JP3888313B2 - スロッピング防止方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スロッピング防止方法に関し、転炉を用いて、気体酸素や固体酸素を使用して脱珪や脱燐といった溶銑予備処理を行う際に発生するスロッピングを防止する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶銑を転炉、混銑車さらには溶銑鍋等の精錬容器に装入し、気体酸素を上吹き又は上底吹きして、鋼の目標成分まで脱炭及び脱燐等を行う場合、脱燐に必要な媒溶剤として CaO分を含む生石灰、石灰石、軽焼ドロマイトさらにはドロマイト等が使用される。近年、これら媒溶剤の使用量の削減と鋼の多種多様化とに対応するため、別の精錬容器又は同じ精錬容器を用いて、溶銑を予め脱珪、脱燐さらには脱硫する溶銑予備処理が一般的に行われている。
【0003】
脱珪により溶銑中のSiが酸化されてSiO2となってスラグとなり、スラグは塩基度(一般にCaO/SiO2)が小さくなって、融点が下がる。また、脱燐反応に必要なスラグ中のFeO も同様にスラグの融点を下げる。その結果、融点の低下により溶融化したスラグが形成される。これと同時に投入された酸素源は、溶銑中の炭素も酸化し、ガスを発生させる。このとき、スラグはフォーミング(泡化)し、精錬容器のフリーボード以上に大きくなると吹きこぼれてスロッピングとなる。
【0004】
このスロッピング対策として、特許文献1、2、3には、溶銑予備処理中にスラグがフォーミング状態になった場合に連続的に炭材を溶銑トン当たり 0.1kg以上 0.8kg未満吹き込む発明が、それぞれ開示されている。
【0005】
また、特許文献4、5、6には、炭材に石灰石やプラスチック及び紙スラッジを混合して比重を2〜5に調整した上でバインダを用いてブリケット化したフォーミングスラグ鎮静剤を使用する発明が、それぞれ開示されている。通常スラグの比重は冷却状態で3程度であるもののフォーミング状態では1未満であるため、この発明によれば炭材をスラグ中に確実に投入することが可能になると考えられる。
【0006】
さらに、特許文献7や特許文献8には、酸化鉄である鉄鉱石を融点以上の温度に保ちながら還元する、いわゆる溶融還元製鉄法に関するものではあるが、溶融還元の操業中に溶融スラグ高さの測定値に基づいて炭素含有物質を添加することによりフォーミング高さを適正な範囲に制御する発明が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−125424号公報
【特許文献2】
特開平5−287347号公報
【特許文献3】
特開平5−287348号公報
【特許文献4】
特開平9−217107号公報
【特許文献5】
特開平9−310112号公報
【特許文献6】
特開平11−50124 号公報
【特許文献7】
特開平9−272910号公報
【特許文献8】
特開平5−125422号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1〜3により開示された発明における炭材の吹込みは、既にフォーミング状態に達しているスラグ、又はフォーミング状態に達する直前のスラグに対して行われるため、炭材をスラグ中に均一に吹き込むことが難しいとともに、比較的粒度が小さい炭材を連続的に吹き付けるために、吹き付けられた炭材がスラグ上を浮遊してしまい、スロッピングを十分に抑制できない可能性がある。このため、これらの発明では、スロッピングひいてはフォーミングを十分に抑制できない。
【0009】
また、特許文献4〜6により開示された発明も、特許文献1〜3により開示された発明と同様に、炭材の吹込みは、既にフォーミング状態に達しているスラグ、又はフォーミング状態に達する直前のスラグに対して行われるため、炭材をスラグ中に均一に吹き込むことが難しい。
【0010】
さらに、特許文献7、8により開示された発明は、操業条件が著しく異なる溶融還元製鉄法におけるフォーミング状態の制御に関するものであるため、転炉、混銑車さらには溶銑鍋等の精錬容器を用いた溶銑予備処理に適用できるか否か不明である。
【0011】
本発明の目的は、転炉を用いて、気体酸素や固体酸素を使用して脱珪や脱燐といった溶銑予備処理を行って精錬を行う際に発生するスロッピングを抑制する方法を提供することであり、特にAlを0.5%(本明細書では特にことわりがない場合、「%」は「質量%」を意味するものとする)以上、かつ塩基度が1.5以上であるスラグを有する溶銑予備処理スラグのスロッピング抑制方法に関するものである。そして、本発明の目的は、スロッピングやスラグフォーミングを抑制するめに重要な炭材とスラグとの均一混合及び散布を可能にするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、転炉を用いる溶銑予備処理の開始前又は溶銑予備処理における送酸開始後3分間以内に、粒径2mm以上の炭材を転炉の直上から溶銑に投入し、炭材がスラグ中に固体として存在することによって溶銑予備処理の際におけるCOガス気泡の合体及び浮上離脱を促進して、溶銑予備処理の初期からスラグフォーミングを抑制してスロッピングの発生を未然に抑制することを特徴とするスロッピング防止方法である。
【0013】
この本発明に係るスロッピング防止方法では、(i) 炭材が溶銑トン当たり1kg以上投入されること、(ii)溶銑予備処理が、気体酸素の送酸速度Vo2≧0.5 (Nm3/min・t)、精錬後の炭素濃度Nc ≧3.3 %を満たし、スラグ中のAl2O3 濃度≧0.5 %かつ塩基度(CaO/SiO2)≧1.5 の条件で行われること、又は(iii) 炭材が、揮発成分の含有量が12%以下であることが、それぞれ望ましい。
【0014】
具体的には、本発明は、気体酸素の送酸速度Vo≧0.5(Nm/min・t)、精錬後の炭素濃度Nc≧3.3%を満たし、スラグ中のAl濃度≧0.5%かつ塩基度(CaO/SiO)≧1.5の条件で転炉を用いる溶銑予備処理を行って精錬を行う際に、溶銑予備処理の開始前又は溶銑予備処理における送酸開始後3分間以内に、揮発成分の含有量が12%以下である粒径2mm以上の炭材を転炉の直上から溶銑に溶銑トン当たり1kg以上投入し、炭材がスラグ中に固体として存在することによって溶銑予備処理の際におけるCOガス気泡の合体及び浮上離脱を促進して、溶銑予備処理の初期からスラグフォーミングを抑制してスロッピングの発生を未然に抑制することを特徴とするスロッピング防止方法である。
【0015】
これらの本発明に係るスロッピング防止方法では、揮発成分の含有量が3%以上であることが望ましく、3%以上12%以下であることがさらに望ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るスロッピング防止方法の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
(1)スロッピングやスラグフォーミングの発生機構
本実施の形態では、溶銑予備処理を行う精錬容器として、転炉、混銑車さらには溶銑鍋等の、鋼精錬(主に脱炭精錬)を行う前段階で使用する容器全般を用い、気体酸素を上吹き又は上底吹きしながら溶銑予備処理を行う。溶銑予備処理における主な反応は、下記(1) 式及び(2) 式により表される。
【0018】
脱珪反応:Si+O2=SiO2又はSi+2FeO=SiO2+2Fe ・・・・・(1)
脱燐反応:2P+5FeO+CaO =P2O5・CaO +5Fe ・・・・・(2)
気体酸素や固体酸素によって起こる脱珪反応は、(1) 式に示すように溶銑中のSiが酸化しSiO2となってスラグとなる。このため、スラグは塩基度(一般にCaO/SiO2)が低下し、融点が下がる。また、脱燐反応に必要なスラグ中のFeO も、(2) 式に示すように同様にスラグの融点を低下させる。
【0019】
特に、Al2O3 濃度≧0.5 %かつ塩基度(CaO/SiO2)≧1.5 以上のスラグは、溶融化する。
これと同時に投入された酸素源は溶銑中の炭素も酸化しCOガスを発生する。
【0020】
2C+O2=2CO(g) ・・・・・(3)
このとき、溶融化して存在するスラグは、COガスを吸収し、フォーミング(泡化)する。これが精錬容器のフリーボード以上に大きくなると吹きこぼれてスロッピングとなる。
【0021】
以上のようにして、スロッピングやスラグフォーミングが発生する。
なお、スロッピングやスラグフォーミングが発生し易い条件として、短時間で処理を行うことが挙げられる。高能率化のため送酸速度を上げて短時間で処理を行うとCOガス気泡の発生速度が増大するためである。逆に送酸速度を小さくして処理を行うとスロッピングやスラグフォーミングの発生率は低下する。
【0022】
(2)溶銑予備処理の開始前又は溶銑予備処理における送酸開始後3分間以内での炭材投入
本実施の形態では、この溶銑予備処理の開始前又は溶銑予備処理における送酸開始後3分間以内に、炭材を溶銑に投入することにより、溶銑予備処理の際におけるスロッピングやスラグフォーミングの発生を抑制する。以下、上記タイミングで炭材を投入する理由を説明する。
【0023】
上述したように、溶銑予備処理の際のスロッピングやスラグフォーミングを鎮静するには、炭材を投入することが有効であることは周知である。しかし、従来のようにスロッピング状態やフォーミング状態にあるスラグに炭材を投入してもスロッピングやスラグフォーミングの抑制能力の点で充分効果があるとは言い難い。
【0024】
図1は、溶銑予備処理スラグ中のAl2O3 濃度とスロッピング発生率との関係の一例を示すグラフである。同図にグラフで示すように、Al2O3 を0.5 %以上含有する溶銑予備処理スラグは、スロッピングやスラグフォーミングを特に引き起こし易いことがわかる。
【0025】
また、図2は、溶銑予備処理の際の気体酸素の送酸速度Vo2とスロッピング発生率との関係の一例を示すグラフである。同図にグラフで示すように、気体酸素の送酸速度Vo2が0.5 (Nm3/min・t)以上であると、スロッピングやスラグフォーミングを発生し易いことがわかる。
【0026】
また、図3は、精錬後の炭素濃度Nc とスロッピング発生率との関係の一例を示すグラフである。同図にグラフで示すように、精錬後の炭素濃度Nc が3.3 %以上の高炭素領域で行われる溶銑予備処理では、スロッピングやスラグフォーミングを発生し易いことがわかる。一方、精錬後の炭素濃度Nc <3.3 %の場合には、次工程での脱炭精錬における熱源確保の観点から、外的方法による熱補償が必要となる。
【0027】
スロッピングやスラグフォーミングを特に引き起こし易いこれらの条件により溶銑予備処理を行う場合には、溶銑予備処理の開始前、又は送酸開始後3分間以内に、スラグ中に固体として存在することによって溶銑予備処理の際におけるCOガス気泡の合体及び浮上離脱を促進することができるように、炭材を溶銑又はスラグ中に投入することが有効である。
【0028】
ここで、スラグ中に固体として存在することによって溶銑予備処理の際におけるCOガス気泡の合体及び粗大化を阻止するためには、溶銑予備処理の開始前、又は送酸開始後3分間以内に炭材を溶銑トン当たり1kg以上投入すればよい。
【0029】
図4は、炭材投入時間とスロッピング発生率との関係の一例を示すグラフである。同図にグラフで示すように、溶銑予備処理の開始前、又は送酸開始後3分間以内に炭材を投入すれば、溶銑予備処理の際におけるスロッピングの発生を未然に抑制し、スロッピング発生率を目標値である10%以下に抑制できる。
【0030】
従来は、スラグフォーミングが発生してから、例えば送酸開始後3〜5分間以上経過時点で炭材を投入していた。これに対し、本実施の形態では、精錬開始前あるいは精錬開始後3分間以内に投入する。
【0031】
この違いは、本実施の形態では、スラグフォーミングを鎮静することを目的とするのではなく、スラグフォーミングの発生自体を抑制することを目的とするためである。
【0032】
また、溶銑予備処理の開始前、又は送酸開始後3分間以内に炭材を投入することにより、精錬後の炭素濃度の上昇を図ることもできる。
このため、本実施の形態では、気体酸素の送酸速度Vo2≧0.5 (Nm3/min・t)、精錬後の炭素濃度Nc ≧3.3 %を満たし、スラグ中のAl2O3 濃度≧0.5 %かつ塩基度(CaO/SiO2)≧1.5 の条件で溶銑予備処理を行って精錬を行う際に、溶銑予備処理の開始前又は溶銑予備処理における送酸開始後3分間以内に、炭材を溶銑トン当たり1kg以上投入する。
【0033】
本実施の形態において使用できる炭材としては、石炭、土状黒鉛さらにはコークス等の炭素含有量が高いものであれば自由に選択でき、コストによって使用銘柄を特定したり、あるいは溶製する鋼の硫黄濃度に応じて使い分けることも可能である。
【0034】
また、炭材には、同じ種類であっても、産地や製造過程における品位の差が不可避的に存在する。これは、炭素の含有量や不純物元素の濃度さらには揮発成分の濃度等が挙げられる。中でも揮発成分の含有量は、高温域、この場合精錬炉内での炭材の反応に大きく影響する。揮発成分が多過ぎると爆発的な反応が起こり操業上危険が伴う。逆に少なすぎて3%未満程度になると若干効果が落ちる。したがって、スロッピング、スラグフォーミング抑制に用いる炭材の揮発成分は適度に存在するが少ない方が好ましい。
【0035】
具体的には、投入する炭材は、揮発成分の含有量が12%超のものを使用すると、爆発的な反応が起こり操業上危険であるため、揮発成分の含有量が12%以下のものを使用する。なお、炭材中の揮発成分の含有量は3%未満であってもある程度の効果は得られるが、実施の上では揮発成分の含有量が3%以上12%以下である炭材を用いることが最も望ましい。
【0036】
(3)スロッピング及びスラグフォーミングの発生抑制機能
次に、本実施の形態により、スラグフォーミングの発生が操業上問題ない程度に抑制される理由を推定して説明する。
【0037】
フォーミングスラグ中には、溶銑中の炭素が酸化されて発生したCOガスの気泡が無数に存在している。これらのCOガス気泡がスラグから浮上離脱する速度を新たなCOガスが発生する速度が上回ると、COガス気泡の滞留量が増加し、さらにスラグフォーミングは増大する。
【0038】
この際、フォーミングスラグ中に炭材が存在すると、炭材とスラグとの濡れ性が悪いため、フォーミングスラグ中でCOガス気泡が分断され、COガス気泡の合体及び浮上離脱が促進される。
【0039】
このため、本実施の形態では、スラグ中に固体として存在することによって溶銑予備処理の際におけるCOガス気泡の合体及び浮上離脱を促進することができるように、炭材を投入する。
【0040】
炭材の比重はフォーミング状態のスラグのそれとほぼ同程度である。すなわち、フォーミング状態のスラグに炭材を均一に投入することが困難であると言える。そこで本発明では処理前あるいは処理の初期に炭材を投入することにより均一に混合し効果を最大限に発揮できることで脱珪脱燐処理の初期からスラグフォーミングを抑制することができ、その効果を最大限に発揮できる。ただし、前述したように使用する炭材の品位が、その効果に大きく影響するため、揮発成分が12%以下のものを使用するのが有効である。また、精錬後の炭素濃度Nc<3.3 %の領域では脱炭反応速度が上昇する領域であり、炭材の酸化が大きくなり、スロッピング・スラグフォーミング抑制効果が半減する。
【0041】
炭材は、精錬容器の直上から投入されるため、粉が多いと投入歩留まりの悪化を招く。このため、炭材の粒度は2mm以上であることが望ましく、揮発成分が多いと精錬容器上のホッパー内での異常反応の恐れもあるため、スラグフォーミング抑制の観点から炭素純度が高く、かつ安全性の問題から揮発成分の含有量が少ないものを使用することが望ましい。
【0042】
このように本実施の形態では、スロッピング及びスラグフォーミング抑制を十分に図るためには、投入される炭材には、▲1▼揮発成分の濃度が12%以下であること、▲2▼処理中に精錬炉の上方から投入されることを考慮して、スラグ中に容易に進入できる比重(1程度)を有すること、及び▲3▼スラグ中に均一に分散(投入タイミングが重要)されることが求められる。
【0043】
このように、本実施の形態によれば、例えば転炉、混銑車さらには溶銑鍋等の精錬容器を用いて、気体酸素や固体酸素を使用して脱珪や脱燐といった溶銑予備処理を行って精錬を行う際におけるスロッピングを抑制すること、具体的には、特にAl2O3 を 0.5%以上、かつ塩基度が1.5 以上であるスラグを有する溶銑予備処理スラグのスロッピングを抑制することができる。
【0044】
【実施例】
さらに、本発明を実施例を参照しながら具体的に説明する。
図5は、本実施例における基本的な脱珪脱燐処理フローを模式的に示す説明図である。
【0045】
同図に示すように、本実施例では、 250トン転炉1に溶銑鍋2から溶銑3を装入し、媒溶剤4及び炭材5を投入した後、上吹きランス6より酸素7を吹込むことにより溶銑予備処理を行った。また、表1には処理前の溶銑3の成分を示し、表2には今回使用した4種類の炭材5の成分を示す。4種類の炭材5の成分は揮発成分を除いて大きな差はない。
【0046】
【表1】
Figure 0003888313
【0047】
【表2】
Figure 0003888313
【0048】
(実施例1)
表2における炭材Aを使用した実施例を示す。炭材Aは揮発成分の含有量が7%と今回使用した中では2番目に少ない。
【0049】
図6に実施例1におけるスラグフォーミング高さと炭材使用量との関係をグラフで示し、図7に実施例1におけるスロッピング発生比率と炭材使用量との関係をグラフで示す。
【0050】
図6及び図7にグラフで示すように、スラグフォーミング高さ及びスロッピング発生比率のいずれもが、炭材Aの使用量が溶銑トン当たり1kg以上になると急激に減少することがわかる。
【0051】
また、図8に、実施例1における溶銑予備処理後のC濃度の変化をグラフで示す。炭材Aを使用しない場合と比較すると、0.3 %上昇したことがわかる。
すなわち、炭材Aは、充分にスロッピング及びスラグフォーミングの防止材としての機能を有するとともに、溶銑中の炭素濃度の低下を抑制できることもわかる。
【0052】
なお、図6及び図7に示すグラフから、スロッピング及びスラグフォーミングの抑制に有効な炭材の最小量は1kg/ 溶銑トンであることがわかるが、使用量を1kg/ 溶銑トン超に増加させるとより安定して効果が得られ、さらには処理後の炭素濃度の低下も抑制できることから、使用する炭材のコストや溶製する鋼の硫黄濃度等に応じて使い分けることが望ましい。
【0053】
また、具体的な結果については省略するが、揮発成分の含有量が12%である炭材Bについても炭材Aと略同様の結果が得られ、炭材Bも充分にスロッピング及びスラグフォーミングの防止材としての機能を有するとともに、溶銑中の炭素濃度の低下を抑制できることもわかる。
【0054】
(実施例2)
実施例2では炭材Cを使用した。炭材Cは、揮発成分の含有量が2%未満と今回使用した中では最も少ない。
【0055】
図9に、実施例2における炭材使用量とスラグフォーミング高さとの関係をグラフで示し、図10に実施例2における炭材使用量とスロッピング発生率との関係をグラフで示す。
【0056】
図9及び図10にグラフで示すように、スラグフォーミング高さ及びスロッピング発生比率のいずれもが、炭材使用量が溶銑トン当たり1kg以上になると減少するものの、炭材A、Bと比較すると若干劣っている。
【0057】
これは揮発成分の含有量が少な過ぎることが原因であると考えられる。前述したように、炭材中の拝発成分の含有量は、多過ぎると爆発的な反応を起こし危険である。
【0058】
しかし、その反応性の高さゆえ、適量の揮発成分がスラグ中で反応することにより、COガスの気泡を破壊し、瞬時にスラグフォーミングを抑制する効果を持っているとも考えられる。したがって、送酸の初期におけるスラグフォーミングの抑制効果に差が出ているものと考えられる。
【0059】
(実施例3)
炭材Dを使用した実施例を示す。炭材Dは揮発成分が20%と今回使用した中では最も多い。炭材Dは投入と同時に爆発的な反応を起こし操業上危険であると判断したため、使用を中止した。
【0060】
具体的には、本実施例では、(i) 炭材を処理前あるいは処理開始後3分以内に溶銑トン当たり1kg以上使用することにより、溶銑予備処理時のスロッピングやスラグフォーミングを抑制でき、(ii)スロッピングやスラグフォーミングの抑制に有効な炭材量は溶銑トン当たり1〜2kgであると考えられるが、それ以上使用するとさらに安定した効果が得られ、かつ処理後の炭素濃度低下も抑制でき、さらに(iii) 炭材の揮発成分の含有量は3%以上12%以下であることが望ましく、揮発成分の含有量が3%未満である炭材に対してスロッピング及びスラグフォーミングの抑制及び処理後の炭素濃度の低下抑制効果は若干大きい。しかし、3%未満のものであっても充分に効果は得られる。
【0061】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明により、転炉を用いて、気体酸素や固体酸素を使用して脱珪や脱燐といった溶銑予備処理を行う際に発生するスロッピングを抑制すること、特にAlを0.5%以上、かつ塩基度が1.5以上であるスラグを有する溶銑予備処理スラグのスロッピングを操業上問題ない程度に抑制することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶銑予備処理スラグ中のAl2O3 濃度とスロッピング発生率との関係の一例を示すグラフである。
【図2】溶銑予備処理の際の気体酸素の送酸速度とスロッピング発生率との関係の一例を示すグラフである。
【図3】精錬後の炭素濃度とスロッピング発生率との関係の一例を示すグラフである。
【図4】炭材投入時間とスロッピング発生率との関係の一例を示すグラフである。
【図5】 実施例1〜3における基本的な脱珪脱燐処理フローを模式的に示す説明図である。
【図6】実施例1におけるスラグフォーミング高さと炭材使用量との関係を示すグラフである。
【図7】実施例1におけるスロッピング発生比率と炭材使用量との関係を示すグラフである。
【図8】実施例1における溶銑予備処理後のC濃度の変化を示すグラフである。
【図9】実施例2における炭材使用量とスラグフォーミング高さとの関係を示すグラフである。
【図10】実施例2における炭材使用量とスロッピング発生率との関係を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 転炉を用いる溶銑予備処理の開始前又は該溶銑予備処理における送酸開始後3分間以内に、粒径2mm以上の炭材を前記転炉の直上から溶銑に投入し、前記炭材がスラグ中に固体として存在することによって前記溶銑予備処理の際におけるCOガス気泡の合体及び浮上離脱を促進して、前記溶銑予備処理の初期からスラグフォーミングを抑制してスロッピングの発生を未然に抑制することを特徴とするスロッピング防止方法。
  2. 前記炭材は溶銑トン当たり1kg以上投入される請求項1に記載されたスロッピング防止方法。
  3. 前記溶銑予備処理は、気体酸素の送酸速度Vo≧0.5(Nm/min・t)、精錬後の炭素濃度Nc≧3.3質量%を満たし、スラグ中のAl濃度≧0.5質量%かつ塩基度(CaO/SiO)≧1.5の条件で行われる請求項1又は請求項2に記載されたスロッピング防止方法。
  4. 前記炭材は、揮発成分の含有量が12質量%以下である請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載されたスロッピング防止方法。
  5. 気体酸素の送酸速度Vo≧0.5(Nm/min・t)、精錬後の炭素濃度Nc≧3.3質量%を満たし、スラグ中のAl濃度≧0.5質量%かつ塩基度(CaO/SiO)≧1.5の条件で転炉を用いる溶銑予備処理を行って精錬を行う際に、溶銑予備処理の開始前又は該溶銑予備処理における送酸開始後3分間以内に、揮発成分の含有量が12質量%以下である粒径2mm以上の炭材を前記転炉の直上から溶銑に溶銑トン当たり1kg以上投入し、前記炭材がスラグ中に固体として存在することによって前記溶銑予備処理の際におけるCOガス気泡の合体及び浮上離脱を促進して、前記溶銑予備処理の初期からスラグフォーミングを抑制してスロッピングの発生を未然に抑制することを特徴とするスロッピング防止方法。
  6. 前記揮発成分の含有量は3質量%以上である請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載されたスロッピング防止方法。
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