JP4715384B2 - 溶銑の脱燐処理方法及び脱燐処理用上吹きランス - Google Patents

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本発明は、上吹きランスから酸素ガスを吹き付けて行う溶銑の脱燐処理方法及びそれに用いる上吹きランスに関するものである。
高炉から出銑された溶銑は、転炉にて精錬される前に溶銑予備処理と呼ばれる脱硫処理、脱珪処理及び脱燐処理が施されている。当初、これらの予備処理は、鋼材の品質面上から低燐化や低硫化が要求されるものについて実施されていたが、近年では、転炉でのMn鉱石の還元によるコスト削減効果及び転炉の生産性向上によるコスト削減効果などにより、高炉及び転炉を備えた銑鋼一貫製鉄所の製鋼工程のトータルコストを削減する手段として、出銑されるほぼ全ての溶銑に対して脱硫処理及び脱燐処理が施されるようになった。
脱硫処理及び脱燐処理ともに、当初は溶銑鍋やトーピードカーなどの溶銑搬送用容器内で行われていたが、脱燐処理は上吹きランスから酸素ガスを溶銑に吹き付けて行うこと、トーピードカーなどの溶銑搬送用容器ではフリーボードが少なく効率的な脱燐処理ができないことなどにより、脱燐処理対象量の増大に伴って転炉型容器で溶銑の脱燐処理を行うことが一般的となった(例えば、特許文献1参照)。
フリーボードが大きい転炉型容器で溶銑の脱燐処理を実施することにより、溶銑と脱燐用フラックスとの強撹拌が可能になるとともに、酸素ガスの単位時間当たりの供給量(「送酸速度」という)を上げて脱燐速度を増大させることが可能となり、脱燐処理時間の短縮による生産性の向上が達成された。しかしながら、上吹きランスからの送酸速度の上昇や溶銑の強撹拌に伴ってスプラッシュの発生が増大し、転炉型容器の内壁面に地金が付着して操業に支障を来すという問題点が生じた。脱燐反応は温度が低いほど進行することから処理時の溶銑温度を上げられないことも、地金の付着を増大させる一因となっている。
この問題を解決するべく、特許文献2が提案されている。特許文献2に開示された脱燐処理方法は、上吹きランスの先端部と側面部とにノズル孔を有する上吹きランスを用い、側面部に配置されるノズル孔から処理容器の内壁面に向かって酸素ガスを吹き付けて内壁面に付着した地金またはスラグを溶解しながら、先端部に配置されたノズル孔から溶銑に酸素ガスを吹き付けて脱燐処理するという方法である。この方法によれば、処理容器内壁面への地金の付着が防止されるのみならず、内壁面に付着した地金またはスラグを溶解することにより、溶銑上に存在するスラグのT.Feが迅速に増加し且つ高位に維持されるとともに、溶融された地金またはスラグが溶銑や溶銑上のスラグに混合して温度上昇を抑制するので、溶銑の脱燐反応を従来と比較して格段に高効率で実施することが可能になるという作用・効果が発揮される。尚、T.Feとは、スラグ中の全ての鉄酸化物(FeO、Fe23 など)の鉄分の合計値である。
特開昭63−195210号公報 特開2002−285215号公報
ところで近年、地球環境の保全などの観点から、従来にも増して熱の有効利用が求められている。転炉における溶銑の脱炭精錬では、発生するCOガスを回収して燃料ガスとして有効活用している。溶銑は高濃度のCを含有しているため、供給される酸素ガスと反応して溶銑の脱燐処理においてもCOガスが発生する。しかし、脱燐処理では、排ガス中のCOガス濃度が低いために、換言すれば酸素濃度が高いために排ガスを回収することができず、発生するCOガスは煙突出口で燃焼させて大気に放出している。
転炉型容器における脱燐処理において熱効率を高めるためには、少ないとはいえ排ガス中に含まれるCOガスの燃焼熱のうちで大気に放散する熱量を極力少なくして、溶銑或いはスラグに着熱させる熱量を多くすることである。この観点から、前記特許文献2を検証すると、特許文献2の技術は、内壁面に付着した地金またはスラグを溶解することを目的としており、排ガスの燃焼熱を溶銑或いはスラグに着熱することについては十分に考慮されていないといわざるを得ない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、転炉型容器を用い、上吹きランスから酸素ガスを供給して溶銑の脱燐処理を実施するに当たり、転炉型容器の内壁面への地金の付着を防止するのみならず、発生する排ガス中のCOガスの燃焼熱を溶銑に着熱させることのできる、溶銑の脱燐処理方法、並びにその際に使用する脱燐処理用上吹きランスを提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、先端部と側面部とにノズル孔を有する上吹きランスを用い、側面部のノズル孔から酸素ガスを供給して処理容器の内壁面に付着した地金を溶解するとともに発生するガスを二次燃焼させながら、先端部のノズル孔から溶銑湯面に向けて酸素ガスを供給して溶銑を脱燐処理するに際し、側面部のノズル孔を複数の高さ位置に放射状に配置するとともに、溶銑浴面に最も近い位置に配置される側面部のノズル孔の角度を下向きに30°〜70°の範囲とし、該ノズル孔よりも上方位置に配置される側面部のノズル孔の角度を下向きに0°〜50°の範囲で且つ溶銑浴面に最も近い側面部のノズル孔の下向き角度よりも小さくすることを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、第1の発明において、前記側面部のノズル孔が上吹きランスの高さ方向に3箇所以上配置され、高さ方向が上方のノズル孔ほどノズル孔の下向き角度が小さいことを特徴とするものである。
第3の発明に係る溶銑の脱燐処理用上吹きランスは、その先端部に鉛直下向きまたは斜め下向き方向のノズル孔を備え、その側面部に上吹きランスの円周方向に向かって開口するノズル孔を備えた上吹きランスであって、上吹きランスの側面部にはノズル孔が複数の高さ位置に放射状に配置されているとともに、鉛直方向の最も下方側に配置される側面部のノズル孔の角度が下向きに30°〜70°の範囲であり、該ノズル孔よりも上方位置に配置されるノズル孔の角度が下向きに0°〜50°の範囲で且つ鉛直方向の最も下方側に配置される側面部のノズル孔の下向き角度よりも小さいことを特徴とするものである。
第4の発明に係る溶銑の脱燐処理用上吹きランスは、第3の発明において、前記側面部のノズル孔は上吹きランスの高さ方向に3箇所以上配置され、高さ方向が上方のノズル孔ほどノズル孔の下向き角度が小さいことを特徴とするものである。
本発明では、上吹きランス側面部の複数の高さ位置に放射状のノズル孔を配置し、しかも、ノズル孔の角度を、鉛直方向の最も下方側に配置されるノズル孔の角度を下向きに30°〜70°の範囲とし、このノズル孔よりも上方に配置されるノズル孔の角度をこの下向き角度よりも小さくする。そのため、脱燐処理によって発生するCOガスは、鉛直方向の最も下方側に配置されるノズル孔から噴射される酸素ガスによってスラグ或いは溶銑の直上で燃焼し、燃焼熱はスラグを介する或いは溶銑に直接伝達されるなどして溶銑に効率的に伝達される。また、側面部の上方に配置されるノズル孔からは酸素ガスが転炉型用器の内壁面に向かって噴射され、内壁面の付着地金を溶解すると同時に内壁面への地金付着を抑制する。このように、本発明によれば、脱燐処理によって発生する排ガス中のCOガスの燃焼熱を効率良く溶銑に着熱させることができると同時に、転炉型容器の内壁面への地金の付着を防止することができ、溶銑の脱燐処理を従来と比較して格段と高効率で実施することが可能となり、工業上有益な効果がもたらされる。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1及び図2は、本発明の実施の形態を示す図であって、図1は、本発明による上吹きランスを備えた転炉設備の概略断面図、図2は、本発明による上吹きランスの概略拡大断面図である。
転炉設備は、図1に示すように、その外殻を鉄皮7で構成され、鉄皮7の内側に耐火物8が施行された転炉本体1と、この転炉本体1の内部に挿入され、上下方向に移動可能な上吹きランス2と、を備えている。転炉本体1の上部には、精錬した溶銑3を出湯するための出湯口9が設けられ、また、転炉本体1の炉底には撹拌用ガスを吹き込むためのポーラス煉瓦10が設けられている。このポーラス煉瓦10はガス導入管11と接続されている。尚、ポーラス煉瓦10の代わりに単管或いは二重管などからなるガス吹き込み用羽口を使用してもよい。
上吹きランス2は、図2に示すように、円筒状のランス本体12と、このランス本体12の下端に溶接などにより接続されたランスノズル13と、で構成されている。ランス本体12は、外管14、中管15、内管16、最内管17の同心円状の4種の鋼管、即ち四重管で構成されている。但し、最内管17は、ランス本体12の下端までは設置されておらず、途中で溶接などにより内管16と接続され、封鎖されており、従って、ランス本体12の下端部分は外管14、中管15、内管16からなる三重管で構成されている。
銅製のランスノズル13には、つまり上吹きランス2の先端部には、鉛直下向き方向または鉛直斜め下向き方向のノズル孔として主孔(「下吹きノズル」ともいう)18が設置されている。この主孔18は、その断面が縮小する部分と拡大する部分の2つの円錐体で構成された、所謂ラバールノズルの形状を採っている。この主孔18の設置孔数や口径などの制約は特にないが、上吹きランス2の送酸圧力などの制約により、送酸条件に応じて必然的に孔数や口径は決定されるため、これらを満足する範囲内で設定することとする。
また、ランス本体12の側面部の四重管の範囲には、上吹きランス2の円周方向に向かって開口するノズル孔として副孔19(「横吹きノズル」ともいう)が外管14、中管15及び内管16を貫通して設置されている。副孔19は、ランス本体12の円周方向に複数箇所放射状に配置されているとともに、高さ方向にも複数箇所配置されている。副孔19は転炉本体1の内壁面に付着した地金などの付着物5を溶解するとともに排ガス中のCOガスを二次燃焼するためのものであり、付着物5を効率良く溶解すると同時に二次燃焼を均一化させる観点から、ランス本体12の円周方向に少なくとも4箇所以上配置することが好ましい。また、高さ方向には、少なくとも2箇所設置する必要があり、好ましくは3箇所以上とする。
副孔19のうちで、鉛直方向の最も下方側に配置される副孔19の角度θを下向きに30°〜70°の範囲内とする。この鉛直方向の最も下方側に配置される副孔19は、脱燐処理によって発生するCOガスを二次燃焼させ、発生する燃焼熱をスラグ4及び溶銑3に着熱させる役割を担っており、噴出する酸素ガスがスラグ4或いは溶銑3に向かうように、角度θを30°〜70°の範囲内で、転炉本体1の大きさや上吹きランス2のランス高さ(上吹きランスの先端と溶銑浴面との距離)に応じて適宜設定する。角度θを30°〜70°の範囲内とする理由は、噴出する酸素ガスが転炉本体1の内壁面に直接向かわないようにするためである。鉛直方向の最も下方側に配置される副孔19は円周方向に複数基設置されており、これらの角度は基本的に同一とすればよい。
鉛直方向の最も下方側に配置される副孔19以外の副孔19の下向き角度は、下向きに0°〜50°の範囲で且つ鉛直方向の最も下方側に配置される副孔19の下向き角度θよりも小さい角度とする。この場合、副孔19が高さ方向に3箇所以上設置される場合には、二次燃焼と地金溶解とを効率的に行うために、上方の副孔19ほど、その下向き角度を順次小さくすることが好ましい。高さ方向が同一の副孔19の角度は基本的に同一とすればよい。尚、図2に示す副孔19は直管状であるが、ラバールノズル形状としてもよい。
外管14と中管15との間隙及び中管15と内管16との間隙は、上吹きランス2を冷却するための冷却水の流路となっており、上吹きランス2の上部に設けられた給水継手(図示せず)から供給された冷却水は中管15と内管16との間隙を通ってランスノズル13の部位まで至り、ランスノズル13の部位で反転して外管14と中管15との間隙を通って上吹きランス2の上部に設けられた排水継手(図示せず)から排出される。給排水の経路を逆としてもよい。
内管16と最内管17との間隙は副孔19への酸素ガスの供給流路となっており、上吹きランス2の上端部から内管16と最内管17との間隙に供給された酸素ガスは副孔19から噴出される。また、最内管17の内部は主孔18への酸素ガスの供給流路となっており、上吹きランス2の上端部から最内管17の内部に供給された酸素ガスは、最内管17から内管16を通り、主孔18から転炉本体1に収容されている溶銑3の湯面に向かって噴出される。主孔18及び副孔19から噴出される酸素ガス量は、各々独立した流量計(図示せず)により独立して流量制御されている。
尚、本発明においては、上吹きランス2は必ずしも四重管とする必要はなく、最内管17が設置されない三重管としてもよい。この場合には、内管16の内部が酸素ガスの供給流路となり、主孔18及び副孔19から噴出される酸素ガス量は、主孔18及び副孔19の断面積に依存し、従って、主孔18から噴出する酸素ガス流量と、副孔19から噴出する酸素ガス流量との比率を脱燐処理中に任意に変更できないので、予め所定の比率になるように主孔18及び副孔19の断面積を決める必要がある。また、スプラッシュなどの付着によりノズル断面積が変化した場合には、酸素ガス流量の比率が変動することもある。このような問題を避けるためには四重管構造とすることが好ましい。
このような構成の転炉設備を用いて溶銑3を脱燐処理するに際しては、先ず、転炉本体1に溶銑3を装入する。用いる溶銑3としてはどのようなものであっても処理することができ、脱燐処理の前に脱硫処理や脱珪処理が施されていてもよい。脱珪処理とは、溶銑3に酸素ガス或いは鉄鉱石、ミルスケールなどの酸化鉄を添加し、主として溶銑3に含有されるSiを除去する処理である。因みに、脱燐処理前の溶銑3の主な化学成分は、C:3.8〜5.0質量%、Si:0.4質量%以下、S:0.05質量%以下、P:0.1〜0.2質量%程度である。また、溶銑温度は1200〜1400℃の範囲であれば問題なく脱燐処理できる。
そして、脱燐用フラックスとして生石灰などを溶銑3の上に一括投入若しくは分割投入或いは溶銑3にインジェクションし、ポーラス煉瓦10から窒素ガスやArガスなどを撹拌用ガスとして溶銑3に吹き込みながら、上吹きランス2の主孔18及び副孔19から酸素ガスを供給して溶銑3の脱燐処理を実施する。脱燐用フラックスは、吹き込まれたガス気泡6により溶銑3と撹拌され溶融してスラグ4を形成する。溶銑3に含有されるPは主孔18から供給される酸素ガスによって酸化してP25 となり、脱燐用フラックスが溶融して生成されるスラグ4に移行して脱燐反応が進行する。
副孔19から吹き込まれた酸素ガスは、脱燐処理の際に発生するCOガスと反応し、COガスの二次燃焼(2CO+O2 =2CO2 )が進行する。特に、鉛直方向の最も下方側に配置される副孔19から、スラグ4或いは溶銑3に向けて酸素ガスが噴射されるので、発生するCOガスはスラグ4或いは溶銑3の直上で二次燃焼するので、燃焼熱はスラグ4或いは溶銑3に直ちに伝達し、スラグ4及び溶銑3に効率的に着熱する。この場合、スラグ4の熱は溶銑3に伝達される。そのため、溶銑3の温度が従来の脱燐処理に比べて上昇し、次工程の転炉脱炭精錬における熱余裕が増加して、鉄スクラップ配合量の拡大、発熱材の削減など、転炉脱炭精錬の安定化がもたらされる。
但し、脱燐反応は発熱反応であり、脱燐反応を促進させるためには、反応界面温度を上昇させず、低温に維持させることが有効である。二次燃焼熱によって溶銑3の温度が上昇し過ぎる場合には、脱燐処理においても鉄スクラップなどを添加して、溶銑温度を調整する。
また、副孔19から吹き込まれた酸素ガスは転炉本体1の側壁内壁面に付着した付着物5に含まれる地金を酸化させて酸化鉄に変質するとともに、この酸化反応による発熱により付着物5の地金や地金が酸化した酸化鉄及びスラグを溶融させる。この場合、前述したCOガスの二次燃焼熱も付着物5の溶融に寄与する。溶融した付着地金や酸化鉄及びスラグはスラグ4または溶銑3に落下する。そのため、スラグ4のT.Fe濃度は迅速に上昇し且つ高位に維持される。また、付着物5が溶融してスラグ4または溶銑3と混合することにより、スラグ4及び溶銑3の温度上昇が抑えられ、これにより火点(主孔からの酸素ガスの溶銑浴面での衝突位置)の温度上昇も抑えられる。これらにより、脱燐反応が促進される。
即ち、脱燐処理時に転炉本体1の内壁面に付着した地金を溶解することにより、溶融状態のFeOなどの酸化鉄が新たに生成し、この溶融状態の酸化鉄が流下してスラグ4に供給されるので、スラグ4のT.Feが迅速に増加し且つ高位に維持される。また、脱燐処理時に付着したスラグを溶解することにより、付着スラグ中に含まれる粒鉄などが酸化され、同様にスラグ4のT.Feが増加し且つ高位に維持される。付着地金及び付着スラグは溶融状態でスラグ4に供給されるので、スラグ4の滓化を損なうことはなく、むしろ、スラグ4の滓化を促進させる。そして、溶融された地金及びスラグは、ほとんど過熱度(スーパーヒート)を持たずに壁面を流下若しくは壁面から落下してスラグ4や溶銑3と合流するので、スラグ4及び溶銑3の温度上昇が抑えられ、これにより火点の温度上昇も抑えられる。尚、溶銑の脱燐処理では、溶銑温度つまり火点の温度を上昇させず、低温に維持させること、並びに、スラグ4のT.Fe濃度を迅速に増加させ且つ高位に維持させることによって、脱燐反応が促進する。
脱燐処理時の酸素源が酸素ガスのみでは溶銑温度が上昇し過ぎて脱燐反応が阻害される場合もあるので、必要に応じて固体酸素源としてミルスケールや鉄鉱石などを添加してもよい。固体酸素源を添加することにより溶銑温度を低下させることができる。
脱燐用フラックスの投入量は、溶銑3のSi濃度、S濃度及びP濃度に応じて変更することとするが、最大でも溶銑トン当たり40kg程度であれば十分である。また、脱燐用フラックスの種類として、特にソーダ系や弗化物系の組成を含まなくてもよく、生石灰のみでも安定して脱燐することができる。また、ランス高さは特に限定する必要はなく、スラグ4の生成量などを勘案して設定すればよい。
このように、本発明では、脱燐処理で発生するCOガスを二次燃焼させて燃焼熱を溶銑3に着熱させるとともに、転炉本体1の内壁面に付着した地金またはスラグを溶解しながら溶銑3を脱燐処理するので、転炉1の内壁面への地金の付着を防止すると同時に、高い熱効率で溶銑3を脱燐処理することができ、溶銑3の脱燐処理コストを大幅に低減することが可能となる。
図1に示す転炉設備を用いて溶銑の脱燐処理試験を実施した。以下、その結果を説明する。転炉本体の容量は300トンであり、約300トンの溶銑を転炉本体内に装入して脱燐処理を実施した。用いた上吹きランスは、主孔の孔数を4孔とし、副孔を、上吹きランスの円周方向に4箇所、鉛直方向に上吹きランス下端位置から500mm位置、1500mm位置、2500mm位置の3段とした。また、下段の副孔の下向き角度を70°、中段の副孔の下向き角度を30°、上段の副孔の下向き角度を0°つまり水平とした。
脱燐用フラックスとして生石灰を転炉本体内に添加してスラグを生成させるとともに、窒素ガスをポーラス煉瓦から毎分10〜36Nm3 程度吹き込みながら、上吹きランスから10〜20Nm3/溶銑トンの酸素ガスを供給して、脱燐処理を実施した。脱燐処理に供した溶銑の温度は1200〜1400℃、溶銑のSi含有量は0.03〜0.40質量%であった。
その結果、脱燐処理における鉄ロスは3kg/tであり、従来の5kg/tに比べて大幅に低減した。また、次工程の転炉における溶銑の脱炭精錬では、用いる溶銑の温度上昇によって、溶銑配合率を従来に対して1%低減すること、つまり鉄スクラップを従来に比べて1%増加することができた。
本発明による上吹きランスを備えた転炉設備の概略断面図である。 本発明による上吹きランスの概略拡大断面図である。
符号の説明
1 転炉本体
2 上吹きランス
3 溶銑
4 スラグ
5 付着物
6 ガス気泡
7 鉄皮
8 耐火物
9 出湯口
10 ポーラス煉瓦
11 ガス導入管
12 ランス本体
13 ランスノズル
14 外管
15 中管
16 内管
17 最内管
18 主孔
19 副孔

Claims (4)

  1. 先端部と側面部とにノズル孔を有する上吹きランスを用い、側面部のノズル孔から酸素ガスを供給して処理容器の内壁面に付着した地金を溶解するとともに発生するガスを二次燃焼させながら、先端部のノズル孔から溶銑湯面に向けて酸素ガスを供給して溶銑を脱燐処理するに際し、側面部のノズル孔を複数の高さ位置に放射状に配置するとともに、溶銑浴面に最も近い位置に配置される側面部のノズル孔の角度を下向きに30°〜70°の範囲とし、該ノズル孔よりも上方位置に配置される側面部のノズル孔の角度を下向きに0°〜50°の範囲で且つ溶銑浴面に最も近い側面部のノズル孔の下向き角度よりも小さくすることを特徴とする、溶銑の脱燐処理方法。
  2. 前記側面部のノズル孔が上吹きランスの高さ方向に3箇所以上配置され、高さ方向が上方のノズル孔ほどノズル孔の下向き角度が小さいことを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱燐処理方法。
  3. その先端部に鉛直下向きまたは斜め下向き方向のノズル孔を備え、その側面部に上吹きランスの円周方向に向かって開口するノズル孔を備えた上吹きランスであって、上吹きランスの側面部にはノズル孔が複数の高さ位置に放射状に配置されているとともに、鉛直方向の最も下方側に配置される側面部のノズル孔の角度が下向きに30°〜70°の範囲であり、該ノズル孔よりも上方位置に配置されるノズル孔の角度が下向きに0°〜50°の範囲で且つ鉛直方向の最も下方側に配置される側面部のノズル孔の下向き角度よりも小さいことを特徴とする、溶銑の脱燐処理用上吹きランス。
  4. 前記側面部のノズル孔は上吹きランスの高さ方向に3箇所以上配置され、高さ方向が上方のノズル孔ほどノズル孔の下向き角度が小さいことを特徴とする、請求項3に記載の溶銑の脱燐処理用上吹きランス。
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