JP2006249569A - 低燐溶銑の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低燐溶銑を製造する際に、二次燃焼熱の溶銑への着熱効率を向上させることで熱余裕度を高め、生産量の増大を可能ならしめる。
【解決手段】 上底吹き機能を有する転炉型容器内に収容された溶銑を脱燐処理する際に、二次燃焼率を10%以上に制御するとともに、上吹きランスから、酸素ガスとともに該酸素ガス量の10〜50vol%の量の窒素ガスまたは空気若しくは窒素富化空気を溶銑浴面に吹き付ける。これにより着熱効率が顕著に向上し、熱余裕度が高められて生産量が増大する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、着熱効率を高めて多量のスクラップの溶解を可能とする低燐溶銑の製造方法に関するものである。
近年、溶銑段階で予め脱燐処理(予備脱燐処理)を行い、溶銑中の燐をある程度除去してから転炉で脱炭精錬を行う製鋼方法が発展してきた。このような脱燐処理においては、溶銑中Si濃度が低いほど発生スラグ量が少なく効率的な脱燐を行うことができる。このため一般には、事前に脱珪処理が行われるが、脱珪処理は溶銑を酸素源によって酸化精錬するので、脱珪反応と併行して脱炭反応が起こり、溶銑中の炭素が減少する。また、処理を複数の工程に分割するため、脱燐工程に入るまでのリードタイムが不可避的に長くなり、溶銑温度の低下を招く。これらのために脱燐処理時の熱余裕度が低くなり、スクラップ溶解量が制約され、生産の上方弾力性を確保することが困難となる。
これら問題を解決するために、様々な手法が提案されている。例えば特許文献1には、脱燐処理中の生成スラグに炭素源を添加するとともに、スラグ中に酸素源を吹き込んで炭素源を燃焼させる方法が開示されている。一方において、二次燃焼による発生熱を溶銑に着熱させるという技術も実施されている。一般に、二次燃焼率が増加するに従い溶銑への着熱効率が低下することが知られており(例えば、鉄と鋼
第76年(1990)第11号 p.2019)、着熱効率を向上させるための技術も提案されている。例えば特許文献2には、粉状の鉄鉱石又は炭材を炉上方から炉内に投入し、二次燃焼ゾーンを通過させて熱交換し、溶融金属に着熱させるという技術が開示されている。また、特許文献3には、二次燃焼率を10〜50%に制御し、ランスから酸素とともに伝熱媒体を吹きこむ技術が開示されている。
特許第3577365号公報 特公平4−78687号公報 特開2001−323312号公報
しかし、特許文献1の方法は、炭素源の燃焼熱を利用して溶銑の熱余裕度を高めることはできるものの、脱燐スラグ中に炭素源を添加すると脱燐に必要な(FeO)を還元してスラグの酸素ポテンシャルを低下させる恐れがあり、脱燐阻害を引き起こす懸念がある。また、特許文献2,3の方法は、伝熱媒体を粉状に粉砕する必要があるためコストが高く、また炉上方からの粉状の伝熱媒体の添加は、排ガス流速による飛散が大きく歩留が悪化する恐れがある。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、二次燃焼熱の溶銑への着熱効率を向上させることで熱余裕度を高め、生産量の増大を可能ならしめる低燐溶銑の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決することができる脱燐処理条件を見出すべく検討を重ね、その結果、二次燃焼率を所定レベル以上に制御するとともに、上吹きランスから酸素とともに所定量の窒素ガス(又は空気若しくは窒素富化空気)を溶銑浴面に吹き付けることにより、着熱効率が顕著に向上することを見出した。さらに、(1)吹錬時期に応じて窒素ガスの割合を変化させること、(2)所定の温度以上に予熱された窒素ガスを用いること、により溶銑への着熱性がより向上することが判った。
本発明は以上のような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)上底吹き機能を有する転炉型容器内に収容された溶銑を脱燐処理する際に、CO/(CO+CO)で定義される二次燃焼率を10%以上に制御するとともに、上吹きランスから、酸素ガスとともに該酸素ガス量の10〜50vol%の量の窒素ガスまたは空気若しくは窒素富化空気を溶銑浴面に吹き付けることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
(2)上記(1)の製造方法において、窒素ガスまたは空気若しくは窒素富化空気の量が、全吹錬期間のうち、吹錬開始から30〜70%までの期間(I)においては酸素ガス量の30〜50vol%、前記期間(I)以降の期間(II)においては酸素ガス量の10〜20vol%であることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
(3)上記(1)又は(2)の製造方法において、300℃以上の窒素ガスまたは空気若しくは窒素富化空気を、上吹きランスから酸素ガスとともに溶銑に吹き付けることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
本発明によれば、二次燃焼率を所定レベル以上に制御するとともに、上吹きランスから酸素とともに所定量の窒素ガス(又は空気若しくは窒素富化空気)を吹き付けることにより、炉内のガス体積が増大して溶銑との接触面積が増加するとともに炉内雰囲気の温度も低下するため、溶銑への着熱効率が顕著に向上し、且つ熱による炉体耐火物のダメージも抑えることができる。その結果、従来に比較して多量のスクラップを溶解させ、生産量を大幅に増大させることができる。
転炉型精錬容器を用い、種々の条件下で脱燐処理を行い、溶銑の熱余裕度の向上を可能とする最適な脱燐条件について調査・検討を行った。その結果を以下に示す。なお、本発明において二次燃焼率とは、CO/(CO+CO)で定義される値(CO,COはvol%である)である。
さきにも述べたように、単純に二次燃焼率を高めただけでは溶銑への着熱効率は低下し、結果としてスクラップを大量に溶解させ得るような熱量を溶銑に付与することができない。そこで本発明者らは、溶銑への着熱効率を高める手段として、窒素ガスを着熱媒体に利用するという発想の下に検討を行い、その結果、以下のような事実を見出した。
まず、本発明者らは単純に二次燃焼率を高めた実験を行ったが、二次燃焼率を高めるにつれて着熱効率は低下し、結果として排ガスへと持ち出される顕熱及び炉体からの放熱量が増加し、熱余裕度を高めるには至らなかった。これに対して、二次燃焼率を高めるとともに、上吹きランスから酸素ガスとともに窒素ガスを溶銑に吹き付けるようにしたところ、着熱効率が顕著に向上することが判った。この理由は、窒素ガスの吹き付けにより炉内のガス体積が増大してガスと溶銑との接触面積が増加するとともに、炉内雰囲気の温度も低下したためであると考えられる。さらに、上記の方法によれば、炉内雰囲気温度が低下したため、熱による炉体耐火物のダメージも抑えることができた。また、窒素ガスに代えて空気又は窒素富化空気を用いても同等の効果が得られることが判った。以下においては、便宜上「窒素ガス」を例に説明する。
脱燐処理中の二次燃焼率は高いほど、上記窒素ガスの供給による着熱効率の向上効果が大きくなる。このため本発明では、二次燃焼率を10%以上に制御した状態で、上吹きランスから酸素ガスとともに窒素ガスを供給する。但し、二次燃焼率が高過ぎると脱燐・脱炭反応に寄与する酸素量が減少し、また、回収ガスのカロリーも減少するので、二次燃焼率は50%以下、好ましくは30%以下が望ましい。
また、上吹きランスから供給される酸素ガス量に対する窒素ガス量の割合にも最適な範囲が存在することが判った。すなわち、上吹きランスから供給される酸素ガス量に対して窒素ガス量が10〜50vol%の範囲において、処理中の熱ロス分が少なくなる。窒素ガス量が酸素ガス量の10vol%未満ではガス量が不十分であるため着熱効率の改善効果が十分に得られない。一方、窒素ガス量が酸素ガス量の50vol%を超えると、吹き込む窒素の顕熱分が大きくなりすぎて、結果としてトータルの熱損失が大きくなってしまう。このため窒素ガス量は酸素ガス量の10〜50vol%とする。
本発明において、酸素ガスとともに溶銑浴面に吹き付けられる窒素ガスは、酸素ガスと混合された状態で上吹きランスから供給されてもよいし、上吹きランスから酸素ガスとは別に供給されてもよい。また、この後者の場合、1本の上吹きランスにおいて酸素ガスと窒素ガスが別々の供給ラインから供給されてもよいし、酸素ガスと窒素ガスが別々の上吹きランスから供給されてもよい。
また、以上述べた本発明による脱燐処理は、必ずも全吹錬期間に亘って行う必要はなく、任意の吹錬期間で行ってよい。但し、効果の面からは、一般には全吹錬期間の20%以上で実施されることが好ましい。
また、本発明では、吹錬時期に応じて窒素ガスの割合を変化させることで、溶銑への着熱性がより効果的に向上することが判った。具体的には、窒素ガス量は、全吹錬期間のうち吹錬開始から30〜70%までの期間(I)においては酸素ガス量の30〜50vol%、前記期間(I)以降の期間(II)においては酸素ガス量の10〜20vol%とすることが好ましく、これによって熱損失がより効果的に抑制され、溶銑への着熱性が向上することが判った。これは、上記期間(I)(吹錬前半)では酸素ガス量に対して十分な量の窒素ガスを吹き付けることで溶銑への着熱効率を十分に高め、上記期間(II)(吹錬後半)では酸素ガス量に対する窒素ガス量を低減させ、窒素ガス顕熱ロスを抑制することにより熱ロスを低減するものであり、これによりさらなる効率的な熱付与を図ることができる。
さらに、窒素ガスを300℃以上に予熱して上吹きランスから溶銑に吹き付けることにより、熱ロス割合がより効果的に低減し、着熱性のさらなる向上を図れることが判った。
以下、図面に基づいて本発明の詳細をさらに具体的に説明する。
図1は、本発明法の実施に供される転炉型精錬設備の一実施形態を示している。この転炉型精錬設備1は、外殻が鉄皮2で構成され、鉄皮2の内側に耐火物3が配された炉本体4と、この炉本体4内に挿入され、上下方向に移動可能な鋼製の上吹きランス5とを備えている。前記炉本体4の上部には、収容した溶銑6を出湯するための出湯口7が設けられ、また、炉本体4の炉底には、撹拌用ガスを吹き込むための底吹き羽口8が設けられ、この底吹き羽口8にはガス導入管9が接続されている。
前記上吹きランス5には、酸素ガス配管10及び窒素ガス配管11が接続されており、酸素ガスと窒素ガスが任意の流量で上吹きランス5から炉本体4内に供給されるようになっている。酸素ガス配管10及び窒素ガス配管11には流量調整弁12,13が設けられている。
なお、本発明法を実施する場合、上吹きランス5とは別に窒素ガス供給用のランスを設置してもよい。但し、炉本体4の上方部における設備配置が煩雑になるので、これを防止するためには、上吹きランス5で酸素ガスと窒素ガスの両方を供給することが好ましい。また、酸素ガスと窒素ガスを混合した状態で上吹きランス5から吹き付けてもよいが、その場合は上吹きランス5より以前に酸素ガス配管10と窒素ガス配管11を接続する必要がある。
また、窒素ガスを予熱して吹き付ける場合には、例えば、窒素ガス配管11の途中にガス予熱装置14を設ける。このガス予熱装置14としては、例えば、窒素ガス配管11を小型の電気ヒーター内を通過させたようなものでもよい。
また、炉本体4の上方には、脱燐剤15(CaO源)などを炉本体4内に投入するための添加装置16が設置されている。この添加装置16としては、例えば、ホッパー、シュート、秤量機、切り出し装置などからなる慣用の原料供給装置を使用することができる。
図2は、本発明の実施に好適な上吹きランスを示す縦断面図である。
この上吹きランス5は、円筒状のランス本体20と、このランス本体20の下端に溶接などにより接続された銅製のランスノズル21とで構成されており、ランス本体20は、外側から外管22、中管23、内管24、最内管25が同心円状に配された四重管構造を有している。通常、窒素ガス配管11は最内管25に連結され、酸素ガス配管10は内管24に連結されるが、その逆であってもよい。内管24と中管23との間隙及び中管23と外管22との間隙は、冷却水の給排水流路となっている。
最内管25はランスノズル21のほぼ中心位置に配置された中心孔27と連通し、最内管25と内管24との間の流路は前記中心孔27の周囲に複数個設置された周孔28に連通している。これら中心孔27及び周孔28は、鉛直下向き又は斜め下向きに開口した吹錬用ガス供給ノズルであり、このノズルは、断面が縮小する部分と拡大する部分の2つの円錐体で構成された所謂ラバールノズルの形状であってもよいし、或いはストレート形状であってもよい。
以上のような転炉型精錬設備を用いた本発明法の一実施形態について説明する。図1において、6は溶銑、19はスラグ、17はスクラップである。
まず、炉本体4内にスクラップ17をスクラップシュート18から装入し、次いで、溶銑6を装入する。この溶銑6は事前に脱硫処理や脱珪処理が施されたものであってもよい。脱硫処理とは、溶銑に石灰を添加し、主として硫黄を除去する処理である。また、脱珪処理とは、溶銑に酸素ガスや酸化鉄を添加し、主として溶銑中の珪素を除去する処理である。脱燐処理前の溶銑の化学成分は、一般には、C:3.8〜5.0mass%、Si:0.2mass%以下、S:0.05mass%以下、P:0.08〜0.2mass%程度である。前述したように、脱燐処理時に炉本体4内のスラグ量が多くなると脱燐効率が低下するので、炉内のスラグ量を少なくして脱燐効率を高めるために、予め脱珪処理等により溶銑中の珪素濃度を0.1mass%以下まで低減しておくことが好ましい。また、溶銑温度は1200〜1350℃の範囲であれば問題なく脱燐処理することができる。
脱燐処理では、所定量の酸素ガス及び窒素ガスを上吹きランス5を介して溶銑6の浴面に向けて吹き付け、二次燃焼率を10%以上に制御するとともに、底吹き羽口8から窒素ガス等の非酸化性ガス又はArガス等の希ガスを撹拌用ガスとして溶銑6中に吹き込みながら、脱燐剤15(CaO)を供給して溶銑6の脱燐処理を行う。供給する窒素ガス量は酸素ガス量の10〜50vol%であり、この窒素ガス量はさきに説明したような形態で、吹錬期間の前期と後期で変化させてもよい。また、窒素ガスを予熱装置で300℃以上に予熱してから上吹きランスに供給してもよい。
脱燐処理時の酸素源が気体の酸素ガスのみでは溶銑温度が上昇し過ぎて脱燐反応が阻害される場合もあるので、必要に応じて固体酸素源としてミルスケールや鉄鉱石等を添加してもよい。気体酸素源の添加量と固体酸素源の添加量との比は、溶銑6中の珪素濃度、燐濃度、炭素濃度等に応じて適宜選択すればよい。また、脱燐剤15の投入量は、溶銑6中の珪素濃度及び燐濃度に応じて選択されるが、最大でも溶銑トン当たり40kg程度であれば十分である。
以上のように本発明法では、二次燃焼率を10%以上に制御し、上吹きランスから酸素ガスとともに、酸素ガス量の10〜50vol%の量の窒素ガス(又は空気若しくは窒素富化空気)を溶銑浴面に吹き付け、溶銑への着熱効率を向上させることで、多量のスクラップを溶解しうる熱を溶銑に付与することができ、一方において熱による炉体耐火物へのダメージを抑制できる。
図1に示すような転炉型精錬設備(炉容量300トン)を用い、炉内に溶銑とともにスクラップ装入し、溶銑の脱燐処理を行った。
この脱燐処理では、上吹きランスから酸素ガス及び窒素ガスを溶銑浴面に吹き付けるとともに、炉上ホッパーより塊状の生石灰(脱燐剤)を溶銑に添加した。また、底吹き羽口から窒素ガスを0.05〜0.15Nm/min・t-pigの供給量で吹き込み、溶銑を攪拌した。吹錬時間は9〜12分間とし、処理前後の溶銑温度は1250〜1360℃の範囲に調整した。
なお、一部の実施例(本発明例10〜12)では、窒素ガスの酸素ガス量に対する割合を全吹錬期間の略中間点以降で低下させたが、この場合、酸素ガス量はそのままで窒素ガス量のみを低下させた。また、窒素ガスを予熱する場合には、小型電気ヒーターにより目的の温度まで窒素ガスを予熱した後、上吹きランスより溶銑に吹き付けた。処理中は、排ガス分析計により炉内二次燃焼率を測定した。
本発明例1〜18及び比較例1〜10の操業条件及び操業結果を、表1及び表2に示す。なお、表1及び表2の熱ロス割合とは、熱ロス量を総発熱量で除した値であり、熱ロス量は排ガスへと持ち去られた熱量と炉体からの放熱量及び上吹きランスより吹き付けた窒素ガス顕熱の和である。
また、着熱効率は下式により計算した。
[着熱効率]=([熱バランスから算出される不明熱分]/[排ガス測定による二次燃焼率から算出される二次燃焼熱])×100
なお、上記式の分子は図8に示すInput熱量のうち[熱バランスから算出される不明熱分]であり、分母の値は下式により求めた。
[排ガス測定による二次燃焼率から算出される二次燃焼熱]=([排ガス測定による二次燃焼率(%)]/100)×[ΔC(kg/t-pig)]×5.63
この式においてΔCは溶銑の脱炭量、“5.63”はCO→CO時の発熱量(Mcal/kg−C)である。
Figure 2006249569
Figure 2006249569
図3は、窒素ガスの吹き付けを行っていない比較例1の熱バランス図、図4は本発明例1における熱バランス図である。これらによれば、酸素ガスとともに適量の窒素ガスを供給することにより熱ロス分が減少し、その分スクラップを大量に溶解できることが判る。
本発明例と比較例について、二次燃焼率と熱ロス割合との関係を図5に示す。これによれば、酸素ガスとともに適量の窒素ガスを供給する場合でも、二次燃焼率が10%未満の範囲では熱ロス抑制効果は見られず、熱ロス割合は窒素ガスを供給しない場合と殆ど変わらない。しかし、二次燃焼率が10%以上の範囲では、その値が高くなるにしたがって窒素ガスの供給による熱ロス抑制効果は大きくなることが判る。
本発明例と比較例について、酸素ガス量に対する窒素ガス量の割合と熱ロス割合との関係を図6に示す。これによれば、酸素ガス量に対する窒素ガス量の割合が10〜50vol%の範囲において、窒素ガスを供給しない場合と較べ熱ロス割合が低くなっており、窒素ガスの供給による着熱効率の向上効果が明らかである。一方、窒素ガス量が10vol%未満の範囲では、熱ロス割合は窒素ガスを混合しない場合とほとんど変わりなく、一方、窒素ガス量が50vol%超の範囲では、窒素ガスの顕熱分が大きくなるため、着熱効率は高いものの、却って熱ロス割合が高くなる結果となっている。
また、図6には窒素ガスの酸素ガス量に対する割合を全吹錬期間の略中間点以降で低下させた本発明例10〜12が示されているが、これらの実施例では、吹錬前半では酸素ガスに対して十分な量の窒素ガスを吹き付け、溶銑への着熱効率を十分に高めてスクラップを溶解し、吹錬後半では酸素ガス量に対する窒素ガス量を低減させて余剰な窒素ガスを削減し、その分の窒素ガス顕熱ロスを抑制できたため、熱ロス割合は窒素ガス量の割合を吹錬中一定とした場合よりも低くなった。
窒素ガスの温度と熱ロス割合との関係を図7に示す。これによれば、窒素ガスを300℃以上に予熱して酸素ガスとともに上吹きランスから溶銑に吹き付けることにより、熱ロス割合がさらに低減することが判る。したがって、このように高温の窒素ガスを供給することで、着熱効率のさらなる向上を図ることができると考えられる。
なお、本実施例には明示していないが、窒素ガスの代わりに空気及び窒素富化空気を用いて同様の実験を行った結果でも、以上述べた実施例とほぼ同等の結果が得られた。
本発明法の実施に供される転炉型精錬設備の一実施形態を示す説明図 本発明の実施に好適な上吹きランスを示す縦断面図 比較例1における発熱量の使用内訳を示す図面 本発明例1における発熱量の使用内訳を示す図面 二次燃焼率と熱ロス割合との関係を示すグラフ 上吹きランスから供給される酸素ガス量に対する窒素ガス量の割合と熱ロス割合との関係を示すグラフ 上吹きランスから供給される窒素ガスの温度と熱ロス割合との関係を示すグラフ 脱燐処理におけるInput熱量とOutput熱量の内訳を示す図面
符号の説明
1 転炉型精錬設備
2 鉄皮
3 耐火物
4 炉本体
5 上吹きランス
6 溶銑
7 出湯孔
8 底吹き羽口
9 ガス導入管
10 酸素ガス配管
11 窒素ガス配管
12 流量調整弁
13 流量調整弁
14 ガス予熱装置
15 脱燐剤
16 添加装置
17 スクラップ
18 スクラップシュート
19 スラグ
20 ランス本体
21 ランスノズル
22 外管
23 中管
24 内管
25 最内管
27 中心孔
28 周孔

Claims (3)

  1. 上底吹き機能を有する転炉型容器内に収容された溶銑を脱燐処理する際に、CO/(CO+CO)で定義される二次燃焼率を10%以上に制御するとともに、上吹きランスから、酸素ガスとともに該酸素ガス量の10〜50vol%の量の窒素ガスまたは空気若しくは窒素富化空気を溶銑浴面に吹き付けることを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
  2. 窒素ガスまたは空気若しくは窒素富化空気の量が、全吹錬期間のうち、吹錬開始から30〜70%までの期間(I)においては酸素ガス量の30〜50vol%、前記期間(I)以降の期間(II)においては酸素ガス量の10〜20vol%であることを特徴とする請求項1に記載の低燐溶銑の製造方法。
  3. 300℃以上の窒素ガスまたは空気若しくは窒素富化空気を、上吹きランスから酸素ガスとともに溶銑に吹き付けることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の低燐溶銑の製造方法。
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