JP2012041584A - 高クロム鋼の溶製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 含クロム溶銑または含クロム溶銑と高炉溶銑との混合物を主原料として高クロム鋼を溶製する際に、溶製される溶鋼の燐濃度を製品規格内に維持した状態で、昇熱材である炭材としてコークスと無煙炭とを併用し、効率的な酸素吹錬を行う。
【解決手段】 含クロム溶銑または含クロム溶銑と高炉溶銑との混合物を主原料として転炉で脱炭精錬して高クロム鋼を溶製するときに、前記脱炭精錬の初期に炉内にコークスと無煙炭とを昇熱用炭材として投入して鉄浴を昇熱する高クロム鋼の溶製方法であって、前記昇熱用炭材から溶鋼に持ち込まれる燐による溶鋼での燐濃度の上昇量が、鋼製品の燐濃度規格上限値と、脱炭精錬工程以降の溶鋼への復燐量と、前記主原料から溶鋼に持ち込まれる燐質量と、から算出される燐濃度上昇の許容値以下となるように、昇熱用炭材であるコークス及び無煙炭の投入量を調整する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、含クロム溶銑または含クロム溶銑と高炉溶銑との混合物を主原料として、これを転炉で酸素ガスを用いて脱炭精錬して高クロム鋼を溶製する方法に関する。
ステンレス鋼や耐熱鋼に代表される高クロム鋼を溶製する方法として、電気炉でフェロクロムや高クロム鋼スクラップを溶解した後、AOD炉やVOD設備で脱炭精錬して溶製する方法以外に、転炉に含クロム溶銑、高炉溶銑などの高炭素溶融鉄とフェロクロムとを装入し、酸素ガスによって脱炭精錬を行って溶製する方法が知られている。尚、含クロム溶銑とは、高炉溶銑を鉄浴とするクロム鉱石の溶融還元製錬法によって製造される溶銑である。
クロムは鉄に比べて酸化されやすい元素であるので、酸素ガスを用いて脱炭精錬を行う際には、クロムの酸化されにくい条件を確保することが必要である。溶融鉄中にクロムと炭素とが共存する場合、溶融鉄の温度が高いほど熱力学的にクロムの酸化よりも炭素の酸化が優先する条件となるので、クロムの酸化を抑制するためには、転炉での高クロム鋼の脱炭精錬は高温下で行う必要がある。高炉溶銑や含クロム溶銑は溶鋼に比べて温度が低く、これにフェロクロムを添加した場合には更に温度が低くなることから、転炉での高クロム鋼の脱炭精錬では、酸素吹錬の初期に炭材を昇熱材として投入して吹錬を行うのが一般的である。
また、上記のように、クロムは酸化されやすいので、高クロム鋼の脱炭精錬では、炭素鋼の脱炭精錬と異なり、生成されるスラグを過酸化状態にして溶融鉄中の燐を酸化除去することができないという問題点がある。
従って、高クロム鋼の脱炭精錬における昇熱用の炭材としては、溶製される溶鋼の燐濃度を製品規格内に維持するために、通常のコークス(燐濃度:0.060質量%)よりも燐濃度の低い低燐コークス(燐濃度:0.020質量%)が使用されていた。
しかし、世界的な石炭需要の高まりによってコークスの価格が上昇しており、特に低燐コークスの価格高騰が著しく、高クロム鋼の脱炭精錬においても、炭材として低燐コークス以外を使用する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、転炉内に、高炉溶銑や含クロム溶銑などの高炭素溶融鉄とフェロクロムとを装入し、該高炭素溶融鉄及びフェロクロムに酸素ガスによる脱炭精錬を施して高クロム鋼を溶製する際に、脱炭精錬の初期に炉内に投入する昇熱用炭材として無煙炭(燐濃度:0.006質量%程度)を使用し、該無煙炭を投入する際の炉口からの排ガス線流速を標準状態換算で220m/min以下に調整した、高クロム溶鋼の溶製方法が提案されている。
特開2006−233265号公報
特許文献1によって低燐コークスの使用は不要となったが、特許文献1においては、無煙炭を投入する際の炉口からの排ガス線流速を標準状態換算で220m/min以下に調整する必要があり、つまり、具体的な操業方法としては、上吹きランスからの酸素ガスの供給速度を抑制する必要があり、吹錬時間が延長されて生産性の低下を招くなどの課題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、含クロム溶銑または含クロム溶銑と高炉溶銑との混合物を主原料とし、これを転炉で酸素ガスを用いて脱炭精錬して高クロム鋼を溶製する際に、溶製される溶鋼の燐濃度を製品規格内に維持した状態で、昇熱材である炭材として無煙炭に加えてコークスを併用し、効率的な酸素吹錬を行うことの可能な、高クロム鋼の溶製方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明に係る高クロム鋼の溶製方法は、クロムを3〜30質量%含有する、含クロム溶銑または含クロム溶銑と高炉溶銑との混合物を主原料として転炉で脱炭精錬して高クロム鋼を溶製するときに、前記脱炭精錬の初期に炉内にコークスと無煙炭とを昇熱用炭材として投入して鉄浴を昇熱する高クロム鋼の溶製方法であって、下記の(1)式で計算される、前記昇熱用炭材から溶鋼に持ち込まれる燐による溶鋼での燐濃度の上昇量が、鋼製品の燐濃度規格上限値と、脱炭精錬工程及び次工程での溶鋼への復燐量と、前記主原料から溶鋼に持ち込まれる燐質量とから、下記の(2)式によって算出される燐濃度上昇の許容値以下となるように、昇熱用炭材であるコークス及び無煙炭の投入量を調整することを特徴とする。
Pc=(Want×Pant+Wcoke×Pcoke)/1000 …(1)
Pacc=Pspec-ΔP-(WHM×PHM)/(WHM+WSC+WFeCr) …(2)
(1)式及び(2)式において、Pcは昇熱用炭材から溶鋼に持ち込まれる燐による溶鋼での燐濃度の上昇量(質量%)、Wantは無煙炭の溶鋼トンあたりの原単位(kg/t)、Pantは無煙炭の燐濃度(質量%)、Wcokeはコークスの溶鋼トンあたりの原単位(kg/t)、Pcokeはコークスの燐濃度(質量%)、Paccは昇熱用炭材から持ち込まれる燐による溶鋼での燐濃度上昇の許容値(質量%)、Pspecは鋼製品の燐濃度規格上限値(質量%)、ΔPは脱炭精錬工程及び次工程での溶鋼への復燐量(質量%)、WHMは含クロム溶銑または含クロム溶銑と高炉溶銑との混合物の転炉への装入量(t)、PHMは含クロム溶銑または含クロム溶銑と高炉溶銑との混合物の燐濃度(質量%)、WSCは鉄スクラップの転炉への装入量(t)、WFeCrはフェロクロムの転炉への装入量(t)である。
本発明によれば、昇熱用炭材として、鋼製品の燐濃度規格の上限値を超えない範囲内でコークスを使用するので、無煙炭のみを使用した場合に比較して1チャージあたりの無煙炭の投入量が減少し、無煙炭の投入量が減少する分だけ上吹きランスからの酸素ガス供給速度を低下する期間が減少し、吹錬時間が短縮して生産性が向上される。
主原料及び昇熱用炭材から持ち込まれる燐による溶鋼での燐濃度を横軸に、出鋼直後の取鍋内溶鋼の燐濃度を縦軸として両者を対比して表示した図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明で使用する精錬炉は、上吹き転炉、底吹き転炉、上底吹き転炉である。ここで、上底吹き転炉とは、上吹きランスと底吹き羽口の両方から酸素ガスを吹き込む所謂「酸素上底吹き転炉」、並びに、上吹きランスから酸素ガスを吹き込み、底吹き羽口からは攪拌用不活性ガスのみを吹き込む所謂「不活性ガス攪拌上底吹き転炉」の双方の上底吹き転炉を意味するものとする。
特に、本発明で使用する精錬炉は上底吹き転炉であることが好ましい。これは、昇熱材である無煙炭及びコークスを効率的に燃焼するには炉内空間またはスラグ中に酸素ガスを供給するのが望ましく、そのためには上吹きランスを備えていることが好ましい。また、無煙炭及びコークスの燃焼によって生じた熱を迅速に鉄浴に伝えるには、鉄浴とスラグとの攪拌を強くする必要があり、それには底吹き羽口からのガス吹き込みが効果的であるからである。また、高クロム鋼の脱炭精錬では、鉄浴とスラグとの攪拌が強い方がクロムの酸化防止にも有利である。この場合、上底吹き転炉としては、酸素上底吹き転炉と不活性ガス攪拌上底吹き転炉との2種があるが、脱炭精錬時において酸素ガスと鉄浴との接触が良好である酸素上底吹き転炉を使用するのがより一層好ましい。
尚、酸素上底吹き転炉といっても、高クロム鋼の脱炭精錬では、鋼中の炭素濃度が低くなるにつれてクロムの酸化が生じやすくなるので、転炉内雰囲気中のCO分圧を下げて脱炭反応を優先させるために、脱炭精錬の後期から末期にかけて上吹き酸素ガスと底吹き酸素ガスの一方若しくは両方に不活性ガスを混合するか、酸素ガスを不活性ガスに置き換えることが必要となる。従って、使用する酸素上底吹き転炉では、上吹き酸素ガスの供給系または底吹き酸素ガスの供給系の何れか一方或いは双方の供給系に、不活性ガスを供給する系統を併設することが好ましい。酸素上底吹き転炉以外の転炉でも、同様に、酸素ガスの供給系に不活性ガスを供給する系統を併設することが好ましい。
上記の転炉内に装入する主原料は、含クロム溶銑または含クロム溶銑と高炉溶銑(高炉で製造される溶銑)との混合物であり、含クロム溶銑または含クロム溶銑と高炉溶銑との混合物(以下、含クロム溶銑及び含クロム溶銑と高炉溶銑との混合物をまとめて「クロム含有高炭素溶融鉄」と記す)のクロム分が鋼製品のクロム分に不足する場合には、フェロクロムを追加し、更に、必要に応じて炭素鋼やステンレス鋼などの鉄スクラップを装入する。尚、含クロム溶銑とは、クロム鉱石の溶融還元製錬法により溶製される溶銑であり、また、クロム含有高炭素溶融鉄のクロム含有量は特に規定しないが、3〜30質量%が一般的である。高クロム鋼の場合、前述したように、脱炭精錬時の脱燐反応は期待できないので、高炉溶銑を併用する場合には高炉溶銑は予め溶銑予備処理によって脱燐処理しておくことが好ましい。
フェロクロムは鉄スクラップとともに、クロム含有高炭素溶融鉄の装入前に予めスクラップシュートによって炉内に装入する方法と、昇熱中或いは脱炭精錬中に炉上バンカーから小量ずつ分割投入または連続投入する方法の2種の方法があるが、何れであっても構わない。前者であれば、炉上バンカーからの切り出しに不向きな大塊のフェロクロムを使用できる利点があるものの、精錬初期の鉄浴温度が低くなるのでクロムの酸化が生じやすくなる。精錬初期の鉄浴とは、クロム含有高炭素溶融鉄自体が溶解したもの、またはこれにフェロクロム、鉄スクラップが溶解したものである。このため、前者の場合には昇熱を迅速に行う必要がある。一方、後者の小量ずつの分割投入や連続投入では、フェロクロムは炉上バンカーや中間ホッパーなどの切り出し装置を通す必要があるため、その粒度をこれらの装置を通過するに十分な大きさにする必要がある。フェロクロムは安価な高炭素フェロクロムを使用することが好ましい。
尚、いうまでもないことであるが、炭素鋼の脱炭精錬の場合と同様に、適性な組成のスラグを形成するための生石灰、石灰石、珪石、アルミナ含有物質などのフラックス、及び、炉壁を保護するためのマグネシア、ドロマイトなどの副原料を適宜炉内に装入してもよい。
本発明の対象とする高クロム鋼とは、耐熱鋼やステンレス鋼などのクロムを5〜30質量%含有する鋼をいう。即ち、このような濃度でクロムを含有する溶鋼を、酸素ガスを用いて脱炭精錬して溶製する場合には、クロムの歩留りを確保する必要性から脱炭精錬末期に溶鋼とスラグとを過酸化にして脱燐処理することができないからである。
本発明では、クロム含有高炭素溶融鉄を炉内に装入した後、精錬の初期に昇熱を実施する。この昇熱は、クロム含有高炭素溶融鉄と、フェロクロム、鉄スクラップといった固体原料とが混合すること或いは固体原料を溶解することによって温度の低下した精錬初期の鉄浴を、クロムの酸化反応よりも脱炭反応が優先する温度領域に速やかに昇温するための必須不可欠な処理である。
昇熱は、炉内に昇熱用炭材と酸素ガスとを供給し、酸素ガスで昇熱用炭材を燃焼することにより発生する熱を鉄浴に伝えることによって行う。ここで、昇熱用炭材として本発明では無煙炭及びコークスを使用する。無煙炭は、その燐濃度が0.006質量%程度であり、従来使用されていた低燐コークス(燐濃度:0.020質量%)よりも更に燐含有量が少なく、しかもその価格が低燐コークスよりも安価なためである。
炉内に添加された無煙炭は、酸素ガスと反応してCOガスやCO2ガスを発生する。また、無煙炭に含まれる揮発性成分(VM)は炭化水素や水素に分解し、一部は酸素ガスと反応してCOガス、CO2ガス、H2Oガスを形成する。これらのCOガス、CO2ガス、H2Oガス、未燃の炭化水素、水素などからなる排ガスは、炉口から排ガスダクトを通って排ガス回収装置に回収される。
この排ガスの流速が大きい場合には、炉内に投入された無煙炭の落下速度を上回り、投入された無煙炭は排ガスとともに炉外に逸出することになる。理論的には、無煙炭の粒度が大きいほど、自由落下の終端速度が大きくなるので、排ガスに伴って炉外に逸出する確率は小さくなる。しかし、現実には無煙炭は炉内の高温雰囲気に晒されると、揮発分が膨張することによって容易に崩壊し、初期の粒径の如何によらず、炉内での粒度分布は似通ったものとなる。即ち、大量の無煙炭を投入する際には、酸素ガスの供給速度を低下する必要がある。
そこで、本発明では、無煙炭に含有される揮発性成分(VM)によるガス発生を抑制するために、昇熱用炭材として通常のコークス(燐濃度:0.060質量%)を使用する。コークスには、揮発性成分(VM)が含まれておらず、コークスを併用することで、ガス発生量を抑制することができる。
但し、コークスの燐濃度は高く、昇熱に必要として添加する全炭材質量中のコークスの配合比率が高くなると、溶鋼の燐濃度が鋼製品の燐濃度規格値の上限値を超えてしまうので、溶製される溶鋼の燐濃度の規格上限値に応じて、昇熱用炭材として使用する無煙炭及びコークスの配合量を調整する。具体的には、以下の方法によって配合量を調整する。
昇熱用炭材である無煙炭及びコークスによって溶鋼に持ち込まれる燐による溶鋼での燐濃度の上昇量は下記の(1)式で算出される。
Pc=(Want×Pant+Wcoke×Pcoke)/1000 …(1)
但し、(1)式において、Pcは昇熱用炭材から溶鋼に持ち込まれる燐による溶鋼での燐濃度の上昇量(質量%)、Wantは無煙炭の溶鋼トンあたりの原単位(kg/t)、Pantは無煙炭の燐濃度(質量%)、Wcokeはコークスの溶鋼トンあたりの原単位(kg/t)、Pcokeはコークスの燐濃度(質量%)である。
また、溶鋼には、クロム含有高炭素溶融鉄からも燐が持ち込まれ、また、転炉内に残留する前チャージのスラグや出鋼時の取鍋内に残留する前チャージのスラグからも燐が持ち込まれ、更に、脱酸された溶鋼においては、溶鋼上のスラグから溶鋼への燐の戻りが発生する。また更に、鉄スクラップやフェロクロムからも燐が持ち込まれる。本発明においては、昇熱用炭材及びクロム含有高炭素溶融鉄の両者以外によって持ち込まれる燐をまとめて「溶鋼への復燐量」と定義する。従って、鋼製品の燐濃度規格上限値に対して、クロム含有高炭素溶融鉄から持ち込まれる燐と溶鋼への復燐量とを考慮して、昇熱用炭材から持ち込まれる燐を定める必要がある。
これらを考慮すると、昇熱用炭材から持ち込まれる燐による溶鋼での燐濃度上昇の許容値は、下記の(2)式で求められる。
Pacc=Pspec-ΔP-(WHM×PHM)/(WHM+WSC+WFeCr) …(2)
但し、(2)式において、Paccは、昇熱用炭材から持ち込まれる燐による溶鋼での燐濃度上昇の許容値(質量%)、Pspecは鋼製品の燐濃度規格上限値(質量%)、ΔPは脱炭精錬工程及び次工程での溶鋼への復燐量(質量%)、WHMは含クロム溶銑または含クロム溶銑と高炉溶銑との混合物、つまりクロム含有高炭素溶融鉄の転炉への装入量(t)、PHMは含クロム溶銑または含クロム溶銑と高炉溶銑との混合物、つまりクロム含有高炭素溶融鉄の燐濃度(質量%)、WSCは鉄スクラップの転炉への装入量(t)、WFeCrはフェロクロムの転炉への装入量(t)である。
即ち、(1)式から算出される、昇熱用炭材によって溶鋼に持ち込まれる燐による溶鋼での燐濃度の上昇量(Pc)が、(2)式から算出される燐濃度上昇の許容値(Pacc)以下となるように、無煙炭及びコークスの配合量を設定することで、溶製される溶鋼の燐濃度を規格値の範囲内に維持することが可能となる。当然のことではあるが、無煙炭及びコークスの配合量の合計値は溶鋼の昇熱に十分な量である必要がある。
ここで、脱炭精錬工程及び次工程での溶鋼への復燐量(ΔP)は、脱炭精錬工程での鉄スクラップやフェロクロムから持ち込まれる燐、転炉内に付着する前チャージのスラグから持ち込まれる燐、出鋼される取鍋に付着するスラグから持ち込まれる燐、溶鋼が脱酸処理された出鋼時以降の取鍋内のスラグから溶鋼へ戻る燐などを全て含むものであり、鉄スクラップやフェロクロムの使用条件などに基づき、操業実績から求めることができる。
図1は、燐濃度の規格上限値が0.020質量%の高クロム鋼製品を溶製した場合に、クロム含有高炭素溶融鉄(主原料)及び昇熱用炭材から持ち込まれる燐による溶鋼での燐濃度を横軸に、出鋼直後の取鍋内溶鋼の燐濃度を縦軸として両者を対比して表示した図である。図1に示すように、この操業形態の場合には、主原料及び昇熱用炭材から持ち込まれる燐による溶鋼での燐濃度に対して、出鋼後の溶鋼の燐濃度は約0.007質量%高くなることが分かる。更に、取鍋内の溶鋼は、その後、RH真空脱ガス装置などの二次精錬設備によって精錬され、この間の取鍋内のスラグから溶鋼へ戻る燐は約0.003質量%であったので、この操業形態での溶鋼への復燐量(ΔP)は約0.010質量%であることを確認している。
種々の鋼種での調査結果から、溶鋼への復燐量(ΔP)は0.007〜0.013質量%程度であることを確認しており、復燐量(ΔP)を0.013質量%として(2)式を算出すれば、ほとんどの操業で燐濃度が規格上限値を超えることはない。
炉内に投入された無煙炭及びコークスは供給される酸素ガスによって燃焼する。無煙炭及びコークスの比重は炉内の鉄浴の比重よりも小さいので、直ちに鉄浴中に溶解することは少なく、炉内に投入された無煙炭及びコークスは、炉内の雰囲気内或いはスラグ中に取り込まれた状態で燃焼することになる。そのため、無煙炭及びコークス燃焼用の酸素ガスは炉内の雰囲気かスラグ中に供給することが好ましい。この理由から、昇熱用炭材燃焼用の酸素ガスは上吹きランスによって炉内に吹き込むことが効果的である。
以上説明したように、本発明によれば、昇熱用炭材として、鋼製品の燐濃度規格上限値を超えない範囲内でコークスを使用するので、無煙炭のみを使用した場合に比較して1チャージあたりの無煙炭添加量が減少し、無煙炭添加量が減少する分だけ上吹きランスからの酸素ガス供給速度を低下する期間が減少し、吹錬時間が短縮して生産性が向上される。
酸素上底吹き転炉を用いてクロム含有量が13質量%のフェライト系ステンレス鋼を溶製する際に、(1)式及び(2)式を満足する範囲で、昇熱用炭材として無煙炭及びコークスを使用(本発明例)し、昇熱用炭材として無煙炭のみを使用した従来例と比較する操業試験を実施した。尚、(2)式を計算する際に、溶鋼への復燐量(ΔP)は0.010質量%とした。
その結果、本発明例では昇熱用炭材として通常のコークスを使用するので、溶鋼の燐濃度は従来例に比較して若干高くなったが、規格値(0.020質量%以下)を満足することができた。また、本発明例では、無煙炭の投入量が減少したために、吹錬時間を従来例の68.5分(平均値)から66.1分(平均値)に2.4分間短縮することができた。

Claims (1)

  1. クロムを3〜30質量%含有する、含クロム溶銑または含クロム溶銑と高炉溶銑との混合物を主原料として転炉で脱炭精錬して高クロム鋼を溶製するときに、前記脱炭精錬の初期に炉内にコークスと無煙炭とを昇熱用炭材として投入して鉄浴を昇熱する高クロム鋼の溶製方法であって、下記の(1)式で計算される、前記昇熱用炭材から溶鋼に持ち込まれる燐による溶鋼での燐濃度の上昇量が、鋼製品の燐濃度規格上限値と、脱炭精錬工程及び次工程での溶鋼への復燐量と、前記主原料から溶鋼に持ち込まれる燐質量とから、下記の(2)式によって算出される燐濃度上昇の許容値以下となるように、昇熱用炭材であるコークス及び無煙炭の投入量を調整することを特徴とする、高クロム鋼の溶製方法。
    Pc=(Want×Pant+Wcoke×Pcoke)/1000 …(1)
    Pacc=Pspec-ΔP-(WHM×PHM)/(WHM+WSC+WFeCr) …(2)
    (1)式及び(2)式において、Pcは昇熱用炭材から溶鋼に持ち込まれる燐による溶鋼での燐濃度の上昇量(質量%)、Wantは無煙炭の溶鋼トンあたりの原単位(kg/t)、Pantは無煙炭の燐濃度(質量%)、Wcokeはコークスの溶鋼トンあたりの原単位(kg/t)、Pcokeはコークスの燐濃度(質量%)、Paccは昇熱用炭材から持ち込まれる燐による溶鋼での燐濃度上昇の許容値(質量%)、Pspecは鋼製品の燐濃度規格上限値(質量%)、ΔPは脱炭精錬工程及び次工程での溶鋼への復燐量(質量%)、WHMは含クロム溶銑または含クロム溶銑と高炉溶銑との混合物の転炉への装入量(t)、PHMは含クロム溶銑または含クロム溶銑と高炉溶銑との混合物の燐濃度(質量%)、WSCは鉄スクラップの転炉への装入量(t)、WFeCrはフェロクロムの転炉への装入量(t)である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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