JP2011012286A - 溶銑の脱りん方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】CaF2含有物質を使用することなく、上底吹き転炉型精錬容器において、広範なSi濃度の溶銑について、脱珪処理を行うと同時に高効率で脱りん処理を行うことが可能な溶銑の脱りん方法を提供する。
【解決手段】上底吹き転炉型精錬容器においてCaF2含有物質を使用せずにCaO含有粉体をランスから酸素含有ガスとともに上吹きして溶銑に対して脱りん処理する、溶銑の脱りん方法において、前記溶銑のSi濃度が0.3質量%以上であり、前記CaO含有粉体中の純CaOとしての上吹き速度と前記酸素含有ガス中の純酸素ガスとしての質量流量の比を下記式で示す範囲内に調整する。0.56+0.5×[Si]<CaO/O<0.56+1.5×[Si]。(CaO: CaO含有物質粉体中の純CaOとしての上吹き速度(kg/min)、O:酸素含有ガス中の純酸素ガスとしての質量流量(kg/min)、[Si]:処理前溶銑のSi濃度(質量%))
【選択図】図1

Description

本発明は、上底吹き転炉型精錬容器において行う溶銑の脱りん方法に関する
近年、鋼材に対する品質要求が高度化し、低りん鋼に対する需要が増加している。現在、溶銑の脱りん処理は、熱力学的に脱りんに有利な溶銑段階の低温条件において処理する方法によって、広く一般に行われている。
溶銑脱りん装置としては上底吹き転炉型精錬容器が適している。それは、脱りんに必要な酸化剤として、固体酸化剤に比べて熱ロスの少ない気体酸素を、上吹きランスから高速で溶銑に吹き付けることが可能なためである。
溶銑脱りんは溶銑段階の低温条件において行われるため、脱りん剤として使用されるCaOの滓化を促進させることが重要である。CaOの滓化には蛍石(CaF2)の使用が効果的である。しかし、蛍石を使用した場合にはCaOの滓化により発生したスラグがフッ素(F)を含有するためスラグの再利用先が大幅に制限されるなどの弊害が大きい。
そのため、蛍石を用いないCaO滓化促進方法が開発されてきた。その方法としては、例えば、上吹きランスからCaO粉を気体酸素と共に溶銑に吹き付けることでCaOの滓化を促進する方法が挙げられる。この方法においては、CaO粉の添加速度が、脱りん効率を左右する重要な操業因子であり、従来から脱りんに好適とされる添加速度が提案されている。
例えば、特許文献1では、CaO粉の添加速度は、処理前のSi濃度とP濃度によって規定されている。しかしながら、脱りん反応は、CaO等の脱りん剤だけでは進行せず、酸素ガスなどの酸化剤も存在して初めて進行する反応である。そのため、CaOの添加速度だけでなく、酸素ガスなどの酸化剤の添加速度も考慮に入れなければならない。したがって、特許文献1で規定されたとおりに脱りん処理をおこなっても、酸素ガスの吹き付け速度によっては、低い脱りん率しか得られない場合がある。
溶銑に吹き付けるCaO源と酸素源の混合比率については、特許文献2においてフラックスを構成する生石灰の重量と酸化鉄および/または酸素ガスの酸素換算重量の和の比であるCaO/Oとして記載され、特許文献3において気体酸素とCaOの供給速度の比として記載されている。
特許文献2または3に記載の発明では、これらの混合比率で酸素源とCaO源を溶銑に吹き付けることにより、同時同場所に酸化剤と脱りん剤が添加され、かつ、脱りん剤が酸化鉄により滓化されるため、高い脱りん率を得られることが記載されている。ただし、この脱りん剤が添加される時、必ずしも脱りん反応だけが進行するのではなく、脱炭反応や脱珪反応等も併せて進行する場合がある。
特に、脱珪反応は脱りん反応を阻害する反応である。また、脱珪反応と脱りん反応は、ともに高塩基度かつ高酸化性のスラグによって進行しやすく、このうち脱珪反応の方が脱りん反応よりも熱力学的に進行しやすい。
そのため、特許文献2や特許文献3に記載されているCaO源と酸素源の吹き付け方法では、溶銑中Si濃度が高い場合には、脱珪反応が脱りん反応よりも優先され、脱珪反応が終了するまで脱りん反応が進みにくいという問題点があった。
また、これまでは、溶銑の脱りん処理は、脱珪処理を行った後に行う方が良いと一般的に考えられてきた。脱珪処理を行った溶銑に対して脱りん処理を行う脱りん方法は、例えば、特許文献4や特許文献5に記載されている。
しかし、溶銑に脱珪処理を行った後に脱りん処理をすることとすると、溶銑から溶鋼への精錬工程におけるプロセス数が増えて製造コストが増加する問題が生じる。製造コストの増加を抑制するには、1プロセスで脱珪処理と脱りん処理を行うことが望まれる。
ただし、1プロセスで脱珪処理と脱りん処理を行う方法であっても、脱珪反応を終えてから脱りん反応を開始させるのでは、長い処理時間を要したり、溶銑中のC濃度が低下したりしてしまうため、脱炭精錬時の熱裕度が低下するという欠点がある。
そのため、溶銑の脱りん処理においては、事前に脱珪処理を経なくとも高効率の脱りん処理が可能であること、具体的には1プロセスで脱珪と脱りんを同時に高効率で進行させることが可能なプロセスが求められている。
特開2005−126784号公報 特開2000−144226号公報 特開2004−83989号公報 特開平11−323419号公報 特開2000−73111号公報
上述のように、上底吹き転炉型精錬容器では、CaF2含有物質を用いない場合には、Si濃度の高い溶銑について、少ないプロセス数で、かつ高効率で脱りんを行うことが困難であるという問題があった。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、上底吹き転炉型精錬容器において、CaF2含有物質を用いず、広範なSi濃度の溶銑について、脱珪処理を行うと同時に高効率で脱りん処理を行うことが可能な溶銑の脱りん方法を提供することを目的とする。
以下、本発明の完成に至るまでの経緯について説明する。
本明細書では、上底吹き転炉型精錬容器において、メインランスからCaO含有粉体と酸素含有ガスを溶銑に吹き付ける、溶銑1トン当たりのCaO含有粉体中の純CaOとしての上吹き速度(kg/min)と、溶銑1トン当たりの酸素含有ガス中の純酸素としての質量流量(kg/min)の比を、「CaO/O比」ともいう。
また、「CaO含有粉体」とは、CaOを90質量%以上含有し、粒径が1mm以下の物質を意味する。「酸素含有ガス」とは、酸素(O2)を80質量%以上含有し、残部がAr、N2、CO2等の、常温では酸素と不活性なガス成分からなるガスを意味する。
CaO含有粉体を気体酸素と同時に溶銑に吹き付ける脱りん方法においては、それらが吹き付けられた溶銑表面の部分である火点において、鉄と気体酸素が反応して溶融FeOが生成する。同時に吹き込まれたCaO含有粉体は、生成した溶融FeOと混合され、火点において溶融CaO−FeOスラグが生成し、脱りん反応が速やかに進行する。
これまでは、脱珪反応が完了した後で、脱りん反応を進行させればよいと考えられてきた。そのため、脱りん反応が進行している期間中に、脱りん反応のみに必要な溶融CaO−FeOスラグを火点に生成させるように脱りん処理が行われており、溶銑中のSi濃度に応じてCaO/O比を制御することは行われていなかった。この場合には、脱珪処理を行った後に、火点において、脱りん処理に最適な溶融CaO−FeOスラグを生成させるには、CaO/O比を所定の適切な範囲とすることが重要であるとされていた。
CaO/O比が適切な範囲を超えて大きい場合には、溶融FeOに対してCaO含有粉体の割合が多くなり過ぎてCaO含有粉体の滓化が悪化する弊害があり、CaO/O比が適切な範囲を超えて小さい場合には、生成した溶融CaO−FeOスラグ中のCaO濃度が低位であり、脱りん反応が進行しない弊害がある。
本発明者らは、CaO/O比を溶銑中のSi濃度に応じて適切な範囲に制御することによって、脱珪反応を進行させつつ、同時に脱りん反応を進行させることが可能になるのではとの推測のもと、鋭意研究を進めた。そして、試行錯誤により、溶銑中のSi濃度に応じてCaO含有粉体の上吹き速度と気体酸素流量の比(CaO/O比)を制御して、メインランスからCaO含有粉体と気体酸素を溶銑に吹き付けることによって、上底吹き転炉型精錬容器を用いて、溶銑中のSi濃度が高い場合においても脱珪反応と同時に高効率で脱りん反応が進行するように脱りん処理を行えることを見出した。
本発明者らは、さらに、上底吹き転炉型精錬容器を用いて、溶銑中Si濃度に対して、脱りん処理に最適なCaO/O比を調査するため、以下の実験を行った。
成分組成が、C:4.6〜4.8質量%、Si:0.30〜0.81質量%、P:0.09〜0.11質量%、Mn:0.2〜0.3質量%、S:0.02〜0.03質量%であり、温度が1330〜1380℃の溶銑を、上底吹き転炉型精錬容器に装入し、スケールと塊生石灰を所定量添加した後、ランスを用いてCaO含有粉体と気体酸素として純酸素を上吹きして、脱りん処理を行った。上吹きする純酸素とCaO含有粉体のCaO/O比は、0.55〜2.10とし、脱りん処理中はCaO/O比を一定に保持した。
図1は、脱りん処理開始前の溶銑中のSi濃度とCaO/O比が、脱りん率に及ぼす影響を示すグラフである。図1のグラフは、横軸を溶銑中のSi濃度、縦軸をCaO/O比とし、脱りん率93%以上の結果と93%未満の結果とを別にプロットした。
図1のグラフからわかるように、CaO/O比が2本の直線に挟まれた所定の範囲内にある場合において脱りん率が93%以上であり、この所定の範囲外では脱りん率は93%未満であった。そして、脱りん率が93%以上となるCaO/O比の範囲は溶銑中のSi濃度によって変化し、溶銑中のSi濃度が高いほど脱りん率が93%以上となるCaO/O比の範囲は広くなった。次に、この理由を説明する。
溶銑中のSi濃度が0.05質量%程度と、非常に低い場合には、火点において脱珪反応するSiの量が少なく、火点において生成するSiO2の量も少ない。しかし、溶銑中のSi濃度が高くなると、火点において脱珪反応するSiの量が多くなり、火点において生成するSiO2の量も多くなる。
SiO2は酸性酸化物であり、CaOは塩基性酸化物であるため、これらは互いの反応親和力が強く、互いに溶け合いやすい。ただし、SiO2を珪石として添加した場合には、珪石の融点が1600℃以上であることから、生石灰などのCaO含有物質との相互溶解速度が小さい。
一方、火点において生成したSiO2は、Siが酸化された際に発生する酸化熱によって、滓化した状態となっており、生石灰などのCaO含有物質の溶解を促進させることができる。
そのため、溶銑中のSi濃度が高いことにより、火点において生成するSiO2の量が多くなれば、それにともなって、火点に吹き付けられたCaO含有粉体を滓化できる量も多くなる。
ただし、CaO含有粉体の吹き付け速度(単位時間当たりの吹き付け質量)を大きくして、CaO/O比を増加させすぎると、火点におけるCaO含有粉体の滓化が追いつかなくなり、吹き付けたCaO含有粉体を全て滓化することができなくなる。
以上のように、ランスを用いてCaO含有粉体と気体酸素として純酸素を上吹きを行った場合には、火点において、最初にCaO−FeO−SiO2溶融スラグが生成する。
CaO/O比が小さすぎる場合には、CaO含有粉体の吹き付け速度に対するSiO2の生成量が多くなるため、溶融スラグ中のCaOとSiO2の濃度比で表される溶融スラグの塩基度が低位となる。
溶融スラグの塩基度が低いと、脱りん反応に不利となり、すなわち脱りん反応が進行しにくくなり、火点における溶融スラグによる脱りん反応促進効果が小さくなる。そのため、火点において溶融CaO−FeO−SiO2スラグによって脱りん反応を促進させるには、脱りん反応に適した塩基度の溶融CaO−FeO−SiO2スラグを生成させることが重要である。
以上のことから、図1のグラフに示すように、溶銑中のSi濃度に応じてCaO/O比を最適な範囲に制御することにより、火点において脱りん処理に最適な溶融CaO−FeO−SiO2スラグを生成できるため、高い脱りん率を得ることができる。
この脱りん反応に最適なCaO/O比の範囲は、溶銑中のSi濃度([Si](質量%))を用いた以下の式で規定することができる。
0.56+0.5×[Si]<CaO/O<0.56+1.5×[Si]
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであり、その要旨は下記(1)および(2)に示す溶銑の脱りん方法にある。
(1)上底吹き転炉型精錬容器においてCaF2含有物質を使用せずにCaO含有粉体をランスから酸素含有ガスとともに上吹きして溶銑に対して脱りん処理する、溶銑の脱りん方法において、前記溶銑のSi濃度が0.3質量%以上であり、前記CaO含有粉体中の純CaOとしての上吹き速度と前記酸素含有ガス中の純酸素ガスとしての質量流量の比を下記式で示す範囲内に調整することを特徴とする、溶銑の脱りん方法。
0.56+0.5×[Si]<CaO/O<0.56+1.5×[Si]
ここで、上式中の各記号は下記の諸量を意味する。
CaO:溶銑1トンあたりの、CaO含有物質粉体中の純CaOとしての上吹き速度(kg/min)
O:溶銑1トンあたりの、酸素含有ガス中の純酸素ガスとしての質量流量(kg/min)
[Si]:処理前溶銑のSi濃度(質量%)
(2)脱りん吹錬前または脱りん吹錬開始時にAl23含有物質を添加し、脱りん吹錬処理後のスラグ中のAl23濃度を2.0質量%以上10.0質量%未満とすることを特徴とする、前記(1)に記載の溶銑の脱りん方法。
従来の上底吹き転炉型精錬容器における溶銑の脱りん方法では、溶銑中のSi濃度が高い場合には、高い脱りん率が得られなかった。
しかし、本発明の溶銑の脱りん方法によれば、溶銑中のSi濃度に応じてCaO/O比を最適な範囲に制御することにより、火点において脱りん処理に最適な溶融CaO−FeO−SiO2スラグを生成できる。そのため、広範なSi濃度の溶銑に対しても、CaF2含有物質を使用することなく、1回の処理工程で高い脱りん率を安定して得ることができる。
脱りん処理開始前の溶銑中のSi濃度とCaO/O比が、脱りん率に及ぼす影響を示すグラフである。
本発明の溶銑の脱りん方法は、上底吹き転炉型精錬容器においてCaF2含有物質を使用せずにCaO含有粉体をランスから酸素含有ガスとともに上吹きして溶銑に対して脱りん処理する、溶銑の脱りん方法において、前記溶銑のSi濃度が0.3質量%以上であり、前記CaO含有粉体中の純CaOとしての上吹き速度と前記酸素含有ガス中の純酸素ガスとしての質量流量の比を上記式で示す範囲内に調整することを特徴とする、溶銑の脱りん方法である。本発明の溶銑の脱りん方法によれば、広範なSi濃度の溶銑に対しても、CaF2含有物質を使用することなく、1回の処理工程で高い脱りん率を安定して得ることができる。
以下、本発明の溶銑の脱りん方法について説明する。溶銑中のSi濃度に応じた、脱りん処理に最適なCaO/O比の範囲については上述のとおりである。
1.Si濃度が0.3質量%以上の溶銑に対して脱りん処理することについて
本発明の溶銑の脱りん方法では、CaO含有粉体と酸素含有ガスとが吹き付けられた溶銑表面の部分である火点において生成する溶融CaO−FeO−SiO2スラグによって、脱りん反応を促進する。
そのため、Si濃度が特に0.3質量%以上の溶銑に対して、本発明の溶銑の脱りん方法を適用することによって、火点における溶融CaO−FeO−SiO2スラグの生成が活発となり、これを積極的に活用することで脱りん率を向上させることができる。
2.脱りん処理後のスラグの塩基度について
脱りん処理後のスラグの塩基度(CaO/SiO2)は、2.0〜3.0程度が望ましい。溶銑の脱りん反応において、脱りん処理後のスラグの塩基度が高いほど、スラグの脱りん能が高くなる。
しかし、脱りん処理後のスラグの塩基度が3.0以上になると、脱りん処理に要するCaO原単位が急増する。また、脱りん処理後のスラグの塩基度が2.0以下の場合には、スラグの脱りん能が低いために、脱りん吹錬後のリンス中に復りん反応が活発に生じてしまう。
以上の理由から、脱りん処理後のスラグの塩基度は2.0〜3.0程度が望ましい。
3.脱りん処理後のスラグ中のAl23濃度について
本発明の溶銑の脱りん方法によれば、特に火点における脱りん速度を向上させることができる。この方法において、溶銑の浴面上を覆っているスラグによる脱りん効率を向上させれば、さらに脱りん率を向上させることが可能である。
スラグによる脱りん効率を向上させるには、Al23含有物質を脱りん処理前、または脱りん処理開始時に溶銑の浴面上を覆っているスラグ中に添加し、脱りん処理後にスラグ中のAl23濃度を2.0質量%以上10.0質量%未満とすればよい。ここで、Al23含有物質とは、Al23を5質量%以上含有する物質を意味する。
このようにAl23含有物質を添加することにより、溶銑の浴面上に存在するスラグの滓化性が向上し、脱りん反応も活性化される。
スラグ中のAl23濃度が2質量%未満の場合には、浴面上のスラグの滓化性向上効果は乏しく、Al23含有物質の添加の効果は得られない。
一方、スラグ中のAl23濃度が10質量%以上の場合には、Al23の添加によりスラグ中のCaO濃度が低下するため、スラグの脱りん能が低下する。そのため、脱りん吹錬後のリンス中に復りん反応が活発に生じてしまう。
以上の理由から、Al23含有物質を脱りん処理前、または脱りん処理開始時に溶銑の浴面上を覆っているスラグ中に添加する場合の、脱りん処理後のスラグ中のAl23の濃度は2.0質量%以上10.0質量%未満が望ましい。
本発明の溶銑の脱りん方法の効果を確認するため、下記の脱りん処理試験を行うとともに、溶銑の脱りん率の評価を行った。
1.試験条件
成分組成がC:約4.5質量%、Si:約0.32〜0.80質量%、P:約0.10%であり、温度が1320℃である溶銑2トンを上底吹き転炉に装入し、その後、上吹きランスから純酸素と生石灰粉を共に溶銑に吹き付けた。
生石灰粉は、CaO濃度が約97質量%のものを用いた。生石灰粉の粒径は1mm以下であった。上吹きランスから吹き付ける純酸素の流量(溶銑1トンあたりの送酸速度)は、脱りん処理中は2.0〜4.0Nm3/min/tの範囲で一定とした。上吹きランスから吹き付ける純酸素と生石灰粉のCaO/O比も、脱りん処理中は0.72〜1.78の範囲で一定とした。脱りん処理時間は、4.5〜12分の範囲とした。
表1には試験番号1〜17の試験について、脱りん処理前の溶銑のSi濃度およびP濃度、溶銑1トンあたりの送酸速度、CaO/O比、溶銑1トンあたりの造塊スラグの添加量、ならびに脱りん処理時間を示す。
Figure 2011012286
試験番号1〜11は本発明例であり、試験番号12〜17は比較例である。比較例は、脱りん処理前の溶銑中のSi濃度に対するCaO/O比が、本発明で規定する範囲を満たさなかった。
また、本発明例の一部の試験(試験番号7〜11)では、上吹きランスから純酸素と生石灰粉を共に溶銑に吹き付ける前に、転炉内の溶銑上に、造塊スラグとしてAl23含有物質を添加した。Al23含有物質としては、Al23を17質量%、CaOを44質量%、SiO2を9質量%含有する造塊スラグを用いた。
2.試験結果
表1に、試験条件と併せて、試験結果として脱りん処理後のスラグの塩基度(CaO質量%/SiO2質量%)およびAl23濃度、脱りん処理後の溶銑のP濃度、ならびに脱りん率を示した。脱りん率は、脱りん処理前の溶銑のP濃度をA、脱りん処理後のP濃度をBとして、(1−B/A)×100として算出した。
本発明例では、いずれの試験においても安定して93%以上の脱りん率を得ることができた。さらに本発明例のうち、造塊スラグを用いて、脱りん処理後のスラグ中のAl23を2質量%以上10質量%未満とした場合(試験番号7〜10)には、安定して95%以上の脱りん率を得ることができた。
一方、比較例では、脱りん処理前の溶銑中のSi濃度に対するCaO/O比が、本発明で規定する範囲を満たさなかったため、いずれの試験においても93%以上の脱りん率を得ることができなかった。
本発明の溶銑の脱りん方法によれば、溶銑中のSi濃度に応じてCaO/O比を最適な範囲に制御することにより、火点において脱りん処理に最適な溶融CaO−FeO−SiO2スラグを生成できるため、広範なSi濃度の溶銑に対しても、CaF2含有物質を使用することなく、1回の処理工程で高い脱りん率を安定して得ることができる。
したがって、本発明の溶銑の脱りん方法は、CaF2含有物質を使用しない脱りん方法として広範に適用できる。

Claims (2)

  1. 上底吹き転炉型精錬容器においてCaF2含有物質を使用せずにCaO含有粉体をランスから酸素含有ガスとともに上吹きして溶銑に対して脱りん処理する、溶銑の脱りん方法において、
    前記溶銑のSi濃度が0.3質量%以上であり、
    前記CaO含有粉体中の純CaOとしての上吹き速度と前記酸素含有ガス中の純酸素ガスとしての質量流量の比を下記式で示す範囲内に調整することを特徴とする、溶銑の脱りん方法。
    0.56+0.5×[Si]<CaO/O<0.56+1.5×[Si]
    ここで、上式中の各記号は下記の諸量を意味する。
    CaO:溶銑1トンあたりの、CaO含有物質粉体中の純CaOとしての上吹き速度(kg/min)
    O:溶銑1トンあたりの、酸素含有ガス中の純酸素ガスとしての質量流量(kg/min)
    [Si]:処理前溶銑のSi濃度(質量%)
  2. 脱りん吹錬前または脱りん吹錬開始時にAl23含有物質を添加し、脱りん吹錬処理後のスラグ中のAl23濃度を2.0質量%以上10.0質量%未満とすることを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱りん方法。
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