JP5341583B2 - 脱りんスラグの流出防止方法 - Google Patents
脱りんスラグの流出防止方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5341583B2 JP5341583B2 JP2009064667A JP2009064667A JP5341583B2 JP 5341583 B2 JP5341583 B2 JP 5341583B2 JP 2009064667 A JP2009064667 A JP 2009064667A JP 2009064667 A JP2009064667 A JP 2009064667A JP 5341583 B2 JP5341583 B2 JP 5341583B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- slag
- furnace
- forming
- dephosphorization
- hot metal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
特許文献1では、転炉内で酸素吹錬して溶銑を脱炭精錬する際に、酸素吹錬中に転炉内にMn鉱石を添加してMn鉱石を転炉内で還元すると共に、酸素吹錬の末期又は酸素吹錬終了後に、転炉内スラグのT.Fe濃度及びMnO濃度に応じ、スラグ中のT.Fe濃度とMnO濃度との合計値が20mass%以下の場合には、Wc×100 ≧ 0.5×Ws×[T.Fe(mass%)+MnO(mass%)−10]を満たす範囲内でCaO又はCaCO3 を主成分とする精錬剤を転炉内に添加し、一方、スラグ中のT.Fe濃度とMnO濃度との合計値が20mass%を越える場合には、Wc×100 ≧ 0.2×Ws×[T.Fe(mass%)+MnO(mass%)+ 5]を満たす範囲内でCaO又はCaCO3 を主成分とする精錬剤を転炉内に添加し、添加した精錬剤によって転炉内のスラグを固化させ、出鋼時のスラグの転炉からの流出を抑制している。
さて、特許文献1や特許文献2のようにスラグの流出を防止するという技術ではないが、鉄鉱石を添加することによって、スラグのフォーミングを防止(抑制)するものとして特許文献3に示すものがある。
脱りん処理を行った場合のスラグと、脱炭処理を行った場合のスラグとはスラグの体積等が異なり、特許文献1や特許文献2の技術を脱りん処理後のスラグに用いたとしても、スラグの流出を十分に防止することができないのが実情である。
一方で、特許文献3には、スラグのフォーミングを防止する技術が開示されているものの、受銑鍋での技術であり転炉への適用は難しく、スラグのフォーミングを防止することによって出湯の際のスラグの流出を防止するという考えも全く開示されていません。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、脱りん処理後の溶銑を出湯するに際して、脱りん処理にて生成したスラグの流出を防止する脱りんスラグの流出防止方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、溶銑を転炉型脱りん炉にて脱りん処理を行った後に、脱りん処理後の溶銑を出湯するに際し、スラグのフォーミングを抑制すべく球換算直径が20〜50mmとなる酸化鉄源を、式(1)を満たすように吹錬終了時に投入し、溶銑を出湯する点にある。
図1は、転炉型脱りん炉の全体側面図を示している。この発明は、図1に示すような転炉型脱りん炉を用いて溶銑の脱りん処理を行った後に、脱りん処理後の溶銑を出湯するに際して、脱りん処理の際に生成されたスラグ(脱りんスラグ)の流出を防止するものである。
以下、脱りんスラグの流出防止方法を説明する。
図1に示すように、溶銑の脱りん処理を行う転炉型脱りん炉1は、上吹き機能を有するものであり、溶銑2の脱りん処理を行うことができるものである。なお、転炉型脱りん炉1は図1に示すものに限定されない。
さて、上述したように、溶銑2の脱りん処理を行っている際には、脱りん反応を進行させるために供給した酸素によって、スラグ内に生成した酸化鉄と溶銑2中の炭素(C)とが、スラグSと溶銑2との界面付近にて反応して一酸化炭素(CO)が発生する[(FeO)+C→CO+Fe]。この一酸化炭素のガス気泡がスラグ内で膨張するため、フォーミングが発生することになる。
よって、脱りん反応を阻害することなく、スラグSのフォーミングを抑制するためには、スラグSの酸化鉄の濃度を低下させずに、スラグ内に生成した微細なCOガスの気泡を収縮することが良い。
ここで、吹錬中にフォーミング抑制剤Mを投入することによって、脱りん処理の際に生成されたスラグSのフォーミングを抑制することができて有用であるが、脱りん処理後の溶銑2を出湯することまでも考慮すると、さらなるスラグSのフォーミングを抑制する必要がある。
このように、フォーミング抑制剤Mを転炉型脱りん炉1に投入することによって、スラグSに対する吸熱反応が促進されて、スラグ内のCOガスの気泡を収縮させることが期待できる。しかしながら、上述したように、投入した酸化鉄と溶銑2中の炭素(C)とが反応して、再び、COガスが発生する可能性もあり得る。スラグSのフォーミングの原因となる酸化鉄と溶銑2中の炭素との反応(COガスの発生の反応)は、スラグSと溶銑2との界面付近により起こるため、本発明では、このような界面付近では、COガスの発生の反応を可及的に起こさせずに、界面よりも上側となる領域にてスラグSへの吸熱反応をさせることによって、スラグSのフォーミングを抑制するようにしている。
具体的には、球換算直径が20〜50mmのフォーミング抑制剤MをフォーミングスラグSに投入することとしている。球換算直径は、フォーミング抑制剤Mに着目し、各粒の体積を相当球に換算して、その球の直径の値としている。
球換算直径が20mm未満のフォーミング抑制剤Mは、嵩比重が1〜3g/cm3程度であり、スラグSの比重(2〜3g/cm3)に対して小さい。そのため、図3に示すように、球換算直径が20mm未満のフォーミング抑制剤MをフォーミングスラグS上に投入した場合は、フォーミングスラグS上に広がるだけであり、フォーミングスラグ内への進入は、殆どしないことから、スラグ内の全体の吸熱を行うことは難しく、十分なスラグフォーミング抑制を得ることができない。
球換算直径が50mmよりも大きいフォーミング抑制剤Mは、嵩比重が3〜4g/cm3程度であり、スラグSの比重に対して大きいため、容易にフォーミングスラグSへ侵入する。しかし、スラグ内に進入したフォーミング抑制剤Mの溶融分解反応が進行するまでに時間がかかるため、溶融分解反応によりスラグ内のCOガスを冷却・収縮に寄与するフォーミング抑制剤Mが少なくなり、十分にフォーミング抑制を得ることができない。
そのため、スラグSに向けて投入するフォーミング抑制剤M(酸化鉄源)の球換算直径は50mm以下であることが必要である。
本発明では、上述したように、球換算直径が20〜50mmの酸化鉄源をスラグSに投入することとしているが、フォーミング抑制剤M(酸化鉄源)の投入量は、式(1)を満たすように設定している。
フォーミング抑制剤Mの投入量が式(1)の下限値を下回る場合、スラグ量に比べてフォーミング抑制剤Mの投入量が少なく、スラグ中のCOガスの気泡を収縮するための冷却熱量が十分でない。その結果、図2に示すように、フォーミング抑制剤Mによるフォーミングの抑制効果が弱く、転炉型脱りん炉1を出湯時に傾けた際に炉口3からスラグS(フォーミングスラグ)が流出してしまうことになる。
本発明によれば、溶銑2を転炉型脱りん炉にて脱りん処理を行った後に、脱りん処理後の溶銑2を出湯するに際し、吹錬終了時にスラグSのフォーミングを抑制するための球換算直径が20〜50mmとなる酸化鉄源Mを、式(1)を満たすように投入することによって、脱りん処理後(吹錬後)におけるスラグSのフォーミングを十分に抑制してから溶銑2を出湯している。これにより、溶銑2を出湯する際でのスラグの流出を十分に抑制することができる。
表1に示すように、転炉型脱りん炉は、95tonクラスの転炉ある。粉体を吹き込み可能な耐火物ランス9から溶銑2を攪拌するガスを吹き込んでいる。溶銑2表面から炉口までの高さ(フリーボード高さ)は、4.5mとした。溶銑2を受銑する取鍋(受銑鍋)は容量が95tonクラスものを用いた。溶銑2を受銑した際の受銑鍋のフリーボードは0.7mとした。
上吹きにおいては、孔数が3個の上吹きランスを用いた。転炉型脱りん炉1に装入した溶銑2において、[C]=4.5〜4.8質量%、[P]=0.110〜0.120質量%、[Si]=0.40〜0.50質量%とした。溶製鋼種において、[C]の規格上限は、0.45質量%、[P]の規格上限値は、0.020質量%とした。
CaO等副原料は、当業者常法の副原料の制御により決定した。CaO等副原料は、例えば、溶銑2の[P]と鋼種毎目標[P]との差Δ[P]をメタルからスラグSに排出す
る、即ち、脱りんするために、処理後目標温度及び上吹き酸素量に応じて決める必要なCaO等副原料の量である。
フォーミングを抑制するための酸化鉄源(フォーミング抑制剤M)は、大きさを揃えるために篩い分けして、球換算粒径を調整した鉄鉱石を用いた。
その他、転炉型脱りん炉1の吹錬制御、転炉型脱りん炉1の出鋼後の溶鋼処理(二次精錬処理)、連続鋳造についても、当業者常法通りに行った。
スラグSのフォーミングの状態を調べるために、出湯前にスラグSの高さ(フォーミング高さ)を測定して、測定値がフォーミング無しに相当する高さである場合には、良好「○」とし、このフォーミング無しに相当する高さよりも高い場合には、不良「×」とした。
即ち、溶銑2を出湯する直前において、測定したスラグSの高さが、フォーミング無しに相当する高さである場合には、表中のフォーミング高さを0m(基準)とした。この基準値よりも、測定したスラグSの高さが大きい場合には、基準値に対する測定値の離れ量を、表中のスラグのフォーミング高さとした。なお、フォーミング無しに相当するスラグSの厚みは、式(3)により求めた。
例えば、スラグ量が2.9ton、転炉型脱りん炉内の半径が1.8m、スラグ比重が
3.0である場合、式(3)により計算上のスラグ厚みは0.1mとなる。
溶銑2の出湯作業中に炉口3からのスラグの流出があると、不良「×」とし、流出が無いと、良好「○」とした。
また、炉口3からのスラグの流出が有り、次工程である脱炭処理後において、当該脱炭処理後の[P]が規格上限値を超えた場合を、不良「×」、規格上限値未満である場合を、良好「○」とした。
表2の実施例1〜実施例16に示すように、フォーミング抑制剤Mの投入時期が脱りん処理における吹錬終了後であって、酸化鉄源(フォーミング抑制剤)Mの球換算直径が20〜50mmであり、さらに、酸化鉄源Mの投入量が式(1)を満たす場合、スラグのフォーミング高さを低くすることができると共に、出湯の際に炉口3からのスラグの流出も全く、次工程の脱炭処理後における[P]も規格上限値内であった(表中、スラグのフォーミング高さ、評価「○」、出湯作業中の炉口3からのスラグ流出有無、評価「○」、脱炭炉吹止、評価「○」)。
また、比較例17〜比較例24では、出湯の際に転炉型脱りん炉1を傾けると炉口3からのスラグSの流出があり、スラグSの流出により次工程である脱炭炉へりんを含有するスラグが持ち込まれるため、次工程にて行われる脱炭処理後における[P]が規格上限値を超えるという結果になった(出湯作業中の炉口からのスラグ流出有無、評価「×」、脱炭炉吹止、評価「×」)。
加えて、比較例25〜比較例28では、出湯の際に転炉型脱りん炉1を傾けると炉口3からのスラグSの流出があり、スラグSの流出により次工程である脱炭炉へりんを含有するスラグが持ち込まれるため、次工程にて行われる脱炭処理後における[P]が規格上限値を超えるという結果になった(出湯作業中の炉口からのスラグ流出有無、評価「×」、脱炭炉吹止、評価「×」)。
2 溶銑
3 炉口
4 上吹ランス
5 シュート
6 出湯口
9 耐火物ランス
10 温度測定用のセンサ
11 サブランス
M フォーミング抑制剤(酸化鉄源)
Claims (1)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009064667A JP5341583B2 (ja) | 2009-03-17 | 2009-03-17 | 脱りんスラグの流出防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009064667A JP5341583B2 (ja) | 2009-03-17 | 2009-03-17 | 脱りんスラグの流出防止方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010215970A JP2010215970A (ja) | 2010-09-30 |
JP5341583B2 true JP5341583B2 (ja) | 2013-11-13 |
Family
ID=42975104
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009064667A Expired - Fee Related JP5341583B2 (ja) | 2009-03-17 | 2009-03-17 | 脱りんスラグの流出防止方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5341583B2 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03107409A (ja) * | 1989-09-22 | 1991-05-07 | Nippon Steel Corp | 受銑鍋におけるスラグフォーミング発生防止方法 |
JPH04214811A (ja) * | 1990-12-14 | 1992-08-05 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 溶銑処理方法 |
JP2000160222A (ja) * | 1998-11-24 | 2000-06-13 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 溶銑予備処理時のスラグフォ−ミング対処方法 |
JP4907411B2 (ja) * | 2007-04-06 | 2012-03-28 | 新日本製鐵株式会社 | スラグの鎮静方法 |
-
2009
- 2009-03-17 JP JP2009064667A patent/JP5341583B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010215970A (ja) | 2010-09-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6743915B2 (ja) | 溶鋼の脱硫処理方法及び脱硫剤 | |
JP2013167015A (ja) | 溶銑の予備処理方法 | |
JP6164151B2 (ja) | 転炉型精錬炉による溶鉄の精錬方法 | |
JP6945055B2 (ja) | 極低燐鋼の生産過程における排滓の方法及び極低燐鋼の生産方法 | |
JP6028755B2 (ja) | 低硫鋼の溶製方法 | |
JP5967139B2 (ja) | 溶銑の予備処理方法 | |
JP2013189714A (ja) | 溶銑の予備処理方法 | |
JP5289906B2 (ja) | 脱りん処理におけるフォーミング抑制方法 | |
JP5341583B2 (ja) | 脱りんスラグの流出防止方法 | |
JP5983900B1 (ja) | 溶銑の予備処理方法 | |
JP6806288B2 (ja) | 鋼の製造方法 | |
JP5289907B2 (ja) | スラグのフォーミングを抑制するための酸化鉄源の投入方法 | |
JP2018035376A (ja) | 溶銑の脱燐処理方法 | |
JP2011184753A (ja) | 溶銑脱珪方法 | |
JP2006241561A (ja) | 溶銑輸送容器からの発塵防止方法 | |
JP6766796B2 (ja) | スラグの鎮静方法 | |
JP5404269B2 (ja) | 脱りん方法 | |
JP2011168841A (ja) | 脱りん方法 | |
JP4025713B2 (ja) | 溶銑の脱燐精錬方法 | |
JPH08199218A (ja) | 脱炭滓をリサイクルする転炉製鋼法 | |
JP3709141B2 (ja) | 溶銑予備処理におけるスロッピング抑制方法 | |
JPH05287348A (ja) | スラグフォーミング抑制のための炭材吹込み方法 | |
JP6468083B2 (ja) | 転炉排滓方法 | |
JP2004115910A (ja) | 溶銑の精錬方法 | |
JP2016132790A (ja) | 溶銑鍋における脱珪および脱硫方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110901 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130723 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130808 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5341583 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |