く、このような条件で水和膨張なくエージング不要にス
ラグを生成したとしても、耐火物溶損が非常に激しいた
め実用的でないという問題がある。本公報には、(T・Fe)
が20%未満の条件については、(T・Fe)が7%で(Al2O
3)が10.2%の例しか開示されてなく、この場合には
Al2O3を多量に含有するため耐火物溶損を引き起こ
す。また、フラックス組成として転炉滓と酸化鉄が主成
分であるという曖昧な表現になっているが、CaO源とし
ては生石灰を用いた場合には滓化率が低く、転炉滓や造
塊滓以外のCaO源は利用できないという問題がある。
4503号公報、特開昭56-44709号公報、特開昭59-20415号
公報に開示された方法が持つ、転炉から排出したスラグ
を他の容器で改質するものであり設備投資が必要となる
という問題点、特開昭56-90916号公報に開示された方法
が持つ、転炉のtap-to-tapが長くなるため生産性を悪化
するという問題、特開昭58-16007号公報、特開昭63-938
13号公報に開示された方法が持つ、蛍石を使用するため
耐火物に大きな悪影響を与えるという問題、特開平8-15
7921号公報に開示された方法が持つ、(Al2O3)を多量
に添加するため耐火物溶損を引き起こし、さらに、転炉
滓や造塊滓以外のCaO源は利用できないという問題を解
決し、蛍石に代表されるハロゲン化物を用いること無し
に、添加した石灰を実質的に完全に溶融させるとともに
耐火物溶損も少ない脱燐精錬方法を提供する。
方法にある。 (1) 上底吹き機能を有する精錬炉を用いた溶銑脱燐
処理において、石灰と酸素及び/又は酸化鉄の量を調整
して、スラグ塩基度を0.8〜1.8、スラグ中T・Feを
質量パーセントで8〜19%とし、10mm以上の塊状石
灰源の原単位を10kg/t以下とすることを特徴とす
る未滓化石灰が少ない溶銑脱燐方法。 (2)(1)において、塊状石灰源以外の石灰源を1mm
以下の粉体で供給することを特徴とする未滓化石灰が少
ない溶銑脱燐方法。 (3)(2)において、1mm以下の粉体を上吹きランス
から吹き付けることを特徴とする未滓化石灰が少ない溶
銑脱燐方法。 (4) 上底吹き機能を有する精錬炉を用いた溶銑脱燐
処理において、石灰と酸素及び/又は酸化鉄の量を調整
して、スラグ塩基度を0.8〜1.8、スラグ中T・Feを
質量パーセントで8〜19%とし、10mm以上の塊状石
灰源がスラグ中で1250℃以上の温度に保持される時
間を15分以上とすることを特徴とする未滓化石灰が少
ない溶銑脱燐方法。 (5)(4)において、塊状石灰源を、予め他の精錬
炉、又は、同一精錬炉で実施した、脱炭、脱燐、脱珪の
いずれか1つの精錬工程で使用することを特徴とする未
滓化石灰が少ない溶銑脱燐方法。 (6)(5)において、塊状石灰源を予め使用した精錬
工程で生成したスラグを500℃以上に保持したまま
で、当該溶銑脱燐処理を開始することを特徴とする未滓
化石灰が少ない溶銑脱燐方法。 (7)(1)〜(6)において、スラグ中Al2O3を2%
未満とすることを特徴とする未滓化石灰が少ない溶銑脱
燐方法。
は塊状石灰のスラグへの溶解速度が小さく、スラグ条件
と塊状石灰量、熱履歴を厳密に設定しない限り未滓化石
灰が残存するという事実を見出したことに基づく。もと
もと、装入物や溶銑組成変化からマスバランス計算され
る計算塩基度と、実際に採取したスラグの分析値から得
られる実績塩基度の比として滓化率を見た場合に、ほぼ
100%の滓化率とすることは容易であるが、このよう
なスラグであっても路盤材等へのスラグ利用においては
激しい膨張粉化を引き起こすという事実がある。これ
は、マスバランス計算での誤差に含まれる程度に僅かに
残留した未滓化石灰であっても膨張粉化の原因となるこ
とを意味している。
のスラグへの溶解機構を検討した結果、以下の要因が大
きな影響を示すことがわかった。 1)溶融スラグ相のCaO濃度と飽和CaO濃度との濃度差 2)スラグ相内物質移動速度 3)石灰/スラグ反応界面積 つまり、石灰のスラグへの溶解は溶融スラグ相のCaO濃
度と飽和CaO濃度との濃度差を駆動力として、スラグ相
内物質移動に律速される反応である。これを操業指標に
言い換えると、飽和CaO濃度の高いスラグ組成、スラグ
攪拌、石灰の微粒化の3つがポイントとなる。
あり、上底吹き機能を有する精錬炉を用いた溶銑脱燐処
理において、石灰と酸素及び/又は酸化鉄の量を調整し
て、スラグ塩基度を0.8〜1.8、スラグ中T・Feを質
量パーセントで8〜19%とし、10mm以上の塊状石灰
源の原単位を10kg/t以下とすることを特徴とする
未滓化石灰が少ない溶銑脱燐方法にある。ここでkg/
tは溶銑質量として1トン当たりの塊状石灰源質量(k
g)を意味する。つまり、スラグ塩基度を0.8〜1.
8、(T・Fe)を質量パーセントで8〜19%としたのは
飽和CaO濃度の高いスラグ組成を具現化したものであ
る。また、上底吹き機能を有する精錬炉を用いたのは十
分なスラグ攪拌を得るためである。さらに、10mm以上
の塊状石灰源の原単位を10kg/t以下としたのは、
粗大な塊状石灰は石灰/スラグ反応界面積が小さいた
め、多く入れ過ぎた場合には未溶解となるため、その量
の上限を制限したものである。塊状石灰源の上限は、ス
ラグ中の溶解速度が石灰源粒子中の伝熱により律速され
ないように、60mm以下であることが望ましい。ま
た、スラグ温度は1250〜1450℃であることが望
ましい。1250℃よりも低い場合にはスラグの飽和Ca
O濃度が小さくなり、1450℃よりも高い場合には脱
燐反応が進行しにくくなる。
及び/又は酸化鉄を用い通常の手法に従って調整するこ
とができ、例えば次のようにして行うことができる。ス
ラグ塩基度は、溶銑[Si]濃度から計算されるSiO
2の生成量と石灰原単位とにより調整することができ、
必要であれば珪砂(SiO2が主成分)を添加して調整
してもよい。(T・Fe)は、酸化ガスと酸化鉄中酸素の
原単位を増減させることで制御することができる(特開
平8−199219号公報等)。
の生石灰粒子の溶解速度と、MgO-C耐火物の溶解速度を
調査した結果である。試験はルツボにスラグを1350
℃で溶解し、そこに生石灰又はMgO-C耐火物を浸漬し回
転させながら溶解速度の経時変化を測定した。図1は生
石灰溶解速度とスラグ塩基度の関係を示すが、塩基度が
1.8よりも高くなると飽和相である高融点の2CaO・SiO
2が多くなるため溶融スラグ相のCaO濃度と飽和CaO濃度
との濃度差が小さくなり生石灰の溶解速度が大きく低下
する。一方、図2はMgO-C耐火物の溶解速度とスラ
グ塩基度の関係を示すが、塩基度が0.8よりも低くな
ると溶融スラグ相中のMgO溶解度が大きくなるため溶
解速度が増加する。同様に、図3は生石灰溶解速度と(T
・Fe)の関係を示すが、(T・Fe)が8%よりも低くなると低
融点相であるCaO・FeOが少なくなるため溶融スラグ相のC
aO濃度と飽和CaO濃度との濃度差が小さくなり生石灰の
溶解速度が大きく低下する。一方、図4はMgO-C耐
火物の溶解速度と(T・Fe)の関係を示すが、(T・Fe)が19
%よりも高くなると溶融スラグ相中のMgO溶解度が大
きくなるため溶解速度が増加する。従って、耐火物溶損
を抑制した上で飽和CaO濃度の高いスラグ組成を得るに
は、スラグ塩基度を0.8〜1.8、(T・Fe)を質量パー
セントで8〜19%の範囲が最も適していることにな
る。
溶解挙動を確認するためにMgO−C煉瓦を内張りした
100kg規模の上底吹き転炉試験を実施した。ここで、
試験前溶銑はC:4.15〜4.31%、Si:0.36
〜0.43%、P:0.102〜0.110%とし、温度
を1330〜1420℃で保持しつつ、10〜50mmの
大きさの塊状生石灰と鉄鉱石を添加するとともに酸素を
上吹きしたが、蛍石は一切添加しなかった。試験時間は
8分とした。実験後のスラグをエチレングリコール抽出
−原子吸光法で分析し未滓化石灰(freeCaO)を測定し
た。図5に塊状生石灰原単位とfreeCaO濃度の関係を、
図6に塊状生石灰原単位と脱燐速度の関係を示す。ここ
で、脱燐速度(K)は(1)式で計算した。
には、freeCaOが増加し、また、滓化速度の低下に伴い
脱燐速度自体も低下することがわかる。
又は、篩いを用いて分級した場合の篩いの目の粗さで表
す。また、石灰とは、生石灰、石灰石だけでなく、Ca
Oを30%以上含む脱炭滓、脱燐滓、脱珪滓、造塊滓を
冷却後粉砕したものも含む。
よりも小さい場合は、脱燐精錬時間(例えば5〜15
分)内にほぼ溶解できるので、原単位によらずfreeCaO
濃度が小さいためである。
条件とした理由は、スラグの攪拌が十分に強く、かつ、
スラグ温度を溶銑温度と同一にしてスラグ流動性を確保
できるためにスラグ相内物質移動速度が大きくできるた
めである。上吹きだけの場合には、スラグの攪拌が不足
し、底吹きの場合にはスラグ温度が溶銑温度よりも低く
なるためスラグ流動性が確保できない。精錬炉としては
上底吹き転炉が望ましいが、スラグが溢れない十分な内
容積があれば取鍋形状であっても問題はない。また、上
吹きガスは純酸素が望ましく、底吹きガスは、酸素、不
活性ガス、炭化水素ガスが望ましい。
/又は酸化鉄と、によるものに限定した。本発明で用い
られる酸化鉄としては、例えば、鉄鉱石、リサイクルダ
スト、焼結鉱、リサイクルスラグ中に含まれる酸化鉄な
どが挙げられる。また、石灰としては、例えば、生石
灰、石灰石、焼結鉱やリサイクルスラグ中に含まれるC
aOなどが挙げられる。脱燐反応は酸化反応であるた
め、酸化剤として酸素、酸化鉄の両方、または、いずれ
か一方が必要になる。さらに、生成した燐酸の活量を低
下させるため塩基性酸化物が必要となるが最も安価な石
灰が有利である。石灰以外の塩基性酸化物である酸化ナ
トリウムや酸化バリウムは高価なため用いず、また、石
灰の融点を下げるために用いられている蛍石やアルミナ
も耐火物溶損を引き起こすため用いない。特に、スラグ
中のF濃度は耐火物溶損を抑制するために0.1%以下
とすることが望ましい。
に関するものであり、請求項2は、塊状石灰源以外の石
灰源を1mm以下の粉体で供給すること、請求項3は、請
求項2で示した1mm以下の粉体を上吹きランスから吹き
付けることにある。塊状石灰源以外の石灰源のサイズを
1mm以下としたのは、1mm以下であれば、添加後、1分
以内と短時間で溶解できるため、添加直後からスラグ塩
基度が高くなり脱燐速度が大きくなるためである。逆
に、1mmより大きくて10mmより小さい場合には、脱燐
精錬終了時には溶解が完了するためfreeCaO濃度は低い
が、添加から溶解完了まで時間を要するため塩基度が低
い時間が長くなり、脱燐速度が十分には向上しない。
するため上吹きランスから酸素ガスとともに、又は、不
活性ガスとともに吹き付けることが効果的である。
場合について示したものであり、上底吹き機能を有する
精錬炉を用いた溶銑脱燐処理において、石灰と酸素及び
/又は酸化鉄の量を調整して、スラグ塩基度を0.8〜
1.8、スラグ中T・Feを質量パーセントで8〜19%と
し、10mm以上の塊状石灰源がスラグ中で1250℃以
上の温度に保持される時間を15分以上とすることにあ
る。つまり、10mm以上の石灰を原単位に依らずに十
分に溶解させるためには、1250℃以上の温度で15
分以上保持することが必要である。1250℃以上の温
度で15分以上保持しない場合には、塊状石灰は完全に
は溶解できずfreeCaOが高くなる。ここで、塊状石灰の
原単位は特に規定しないが、本発明者らの試験結果によ
れば30kg/t以下であれば問題なく溶解できる。
ある。塊状石灰を1250℃以上の温度で15分以上保
持するには、脱燐精錬を低速で15分以上の時間をかけ
て実施することも可能であるが生産性が低く現実的では
ない。より現実的には、塊状石灰源を、予め他の精錬
炉、又は、同一精錬炉で実施した、脱炭、脱燐、脱珪の
いずれか1つの精錬工程(前工程と称す)で添加し、当
該工程での生成滓を用いて脱燐精錬することにより、前
工程で添加された塊状石灰が、前工程と脱燐精錬とを合
計して、1250℃以上の温度に15分以上保持される
ようにすることが必要である。
的な態様としては次のような例が挙げられる。 (ケース1):「脱珪」→「脱燐」→「脱炭」というプ
ロセスにおいて、脱燐に使うべき生石灰を、予め脱珪工
程の時に添加し、脱珪工程終了後に、その脱珪スラグを
用いて脱燐工程を実施する。脱珪精練時間および脱燐精
練時間を合計して15分以上、1250℃以上の温度に
保持し、未滓化石灰をなくすことができる。 (ケース2):「脱燐」→「脱炭」というプロセスにお
いて、当該チャージで使うべき生石灰を、まず、前チャ
ージの脱炭工程で添加して精錬し、次いで、そのスラグ
をリサイクルして当該チャージの脱燐精錬を行う。この
結果、前チャージの脱炭精錬時間および当該チャージの
脱燐精錬時間を合計して15分以上、1250℃以上の
温度に保持し、未滓化石灰をなくすことができる。 (ケース3):「脱燐」プロセスにおいて、当該チャー
ジで使うべき生石灰を、まず、前チャージの脱燐工程で
添加して精錬し、次いで、そのスラグを用いて当該チャ
ージの脱燐精錬を再び行う。その結果、前チャージの脱
燐精錬時間および当該チャージの脱燐精錬時間を合計し
て15分以上、1250℃以上の温度に保持し、未滓化
石灰をなくすことができる。
ものであるが、前工程のスラグを冷却・固化した場合に
は高融点化合物が強固に生成し、次の脱燐精錬での溶解
を妨げる場合がある。従って、塊状石灰源を予め使用し
た前工程で生成したスラグを500℃以上に保持したま
まで、当該溶銑脱燐処理を開始することにより、冷却に
よる高融点化合物の生成を抑制して安定した溶解が可能
となる。スラグの温度が500℃よりも低くなると高融
点化合物が多量に析出するため脱燐工程での溶解が遅く
なる。尚、平衡状態図からは、より高温域から高融点化
合物は析出するが、実際には準平衡状態で冷却されるた
め500℃以上であれば高融点化合物の析出量は少な
い。例えば、脱燐溶銑を用いた脱炭精錬時に塊状石灰を
添加し、当該脱炭滓を冷却せずに炉内に残留させたまま
次チャージの溶銑を装入して脱燐精錬する方法があげら
れる。
り、(Al2O3)を2%未満とすることにある。スラグ塩基
度が低く(T・Fe)が高いスラグに対して(Al2O3)を添加す
ると耐火物の溶損が極めて激しくなる。この理由は、(A
l2O3)はスラグを低融点化するだけでなく、スラグ中の
(MgO)の溶解度を非常に大きくするためであり、(Al2O3)
を2%未満とすると耐火物溶損が大幅に抑制される。こ
こで下限は特に規定せずゼロであっても問題は無い。
実施した。上吹きランスは7φの4孔ランスを用い、酸
素供給速度は350Nm3/hとした。底吹きは小径集合
管羽口とし窒素を22Nm3/h供給した。
4.15%、Si:0.45%、Mn:0.23%、P:
0.11%、S:0.012%で温度が1330℃の、約
6トンの溶銑を転炉に装入し、脱燐精錬を7.5分間行
った。脱燐中にはサイズが10〜50mmの塊状生石灰を
6.2kg/t、鉄鉱石を16.4kg/t上部バンカーから投入
し、1mm以下の粒径の粉状生石灰7kg/tを上吹きランス
から酸素ガスとともに吹き付けた。処理後はC:3.8
4%、Si:0.01%、Mn:0.08%、P:0.0
13%、S:0.015%で温度は1365℃であっ
た。生成した脱燐スラグの組成は、T・Fe:14.3%、C
aO:33.1%、SiO2:29.3%、P2O5:4.97%、M
nO:5.55%、Al2O3:1.32%、MgO:3.13%、C
aF2:0.1%以下で、塩基度は1.13、脱燐速度は0.
265(1/min)、スラグ量は約41.2kg/tであった。処
理後スラグの(freeCaO)は0.03%であり10日水浸膨
張率は0.1%と低かった。また、耐火物溶損量は0.
02mm/chと小さかった。
4.21%、Si:0.44%、Mn:0.23%、P:
0.105%、S:0.012%で温度が1330℃の、
約6トンの溶銑を、前チャージの脱炭滓を炉内に残した
ままの転炉に装入して脱燐精錬を以下のように実施し
た。
0.02%、Mn:0.06%、P:0.015%、S:
0.014%で温度が1350℃の約6トンの脱燐溶銑
を用い、脱炭精錬を11分間行った。脱炭中には10〜
50mmの塊状生石灰を14.7kg/t、鉄鉱石を6.5kg/
t、上部バンカーから投入した。処理後はC:0.12
%、Si:0.01%、Mn:0.03%、P:0.01
2%、S:0.016%で温度は1670℃であった。
生成した脱炭スラグの組成は、T・Fe:23.5%、CaO:
58.0%、SiO2:13.8%、P2O5:1.35%、MnO:
4.55%、Al2O3:2.24%、MgO:6.32%で約2
5kg/tの量であった。
であり、脱燐中には塊状生石灰も粉状生石灰も添加せ
ず、鉄鉱石のみを16.1kg/t、上部バンカーから投入
した。処理後はC:3.86%、Si:0.01%、M
n:0.08%、P:0.015%、S:0.015%で
温度は1365℃であった。生成した脱燐スラグの組成
は、T・Fe:12.5%、CaO:34.3%、SiO2:32.4
%、P2O5:4.35%、MnO:5.55%、Al2O3:1.2
5%、MgO:5.02%で塩基度は1.06、脱燐速度は
0.263(1/min)、スラグ量は約42kg/tであった。処
理後スラグの(freeCaO)は0.02%であり10日水浸膨
張率は0.1%と低かった。また、耐火物溶損量は0.
02mm/chと小さかった。
を用いて実施した。他の溶解炉で溶製した、C:4.1
4%、Si:0.46%、Mn:0.23%、P:0.1
03%、S:0.012%で温度が1330℃の、約6
トンの溶銑を転炉に装入し、脱燐精錬を8分間行った。
脱燐中にはサイズが10〜50mmの塊状生石灰を13.
2kg/t、鉄鉱石を16.4kg/t上部バンカーから投入し
た。処理後はC:3.75%、Si:0.01%、Mn:
0.08%、P:0.033%、S:0.015%で温度
は1365℃であった。生成した脱燐スラグの組成は、
T・Fe:16.7%、CaO:31.1%、SiO2:30.9%、
P2O5:4.81%、MnO:5.26%、Al2O3:4.82
%、MgO:3.15%、CaF2:0.1%以下で、塩基度は
1.01、脱燐速度は0.142(1/min)、スラグ量は約
42.4kg/tであった。処理後スラグの(freeCaO)は1.
04%であり10日水浸膨張率は4.6%と高かった。
また、耐火物溶損量は0.06mm/chと大きかった。
ン化物を用いること無しに、添加した石灰を実質的に完
全に溶融させるとともに耐火物溶損も少ない脱燐精錬を
実施することが可能となった。
果。
示す実験結果。
果。
示す実験結果。
実験結果。
結果。
Claims (7)
- 【請求項1】 上底吹き機能を有する精錬炉を用いた溶
銑脱燐処理において、石灰と酸素及び/又は酸化鉄の量
を調整して、スラグ塩基度を0.8〜1.8、スラグ中T
・Feを質量パーセントで8〜19%とし、10mm以上の
塊状石灰源の原単位を10kg/t以下とすることを特
徴とする未滓化石灰が少ない溶銑脱燐方法。 - 【請求項2】 請求項1において、塊状石灰源以外の石
灰源を1mm以下の粉体で供給することを特徴とする未滓
化石灰が少ない溶銑脱燐方法。 - 【請求項3】 請求項2において、1mm以下の粉体を上
吹きランスから吹き付けることを特徴とする未滓化石灰
が少ない溶銑脱燐方法。 - 【請求項4】 上底吹き機能を有する精錬炉を用いた溶
銑脱燐処理において、石灰と酸素及び/又は酸化鉄の量
を調整して、スラグ塩基度を0.8〜1.8、スラグ中T
・Feを質量パーセントで8〜19%とし、10mm以上の
塊状石灰源がスラグ中で1250℃以上の温度に保持さ
れる時間を15分以上とすることを特徴とする未滓化石
灰が少ない溶銑脱燐方法。 - 【請求項5】 請求項4において、塊状石灰源を、予め
他の精錬炉、又は、同一精錬炉で実施した、脱炭、脱
燐、脱珪のいずれか1つの精錬工程で使用することを特
徴とする未滓化石灰が少ない溶銑脱燐方法。 - 【請求項6】 請求項5において、塊状石灰源を予め使
用した精錬工程で生成したスラグを500℃以上に保持
したままで、当該溶銑脱燐処理を開始することを特徴と
する未滓化石灰が少ない溶銑脱燐方法。 - 【請求項7】 請求項1〜6において、スラグ中Al2O3
を2%未満とすることを特徴とする未滓化石灰が少ない
溶銑脱燐方法。
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