JP5353935B2 - 溶銑脱りん方法 - Google Patents

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Description

本発明は、転炉型の精錬容器を用いて気体酸素や酸化鉄を使用した溶銑脱りん処理におけるスロッピングを防止する方法に関する。
近年、溶銑脱りんを行って低りん鋼を溶製する方法が主流となっている。上底吹きが可能な転炉型の容器を用い、気体酸素を溶銑へ高速で吹き付けることにより短時間で脱りんする方法が多く採用されている。最近は、気体酸素上吹き流量の増加による処理時間の更なる短縮が求められている。
上吹き酸素流量が多くなると、上吹きされた酸素ガスと溶銑中の[C]が反応して生成するCOガス量が増加し、このCOガスがスラグ中に捕捉されてスラグが泡立つ、すなわちスラグがフォーミングしやすくなる。さらに上吹き酸素流量が増加してCOガスの発生速度が増加すると、このスラグのフォーミングが過度に激しくなって炉口からスラグが横溢してしまう。この横溢現象はスロッピングと称され、脱りん作業性の低下をもたらすことから、その発生は回避されるべきものとされている。
ここで、COガス発生速度が同一である場合には、スラグからCOガスが抜け難いほどスラグがフォーミングし易くなる。したがって、溶銑脱りん処理時に生成するスラグの組成も、スラグのフォーミングに重要な影響を与える。
この点に関し、処理前溶銑中の[Si]は脱りん処理中に酸化され、SiOとしてスラグ中に取り込まれるところ、スラグ中のSiO濃度が増えるとスロッピングが発生し易くなる。すなわち、処理前溶銑中の[Si]が増えるとスロッピングが発生し易くなる。
また、脱りん率を高値に維持するためにスラグの塩基度すなわちCaO/SiO比を高める場合、処理前溶銑中の[Si]が増えると投入する生石灰量も増えるため、生成するスラグ量も増える。すると、スラグ単位体積中に含まれるCOガスの量が同じだった場合、スラグ量が多いほどフォーミングしたスラグの体積が増えるため、スラグが炉口からスロッピングし易くなる。
かかるスロッピングの発生を抑制するために、特許文献1には、サブランスを用いて炭材をスラグに吹き込むことにより脱りん吹錬終了後のスラグのフォーミングを沈静する方法が開示されている。
特許第3533955号公報
この特許文献1に開示される方法は、脱りん吹錬終了後のスラグのフォーミングを沈静する方法であって、上吹き酸素流量を増やして高速脱りん処理した場合や処理前溶銑組成、特に[Si]濃度が高い場合に問題となる、吹錬中のスロッピングの解決方法については、何ら開示されていない。
本発明の目的は、上底吹き転炉を用いた溶銑脱りんにおいて、スラグ組成がある程度の範囲に制御された条件下で、処理前溶銑組成の内[Si]濃度と[Ti]濃度の和が高い場合や上吹き酸素流量を増加して高速脱りん処理する場合に、吹錬中のスロッピングを回避できる方法を提示することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。
溶銑脱りん吹錬中のスラグフォーミングを沈静させる方法として、吹錬中にサブランスからコークス粉をスラグへ吹き付ける方法が有効である。このスラグフォーミングの沈静化の程度はコークス粉の吹き付け速度や吹き付け量のみに依存するのではなく、スラグのフォーミングし易さによっても異なるはずである。そこで、本発明者らは、スラグのフォーミングし易さに影響を及ぼす主な因子として、上吹き酸素ガス流量とスラグ組成に着目した。
但し、スラグ組成の内、塩基度(CaO/SiO)は、脱りん率と非常に密接な関係があり、低コストで高い脱りん率を得るには1.5〜2.5の範囲に制御しなければならない。塩基度を2.5超にするためには生石灰投入量が多くなり、処理コストが高くなってしまう。一方、塩基度が1.5未満になるとスラグの脱りん能力が低下するため、脱りん不良を生じてしまう。なお、脱りん処理コストに大きく影響する因子として、溶銑中[Si]濃度が挙げられる。溶銑中[Si]濃度が高くなると溶銑脱りん処理中に生成するSiO量が増加するため、溶銑中[Si]濃度が高いほど必要な生石灰量が増えて処理コストが高くなる。
上記の検討に基づき、塩基度を1.5〜2.5の範囲に設定して溶銑の脱りん実験を行ったところ、上吹き酸素ガス流量が同一であってもスロッピングが発生する場合としない場合とがあるという結果が得られた。そこでスロッピング発生原因を詳細に検討した結果、溶銑中の[Si]濃度のみならず、[Ti]濃度がスロッピングの発生に大きく影響しているとの知見を得た。
上述したごとく、溶銑中[Si]濃度が増加するとスラグ中(SiO)濃度が増加してスラグがフォーミングし易くなる。また、スラグ塩基度を同一にするなら、溶銑中[Si]濃度が高いほどスラグ量が増えてスロッピングし易くなる。さらに、スラグ中(TiO)濃度(本発明において、溶銑中[Ti]が酸化されて生成した酸化物を「TiO」と表記する。)が高いほどスロッピングし易いことが分かった。
そこで、スロッピングに関係がある溶銑成分として[Si]の他に[Ti]も考慮して、次に説明する実験的な検討をさらに行った。
上底吹き転炉に溶銑270tを装入し、上吹き酸素流量1.3〜4.2Nm/min/溶銑t、底吹きN流量0.1〜0.6Nm/min/溶銑tとして、生石灰および酸化鉄を添加して溶銑脱りん処理を行った。ここで、処理後のスラグ塩基度は1.5〜2.5とし、処理後の鍋中溶銑温度を1290〜1350℃とした。
その結果、溶銑中[Si]濃度と[Ti]濃度の和R(=[%Si]+[%Ti])が0.2以上であった場合に、上吹き酸素流量が1.5Nm/min/溶銑tを超えると、溶銑脱りん吹錬中にスロッピングが発生するとの結果が得られた。但し、[Si]は0.15質量%以上、[Ti]は0.04質量%以上であった。
そこで、溶銑脱りん吹錬中に炉内へ挿入したサブランスから、コークス粉(粒径0.3mm以下)をフォーミングスラグへ吹き付けたところ、スロッピングを抑制できた。
なお、上吹き酸素流量が大きくなると脱炭反応で生成するCOガス量が増えるため、スラグフォーミングが助長されてスロッピングし易くなる。その結果、上吹き酸素流量が多いほど、スロッピングを抑制するために必要なコークス粉の上吹き速度および上吹き量も増加した。ここで、コークス粉上吹き速度とは、コークス粉を上吹きした量を上吹きしていた時間で除した値、すなわち平均の上吹き速度を意味する。
こうしてコークス粉上吹きによるスロッピング抑制の確認実験を溶銑組成に着目しつつ行ったところ、コークス粉の吹き込み速度および吹き込み量の適正値は、上吹き酸素流量の他に、溶銑中[Si]濃度と[Ti]濃度にも強く依存しているとの知見が得られた。
溶銑中の[Si]や[Ti]は上吹き酸素によって酸化されて、それぞれSiO、TiOとなってスラグ中へ取り込まれる。すると、スラグ中のSiOやTiOの濃度が増えて、スラグのフォーミングが助長されて、スロッピングが発生し易くなったのである。その結果、溶銑中の[Si]と[Ti]の濃度の和R(=[%Si]+[%Ti])が多いほど、スロッピングを抑制するために必要なコークス粉の上吹き速度および上吹き量も増加した。
さらに実験的検討を重ねた結果、上底吹き転炉で溶銑脱りんする場合に、サブランスからスロッピングを抑制するためのコークス粉の吹き付け速度Vと吹き付け量Wの適正値を、上吹き酸素流量Qと処理前溶銑中の[Si]濃度と[Ti]濃度の和R(=[%Si]+[%Ti])の関数(下記式(1)〜(5))として定量的に把握できるとの知見が得られた。
なお、適正なVは下記式(1)〜(4)を同時に満足する範囲である。
Wは、上記したVの適正な範囲の下限値Vminと上限値Vmaxの4倍の範囲内が適正値である。
−0.14+0.16×Q≦V≦0.27+0.82×Q (1)
−0.25+1.75×R≦V≦−0.26+3.81×R (2)
1.5≦Q≦4.0 (3)
0.2≦R≦1.0 (4)
min≦W≦4×Vmax (5)
ここで、Q:上吹き酸素流量(Nm/min/溶銑t)、
R:処理前溶銑中[Si]濃度と[Ti]濃度の和(質量%)、
V:コークス粉上吹き速度(kg/min/溶銑t)、
W:コークス粉上吹き量(kg/溶銑t)、
min:上記式(1)〜(4)を同時に満足するVの最低値、および
max:上記式(1)〜(4)を同時に満足するVの最大値
である。
以上の知見に基づき完成された本発明は、上底吹き転炉型容器を用い、上吹き酸素流量1.5〜4.0Nm/min/溶銑t、底吹きN流量0.1〜0.6Nm/min/溶銑tとして、生石灰および酸化鉄を添加し、処理後のスラグ塩基度は1.5〜2.5で、吹錬中にサブランスからスラグへコークス粉を吹き付ける溶銑脱りん方法において、コークス粉吹き付け速度Vおよびコークス粉吹き付け量Wを上記式(1)〜(5)で規定する範囲内とすることを特徴とする溶銑脱りん方法である。
本発明によれば、処理前溶銑組成の内[Si]濃度と[Ti]濃度との和が高い場合や上吹き酸素流量を増加して高速脱りん処理する場合であっても、吹錬中のスロッピングを安定的に回避することができる。
以下、本発明に係る脱りん方法を、実施例を用いて詳しく説明する。
本発明に係る脱りん方法は、上吹き酸素流量が1.5Nm/min/溶銑t以上の高流量であって処理前溶銑中の[Si]濃度と[Ti]濃度との和がある程度高い、スロッピングが特に発生しやすい条件においてもその発生を効果的に抑制する方法である。したがって、処理対象となる溶銑は次の組成上の条件を満たすものが用いられる。
0.2≦[%Si]+[%Ti]≦1.0
溶銑における他の成分の濃度は特に限定されない。
本発明に係る脱りん方法を実施するにあたり、1.5Nm/min/溶銑t以上の流量で酸素を上吹きできること、底吹きN流量として0.1〜0.6Nm/min/溶銑tを確保できること、およびサブランスからスラグにコークス粉を吹きつけることができることが満たされれば、設備構成は特に限定されない。酸素とともに粉体状の生石灰をメインランスから供給できることが好ましい。
上底吹き転炉に溶銑270tを装入し、上吹き酸素流量1.3〜4.2Nm/min/溶銑t、底吹きN流量0.1〜0.6Nm/min/溶銑tとして、生石灰および酸化鉄(スケール)(約15kg/溶銑t)を添加して溶銑脱りん処理を行った。
なお、一部の実験では生石灰の多くを粉体とし、この粉体をNまたはOを80質量%以上含有する酸素ガスをキャリアーガスとして上吹きランスから溶銑浴面へ吹き付けて添加した。
処理後のスラグ塩基度は1.5〜2.5とした。また、処理前溶銑中の[Si]濃度は0.15質量%以上、[Ti]濃度は0.01質量%以上、および[P]濃度は約0.1質量%であった。
溶銑脱りん吹錬中にサブランスからフォーミングスラグへ、コークス粉(粒径0.3mm以下)を、速度0.1〜3.7kg/min/溶銑tで、0.06〜14.8kg/溶銑t吹き付けた。コークス粉のキャリアーガスはNとし、0.05〜0.4Nm/min/溶銑tとした。また、コークス粉吹き付け速度V(kg/min/溶銑t)/キャリアーN流量(kg/min/溶銑t)を0〜15とした。なお、上記のVが0の場合とは、コークス粉を吹き付けずNガスのみを吹き付けた場合(比較例1)に相当する。この場合におけるN流量は0.2Nm/min/溶銑tであった。
評価は、処理後鍋中溶銑中の[P]濃度が0.02質量%未満且つ吹錬中にスロッピングが発生しなかった場合を良好と判定(表中「○」)し、処理後溶銑中[P]が0.02質量%以上となるか吹錬中にスロッピングが発生した場合を不適と判定(表中「×」)した。
結果を表1および2に示す。
Figure 0005353935
Figure 0005353935
以下、実施例について詳しく説明する。
(比較例1)
上吹き酸素流量Qが所望の下限値1.5Nm/min/溶銑tであり、溶銑中[Si]濃度と[Ti]濃度の和Rが0.2と低くとも、脱りん吹錬中にスロッピングが発生してしまった。このことから、Qが1.5Nm/min/溶銑t以上且つRが0.2以上の条件下では、コークス粉を上吹きしなければ吹錬中にスロッピングが発生してしまうことがわかった。
(本発明例1〜4および比較例2)
Qを1.5から4.0Nm/min/溶銑tまで増加しても、サブランスからコークス粉を上記式(1)〜(4)で規定した範囲内の速度Vで、上記式(5)で規定した範囲内の量Wをフォーミングスラグへ吹き付けることで、吹錬中のスロッピングを回避でき、処理後の[P]濃度も0.02質量%未満にできた。
一方、Qを4.2Nm/min/溶銑tに高めると、サブランスからコークス粉を適正範囲内の上限に近い速度1.6kg/min/溶銑tで、適正範囲の上限に近い量6.5kg/溶銑tをフォーミングスラグへ吹き付けたが、吹錬中にスロッピングが発生してしまった。
以上のように、サブランスからコークス粉を上吹きして吹錬中のスロッピングを抑制するためのQの上限は4.0Nm/min/溶銑tであった。
(本発明例5〜9および比較例3)
溶銑中[Si]濃度と[Ti]濃度の和Rが1.0以下の場合、サブランスからコークス粉を適正な範囲内の速度で適正な範囲内の量をフォーミングスラグ中へ吹き付けることで、吹錬中のスロッピングを回避でき、処理後[P]濃度も0.02質量%未満にできた。
一方、Rが1.1と高い場合は、サブランスからコークス粉を適正範囲内の上限に近い速度2.3kg/min/溶銑tで、適正範囲の上限に近い量9.0kg/溶銑tをフォーミングスラグへ吹き付けたが、吹錬中にスロッピングが発生してしまった。
以上のように、サブランスからコークス粉を上吹きして吹錬中のスロッピングを抑制するためのRの上限は1.0であった。
(本発明例10および11ならびに比較例4および5)
所望の操業条件の中では最もスロッピングし難い条件である、Q=1.5Nm/min/溶銑t、R=0.2において、適正な範囲内の下限値に近い速度0.1kg/min/溶銑tで、適正範囲の下限値に近い量0.11kg/溶銑tをフォーミングスラグへ吹き付けたところ(本発明例10)、吹錬中のスロッピングを回避でき、処理後[P]濃度も0.02質量%未満にできた。
これに対し、所望の操業条件の中では最もスロッピングし難い条件である、Q=1.5Nm/min/溶銑t、R=0.2において、適正な範囲内の下限値未満の速度0.05kg/min/溶銑tで、適正範囲内の量0.20kg/溶銑tをフォーミングスラグへ吹き付けたところ(比較例4)、吹錬中にスロッピングが発生した。
このことから、スラグをフォーミングさせるCOガス生成速度に対して、適正な速度でコークス粉を吹き付けなければ、スロッピングを回避できないことがわかった。コークス粉吹き付け速度の適正値は、スラグ中に取り込まれるCOガス気泡の増加速度と、サブランスから吹き付けたコークス粉でスラグ中に取り込まれたCOガス気泡を破壊してスラグ外へ放出させる速度との兼ね合いで決まるのである。
一方、所望の操業条件の中では最もスロッピングし易い条件である、Q=4.0Nm/min/溶銑t、R=1.0において、適正な範囲内の上限値に近い速度3.5kg/min/溶銑tで、適正範囲の上限値に近い量14.0kg/溶銑tをフォーミングスラグへ吹き付けたところ(本発明例11)、吹錬中のスロッピングを回避でき、処理後[P]濃度も0.02質量%未満にできた。
これに対し、所望の操業条件の中では最もスロッピングし易い条件である、Q=4.0Nm/min/溶銑t、R=1.0において、適正な範囲内の上限超の速度3.7kg/min/溶銑tで、適正範囲内の量7.4kg/溶銑tをフォーミングスラグへ吹き付けたところ(比較例5)、吹錬中にスロッピングが発生した。
この理由は定かでないが、コークス粉吹き付け速度が大き過ぎると、コークス粉がフォーミングスラグ中へ効率よく分散せずに溶銑浴面や炉壁へ衝突してしまい、スロッピング抑制効果を発揮できなくなったことが一因と考えられる。
(本発明例12および13ならびに比較例6および7)
所望の操業条件の中では最もスロッピングし難い条件である、Q=1.5Nm/min/溶銑t、R=0.2において、適正な範囲内の下限値に近い速度0.11kg/min/溶銑tで、適正範囲の下限値に近い量0.11kg/溶銑tをフォーミングスラグへ吹き付けたところ(本発明例12)、吹錬中のスロッピングを回避でき、処理後[P]濃度も0.02質量%未満にできた。
これに対し、所望の操業条件の中では最もスロッピングし難い条件である、Q=1.5Nm/min/溶銑t、R=0.2において、適正な範囲内の速度0.10kg/min/溶銑tで、適正範囲の下限値未満の量0.06kg/溶銑tをフォーミングスラグへ吹き付けたところ(比較例6)、吹錬中にスロッピングが発生した。
このことから、スラグをフォーミングさせるCOガス生成速度に対して、適正な速度でコークス粉を吹き付けても、コークス粉を適正量吹き付けなければ、スロッピングを回避できないことがわかった。スラグ中のCO気泡をコークス粉で破壊してスロッピングを抑制するためには、スラグ中にコークス粉が分散されて且つある程度の時間スラグ中に滞留していなくてはならない。
上述したごとく、コークス粉はスラグ中(FeO)と反応して消費されてしまう。したがって、フォーミング沈静効果をある程度維持するには、コークス粉を適正量スラグ中へ投入する必要があるのである。
一方、所望の操業条件の中では最もスロッピングし易い条件である、Q=4.0Nm/min/溶銑t、R=1.0において、適正な範囲内の上限値に近い速度3.5kg/min/溶銑tで、適正範囲の上限値に近い量14.0kg/溶銑tをフォーミングスラグへ吹き付けたところ(本発明例13)、吹錬中のスロッピングを回避でき、処理後[P]濃度も0.02質量%未満にできた。
これに対し、所望の操業条件の中では最もスロッピングし易い条件である、Q=4.0Nm/min/溶銑t、R=1.0において、適正な範囲内の速度3.5kg/min/溶銑tで、適正範囲上限超の量14.8kg/溶銑tをフォーミングスラグへ吹き付けたところ(比較例7)、吹錬中のスロッピングは回避できたが、処理後[P]濃度が0.023質量%に上昇し、脱りん不良となってしまった。
コークス粉を適正量以上添加すると、スラグ中(FeO)濃度を必要以上にコークス粉で還元してしまうため、脱りん不良を生じてしまったのである。
(本発明例14〜16および比較例8)
処理後のスラグ塩基度を1.5〜2.5とすることで、サブランスからコークス粉を適正条件内で上吹きしても処理後[P]を0.02質量%未満にできた。
これに対し、処理後のスラグ塩基度を1.4に下げると、サブランスからコークス粉を適正条件内で上吹きしても、処理後[P]が0.022質量%まで上昇し、脱りん不良となってしまった。サブランスから吹き付けたコークス粉はスラグ中のCO気泡を破壊してスロッピングを抑制できるが、その際にスラグ中の(FeO)とコークス中のCが反応して、スラグ中の(FeO)濃度が低下してしまう。
高い脱りん率を得るには、スラグの塩基度を高めて、且つスラグ中(FeO)濃度も高めなければならない。そして、スラグの塩基度が低い場合は、特にスラグ中(FeO)濃度を高める必要がある。したがって、スラグ塩基度が低い場合にサブランスからコークス粉を吹き付けてスラグ中(FeO)濃度を下げてしまう場合は、脱りん不良となってしまうのである。
(本発明例17および18)
溶銑脱りん吹錬に用いる生石灰の40質量%または100質量%を粉体(粒径0.2mm以下)とし、Oを80質量%以上含有する酸素ガスをキャリアーガスとして、この粉体を吹錬中に上吹きランスから溶銑浴面へ吹き付けて添加した。サブランスからは適正範囲内の条件でコークス粉を吹き付けた。
その結果、吹錬中のスロッピングを回避でき、しかも処理後[P]を0.01質量%以下にまで低減できた。これは、上吹きした生石灰粉がスラグ中へ速やかに溶解して、脱りん反応に充分寄与したためである。

Claims (1)

  1. 上底吹き転炉型容器を用い、上吹き酸素流量1.5〜4.0Nm/min/溶銑t、底吹きN流量0.1〜0.6Nm/min/溶銑tとして、生石灰および酸化鉄を添加し、処理後のスラグ塩基度は1.5〜2.5で、吹錬中にサブランスからスラグへコークス粉を吹き付ける溶銑脱りん方法において、コークス粉吹き付け速度Vおよびコークス粉吹き付け量Wを下記式(1)〜(5)で規定する範囲内とすることを特徴とする溶銑脱りん方法。
    −0.14+0.16×Q≦V≦0.27+0.82×Q (1)
    −0.25+1.75×R≦V≦−0.26+3.81×R (2)
    1.5≦Q≦4.0 (3)
    0.2≦R≦1.0 (4)
    min≦W≦4×Vmax (5)
    ここで、Q:上吹き酸素流量(Nm/min/溶銑t)、
    R:処理前溶銑中[Si]濃度と[Ti]濃度の和(質量%)、
    V:コークス粉上吹き速度(kg/min/溶銑t)、
    W:コークス粉上吹き量(kg/溶銑t)、
    min:上記式(1)〜(4)を同時に満足するVの最低値、および
    max:上記式(1)〜(4)を同時に満足するVの最大値
    である。
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