JP4387658B2 - ヒートシンク付セラミック回路基板及びその製造方法 - Google Patents

ヒートシンク付セラミック回路基板及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パワーモジュール用基板等の半導体装置のセラミック回路基板及びその製造方法に関し、詳しくは、半導体チップ等の発熱体から発生する熱を放散させるヒートシンクを有するヒートシンク付セラミック回路基板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のセラミック回路基板として、セラミック基板がAlNにより形成され、このセラミック基板の両面に第1及び第2アルミニウム板がAl−Si系ろう材を介して積層接着され、更に銅板により形成されたヒートシンクが上記第1又は第2アルミニウム板にはんだを介して積層接着されたものが知られている。
【0003】
この回路基板では、第1及び第2アルミニウム板のセラミック基板への積層接着は、第1アルミニウム板の上にAl−Si系ろう材、セラミック基板、Al−Si系ろう材及び第2アルミニウム板を重ねた状態で、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中で600〜630℃に加熱することにより行われ、第2アルミニウム板はエッチンクにより所定のパターンの回路となる。この後にヒートシンクが第1アルミニウム板にはんだを介して積層接着され、第2アルミニウム板上に半導体チップ等(図示せず)が搭載される。
【0004】
このように構成されたセラミック回路基板では、半導体チップ等が発した熱は第2アルミニウム板、Al−Si系ろう材、セラミック基板、Al−Si系ろう材、第1アルミニウム板及びはんだを介してヒートシンクの表面から放散されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−335652号公報(第4−12頁、図1〜図5)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来のセラミック回路基板では、半導体チップ等の発熱及び非発熱により、或いは周囲温度の変化により、回路基板が高温と低温との間で繰返し変化する、即ち回路基板に熱サイクルが作用すると、セラミック回路基板とヒートシンクとの熱膨張係数差による熱応力が発生するため、はんだに歪みがたまって、はんだにクラックが発生するおそれがあった。
【0007】
また、上記のような従来のセラミック回路基板では、はんだの熱抵抗が高いため、即ち、はんだの熱伝導率が低いため、セラミック回路基板上に搭載した半導体チップの温度が上昇して、半導体チップの動作不良やはんだ寿命の低下を招くおそれもあった。
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、熱サイクル寿命を延すことができ、ヒートシンクの放熱特性を良好に保つことができる、ヒートシンク付セラミック回路基板を提供することを第1の目的とする。また、銅板又は銅合金板とアルミニウム板又はアルミニウム合金板とを直接積層接着しても、その界面に金属間化合物が生成されるのを防止できる、ヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法を提供することを第2の目的とする。さらに、銅板又は銅合金板とアルミニウム板又はアルミニウム合金板との間にシリカコーティング層を介装することにより、製造時に回路基板を高温雰囲気中に曝しても金属間化合物の生成を防止できる、ヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法を提供することを第3の目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、以下のような手段を採用している。すなわち、請求項に係る発明は、セラミック基板と、前記セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム板又は第1及び第2アルミニウム合金板と、前記第1又は第2アルミニウム板又は第1又は第2アルミニウム合金板に積層接着されたヒートシンクとを備えたヒートシンク付セラミック回路基板において、前記ヒートシンクが、銅板又は銅合金板と、この銅板又は銅合金板の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層と、前記シリカコーティング層にAl系の第3ろう材層を介して積層接着された第4アルミニウム板又は第4アルミニウム合金板とにより構成され、前記第4アルミニウム板又は第4アルミニウム合金板が前記第1又は第2アルミニウム板又は第1又は第2アルミニウム合金板に直接積層接着されたことを特徴とする。
この発明によるヒートシンク付セラミック回路基板によれば、銅板又は銅合金板を第4アルミニウム板又は第4アルミニウム合金板にシリカコーティング層及び第3ろう材層を介して積層接着したので、第3ろう材層と銅板又は銅合金板との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板の熱サイクル寿命を延すことができる。
【0012】
請求項に係る発明は、セラミック基板と、前記セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム板又は第1及び第2アルミニウム合金板と、前記第1又は第2アルミニウム板又は第1又は第2アルミニウム合金板に積層接着されたヒートシンクとを備えたヒートシンク付セラミック回路基板において、前記ヒートシンクが、銅板又は銅合金板と、この銅板又は銅合金板の全面に形成されたシリカコーティング層と、前記銅板又は銅合金板の全面をシリカコーティング層を介して覆うアルミニウム被覆体又はアルミニウム合金被覆体とにより構成され、前記アルミニウム被覆体又はアルミニウム合金被覆体が前記第1又は第2アルミニウム板又は第1又は第2アルミニウム合金板に直接積層接着されたことを特徴とする。
この発明によるヒートシンク付セラミック回路基板によれば、銅板又は銅合金板をシリカコーティング層を介してアルミニウム被覆体又はアルミニウム合金被覆体により覆ったので、アルミニウム被覆体又はアルミニウム合金板と銅板又は銅合金板との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板の熱サイクル寿命を延すことができる。
【0015】
請求項3に係る発明は、セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介して第1及び第2アルミニウム板又は第1及び第2アルミニウム合金板をそれぞれ積層接着する工程と、銅板又は銅合金板の少なくとも一方の面にシリカコーティング層を形成する工程と、前記シリカコーティング層の上にAl系の第3ろう材層および第4アルミニウム板又は第4アルミニウム合金板をそれぞれ積層接着する工程と、第4アルミニウム板又は第4アルミニウム合金板を前記第1又は第2アルミニウム合金板に重ねて圧力を加えながら、常温で超音波接合する工程とを含むことを特徴とする。
この発明によるヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法によれば、シリカコーティング層を第1又は第2アルミニウム板又は第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第3ろう材層及び第4アルミニウム板又は第4アルミニウム合金板を積層接着し、第4アルミニウム板又は第4アルミニウム合金板を第1又は第2アルミニウム合金板に重ねて圧力を加えながら、常温で超音波接合しているので、第3ろう材層と銅板又は銅合金板との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、銅板又は銅合金板と第4アルミニウム板又は第4アルミニウム合金板とが剥離することはない。
【0016】
請求項に係る発明は、セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介して第1及び第2アルミニウム板又は第1及び第2アルミニウム合金板をそれぞれ積層接着する工程と、銅板又は銅合金板の全面にシリカコーティング層を形成した後に該シリカコーティング層の全面をアルミニウム被覆体又はアルミニウム合金被覆体で被覆する工程と、前記アルミニウム被覆体又はアルミニウム合金被覆体を前記第1又は第2アルミニウム板又は第1又は第2アルミニウム合金板に重ねて圧力を加えながら、常温で超音波接合する工程とを含むことを特徴とする。
この発明によるヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法によれば、アルミニウム被覆体又はアルミニウム合金被覆体を第1又は第2アルミニウム板又は第1又は第2アルミニウム合金板に積層接着するときに、銅板又は銅合金板とアルミニウム被覆体又はアルミニウム合金被覆体との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅板又は銅合金板とアルミニウム被覆体又はアルミニウム合金被覆体とが剥離することはない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す本発明の実施の形態について説明する。
図1には、本発明によるセラミック回路基板の参考例1が示されていて、このセラミック回路基板10は、AlNにより形成されたセラミック基板13と、このセラミック基板13の両面にAl系の第1及び第2ろう材層11、12を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム合金板21、22と、第1アルミニウム合金板21に積層接着されたヒートシンク15とを備えている。
図1において、第1及び第2アルミニウム合金板21、22は、Alの純度が99.5%以上、好ましくは99.98%以上の高純度のAl合金により形成され、第1及び第2ろう材層11、12は、80〜98重量%のAlと15〜2重量%のSiと5〜0重量%のその他の成分との合金により形成される。
【0018】
また、ヒートシンク15は、銅合金板16と第3アルミニウム合金板23のクラッド材により形成される。即ち、ヒートシンク15は、銅合金板16とこの銅合金板16の上面に圧延又は圧接にて積層接着された第3アルミニウム合金板23とにより構成される。銅合金板16は、Cuの純度が95%以上、好ましくは99.5%以上の高純度のCu合金により1.5〜3.0mmの厚さに形成され、第3アルミニウム合金板23は、Alの純度が99.5%以上、好ましくは99.98%以上の高純度のAl合金により0.2〜1.5mmの厚さに形成される。圧延は、熱をかけない冷間圧延であり、圧接は、熱をかけないプレス加工機を用いた圧接である。第3アルミニウム合金板23は、第1アルミニウム合金板21の表面に直接積層接着される。
【0019】
次に、上記のように構成したこの参考例1によるヒートシンク付セラミック回路基板10の製造方法ついて説明する。
先ず、第1アルミニウム合金板21の上に、第1ろう材層11、セラミック基板13、第2ろう材層12及び第2アルミニウム合金板22を重ね、この状態で、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱する。積層接着後、第2アルミニウム合金板22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成する。なお、上記非酸化性雰囲気には、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気などがある。
【0020】
次に、銅合金板16と第3アルミニウム合金板23とをそれぞれ表面洗浄して酸化物層を除去した後に、圧延又は圧接により銅合金板16と第3アルミニウム合金板23のクラッド材を作製する。このクラッド材を所定の寸法に切断することによりヒートシンク15が得られる。
【0021】
次に、第3アルミニウム合金板23を上側にしたヒートシンク15の上に、第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ね、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、常温(0〜50℃)の大気雰囲気中で超音波接合する。これにより第1及び第3アルミニウム合金板21、23中のAl合金が溶融してヒートシンク15が第1アルミニウム合金板21に積層接着される。また、超音波接合時には第3アルミニウム合金板23と第1アルミニウム合金板21との界面は比較的高温になるが、銅合金板16と第3アルミニウム合金板23との界面は0〜400℃、好ましくは0〜300℃という常温又は低温に保たれるので、銅合金板16と第3アルミニウム合金板23とが反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板16と第3アルミニウム合金板23とが剥離することはない。
【0022】
上記のような構成の製造方法によって製造されたヒートシンク付セラミック回路基板10は、ヒートシンク15を第1アルミニウム合金板21にはんだを用いずに直接積層接着しているので、はんだにクラックが発生することはあり得ない。従って、熱サイクル寿命を延すことができるとともに、熱抵抗を低減できる。また、ヒートシンク15の大部分が熱伝導率の高い銅合金板16であるので、ヒートシンク15の放熱特性を向上できるとともに、ヒートシンクをアルミニウムにより形成した場合と比較して、熱膨張係数が低くなるので、熱サイクル寿命を更に延すことができる。
【0023】
図2には、本発明によるセラミック回路基板の参考例2が示されていて、このセラミック回路基板30は、ヒートシンク35を、銅合金板16と、この銅合金板16の表面に溶射によって形成されるアルミニウム合金層36とによって構成したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様であるので、参考例1に示すものと同様の部分には同一の番号を付してその詳細な説明は省略するものとする。
【0024】
図2において、銅合金板16は、Cuの純度が95%以上、好ましくは99.5%以上の高純度のCu合金により1.5〜3.0mmの厚さに形成される。アルミニウム合金層36は、Alの純度が99.5%以上、好ましくは99.98%以上の高純度のAl合金により0.2〜1.5mmの厚さに形成される。
【0025】
次に、上記のように構成したこの参考例2によるヒートシンク付セラミック回路基板30の製造方法について説明する。
先ず第1アルミニウム合金板21の上に、第1ろう材層11、セラミック基板13、第2ろう材層12及び第2アルミニウム合金板22を重ね、この状態で、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱する。積層接着後、第2アルミニウム合金板22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成する。
【0026】
次に、銅合金板16を表面洗浄して酸化物層を除去した後に、アルミニウム合金を非酸化性雰囲気中で銅合金板16の上面に溶射し、銅合金板16の上面にアルミニウム合金層36を形成する。
【0027】
次に、アルミニウム合金層36を上側にしたヒートシンク35の上に、第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ね、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、常温(0〜50℃)の大気雰囲気中で超音波接合する。これにより第1アルミニウム合金板21及びアルミニウム合金層36中のAl合金が溶融してヒートシンク35が第1アルミニウム合金板21に積層接着される。
【0028】
上記の超音波接合時に、アルミニウム合金層36と第1アルミニウム合金板21との界面は比較的高温になるが、銅合金板16とアルミニウム合金層36との界面は0〜400℃、好ましくは0〜300℃という常温又は低温に保たれるので、銅合金板16とアルミニウム合金層36とが反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板16とアルミニウム合金層36とが剥離することはない。
【0029】
上記のような構成の製造方法によって製造されたヒートシンク付セラミック回路基板30の動作は、参考例1に示すものの動作と略同様であるので、その詳細な説明は省略するものとする。
【0030】
図3には、本発明によるセラミック回路基板の第1の実施の形態が示されていて、このセラミック回路基板は、ヒートシンク46を、銅板(又は銅合金板)16と、この銅板(又は銅合金板)16の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層46と、シリカコーティング層46の表面にAl系の第3ろう材43を介して積層接着された第4アルミニウム板(又は第4アルミニウム合金板)54とによって構成し、第4アルミニウム板(又は第4アルミニウム合金板)を第1アルミニウム板(又は第1アルミニウム合金板)に直接に積層接着したものであって、その他の構成は前記参考例1に示すものと同様であるので、参考例1に示すものと同様の部分には同一の番号を付してその詳細な説明は省略するものとする。
【0031】
図3において、銅板(又は銅合金板)16は、Cuの純度が95%以上、好ましくは99.5%以上の高純度のCu合金により1.5〜3.0mmの厚さに形成され、第4アルミニウム板(又はアルミニウム合金板)54は、Alの純度が99.5%以上、好ましくは99.98%以上の高純度のAl合金により0.2〜1.5mmの厚さに形成される。また、シリカコーティング層46の厚さは、50nm〜200μm、好ましくは0.5μm〜20μmに形成される。シリカコーティング層46の厚さを50nm〜200μmの範囲に限定したのは、50nm未満ではCuとAlとの反応の抑制効果が乏しく、200μmを超えるとシリカコーティング層46に割れが発生してCuとAlの反応を抑制できなくなるからである。更に、第4アルミニウム板(第4アルミニウム合金板)54は、第1アルミニウム板(第1アルミニウム合金板)21の表面に直接積層接着される。なお、第3ろう材43は、90〜95重量%のAlと、5〜10重量%のSiとの合金により形成される。
【0032】
次に、上記のように構成したこの実施の形態によるヒートシンク付セラミック回路基板40の製造方法について説明する。
先ず、第1アルミニウム板(第1アルミニウム合金板)21の上に、第1ろう材層11、セラミック基板13、第2ろう材層12及び第2アルミニウム板(第2アルミニウム合金板)22を重ね、この状態で、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱する。積層接着後、第2アルミニウム板(又は第2アルミニウム合金板)22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成する。
【0033】
次に、銅板(又は銅合金板)16にシリカコーティング液をスピンコートするか、或いは銅板(又は銅合金板)16をシリカコーティング液にディッピングして乾燥することにより、銅板(又は銅合金板)16の一方の面或いは全面にシリカコーティング層46を形成する。シリカコーティング液は、シリコンアルコキシドを主成分とし、その他にジルコニウムアルコキシドが混合される。シリカコーティング層46の組成比は、シリカが55〜100重量%、好ましくは70〜95重量%であり、ジルコニアが45〜0重量%、好ましくは30〜5重量%である。
【0034】
次に、シリカコーティング層46を上側にした銅板(又は銅合金板)16の上に、第3ろう材層43及び第4アルミニウム板(又は第4アルミニウム合金板)54を重ね、この状態でこれらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱して積層接着する。この場合、銅板(又は銅合金板)16と第3ろう材層43との間にはシリカコーティング層46が介装されているので、即ち、銅板(銅合金板)16と第3ろう材層43とは直接接触していないので、銅板(又は銅合金板)16と第3ろう材層43との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅板(銅合金板)16と第3ろう材層43とが剥離することはない。
【0035】
次に、第4アルミニウム板(又は第4アルミニウム合金板)を上側にしたヒートシンクの上に、第1アルミニウム板(又は第1アルミニウム合金板)21を下側にしたセラミック基板13を重ね、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、常温(0〜50℃)の大気雰囲気中で超音波接合する。これにより第1アルミニウム板(又は第1アルミニウム合金板)21及び第4アルミニウム板54(又は第4アルミニウム合金板)合金板中のAl合金が溶融し、ヒートシンク35が第1アルミニウム合金板21に積層接着される。
【0036】
上記の超音波接合時に、第4アルミニウム板(第4アルミニウム合金板)54と第1アルミニウム板(第1アルミニウム合金板)21との界面は比較的高温になるが、銅板(又は銅合金板)16と第3ろう材層43との間にはシリカコーティング層46が介装されているので、即ち、銅板(銅合金板)16と第3ろう材層43とは直接接触していないので、銅板(又は銅合金板)16と第3ろう材層43との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅板(銅合金板)16と第3ろう材層43とが剥離することはない。
【0037】
上記のような構成の製造方法によって製造されたヒートシンク付セラミック回路基板40は、ヒートシンク45を第1アルミニウム板21に、はんだではなく直接積層接着しているので、はんだにクラックが発生することはあり得ず、セラミック回路基板40の熱サイクル寿命を延すことができる。またヒートシンク45の大部分が熱伝導率の高い銅板(又は銅合金板)16であるので、ヒートシンク45の放熱特性を向上できる。更に、銅板(又は銅合金板)16を第4アルミニウム板(又は第4アルミニウム合金板)54にシリカコーティング層46及び第3ろう材層43を介して積層接着したので、第3ろう材層43と銅板(又は銅合金板)16との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板40に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板40の熱サイクル寿命を更に延すことができる。
【0038】
また、シリカコーティング層46と第1アルミニウム板(又は第2アルミニウム合金板)21又は第2アルミニウム板(又は第2アルミニウム合金板)22との間に第4アルミニウム板(又は第4アルミニウム合金板)54を介装させているので、シリカコーティング層46の熱伝導率が低くても、トータルの熱抵抗を下げることができる。
【0039】
図4には、本発明によるセラミック回路基板の第2の実施の形態が示されていて、このセラミック回路基板60は、ヒートシンク65を、銅板(又は銅合金板)16と、この銅板(又は銅合金板)16の全面に形成されたシリカコーティング層66と、銅板(又は銅合金板)16の全面をシリカコーティング層66を介して覆うアルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体)67とによって構成し、アルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体67)を第1アルミニウム板(又は第1アルミニウム合金板)21に直接積層接着したものであって、その他の構成は前記参考例1及び第1の実施の形態に示すものと同様であるので、参考例1及び第1の実施の形態に示すものと同様の部分には同一の番号を付してその詳細な説明は省略するものとする。
【0040】
図4において、銅板(又は銅合金板)16は、Cuの純度が95%以上、好ましくは99.5%以上の高純度のCu合金により1.5〜3.0mmの厚さに形成される。アルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体)67は、Alの純度が99.5%以上、好ましくは99.98%以上の高純度のAl合金により0.2〜1.5mmの厚さに形成される。また、シリカコーティング層66は、第1の実施の形態のシリカコーティング層と同一材質であり、その厚さも同一に形成される。更に、アルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体)67は、第1アルミニウム板(又は第1アルミニウム合金板)21に直接積層接着される。
【0041】
次に、上記のように構成したこの実施の形態によるヒートシンク付セラミック回路基板60の製造方法について説明する。
先ず、第1アルミニウム板(又は第1アルミニウム合金板)21の上に、第1ろう材層11、セラミック基板13、第2ろう材層12及び第2アルミニウム板(又は第2アルミニウム合金板)22を重ね、この状態で、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱する。積層接着後、第2アルミニウム板(又はアルミニウム合金板)22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成する。
【0042】
次に、銅板(又は銅合金板)16を第1の実施の形態と同一のシリカコーティング液にディッピングして乾燥することにより、銅板(又は銅合金板)16の全面にシリカコーティング層66を形成する。次に、所定の型に、シリカコーティング層66が形成された銅板(又は銅合金板)16を収容し、この状態で型にAlの溶湯を流し込んで冷却することにより、ヒートシンク65を作製する。
【0043】
次に、ヒートシンク65の上に、第1アルミニウム板(又は第1アルミニウム合金板)21を下側にしたセラミック基板13を重ね、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、常温(0〜50℃)の大気雰囲気中で超音波接合する。これにより、第1アルミニウム板(又は第1アルミニウム合金板)21及びアルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体)67中のAl合金が溶融し、ヒートシンク65が第1アルミニウム合金板21に積層接着される。
【0044】
上記の超音波接合時に、アルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体)67と第1アルミニウム板(又は第1アルミニウム合金板)21との界面は比較的高温になるが、銅板(又は銅合金板)16とアルミニウム被覆体(アルミニウム合金被覆体)67との間にはシリカコーティング層66が介装されているので、即ち、銅板(又は銅合金板)16とアルミニウム被覆体(アルミニウム合金被覆体)67とは直接接触していないので、銅板(又は銅合金板)16とアルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体)67との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅板(又は銅合金板)16とアルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体)67とが剥離することはない。
【0045】
上記のような構成の製造方法によって製造されたヒートシンク付セラミック回路基板60は、ヒートシンク65を第1アルミニウム板(又は第1アルミニウム合金板)21に、はんだではなく直接積層接着しているので、はんだにクラックが発生することはあり得ず、セラミック回路基板60の熱サイクル寿命を延すことができる。また、ヒートシンク65の大部分が熱伝導率の高い銅板(又は銅合金板)16であるので、ヒートシンク65の放熱特性を向上できる。更に、銅板(又は銅合金板)16をシリカコーティング層66を介してアルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体)67により覆ったので、アルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体)67と銅板(又は銅合金板)16との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板60に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板60の熱サイクル寿命を更に延すことができる。
【0046】
また、シリカコーティング層66と第1アルミニウム板(又は第1アルミニウム合金板)21又は第2アルミニウム板(又は第2アルミニウム合金板)22との間に第4アルミニウム被覆体(又は第4アルミニウム合金被覆体)67を介装させているので、シリカコーティング層66の熱伝導率が低くても、トータルの熱抵抗を下げることができる。
【0047】
なお、前記第1、第2の実施の形態においては、セラミック基板をAlNにより形成したが、セラミック基板をSi又はAlにより形成してもよい。
【0048】
また、前記第1、第2の実施の形態においては、第2アルミニウム板(又は第2アルミニウム合金板)をエッチング法により所定のパターンの回路に形成し、第1アルミニウム板(又は第1アルミニウム合金板)にヒートシンクを直接積層接着したが、第1アルミニウム板(又は第1アルミニウム合金板)をエッチング法により所定のパターンの回路に形成し、第2アルミニウム板(又は第2アルミニウム合金板)にヒートシンクを直接積層接着してもよい。
【0049】
更に、前記第1、第2の実施の形態では、第1〜第3ろう材層をAl−Si系ろう材により形成したが、Al−Mn系ろう材、Al−Cu系ろう材、Al−Ge系ろう材、Al−Mg系ろう材などにより形成してもよい。この場合、Al−Mn系ろう材は95〜99.5重量%のAlと、2〜0.5重量%のMnと、3〜0重量%のその他の成分との合金であり、Al−Cu系ろう材は90〜99重量%のAlと、7〜1重量%のCuと、3〜0重量%のその他の成分との合金であり、Al−Ge系ろう材は72〜95重量%のAlと、25〜5重量%のGeと、3〜0重量%のその他の成分との合金であり、更にAl−Mg系ろう材は90〜97重量%のAlと、7〜3重量%のMgと、3〜0重量%のその他の成分との合金であることが好ましい。
【0050】
【実施例】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図1に示すように、予め純度が99.98%であって、縦×横×厚さが30×30×0.4mmである第1及び第2アルミニウム合金板21、22と、AlNにより縦×横×厚さが30×30×0.635mmに形成されたセラミック基板13と、Al:Siが93重量%:7重量%であるAl−Si系の第1及び第2ろう材層11、12とを用意した。また純度が99.98%であって厚さが0.4mmである第3アルミニウム合金板23と、純度が99.5%であって厚さが3mmである銅合金板16とを用意した。
【0051】
先ず、上記第1アルミニウム合金板21の上に、第1ろう材層11、セラミック基板13、第2ろう材層12及び第2アルミニウム合金板22を重ね、この状態で、これらに0.2MPaの圧力を加え、真空中で630℃に加熱した。積層接着後、第2アルミニウム合金板22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成した。
【0052】
次に、銅合金板16と第3アルミニウム合金板23とをそれぞれ表面洗浄して酸化物層を除去した後に、冷間圧延により銅合金板16と第3アルミニウム合金板23のクラッド材を作製し、このクラッド材を縦×横が50×50mmである正方形板状に切断してヒートシンク15を得た。
【0053】
次に、第3アルミニウム合金板23を上側にしたヒートシンク15の上に、第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ね、これらに0.05MPaの圧力を加え、30℃の大気雰囲気中で超音波接合した。このセラミック回路基板10を実施例1とした。
【0054】
<実施例2>
図2に示すように、先ず実施例1と同様にしてセラミック基板13の両面に第1及び第2アルミニウム合金板21、22を積層接着した後に、第2アルミニウム合金板22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成した。
【0055】
次に、実施例1と同一材質かつ同一形状の銅合金板16を表面洗浄して酸化物層を除去した後に、アルミニウム合金を非酸化性雰囲気中で銅合金板16の上面に溶射することにより、銅合金板16の上面にアルミニウム合金層36を形成した。
【0056】
次に、アルミニウム合金層36を上側にしたヒートシンク35の上に、第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ね、実施例1と同様に超音波接合した。このセラミック回路基板30を実施例2とした。
【0057】
<実施例3>
図3に示すように、先ず実施例1と同様にしてセラミック基板13の両面に第1及び第2アルミニウム板(又は第1及び第2アルミニウム合金板)21、22を積層接着した後に、第2アルミニウム板(又は第2アルミニウム合金板)22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成した。
【0058】
次に、銅板(又は銅合金板)16にシリカコーティング液をスピンコートして乾燥することにより、銅板(又は銅合金板)16の一方の面にシリカコーティング層46を形成した。このシリカコーティング層46の組成比は、シリカが80重量%であってジルコニアが20重量%であった。
【0059】
次に、シリカコーティング層46を上側にした銅板(又は銅合金板)16の上に、第3ろう材層43(Al:Si=93重量%:7重量%)及び第4アルミニウム板(又は第4アルミニウム合金板)54を重ね、この状態でこれらに0.2MPaの圧力を加え、真空中で630℃に加熱して積層接着した。
【0060】
次に、第4アルミニウム板(又は第4アルミニウム合金板)を上側にしたヒートシンク35の上に、第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ね、実施例1と同様に超音波接合した。このセラミック回路基板40を実施例3とした。
【0061】
<実施例4>
図4に示すように、先ず、実施例1と同様にしてセラミック基板13の両面に第1及び第2アルミニウム板(又は第1及び第2アルミニウム合金板)21、22を積層接着した後に、第2アルミニウム板(又は第2アルミニウム合金板)22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成した。
【0062】
次に、銅板(又は銅合金板)16を実施例3と同一のシリカコーティング液にディッピングして乾燥することにより、銅板(又は銅合金板)16の全面にシリカコーティング層66を形成した。
【0063】
次に、この銅板(又は銅合金板)16を型に収容した状態で型にAlの溶湯を流し込んで冷却し、ヒートシンク65を作製した。
【0064】
次に、ヒートシンク65の上に、第1アルミニウム板(又はアルミニウム合金板)21を下側にしたセラミック基板13を重ね、実施例1と同様に超音波接合した。このセラミック回路基板60を実施例4とした。
【0065】
<実施例5>
Al:Mnが98.5重量%:1.5重量%であるAl−Mn系の第1及び第2ろう材層を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてセラミック回路基板を作製した。このセラミック回路基板を実施例5とした。
【0066】
<実施例6>
Al:Cuが95.5重量%:4.5重量%であるAl−Cu系の第1及び第2ろう材層を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてセラミック回路基板を作製した。このセラミック回路基板を実施例6とした。
【0067】
<実施例7>
Al:Geが85重量%:15重量%であるAl−Ge系の第1及び第2ろう材層を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてセラミック回路基板を作製した。このセラミック回路基板を実施例7とした。
【0068】
<実施例8>
Al:Mgが95重量%:5重量%であるAl−Mg系の第1及び第2ろう材層を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてセラミック回路基板を作製した。このセラミック回路基板を実施例8とした。
【0069】
<比較例1>
先ず実施例1と同様にしてセラミック基板の両面に第1及び第2アルミニウム合金板を積層接着した後に、第2アルミニウム合金板をエッチング法により所定のパターンの回路に形成した。
【0070】
次に、第2アルミニウム合金板上にニッケルめっきを施した後に、このニッケルめっき上にPb−10Snはんだを用いて半導体チップ(縦×横:10mm×10mm)をダイボンドした。
【0071】
次に、実施例1と同一の銅合金板からなるヒートシンクの上にろう材層としてPb−Sn共晶はんだを重ね、このPb−Sn共晶はんだの上に、第1アルミニウム合金板を下側にしてセラミック基板を重ねて積層接着した。
【0072】
次に、Alワイヤを用いて半導体チップと第2アルミニウム合金板とをワイヤボンディングした。この半導体チップを搭載したセラミック回路基板を比較例1とした。
【0073】
<比較試験及び評価>
実施例1〜8のセラミック回路基板の第2アルミニウム板(又は第2アルミニウム合金板)上にニッケルめっきを施し、このニッケルめっき上にPb−10Snはんだを用いて半導体チップ(縦×横:10mm×10mm)をダイボンドし、更に、Alワイヤを用いて半導体チップと第2アルミニウム板(又は第2アルミニウム合金板)とをワイヤボンディングして、セラミック回路基板上に半導体チップを搭載した。
【0074】
上記実施例1〜8及び比較例1の半導体チップを搭載したセラミック回路基板について、−40℃から125℃までの昇温及び125℃から−40℃までの降温を1サイクルとする温度サイクル試験を3000回行った。また温度サイクル試験前の半導体チップとヒートシンク裏面との間の熱抵抗(℃/W)を測定し、3000サイクルの温度サイクル試験後の半導体チップとヒートシンク裏面との間の熱抵抗を測定した。なお、3000サイクルの温度サイクル試験後の熱抵抗は温度サイクル試験前の熱抵抗からの上昇率(%)で示した。また回路基板及びヒートシンク間の界面の信頼性は剥離の有無で評価した。これらの結果を、各ろう材層の材質とともに表1に示す。
【0075】
【表1】
Figure 0004387658
【0076】
表1から明らかなように、比較例1では、サイクル試験後の熱抵抗が100%以上も上昇したのに対し、実施例1〜8では、3.0〜4.2%と僅かしか上昇しなかった。また比較例1では1000サイクルまでに回路基板及びヒートシンク間の界面(はんだ部)で剥離したが、実施例1〜8では3000サイクルでも回路基板及びヒートシンク間の界面で剥離しなかった。
【0079】
【発明の効果】
本発明の請求項に記載のセラミック回路基板によれば、ヒートシンクを、銅板(又は銅合金板)と、この銅板(又は銅合金板)の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層と、シリカコーティング層の表面にAl系の第3ろう材層を介して積層接着された第4アルミニウム板(又は第4アルミニウム合金板)とにより構成し、第4アルミニウム板(又は第4アルミニウム合金板)を第1又は第2アルミニウム板(又は第1又は第2アルミニウム合金板)に直接積層接着しているので、第3ろう材層と銅板(銅合金)との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板の熱サイクル寿命を延すことができる。
【0080】
さらに、本発明の請求項に記載のセラミック回路基板によれば、ヒートシンクを、銅板(又は銅合金)と、この銅板(又は銅合金)の全面に形成されたシリカコーティング層と、銅板(又は銅合金板)の全面をシリカコーティング層を介して覆うアルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体)とにより構成し、アルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体)を第1又は第2アルミニウム板(又は第2アルミニウム合金板)に直接積層接着しているので、アルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体)と銅板(又は銅合金板)との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板の熱サイクル寿命を延すことができる。
【0083】
さらに、請求項3に記載のセラミック回路基板の製造方法によれば、セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介して第1及び第2アルミニウム板(又は第1及び第2アルミニウム合金板)をそれぞれ積層接着し、銅板(又は銅合金板)の少なくとも一方の面にシリカコーティング層を形成し、シリカコーティング層の上にAl系の第3ろう材層を介して第4アルミニウム板(又は第4アルミニウム合金板)を積層接着し、第4アルミニウム板(又は第4アルミニウム合金板)を上側にしたヒートシンクの上に、第1アルミニウム板(又は第1アルミニウム合金板)を下側にしたセラミック基板を重ねて圧力を加えながら、常温で超音波接合するように構成したので、銅板(又は銅合金板)と第3ろう材層との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅板(又は銅合金板)と第3ろう材層とが剥離することはない。
【0084】
さらに、請求項に記載のセラミック回路基板の製造方法によれば、セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介して第1及び第2アルミニウム板(又は第1及び第2アルミニウム合金板)をそれぞれ積層接着し、銅板(又は銅合金板)の全面にシリカコーティング層を形成した後に該シリカコーティング層の全面をアルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体)で被覆し、アルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体)を第1又は第2アルミニウム板(又は第1又は第2アルミニウム合金板)に重ねて圧力を加えながら、常温で超音波接合するように構成したので、銅板(又は銅合金板)とアルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体)との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅板(又は銅合金板)とアルミニウム被覆体(又はアルミニウム合金被覆体)とが剥離することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による第1の実施形態のヒートシンク付セラミック回路基板の概略断面図である。
【図2】 本発明による第2の実施形態のヒートシンク付セラミック回路基板の概略断面図である。
【図3】 本発明による第3の実施形態のヒートシンク付セラミック回路基板の概略断面図である。
【図4】 本発明による第4の実施形態のヒートシンク付セラミック回路基板の概略断面図である。
【符号の説明】
10、30、40、60 セラミック回路基板
11 第1ろう材層
12 第2ろう材層
13 セラミック基板
15、35、45、65 ヒートシンク
16 銅板(銅合金板)
21 第1アルミニウム板(第1アルミニウム合金板)
22 第2アルミニウム板(第2アルミニウム合金板)
23 第3アルミニウム板(第3アルミニウム合金板)
36 アルミニウム層(アルミニウム合金層)
43 第3ろう材層
46、66 シリカコーティング層
54 第4アルミニウム板(第4アルミニウム合金板)
67 アルミニウム被覆体(アルミニウム合金被覆体)

Claims (4)

  1. セラミック基板(13)と、前記セラミック基板(13)の両面にAl系の第1及び第2ろう材層(11、12)を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム板又は第1及び第2アルミニウム合金板(21、22)と、前記第1又は第2アルミニウム板又は第1又は第2アルミニウム合金板(21、22)に積層接着されたヒートシンク(45)とを備えたヒートシンク付セラミック回路基板において、前記ヒートシンク(45)が、銅板又は銅合金板(16)と、この銅板又は銅合金板(16)の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層(46)と、前記シリカコーティング層(46)にAl系の第3ろう材層(43)を介して積層接着された第4アルミニウム板又は第4アルミニウム合金板(54)とにより構成され、前記第4アルミニウム板又は第4アルミニウム合金板(54)が前記第1又は第2アルミニウム板又は第1又は第2アルミニウム合金板(21、22)に直接積層接着されたことを特徴とするヒートシンク付セラミック回路基板。
  2. セラミック基板(13)と、前記セラミック基板(13)の両面にAl系の第1及び第2ろう材層(11、12)を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム板又は第1及び第2アルミニウム合金板(21、22)と、前記第1又は第2アルミニウム板又は第1又は第2アルミニウム合金板(21、22)に積層接着されたヒートシンク(65)とを備えたヒートシンク付セラミック回路基板において、前記ヒートシンク(65)が、銅板又は銅合金板(16)と、この銅板又は銅合金板(16)の全面に形成されたシリカコーティング層(66)と、前記銅板又は銅合金板(16)の全面をシリカコーティング層(66)を介して覆うアルミニウム被覆体又はアルミニウム合金被覆体(67)とにより構成され、前記アルミニウム被覆体又はアルミニウム合金被覆体(67)が前記第1又は第2アルミニウム板又は第1又は第2アルミニウム合金板(21、22)に直接積層接着されたことを特徴とするヒートシンク付セラミック回路基板。
  3. セラミック基板(13)の両面にAl系の第1及び第2ろう材層(11、12)を介して第1及び第2アルミニウム板又は第1及び第2アルミニウム合金板(21、22)をそれぞれ積層接着する工程と、銅板又は銅合金板(16)の少なくとも一方の面にシリカコーティング層(46)を形成する工程と、前記シリカコーティング層(46)の上にAl系の第3ろう材層(43)および第4アルミニウム板又は第4アルミニウム合金板(54)をそれぞれ積層接着する工程と、第4アルミニウム板又は第4アルミニウム合金板を前記第1又は第2アルミニウム合金板(21、22)に重ねて圧力を加えながら、常温で超音波接合する工程を含むヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法。
  4. セラミック基板(13)の両面にAl系の第1及び第2ろう材層(11、12)を介して第1及び第2アルミニウム板又は第1及び第2アルミニウム合金板(21、22)をそれぞれ積層接着する工程と、銅板又は銅合金板(16)の全面にシリカコーティング層(66)を形成した後に該シリカコーティング層の全面をアルミニウム被覆体又はアルミニウム合金被覆体(67)で被覆する工程と、前記アルミニウム被覆体又はアルミニウム合金被覆体(67)を前記第1又は第2アルミニウム板又は第1又は第2アルミニウム合金板(21、22)に)に重ねて圧力を加えながら、常温で超音波接合する工程とを含むヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法。
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