JP2002212620A - 溶銑脱燐方法 - Google Patents

溶銑脱燐方法

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JP2002212620A
JP2002212620A JP2001004094A JP2001004094A JP2002212620A JP 2002212620 A JP2002212620 A JP 2002212620A JP 2001004094 A JP2001004094 A JP 2001004094A JP 2001004094 A JP2001004094 A JP 2001004094A JP 2002212620 A JP2002212620 A JP 2002212620A
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slag
phosphorus
treatment
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molten iron
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Naoto Sasaki
直人 佐々木
Shinya Kitamura
信也 北村
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Nippon Steel Corp
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は溶銑脱燐処理において、脱燐処理中
の復燐を抑制し、過精錬の必要をなくすことによって、
効率の良い精錬を可能とする方法に関する。 【解決手段】 上底吹き機能を有する精錬炉で行う石灰
と酸素及び/又は酸化鉄による溶銑脱燐処理において、
処理の経過に従い、燐を固溶した珪酸カルシウムの析出
量を増加させることを特徴とする溶銑脱燐方法。具体的
には、下記(1)式の燐を固溶した珪酸カルシウムの析出
率CSが、脱燐処理の前期では30以下、後期では5以上60
以下になる様に、又は下記(2)式のスラグの液相率FL
を、脱燐処理の前期では60以上、後期では40以上90以下
になる様に、スラグ組成を制御する。 CS = 105.3 - 1.58 × (T.Fe) - 0.0477 × T - 45.1 × | (C/S) - 2.15 | … (1) FL = -191.2 + 2.93 × (T.Fe) + 0.204 × T - 17.18 × (C/S) …(2) T.Feはスラグの全鉄濃度(質量%)、Tは溶鉄温度(℃)、C
/Sはスラグの塩基度。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は溶銑脱燐処理におい
て、脱燐処理中の復燐を抑制し、不必要な過精錬を避け
ることにより、効率の良い精錬を可能とする方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】溶銑脱燐プロセスでは、見かけの脱燐速
度は脱燐と復燐の相対速度差によって決まる。したがっ
て、脱燐反応を効率的に行うためには脱燐速度を速める
のはもちろん、復燐速度を低下させる必要がある。
【0003】一般的には、酸化鉄濃度が高い領域では脱
燐が進行し、逆に酸化鉄濃度が低い領域では復燐が進行
する。従って、酸素を供給する精錬方法では、酸素供給
量を低減あるいは酸素供給を停止するなどして、スラグ
中酸化鉄濃度が低下した場合、復燐が生じる。
【0004】このため、復燐が生じても規格外れになら
ないよう、製品が要求する燐濃度よりも低い燐濃度まで
過精錬したり、スラグ中酸化鉄濃度を高く保持して、復
燐速度を低減せしめることが行われてきた。しかし、前
者では過精錬の分の副材コストおよび処理時間により生
産性が低下し、後者では鉄歩留まりが低下するといった
問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術が
持つ、復燐を抑制するために生産性が低下するという問
題を解決し、溶銑脱燐処理において復燐を抑制し、過精
錬の必要をなくすことによって、効率の良い精錬を可能
とする方法に関する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は以下の各
方法にある。 (1)上底吹き機能を有する精錬炉で行う石灰と酸素及び
/又は酸化鉄による溶銑脱燐処理において、処理の経過
に従い、燐を固溶した珪酸カルシウムの析出量を増加さ
せることを特徴とする溶銑脱燐方法。 (2)請求項1において、下記式で計算される燐を固溶
した珪酸カルシウムの析出率CSが、脱燐処理の前期では
30以下、後期では5以上60以下になる様に、スラグの組
成を制御することを特徴とした溶銑脱燐方法。 CS = 105.3 - 1.58 × (T.Fe) - 0.0477 × T - 45.1 × | (C/S) - 2.15 | … 但し、T.Feはスラグの全鉄濃度(質量%)、Tは溶鉄温度
(℃)、C/Sはスラグの塩基度(CaOとSiO2の質量濃度比)
であり、| |は絶対値を示す。(3)下記式で計算さ
れるスラグの液相率FLを、脱燐処理の前期では60以上、
後期では40以上90以下になる様に、スラグ組成を制御す
ることを特徴とした(1)又は(2)に記載の溶銑脱燐方法。 FL = -191.2 + 2.93 × (T.Fe) + 0.204 × T - 17.18 × (C/S) … 但し、T.Feはスラグの全鉄濃度(質量%)、Tは溶鉄温度
(℃)、C/Sはスラグの塩基度(CaOとSiの質量濃度比)で
ある。ここで、隣を固溶した珪酸カルシウムとは、Ca、
Si、P、Oをそれぞれを1質量%以上含む固相を指す。本明
細書では特に断らない限り、%の表示は質量%を示す。
【0007】スラグの組成を制御するには以下のように
する。まず、T.Feの制御は、推測される脱炭、脱珪、脱
燐量などを考慮した物質収支計算の結果に応じて投入す
る酸化鉄量と送酸量を調整して行う。次に塩基度はCaO
源(石灰、ドロマイトなど)とSiO2源(珪砂など)を、
脱珪量を考慮した物質収支計算の結果によって応じて添
加する。
【0008】また、(2)又は(3)に記載の溶銑脱燐方法に
おいては、燐を固溶する珪酸カルシウムの析出率(CS)が
上記式、液相率(FL)が上記式で計算されるものであ
ることを特徴とするが、これらの式の確立、及び燐を固
溶する珪酸カルシウム相への適用は、本発明者らが詳細
な検討の結果見出したものである。
【0009】すなわち、析出率(CS)は、スラグ組成と温
度に基づく平衡状態図計算により得られるものであると
ころで、全スラグ質量に対する燐を固溶する珪酸カルシ
ウム相の質量濃度を示している。具体的には、平衡状態
図計算方法として、Acta Chem., Scand. 25(1971), p.2
651に記載されているSOLGASMIXを基本とする、Proc.of
4th Int. Conf. On Molten Slags and Fluxes, ISIJ,(1
992), p.103に記載されているスラグの活量計算モデル
を用いて基本式を定め、実際の条件から重回帰式によ
り、上記式を求めた。
【0010】また、液相率(FL)は、全スラグ質量に対す
る液相の質量濃度を示しており、上記SOLGASMIXを基本
とするスラグの活量計算により基本式を定め、同様に実
際の条件から重回帰式により、上記式を求めた。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、珪酸カルシウムの飽和
溶解度を低減することにより、燐を固溶した珪酸カルシ
ウム固相を析出せしめ、かつ、この固相からの復燐は極
めて遅く、事実上、溶銑脱燐処理における復燐を防止す
ることが可能であるという知見に基づく。
【0012】本発明者らは、上底吹き転炉におけるトッ
プスラグの脱燐能は、析出鉱物相の組成と固相率により
大きく影響を受けるという、新しい事実を見出した。
【0013】すなわち、脱燐スラグは固相と液相に分
かれていて、脱燐速度を速めるには液相率を増やすとと
もに、液相の酸素ポテンシャルを上げ、液相中のP2O5
量を低くする必要がある。復燐を抑制するには、逆に
液相率を低下させると共に、液相中の酸素ポテンシャル
を高く保持するか、固相中のP2O5活量を低くする必要が
ある。ある組成範囲の珪酸カルシウムは析出時に平衡
に近い濃度まで燐を固溶する。さらに、一度固溶した燐
は、その固相が溶解しない限り、処理時間の範囲内では
実用上問題となるほどには復燐しない。したがって、燐
を固溶する珪酸カルシウムを積極的に利用することによ
り、復燐を抑制した効率の良い精錬が可能となる。
【0014】従来の知見では、低い酸素ポテンシャルで
は復燐を抑制できなかったが、本発明によって初めて、
スラグ全体の酸素ポテンシャルは低くとも、固相に固定
した燐の活量を低位に保つことによって、復燐を抑制す
ることを可能ならしめた。
【0015】脱燐処理において、処理開始時点の溶銑燐
濃度が比較的高い場合は、脱燐速度に比して復燐速度は
小さく、脱燐に有利な様、スラグ中T.Fe濃度を高く、液
相率を高く保持することが必要である。しかしこのまま
処理を続け、溶銑燐濃度が低下してくると、脱燐速度に
比して復燐速度も無視できないほど大きくなる。そこ
で、固相の飽和溶解度を低下せしめ、固相率を上げる。
ただし、ここで析出させる固相には、燐を含み、かつ、
燐の活量を低位に保持できる、燐を固溶した珪酸カルシ
ウムを含むことが必須である。例えば、燐をほとんど固
溶しない3CaO・SiO 2が析出した場合、液相中のP2O5濃度
は上昇し、復燐に有利な条件となる。また、3CaO・P2O5
が析出した場合、液相中の燐濃度は低減できるが、固相
中の燐の活量は高く、これもまた復燐が生じやすい条件
となる。これに対し、析出した固相が燐を固溶した珪酸
カルシウムであった場合、まず、液相中の燐濃度を低位
に保持でき、さらに固相中の燐の活量も低く、復燐を抑
制できる。
【0016】処理の経過に従い、燐を固溶する珪酸カル
シウム濃度の析出量を増加させるのは、処理を開始した
直後の溶銑燐濃度が高く、スラグ中の燐濃度が低い領域
では、復燐速度も小さく、復燐速度の低減を図る必要は
特段ないが、処理が進み、溶銑燐濃度が低下し、スラグ
中の燐濃度が増加するに従い、復燐速度が大きく処理の
効率が低下するためである。また、析出量は時間経過に
伴い単純に増加することが望ましいが、実精錬ではバラ
ツキもあるため、処理時間の前半分での任意の時点(但
し処理開始後、処理時間の10%以内は除く。)での析出
量にくらべ、処理終了後の析出量が多ければ良い。
【0017】燐を固溶する珪酸カルシウム濃度の析出量
を増加させる方法としては、例えば以下の方法がある。
塩基度を所定の範囲内、望ましくは1.0以上3.5以下に
制御した上で、冷却材などにより温度を下げるか、T.Fe
を低下させる。低塩基度、望ましくはC/Sを1.0以下で
処理を開始し、これにCaOを添加することによって、C/S
を0.7以上3.5以下にする(但しCaOを添加する前後でC/S
は上昇していなくてはならない)。
【0018】温度を下げる場合は、脱燐にとって有利で
あり、スラグ中T.Fe濃度を下げて固相率を上げても、固
相にはFeがほとんど含まれないので、液相中T.Feの濃度
は大きく下がらず、そのため脱燐速度の低下もほとんど
見られない。また固相に燐を固定してしまえば、吹錬を
停止してT.Feがさらに低下しても復燐が抑制される。
【0019】ここで、スラグ中T.Fe濃度を低下させる手
段は、上吹き送酸速度を下げ、あるいは送酸を停止し、
酸化鉄生成速度を低下しても良く、脱炭による還元を促
進させるべく、底吹き撹拌を強めても良い。また、この
二つの手段を同時に用いることも可能である。さらに、
ランスギャップを変更したり、送酸速度を変更すること
などによって、上吹き酸素噴流の強度を強めることによ
り酸化鉄濃度を低減することも可能である。
【0020】また、燐を固溶した珪酸カルシウムとは、
Ca、P、Si、Oをそれぞれ1mass%以上含む鉱物相である。
2CaO・SiO2と3CaO・P2O5は1400℃近傍で全率固溶する。し
たがって、これらの混合組成に近い鉱物相であることが
望ましい。珪酸カルシウムと書いたが、Si量がPに比し
て低くても良い。また固溶体にはFe、Mnなどが含まれて
いても良い。
【0021】ところで、精錬炉として上底吹き機能を有
することを条件とした理由は、スラグ温度を溶銑温度と
ほぼ同一にしてスラグ流動性を確保できること、溶銑の
攪拌が十分に強いため溶銑中[P]の物質移動速度に律速
されないためである。上吹きだけの場合には、溶銑の攪
拌が不足するため溶銑中[P]の物質移動速度が律速し脱
燐速度が十分に高められず、底吹きのみの場合には、ス
ラグ温度が溶銑温度よりも低くなるためスラグ流動性が
確保できないため脱燐速度が十分に高められない。精錬
炉としては上底吹き転炉が望ましいが、スラグが溢れな
い十分な内容積があれば取鍋形状であっても問題はな
い。また、上吹きガスは純酸素が望ましく、底吹きガス
は、酸素、不活性ガス、炭化水素ガスが望ましい。
【0022】溶銑脱燐処理としては、石灰と酸素及び/
又は酸化鉄によるものに限定した。脱燐反応は酸化反応
であるため、酸化剤として酸素、酸化鉄の両方、また
は、いずれか一方が必要になる。さらに、生成した燐酸
の活量を低下させるため塩基性酸化物が必要となるが最
も安価な石灰が有利である。石灰としては、生石灰、石
灰石の他に、脱炭滓や脱燐滓に含まれるCaOを再利用す
る場合も包含する。酸化鉄としては鉄鉱石、スケール、
ダストの他に、脱炭滓や脱燐滓に含まれる酸化鉄を再利
用する場合も包含する。
【0023】また、ハロゲン化物を使用すると、耐火物
の溶損が問題となるため、本発明ではハロゲン化物(蛍
石、塩化カルシウムに代表されるF,Clなどの化合物)を
使用しないことが望ましい。
【0024】また、通常の精錬で行われる、マグネシア
などの副材料の添加などは、本発明を実施するにあた
り、なんら問題にならない。
【0025】請求項2では、上記で述べた固相の析出を
可能ならしめるスラグの組成と、析出の方法を提供して
いる。処理の前期で析出率CSを30以下としたのは、復燐
速度の比較的遅い処理前期では、全体の反応速度を高め
ることが重要であり、反応速度の遅い固相の存在量は極
力少ないことが望ましいためである。CSが30を超える
と、反応速度が低下する問題が生じる。さらに、処理前
期ではスラグ中のPの濃度が低いため、この期間に析出
した固相中の燐濃度は低いため効率が悪化する。
【0026】処理の後期で析出率を5以上60以下とした
のは、処理が進み、溶銑燐濃度が低下し、スラグ中の燐
濃度が増加するに従い、復燐速度が大きく処理の効率が
低下する領域で、復燐速度を低減せしめるためである。
析出率が5未満では、復燐速度の低減効果が十分得られ
ず、析出率が60を超えると、スラグ流動性が阻害され、
脱燐速度も低下し効率が悪化するという問題が生じる。
【0027】ここで、処理の前期と後期で、それぞれ上
記の範囲にCSを制御する際、前期のCSに比して後期のCS
は大きくなければならない。
【0028】また、処理の前期、後期とは以下のように
定義する。脱燐を目的として石灰などの副材を投入した
時点を脱燐処理開始点とする。脱燐処理の後に当該精錬
炉では該溶銑に対し他の精錬を行わない場合は出銑開始
時点、行う場合は他の精錬を目的とした操作を始めた時
点を脱燐処理終了点とする。この脱燐処理の開始点から
終了点までの経過時間を処理時間とし、このうち、初期
20%〜90%で、(1)式に基づいたCS値の制御を目的と
した操作を行う時点を前期の終了点とし、前期の終了点
以降、脱燐処理終了時点までを後期とする。
【0029】前期と後期を区別する該操作は、前述した
T.Fe濃度の制御を目的とした送酸速度や底吹き攪拌の変
更、冷却材などによる溶鉄温度の変更、石灰の添加によ
る塩基度の変更などを指す。また逆に該操作以前に、こ
れらの送酸速度の変更などの操作を行ったとしても、CS
の値に変化がない場合は、該操作以前の操作を持って前
期の終了点とはしない。CSの上記範囲への制御は、T.F
e、溶鉄温度及び塩基度の制御により達成できる。
【0030】請求項3では、反応速度に大きな影響のあ
る液相率の制御手段を提供している。脱燐処理の前期で
は溶銑燐濃度も比較的高く復燐速度が低いため、脱燐速
度を高めるよう、流動性の高く、かつ、酸素ポテンシャ
ルの高いスラグを必要とするため、液相率(FL)は60以上
である必要がある。60未満では、十分な脱燐速度が得ら
れない。また、後期では前期に比べて燐を固溶する固相
の析出量を増加せしめるため、液相率FLは40以上90未満
であることが必要である。FLが40未満では流動性が阻害
され、脱燐速度も低下する。また、90を超えると十分な
固相が析出せず、固相に燐を固定して復燐を抑制できな
い。
【0031】ここで、処理の前期と後期で、それぞれ上
記の範囲にCSを制御する際、前期のFLに比して後期のFL
は小さくなければならない。
【0032】FLの上記範囲への制御は、T.Fe、溶鉄温度
及び塩基度の制御により達成できる。
【0033】
【実施例】(実施例)実施例は6t規模の上底吹き転炉を
用いて実施した。上吹きランスは7φの4孔ランスを用
い、酸素供給速度は処理開始時点では380Nm3/hとした。
底吹きは小径集合管羽口とし窒素を処理の全般にわた
り、22Nm3/h供給した。
【0034】他の溶解炉で溶製した、C:4.15%、Si:0.35
%、Mn:0.32%、P:0.10%、S:0.012%で溶鉄温度が1330℃
の、約6tの溶銑を転炉に装入し、脱燐精錬を9分間行っ
た。脱燐中には生石灰をCaO換算で15.9kg/t、鉄鉱石をFe
2O3換算で21.0kg/t、上部バンカーから投入した。処理時
間の66%にあたる6分の時点でサンプリングしたところ、
C:3.90%、Si:0.02%、Mn:0.17%、P:0.04%、S:0.015%で溶
鉄温度は1355℃であった。また、このときのスラグ組成
は、T.Fe:21.2%、CaO:39.9%、SiO2:17.7%(スラグ塩基度
=2.25)、S:0.015%、P2O5:3.40%、MnO:4.9%、Al2O3:2.8
%、MgO:4.0%、CaF2:0.1%以下であった。このとき、CSの
値は2.9、FLの値は108であった。また、このスラグを急
冷してXRD、EPMAによる鉱物相解析を行うとガラス相と
結晶相に分かれていることが確認され、結晶相は2CaO・S
iO2と3CaO・P2O5の固溶体とほぼ同定された。
【0035】この6分のサンプリングの後、上吹き酸素
を停止し底吹き窒素による撹拌を3分間継続したのち、
サンプリングを行い、出鋼した。この時のメタルの成分
は、C:3.81%、Si:0.01%、Mn:0.11%、P:0.017%、S:0.015
%で溶鉄温度は1371℃であった。また、このときのスラグ
組成は、T.Fe:6.6%、CaO:46.9%、SiO2:21.5%(スラグ塩
基度=2.18)、S:0.3%、P2O5:5.5%、MnO:9・5%、Al2O3:3.2
%、MgO:4.7%、CaF2:0.1%以下であった。このとき、CSの
値は29.0、FLの値は66.1であった。このスラグを急冷し
て鉱物相解析するとガラス相と固相に分かれていること
が確認され、固相はMg、Oを含む相と、2CaO・SiO2と3CaO
・P2O5の固溶体とにほぼ同定された。この時のスラグ量は
約34kg/tであり、後に述べる例と比して少ないスラグで
精錬が可能であった。終点の溶銑燐濃度も目的の0.02%を
満足するもので、出鋼時の突沸もなかった。
【0036】(比較例-1)比較例-1では、実施例と同一
の6t規模の上底吹き転炉を用いた。酸素供給速度は処理
開始時点では370Nm3/hとした。底吹きは小径集合管羽口
とし窒素を処理の全般にわたり、22Nm3/h供給した。
【0037】他の溶解炉で溶製した、実施例と同一の13
32℃の、約6tの溶銑を転炉に装入し、脱燐精錬を9分間
行った。脱燐中には生石灰をCaO換算で15.9kg/t、鉄鉱石
をFe2O3換算で17.0kg/t、上部バンカーから投入した。9
分の吹錬の後、サンプリングを行い、出鋼した。この時
のメタルの成分は、C:3.75%、Si:0.01%、Mn:0.13%、P:
0.024%、S:0.013%で溶鉄温度は1375℃であった。また、
このときのスラグ組成は、T.Fe:14.8、CaO:42.5%、Si
O2:19.5%(スラグ塩基度=2.18)、S:0.2%、P2O5:4.6%、Mn
O:0.11%、Al2O3:2.9%、MgO:9.0%、CaF2:0.1%以下であっ
た。このとき、CSの値は14.9、FLの値は95.1であった。こ
のスラグを急冷すると殆どがガラス相であり、XRDによ
っても結晶相は確認できなかった。この時のスラグ量は
約37kg/tであった。終点の溶銑燐濃度は目的の0.02%を満
足できなかった。また、酸素を停止した直後はフォーミ
ングが激しく、沈静するまで2分ほど出鋼のための炉傾
動を待った。
【0038】(比較例-2)比較例-2でも、実施例と同一
の6t規模の上底吹き転炉を用い、上底吹きも実施例と同
様とした。他の溶解炉で溶製した、実施例と同一の1335
℃の、約6tの溶銑を転炉に装入し、脱燐精錬を9分間行
った。脱燐中には生石灰をCaO換算で25.0kg/t、鉄鉱石を
Fe2O3換算で21.0kg/t、上部バンカーから投入した。6分
の時点でサンプリングしたところ、C:3.89%、Si:0.02
%、Mn:0.18%、P:0.035%、S:0.015%で溶鉄温度は1355℃
であった。また、このときのスラグ組成は、T.Fe:17.3
%、CaO:51.0%、SiO2:14.4%(スラグ塩基度=3.54)、S:0.0
10%、P2O5:2.99%、MnO:4.0%、Al2O3:2.2%、MgO:4.0%、C
aF2:0.1%以下であった。このとき、CSの値は-48.9、FLの
値は74.1であった。また、このスラグを急冷してXRD、EP
MAによる鉱物相解析を行うとガラス相と結晶相に分かれ
ていることが確認され、結晶相は3CaO・SiO2とほぼ同定
され、1%以上のPは確認されなかった。この6分のサンプ
リングの後、上吹き酸素を停止し底吹き窒素による撹拌
を3分間継続したのち、サンプリングを行い、出鋼した。
この時のメタルの成分は、C:3.81%、Si:0.01%、Mn:0.11
%、P:0.03%、S:0.015%で溶鉄温度は1371℃であった。ま
た、このときのスラグ組成は、T.Fe:6.5%、CaO:57.6%、
SiO2:16.8%(スラグ塩基度=3.43)、S:0.3%、P2O5:3.7%、
MnO:7.4%、Al2O3:2.5%、MgO:3.7%、CaF2:0.1%以下であ
った。このとき、CSの値は-27.2、FLの値は44.3であっ
た。このスラグを急冷して鉱物相解析すると6分のサンプ
リングと同様、ガラス相と結晶相に分かれていることが
確認され、結晶相は3CaO・SiO2で燐は1%未満であった。こ
の時のスラグ量は約43.4kg/tであり、スラグは実施例と
比較して多いにも関わらず、終点の溶銑燐濃度は目的の
0.02%を満足しなかった。
【0039】
【発明の効果】本発明によって、溶銑脱燐処理におい
て、脱燐処理中の復燐を抑制し、過精錬の必要をなく
し、効率の良い精錬が可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K002 AB02 AB04 AC07 AE01 AE02 AF04 4K014 AA03 AB03 AB04 AC03 AC08 AC16 AC17 AD27

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上底吹き機能を有する精錬炉で行う石灰
    と酸素及び/又は酸化鉄による溶銑脱燐処理において、
    処理の経過に従い、燐を固溶した珪酸カルシウムの析出
    量を増加させることを特徴とする溶銑脱燐方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、下記(1)式で計算さ
    れる燐を固溶した珪酸カルシウムの析出率CSが、脱燐処
    理の前期では30以下、後期では5以上60以下になる様
    に、スラグの組成を制御することを特徴とした溶銑脱燐
    方法。 CS = 105.3 - 1.58 × (T.Fe) - 0.0477 × T - 45.1 × | (C/S) - 2.15 | … (1) 但し、T.Feはスラグの全鉄濃度(質量%)、Tは溶鉄温度
    (℃)、C/Sはスラグの塩基度(CaOとSiO2の質量濃度比)
    であり、| |は絶対値を示す。
  3. 【請求項3】 下記(2)式で計算されるスラグの液相率F
    Lを、脱燐処理の前期では60以上、後期では40以上90以
    下になる様に、スラグ組成を制御することを特徴とした
    請求項1又は2に記載の溶銑脱燐方法。 FL = -191.2 + 2.93 × (T.Fe) + 0.204 × T - 17.18 × (C/S) …(2) 但し、T.Feはスラグの全鉄濃度(質量%)、Tは溶鉄温度
    (℃)、C/Sはスラグの塩基度(CaOとSiO2の質量濃度比)
    である。
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