JP5440721B2 - ヒートシンク付パワーモジュール用基板及びその製造方法、並びに、ヒートシンク付パワーモジュール、パワーモジュール用基板 - Google Patents
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Description
このようなヒートシンク付パワーモジュールは、絶縁基板と回路層、金属層をそれぞれ接合してパワーモジュール用基板を形成した後に、このパワーモジュール用基板とヒートシンクとを接合することで製造される。
最近では、ヒートシンク付パワーモジュールの小型化・薄肉化が進められるとともに、電子部品の発熱量も上昇する傾向にあり、ヒートシンクの冷却能向上のために、天板部の厚さが薄いヒートシンクも使用されている。このため、絶縁基板の他方の面側に位置する金属層及びヒートシンクの天板部の合計厚さが薄くなる傾向にあり、前述の反りの発生が問題となっている。
絶縁基板の一方の面に回路層を、絶縁基板の他方の面に金属層を接合する際において、回路層の厚さと金属層の厚さとが異なっていると、反りが発生しやすくなる。ここで、厚く成形される金属層を、薄く成形される回路層よりも変形抵抗の小さい材料で構成することによって、接合時の反りの発生を抑制することが可能となる。
この構成のパワーモジュール用基板においては、金属層の表面にヒートシンクを接合した場合に、天板部の厚さが薄いヒートシンクを使用しても絶縁基板の他方の面側に位置する金属層及びヒートシンクの天板部の合計厚さを比較的厚くすることが可能となり、反りの発生を抑制することができる。
この場合、厚く形成される金属層が、薄く形成される回路層よりも変形抵抗の小さい材料で構成されているので、絶縁基板に金属層及び回路層を接合する際に生じる反りを抑制することが可能となる。
このヒートシンク付パワーモジュール1は、回路層13が配設されたパワーモジュール用基板11と、回路層13の表面にはんだ層3を介して接合された半導体チップ2と、ヒートシンク17とを備えている。ここで、はんだ層3は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。なお、本参考形態では、回路層13とはんだ層3との間にNiメッキ層(図示なし)が設けられている。
絶縁基板12は、回路層13と金属層14との間の電気的接続を防止するものであって、例えばAlN(窒化アルミ)、Si3N4(窒化珪素)、Al2O3(アルミナ)等の絶縁性の高いセラミックスで構成され、本参考形態では、AlN(窒化アルミ)で構成されている。また、絶縁基板12の厚さCは、0.2mm≦C≦1.5mmの範囲内に設定されており、本参考形態では、C=0.635mmに設定されている。
また、金属層14の厚さBは、0.4mm≦B≦5mmの範囲内に設定されており、本参考形態では、B=1.3mmに設定されている。
そして、回路層13の厚さAと金属層14の厚さBとの比B/Aは、2.167≦B/A≦20の範囲内に設定されており、本参考形態では、B/A=1.3/0.6=2.167に設定されている。
前述のように、金属層14は、絶縁基板12とろう材箔27を用いてろう付けされ、ヒートシンク17の天板部18とろう材箔28を用いてろう付けされているので、金属層14においては、図2に示すように、Siの濃度分布によってビッカース硬度が厚さ方向で変化している。
例えば、絶縁基板をAlN(窒化アルミニウム)で構成したものとして説明したが、絶縁性を有する材料であればよく、Si3N4、Al2O3等であってもよい。
さらに、ヒートシンクをA6063で構成したものとして説明したが、これに限定されることはなく、純アルミニウムで構成されていてもよい。さらに、ヒートシンクとして冷却媒体の流路を有するもので説明したが、ヒートシンクの構造に特に限定はなく、例えば空冷方式のヒートシンクであってもよい。
特に、厚く形成される金属層を、薄く形成される回路層よりも変形抵抗の小さな材料で構成した場合には、絶縁基板に金属層及び回路層を接合する際の反りの発生を抑制することが可能となる。具体的には、回路層を純度99.99%以上のアルミニウム(4Nアルミニウム)で構成し、金属層を純度99.999%以上のアルミニウム(5Nアルミニウム)や純度99.9999%以上のアルミニウム(6Nアルミニウム)で構成することが好ましい。さらに、回路層を純度99%以上のアルミニウム(2Nアルミニウム)で構成し、金属層を純度99.99%以上のアルミニウム(4Nアルミニウム)や純度99.999%以上のアルミニウム(5Nアルミニウム)で構成してもよい。
比較例1−3、参考例2−5においては、厚さ0.635mmのAlNからなる絶縁基板と、4Nアルミニウムからなる回路層及び金属層と、厚さ1.7mmのA6063からなる天板部を備えたヒートシンクと、を共通に有しており、金属層とヒートシンクの天板部とがろう付けによって直接接合されている。
そして、回路層、金属層の厚さをそれぞれ変更し、比較例1−3、参考例2−5のヒートシンク付パワーモジュール用基板を作製した。
一方、金属層が回路層に比べて著しく厚い場合には、熱抵抗が大きく、ヒートシンクによる冷却が不十分になることが確認された。
これに対して、参考例2−5においては、反り変形が抑制されるとともに、熱抵抗も小さく抑えられていることがわかる。
この比較実験の結果、本発明によれば、反り変形がなく、かつ、ヒートシンクによって電子部品等を効率的に冷却可能なヒートシンク付パワーモジュール用基板を提供することができることが確認された。
比較例5としては、厚さ0.635mmのAlNからなる絶縁基板に、4Nアルミニウムからなる厚さ0.6mmの回路層及び4Nアルミニウムからなる厚さ0.6mmの金属層を接合してパワーモジュール用基板を作製した。さらに、このパワーモジュール用基板の金属層側に、4Nアルミニウムからなる厚さ0.9mmの緩衝材を介して、厚さ5mmのA6063からなる天板部を備えたヒートシンクをろう付けした。
また、ヒートシンク接合時の反り量については、幅30mm当りの反り量が80μm未満のものを◎、80μm以上100μm未満のものを○、100μm以上のものを△とした。
さらに、絶縁基板の割れについては、3ヶの試験片に割れが認められないものを○、3ヶの試験片のうち1ヶに割れが確認されたものを△とした。
また、回路層と金属層とを同一の材料で構成した実施例6においては、絶縁基板に回路層及び金属層を接合してパワーモジュール用基板を作製する際に反りの発生が認められた。一方、金属層を、回路層よりも変形抵抗の小さな材料で構成した場合には、パワーモジュール用基板を作製する際に発生する反りが抑制されることが確認された。
2、102、202 半導体チップ(電子部品)
10、110、210 ヒートシンク付パワーモジュール用基板
11、111、211 パワーモジュール用基板
12、112、212 絶縁基板
13、113、213 回路層
14、114、214 金属層
15、115、215 緩衝層
17、117、217 ヒートシンク
18、118、218 天板部
Claims (4)
- 絶縁基板の一方の面に回路層が形成されるとともに他方の面に金属層が形成されたパワーモジュール用基板と、前記金属層側に接合されて前記パワーモジュール用基板を冷却するヒートシンクとを備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板であって、
前記回路層が純度99%以上のアルミニウムで構成されるとともに、前記金属層が純度99.99%以上のアルミニウムで構成されており、
前記金属層と前記ヒートシンクとが直接接合されており、
前記回路層の厚さAと前記金属層の厚さBとの比率B/Aが、2.167≦B/A≦20の範囲内に設定されており、
前記ヒートシンク及び前記絶縁基板に接合する前の状態における前記金属層のアルミニウムの純度が、前記絶縁基板に接合する前の状態における前記回路層のアルミニウムの純度よりも高くされていることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板。 - 請求項1に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法であって、
絶縁基板の一方の面に回路層を接合するとともに絶縁基板の他方の面に金属層を接合してパワーモジュール用基板を形成する1次接合工程と、
前記パワーモジュール用基板の金属層とヒートシンクとを接合する2次接合工程と、を有し、
前記2次接合工程においては、前記パワーモジュール用基板と前記ヒートシンクとを積層させ、積層方向に0.15〜3MPaで加圧することを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法。 - 請求項1に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板と、該ヒートシンク付パワーモジュール用基板の前記回路層上に搭載された電子部品と、を備えることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール。
- 絶縁基板の一方の面に回路層が形成されるとともに他方の面に金属層が形成されたパワーモジュール用基板であって、
前記回路層が純度99%以上のアルミニウムで構成されるとともに、前記金属層が純度99.99%以上のアルミニウムで構成されており、
前記回路層の厚さAと前記金属層の厚さBとの比率B/Aが、2.167≦B/A≦20の範囲内に設定されており、
前記絶縁基板に接合する前の状態における前記金属層のアルミニウムの純度が、前記絶縁基板に接合する前の状態における前記回路層のアルミニウムの純度よりも高くされていることを特徴とするパワーモジュール用基板。
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