JP2016132790A - 溶銑鍋における脱珪および脱硫方法 - Google Patents

溶銑鍋における脱珪および脱硫方法 Download PDF

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Abstract

【課題】効率的にスラグを溶銑鍋より排出ができて、生産性も向上させることができるようにする。
【解決手段】溶銑鍋の傾斜角度θを3.0≦θ≦9.0、Fe=50〜80質量%を含む酸化鉄の投入量を1.0〜22.2kg/t、酸素ランスの高さを0.65〜1.50m、酸素ガス流量を0.15〜0.30Nm/min・t、吐出角度αを0≦α≦θ+20、浸漬深さを1.5〜2.0m、窒素ガス流量を0.0056〜0.020Nm/min・tとする。吐出角度αを0≦α≦θ+20、浸漬深さを1.5〜2.0m、窒素ガス流量を0.0056〜0.020Nm/min・t、Mg重量の吹き込み速度を0.030〜0.165kg/min・tとする。投入装置からAlをAl純分換算で、0.5×ΔSi≦Al純分換算投入量(kg/t)≦1.5×ΔSiを満たすように投入する。ただし、ΔSi=処理前Si(質量%)−処理後目標Si(質量%)である。
【選択図】図6

Description

本発明は、例えば、溶銑予備処理における精錬容器として溶銑鍋を用いて脱珪および脱硫を行う溶銑鍋における脱珪および脱硫方法に関するものである。
従来より、溶銑鍋(取鍋)などを用いて溶銑の脱珪処理や脱硫処理を行うものとして、例えば、特許文献1〜4に示すものがある。
特許文献1は、インジェクションランス及び酸素ランスを用いて容器内の溶銑の脱珪脱硫を行うに際し、脱珪処理から脱硫処理の切り替え時にスラグを除去することなく精錬を行うことを目的としたものである。この特許文献1では、Siが0.25%以上含有する溶銑を取鍋に装入して、取鍋内の溶銑に酸素ランスから酸素を吹き付けると共にインジェクションランスから酸素ランスの方向に撹拌用ガスおよび精錬剤を吹き込むことで、溶銑の脱珪及び脱硫を行う溶銑の精錬方法であって、精錬剤を脱珪材から脱硫剤に切り替えて、脱珪から脱硫に移行する際のスラグ組成がC/S=0.5〜1.0、T.Fe≦15%の範囲となるように調整している。
特許文献2は、溶銑の脱珪及び脱硫を蛍石(CaF)を用いず、かつ、中間除滓を行わずに連続して行うことを目的としている。この特許文献2では、精錬容器に収容された溶銑の内部でインペラーを回転させてこの溶銑を撹拌するとともにこの溶銑に酸素源を添加して脱珪処理を行いう。そして、溶銑に製鋼スラグのみあるいは製鋼スラグ及びCaO、MgO及びドロマイトのうち少なくとも一種類以上をスラグ固化剤として添加してスラグのCaO/SiOを1.2以上としてから、この溶銑の内部でインペラーを回転させてこの溶銑を撹拌する。さらに、溶銑に、CaO、Mg、Al、CaC、NaCO3及び製鋼スラグの少なくとも一種類以上とを混合した媒溶剤を添加している。
特許文献3は、溶銑の脱珪及び脱硫を蛍石(CaF)を用いず、かつ、中間除滓を行わずに連続して行うできることを目的としたものである。この特許文献2では、溶銑を処理容器内において撹拌しながら、マンガン含有鉱物および生石灰を添加して溶銑の脱珪およびMn含有率の上昇処理を行った後、固化剤を添加してスラグを固化させ、その後、中間除滓を行うことなく脱硫剤を添加し、引き続き溶銑の脱硫処理を行っている。
特許文献4は、低コストで脱珪・脱燐速度を充分に向上でき、さらには溶銑通用口口元不良の問題も容易に解消することを目的としたものである。この特許文献4では、処理容器内の溶銑中に浸漬したランスを介して酸化剤を吹き込む溶銑予備処理方法において、ランスとして第1、第2の計2本を用い、第1のランスの浸漬深さを第2のランスよりも深く配置し、ランス1本当たりの酸素供給速度を0.05Nm/min/溶銑t以上とし、かつ、酸化剤吹き込み期の少なくとも一部と同期して処理容器の傾転を行っている。
特開2013−155401号公報 特開2005−248282号公報 特開2005−146359号公報 特開2004−018942号公報
特許文献1は、インジェクションランスや酸素ランスを用いて、溶銑の脱珪及び脱硫を行う技術であるが、脱珪酸素効率や脱硫石灰効率をより向上させるような溶銑鍋の傾斜角度やインジェクションランスの吐出方向について開示されておらず、脱珪および脱硫を十分に行うことができない場合があった。
特許文献2は、中間除滓を行うことなく脱珪脱硫を行うことが開示されているものの、脱珪酸素効率及び脱硫石灰効率の向上があったのか否か等の定量的な説明がなされていない。また、溶銑にAlを添加することについて、添加量の規定等が示されていない。それゆえ、特許文献2を用いたとしても脱珪および脱硫処理を十分に効率的に行えないのが実情である。
特許文献3は、中間除滓を行うことなく脱珪や脱硫を行うことが示されているものの、脱珪や脱硫を行うにあたっての条件が十分に示されておらず、中間排滓を行うことなく脱珪および脱硫を十分に行うことができないのが実情である。
特許文献4は、脱珪や脱燐処理を行うにあたって、溶銑鍋を傾動することが開示されているものの、傾動する条件が十分に示されておらず、さらに、インジェクションランス等の条件についても十分に示されていないため、少なくとも脱珪を十分に行うことができないのが実情である。
そこで、本発明では、脱珪および脱硫処理を効率的に実施でき、かつ溶銑鍋を傾斜して連続的に処理することにより、効率的にスラグを溶銑鍋より排出ができて、生産性も向上させることができる溶銑鍋における脱珪および脱硫方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
本発明の技術的手段は、溶銑予備処理における精錬容器として溶銑鍋を用いて脱珪および脱硫を行う方法において、前記溶銑鍋に挿入されたランスに対する当該溶銑鍋の傾斜角度θ(°)を式(1)の範囲で傾斜させ、脱珪処理を行うにあたっては、当該脱珪処理開始時に前記溶銑鍋の上部に設置した投入装置からT.Fe=50〜80質量%を含む酸化鉄を1.0〜22.2kg/t投入し、前記溶銑鍋の中央側に配置した酸素ランスの高さを0.65〜1.50mとすると共に、前記酸素ランスの酸素ガス流量を0.15〜0.30Nm/min・tとして酸素ガスを吹きつけ、さらに、前記酸素ランスの側部に配置したインジェクションランスを溶銑に浸漬して、前記インジェクションランスの吐出角度αを、式(2)を満たす角度にすると共に、インジェクションランスの浸漬深さを1.5〜2.0mとし、前記インジェクションランスの窒素ガス流量を0.0056〜0.020Nm/min・tとして、前記窒素ガスと共にCaO、或いは、CaO及び酸化鉄の混合粉体を吹き込むことにより、当該脱珪処理を行い、脱硫処理を行うにあたっては、前記酸素ランスによる酸素の供給を停止した後、前記インジェクションランスを浸漬させたまま、前記投入装置から、AlをAl純分換算で式(3)の範囲で投入し、前記インジェクションランスの吐出角度α(°)を、式(2)を満たす角度に維持しつつ、前記インジェクションランスの浸漬深さを1.5〜2.0mとし、前記インジェクションランスの窒素ガス流量を0.0056〜0.020Nm/min・tとして、前記窒素ガスと共にCaO及びMgの混合粉体をMg重量が0.030〜0.165kg/min・tの速度で吹き込むことにより、当該脱硫処理を行い、前記脱硫処理後に前記溶銑鍋を傾斜させ、スラグドラッガーにてスラグを排さいすることを特徴とする。
3.0≦θ≦9.0 ・・・(1)
0≦α≦θ+20 ・・・(2)
0.5×ΔSi≦Al純分換算投入量(kg/t)≦1.5×ΔSi ・・・(3)
ただし、
ΔSi=処理前Si(質量%)−処理後目標Si(質量%)
本発明によれば、脱珪および脱硫処理を効率的に実施でき、かつ溶銑鍋を傾斜して連続的に処理することにより、効率的にスラグを溶銑鍋より排出ができて生産性も向上させることができる。
精練設備の全体概略図である。 スラグを排滓する状態を示す図である。 脱珪酸素効率とスラグ発生原単位との関係を示す図である。 脱硫石灰効率とスラグ発生原単位との関係を示す図である。 脱珪及び脱硫処理における総処理時間と鍋脱珪脱硫適用比率との関係を示す図である。 実施例及び比較例における式(3)と、脱硫石灰効率との関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
本発明の溶銑鍋における脱珪および脱硫方法は、高炉等で製造された溶銑を、溶銑鍋に装入して、当該溶銑の脱珪処理や脱硫処理を行うものである。言い換えれば、本発明は、溶銑の脱りん処理前に行われる溶銑予備処理プロセスにおいて、実施される脱珪や脱硫を対象としたものである。
図1は、脱珪および脱硫を行うことが可能な精練処理設備を示している。
まず、精練処理設備について説明する。
精練処理設備1は、溶銑鍋2を据え付け且つ据え付けられた溶銑鍋2を傾動する傾動装置3と、排ガス等の集塵を行う集塵装置4と、据え付けられた溶銑鍋2に上部から酸化鉄源等の投入を行う投入装置5と、酸素を吹き付ける酸素ランス6と、精練材等の吹き込みを行うインジェクションランス7とを備えている。
溶銑鍋2は、内部に耐火物を内張りした精練容器であって、炉体へ溶銑を装入することができる装入容器も兼ね備えた容器、即ち、取鍋である。
傾動装置3は、ランス(酸素ランス6、インジェクションランス7)に対して溶銑鍋2を傾動させる装置であって、溶銑鍋2を据え付け可能で且つ傾動自在な溶銑鍋と、この伸縮する伸縮機構(例えば、油圧シリンダ)11とを備えている。この傾動装置3では、台車10或いは溶銑鍋2にシャックル(被係合部)12を設けると共に、このシャックル12に油圧シリンダ11の先端に設けられたフック(係合部)13を係合して、油圧シリンダ11を伸縮させることによって、台車10上の溶銑鍋2を傾動することができる。なお、傾動装置3は、上述した例に限定されない。
投入装置5は、例えば、貯蔵ホッパーやベルトコンベア等から構成されて、切り出された酸化鉄源、アルミニウム等を上部から溶銑鍋2に向けて投入する装置である。なお、投入装置5によって溶銑鍋2に投入する投入量は任意に設定することができる。
酸素ランス6は、パイプ状に形成され且つ下端側にノズル孔が2〜6個形成されたもので、上部から供給された溶銑の湯面へ酸素ジェットを吹き付けることができる装置である。この酸素ランス6は、溶銑鍋2を水平にした状態において当該溶銑鍋2の幅方向の中央部に設置されている。なお、酸素ランスのノズル孔の個数は一般的な数である。
インジェクションランス7は、一般的に不定形耐火物(キャスタブル等)で施工された円柱状の構造で、内部に紛体を吹込み可能なパイプ状の芯金を中心に埋め込んだものであ
る。このインジェクションランス7は、酸素ランス6の側方であって、溶銑鍋2を傾動する側とは反対側に配置されている。以降、説明の便宜上、溶銑鍋2が傾動した際に当該溶銑鍋2の縁が下がる側のことを「傾動側」といい、傾動側と反対側のことを「非傾動側」ということがある。
このような精練処理設備1においては、傾動装置3によって溶銑鍋2を傾動させ、酸素ランス6から酸素ガスを吹き付けると共に、インジェクションランス7から精練材等を供給し、さらに、投入装置5から酸化鉄源等を供給することにより、脱珪処理や脱硫処理を行うことができる。
以下、溶銑鍋における脱珪および脱硫方法について詳しく説明する。
さて、脱珪および脱硫を行うに際しては、まず、溶銑が装入された溶銑鍋を台車に据え付ける。溶銑鍋を台車に据え付け後、当該溶銑鍋を傾動装置によって所定の角度に傾動する。詳しくは、溶銑鍋の傾斜角度θ(°)を、式(1)の範囲で傾斜させて、脱珪処理を行う。
3.0≦θ≦9.0 ・・・(1)
ここで、溶銑鍋の傾斜角度θは、溶銑鍋が水平に置かれた状態(溶銑鍋の上端が床面等に対して水平となっている状態)を0°とし、この水平ラインL1に対する溶銑鍋の上端のなす角度のことである。傾斜角度θ(°)は、例えば、フック13をシャックル12に係合して油圧シリンダ11を伸縮することにより傾動させる場合、油圧シリンダ11の縮むストローク、即ち、フック13の上昇ストロークと、溶銑鍋の寸法によって幾何学的に求めることが可能である。
溶銑鍋の傾斜角度θを3.0°以上に維持して、脱珪処理を行った場合、当該脱珪処理において生成した脱珪スラグが傾斜させた方向に流れて、溶銑鍋の上端からスラグピット15へ流出(排出)することができる。一方、溶銑鍋の傾斜角度θが3.0未満の場合は、溶銑鍋の傾斜角度θが小さすぎるため、脱珪スラグが溶銑鍋から外部に流出しない。その結果、溶銑鍋内に留まった脱珪スラグ、即ち、カバースラグが上部から供給される精練材等を阻害してしまう。例えば、カバースラグが、投入装置から供給される酸化鉄源(鉄源)を阻害したり、酸素ランス6等から溶銑に向けて吹き付けられる気体酸素を阻害してしまい、脱珪酸素効率が低下する。
更に、溶銑鍋の傾斜角度θが3.0°未満の場合は、脱珪処理後に連続して脱硫処理を行った場合、酸化された脱珪スラグの影響により脱硫反応効率が低下する。詳しくは、排滓されずに残って酸化した脱珪スラグは、酸化鉄(FeO)濃度が高いと考えられ、即ち、酸素ポテンシャルの高いスラグである。そのために、金属Mgによるトランジトリ反応後に生成したMgSがスラグ界面に到達した際、酸素ポテンシャルの高い雰囲気下では「MgS+FeO= MgO+Fe+S」の反応が進み、MgSの解離あるいは酸化による復硫反応が進行し、脱硫効率の低下を招いてしまう。このことは、例えば、「鉄と鋼」Vol.92(2006)No.2、Mg溶銑脱硫プロセスにおける復硫速度」に開示されている。また、溶銑鍋の傾斜角度θが3.0°未満の場合は、処理後の除さい時間も長くなり、延長されてしまうため、脱珪処理の効率が低下してしまう。
一方、溶銑鍋の傾斜角度θが9.0°を超えてしまうと、脱珪処理において生成する脱珪スラグが溶銑鍋より流出するものの、傾斜角度θが大きすぎるために、インジェクションランス7から吹き込まれるガス等によって撹拌される溶銑の領域が相対的に小さくなってしまうため、脱珪酸素効率が低下する。即ち、溶銑鍋の傾斜角度θが大きくしてしまうと、インジェクションランス7の非傾動側となる領域の溶銑が、ガス等によって攪拌されにくくなり、脱珪酸素効率が低下する。
更に、溶銑鍋の傾斜角度θが9.0°を超えてしまうと、外部に流出される脱珪スラグが多く、連続的に脱硫処理をした際には、溶銑上に脱硫処理に適切なカバースラグが浮いていない状態になる。その結果、インジェクションランス7により吹込まれた粉体がスラグーメタル界面に滞留せず、すぐさまカバースラグの上部へ吹き抜けてしまうため、脱硫反応効率が低下してしまう。このようなことから、溶銑鍋の傾斜角度θ(°)を式(1)の範囲で傾斜させて、脱珪処理を行うこととしている。
なお、インジェクションランス7では、脱珪処理における精練材、即ち、脱珪材として、CaO(生石灰、焼石灰)を含む粉体、或いは、CaO(生石灰、焼石灰)及び酸化鉄を含む混合粉体を吹き込むこととしている。混合粉体を用いる場合は、酸化鉄源としてミルスケール等を予め規定の比率で混合したものを使用する。
また、脱珪処理では、当該脱珪処理開始時に投入装置からT.Fe=50〜80質量%を含む酸化鉄を1.0〜22.2kg/t投入する。ここで、脱珪処理で用いられる酸化鉄は、一般的に製鉄所内で発生するミルスケール等を整粒して乾燥させたもの、或いは、焼結鉱のペレット粉である。この他に、酸化鉄として、鉄鉱石の塊や粉なども使用することがある。
酸化鉄のT.Feが50%未満の場合、鉄以外の成分としてインプットされる不純物が脱珪スラグとして生成して、投入後のカバースラグが増加することがある。カバースラグが増加してしまうと、インジェクションランス7から吹き込まれる精練材と、酸素ランスによって溶銑に吹き付けられた気体酸素との脱珪反応を阻害してしまい、結果的に脱珪酸素効率の低下を招いてしまう虞がある。一方、酸化鉄のT.Feが80%より大きい場合、殆どが鉄源としてインプットされ、脱珪反応として寄与すべき固体酸素のインプット量が不足してしまうため、結果的に脱珪酸素効率の低下を招いてしまう虞がある。
また、投入する酸化鉄が22.2kg/tより大きい場合、酸化鉄がT.Feが50%未満の場合と同様に、鉄以外の成分としてインプットされる不純物が脱珪スラグとして生成し、投入後のカバースラグが増加することがある。この結果、カバースラグが、精練材と溶銑に吹き付けられた気体酸素との脱珪反応を阻害してしまい、脱珪酸素効率の低下を招いてしまう虞がある。一方、投入する酸化鉄が1.0kg/t未満の場合は、脱珪処理のために投入する固体酸素のインプット量が不足してしまい、脱珪酸素効率の低下を招く虞がある。
また、脱珪処理では、酸素ランスの高さを0.65〜1.50mとすると共に、酸素ランスの酸素ガス流量を0.15〜0.30Nm/min・tとして酸素ガスを吹きつけている。酸素ランスの高さとは、溶銑の湯面から当該酸素ランスの先端(下端)までの高さのことである。酸素ランスの高さの測定は、脱珪処理前、即ち、酸素ランスで酸素ガスを吹き付ける前に、例えば、マイクロ波レベル計等により溶銑の湯面レベルを測定すると共に、酸素ランスの下端の位置を機械的に計測する。そして、計測した湯面レベルと酸素ランスの下端の位置との差を酸素ランスの高さとしている。
酸素ランス高さが0.65m未満の場合、当該酸素ランスにより吹付けられる気体酸素のジェット噴流によって溶銑の跳ね返りが大きく、撹拌流によって表面に出てきた溶銑が気体酸素(酸素ガス)と反応する前に飛散してしまうため、結果的に脱珪酸素効率の低下してしまう虞がある。また、気体酸素のジェット噴流によって跳ね返った溶銑が直接、酸素ランスに付着しやすくなり、酸素ランスが損傷してしまうという不具合を招く虞がある。一方、酸素ランス高さが1.50mより大きい場合、当該酸素ランスにより吹付けられる気体酸素のジェット噴流が上部の脱珪スラグ(カバースラグ)を突き抜けず、溶銑の湯面まで到達しないことがある。その結果、供給された気体酸素量が脱珪反応として寄与せず、結果的に脱珪酸素効率の低下を招く虞がある。
また、酸素ランスの酸素ガス流量は、0.15〜0.30Nm/min・tとして酸素ガスを吹きつけている。酸素ガス流量が0.15Nm/min・t未満の場合、気体酸素のジェット噴流が脱珪スラグ(カバースラグ)を突き抜けず、溶銑の湯面まで到達しないことがある。その結果、供給された気体酸素量が脱珪反応として寄与せず、結果的に脱珪酸素効率の低下を招く虞がある。一方、酸素ガス流量が0.30Nm/min・tより大きい場合、気体酸素のジェット噴流によって溶銑の跳ね返りが大きく、撹拌流によって表面に出てきた溶銑が気体酸素(酸素ガス)と反応する前に飛散してしまうため、結果的に脱珪酸素効率の低下してしまう虞がある。また、気体酸素のジェット噴流によって跳ね返った溶銑が直接、酸素ランスに付着しやすくなり、酸素ランスが損傷してしまうという不具合を招く虞がある。
さらに、脱珪処理では、浸漬したインジェクションランス7の吐出角度α(°)を、式(2)を満たす角度にしている。
0≦α≦θ+20 ・・・(2)
インジェクションランス7の吐出角度αは、インジェクションランス7と直交する方向(水平方向)の軸を「X軸」としたうえで、このX軸と、インジェクションランス7の吐出口16の軸芯とのなす角である。ここで、吐出角度αは、インジェクションランス7の内部に設けたパイプの角度(吐出口16の角度)を変更することで変更することができる。なお、吐出角度αが異なるインジェクションランス7、即ち、パイプの角度が異なるインジェクションランス7を数種類準備して、各インジェクションランス7毎に吹込みを行うことで、角度に対する脱珪及び脱硫処理における反応効率の検証を行うことが可能である。
吐出角度αが0より小さい(マイナス)の場合は、紛体を水平方向より上部へ吹き上げることとなり、当然ながらインジェクションランス7による紛体と溶銑との接触時間が短くなることによって脱珪酸素効率の低下を招いてしまう。一方、吐出角度αがθ+20°より大きい場合は、紛体を吹込んだ際にその紛体が溶銑鍋の底部へ接触する量が増加する。その結果、溶銑鍋の底部へ紛体が付着しやすくなり溶銑と反応せず、供給された紛体がインプットに対してロスすることとなり、結果的に脱珪酸素効率の低下を招いてしまう。
脱珪処理では、インジェクションランス7の浸漬深さは1.5〜2.0mとしている。一般的に溶銑鍋内の溶銑の攪拌を確保するために、浸漬深さを規定する。この浸漬深さは、インジェクションランス7が溶銑内に浸漬される深さであって、溶銑の浴面(湯面)からインジェクションランス7の吐出口16までの垂直距離である。溶銑と脱珪材(紛体)との反応を高める上で、浸漬深さは深い方が好ましいが、設備制約上、溶銑鍋の底部へ接触しないようにすること望ましい。
浸漬深さが1.5m未満の場合、インジェクションランス7によって吹き込まれた紛体と溶銑との接触時間が短くなり、脱珪酸素効率の低下を招くことがある。一方、浸漬深さが2.0mより大きい場合は、紛体を吹込んだ際にその紛体が溶銑鍋の底部へ接触する量が増加する。その結果、溶銑鍋の底部へ紛体が付着しやすくなり溶銑と反応せず、供給された紛体のインプットに対してロスすることとなり、結果的に脱珪酸素効率の低下を招いてしまう。
脱珪処理では、脱珪材を運搬する不活性キャリアガスとして、窒素ガスを用いている。不活性ガスとしては、アルゴンガスもあるが、安価で経済的であるという観点から窒素ガスを採用している。この実施形態では、CaO(生石灰、焼石灰)を含む粉体、或いは、CaO(生石灰、焼石灰)及び酸化鉄を含む混合粉体と共に、窒素ガスを吹き込むこととしている。
さて、窒素ガスを吹き込むにあたって、窒素ガス流量(窒素ガスを吹き込む流量)を適正化することにより、粉体をインジェクションランス7内に詰まらせることなく、かつ十分な撹拌動力を確保するべき最適な流量とする必要がある。具体的には、脱珪処理では、インジェクションランス7の窒素ガス流量は、0.0056〜0.020Nm/min・tとしている。
窒素ガス流量が0.0056Nm/min・t未満の場合は、紛体がインジェクションランス7内にて詰まってしまい閉塞するため、撹拌が出来ず脱珪酸素効率の低下を招いてしまう。一方、窒素ガス流量が0.020Nm/min・tより大きい場合は、インジェクションランス7の窒素ガス吹き込みによる撹拌が大きく、溶銑の湯面への盛り上がり高さが高くなり、撹拌流によって表面に出てきた溶銑が気体酸素と反応する前に飛散してしまうため、結果的に脱珪酸素効率の低下を招いてしまう。
以上まとめると、本発明によれば、溶銑鍋の傾斜角度θ(°)を式(1)の範囲で傾斜させ、脱珪処理開始時には、T.Fe=50〜80質量%を含む酸化鉄を1.0〜22.2kg/t投入する。また、酸素ランスの高さを0.65〜1.50mとし、酸素ランスの酸素ガス流量を0.15〜0.30Nm/min・tとしている。さらに、インジェクションランス7の吐出方向を水平方向に対して、式(2)を満たす角度α(°)の範囲にすると共に、インジェクションランス7の浸漬深さを1.5〜2.0mとし、インジェクションランス7の窒素ガス流量を0.0056〜0.020Nm/min・tとし、窒素ガスと共にCaO、或いは、CaO及び酸化鉄の混合粉体を吹き込むことにより、脱珪処理を行っている。
さて、脱珪処理を実施後には、そのまま継続して脱硫処理を行う。
詳しくは、脱珪処理後、酸素ランスは上昇させて気体酸素の供給をストップし、インジェクションランス7内の精練材を脱珪材から脱硫材に切り替える。脱硫材として、CaO(生石灰、焼石灰)及びMgを含む混合粉体を用いる。例えば、CaO源である生石灰(焼石灰)と、Mg源である250μm程度の粒度の金属Mgとを予め規定の比率で混合した混合粉体を脱硫材とする。金属Mgを混合することによって、一般的に溶銑内にてMg蒸気と溶銑中のSとの反応によるトランジトリ反応が進行し、その後、スラグーメタル界面にて、「MgS+CaO→CaS+MgO」の反応が起こり、脱硫スラグ内に化学ポテンシャル的に安定な化合物であるCaSが固定化され、復硫防止が可能となる。脱硫石灰効率を向上させるには、このトランジトリ反応と、スラグへのCaSの固定化が重要となる。なお、不活性キャリアガスは、窒素ガスであって、脱珪処理と同じである。
また、脱珪処理を実施後、引き続き、インジェクションランス7を浸漬させた状態で、投入装置5からAl(アルミニウム)を溶銑に向けて投入する。ここで、Alの投入に関して、インジェクションランス7を浸漬させつつ脱硫材を溶銑中に吹き込んでいる状況下で、Alを溶銑に向けて投入してもよいし、脱硫材を溶銑中に吹き込む直前にAlを溶銑に向けて投入してもよい。
Alの投入量は、Al純分換算で式(3)の範囲で投入する。
0.5×ΔSi≦Al純分換算投入量(kg/t)≦1.5×ΔSi ・・・(3)
ただし、ΔSi=処理前Si(質量%)−処理後目標Si(質量%)
例えば、アルミニウムとしてAlドロスを投入する。このAlドロスは、アルミ精錬時に発生するAl純度の低い副産物で一般的に公知ある。Alドロスとして、特開2000−313911号公報等に開示されている。
Al純分換算投入量とは、Alを含む原料を投入した場合、Al純分に換算した量のこ
とである。例えば、Alドロスと金属AlとをAl源として投入した場合、Al純分換算投入量は、Alドロスの投入原単位(kg/t)×Alドロス中のAl濃度(重量%)と、金属Alの投入原単位(kg/t)×金属AlのAl濃度(重量%)の総和で計算される量である。
ΔSiは、脱珪処理後における目標であるSi値(処理後目標Si、質量%)を予め設定しておき、脱硫・脱珪の処理前(処理前)のSi値(%)との差である。即ち、ΔSiは、脱硫処理及び脱珪処理における目標の脱珪量(%)である。
まず、処理前のSi値については、脱硫処理を行う前に取鍋内の溶銑をサンプリングし、分析を行った。分析においては、サンプルの表面を研磨し、蛍光X線分析にてSi値を測定した。次に、例えば、目標とする処理後Si値(処理後目標Si)を、0.20〜0.30%の範囲内となるように設定する。
ここで、Al純分換算投入量が0.5×ΔSiを下回る場合には、脱珪処理後のスラグ中FeOをAlで十分に脱酸することが出来ず、FeOによりスラグ−メタル界面にて、「MgS+2FeO→MgO+Fe+S」の反応により復硫が生じてしまい、脱硫石灰効率が低下してしまう。
一方、Al純分換算投入量が大きくなるにつれFeOを還元し復硫を防止できるため脱硫石灰効率が向上する。脱硫石灰効率は、ある程度の値で飽和してくる。具体的には、1.5×ΔSiを上回る場合には、これ以上投入しても脱硫石灰効率は上がらず、Alは脱酸に寄与せず溶銑中に溶存するか、スラグ中にAlとして懸濁する結果となる。
脱硫材の吹き込みを行うにあたって、インジェクションランス7の吐出角度αは、式(2)を満たす角度に維持している。
吐出角度αが0より小さい(マイナス)の場合は、紛体を水平方向より上部へ吹き上げることとなり、当然ながらインジェクションランス7による紛体と溶銑との接触時間が短くなることによって脱硫石灰効率の低下を招いてしまう。一方、吐出角度αがθ+20°より大きい場合は、紛体を吹込んだ際にその紛体が溶銑鍋の底部へ接触する量が増加する。その結果、溶銑鍋の底部へ紛体が付着しやすくなり溶銑と反応せず、供給された紛体がインプットに対してロスすることとなり、結果的に脱硫石灰効率の低下を招いてしまう。
脱硫処理においても、インジェクションランス7の浸漬深さは1.5〜2.0mとしている。浸漬深さが1.5m未満の場合、インジェクションランス7によって吹き込まれた紛体と溶銑との接触時間が短くなり、脱硫石灰効率の低下を招くことがある。一方、浸漬深さが2.0mより大きい場合は、紛体を吹込んだ際にその紛体が溶銑鍋の底部へ接触する量が増加する。その結果、溶銑鍋の底部へ紛体が付着しやすくなり溶銑と反応せず、供給された紛体のインプットに対してロスすることとなり、結果的に脱硫石灰効率の低下を招いてしまう。
また、脱硫処理においても、インジェクションランス7の窒素ガス流量は0.0056〜0.020Nm/min・tとしている。窒素ガス流量が0.0056Nm/min・t未満の場合は、紛体がインジェクションランス7内にて詰まってしまい閉塞するため、撹拌が出来ず脱硫石灰効率の低下を招いてしまう。一方、窒素ガス流量が0.020Nm/min・tより大きい場合は、インジェクションでの吹込速度が増加するため、インジェクションから吐出された脱硫剤と溶銑との接触時間が短くなり、溶銑内にてMg蒸気と溶銑Sとの反応によるトランジトリ反応が促進されず脱硫石灰効率の低下を招いてしまう。
また、脱硫処理では、CaO及びMgの混合粉体を、Mg重量が0.030〜0.165kg/min・tの速度で吹き込むこととしている。吹き込むMg重量の速度が、0.
030kg/min・t未満の場合は、Mg蒸気によるトランジトリ反応が促進されず脱硫石灰効率の低下を招くことがある。一方、吹き込むMg重量の速度を0.165kg/min・tより大きくすると、インジェクションランス7によって吹き込まれたMg粉体の一部が溶銑と反応せずそのまま溶銑鍋上へ吹き抜けてしまい、排ガスと共に集塵されて、結果として脱硫石灰効率が低下してしまうという場合がある。
以上まとめると、本発明によれば、脱硫処理を行うにあたっては、インジェクションランス7の吐出角度αを、式(2)を満たす角度に維持しつつ、インジェクションランス7の浸漬深さを1.5〜2.0mとし、インジェクションランス7の窒素ガス流量を0.0056〜0.020Nm/min・tとして、窒素ガスと共にCaO及びMgの混合粉体をMg重量が0.030〜0.165kg/min・tの速度で吹き込むことにより、脱硫処理を行っている。
脱硫処理後は、溶銑鍋を傾斜させ、スラグドラッガーにてスラグを排さいする。具体的には、図2に示すように、脱硫処理後も、溶銑鍋を所定角度に傾斜させた状態で、スラグドラッガー14を溶銑鍋の上部側に位置させて、スラグドラッガー14にて脱硫スラグの除滓を行う。なお、除滓時の溶銑鍋の傾斜角度は、脱硫処理時よりも大きくすることが望ましい。また、スラグドラッガー以外の装置を用いて、脱硫スラグの除滓を行ってもよい。
表1〜6は、本発明の溶銑鍋における脱珪および脱硫方法で、脱珪処理、脱硫処理を行った実施例と、本発明とは異なる方法で脱珪処理、脱硫処理を行った比較例とをまとめたものである。
実施例及び比較例における実施条件について説明する。
精錬容器は、溶銑用の溶銑鍋を用いた。溶銑鍋の半径は1.34mである。処理時の溶銑量は、87.5〜96.0ton、溶銑温度は、1290〜1400℃とした。溶銑の炭素濃度は、4.5〜4.8質量%、溶銑のSi濃度は、0.40〜0.90質量%、溶
銑のS濃度は、0.011〜0.040質量%とした。
酸素ランスに関し、ノズル孔数は4個、ノズルのスロート径は18mm、ノズルの傾斜角度は9°、ノズルの出口径(吐出径)は20.20mmとした。酸素ランスの高さは、0.65〜1.50mとし、酸素ガスの流量(酸素流量)は、0.15〜0.30Nm/min・tとした。酸素ガスの衝突圧は、0.6〜4.5kpaの範囲とした。処理前のSi濃度に応じて0.2〜3.5Nm/tの酸素量で当業者常法の吹錬制御により決定した。
インジェクションランス7に関し、ノズル孔数は1個、ノズル径は15.88mm、酸素ランスとインジェクションランス7との水平距離は0.55mとした。
脱珪処理では、脱珪材を構成する粉体として、CaOを含むもの、或いは、CaOと酸化鉄とを混合した混合粉体を用いた。混合粉体では、粉体比率は、CaO:酸化鉄=50:50とした。また、脱珪材として、混合粉体を用いない場合は、CaO:酸化鉄=100:0とした。脱珪材の吹込量は、処理前のSi濃度に応じて0.6〜4.3kg/tの範囲で当業者常法の副原料制御により決定した。
脱硫処理では、脱硫材を構成する粉体として、CaOと金属Mgの混合粉体を用いた。粉体比率は、重量比率でCaO:金属Mg=85:15のものと、80:20の2種類を使用した。脱硫材の吹込量は、処理前のS濃度に応じて0.9〜3.5kg/tの範囲で、当業者常法の副原料制御により決定した。
除さい処理では、脱硫処理後に、スラグドラッガーにより脱硫スラグの状況に応じて溶銑鍋の角度を10〜30°まで傾斜させ、当業者常法の操作手順にて除さいした。
なお、実施例において、脱珪処理から脱硫処理へ移行した場合も、インジェクションランスの吐出角度αは、式(2)を満たす角度にした。インジェクションランスの吐出角度αは、脱珪処理から脱硫処理に移行する場合に当該脱珪処理と同じ角度に維持することが望ましい。
実施例及び比較例では、脱珪酸素効率及び脱硫石灰効率の評価を行った。脱珪酸素効率(ηSi)は、与えた酸素量に対して、溶銑中[Si]の酸化に使用された酸素分の割合を示すもので、式(3)により求めることができる。
また、脱硫石灰効率(ηS)は、脱硫剤の与えた石灰分に対して溶銑中[S]との反応に使用された石灰分の割合を示すもので、式(4)により求めることができる。なお、石灰系脱硫剤と反応する場合、反応式はCaO+Mg+S=CaS+MgOで表されることから、石灰が効果的に脱硫反応に寄与したかを表す指標として、脱硫石灰効率(ηS)を採用した。
実施例1〜27では、溶銑鍋2の傾斜角度θを式(1)の範囲を満たすように傾斜し、脱珪処理開始時にT.Fe=50〜80質量%を含む酸化鉄を1.0〜22.2kg/t投入し、酸素ランスの高さを0.65〜1.50mとし、酸素ガス流量(酸素流量)を0.15〜0.30Nm/min・tとしている。また、実施例では、インジェクションランスの吐出角度αを式(2)を満たす角度とし、インジェクションランスの浸漬深さを1.5〜2.0mとし、窒素ガス流量(窒素流量)を0.0056〜0.020Nm/min・tとしている。
実施例では、脱硫処理を行うにあたっては、酸素ランスによる酸素の供給を停止した後、インジェクションランスを浸漬させたまま、投入装置から、AlをAl純分換算で式(3)の範囲で投入し、さらに、インジェクションランスの浸漬深さを1.5〜2.0mとし、窒素ガス流量を0.0056〜0.020Nm/min・tとし、CaO及びMgを含む混合粉体をMg重量の速度が0.030〜0.165kg/min・tの範囲で吹き込みを行った。このように、実施例では、上述した全ての条件を満たしているので、脱珪処理における脱珪酸素効率は40%以上、脱硫石灰効率は6%以上にすることができた。加えて、脱珪素処理時間は15分以下、脱硫処理時間は5分以下にすることができた。なお、除滓時間を5.0分以下にすることができた。
一方、比較例28〜37では、溶銑鍋2の傾斜角度θが式(1)の範囲から外れているため、脱珪酸素効率は40%未満、脱硫石灰効率は5%未満となった。
また、比較例38〜41では、脱珪処理開始時に投入する酸化鉄のT.Feが50質量%未満或いは80質量%を超え、比較例42〜45では、酸化鉄の投入量が1.0kg/t未満或いは22.2kg/tを超え、比較例46〜49では、酸素ランスの高さが0.65m未満或いは1.50mを超え、比較例50〜53では、酸素ガス流量が0.15Nm/min・t未満或いは0.30Nm/min・tを超えた。そのため、比較例38〜53では、脱珪酸素効率は40%未満となった。
比較例54〜61では、インジェクションランスの吐出角度αを式(2)を満たす角度から外れたため、脱珪酸素効率は40%を超えると共に脱硫石灰効率は5%未満となった。比較例62〜65では、インジェクションランスの浸漬深さが1.5m未満或いは2.0mを超えたため、脱珪酸素効率は40%未満となった。
比較例66、67では、窒素ガス流量が0.0056Nm/min・t未満であるため、ノズル閉鎖が発生して、脱珪処理は中断となった。比較例68、69では、窒素ガス流量が0.020Nm/min・tを超えているため、脱珪酸素効率は40%未満となった。
比較例70〜77では、脱硫処理において、投入装置から溶銑に向けて投入したAl純分換算投入量が、式(3)で求めた下限値(0.5×ΔSi)、或いは式(3)で求めた上限値(1.5×ΔSi)を外れているため、脱硫石灰効率は6%未満となった。
比較例78〜81では、脱硫処理において、インジェクションランスの浸漬深さが1.5m未満或いは2.0mを超えたため、脱硫石灰効率は6%未満となった。比較例82、83では、脱硫処理において、窒素ガス流量が0.0056Nm/min・t未満であるため、ノズル閉鎖が発生して、脱珪処理は中断となった。比較例84、85では、脱硫処理において、窒素ガス流量が0.020Nm/min・tを超えているため、脱硫石灰効率は6%未満となった。
比較例86、87では、CaO及びMgを含む混合粉体を吹き込む際にMg重量の速度が0.030kg/min・t未満であるため、脱硫石灰効率は6%未満となった。比較例88〜83では、CaO及びMgを含む混合粉体を吹き込む際のMg重量の速度が0.165kg/min・tを超えたため、脱硫石灰効率は6%未満となった。即ち、比較例78、79では、Mgと同時に吹き込まれるCaO量が増加したため、CaOの効率も低下し、脱硫石灰効率が6%未満となった。
以上、実施例に示すように、脱珪酸素効率が40%以上、脱硫石灰効率が6%以上である場合、インプットする酸素量および石灰量を減らすことができ、気体酸素・固体酸素としての原単位、及び石灰使用原単位を低減することができる。つまり、図3、4に示すように、実施例では、スラグ発生原単位を抑制することができスラグ処理コストを低減することが出来る。一方、比較例では、スラグ発生原単位が実施例に比べて上昇する結果となった。
また、実施例に示すように、脱珪素処理時間が15分以下、脱硫処理時間が5分以下である場合、総処理時間を25分以内とすることができ、例えば、連続的に高炉から出銑されて、溶銑鍋に溶銑が供給される場合、溶銑鍋の供給ピッチに間に合うように脱珪脱硫処理を行うことができる。即ち、図5に示すように、鍋脱珪脱硫適用比率(供給される全溶銑鍋に対する脱珪処理及び脱硫処理に適用する溶銑鍋の割合)を100%に維持することができる。
また、実施例では、脱硫処理時に式(3)を満足するように、Al投入を実施しているため、脱珪処理後のスラグ中FeOをAlで過不足なく脱酸することができる。その結果、脱硫処理における脱硫石灰効率を向上させる。図6に示すように、実施例では、Alの投入量(Al純分換算投入量)を、式(3)で示した上下限値内に納めているため、脱硫石灰効率を6%以上にすることができる。一方、比較例においては、Alを未投入であったり(図6:比較例の「C」)、Alを投入したとしてもAl純分換算投入量が式(3)の上限値から外れたり(図6:比較例の「A」)、式(3)の下限値から外れている(図6:比較例の「B」)。そのため、比較例では、脱硫石灰効率は5%程度となった。
つまり、脱硫処理時に式(3)を満たすよう適正にAlを投入すれば、適正に投入しなかった場合(式(3))に比べて、脱硫石灰効率を向上させることができた。
なお、表1〜表6において、処理後[Si]が処理後目標[Si]と一致していないケースがあるが、処理後目標[Si]は処理前に設定する値であって実操業では、当該表に示した結果になることがある。しかしながら、脱硫処理の評価は、処理後[Si]の値そのものではなく、脱硫石灰効率で行っているため、Alの投入による影響を適正に評価することができる。
本発明によれば、上述した条件を満たすことによって、脱珪および脱硫処理を効率的に
実施でき、かつ溶銑鍋を傾斜して連続的に処理することにより、効率的にスラグを溶銑鍋より排出ができて生産性も向上させることができる。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
1 精練処理設備
2 溶銑鍋
3 傾動装置
4 集塵装置
5 投入装置
6 酸素ランス
7 インジェクションランス
10 台車
11 伸縮機構
12 シャックル(被係合部)
13 フック(係合部)
14 スラグドラッガー
15 スラグピット
16 吐出口

Claims (1)

  1. 溶銑予備処理における精錬容器として溶銑鍋を用いて脱珪および脱硫を行う方法において、
    前記溶銑鍋に挿入されたランスに対する当該溶銑鍋の傾斜角度θ(°)を式(1)の範囲で傾斜させ、
    脱珪処理を行うにあたっては、当該脱珪処理開始時に前記溶銑鍋の上部に設置した投入装置からT.Fe=50〜80質量%を含む酸化鉄を1.0〜22.2kg/t投入し、前記溶銑鍋の中央側に配置した酸素ランスの高さを0.65〜1.50mとすると共に、前記酸素ランスの酸素ガス流量を0.15〜0.30Nm/min・tとして酸素ガスを吹きつけ、
    さらに、前記酸素ランスの側部に配置したインジェクションランスを溶銑に浸漬して、前記インジェクションランスの吐出角度αを、式(2)を満たす角度にすると共に、インジェクションランスの浸漬深さを1.5〜2.0mとし、前記インジェクションランスの窒素ガス流量を0.0056〜0.020Nm/min・tとして、前記窒素ガスと共にCaO、或いは、CaO及び酸化鉄の混合粉体を吹き込むことにより、当該脱珪処理を行い、
    脱硫処理を行うにあたっては、前記酸素ランスによる酸素の供給を停止した後、前記インジェクションランスを浸漬させたまま、前記投入装置から、AlをAl純分換算で式(3)の範囲で投入し、前記インジェクションランスの吐出角度α(°)を、式(2)を満たす角度に維持しつつ、前記インジェクションランスの浸漬深さを1.5〜2.0mとし、前記インジェクションランスの窒素ガス流量を0.0056〜0.020Nm/min・tとして、前記窒素ガスと共にCaO及びMgの混合粉体をMg重量が0.030〜0.165kg/min・tの速度で吹き込むことにより、当該脱硫処理を行い、
    前記脱硫処理後に前記溶銑鍋を傾斜させ、スラグドラッガーにてスラグを排さいする
    ことを特徴とする溶銑鍋における脱珪および脱硫方法。
    3.0≦θ≦9.0 ・・・(1)
    0≦α≦θ+20 ・・・(2)
    0.5×ΔSi≦Al純分換算投入量(kg/t)≦1.5×ΔSi ・・・(3)
    ただし、ΔSi=処理前Si(質量%)−処理後目標Si(質量%)
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