JP2002533566A - 溶鋼をその生産時に脱窒素するための方法 - Google Patents

溶鋼をその生産時に脱窒素するための方法

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JP2002533566A JP2000589741A JP2000589741A JP2002533566A JP 2002533566 A JP2002533566 A JP 2002533566A JP 2000589741 A JP2000589741 A JP 2000589741A JP 2000589741 A JP2000589741 A JP 2000589741A JP 2002533566 A JP2002533566 A JP 2002533566A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、吹込み可能な形態の酸素および炭素(好ましくは粉末炭素)を、それら2種の元素からのCO気泡を槽中に局所的に発生させ、脱窒素時に供給されるように、処理される溶融金属槽の同一槽領域に同時にかつ分離して注入する方法に関する。炭素および酸素の投入量を化学量論的に調整することにより、槽中での一定な炭素脱窒素が可能になる。本発明の方法は、特に電気炉において低炭素級鋼の生産に用いるのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、低窒素鋼生産の分野に関する。本発明は、低炭素品位物および極低
炭素任意物の生産に用いると有利である。
【0002】 鋼鉄中の窒素の存在は種々の理由で望ましくないものとなり得ることは公知で
ある。それらの理由の1つは、この元素が鋼鉄の使用特性に影響を与え、その結
果、金属の延性、したがって、スタンピング適性が低下したり、または窒素が窒
化アルミニウムの形態で存在する場合には、ZAC(熱影響部)で窒素が再溶解
するために溶接性が制限され、その結果、局所的な機械的脆性が生じることであ
る。しかしながら、窒素の存在は、例えば、連続鋳造時の延性ポケットに関連す
る亀裂の増加、または得られた製品の線引き適性の低下などの生産手順の工程そ
のものにも影響を与えるという理由から望ましくないこともある。
【0003】 したがって、ある種の鋼鉄の生産プロセスまたは等級には、時として得られた
最終製品について極めて低い窒素含有量が要求され、例えば、自動車構成用鋼鈑
もしくはパッキン用鋼の場合には15〜25ppm、海洋構造物プレートの場合
には約50ppm、またはタイヤ強化用ワイヤなどの場合には40〜60ppm
であることが要求される。これらの窒素含有量は、製鋼所において、連続鋳造時
の電気炉または転炉から溶鋼の固化にいたるまで溶融金属のすべての生産段階に
おいて要求される。特に電気炉での生産は、電気アーク加熱部で空気中の窒素分
子が分解して窒素が液体金属に移動し易くなるために、窒素による金属の汚染が
顕著であることは公知である。この現象は、現在20ppmのオーダーの低窒素
含有量が達成される「鋳造法」(溶鉱炉中で溶融鉄鋼石を還元溶解し、次いで空
気転炉中で酸素の力で精錬する)によって今日生産されている等級の一部を「電
気的方法」によって生産することを妨げる重要な要素であることが知られている
【0004】 液体鋼中の窒素含有量の変化を制御する物理化学的機構は周知である(例えば
、Ch.GatellierおよびH.Gayeによる論文:REVUE de
METALLURGIE,CIT,1986年1月,25〜42ページ参照)
。窒素は、式≒1/2N2(ガス)によって表し得る「金属−ガス」化学平衡に
従う。KN=aN/(PN21/2で表されるこの反応の平衡定数は、関与する反応
容器の作業領域内の温度(1500〜1700℃)に若干依存する。aNは、溶
解窒素の活性であり、弱合金化炭素鋼の場合には金属の窒素含有量に同化され、
N2は、液体金属と接触するガスの窒素分圧である。これは、大気中のN2の存
在下では、金属の窒素含有量が、溶鋼の温度(約1600℃)では約430pp
mであるその溶解度の限界に向かって連続的に増大することを意味する。
【0005】 金属の脱窒素は、上述の反応を右方向に移動させるために、液体金属中に窒素
を含まない洗浄ガス(PN2=O)を循環させることによって達成される(洗浄効
果)。工業的には、このガスは、注入されるアルゴンまたはヘリウムであってよ
いが、流速が遅くかつ高コストであるか、あるいはガス状または粒状形態にて従
来通りに行われる酸素注入の間における金属の脱炭素により、現場で一酸化炭素
が生成する(例えば、K.ShinmeおよびT.Matuoによる論文:“A
cceleration of nitrogen removal with
decarburization by powdered oxidize
r blowing under reduced pressure”,Ja
panese Journal ISIJ,1987年参照)。このO2注入の
実施に対する限界は、経時的に放出されるCOの量、したがって可能な脱窒素を
制限するであろう脱炭素開始時の金属の炭素含有量に関連しており、これは、生
産される金属の初期および予想窒素含有量とは無関係である。
【0006】 この物理化学的アプローチは、金属の表面活性元素、すなわち、金属とガスの
間の窒素の移動をブロックする作用を有する酸素および硫黄が果たす役割によっ
て完結されなければならない。その結果、0.1重量%(炭素鋼の)のオーダー
である炭素含有量の上限に対応する溶解酸素の一定の活性を超えると、洗浄ガス
による脱窒素は完全に阻止され得る。
【0007】 したがって、特に、窒素含有量が「鋳造」法によって得られるものと同様の、
すなわち、20ppmのオーダー、また得られた最終製品に関してはさらに低い
オーダーの鋼鉄を「電気的」方法によって生産し得る液体金属の脱窒素技術を開
発し得るかに多くの関心が寄せられている。
【0008】 本発明の目的は、正確に言えば、一方では、洗浄ガスの脱窒素能力を最大限に
利用し、他方では、従来の脱炭素を用いた場合でも、金属槽の初期炭素含有量と
は無関係に最終窒素含有量を制御し得る溶融金属の脱窒素を促進することである
【0009】 そのために、本発明は、酸素を吹込むことにより溶鋼をその生産時に脱窒素す
る方法を目的とし、この方法は、さらに炭素を吹込み可能な形態(粉末炭素)で
導入することと、同一金属槽領域に炭素及び酸素を同時に、しかし分離して(例
えば、互いからほぼ20cmの間隔で)注入することを特徴とする。
【0010】 このようにして、炭素および酸素の投入領域において、脱窒素に適した条件が
局所的に創成される。実際には、酸素の単純な注入の場合(従来の脱炭素の場合
)、注入領域(ノズル)は、COの生成を遅らせる炭素の活性低下と、さらに生
成されたCO気泡による金属の脱窒素に作用することが知られている溶解酸素の
相関的に高い活性とによって急速に変化させられる。
【0011】 この同じ領域内に炭素を組合せて投入すると、導入された炭素と酸素が反応し
てCO気泡がより急速に生成し、溶解酸素の局所活性が低下する。その結果、放
出されたCOによって、より良好な脱窒素効率が得られ、それが、鋼表面の空気
中の窒素と接触すると窒化される鋼の生来の性向に取って代わり、その結果、全
体的に金属の窒素含有量が減少する。
【0012】 実際には、アーク炉や、さらに、金属生産手順を実施する任意の製錬炉におい
て、その閉鎖状態は、外気に関して完全に気密ではなく、また完全に気密にする
ことは不可能であることが想起される。その結果、得られた製品の最終窒素含有
量は、必然的に、窒素の回復(例えば、空気による汚染)と液体状態での生産時
に実施される脱窒素との中間量となる。
【0013】 さらに、化学量論的に投入量を好ましく調整すること(すなわち、0.9Nm
3のO2に対して1kgのC)により、金属槽の炭素含有量が変わらないように
する。このようにして、COの放出と「槽の一定な炭素含有量」とが同時に達成
され、さらに、その持続時間は、所望の脱窒素(初期窒素含有量に関して予想さ
れる窒素含有量)に適合し得る。
【0014】 本発明は、添付図面に関して記載されている以下の説明を読むことにより容易
に理解され、他の態様および利点も明らかとなるであろう。 工業的条件下に、容量6トンの小型炉中、出口端が処理される溶鋼槽中におい
て同一レベルで互いから約20cm間隔で隣り合って配置された2つの独立した
注入ノズルを介して炭素と酸素とを同時に導入して、本発明の同時注入技術の試
験を行った。炭素の投入は、硫黄および窒素の含有量が低い(これら2元素に関
して0.1%未満の重量含有量)石炭を使用し、支持ガスとしてアルゴンまたは
窒素を用いて実施した。酸素は、ガス状O2を注入するか、または(0.2Nm3 のO2は1kgの鉱石に相当する)鉄鉱石を注入して導入した。
【0015】 先ず第1に、得られた定量的結果が図1および図2に示されており、これらの
図では、炭素と酸素の同時注入(曲線b)が単純な脱炭素(曲線a)と比較され
ており、これは、それぞれ0.15%を超える炭素(図1)と、0.10%未満
の炭素(図2)を有する鋼について、槽中に放出されたCO量の関数としての金
属の窒素含有量の変化を示すことによって比較される。
【0016】 これらの図から分るように、比較的わずかに脱炭素された鋼鉄では、溶解O2
の含有量が常に低過ぎて、洗浄ガスの気泡への溶解窒素の拡散をブロックするこ
とができず、これは、槽の脱炭素からのCO(曲線a)であるかまたは本発明に
より槽に導入された炭素と酸素との反応により生成したCO(曲線b)であるか
にかかわらない。実際には、経時的に槽から放出されるCOの積算量の関数とし
て与えられる、これら2つの脱窒素速度論曲線について、極めて類似した推移が
観測され、しかも互いに近似しているが、本発明による混合注入の方に5ppm
のオーダーのわずかに良好な効率が認められる。
【0017】 他方では、その閾値を下回ると通常の単純脱炭素法ではもはや脱窒素できない
ことが判明しているので、考えを固定するよう限界が0.10重量%に設定され
る、脱炭素された鋼、すなわち低炭素鋼に関しては、同時注入の場合の脱窒素速
度論(曲線b)は、先の場合と同じ推移を示し、したがって、槽の初期炭素含有
量とは無関係であることが図3で観測される。他方、O2のみを単注入する従来
の場合(曲線a)では、脱炭素からのCOの放出全体にわたって規則的に増大す
る規則的な窒素の回復が観測される。先にすでに説明したように、同時かつ反対
方向に作用する2種の機構の結果として生じるこの窒素回復現象は、低炭素鋼の
場合には、脱炭素からのCOによる脱窒素作用が、ガス気泡の近隣に高活性の酸
化相が局所的に生成することによってブロックされ、その結果、大気窒素の回復
が支配的な機構となり、その場合、そこで破裂する気泡によって槽表面が攪拌さ
れると、なお一層強力になること(曲線a)を明瞭に示している。反対に、図1
の曲線bが示すように、本発明による同時注入の場合(図2の曲線b)、支配的
な機構は常に炭素の初期含有量とは無関係であり、したがって、極低炭素の場合
でも、支配的な機構は洗浄COによって脱窒素を行う機構である。
【0018】 図3には、得られる結果に及ぼす炭素搬送ガスの影響が示されている。図3は
、窒素流下に石炭を注入すると(曲線1)、脱窒素の速度論が、アルゴン流下に
注入した場合より遅く、それ以下には到達できない金属の窒素含有量限界(安定
部p)に達し、この窒素含有量限界はアルゴン流下に注入した場合より高いこと
を示している。それにもかかわらず、その場合、予見される窒素含有量に関する
「平均」目標(例えば、当該ケースでは35ppmでの安定部p)に適合し得る
脱窒素を得ることが可能である。
【0019】 本発明の脱窒素法は、多くの異なる実施態様を可能にするために実施するのに
十分順応することを示している。以下にそれらの実施態様のいくつかの例を説明
する。
【0020】任意のタイプの炭素および酸素投入の使用 実際には、任意の酸化ガスまたは任意の酸化粉末(鉄鉱石や、マンガン鉱、シ
リカ粉末など)を酸素供給源として使用してよい。同様に、炭素の導入には任意
のタイプの炭素含有製品を用いてよい。
【0021】 上記2種の元素を同時に含有する製品を用いることも可能であり、その場合、
自動化手段、および事前に調製した均一混合物(例えば、石炭/鉄鉱石混合物)
を用いて公知方法で局所投入を実施する。
【0022】本発明で予見される「局所」条件を保証する任意の投入技術の使用 実際には、冷却されるかまたは冷却されない従来の注入ノズルを用いてよい。
埋め込み型頭頂ノズルまたは任意の他の形態の注入器、同軸管もしくは隣接管を
有する、酸素および炭素の「分離注入」型のノズルでも「単注入」型のノズルで
もよい。
【0023】任意のタイプの製錬炉における本発明の技術の使用 本発明による同時注入は、電気炉だけでなく、O2を頂部から吹込む(LD、
AOD型)転炉もしくは炉底から吹込む(OBM、LWS型)転炉でも、ポケッ
トオーブンまたはさらに脱窒素に対する真空効果(金属槽上ではPN2が弱い)を
利用し得るRH型の真空装置でも、特に問題なく実施し得る。
【0024】化学量論に関する炭素/酸素比の変更 化学量論に関してO2とCの投入量を調整することの利点は先に述べた。した
がって、例えば、脱窒素相を生成させると同時に金属の脱炭素を続けるために、
この炭素/酸素比をわずかに変更しつつ、ノズル内の脱窒素条件を維持し得るこ
とが理解されよう。
【0025】 本発明の優れた利点のうちで特に以下の点に注目されたい。低炭素含有量での脱窒素の可能性 既に示したように、局所条件(炭素含有量、溶解酸素の活性)を変更すること
により、金属槽中の平均炭素含有量が0.1%未満(それ以下では、単純脱炭素
ではもはや脱窒素できない限界)であっても、本発明の技術によって金属を脱窒
素し得ることが分った。したがって、0.05〜0.1重量%の範囲内である平
均炭素含有量の槽のために、「一定炭素含有量の槽」でのCOの放出により脱窒
素段階を実施することができた。
【0026】本方法の簡単かつ柔軟な実施 本発明の技術は巨額な投資を必要としない。特に電気炉の場合、必要な装置は
、通常、工場内ですでに利用可能なもの、すなわち、金属に注入するための装置
に連結された酸素投入用ネットワーク(通常、脱炭素用にすでに存在している)
、および金属に石炭を注入するための装置に結合された粉末分配装置(一般に、
スラグに石炭を注入するためにすでに存在している)である。しかし、この後者
の装置は、同時に金属槽中に発泡スラグを発生させている間に、金属に炭素と酸
素とを同時注入することが所望される場合には分割しなければならない。他の生
産用反応炉の場合には、酸素を注入するのと同じ領域に炭素を導入するための装
置を設ける必要があり得る。
【0027】 その場合、本発明の窒化技術の実施コストは、消耗品、すなわち炭素及び酸素
を投入するための生成物、および固体生成物を注入する場合の搬送ガスのコスト
に集約される。
【0028】「潜在時間」において可能な脱窒素 この技術は、二重バットを備えた電気炉の場合に特に有用であり、その場合、
炭素と酸素の同時投入による脱窒素段階は、稼動中の別のバット中で新たな金属
装填材料を溶融している間の潜在的な時間に実施し得る。そのために、脱窒素操
作は、電圧をかけることなく、装填材料の生産の最後に行われ、電力は製鋼所の
生産性を損なうことなく、次の装填材料の溶融のための別のバットに送られる。
【0029】 本発明の方法は、添付の特許請求の範囲に記載されているその定義が守られる
範囲において、多くの均等または別例の実施態様を提供し得ることは言うまでも
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電気炉内の鋼槽中に放出されたCOの量の関数として、0.15
重量%を超える炭素を含有する鋼槽中の窒素の重量含有量の変化を、酸素の単注
入(曲線a)からの場合と、本発明による炭素−酸素同時注入(曲線b)からの
場合とで比較するグラフ。
【図2】 脱炭素槽における、換言すれば金属槽の炭素の重量含有量が低い
、すなわち0.1%未満の場合における、図1のグラフと同様のグラフ。
【図3】 ガスの性質及び注入される炭素の移動の性質による、炭素−酸素
同時注入により槽中に放出されたCOの量の関数としての窒素の重量含有量の変
化を比較するグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AU,AZ,BA, BB,BG,BR,BY,CA,CN,CU,CZ,E E,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL ,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LV,MA,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,RO ,RU,SD,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW Fターム(参考) 4K013 BA11 CA01 CA02 CA03 CA04 CA11 CA12 CA21 CB04 CD02 CE01 CE04 CE05 CE06 CF12 EA01 EA02 EA04 EA30 4K014 CB01 CC01 CD18

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素を導入することにより、溶鋼の槽をその生産時に脱窒素
    するため方法であって、さらに前記槽に吹込み可能な形態の炭素を導入すること
    と、炭素及び酸素は金属槽の同一領域に同時にかつ分離されて注入されることと
    からなることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 炭素および酸素の投入量を化学量論的に調整することを特徴
    とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 炭素は粉末固体状態にて、搬送ガスの補助によって、注入さ
    れることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 二重バットを備えた電気的製鋼所装置において実施されるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の方法。
JP2000589741A 1998-12-18 1999-12-17 溶鋼をその生産時に脱窒素するための方法 Pending JP2002533566A (ja)

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