JP5289906B2 - 脱りん処理におけるフォーミング抑制方法 - Google Patents

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本発明は、脱りん処理におけるフォーミング抑制方法に関する。
従来より、高炉から出銑した溶銑を脱りん用精錬容器に装入して、脱りん用精錬容器内の溶銑に酸素を供給すると共に脱りん剤を投入することによって溶銑の脱りんが行われている。このような脱りん処理では、精錬中にスラグのフォーミングが発生するため、このフォーミングを抑制する様々な技術が開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
特許文献1では、 処理容器に収容された溶銑に酸素源を供給して脱燐処理或いは脱珪処理を施す溶銑の予備処理の際に、溶銑の脱燐処理で発生したスラグから回収したスラグを付着する地金を、処理中に処理容器内に上置き添加することでスラグのフォーミングを抑制している。この特許文献1では、フォーミングする際に、地金に付着したスラグ内のCaO含有量を30質量%以上とし、スラグを付着した地金中の鉄分の比率を30質量%以上としている。
特許文献2では、溶銑を処理容器内で脱珪処理を行った後、処理容器から脱珪溶銑を脱珪スラグと共に受銑鍋に流入するに際し、FeO又はFe23含有粒状物質からなるスラグフォーミング抑制剤を受銑鍋へ添加している。
また、上述した特許文献1及び特許文献2の他に、スラグのフォーミングを抑制するものではないが、少なくとも脱りん処理をする技術として、特許文献3〜特許文献5に示すものがある。
特許文献3では、珪素濃度が0.1wt%以下の溶銑に対して、少なくとも脱燐工程、脱炭工程をこの順序で行う溶銑精錬方法において、脱燐工程では、Fを実質的に含有せず、且つ粒度5mm未満の石灰源と粒度15mm未満の酸化鉄源の混合物を造粒し、これを加熱処理して得られた脱燐剤を用いることにより、30kg/T以下のスラグ量で溶銑中の燐濃度を実質的に製品の燐濃度レベルまで低下させた後、脱炭工程を実施していた。
特許文献4では、精錬処理を行うに際して、精錬剤の一部に粒度が2〜5mmの焼結鉱を20kg/t以上用い、且つ該焼結鉱が溶銑中へ持ち込む酸素量を式で定義する焼結鉱酸素比率の範囲を満足するようにしている。
特許文献5では、精錬容器内の溶銑に石灰系フラックス及び酸化剤を吹き込む溶銑の予備脱珪・脱燐方法において、蛍石を含まない石灰系フラックスし、脱珪率が90%になるまでの間に、石灰系フラックスの主たる量を溶銑に添加し、生じるスラグの最終塩基度を1.2〜2.5になるよう操業している。
特開平3−107409号公報 特開2006−241535号公報 特開2000−290714号公報 特許5705170号 特許3684953号
特許文献1〜特許文献2の技術であっても、フォーミング抑制剤の大きさと、フォーミング抑制剤の投入量と、フォーミング抑制剤の投入時期とのぞれぞれの関係が示されていないため、これらの技術を操業に適用してもスラグのフォーミングを確実に抑えることが難しいのが実情である。
また、特許文献3〜特許文献5においても、溶銑に投入する酸化鉄源の大きさ(粒度)などが一部開示されているものの、この技術での酸化鉄源はフォーミングを抑制するために用いられておらず、このれらの技術をフォーミング抑制の技術に適用することはできないのが実情である。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、脱りんを行うに際して、脱りん効率を低下させることなくスラグのフォーミングを確実に抑制することができる脱りん処理におけるフォーミング抑制方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、脱りん用精錬容器の溶銑に対して、酸素を供給すると共にCaOを含む脱りん剤を投入して脱りんを行うに際し、前記溶銑に供給する全酸素量の0〜30%の期間内に当該溶銑に脱りん剤を投入し、スラグのフォーミングを抑制するために球換算直径が10〜50mmの酸化鉄源を、式(1)を満たす投入量で、全酸素量の70〜90%となる期間内に投入する点にある。
本発明によれば、脱りんを行うに際して、脱りん効率を低下させることなくスラグのフォーミングを確実に抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本発明の溶銑の脱りん方法を行う脱りん用精錬容器の全体側面図を示している。
図1に示すように、脱りん用精錬容器1は、上吹き機能を有するものであり、脱りん処理を行うことができるものである。脱りん用精錬容器1は、上方に向かって開口する炉口2を備えている。脱りん用精錬容器1には、当該脱りん用精錬容器1に装入された溶銑3に対して酸素を吹き込む上吹ランス4が炉口2から挿入自在に設けられている。
また、脱りん用精錬容器1には、当該脱りん用精錬容器1内の溶銑3を攪拌するためのガス(例えば、窒素ガス)を吹き込むための吹き込みランス(耐火物ランス)9が炉口2から挿入自在に設けられている。脱りん用精錬容器1には、副原料等を投入するシュート5が配備されている。脱りん用精錬容器1の炉壁には炉体の傾動により溶銑3を出湯できるように出湯口6が形成されている。
脱りん用精錬容器1を用いて脱りん処理を行うには、高炉から出銑した溶銑3を脱りん用精錬容器1に装入し、CaO源である生石灰などの脱りん剤をシュート5を介して溶銑に投入すると共に、酸素を供給する。溶銑3への酸素の供給は、上吹きランス4による気体酸素の吹き込みと、固体酸素源として投入する酸化鉄により行う。また、脱りん処理では、耐火物ランス9から窒素を吹き込んで溶銑3を攪拌しながら処理を行う。
なお、溶銑の攪拌方法については、炉底の羽口からアルゴン、窒素、一酸化炭素等のガスを吹き込んで溶銑3を攪拌しながら処理を行う方法もある。
さらに、脱りん処理では、スラグSのフォーミングを抑制するためのフォーミング抑制剤Mを投入する。
本発明の溶銑の脱りん処理(脱りん処理におけるフォーミング抑制方法)について説明する。
[脱りん剤の投入時期について]
本発明では、脱りん用精錬容器1の溶銑3に対して、酸素を供給すると共に脱りん剤を投入して脱りんを行うに際し、溶銑3に供給する酸素量が0〜30%となる期間内に脱りん剤を投入している。即ち、図2に示すように、溶銑3に供給する全酸素量(全供給酸素量)を100%としたとき、溶銑3に供給した供給酸素量(上吹きランスによる酸素の吹き込みや酸化鉄による酸素量)が30%となる前(図2では、投入期間THC)に、生石灰の脱りん剤を溶銑3に投入している。なお、図2は、各線の立ち上がり(ON)が供給(投入)していることを示し、立ち下がりが(OFF)が供給(投入)していない状態を示している。
ここで、全酸素量(全供給酸素量)とは、脱りん処理中に脱りん用精錬容器1内へ供給する気体酸素(上吹きによる気体酸素)および固体酸素源(酸化鉄源)から供給される酸素量の合計である。酸化鉄源から供給される酸素量は、固体酸素原中の酸化鉄が完全にFeとO2に分解すると仮定した際に発生する酸素量である。CaOは、固体酸素源に含まない。
なお、後述するように、フォーミングを抑制するために投入する酸化鉄源(フォーミング抑制剤M)における酸素量は、溶銑3に酸素を供給することを意図していないため、上述した全酸素量には含まないものとする。また、脱りん剤は、上述したように脱りん用精錬容器1の上方から投入する粒状の生石灰であり、溶銑3中に吹き込むような粉末状のものは含まない。
脱りん剤を溶銑3に投入するタイミングでは、まず、上吹きランス4により酸素も吹き込んでいるため、溶銑3の脱珪反応が進行して、スラグ内にSiO2が生成され、このSiO2と脱りん剤中のCaOとが反応してスラグSが形成されることになる。
溶銑3に供給する酸素量が30%以内となる期間内ではなく、30%を超えた時点で脱りん剤を投入してしまうと、スラグSの形成が遅れ、脱りん反応に適した塩基度を有するスラグSを形成することが困難となる。そのため、スラグSによる脱りん反応が促進されなくなり、所望の[P]を達成することができない。
したがって、溶銑3に供給する酸素量が0〜30%となる期間内(全酸素量の0〜30%の期間内)に、脱りんに必要な脱りん剤の投入を完了する必要がある。
[フォーミングを抑制するフォーミング抑制剤について]
さて、このように溶銑3の脱りん処理を行っている際には、脱りん反応を進行させるために供給した酸素によって、スラグ内に生成した酸化鉄と溶銑3中の炭素(C)とが、スラグSと溶銑3との界面付近にて反応して一酸化炭素(CO)が発生する[(FeO)+C→CO+Fe]。この一酸化炭素のガス気泡がスラグ内で膨張するため、フォーミングが発生することになる。
スラグSのフォーミングを抑制するために、炭材系の物質を投入して、スラグ内の酸化鉄の濃度を低減する方法が考えられるが、スラグ内の酸化鉄の濃度を低下させてしまうと、脱りん反応が促進されなくなる。即ち、脱りん反応は、一般的に、3(CaO)+5(FeO)+2P→(3CaO・P25)+5Feであるため、酸化鉄の濃度が低減してしまうと脱りん反応が促進しなくなる。
よって、脱りん反応を阻害することなく、スラグSのフォーミングを抑制するためには、スラグSの酸化鉄の濃度を低下させずに、スラグ内に生成した微細なCOガスの気泡を収縮することが良い。
そこで、本発明では、スラグ内へ固体の酸化鉄源(例えば、鉄鉱石、スケール、焼結鉱等)を投入することによって、酸化鉄源の分解熱(例えば、鉄鉱石であれば−1229Mcal/t、吸熱反応)により、スラグSを冷却し、スラグ内に生成している微細なCOガスの気泡を収縮させることで、スラグフォーミングを抑制することとしている。以降、説明の便宜上、フォーミングを抑制するために投入する酸化鉄源のことを、フォーミング抑制剤Mということがある。
ここで、酸化鉄源(フォーミング抑制剤M)のスラグSに対する吸熱反応によって、スラグ内のCOガスの気泡を収縮させることが期待できるが、一方で、上述したように、投入した酸化鉄と溶銑3中の炭素(C)とが反応して、再び、COガスが発生するということが考えられる。
このように、スラグSのフォーミングの原因となる酸化鉄と溶銑3中の炭素との反応(COガスの発生の反応)は、スラグSと溶銑3との界面付近により起こるため、本発明によれば、このような界面付近では、COガスの発生の反応を可及的に起こさせずに、界面よりも上側となる領域にてスラグSへの吸熱反応をさせることで、フォーミングを抑制している。
即ち、フォーミングを抑制するために投入する酸化鉄源(フォーミング抑制剤M)の大きさを所定の大きさに規定することによって、スラグSへの吸熱反応のみを界面よりも上側となる領域にて引き起こすようにしている。
具体的には、球換算直径が10〜50mmのフォーミング抑制剤MをスラグSに投入することとしている。球換算直径は、フォーミング抑制剤Mに着目し、各粒の体積を相当球に換算して、その球の直径の値としている。
球換算直径が10mm未満のフォーミング抑制剤Mは、嵩比重が1〜2g/cm3程度であり、スラグSの比重(2〜3g/cm3)に対して小さい。そのため、図1に示すように、球換算直径が10mm未満のフォーミング抑制剤MをスラグS上に投入した場合は、スラグS上に広がるだけであり、スラグ内への進入は、殆どしないことから、スラグ内の全体の吸熱を行うことは難しく、十分なスラグフォーミング抑制を得ることができない。
また、換算直径が10mm未満であるとフォーミング抑制剤MがスラグSに進入した場合であっても、スラグSの熱により、短時間でフォーミング抑制剤Mの溶融分解反応が完了するため、フォーミング抑制の程度が小さい。さらに、換算直径が10mm未満のフォーミング抑制剤Mでは、スラグSへ向けて脱りん用精錬容器1の上方から投入した際に、炉口2から放出されるガスにより飛散して歩留が悪くなる。
そのため、少なくとも、スラグSに向けて投入するフォーミング抑制剤Mの球換算直径は10mm以上であることが必要である。
球換算直径が50mmよりも大きいフォーミング抑制剤Mは、嵩比重が3〜4g/cm3程度であり、スラグSの比重に対して大きいため、容易にスラグSへ侵入する。しかし、スラグ内に進入したフォーミング抑制剤Mの溶融分解反応が進行するまでに時間がかかるため、溶融分解反応によりスラグ内のCOガスを冷却・収縮に寄与するフォーミング抑制剤Mが少なくなり、十分なスラグSフォーミング抑制を得ることができない。
しかも、球換算直径が50mmよりも大きいフォーミング抑制剤M(酸化鉄源)は、容易にスラグ内に浸入するものの、スラグSと溶銑3との界面付近に到達してしまい、逆に、溶銑3の炭素と反応して大きなフォーミングを発生させてしまう場合がある。
そのため、スラグSに向けて投入するフォーミング抑制剤M(酸化鉄源)の球換算直径は50mm以下であることが必要である。
[フォーミング抑制剤(酸化鉄源)の投入量について]
本発明では、上述したように、球換算直径が10〜50mmの酸化鉄源をスラグSに投入することとしているが、フォーミング抑制剤M(酸化鉄源)の投入量は、式(1)を満たすように設定している。式(1)のCaO原単位は、溶銑3に供給したCaOの量であって、スラグ量を基準にすると、スラグ量(kg/t)=CaO原単位(kg/t)/スラグ中のCaO質量%と表すことができるものである。
式(1)に示すように、酸化鉄源の投入量、即ち、フォーミング抑制剤Mの投入量が原単位で、0.1×CaO原単位未満であると、スラグSを冷却してスラグ内のCOガスの気泡を収縮する程度の吸熱量が不十分であるため、フォーミングの抑制効果が小さく、スラグSが脱りん用精錬容器1外へ流出して所望の[P]まで下がらないことがある。
一方で、フォーミング抑制剤Mの投入量が原単位で、0.3×CaO原単位を超えると、スラグSを十分に吸熱してCOガスの気泡を収縮することができるが、過剰に投入した酸化鉄源が溶融して、スラグ内の酸化鉄の濃度が上昇し、相対的にスラグ内のCaO濃度が希釈される。その結果、酸化したりん(P25)とCaOとの反応が促進されず、スラグSの脱りん能が低下し、所望の[P]まで下がらないことがある。これに加え、多量のフォーミング抑制剤Mを投入すると、一部のフォーミング抑制剤MがスラグSと溶銑3との界面付近まで到達してしまい、逆に、フォーミングを発生させてしまうことになる。
そのため、フォーミング抑制剤M(酸化鉄源)の投入量は、式(1)を満たすように設定している。
[フォーミング抑制剤(酸化鉄源)の投入時期について]
本発明では、球換算直径が10〜50mmの酸化鉄源を式(1)を満たす投入量で投入しているが、フォーミング抑制剤M(酸化鉄源)は、酸素量が70〜90%となる期間内に投入している。
即ち、図2に示すように、溶銑3に供給している供給酸素量(上吹きランスによる酸素の吹き込みや酸化鉄による酸素量)が全体の酸素量に対して70〜90%となっている状況下(図2では、投入期間THK)に、フォーミング抑制剤M(酸化鉄源)を投入している。さらに詳しくは、図2に示すように、酸素量が30%以下では、酸素供給のための酸化鉄源と上吹きランスによって酸素を溶銑3に供給しているが、30%を超えると上吹きランスのみにより酸素を溶銑3に供給している。
したがって、30%以降において上吹きランスによる気体酸素の累積量と、30%までに供給した酸素量(気体酸素+固体酸素)との合計の酸素量が、全酸素量の70%を超えて、さらに、90%を超えるまでに、フォーミング抑制剤Mを投入している。
処理中に投入する酸素量が全供給酸素量の70%に達する前に、フォーミング抑制剤Mを投入すると、一旦抑制されたスラグSフォーミングが、その後に供給される酸素(上吹きによる酸素)により再びフォーミングする虞がある。スラグSがフォーミングすると、脱りん用精錬容器1外へスラグSが流出して、スラグS量が不足し、所望の[P]まで下がらないことがある。
したがって、フォーミング抑制剤Mの投入は、全体の脱りん処理を考えて早すぎない時期、即ち、供給した酸素量が全供給酸素量に対して70%に達した後に行う必要がある。
一方で、処理中に添加する全供給酸素量の90%を超えから、フォーミング抑制剤Mを投入すると、スラグSフォーミング抑制が間に合わず、脱りん用精錬容器1外へスラグSが流出する可能性がある。あまりにもフォーミングの抑制剤の投入が遅いと、脱りん用精錬容器1外へスラグSが流出して、スラグS量が不足し、所望の[P]まで下がらないことがある。
したがって、フォーミング抑制剤Mの投入は、全体の脱りん処理を考えて遅すぎない時期即ち、供給した酸素量が全供給酸素量に対して90%に達する前に行う必要がある(全酸素量の70〜90%となる期間内に投入する)。
以上、本発明によれば、脱りん用精錬容器1の溶銑3に対して、酸素を供給すると共に脱りん剤を投入して脱りんを行うに際し、溶銑3に供給する全酸素量の0〜30%となる期間内に当該溶銑3に脱りん剤を投入し、スラグSのフォーミングを抑制するために球換算直径が10〜50mmの酸化鉄源を、式(1)を満たす投入量で、全酸素量の70〜90%となる期間内に投入し、これによって、フォーミングを抑制して十分な脱りんを行うことができる。
表1は、溶銑3の脱りんを行った実施条件を示している。表2及び表3は、表1の実施条件に基づき、本発明の溶銑の脱りん方法によって処理を行った実施例をまとめたものである。また、表4〜表9は、表1の実施条件に基づき、本発明の溶銑の脱りん方法とは異なる方法で処理を行った比較例をまとめたものである。
実施条件について詳しく説明する。
表1に示すように、脱りん処理は、90tonクラスの脱りん用精錬容器(脱りん用転炉)1にて行った。溶銑表面から炉口までの高さ(フリーボード高さ)は、4.5mとした。上吹きにおいては、孔数が3個、孔直径が27mm、孔角度が7°の上吹きランスを用いた。また、上吹きランス以外に、粉体を吹き込み、溶銑を攪拌する耐火物ランスを用いた。脱りん用精錬容器1に装入した溶銑3において、[C]=4.5〜4.8質量%、[P]=0.100〜0.125質量%、[Si]=0.30〜0.45質量%とした。溶製鋼種において、[C]の規格上限は、0.45質量%、[P]の規格上限値は、0.020質量%とした。
脱りん処理において、必要な酸素量は、当業者常法のスタティック制御により決定した。例えば、脱りんするためのものであって、処理前溶銑温度、処理前Siおよび処理後目標温度に応じて決める必要な気体酸素と酸化鉄源(フォーミング抑制剤を除く)から供給される固体酸素とを合わせた量。
CaO等副原料は、当業者常法の副原料の制御により決定した。例えば、溶銑3の[P]と鋼種毎目標[P]との差Δ[P]をメタルからスラグSに排出する、即ち脱りんする
ために、処理後目標温度及び上吹き酸素量に応じて決める必要なCaO等副原料の量。
スラグSのフォーミングの状態を調べるために、図1に示すように、フォーミング高さの検知(スラグSの高さ)は、温度測定用のセンサー10を搭載したサブランス11を用いて実施した。炉体上(脱りん用精錬容器1上)に設置したサブランス10を脱りん処理の終了直後に炉内へ降下させ、検出温度が1200℃以上になった時点のサブランス11の高さを脱りん用精錬容器1内のスラグSのフォーミング高さとした(溶銑3の静止浴面からサブランス11の先端までの距離)。
フォーミングを抑制するための酸化鉄源(フォーミング抑制剤M)は、大きさを揃えるために篩い分けして、球換算粒径を調整した鉄鉱石を用いた。
脱りん処理を行うにあたって、粉体を吹き込み可能な耐火物ランス9から溶銑3を攪拌するガスを吹き込んでいる。溶銑3を攪拌するためにガスのみを行った場合、吹き込みガスの圧力・流量変動によりガス吹き込み孔へ溶銑3が差込、閉塞する可能性があるため、酸化鉄を主体とし、若干CaOを含む粉体を吹き込んでいる。なお、この場合、上吹きランス4から溶銑3を攪拌するためのガスと共に、CaOの粉体を添加しない場合と比較しても処理後[P]に影響が無いことを確認しており、ノズル閉塞防止目的で吹込んでいるCaOは本発明の脱りん用に用いるCaO(脱りん剤)からは除外している。
その他、脱りん用精錬容器1の吹錬制御、脱りん用精錬容器1の出鋼後の溶鋼処理(二次精錬処理)、連続鋳造についても、当業者常法通りに行った。
各表の実施例及び比較例における評価について説明する。
フォーミング抑制剤投入原単位の左欄は、実際に投入したフォーミング抑制剤Mの原単位を示しており、当該フォーミング抑制剤投入原単位の右欄(評価)は、実際に投入したフォーミング抑制剤MをCaO原単位で割った値である。この値が、0.1以上0.3以下であれば、式(1)を満たしていることになる。
スラグSのフォーミングの状態を調べるためにスラグSの高さ(フォーミング高さ)を測定して、その高さが予め設定したフリーボード高さよりも低いか否かを評価した(フォーミング高さの評価の欄)。フォーミング高さが4.5m以内であるとフォーミングを抑制できているために、4.5m以内であるものを良好「○」とし、4.5mを超えるものを不良「×」とした。
また、脱りん処理後における[P]の実績値が予め定めた値([P]≦0.020質量%)を満たしているか評価した(脱りん処理後[P]の評価の欄)。脱りん処理後の[P]が0.020質量%以下であるものは規格通り脱りん処理が出来ているため良好「○」とし、0.020質量%を超えるものを不良「×」とした。
なお、脱りん処理中に、著しいスラグSのフォーミグが発生しない場合には、処理後の[P]は規格上限近くまで低下する。一方、著しいスラグSのフォーミングが発生し、脱りん用精錬容器1内よりスラグSが流出すると、脱りん反応に必要なスラグS量が確保できないため、処理後の[P]が高くなる。そのため、脱りん処理後の[P]を測定することによって、出湯歩留以外でスラグS流出量が低減できていることを間接的に確認することもできる。
また、実操業の効率の観点から脱りん処理時間の上限値を10分として、その脱りん処理時間内に脱りん処理が行えているか否かも評価した(脱りん処理時間の評価の欄)。脱りん処理時間が10分以内であるものは予定通り脱りん処理を終了することができているため良好「○」とし、10分を超えるものを不良「×」とした。
なお、通常、製鋼工場では、脱りん処理、転炉の吹錬、溶鋼処理、鋳造工程が工程間で無駄な待ち時間を発生させないように、タイムスケジュ-ルを作成し、運用している。脱りん処理時間が、規定通り満たされないと、後工程に影響を与えるため、この実施例ではその判断基準を10分として評価を行っている。当然の如く、脱りん処理時間の評価基準となった10分は限定されるものではなく、判断基準とした時間(10分)は、脱りん用精錬容器1での脱りん処理における標準的な時間である。
さらに、脱りん用精錬容器1での脱りん処理における歩留(出湯歩留)が100%超えているか否かも評価した(出湯歩留の評価の欄)。ここで、歩留について、実際の操業と共に説明する。
脱りん処理を行うにあたり、冷却材として酸化鉄源を50〜60kg/t添加しており、酸化鉄源は溶銑3中で溶融し、更に溶銑3中の炭素により溶銑3へ還元されて新たな鉄源となる。よって、酸化鉄源を50〜60kg/t添加しているため、Fe分として最大40kg/t供給され、歩留が向上することになる。なお、冷却材として投入する酸化鉄源の酸素は、上述した全酸素量に含まれるものしている。
脱りん処理中には、溶銑3中のSi、C、Mnなどの酸化されやすい元素が一部酸化除去されて、その量は、Siで4kg/t、Cで4kg/t、Mnで2kg/t、Pで1kg/t程度となり、合計で13kg/tとなり、歩留が低下する要因となる。
脱りんの当業者常法において、脱りん処理終了時のスラグS(T.Fe)は、10〜15質量%であり、スラグSへの鉄ロスはおおよそ6kg/t程度である。
したがって、脱P処理中の冷却材からのインプットされた鉄分と、処理中の成分ロス、鉄ロスを加味すると、上記の例では、脱りん後の歩留は、[1000+40(冷却材の分)−13(成分ロス)−6(スラグSへの鉄ロス)]/1000=102.1%となり、100%を超える。
このように、実施例及び比較例において、歩留の評価は、冷鉄源等の投入による鉄源の増加分と、成分のロス(酸化によるロス)と、スラグSへの鉄ロスとを含めて評価している。
次に、各表における実施例及び比較例について、詳しく説明する。
表2に示す実施例では、溶銑3に供給する酸素量が0〜30%となる期間内に当該溶銑3に脱りん剤を投入し(脱P剤投入完了時期の欄)、スラグSのフォーミングを抑制するために球換算直径が10〜50mmの酸化鉄源を投入している[酸化鉄源(フォーミング抑制剤)球換算直径の欄]。
また、表2に示す実施例では、フォーミング抑制剤Mは、式(1)を満たす投入量としている(フォーミング抑制剤投入原単位の評価が0.1〜0.3)。さらに、表2に示す実施例では、フォーミング抑制剤Mを酸素量が70〜90%となる期間内に投入している(抑制剤投入時期の欄)。
このように、実施例においては、本発明の条件を満たしているので、表3に示すように、フォーミングの高さを予め設定したフリーボードの高さよりも低くすることができる(フリーボードの高さ、評価「○」)と共に、脱りん処理後[P]を規格上限値よりも低くすることができる(脱りん処理後[P]、評価「○」)。また、実施例においては、脱りん処理時間を予め規定した時間よりも短くすることができる(脱りん処理時間、評価「○」)と共に、歩留も100%以上にすることができる(出湯歩留、評価「○」)。
即ち、脱りん処理中に脱りん用精錬容器1外へ噴出するスラグS量を低減することができ、溶銑3の歩留を向上させつつ、脱りんを規定通りの値にすることができて脱りん効率も非常に優れている。 表4に示す比較例19〜比較例28では、溶銑3に供給する酸素量が0〜30%となる期間内には、脱りん剤を投入してない(脱P剤投入完了時期の欄)。そのため、脱りん処理後の[P]を規格値以下にすることができなかった(脱りん処理後[P]、評価「×」)。
表4に示す比較例29〜比較例38では、球換算直径が10〜50mmの範囲から外れる酸化鉄源(フォーミング抑制剤M)を投入している(酸化鉄源球換算直径の欄)。そのため、スラグSのフォーミングが十分に抑制することができず、スラグS噴出のために一時処理を中断することもあった。その結果、フリーボードの高さ、脱りん処理後[P]脱りん処理時間、出湯歩留の全ての項目について、条件を満たすことができなかった(表7、評価「×」)。
表5に示す比較例39〜比較例56では、フォーミング抑制剤Mの投入量が式(1)を満たしていない(フォーミング抑制剤投入原単位、評価)。そのため、スラグSのフォーミングが十分に抑制することができず、スラグS噴出のために一時処理を中断することもあった。その結果、フリーボードの高さ、脱りん処理後[P]脱りん処理時間、出湯歩留の全ての項目について、条件を満たすことができなかった(表8、評価「×」)。
表6に示す比較例57〜比較例74では、酸素量が70〜90%となる期間内には、フォーミング抑制剤Mを投入していない(抑制剤投入時期の欄)。スラグSのフォーミングが十分に抑制することができず、スラグS噴出のために一時処理を中断することもあった。その結果、フリーボードの高さ、脱りん処理後[P]脱りん処理時間、出湯歩留の全ての項目について、条件を満たすことができなかった(表9、評価「×」)。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
脱りん用精錬容器の全体側面図である。 酸素量と、各種投入物との関係図である。
符号の説明
1 脱りん用精錬容器
2 炉口
3 溶銑
4 上吹ランス
5 シュート
6 出湯口
9 耐火物ランス
10 温度測定用のセンサー
11 サブランス
M フォーミング抑制剤(酸化鉄源)

Claims (1)

  1. 脱りん用精錬容器の溶銑に対して、酸素を供給すると共にCaOを含む脱りん剤を投入して脱りんを行うに際し、
    前記溶銑に供給する全酸素量の0〜30%となる期間内に当該溶銑に脱りん剤を投入し、スラグのフォーミングを抑制するために球換算直径が10〜50mmの酸化鉄源を、式(1)を満たす投入量で、全酸素量の70〜90%となる期間内に投入することを特徴とする脱りん処理におけるフォーミング抑制方法。
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