JP7420322B1 - 溶鋼の脱窒方法 - Google Patents

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Abstract

安価に安定して溶解炉や精錬炉内の溶鋼中窒素濃度を、低窒素濃度域まで低減可能な技術を提案する。溶解炉または精錬炉に充填された溶鋼に、酸素含有ガスと搬送ガスに搬送された炭素源とを供給する溶鋼の脱窒方法であって、見下げ平面図内で、前記炭素源の吹込み管吐出孔の先端(点X)、前記炭素源の吹込み方向中心軸延長線と炉内壁との交点(点Y)、および、送酸ランス吐出孔の先端(点Z)を結ぶ三角形△XYZに対し、点Xから辺XYの長さの2/3離れた辺XY上の位置を点Wとし、角∠XZWを角度θ1(°)として、見下げ平面図内で送酸ランス吐出孔先端(点Z)を通る辺ZXからY側に開いた酸素含有ガスの吹込み方向θ2(°)が、正の値でかつθ1以下の範囲となる条件で、酸素含有ガスと炭素源とを同時に吹き付ける、方法である。

Description

本発明は、スクラップ、還元鉄および銑鉄等の鉄源原料を溶解炉または精錬炉で処理して、鋼を製造する工程において、溶鋼に酸素含有ガスおよび炭素源を供給して、溶鋼から脱窒する方法に関するものである。
窒素は金属材料にとって有害成分であり、従来の製鋼プロセスでは主に溶銑の脱炭処理時に発生する一酸化炭素(CO)の気泡表面に溶鉄中の窒素[N]を吸着させて除去している。そのため炭素濃度が低い溶鋼に関しては、一酸化炭素の発生量が限られているため、同様の手法では窒素を低濃度まで除去することができない。ここで、溶鉄とは、鉄分を主として、つまり50%を超えて含む溶融金属とし、溶銑、溶鋼のほか、冷鉄源を溶解したもの、これらを混合した溶融金属を含む。
一方で、地球環境保全を目的として、CO排出量の低減が求められている。そのためには、製鋼プロセスを従来の高炉、転炉を用いる方法から、スクラップや還元鉄を溶解する方法へと転換する必要がある。その場合、得られる溶鉄は炭素濃度が低くなり、前記理由で低窒素鋼を溶製できないおそれがある。
そこで、電気炉内の溶鋼中で炭素[C]と酸素含有ガスとを反応させ、その反応で生じる一酸化炭素気泡を活用して、溶鋼の脱窒を効果的に行う方法がいくつか提案されている。たとえば、特許文献1には、溶鋼への炭素吹込み速度および酸素の供給速度条件、ならびに炭素を溶鋼に吹き込む際のキャリアガス中の窒素濃度制限(≦3vol.%)を行うことが開示されている。そして、脱窒促進と吸窒抑止を並行して行うことで、精錬終了時の溶鋼中窒素濃度[N]を25mass ppm以下に低下できるとしている。
また、特許文献2には、溶鋼中に吹き込む炭素源のキャリアガスとして炭化水素含有ガスを用いることが開示されている。そして、空気をキャリアガスとした時と比べ、加炭の促進と、溶鋼中の窒素濃度[N]を約20mass ppmより低減する効果とが得られるとしている。
また、特許文献3には、炭素および酸素を炉内の同一領域に同時かつ分離して注入することが開示されている。そして、酸素のみを注入する場合と比較して溶鋼の脱窒が5mass ppm程度促進するとしている。
特開平11-012634号公報 特開平03-028312号公報 特表2002-533566号公報
しかしながら、上記従来技術には、以下のような問題がある。電気炉内の溶鋼中に炭素源を吹き込む際のキャリアガスには、通例空気または窒素ガスを用いる。それに対し、特許文献1や特許文献2に記載の方法では、キャリアガスにアルゴンガスまたは炭化水素含有ガスを用いている。これら通例と異なるガスを導入するための配管、ガス貯蔵タンクその他巨額の設備投資が必要となる。
また、特許文献3に記載の方法は、酸素が注入される領域近傍に炭素が注入されている。その炭素が注入されている領域は、局所的に、炭素が注入されていない領域の炭素濃度(すなわち鋼浴の平均炭素濃度)よりも高い炭素濃度を得られる。そのため、その領域で一酸化炭素ガスの発生が促進されることにその意義がある。しかし、この局所領域の定義、つまり、炭素注入箇所と酸素注入箇所の距離の隔たりをどこまで許容するかについての記載はなく、わずかに「ほぼ20cm」の実施例が示されているのみである。炭素源の吹込み管は炉壁埋め込み式であることも多い。その場合は酸素注入箇所近傍に炭素を注入できるように、別途炭素源用のランスの設置、ランス位置調整装置他の設備改造を要し、現実的ではない。
本発明は,上記の事情を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、大規模な投資を必要とせず、安定して溶解炉や精錬炉内の溶鋼中窒素濃度を、低窒素濃度域まで低減可能な技術を提案することにある。
上記課題を有利に解決する本発明にかかる溶鋼の脱窒方法は、溶解炉または精錬炉に充填された溶鋼に、酸素含有ガスと搬送ガスに搬送された炭素源とを供給する溶鋼の脱窒方法であって、見下げ平面図内で、前記炭素源の吹込み管吐出孔の先端(点X)、前記炭素源の吹込み方向中心軸延長線と炉内壁との交点(点Y)、および、送酸ランス吐出孔の先端(点Z)を結ぶ三角形△XYZに対し、点Xから辺XYの長さの2/3離れた辺XY上の位置を点Wとし、角∠XZWを角度θ(°)として、見下げ平面図内で送酸ランス吐出孔先端(点Z)を通る辺ZXからY側に開いた酸素含有ガスの吹込み方向θ(°)が、正の値でかつθ以下の範囲となる条件で、酸素含有ガスと炭素源とを同時に吹き付けることを特徴とする。
なお、本発明にかかる溶鋼の脱窒方法は、
(a)前記炭素源の吹込み管が複数ある場合には、少なくとも1つの炭素源の吹込み管との関係で前記条件を満足すること、
(b)前記炭素源の吹込み管および前記送酸ランスから、それぞれ炭素源および酸素含有ガスを同時に供給している時間t(min)を、冷鉄源の溶解開始から炉内溶鋼の出鋼開始までの所要時間t(min)の少なくとも30%以上確保すること、
(c)前記点Wが前記辺XYの中点にあること、
(d)前記溶解炉が電気炉であること、
などがより好ましい解決手段になり得る。
本発明の溶鋼の脱窒方法によれば、大規模な投資を必要とせず、安定して溶解炉や精錬炉内の溶鋼中窒素濃度を低窒素濃度域まで低減することが可能となる。
本発明を実施するための装置の一例を示す模式図であって、(a)は縦断面図を表し、(b)は見下げ平面図を表す。 酸素ガス及び炭素を同時に吹き付ける際の向きが脱窒に及ぼす影響を調査する実験の概要を示す模式図であって、(a)は排滓側の送酸ランスから酸素含有ガスを吹き込む場合を表し、(b)は出鋼側の送酸ランスから酸素含有ガスを吹き込む場合を表す。 酸素含有ガスおよび炭素源を同時に吹き付ける際に、脱窒に好適な酸素含有ガスの吹込み方向を示す模式図である。 本発明にかかる、酸素含有ガスと炭素源との同時供給時間率R(%)が溶鋼中窒素濃度に与える影響を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1に本発明を実施するにあたり好適な装置構成の一例を示す。図1の例では、溶解炉としての精錬容器にアーク型電気炉を用いている。アーク型電気炉の炉体1にスキップカーやクレーンバケット等から投入されたスクラップ2を、プッシャー3を用いて押し込む。そして、黒鉛電極4からアークを発生させて冷鉄源であるスクラップ2を溶解させ、溶鋼5を得る。同時に、炉上ホッパー設備6から媒溶材7を溶鋼5上に添加し、スラグ8を得る。スクラップ2の溶解促進を目的として、酸素配管系統9から排滓側送酸ランス10を通じて酸素含有ガス11を、スクラップ投入側の溶鋼5に向けて吹き付ける。それとともに、溶鋼5中の炭素濃度増加またはスラグ8のフォーミングによる溶鋼5と大気の遮断を目的として、キャリアガス配管系統12から炭素源吹込み管13を通じて炭素源およびキャリアガス14を溶鋼5に吹き付ける。図1の例では炭素源吹込み管13は炉壁19に水平に埋め込まれている。スクラップの溶解が進行するにつれて、出鋼側送酸ランス15からも酸素含有ガス11を溶鋼5上に吹き付ける。所定の時間経過後、酸素含有ガス11、炭素源およびキャリアガス14の供給を停止する。それとともに、黒鉛電極4からのアーク通電を停止し、排滓口16からスラグ8を一部炉外へ排出する。その後、出鋼口17から炉外へ溶鋼5を出鋼する。
溶解炉や精錬炉としては、アーク式電気炉のほか、誘導溶解炉、取鍋精錬炉が例示される。冷鉄源には、スクラップのほか、還元鉄を用いることができ、再生可能エネルギーを用いて製造された鉄源であることが好ましい。なお、還元鉄は通常入手可能なものを対象としている。酸素含有ガス11には、純酸素ガスや酸素ガスを希釈したガスを用いることができる。希釈ガスには、窒素を含まないことが脱窒促進のために好ましく、アルゴンガス、二酸化炭素ガスなどが例示される。炭素源のキャリアガスには、空気などを用いることができる。
このような処理に対し、発明者らは、図1と類似したアーク型電気炉を用いて、酸素含有ガス11と炭素源およびキャリアガス14とをそれぞれ同時に、かつ分離して吹き付けた。その際の吹き付け向きや吹き付け条件が脱窒に及ぼす影響について、詳細な調査を実施した。
調査においては、図2(a)および(b)に記載の取り合いで、キャリアガスとしての空気と共に炭素源としての粉末炭素を、吹込み方向を固定して溶鋼5に吹き付けた。それと同時に、図2(a)に示すように、排滓側送酸ランス10の吐出孔の向きを変えてO1~O3のいずれかの向きで酸素含有ガスとしての酸素ガスを溶鋼に吹き付けた。また、図2(b)に示すように、出鋼側送酸ランス15の吐出孔の向きを変えてO4~O6のいずれかの向きで酸素ガスを溶鋼に吹き付けた。
排滓側および出鋼側の炭素源吹込み管13a、13bの吐出孔の先端をそれぞれ点Xおよび点xとする。それぞれの炭素源吹込み管から吹き付ける空気および粉末炭素14の、見下げ平面図内における中心軸延長線と炉壁19との交点をそれぞれ点Yおよび点yとする。排滓側および出鋼側の酸素ガス吐出孔先端をそれぞれ点Zおよび点zとする。また、点Xから辺XYの長さの2/3離れた辺XY上の位置を点W、点xから辺xyの長さの2/3離れた辺xy上の位置を点wとおく。まず、図2(a)に示すように、排滓側送酸ランス10から酸素含有ガスを吹込む場合に、排滓側の酸素ガス吐出孔先端(点Z)を頂点とする三角形をそれぞれ△XYZ、△XWZ、△xyZおよび△xwZとする。この時、酸素の吹込み方向O1は、見下げ平面図内における酸素ガス噴流の中心軸延長線が△XWZおよび△xwZのいずれもの外にある酸素ガスの吹き付け方法である。酸素の吹込み方向O2、O3は、見下げ平面図における酸素ガス噴流の中心軸延長線が△XWZの中にあり、酸素の吹込み方向O2は△xwZの中にもある酸素ガスの吹き付け方法である。
また、図2(b)に示すように、出鋼側送酸ランス15から酸素含有ガスを吹込む場合に、出鋼側の酸素ガス吐出孔先端(点z)を頂点とする三角形をそれぞれ△xyz、△xwz、△XYzおよび△XWzとする。この時、酸素の吹込み方向O4は、見下げ平面図内における酸素ガス噴流の中心軸延長線が△xwzおよび△XWzのいずれもの外にある酸素ガスの吹き付け方法である。酸素の吹込み方向O5、O6は、見下げ平面図における酸素ガス噴流の中心軸延長線が△xwzの中にあり、酸素の吹込み方向O5は△XWzの中にもある酸素ガスの吹き付け方法である。
炉内にスクラップを装入し、黒鉛電極4からの通電を開始した時刻を溶解開始(処理開始)とし、ただちに排滓側および出鋼側の炭素源吹込み管13a、13bから粉末炭素を、空気をキャリアとして吹き付けた。それとともに、表1に記載のように排滓側送酸ランス10から酸素をO1からO3の向きで15~45分間吹き付けた後、送酸を停止した。直ちに出鋼側送酸ランス15から酸素をO4からO6の向きで、15分~45分間吹き付けた。黒鉛電極4からの通電停止後に炉内溶鋼5のサンプルを採取し、炉内溶鋼5を出鋼した。サンプルは炭素濃度と窒素濃度を調べるため分析に供した。
なお、炉内に投入するスクラップ2は全量、窒素含有濃度22mass ppm程度の新断屑とした。炉内に投入する炭素源は、炭素源吹込み管13から吹き付けた粉状炭素と炉上ホッパー設備6から添加した塊状炭素とを用いた。そして、処理終了時点の溶鋼中炭素濃度[C]がほぼ0.05mass%となるように調整した。表1に結果を条件と合わせて記載した。
Figure 0007420322000001
表1に示すように、水準1から水準12のすべてで出鋼前サンプルの炭素濃度[C]は概ね0.05mass%であった。一方、窒素濃度[N]は12mass ppmから136mass ppmと大きくばらついた。酸素ガス吹込み方向がO1またはO4のいずれか、または両方を含む水準では、その方向の酸素吹込み時間が短いほど窒素濃度が下がっている。O1とO4のいずれも含まない水準では、安定して窒素濃度[N]を20mass ppm以下まで低下できることがわかった。
この結果から、特許文献3のように酸素と炭素とを同一領域に注入することは、必ずしも必要ではないことがわかる。図3に示すように、炭素源吹込み管吐出孔先端を点X、見下げ平面図での炭素源吹込み方向中心軸延長線と炉内壁との交点を点Y、点Xから辺XYの長さの2/3離れた辺XY上の位置を点W、送酸ランス吐出孔先端を点Zとし、三角形△XWZの角∠XWZを角度θ(°)としたとき、見下げ平面図内で送酸ランス吐出孔先端(点Z)を通る辺ZXからY側に開いた酸素含有ガスの吹込み方向θ(°)が正の値でかつθ以下であれば、炭素と酸素の同時吹き付けにより高い脱窒効果を得られることが分かった。酸素の吹き付け方向を示す角度θが、0であったり、負の値であったりすると、酸素噴流の多くが炉壁に向かうこととなり、炉壁19の損傷が懸念されるからである。また、複数の炭素源吹込み管を有する場合には、少なくとも一箇所の炭素源吹込み管との間で上記条件を満足することが好ましい。なお、酸素ガスも吹き込まれる炭素源も、線速度は吐出口から離れると減衰するため、点Wを点Xから辺XYの長さの2/3離れた位置から点X側へ移動して設定すること、具体的には点Wが辺XYの中点であることがより好ましい。
角度θ(°)は、設備図面から求めてもよいし、辺XY、YZおよびXZのそれぞれの長さLXY(m)、LYZ(m)およびLXZ(m)を用いて、三角形の余弦定理から下記の数式1~3などを参考に計算してもよい。
Figure 0007420322000002
Figure 0007420322000003
Figure 0007420322000004
次に、表1に記載の実験結果を、有効な炭素および酸素の同時供給時間で整理した。スクラップ溶解開始から炉内溶鋼の出鋼開始までの所要時間をt(min)とする。少なくとも一か所の炭素源吹込み管との間で送酸ランスからの酸素吹込み方向が上記条件を満たしながら酸素含有ガス供給孔と炭素源供給孔から炭素および酸素の同時供給を実施している時間をt(min)とする。有効な炭素および酸素の同時供給時間率をR=t/t×100(%)で整理したところ、図4に示すように、同時供給時間率Rが長いほど出鋼前サンプルで分析した窒素濃度[N]が低くなることがわかった。
一般に、低窒素鋼は製品窒素濃度が40ppm以下のものをいう。そこで、溶鋼中窒素濃度[N]が40mass ppm以下を低窒素濃度域とする。まず、少なくとも1か所の炭素源の吹込み管との関係で、送酸ランスからの酸素吹込み方向が辺XZからY側に開いた角度θ(°)が正の値でかつθ以下の範囲となる条件を満たす必要がある。さらに、低窒素濃度域とするために、操業時間に対する上記条件を満たす有効な炭素および酸素の同時供給時間率Rを30%以上確保することが好ましい。また、極低窒素鋼は製品窒素濃度25ppm以下のものをいう。そこで、溶鋼中窒素濃度[N]が25ppm以下を極低窒素濃度域とする。そうすると、極低窒素濃度域とするために、操業時間に対する上記条件を満たす有効な炭素および酸素の同時供給時間率Rを45%以上確保することがより好ましい。
本発明は、このような調査を基に提案されたものであり、大規模な投資を必要とせず、安定して溶解炉や精錬炉内の溶鋼中窒素濃度を、低窒素濃度域まで低減することが可能となる。
炭素濃度が0.03~0.06mass%である約60~70tの溶鋼5を残した交流アーク型電気炉内に、プッシャー3で1回あたり10~15tのスクラップ2として新断屑(窒素含有量約22mass ppm)を装入した。同時に、黒鉛電極4からのアークを用いてスクラップ2を溶解させた。得られた溶鋼5に1.8tのコークスを上添加し、排滓側炭素源吹込み管13aから10~20kg/minの速度で、出鋼側炭素源吹込み管13bから20~30kg/minの速度で空気キャリアとともに粉末炭素を炉内に吹き込み、溶鋼5に加炭した。排滓側送酸ランス10から酸素ガスを60~70Nm/minで溶鋼に吹き付け、排滓側送酸ランス10からの送酸停止後ただちに出鋼側送酸ランス15から酸素ガスを40~50Nm/minで溶鋼に吹き付け、脱炭処理を行った。通電開始によるスクラップ溶解開始から炉内溶鋼の出鋼開始までの所要時間t(min)は50分~60分であり、電気炉から出鋼した溶鋼中の炭素濃度[C]は0.03~0.06mass%であった。排滓側送酸ランス10と排滓側炭素源吹込み管13aおよび出鋼側炭素源吹込み管13bとの関係で、θはそれぞれ95°および105°であった。出鋼側送酸ランス15と排滓側炭素源吹込み管13aおよび出鋼側炭素源吹込み管13bとの関係で、θはそれぞれ40°および85°であった。酸素吹込み方向θおよび有効な炭素および酸素の同時供給時間率Rを任意に調整して脱窒挙動を確認した。得られた溶鋼の温度は1590~1600℃、溶解量は1処理あたり210~220tであり、スラグボリュームは100~150kg/t-溶鋼であった。操業条件と結果をあわせて表2に示す。
Figure 0007420322000005
排滓側または出鋼側酸素吹込み方向θが、いずれかの炭素源供給孔との関係で、正の値かつθ以下の条件を満たしている試験No.1~5は、発明例である。排滓側および出鋼側酸素吹込み方向θが、いずれも排滓側および出鋼側炭素源供給との関係で、0もしくは負の値またはθより大きい試験No.6は比較例である。発明例は比較例と比べて、出鋼時窒素濃度[N]が1/2以下となっている。
有効な炭素および酸素の同時供給時間率Rを30%以上確保している試験No.3では、比較例と比べて出鋼時窒素濃度[N]が約1/4の低窒素濃度域(≦40mass ppm)になっている。有効な炭素および酸素の同時供給時間率Rを45%以上確保した試験No.4および5では、出鋼時窒素濃度[N]素が極低窒素濃度域(≦25mass ppm)に達している。
本明細書中において用いる単位は以下のように換算される。
質量の単位として、1t=1000kgとする。
気体の体積の単位に付す「N」は、標準状態、つまり、0℃、101325Paでの状態を表す。
本発明の溶鋼の脱窒方法によれば、大規模な投資を必要とせず、安定して溶解炉や精錬炉内の溶鋼中窒素濃度を低窒素濃度域まで低減することが可能となるので産業上有用である。
1 炉体
2 スクラップ
3 プッシャー
4 黒鉛電極
5 溶鋼
6 炉上ホッパー設備
7 媒溶材
8 スラグ
9 酸素配管系統
10 排滓側送酸ランス
11 酸素含有ガス(酸素)
12 炭素源およびキャリアガス配管系統
13 炭素源吹込み管
13a (排滓側)炭素源吹込み管
13b (出鋼側)炭素源吹込み管
14 炭素源およびキャリアガス(粉末炭素および空気)
15 出鋼側送酸ランス
16 排滓口
17 出鋼口
18 排ガス
19 炉壁
X、x 炭素源吹込み管吐出孔の先端
Y、y 見下げ平面図での炭素源吹込み方向中心軸と炉内壁との交点
Z、z 送酸ランス酸素吐出孔の先端
O1~O6、On 見下げ平面図での酸素吹込み方向(中心軸)

Claims (7)

  1. 溶解炉または精錬炉に充填された溶鋼に、酸素含有ガスと搬送ガス(アルゴンガスおよび炭化水素ガスを除く)に搬送された炭素源とを供給する溶鋼の脱窒方法であって、
    見下げ平面図内で、前記炭素源の吹込み管吐出孔の先端(点X)、前記炭素源の吹込み方向中心軸延長線と炉内壁との交点(点Y)、および、送酸ランス吐出孔の先端(点Z)を結ぶ三角形△XYZに対し、点Xから辺XYの長さの2/3離れた辺XY上の位置を点Wとし、角∠XZWを角度θ(°)として、見下げ平面図内で送酸ランス吐出孔先端(点Z)を通る辺ZXからY側に開いた酸素含有ガスの吹込み方向θ(°)が、正の値でかつθ以下の範囲となる条件で、酸素含有ガスと炭素源とを同時に吹き付ける、溶鋼の脱窒方法。
  2. 前記炭素源の吹込み管が複数ある場合には、少なくとも1つの炭素源の吹込み管との関係で前記条件を満足する、請求項1に記載の溶鋼の脱窒方法。
  3. 前記炭素源の吹込み管および前記送酸ランスから、それぞれ炭素源および酸素含有ガスを同時に供給している時間t(min)を、冷鉄源の溶解開始から炉内溶鋼の出鋼開始までの所要時間t(min)の少なくとも30%以上確保する、請求項1に記載の溶鋼の脱窒方法。
  4. 前記炭素源の吹込み管および前記送酸ランスから、それぞれ炭素源および酸素含有ガスを同時に供給している時間t(min)を、冷鉄源の溶解開始から炉内溶鋼の出鋼開始までの所要時間t(min)の少なくとも30%以上確保する、請求項2に記載の溶鋼の脱窒方法。
  5. 前記点Wが前記辺XYの中点にある、請求項1~4のいずれか1項に記載の溶鋼の脱窒方法。
  6. 前記溶解炉が電気炉である、請求項1~4のいずれか1項に記載の溶鋼の脱窒方法。
  7. 前記溶解炉が電気炉である、請求項5に記載の溶鋼の脱窒方法。
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