JP2014031562A - 溶銑の脱りん処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶銑鍋やトーピードカーのような攪拌力を大きくできない小型の反応容器を使用した脱りん処理を効率良く行う。
【解決手段】溶銑鍋やトーピードカーを用いて溶銑の脱りん処理を行う方法である。脱りん剤としてカルシウムフェライトを、溶銑1トン当たり10kg以上添加する。その際、カルシウムフェライトを粉状にして上吹き酸素とともに溶銑に吹き付けることや、脱りん処理後のスラグ中Al2O3濃度が5質量%以上、10質量%以下になるように制御することが望ましい。
【効果】攪拌力を大きくできない小型の反応容器を用いた溶銑の脱燐処理において、カルシウムフェライトを適切な量添加することで、滓化不良なく脱りん処理を行うことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶銑鍋やトーピードカーのような小型の反応容器を用いて、溶銑の脱りん処理を行う方法に関するものである。
溶銑の脱りん処理として、例えば特許文献1には、転炉型脱りん炉にカルシウムフェライトの添加と粉体上吹きを組み合わせた脱りん方法が開示されている。また、特許文献2には、低塩基度スラグを用いた脱りん処理において、溶銑1トン当たり1kW以上の動力で強攪拌することによって、脱燐処理を促進する方法が開示されている。
しかしながら、脱りん処理に使用する容器の高さとこの容器内に装入された溶銑の高さの差(フリーボード)が小さく、攪拌力の弱い溶銑鍋やトーピードカーのような小型の反応容器を使用して、特許文献1,2で開示された方法を実施する場合は、以下の問題がある。
1) 反応容器のフリーボードに適合した動力で攪拌する場合、滓化不良による脱りん不良を引き起こす。
2) 滓化不良を防止すべく大きな動力で攪拌する場合、過剰攪拌によるスロッシング(溶銑揺動による溶銑のこぼれ)、およびスロッピング(スラグフォーミングに伴うスラグと溶銑のこぼれ)による操業阻害が発生する。
特許文献1,2で開示された方法を実施する場合の問題点の一つである滓化不良対策として、特許文献3では、スラグ中のAl2O3濃度を5〜10質量%にし、スラグの融点低下と脱りん能を確保する方法が開示されている。
なお、本発明の説明における脱りん能とは、脱りん処理前の溶銑中に含まれる[P]をPi、脱りん処理後の溶銑中に含まれる[P]をPfとした場合、ln(Pi/Pf)で定義される値をいう。
特許文献3では、Al2O3源として取鍋スラグを挙げているが、特許文献3で開示された方法を溶銑鍋やトーピードカーのような小型の反応容器を用いた脱りん処理に適用すると、取鍋スラグ中のFeOや処理中のAl2O3濃度の急激な変化により大きなスロッピングが予想される。そのため、溶銑鍋やトーピードカーのような小型の反応容器を用いた脱りんではAl2O3濃度を高精度で制御することが重要である。
また、溶銑鍋を用いる脱りん処理方法として、特許文献4には、CaO粉体を吹き込む方法が開示されている。しかしながら、特許文献4に開示された方法は、脱珪に注力しているため、攪拌動力や、カルシウムフェライト等の脱りん剤に関する記載が十分ではない。すなわち、溶銑鍋やトーピードカーのような小型の反応容器を用いた溶銑の脱りん処理に関し、カルシウムフェライト等を適切に利用する方法は開示されていない。
特開2010−1536号公報 特開平11−269524号公報 特開2000−73112号公報 特開2009−203538号公報
本発明が解決しようとする問題点は、溶銑鍋やトーピードカーのような小型の反応容器を用いた溶銑の脱りん処理に関し、カルシウムフェライト等を適切に利用する方法は開示されていないという点である。
本発明は、溶銑鍋やトーピードカーのような小型の反応容器を用い、カルシウムフェライト等を適切に利用することにより、容器のフリーボードに適合した動力で攪拌した場合でも滓化不良を抑制して脱りん能の高い脱りん処理を行うことができる方法を提供することを目的としている。
本発明の溶銑の脱りん処理方法は、上記目的を達成するために、
溶銑鍋やトーピードカーを用いて溶銑の脱りん処理を行うに際し、脱りん剤としてカルシウムフェライトを、溶銑1トン当たり10kg以上添加することを最も主要な特徴としている。
本発明におけるカルシウムフェライトの添加は、粉状にしたものを上吹きランスを通じて酸素ガスとともに溶銑表面へ吹き付ける方法によることが好ましい。
さらに、それらのカルシウムフェライトの添加に併せて、その脱りん処理後のスラグ中Al2O3濃度が5〜10質量%になるよう、Al2O3源の使用量を制御すると好適である。そのAl2O3源としてはカルシウムアルミネートを用いることが好適であり、しかも粉状にして、上吹きランスから酸素ガスとともに溶銑上へ吹き付ける方法によると、そのAl2O3源の使用効果を益々高めることができるので一層好ましい。
本発明は、脱りん剤としてカルシウムフェライトを適切な量添加することや、そのカルシウムフェライトを粉状にして上吹きランスを通じて酸素ガスとともに溶銑表面へ吹き付けること、並びにカルシウムフェライトの添加に併せてAl2O3源の使用を工夫することにより、溶銑鍋やトーピードカーのような攪拌力を大きくできない小型の反応容器を使用した脱りん処理を、高い脱りん能で効率良く行うことが可能になる。
カルシウムフェライト原単位と脱りん能の関係を示した図である。 カルシウムフェライトの添加態様による、カルシウムフェライト原単位と脱りん能の関係の相違を示した図である。 スラグ中のAl2O3濃度と脱りん能の関係を示した図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の技術的思想について説明する。
溶銑の脱りん反応を促進するためには、大きな攪拌動力でスラグ‐メタル反応を促進させることが重要であり、近年では、フリーボードが大きく、大流量の底吹き攪拌が可能な転炉型反応容器での脱りん処理が一般的となっている。
脱りん処理に溶銑鍋やトーピードカーを使用する場合も、大きな動力で攪拌すればスラグの滓化が向上するので有効であるが、フリーボードが小さい影響でスロッシングやスロッピングが問題となる。従って、溶銑鍋やトーピードカーを使用する場合、攪拌動力密度εは溶銑1トン当たり1kW未満となる制約が一般的である。ここで、攪拌動力密度εは、下記数式1で規定される。
Figure 2014031562
攪拌力が弱い場合、スラグの滓化が悪化して脱りん能が低下する。そのため、CaF2を添加することでスラグ滓化の悪化を補うことが良く行われるが、この場合、処理後スラグからのF溶出が問題となって、スラグの再利用先が大幅に制限されるなどの弊害が大きい。
CaF2を添加することに替えて、あらかじめ酸化鉄とCaOを溶融して滓化性を向上させたカルシウムフェライトを使用すれば、脱りん能を高めることが可能である。
そのカルシウムフェライトの添加は、粉状にしたものを上吹きランスを通じて酸素ガスとともに溶銑表面へ吹き付ける方法によると、脱りん能を一層高めることができるので好ましい。
さらに、それらのカルシウムフェライトの添加に併せて、Al2O3源を適切に使用して脱りん処理後のスラグ中Al2O3濃度を制御すれば、脱りん能を一層向上させることが可能である。
そのAl2O3源としては、一般に滓化容易性とその滓化後にはCaO源になることを考慮して、CaO‐Al2O3化合物を多く含む取鍋スラグや、CaO‐Al2O3化合物を主体とする合成フラックス(カルシウムアルミネート)が適している。
しかしながら、本発明はフリーボードが小さい溶銑鍋やトーピードカーを使用するため、スラグ中のAl2O3濃度が低すぎてAl2O3源の添加効果が現れないことを避けようとするあまり、スラグ中のAl2O3濃度を高くし過ぎると、スロッピングが激しく発生して処理を中止せざるを得なくなる弊害が大きく現れてしまう。
従って、本発明において脱りん処理後のスラグ中Al2O3濃度を制御するためのAl2O3源としては、CaO‐Al2O3化合物を主体とする合成フラックス(カルシウムアルミネート)を用いることが好ましい。
このカルシウムフェライトの添加も、粉状にしたものを上吹きランスを通じて酸素ガスとともに溶銑表面へ吹き付ける方法によると、脱りん能を一層高めることができるのでさらに好ましい。
本発明において、カルシウムフェライトとは、CaOとFe2O3との化合物であって、CaOとFe2O3の割合が6:4〜3:7のものを指し、質量濃度でCaO:30〜50%、Fe2O3:30〜65%、SiO2:1〜10%、Al2O3:1〜20%で、かつこれら4成分の合計が90%以上含有するものをいう。
また、カルシウムアルミネートとは、CaOとAl2O3との化合物であって、CaOとAl2O3との比が4:6〜3:7のものを指し,質量濃度でCaO:30〜50%、Al2O3:40〜60%で、かつこれら2成分の合計が80%以上含有するものをいう。
脱りん能はカルシウムフェライトの添加量に比例すると期待される。従って、脱りん処理対象となる溶銑1トン当たりのカルシウムフェライトの添加量(kg/トン)は、脱りん処理後の溶銑を用いて精錬して製造する鋼種の規格([P]の含有量)に応じた脱りん能で決定することができる(図1参照)。
溶銑鍋やトーピードカーを用いて溶銑の脱りん処理を行うに際し、通常、脱りん処理前の溶銑中の[P]の含有量は、0.050〜0.120質量%程度であり、求められる脱りん処理後の[P]の含有量(0.007〜0.015質量%)を考慮する必要がある。さらに、溶銑鍋やトーピードカーではフリーボードが小さいために強攪拌ができないほか、スラグ生成量を抑制しなければならないために、必要な脱りん能は1.30以上になる制約もある。
そのために、必要なカルシウムフェライト投入量は10kg/トン以上となること、そのカルシウムフェライトの添加は、粉状にしたものを上吹きランスを通じて酸素ガスとともに溶銑表面へ吹き付ける方法によることが好ましいこと、さらに、それらのカルシウムフェライトの添加に併せて、その脱りん処理後のスラグ中Al2O3濃度が5〜10質量%になるようAl2O3源の使用量を制御すると一層好適であるが、そのAl2O3源としてはカルシウムアルミネートを用いることが好ましく、しかも粉状にして、上吹きランスから酸素ガスとともに溶銑上へ吹き付ける方法によると、そのAl2O3源の使用効果を益々高めることができるので一層好ましいことを、発明者は次のような実施結果等により確認した。
精錬炉として酸素上吹き装置を備えた溶銑鍋を使用し、脱りん処理前の化学成分が、C:4.3〜4.5質量%、Si:0.10〜0.25質量%、Mn:0.25〜0.40質量%、P:0.050〜0.120質量%の溶銑75トンを、1atmの雰囲気圧力P2のもとで上吹きランスから20〜25Nm3/minの流量で酸素ガスを上吹きしつつ吹錬した。
脱りん処理後の溶銑のP濃度は0.005〜0.020質量%で、処理後の溶銑温度Tlは1573Kであった。
溶銑の攪拌は、溶銑内に浸漬ランスを0.8m浸漬させた状態で5〜14Nm3/minの流量の不活性ガスを吹き込むことにより行った。また、脱りん剤には、塊状のカルシウムフェライト、粉状のカルシウムフェライト、粉状のカルシウムアルミネートを使用し、粉状脱りん剤は全て、酸素上吹きランスから前記流量の酸素ガスとともに溶銑に上吹きした。また、塊状の脱りん剤は溶銑の上方から投入した。
使用したカルシウムフェライトおよびカルシウムアルミネートの粒径と成分を下記表1に示す。
Figure 2014031562
攪拌動力密度εを1kW/トン以上とした試験では、スロッシングが大きく、脱りん処理を継続することができなかったので、攪拌動力密度εを1kW/トン未満(0.6〜0.9kW/トン)で行った結果を図2に示す。
図2中の■印は塊状のカルシウムフェライトを上部ホッパーから投入した例、○印は塊状のカルシウムフェライトを上部ホッパーから投入し、かつ、スラグ中のAl2O3が5〜10質量%になるように粉状のカルシウムアルミネートを酸素ガスとともに吹き付けた例、×印は塊状のカルシウムフェライトも粉状のカルシウムアルミネートも使用せず、粉状のカルシウムフェライトを酸素ガスとともに吹き付けた例である。
前記したように、本発明に係る脱りん処理の基本的条件において必要な脱りん能は、1.30以上である。図2の■印で示したように、発明者は、塊状のカルシウムフェライトを10kg/トン以上投入することにより、脱りん能を1.30以上にすることができることを確認した。
また、図2の○印で示したように、塊状のカルシウムフェライトを10kg/トン以上投入することと併せて、スラグ中のAl2O3が5〜10質量%になるように粉状のカルシウムアルミネートを酸素ガスとともに吹き付けると、同じカルシウムフェライトの使用量であっても脱りん能が高くなることも確認された。このカルシウムアルミネートの使用量が多いほど処理後のスラグ中Al2O3濃度が高くなって当然であるが、処理後のスラグ中Al2O3濃度の適切な範囲は次に述べるように比較的に狭い。
塊状のカルシウムフェライトを10〜40kg/トン使用する条件下で、処理後のスラグ中Al2O3濃度と脱りん能との関係を調査した結果を図3に示す。この図3において、左端のAl2O3濃度が1〜2質量%のプロットは、カルシウムアルミネートを添加しなかった条件であり、その条件でも脱りん能は1.30以上あることを図2において説明した。このAl2O3濃度を5質量%以上にすると、脱りん能を1.50以上に高くすることができるが、それが10質量%を超えると、スロッピングが激しく発生する場合が多くなり、しかも脱りん能も低下してしまうことが分かった。
従って、カルシウムアルミネートを上吹きするならば、処理後のスラグ中Al2O3濃度を5質量%以上にしないと使用効果が不明瞭な場合があり得る。但し、使用効果を高めるために使用量を増加させるにしても、処理後のスラグ中Al2O3濃度が10質量%を超えないように注意しなければならない。
この処理後のスラグ中Al2O3濃度を5〜10質量%に制御することは、カルシウムアルミネートに代えて取鍋スラグを用いても可能であるが、取鍋スラグの成分は安定していないので、処理後のスラグ中Al2O3濃度が5〜10質量%の範囲から外れてしまうことがある。従って、本発明において使用するAl2O3源としては、カルシウムアルミネートを用いる方が好ましいと言える。
さらに、図2に×印で示したように、塊状のカルシウムフェライトの投入に代えて粉状のカルシウムフェライトを酸素ガスとともに上吹きするようにすると、カルシウムアルミネートを用いなくても、それと同等以上の脱りん能を得ることができることが分かった。
カルシウムフェライトやカルシウムアルミネートを粉状にして、上吹きランスから酸素ガスとともに溶銑上へ吹き付けると、酸素ガス吹付けによりFeO、Fe2O3が生成している火点に、カルシウムフェライトやカルシウムアルミネートを直接吹き付けることになる。従って、火点のFeO、Fe2O3濃度が元々高いことに加えて、そこに粉状のカルシウムフェライトやカルシウムアルミネートが供給されて迅速に溶融滓化するため、直ちに高い脱りん能の融体が生成されて、その脱りん能を発揮するためと考えられる。
本発明においては、塊状のカルシウムフェライトを10kg/トン以上使用することを基本とするが、そこに粉状のカルシウムアルミネートを酸素ガスとともに上吹きすると、脱りん能を安定して高くすることができる。但し、その塊状のカルシウムフェライト使用と粉状のカルシウムアルミネート上吹きとの組合わせよりも、塊状のカルシウムフェライト使用に代えて粉状のカルシウムフェライトを酸素ガスとともに上吹きする方法が、粉状のカルシウムアルミネートを使用せずに同等以上の脱りん能を発揮することができるため、最も好ましいと言える。
カルシウムフェライトやカルシウムアルミネートは、添加する全量を粉状にして上吹き酸素とともに溶銑に吹き付けることが、脱りん剤の滓化を促進して脱りん能を高める上では最も効果が上がる。しかしながら、その添加量の一部を粉状にして上吹き酸素とともに溶銑に吹き付けることでも、上記した脱りん能向上機構に鑑みて、応分の脱りん能向上効果を期待することができる。
以下、本発明の溶銑の脱りん処理方法の実施例について説明する。
精錬炉として酸素上吹き装置を備えた溶銑鍋を使用し、脱りん処理前の化学成分が、C:4.3〜4.5質量%、Si:0.10〜0.25質量%、Mn:0.25〜0.40質量%、P:0.08〜0.09質量%の溶銑75トンを、1atmの雰囲気圧力P2のもとで上吹きランスから21.6〜23.3Nm3/minの流量で酸素ガスを上吹きしつつ吹錬した。脱りん処理後の溶銑のP濃度は、0.005〜0.020質量%で、処理後の溶銑温度Tlは1573Kであった。
溶銑の攪拌は、溶銑内に浸漬ランスを0.8m浸漬させた状態で5〜14Nm3/minの流量の不活性ガスを吹き込むことにより行った。また、脱りん剤には、塊状のカルシウムフェライト、粉状のカルシウムフェライト、粉状のカルシウムアルミネートを使用し、粉状脱りん剤は全て、酸素上吹きランスから前記流量の酸素ガスとともに溶銑に上吹きした。また、塊状の脱りん剤は溶銑の上方から投入した。
使用したカルシウムフェライトおよびカルシウムアルミネートの粒径と成分は、前記表1に示したものと同じである。
本発明の実施例と比較例を下記表2に示す。なお、表2の評価中、操業の評価は、操業ができなかった場合は×印、操業はできたものの安定した継続には難があった場合は△印、安定した操業ができた場合は○印とした。また、脱りん能の評価は、操業ができず、評価ができなかった場合は−印とした。
Figure 2014031562
表2に示すように、比較例1〜6は本発明方法に適用する溶銑鍋やトーピードカーでは攪拌動力が大きすぎたので、スロッシングが発生して脱りん処理操業を行うことができず、脱りん能の評価もできなかった。
これに対して、以下に説明する本発明の実施例1〜6は、溶銑鍋やトーピードカーに見合った動力で攪拌したので、攪拌による操業阻害は無かった。但し、実施例2,4は、カルシウムアルミネートを多く使用したためにスラグ中のAl2O3濃度が高くなり、スロッピングが大きくなって安定操業を継続するのが難しかった。
実施例1は、塊状のカルシウムフェライトのみを用いて、カルシウムアルミネートを使わず、従ってAl2O3源を積極的には添加しなかった例である。その処理後のスラグ中Al2O3濃度は1.5%であったので、脱りん能は1.39と比較的に低かったが、目標とする1.30以上は達成することができた。また、操業上も全く問題がなかった。
実施例2は、塊状のカルシウムフェライト使用に加えて、粉状のカルシウムアルミネートを多量に吹き付けた例である。粉状のカルシウムアルミネートを多量に用いて処理後のスラグ中Al2O3濃度を16.3%まで高めてみた結果、脱りん能は1.43と目標とする1.30以上は達成されていたが、スロッピングが発生したために連続的な操業には適さないと判断される状況であった。
実施例3は、塊状のカルシウムフェライトに代えて粉状のカルシウムフェライトを使用し、少量の粉状カルシウムアルミネートと混ぜて、酸素ガスとともに溶銑表面へ吹き付けた例である。粉状のカルシウムフェライトに代えた結果、脱りん能は1.40と高くなり、操業上も全く問題が無かった。
実施例4は、塊状のカルシウムフェライトに代えて粉状のカルシウムフェライトを使用し、粉状カルシウムアルミネートの混入量を増やして、酸素ガスとともに溶銑表面へ吹き付けた例である。粉状のカルシウムアルミネートを多量に用いて処理後のスラグ中Al2O3濃度を14.0%まで高めてみた結果、脱りん能は1.51であったので、目標とする1.30以上は達成することができていたが、実施例2と同様にスロッピングが発生したために連続的な操業には適さないと判断される状況であった。
実施例5は、塊状のカルシウムフェライト使用に加えて、適量の粉状のカルシウムアルミネートを酸素ガスとともに溶銑表面へ吹き付けた例である。適量の粉状のカルシウムアルミネートを用いて、処理後のスラグ中Al2O3濃度を6.5%になるように制御した結果、脱りん能は2.30と目標とする1.30以上を十分に達成し、かつ、操業上も全く問題がなかった。
実施例6は、塊状のカルシウムフェライトに代えて粉状のカルシウムフェライトを使用し、適量の粉状カルシウムアルミネートと混ぜて、酸素ガスとともに溶銑表面へ吹き付けた例である。粉状のカルシウムフェライトに代え、かつ、処理後のスラグ中Al2O3濃度が7.0%になるように制御した結果、脱りん能は2.51と目標とする1.30以上を十分に達成し、しかも操業上の問題も全くない状況であった。

Claims (4)

  1. 溶銑鍋やトーピードカーを用いて溶銑の脱りん処理を行うに際し、脱りん剤としてカルシウムフェライトを、溶銑1トン当たり10kg以上添加することを特徴とする溶銑の脱りん処理方法。
  2. 前記カルシウムフェライトとして粉状のカルシウムフェライトを用い、該粉状のカルシウムフェライトを上吹きランスを通じて酸素ガスとともに溶銑表面へ吹き付けることを特徴とする請求項1に記載の溶銑の脱りん処理方法。
  3. 脱りん処理後のスラグ中Al2O3濃度が5質量%以上、10質量%以下になるようにAl2O3の使用量を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の溶銑の脱りん処理方法。
  4. 前記Al2O3源として粉状のカルシウムアルミネートを用い、該粉状のカルシウムアルミネートを上吹きランスを通じて酸素ガスとともに溶銑表面へ吹き付けることを特徴とする、請求項3に記載の溶銑の脱りん処理方法。
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