JP6481774B2 - 溶鉄の脱りん剤、精錬剤および脱りん方法 - Google Patents

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Description

本発明は、上底吹き転炉を用いて行う溶銑の脱りん処理方法に関して、吹錬時間が短い精錬工程でも効率的に低りん鋼を溶製できることを特徴とする溶鉄の脱りん剤、精錬剤および脱りん方法に関するものである。
近年、鋼材に対する要求が高度化し、低りん鋼に対する需要が増加している。現在、溶銑の脱りん処理は、熱力学的に有利な溶銑段階の低温条件において処理する方法によって、広く一般に行われている。溶銑脱りんの装置としては上底吹き転炉が適している。それは、脱りんに必要な酸化剤として、固体酸化源に比べて熱ロスの少ない気体酸素を、上吹きランスから高速で溶銑に吹きつけることが可能なためである。
溶銑脱りんは、溶銑段階の低温条件において行われるため、脱りん剤として使用されるCaOの滓化を促進させることが重要である。CaOの滓化には蛍石(CaF)の使用が効果的であるが、蛍石を使用した場合にはCaOの滓化により発生したスラグがフッ素を含有するため、スラグの再利用先が大幅に制限されるなどの弊害が大きい。そのため、蛍石を用いないCaO滓化促進法が開発されてきた。
その方法として、例えば上底吹き転炉に装入された溶銑にカルシウムフェライトを含む精錬剤を添加する特許文献1、2の方法が知られている。カルシウムフェライトは、CaOとFeの化合物からなる脱りん剤であり、溶銑脱りんプロセスの脱りん剤として一般的に用いられる生石灰と比較して、脱りんスラグへの溶解速度が高く、脱りん反応を促進することができる。また、特許文献3には、カルシウムフェライトの溶融性を改善するためにNaOを加えた脱りん剤について開示されている。また、特許文献4には、生石灰粉を50重量%以上含む精錬用フラックスにアルミナ粉、酸化鉄粉、ソーダ灰、ソーダガラス粉末のいずれかを含有させた滓化促進剤が開示されている。
特開2013−163844号公報 特開2013−064167号公報 特開2012−12680号公報 特開2001−348610号公報
しかしながら、特許文献1、2等に開示された脱りん処理に用いられる通常のカルシウムフェライトは、液相線温度が約1400℃であり、転炉内の溶銑の温度である1200〜1350℃よりも高い。これは上吹きランスから供給される酸素と溶銑中のSiやFeの酸化反応によって生成する液体の脱りんスラグに、固体のカルシウムフェライトが溶解することになり、吹錬時間が短い場合は、カルシウムフェライトが十分に溶融せず、脱りんが不十分となり、[P](鋼中に溶存するPの質量%)が目標値に到達しない状態で吹錬が終了してしまうことが考えられる。
また、特許文献2には、吹錬時間を10分間程度とし、全吹錬時間の35%が経過した後にカルシウムフェライトを添加し始め、全吹錬時間の80%が経過するまでに添加を完了する技術が記載されている。ところが、例えば4分以内の短時間で吹錬を行う場合、特許文献2の方法では、カルシウムフェライトの溶融が不十分で、脱りん効率が悪化することが懸念される。
特許文献3には、NaOを含有したカルシウムフェライトについて記載されているが、それを用いた脱りん方法について記載されておらず、吹錬時間が短い場合に適した脱りん方法は不明である。また、本発明者らの上底吹き転炉を用いた実験によると、特許文献3に記載の脱りん剤を用いて4分程度の短時間で吹錬を行った場合、カルシウムフェライトは十分に溶解せず、脱りん効率も不十分であり、[P]<0.02%の低りん鋼の溶製が困難であった。
また、特許文献4のように、生石灰粉を主成分とする精錬用フラックスも4分程度の短時間では十分に溶解せず、脱りん効率も不十分である。これは、精錬用フラックスに含まれる生石灰、アルミナ、酸化鉄等は、各々の融点が高く、精錬フラックス全体の溶融速度が小さいためである。
近年、転炉の生産効率を向上するため、溶銑脱りんプロセスの短時間化が図られており、例えば、4分程度の脱りん吹錬時間で[P]<0.02%の低りん鋼を溶製することを要求される。このような背景の中、短時間の吹錬を行った場合においても、低りん鋼の溶製が可能な脱りん剤および脱りん方法の開発が望まれた。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討し、カルシウムフェライトにAlを含有させ、さらにこれらの濃度を適正化することで、短時間の吹錬でも十分に精錬剤が溶解し、効率的に低りん鋼を溶製できることを見出した。また、Alに加え、さらに、SiO、NaOを含有させることについても検討を行った。
その結果、次の発明を考案した。
(1)
2〜20質量%のAl を含有し、(Al 質量%)/(CaO質量%)比が0.04〜0.5であり、2.0質量%以上のNa Oを含有し、
(Na O質量%)/(Al 質量%)比が0.1〜2.0であり、
残部がカルシウムフェライトと不純物である、溶銑の脱りん剤。
(2)
さらに、1〜10質量%のSiOを含有し、(SiO質量%)/(CaO質量%)比が0.04〜0.3である、(1)に記載の溶銑の脱りん剤
(3)
(1)または(2)のいずれか1項に記載の脱りん剤を含有する、精錬剤。
(4)
(3)に記載の精錬剤を転炉内に添加し、溶銑の脱りん処理を行う方法であって、装入(CaO)/(SiO)比が1.3〜2.0である、溶銑の脱りん方法。
(5)
前記カルシウムフェライトに含まれるCaO質量が、前記精練剤に含まれるCaO質量の20%以上である、(4)に記載の溶銑の脱りん方法。
(6)
前記精錬剤を溶銑の装入よりも前に前記転炉内に投入する、(4)に記載の溶銑の脱りん方法。
なお、本発明においてカルシウムフェライトとは、CaOとFeを主成分とする化合物であって、CaOとFeとの割合は質量比で6:4〜3:7であり、CaO質量%とFe質量%の合計は70質量%以上のものを指す。また、カルシウムフェライトは、例えば、生石灰、鉄鉱石を原料とし、これらの混合物を、溶解炉により完全溶融し、冷却後に、1〜50mm程度の塊状に粉滓して製造される。また、低りん鋼とは鋳片段階での[P]が0.02%以下の鋼を、効率的とは溶解したカルシウムフェライトが、十分に脱りんに寄与することを指す。また、特に断らない限り、短時間の吹錬とは、吹錬時間が約2〜6分程度の吹錬のことを指す。
以下に上記発明に至った経緯と考え方について記す。
本発明者らは上底吹き転炉の脱りんプロセスにおけるカルシウムフェライトの溶融性改善のため、CaOおよびFeに種々の化合物を添加し、これを溶解炉で完全溶融した種々のカルシウムフェライトを作成した。また、CaOとFe及びもしくは、Alを混合し、常温でペレット状に成形したもの(以後、ペレットと称す)を作成した。次に赤外線ゴールドイメージ炉を搭載した高温顕微鏡を用いて、これらカルシウムフェライトおよびペレットを200℃/minの昇温速度で加熱し、溶融開始温度と溶融終了温度を測定した。
その結果、通常のCaOおよびFeからなるカルシウムフェライト(以後、CFと記すことがある)に対して、CaO、FeおよびAlからなるカルシウムフェライト(以後、CFAと記すことがある)は、溶融開始温度と溶融終了温度が著しく低いことを見出した。これは、Alがカルシウムフェライトの固相線温度および液相線温度を下げる効果によるものと考えられた。また、上記CFAと同様の組成からなるペレットを用いた実験において、同様の組成であっても、ペレットの溶融開始温度、溶融終了温度はCFAより高いことを確認した。
上記実験ではCFAの液相線温度は溶融終了温度から1350℃以下と推定され、CFの液相線温度(約1400℃)に対して低いことから、上底吹き転炉における脱りん吹錬にCFAを使用すること、CFを使用した場合に対して溶解速度は増大し、脱りんが促進すると考えられた。また、CFAを製造する過程で、事前に原料を溶解しておくことも溶解速度を増大する上で重要であると考えられた。一方で、Alは転炉スラグの粘度を増大させるため、転炉スラグのAl濃度が高くなりすぎると、転炉内で急激なスラグフォーミングが起こり、転炉炉口からスラグが飛散する(以後、スロッピングと記す)頻度が高くなり、吹錬を中断せざるをえない。本発明者らは、このような状況を防止する適正なAl濃度を調査し、カルシウムフェライト中のAlを20質量%以下とすることで、スロッピングの頻度を抑制し、吹錬を中断することなく操業できることを見出した。
また、Al濃度が低すぎると、カルシウムフェライトの溶解速度が小さく、短時間の吹錬で低りん鋼を溶製することが困難であったため、Al濃度を2質量%以上とした。さらに本発明者らは、Al濃度を4〜12質量%とすることでより高い効果を発現できることを確認した。
また、カルシウムフェライト中のAl濃度が高くなることで、カルシウムフェライトの溶解速度が増大するが、脱りんに必要なカルシウムフェライト中のCaO濃度が、相対的に低くなるため、脱りんに対して、カルシウムフェライトのAl濃度とCaO濃度には適正な組成が存在すると考えられる。この適正組成について、本発明者らは鋭意検討し、(Al質量%)/(CaO質量%)比を0.04〜0.5とすることで、低りん鋼を溶製できることを確認した。(Al質量%)/(CaO質量%)比が0.04未満の場合、カルシウムフェライトの溶解速度が小さく、脱りんが不十分である。また(Al質量%)/(CaO質量%)比が0.5より大きい場合、CaO濃度が低すぎて脱りんが悪化する。なお、本発明者らは(Al質量%)/(CaO質量%)比を0.1〜0.3に制御することで、より高い効果を発現し、さらに脱りんが促進することを確認した。
さらに本発明者らは、前述の赤外線ゴールドイメージ炉を搭載した高温顕微鏡を用いた実験により、CaO、Fe、AlおよびNaOを含むカルシウムフェライト(以後、CFANと記すことがある)は、CFAに対して溶融開始温度および溶融終了温度が、更に低いことを明らかにした。これは、NaOがCFAの液相線温度および固相線温度を下げる効果を持つためと考えられ、CFANの液相線温度は溶融終了温度から1330℃以下と推定された。
また、上底吹き転炉の脱りんプロセスにおいて、CFAより、CFANの方が高い脱りん効率を示し、より[P]が低い鋼を溶製できることを確認した。これは、NaOがスラグのフォスフェイトキャパシティーを増大する効果をもつこと、NaOが転炉スラグの粘度を下げ、スラグ側のりんの物質移動を促進する効果を有することが原因と推定される。
CFAにおいて、Al濃度を、Alが2〜20質量%、(Al質量%)/(CaO質量%)比を0.04〜0.5とすることで、カルシウムフェライトの溶解速度が増大し、この効果により脱りんを促進することを述べた。一方で、Alの添加はスラグの粘度を増大させて、スラグ側のりんの物質移動を遅滞する効果を有している。NaOは、このAl添加によって増大した転炉スラグの粘度を低減する効果を持つことから、カルシウムフェライトのAl濃度とNaO濃度は脱りんを促進するうえで適正な質量比が存在すると考えられる。
この質量比について、本発明者らは鋭意検討し、(NaO質量%)/(Al質量%)比を0.1より大きくすることで、CFAに対して、より[P]が低い鋼を溶製できることを確認した。また、(NaO質量%)/(Al質量%)比が2.0より大きい場合、脱りんが悪化した。これは、転炉スラグ中のNaOに対するAlの質量比が下がることで、NaOの活量が大きくなり、NaOのガス化が進行したことで、脱りんに必要なNaOを脱りんスラグに供給できなかったためと推定された。
なお、(NaO質量%)/(Al質量%)比を0.2〜1.8とすることで、脱りんを促進しつつ、スラグへのNaOの歩留りを高く維持できることを確認した。また、CFAに対して、CFANは、転炉内でのスラグフォーミングが抑制され、転炉炉口やランスへの地金付着の抑制など操業安定化に寄与することがわかった。これは、NaOによる転炉スラグの粘度低減により、転炉スラグのフォーミングやスロッピングが抑制されたためと考えられた。
また、本発明者らは、前述の赤外線ゴールドイメージ炉を搭載した高温顕微鏡を用いた実験により、CaO、Fe、AlおよびSiOからなるカルシウムフェライト(以後、CFASと称すこともある)においても、CFに対して溶融開始温度および溶融終了温度が低いことを明らかにした。これは、SiOがCFの液相線温度および固相線温度を下げる効果を持つためと考えられた。一方で、SiOは転炉スラグの塩基度を低下するため、転炉スラグのSiO濃度が高くなりすぎると、脱りん反応の進行が抑制され、吹錬終了時に目標とする[P]レベルを満足することが出来ない。本発明者らは、このような状況を防止する適正なSiO濃度を調査し、カルシウムフェライト中のSiOを10質量%以下とすることで、目標[P]レベルを満足することを確認した。
また、SiO濃度が低すぎると、溶融温度を低下する効果が確認出来なかったため、SiO濃度を1質量%以上とした。さらに本発明者らは、SiO濃度を2〜5質量%とすることでより高い効果を発現できることを確認した。
また、本発明者らはCFAS中のSiOとCaOの適正組成について、鋭意検討し、(SiO質量%)/(CaO質量%)比を0.04〜0.3とすることで、低りん鋼を溶製できることを確認した。(SiO質量%)/(CaO質量%)比が0.04未満の場合、カルシウムフェライトの溶解速度が小さく、脱りんが不十分である。また(SiO質量%)/(CaO質量%)比が0.3より大きい場合、CaO濃度が低すぎて脱りんが悪化する。なお、本発明者らは(SiO質量%)/(CaO質量%)比を0.1〜0.3に制御することで、より高い効果を発現し、さらに脱りんが促進することを確認した。
さらに本発明者らは、前述の赤外線ゴールドイメージ炉を搭載した高温顕微鏡を用いた実験により、CaO、Fe、Al、SiOおよびNaOを含むカルシウムフェライト(以後、CFASNと記すことがある)は、CFASに対して溶融開始温度および溶融終了温度が、更に低いことを明らかにした。これは、NaOがCFASの液相線温度および固相線温度を下げる効果を持つためと考えられた。
また、上底吹き転炉の脱りんプロセスにおいて、CFASより、CFASNの方が高い脱りん効率を示し、より[P]が低い鋼を溶製できることを確認した。これは、NaOがスラグのフォスフェイトキャパシティーを増大する効果をもつこと、NaOが転炉スラグの粘度を下げ、スラグ側のりんの物質移動を促進する効果を有することが原因と推定される。
また、本発明者らはCFASN中のSiOとNaOの適正組成について、鋭意検討し、(NaO質量%)/(SiO質量%)比を0.1より大きくすることで、CFASに対して、より[P]が低い鋼を溶製できることを確認した。また、(NaO質量%)/(SiO質量%)比が3.0より大きい場合、脱りんが悪化した。これは、転炉スラグ中のNaOに対するSiOの質量比が下がることで、NaOの活量が大きくなり、NaOのガス化が進行したことで、脱りんに必要なNaOを脱りんスラグに供給できなかったためと推定された。また、CFASN中のSiO、AlおよびNaOの適正組成について検討し、(NaO質量%)/(SiO質量%+Al質量%)比を、0.1〜2.5が好ましいことを見出した。
CFAを製造する際のAl源としては、アルミ灰、アルミナ系耐火物およびAlを含む製鋼スラグ等、CFASを製造する際のSiO源としては、橄欖岩、軽石、SiO2を含む製鋼スラグ等がある。また、CFANおよびCFASNのNaO源としては、NaCO,ソーダ石灰ガラス、メタケイ酸ソーダ等がある。
本発明によれば、上底吹き転炉における脱りん処理において、Alを適正濃度で含有したカルシウムフェライトを用いることで、短時間の吹錬であっても十分に精錬剤が溶解し、効率的に低りん鋼を溶製することができる。さらに、Alに加えてNaOおよびもしくはSiOを適正量加えることにより、脱りんをさらに促進することができる。
本発明に係る上底吹き転炉を用いた脱りんプロセスの概略を示す説明図である。
つぎに、本発明に係る脱りん剤を用いて脱りん処理を行う際の形態を説明する。
製鋼の精錬工程で用いられる精錬炉としては、通常、転炉が用いられ、転炉法による製鋼工程においては、主原料として溶銑とスクラップを装入して溶鋼が生産される。図1に、上底吹き転炉を用いた精錬工程の概略を示す。
最初に、図1(a)に示すように、転炉1内にスクラップ2を装入する。そして、スクラップ2の装入と同時に、本発明に係る脱りん剤であるCFA、CFAN、CFAS、CFASNの少なくともいずれかを含む精錬剤3を炉内に投入する。CFA、CFAN、CFAS、CFASNの粒径は1〜50mm、好ましくは5〜35mm程度の粒径のものを使用することができる。
また、製鋼スラグ発生量削減および製造コスト削減の点から、CFA、CFAN、CFAS、CFASNを使用する際の転炉スラグの装入塩基度は1.3〜2.0が好ましい。装入塩基度とは、「転炉内へ供給する副原料中に含まれるCaO質量の合計」を分子とし、「転炉内へ供給する副原料中に含まれるSiO質量の合計」と「溶銑およびスクラップ中に含まれているSiが全部SiOに酸化されたとした場合のSiO質量」との合計を分母として計算される比の数値である。また、本発明に係る脱りん剤の効果を十分に得るためには、カルシウムフェライトから供給するCaO量が、転炉内へ供給する精錬剤3に含まれる全CaO質量の20%以上であることが好ましい。
スクラップ2および精錬剤3を装入した後、炉内に溶銑4を装入(図1(b))し、その後、ランス5から酸素を溶銑4に吹き込む吹錬を行う(図1(c))。
吹錬によって、溶銑3中のりんが酸素およびスラグ中のCaOと反応して、スラグ側に移行する。通常、CaO源として生石灰は高融点であり、精錬時の溶銑温度での溶解速度は小さいが、本発明に係る脱りん剤であるCFA、CFAN、CFAS、CFASNは溶銑温度で溶融するため溶解速度が大きく、スラグ中のCaO濃度を早期に上昇することで、溶銑の脱りんを促進することができる。
本発明において、CFA、CFAN、CFAS、CFASNのいずれかを含む精錬剤3の投入は、転炉内に溶銑4を装入した後でも効果を発現するが、溶銑4の装入前に精錬剤3を投入しておくことが好ましい。これは、溶銑4の装入時の撹拌力を利用して、CFA、CFAN、CFAS、CFASNの溶解を促進するためである。あるいは、精錬剤のうちCFA、CFAN、CFAS、CFASNのみを溶銑4の装入前に投入し、精錬剤のその他の物質を吹錬時に投入してもよい。
CaOおよびFeからなるカルシウムフェライトは上述の通りCaOの溶融性を改善した化合物であり、生石灰等に対して溶融しやすく、脱りん効果を発揮することは周知であるが、本発明に係る脱りん剤であるAl、もしくは、さらに、SiOもしくは、NaOを含有するカルシウムフェライトを用いることで、さらに融点が下がり、脱りん効果を高めることができる。
脱りんを行う精錬の形態としては、脱りんを行った後に別の炉で脱炭を行う場合と、MURC(Multi Refining Converter)法と呼ばれる、脱りんを行った後、転炉を傾動してりん濃度が高いスラグを排出し、その後同一炉で継続して脱炭を行う場合等がある。本発明は、いずれの場合にも適用できるが、殊にMURC法では、脱りん時の吹錬時間が通常4分以内と短時間であり、このような場合でも、本発明に係る脱りん剤による脱りん方法によれば効率よく脱りん処理が行える。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
表1に示す種々のカルシウムフェライトを用いて、転炉での脱りん処理を行った。脱りん処理の条件は、脱りん前[P]が0.1%、吹錬時間が3〜4分、装入塩基度が1.8、カルシウムフェライト使用量が10kg/tの条件である。表中の成品[P]は、鋳片段階での[P]である。また、脱りん吹錬中に転炉炉口からのスロッピングの状況を調査し、スロッピングが原因で吹錬を途中で中断した場合は「有」とし、中断しなかった場合を「無」とした。また投入タイミングとは、カルシウムフェライトを転炉内に投入するタイミングであり、「溶銑装入前」もしくは「溶銑装入後」とした。
Figure 0006481774
No.1〜No.9は成品[P]<0.02%を達成し、特にNo.3、No.4、No.8およびNo.9は成品[P]<0.015%であり、より優れた脱りん能を示すことがわかった。一方で、比較例であるNo.10〜16はいずれも成品[P]>0.02%であり、脱りんが不十分であった。
No.1およびNo.2は、Alが3〜20質量%、(Al質量%)/(CaO質量%)比が0.04〜0.5であり、Alによりカルシウムフェライトの溶融が促進し、脱りんスラグへのCaOを供給速度が大きいため、脱りんが促進したと考えられる。一方でNo.10はAlが2質量%未満であり、カルシウムフェライトの溶解が不十分であったため、脱りんが不十分であったと考えられる。また、No.11はAl濃度が20質量%より大きいため、激しいスロッピングがおこり、吹錬を途中で中断したこと、(Al質量%)/(CaO質量%)比が0.5より大きく、Al濃度の上昇により、脱りんスラグへのCaOの供給量が少なかったことで脱りんが不十分であったと考えられる。
また、No.3およびNo.4は、Alが2〜20質量%、(Al質量%)/(CaO質量%)比が0.04〜0.5、さらに(NaO)/(Al)比が0.1〜2.0であり、AlおよびNaOによりカルシウムフェライトの溶融が促進し、NaOがスラグのフォスフェイトキャパシティーを増大したこと、NaOが転炉スラグの粘度を下げスラグ側のりんの物質移動を促進したことで、本発明例であるNo.1やNo.2に対して、更に脱りんが促進したと考えられる。また、No.5は、カルシウムフェライトを転炉内に投入するタイミングが「溶銑装入後」であり、No.3およびNo.4の「溶銑装入前」に対して、反応時間が短く、成品[P]は上昇したものの、成品[P]<0.02%を達成することが可能であった。
一方で、No.12ではAlが2質量%より小さく、カルシウムフェライトの溶融が不十分であったこと、(NaO)/(Al)比が2.0より大きく、NaOの気化によりNaOが十分に脱りんスラグ中に残留しなかったことで、脱りんが不十分であったと考えられる。また、No.13は、(NaO)/(Al)が0.1より小さく、NaOによりスラグのフォスフェイトキャパシティー、スラグ側のりんの物質移動速度を十分に大きくできなかったため、脱りんが不十分であったと考えられる。No.14は(NaO)/(Al)比が2.0より大きく、NaOの気化によりNaOが十分に脱りんスラグ中に残留しなかったことで、脱りんが不十分であったと考えられる。
また、No.6およびNo.7は、Alが2〜20質量%、(Al質量%)/(CaO質量%)比が0.04〜0.5、SiOが1〜10質量%、(SiO質量%)/(CaO質量%)比が0.04〜0.3であり、AlおよびSiOによりカルシウムフェライトの溶融が促進し、脱りんスラグへのCaOを供給速度が大きいため、脱りんが促進したと考えられる。一方でNo.15はAlが2質量%未満、SiOが1質量%未満であり、カルシウムフェライトの溶解が不十分であったため、脱りんが不十分であったと考えられる。また、No.16はAl濃度が2質量%未満、SiOが10質量%以上であり、SiOによりスラグの塩基度が低下したことで、脱りんが不十分であったと考えられる。
本発明は、製鋼工程において、鉄を含有するスクラップと溶銑を精錬炉に装入して吹錬し、溶鋼を溶製する際の脱りん処理方法に適用できる。
1 転炉
2 スクラップ
3 精錬剤
4 溶銑
5 ランス

Claims (6)

  1. 2〜20質量%のAl を含有し、(Al 質量%)/(CaO質量%)比が0.04〜0.5であり、
    2.0質量%以上のNa Oを含有し、(Na O質量%)/(Al 質量%)比が0.1〜2.0であり、
    残部がカルシウムフェライトと不純物である、溶銑の脱りん剤。
  2. さらに、1〜10質量%のSiOを含有し、(SiO質量%)/(CaO質量%)比が0.04〜0.3である、請求項1に記載の溶銑の脱りん剤
  3. 請求項1または2のいずれか1項に記載の脱りん剤を含有する、精錬剤。
  4. 請求項3に記載の精錬剤を転炉内に添加し、溶銑の脱りん処理を行う方法であって、装入(CaO)/(SiO)比が1.3〜2.0である、溶銑の脱りん方法。
  5. 前記カルシウムフェライトに含まれるCaO質量が、前記精練剤に含まれるCaO質量の20%以上である、請求項4に記載の溶銑の脱りん方法。
  6. 前記精錬剤を溶銑の装入よりも前に前記転炉内に投入する、請求項4に記載の溶銑の脱りん方法。
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