JP2004152972A - ヒートシンク付セラミック回路基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱サイクル寿命を延し、またヒートシンクの放熱特性を良好に保つ。
【解決手段】セラミック基板13の両面には第1及び第2アルミニウム合金板21、22がAl系の第1及び第2ろう材層11、12を介してそれぞれ積層接着され、第1又は第2アルミニウム合金板21、22にはヒートシンク45が積層接着される。ヒートシンク45は、銅合金板16と、この銅合金板16の一方の面に形成されたシリカコーティング層46と、このシリカコーティング層46に第3ろう材層43を介して積層接着された第3アルミニウム合金板54とにより構成され、この第3アルミニウム合金板54は第4ろう材層44を介して第1又は第2アルミニウム合金板21、22に直接積層接着される。
【選択図】 図1
【解決手段】セラミック基板13の両面には第1及び第2アルミニウム合金板21、22がAl系の第1及び第2ろう材層11、12を介してそれぞれ積層接着され、第1又は第2アルミニウム合金板21、22にはヒートシンク45が積層接着される。ヒートシンク45は、銅合金板16と、この銅合金板16の一方の面に形成されたシリカコーティング層46と、このシリカコーティング層46に第3ろう材層43を介して積層接着された第3アルミニウム合金板54とにより構成され、この第3アルミニウム合金板54は第4ろう材層44を介して第1又は第2アルミニウム合金板21、22に直接積層接着される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パワーモジュール用基板等の半導体装置のセラミック回路基板及びその製造方法に関し、詳しくは、半導体チップ等の発熱体から発生する熱を放散させるヒートシンクを有するヒートシンク付セラミック回路基板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のセラミック回路基板として、セラミック基板がAlNにより形成され、このセラミック基板の両面に第1及び第2アルミニウム板がAl−Si系ろう材を介して積層接着され、更に銅板により形成されたヒートシンクが上記第1又は第2アルミニウム板にはんだを介して積層接着されたものが知られている。
【0003】
この回路基板では、第1及び第2アルミニウム板のセラミック基板への積層接着は、第1アルミニウム板の上にAl−Si系ろう材、セラミック基板、Al−Si系ろう材及び第2アルミニウム板を重ね、この状態で、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中で600〜630℃に加熱することにより行われ、第2アルミニウム板はエッチンクにより所定のパターンの回路となる。この後にヒートシンクが第1アルミニウム板にはんだを介して積層接着され、第2アルミニウム板上に半導体チップ等(図示せず)が搭載される。
【0004】
このように構成されたセラミック回路基板では、半導体チップ等が発した熱は第2アルミニウム板、Al−Si系ろう材、セラミック基板、Al−Si系ろう材、第1アルミニウム板及びはんだを介してヒートシンクの表面から放散されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−335652号公報(第4−12頁、図1〜図5)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来のセラミック回路基板では、半導体チップ等の発熱及び非発熱により、或いは周囲温度の変化により、回路基板が高温と低温との間で繰返し変化すると、即ち、回路基板に熱サイクルが作用すると、セラミック回路基板とヒートシンクとの熱膨張係数差による熱応力が発生するため、はんだに歪みがたまって、はんだにクラックが発生するおそれがあった。
【0007】
また、上記のような従来のセラミック回路基板では、はんだの熱抵抗が高いため、即ち、はんだの熱伝導率が低いため、セラミック回路基板上に搭載した半導体チップの温度が上昇して、半導体チップの動作不良やはんだ寿命の低下を招くおそれもあった。
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、熱サイクル寿命を延すことができ、ヒートシンクの放熱特性を良好に保つことができる、ヒートシンク付セラミック回路基板を提供することを第1の目的とする。また、銅板とアルミニウム板とを直接積層接着しても、その界面に金属間化合物が生成されるのを防止できる、ヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法を提供することを第2の目的とする。さらに、銅板とアルミニウム板との間にシリカコーティング層を介装することにより、製造時に回路基板を高温雰囲気中に曝しても金属間化合物の生成を防止できる、ヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法を提供することを第3の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、以下のような手段を採用している。すなわち、請求項1に係る発明は、セラミック基板と、前記セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム合金板と、前記第1又は第2アルミニウム合金板に積層接着されたヒートシンクとを備えたヒートシンク付セラミック回路基板において、前記ヒートシンクが、銅合金板と、この銅合金板の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層と、前記シリカコーティング層にAl系の第3ろう材層を介して積層接着された第3アルミニウム合金板とにより構成され、前記第3アルミニウム合金板が前記第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材層を介して積層接着されたことを特徴とする。
この発明によるヒートシンク付セラミック回路基板によれば、銅合金板を第3アルミニウム合金板にシリカコーティング層及び第3ろう材層を介して積層接着したので、第3ろう材層と銅合金板との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板の熱サイクル寿命を延すことができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、セラミック基板と、前記セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム合金板と、前記第1又は第2アルミニウム合金板に積層接着されたヒートシンクとを備えたヒートシンク付セラミック回路基板において、前記ヒートシンクが、銅合金板と、この銅合金板の全面に形成されたシリカコーティング層と、前記銅合金板の全面をシリカコーティング層を介して覆うアルミニウム合金被覆体とにより構成され、前記アルミニウム合金被覆体が前記第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材層を介して積層接着されたことを特徴とする。この発明によるヒートシンク付セラミック回路基板によれば、銅合金板をシリカコーティング層を介してアルミニウム合金被覆体により覆ったので、アルミニウム合金被覆体と銅合金板との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板の熱サイクル寿命を延すことができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、セラミック基板と、前記セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム合金板と、前記第1又は第2アルミニウム合金板に積層接着されたヒートシンクとを備えたヒートシンク付セラミック回路基板において、前記ヒートシンクが、銅合金板と、この銅合金板の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層とにより構成され、前記シリカコーティング層が前記第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材層を介して積層接着されたことを特徴とする。
この発明によるヒートシンク付セラミック回路基板によれば、銅合金板を第1又は第2アルミニウム合金板にシリカコーティング層及び第4ろう材層を介して積層接着したので、第4ろう材層と銅合金板との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板の熱サイクル寿命を延すことができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介して第1及び第2アルミニウム合金板をそれぞれ積層接着する工程と、銅合金板の少なくとも一方の面にシリカコーティング層を形成する工程と、前記シリカコーティング層を前記第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第3ろう材層、第3アルミニウム合金板及びAl系の第4ろう材層を介して600〜630℃の温度で積層接着する工程とを含むことを特徴とする。
この発明によるヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法によれば、第3及び第4ろう材層を用いて各部材を積層接着するときに、セラミック回路基板全体が600〜630℃という高温雰囲気に曝されるが、銅合金板と第3ろう材層との間にはシリカコーティング層が介装されているので、即ち、銅合金板と第3ろう材層とは直接接触していないので、銅合金板と第3ろう材層との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板と第3ろう材層とが剥離することはない。
【0013】
請求項5に係る発明は、セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介して第1及び第2アルミニウム合金板をそれぞれ積層接着する工程と、銅合金板の全面にシリカコーティング層を形成した後に前記銅合金板の全面をアルミニウム合金被覆体で被覆する工程と、前記アルミニウム合金被覆体を前記第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材層を介して600〜630℃の温度で積層接着する工程とを含むことを特徴とする。
この発明によるヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法によれば、アルミニウム合金被覆体を第1又は第2アルミニウム合金板に第4ろう材層を用いて積層接着するときに、セラミック回路基板全体が600〜630℃という高温雰囲気に曝されるが、銅合金板とアルミニウム合金被覆体との間にはシリカコーティング層が介装されているので、即ち、銅合金板とアルミニウム合金被覆体とは直接接触していないので、銅合金板とアルミニウム合金被覆体との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板とアルミニウム合金被覆体とが剥離することはない。
【0014】
請求項6に係る発明は、セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介して第1及び第2アルミニウム合金板をそれぞれ積層接着する工程と、銅合金板の少なくとも一方の面にシリカコーティング層を形成する工程と、前記シリカコーティング層を前記第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材層を介して600〜630℃の温度で積層接着する工程とを含むことを特徴とする。
この発明によるヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法によれば、シリカコーティング層を第1又は第2アルミニウム合金板に第4ろう材層を用いて積層接着するときに、セラミック回路基板全体が600〜630℃という高温の雰囲気に曝されるが、銅合金板と第4ろう材層との間にはシリカコーティング層が介装されているので、即ち、銅合金板と第4ろう材層とは直接接触していないので、銅合金板と第4ろう材層との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板と第4ろう材層とが剥離することはない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す本発明の実施の形態について説明する。
図1には、本発明によりセラミック回路基板の第1の実施の形態が示されていて、このセラミック回路基板40は、AlNにより形成されたセラミック基板13と、このセラミック基板13の両面にAl系の第1及び第2ろう材層11、12を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム合金板21、22と、第1アルミニウム合金板21に積層接着されたヒートシンク45とを備えている。
【0016】
図1において、第1及び第2アルミニウム合金板21、22は、Alの純度が99.5%以上、好ましくは99.98%以上の高純度のAl合金により形成される。第1及び第2ろう材層11、12は80〜98重量%のAlと、15〜2重量%のSiと、5〜0重量%のその他の成分との合金により形成される。
【0017】
また、ヒートシンク45は、銅合金板16と、この銅合金板16の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層46と、シリカコーティング層46の表面にAl系の第3ろう材層43を介して積層接着された第3アルミニウム合金板54とにより構成される。
【0018】
さらに、銅合金板16は、Cuの純度が95%以上、好ましくは99.5%以上の高純度のCu合金により1.5〜3.0mmの厚さに形成される。第3アルミニウム合金板54は、Alの純度が99.5%以上、好ましくは99.98%以上の高純度のAl合金により0.2〜1.5mmの厚さに形成される。
【0019】
さらに、シリカコーティング層46の厚さは、50nm〜200μm、好ましくは0.5μm〜20μmに形成される。シリカコーティング層46の厚さを50nm〜200μmの範囲に限定したのは、50nm未満ではCuとAlとの反応の抑制効果が乏しく、200μmを超えるとシリカコーティング層46に割れが発生してCuとAlの反応を抑制できなくなるからである。
さらに、第3アルミニウム合金板54は、第1アルミニウム合金板21の表面にAl系の第4ろう材層44を介して積層接着される。
【0020】
なお、第3及び第4ろう材層43、44は、90〜95重量%のAlと、5〜10重量%のSiとの合金により形成される。
【0021】
次に、上記のように構成したこの実施の形態によるヒートシンク付セラミック回路基板40の製造方法について説明する。
先ず、第1アルミニウム合金板21の上に第1ろう材層11、セラミック基板13、第2ろう材層12及び第2アルミニウム合金板22を重ね、この状態で、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱する。積層接着後、第2アルミニウム合金板22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成する。
【0022】
次に、銅合金板16にシリカコーティング液をスピンコートするか、或いは銅合金板16をシリカコーティング液にディッピングして乾燥することにより、銅合金板16の一方の面或いは全面にシリカコーティング層46を形成する。シリカコーティング液は、シリコンアルコキシドを主成分とし、その他にジルコニウムアルコキシドが混合される。シリカコーティング層46の組成比は、シリカが55〜100重量%、好ましくは70〜95重量%であり、ジルコニアが45〜0重量%、好ましくは30〜5重量%である。
【0023】
次に、シリカコーティング層46を上側にした銅合金板16の上に、第3ろう材層43、第3アルミニウム合金板54及び第4ろう材層44を重ね、更に第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ねる。この状態でこれらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱して積層接着する。この場合、セラミック回路基板40全体が600〜630℃という高温雰囲気に曝されるが、銅合金板16と第3ろう材層43との間にはシリカコーティング層46が介装されているので、即ち、銅合金板16と第3ろう材層43とは直接接触していないので、銅合金板16と第3ろう材層43との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板16と第3ろう材層43とが剥離することはない。
【0024】
上記のような構成の製造方法により製造されたヒートシンク付セラミック回路基板40は、ヒートシンク45を第1アルミニウム合金板21に、はんだではなく第4ろう材層44を介して積層接着しているので、はんだにクラックが発生することはあり得ず、セラミック回路基板40の熱サイクル寿命を延すことができる。また、ヒートシンク45の大部分が熱伝導率の高い銅合金板16であるので、ヒートシンク45の放熱特性を向上できる。更に、銅合金板16を第3アルミニウム合金板54にシリカコーティング層46及び第3ろう材層43を介して積層接着したので、第3ろう材層43と銅合金板16との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板40に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板40の熱サイクル寿命を更に延すことができる。
【0025】
また、シリカコーティング層46と第1アルミニウム合金板21又は第2アルミニウム合金板22との間に第3アルミニウム合金板54を介装させているので、シリカコーティング層46の熱伝導率が低くても、トータルの熱抵抗を下げることができるものである。
【0026】
図2には、本発明によるセラミック回路基板の第2の実施の形態が示されていて、このセラミック回路基板60は、ヒートシンク65を、銅合金板16と、この銅合金板16の全面に形成されたシリカコーティング層66と、銅合金板16の全面をシリカコーティング層66を介して覆うアルミニウム合金被覆体67とにより構成したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様であるので、第1の実施の形態に示すものと同様の部分には同一の番号を付してその詳細な説明は省略するものとする。
【0027】
図2において、銅合金板16は、Cuの純度が95%以上、好ましくは99.5%以上の高純度のCu合金により1.5〜3.0mmの厚さに形成される。アルミニウム合金被覆体67は、Alの純度が99.5%以上、好ましくは99.98%以上の高純度のAl合金により0.2〜1.5mmの厚さに形成される。シリカコーティング層66は、第1の実施の形態のシリカコーティング層と同一材質であり、その厚さも同一に形成される。アルミニウム合金被覆体67は、第1アルミニウム合金板21にAl系の第4ろう材層44を介して積層接着される。
【0028】
次に、上記のように構成したこの実施の形態によるヒートシンク付セラミック回路基板60の製造方法について説明する。
先ず、第1アルミニウム合金板21の上に第1ろう材層11、セラミック基板13、第2ろう材層12及び第2アルミニウム合金板22を重ね、この状態で、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱する。積層接着後、第2アルミニウム合金板22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成する。
【0029】
次に、銅合金板16を第1の実施の形態と同一のシリカコーティング液にディッピングして乾燥することにより、銅合金板16の全面にシリカコーティング層66を形成する。
【0030】
次に、所定の型に、シリカコーティング層66が形成された銅合金板16を収容し、この状態で型にAlの溶湯を流し込んで冷却することにより、ヒートシンク65を作製する。
【0031】
次に、ヒートシンク65の上に第4ろう材層44を重ね、この第4ろう材層44の上に第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ね、この状態で、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱して積層接着する。この場合、セラミック回路基板60は、全体が600〜630℃という高温雰囲気に曝されるが、銅合金板16とアルミニウム合金被覆体67との間にはシリカコーティング層66が介装されているので、即ち、銅合金板16とアルミニウム合金被覆体67とは直接接触していないので、銅合金板16とアルミニウム合金被覆体67との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板16とアルミニウム合金被覆体67とが剥離することはない。
【0032】
上記のような構成の製造方法によって製造されたヒートシンク付セラミック回路基板60は、ヒートシンク65を第1アルミニウム合金板21に、はんだではなく第4ろう材層44を介して積層接着しているので、はんだにクラックが発生することはあり得ず、セラミック回路基板60の熱サイクル寿命を延すことができる。また、ヒートシンク65の大部分が熱伝導率の高い銅合金板16であるので、ヒートシンク65の放熱特性を向上できる。更に、銅合金板16をシリカコーティング層66を介してアルミニウム合金被覆体67により覆ったので、アルミニウム合金被覆体67と銅合金板16との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板60に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板60の熱サイクル寿命を更に延すことができる。
【0033】
また、シリカコーティング層66と第1アルミニウム合金板21又は第2アルミニウム合金板22との間にアルミニウム合金被覆体67を介装させているので、シリカコーティング層46の熱伝導率が低くても、トータルの熱抵抗を下げることができるものである。
【0034】
図3には、本発明によるセラミック回路基板の第3の実施の形態が示されていて、このセラミック回路基板70は、ヒートシンク75を、銅合金板16と、この銅合金板16の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層46とにより構成したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様であるので、第1の実施の形態に示すものと同様の部分には同一の番号を付してその詳細な説明は省略するものとする。
【0035】
図3において、銅合金板16は、Cuの純度が95%以上、好ましくは99.5%以上の高純度のCu合金により1.5〜3.0mmの厚さに形成される。シリカコーティング層46の厚さは、50nm〜200μm、好ましくは0.5μm〜20μmに形成される。シリカコーティング層46は、第1アルミニウム合金板21にAl系の第4ろう材層44を介して積層接着される。
【0036】
次に、上記のように構成したこの実施の形態によるヒートシンク付セラミック回路基板70の製造方法について説明する。
先ず、第1アルミニウム合金板21の上に第1ろう材層11、セラミック基板13、第2ろう材層12及び第2アルミニウム合金板22を重ね、この状態で、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱する。積層接着後、第2アルミニウム合金板22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成する。
【0037】
次に、銅合金板16に第1の実施の形態と同一のシリカコーティング液をスピンコートするか、或いは銅合金板16をシリカコーティング液にディッピングして乾燥することにより、銅合金板16の一方の面或いは全面にシリカコーティング層46を形成する。
【0038】
次に、シリカコーティング層46を上側にした銅合金板16の上に第4ろう材層44を重ね、更に、第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ねる。この状態でこれらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱して積層接着する。この場合、セラミック回路基板70は、全体が600〜630℃という高温の雰囲気に曝されるが、銅合金板16と第4ろう材層44との間にはシリカコーティング層46が介装されているので、即ち、銅合金板16と第4ろう材層44とは直接接触していないので、銅合金板16と第4ろう材層44との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板16と第4ろう材層44とが剥離することはない。
【0039】
上記のような構成のセラミック回路基板の製造方法によって製造されたヒートシンク付セラミック回路基板70は、ヒートシンク75を第1アルミニウム合金板に、はんだではなく第4ろう材層44を介して積層接着しているので、はんだにクラックが発生することはあり得ず、セラミック回路基板70の熱サイクル寿命を延すことができる。また、ヒートシンク75の大部分が熱伝導率の高い銅合金板16であるので、ヒートシンク75の放熱特性を向上できる。さらに、銅合金板16を第1アルミニウム合金板21にシリカコーティング層46及び第4ろう材層44を介して積層接着したので、第4ろう材層44と銅合金板16との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板70に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板70の熱サイクル寿命を更に延すことができる。更に第3アルミニウム合金板及び第3ろう材層を用いていないため、第1アルミニウム合金板21からの熱が熱伝導率の高い銅合金板16に速やかに伝わる。この結果、この実施の形態のヒートシンク75は、第1の実施の形態のヒートシンクより放熱特性が向上するとともに、部品点数及び製造工数を低減することができる。
【0040】
なお、上記第1〜第3の実施の形態では、セラミック基板をAlNにより形成したが、セラミック基板をSi3N4又はAl2O3により形成してもよい。
【0041】
また、上記第1〜第3の実施の形態では、第2アルミニウム合金板をエッチング法により所定のパターンの回路に形成し、第1アルミニウム合金板にヒートシンクを直接又はAl系ろう材を介して積層接着したが、第1アルミニウム合金板をエッチング法により所定のパターンの回路に形成し、第2アルミニウム合金板にヒートシンクを直接又はAl系ろう材を介して積層接着してもよい。
【0042】
更に、上記第1〜第3の実施の形態では、第1〜第4ろう材層をAl−Si系ろう材により形成したが、Al−Mn系ろう材、Al−Cu系ろう材、Al−Ge系ろう材、Al−Mg系ろう材などにより形成してもよい。この場合、Al−Mn系ろう材は95〜99.5重量%のAlと、2〜0.5重量%のMnと、3〜0重量%のその他の成分との合金であり、Al−Cu系ろう材は90〜99重量%のAlと、7〜1重量%のCuと、3〜0重量%のその他の成分との合金であり、Al−Ge系ろう材は72〜95重量%のAlと、25〜5重量%のGeと、3〜0重量%のその他の成分との合金であり、更にAl−Mg系ろう材は90〜97重量%のAlと、7〜3重量%のMgと、3〜0重量%のその他の成分との合金であることが好ましい。
【0043】
【実施例】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図1に示すように、予め、純度が99.98%であって、縦×横×厚さが30×30×0.4mmである第1及び第2アルミニウム合金板21、22と、AlNにより縦×横×厚さが30×30×0.635mmに形成されたセラミック基板13と、Al:Siが93重量%:7重量%であるAl−Si系の第1及び第2ろう材層11、12とを用意した。
【0044】
次に、セラミック基板13の両面に第1及び第2アルミニウム合金板21、22を積層接着し、この後に、第2アルミニウム合金板22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成した。
【0045】
次に、銅合金板16にシリカコーティング液をスピンコートして乾燥することにより、銅合金板16の一方の面にシリカコーティング層46を形成した。このシリカコーティング層46の組成比は、シリカが80重量%であってジルコニアが20重量%であった。
【0046】
次に、シリカコーティング層46を上側にした銅合金板16の上に、第3ろう材層43(Al:Si=93重量%:7重量%)、第3アルミニウム合金板54及び第4ろう材層44(Al:Si=93重量%:7重量%)を重ね、更に、第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ねた。この状態でこれらに0.2MPaの圧力を加え、真空中で630℃に加熱して積層接着した。このセラミック回路基板40を実施例1とした。
【0047】
<実施例2>
図2に示すように、先ず、実施例1と同様に、セラミック基板13の両面に第1及び第2アルミニウム合金板21、22を積層接着し、この後に、第2アルミニウム合金板22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成した。
【0048】
次に、銅合金板16を実施例1と同一のシリカコーティング液にディッピングして乾燥することにより、銅合金板16の全面にシリカコーティング層66を形成した。
【0049】
次に、この銅合金板16を型に収容した状態で型にAlの溶湯を流し込んで冷却し、ヒートシンク65を作製した。
【0050】
次に、ヒートシンク65の上に第4ろう材層44を重ね、この第4ろう材層44の上に第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ねた。この状態でこれらに0.2MPaの圧力を加え、真空中で630℃に加熱して積層接着した。このセラミック回路基板60を実施例2とした。
【0051】
<実施例3>
図3に示すように、先ず、実施例1と同様にしてセラミック基板13の両面に第1及び第2アルミニウム合金板21、22を積層接着した後に、第2アルミニウム合金板22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成した。
【0052】
次に、銅合金板16に実施例1と同一のシリカコーティング液をスピンコートして乾燥することにより、銅合金板16の一方の面にシリカコーティング層46を形成した。
【0053】
次に、シリカコーティング層46を上側にした銅合金板16の上に第4ろう材層44を重ね、更に第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ねた。この状態でこれらに0.2MPaの圧力を加え、真空中で630℃に加熱して積層接着した。このセラミック回路基板70を実施例3とした。
【0054】
<実施例4>
Al:Mnが98.5重量%:1.5重量%であるAl−Mn系の第1及び第2ろう材層を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてセラミック回路基板を作製した。このセラミック回路基板を実施例4とした。
【0055】
<実施例5>
Al:Cuが95.5重量%:4.5重量%であるAl−Cu系の第1及び第2ろう材層を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてセラミック回路基板を作製した。このセラミック回路基板を実施例5とした。
【0056】
<実施例6>
Al:Geが85重量%:15重量%であるAl−Ge系の第1及び第2ろう材層を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてセラミック回路基板を作製した。このセラミック回路基板を実施例6とした。
【0057】
<実施例7>
Al:Mgが95重量%:5重量%であるAl−Mg系の第1及び第2ろう材層を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてセラミック回路基板を作製した。このセラミック回路基板を実施例7とした。
【0058】
<比較例1>
先ず、実施例1と同様にしてセラミック基板の両面に第1及び第2アルミニウム合金板を積層接着した後に、第2アルミニウム合金板をエッチング法により所定のパターンの回路に形成した。
【0059】
次に、第2アルミニウム合金板上にニッケルめっきを施した後に、このニッケルめっき上にPb−10Snはんだを用いて半導体チップ(縦×横:10mm×10mm)をダイボンドした。
【0060】
次に、実施例1と同一の銅合金板からなるヒートシンクの上にろう材層としてPb−Sn共晶はんだを重ね、このPb−Sn共晶はんだの上に、第1アルミニウム合金板を下側にしてセラミック基板を重ねて積層接着した。更にAlワイヤを用いて半導体チップと第2アルミニウム合金板とをワイヤボンディングした。この半導体チップを搭載したセラミック回路基板を比較例1とした。
【0061】
<比較試験及び評価>
実施例1〜7のセラミック回路基板の第2アルミニウム合金板上にニッケルめっきを施し、このニッケルめっき上にPb−10Snはんだを用いて半導体チップ(縦×横:10mm×10mm)をダイボンドし、更にAlワイヤを用いて半導体チップと第2アルミニウム合金板とをワイヤボンディングして、セラミック回路基板上に半導体チップを搭載した。
【0062】
上記実施例1〜7及び比較例1の半導体チップを搭載したセラミック回路基板について、−40℃から125℃までの昇温及び125℃から−40℃までの降温を1サイクルとする温度サイクル試験を3000回行った。また温度サイクル試験前の半導体チップとヒートシンク裏面との間の熱抵抗(℃/W)を測定し、3000サイクルの温度サイクル試験後の半導体チップとヒートシンク裏面との間の熱抵抗を測定した。なお、3000サイクルの温度サイクル試験後の熱抵抗は温度サイクル試験前の熱抵抗からの上昇率(%)で示した。また回路基板及びヒートシンク間の界面の信頼性は剥離の有無で評価した。これらの結果を、各ろう材層の材質とともに表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
表1から明らかなように、比較例1では、サイクル試験後の熱抵抗が100%以上も上昇したのに対し、実施例1〜7では、3.0〜4.2%と僅かしか上昇しなかった。また比較例1では1000サイクルまでに回路基板及びヒートシンク間の界面(はんだ部)で剥離したが、実施例1〜7では3000サイクルでも回路基板及びヒートシンク間の界面で剥離しなかった。
【0065】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の請求項1に記載のセラミック回路基板によれば、ヒートシンクを、銅合金板と、この銅合金板の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層と、シリカコーティング層の表面にAl系の第3ろう材層を介して積層接着された第3アルミニウム合金板とにより構成し、第3アルミニウム合金板を第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材層を介して積層接着するように構成したので、第3ろう材層と銅合金板との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板の熱サイクル寿命を延すことができる。
【0066】
また、本発明の請求項2に記載のセラミック回路基板によれば、ヒートシンクを、銅合金板と、この銅合金板の全面に形成されたシリカコーティング層と、銅合金板の全面をシリカコーティング層を介して覆うアルミニウム合金被覆体とにより構成し、アルミニウム合金被覆体を第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材を介して積層接着するように構成したので、アルミニウム合金被覆体と銅合金板との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板の熱サイクル寿命を延すことができる。
【0067】
さらに、本発明の請求項3に記載のセラミック回路基板によれば、ヒートシンクを、銅合金板と、この銅合金板の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層とにより構成し、シリカコーティング層を第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材を介して積層接着するように構成したので、第4ろう材層と銅合金板との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板の熱サイクル寿命を延すことができる。
【0068】
さらに、本発明による請求項4に記載のセラミック回路基板の製造方法によれば、セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介して第1及び第2アルミニウム合金板をそれぞれ積層接着し、銅合金板の少なくとも一方の面にシリカコーティング層を形成し、シリカコーティング層を第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第3ろう材層、第3アルミニウム板及びAl系の第4ろう材層を介して600〜630℃の温度で積層接着するように構成したので、回路基板全体が600〜630℃という高温雰囲気に曝されても、銅合金板と第3ろう材層との間にシリカコーティング層が介装されているので、銅合金板と第3ろう材層との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板と第3ろう材層とが剥離することはない。
【0069】
さらに、本発明の請求項5に記載のセラミック回路基板の製造方法によれば、セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介して第1及び第2アルミニウム合金板をそれぞれ積層接着し、銅合金板の全面にシリカコーティング層を形成した後に銅合金板の全面をアルミニウム合金被覆体で被覆し、アルミニウム合金被覆体を第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材層を介して600〜630℃の温度で積層接着するように構成したので、回路基板全体が600〜630℃という高温雰囲気に曝されても、銅合金板とアルミニウム合金被覆体との間にシリカコーティング層が介装されているので、銅合金板とアルミニウム合金被覆体との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅板とアルミニウム合金被覆体とが剥離することはない。
【0070】
さらに、本発明の請求項6に記載のセラミック回路基板の製造方法によれば、セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介して第1及び第2アルミニウム合金板をそれぞれ積層接着し、銅合金板の少なくとも一方の面にシリカコーティング層を形成し、シリカコーティング層を第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材層を介して600〜630℃の温度で積層接着するように構成したので、回路基板全体が600〜630℃という高温の雰囲気に曝されても、銅合金板と第4ろう材層との間にシリカコーティング層が介装されているので、銅合金板と第4ろう材層との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板と第4ろう材層とが剥離することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施形態のヒートシンク付セラミック回路基板の概略断面図である。
【図2】本発明による第2の実施形態のヒートシンク付セラミック回路基板の概略断面図である。
【図3】本発明による第3の実施形態のヒートシンク付セラミック回路基板の概略断面図である。
【符号の説明】
40、60、70 セラミック回路基板
11 第1ろう材層
12 第2ろう材層
13 セラミック基板
16 銅合金板
21 第1アルミニウム合金板
22 第2アルミニウム合金板
43 第3ろう材層
44 第4ろう材層
45、65、75 ヒートシンク
46、66 シリカコーティング層
54 第3アルミニウム合金板
67 アルミニウム合金被覆体
【発明の属する技術分野】
本発明は、パワーモジュール用基板等の半導体装置のセラミック回路基板及びその製造方法に関し、詳しくは、半導体チップ等の発熱体から発生する熱を放散させるヒートシンクを有するヒートシンク付セラミック回路基板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のセラミック回路基板として、セラミック基板がAlNにより形成され、このセラミック基板の両面に第1及び第2アルミニウム板がAl−Si系ろう材を介して積層接着され、更に銅板により形成されたヒートシンクが上記第1又は第2アルミニウム板にはんだを介して積層接着されたものが知られている。
【0003】
この回路基板では、第1及び第2アルミニウム板のセラミック基板への積層接着は、第1アルミニウム板の上にAl−Si系ろう材、セラミック基板、Al−Si系ろう材及び第2アルミニウム板を重ね、この状態で、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中で600〜630℃に加熱することにより行われ、第2アルミニウム板はエッチンクにより所定のパターンの回路となる。この後にヒートシンクが第1アルミニウム板にはんだを介して積層接着され、第2アルミニウム板上に半導体チップ等(図示せず)が搭載される。
【0004】
このように構成されたセラミック回路基板では、半導体チップ等が発した熱は第2アルミニウム板、Al−Si系ろう材、セラミック基板、Al−Si系ろう材、第1アルミニウム板及びはんだを介してヒートシンクの表面から放散されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−335652号公報(第4−12頁、図1〜図5)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来のセラミック回路基板では、半導体チップ等の発熱及び非発熱により、或いは周囲温度の変化により、回路基板が高温と低温との間で繰返し変化すると、即ち、回路基板に熱サイクルが作用すると、セラミック回路基板とヒートシンクとの熱膨張係数差による熱応力が発生するため、はんだに歪みがたまって、はんだにクラックが発生するおそれがあった。
【0007】
また、上記のような従来のセラミック回路基板では、はんだの熱抵抗が高いため、即ち、はんだの熱伝導率が低いため、セラミック回路基板上に搭載した半導体チップの温度が上昇して、半導体チップの動作不良やはんだ寿命の低下を招くおそれもあった。
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、熱サイクル寿命を延すことができ、ヒートシンクの放熱特性を良好に保つことができる、ヒートシンク付セラミック回路基板を提供することを第1の目的とする。また、銅板とアルミニウム板とを直接積層接着しても、その界面に金属間化合物が生成されるのを防止できる、ヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法を提供することを第2の目的とする。さらに、銅板とアルミニウム板との間にシリカコーティング層を介装することにより、製造時に回路基板を高温雰囲気中に曝しても金属間化合物の生成を防止できる、ヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法を提供することを第3の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、以下のような手段を採用している。すなわち、請求項1に係る発明は、セラミック基板と、前記セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム合金板と、前記第1又は第2アルミニウム合金板に積層接着されたヒートシンクとを備えたヒートシンク付セラミック回路基板において、前記ヒートシンクが、銅合金板と、この銅合金板の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層と、前記シリカコーティング層にAl系の第3ろう材層を介して積層接着された第3アルミニウム合金板とにより構成され、前記第3アルミニウム合金板が前記第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材層を介して積層接着されたことを特徴とする。
この発明によるヒートシンク付セラミック回路基板によれば、銅合金板を第3アルミニウム合金板にシリカコーティング層及び第3ろう材層を介して積層接着したので、第3ろう材層と銅合金板との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板の熱サイクル寿命を延すことができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、セラミック基板と、前記セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム合金板と、前記第1又は第2アルミニウム合金板に積層接着されたヒートシンクとを備えたヒートシンク付セラミック回路基板において、前記ヒートシンクが、銅合金板と、この銅合金板の全面に形成されたシリカコーティング層と、前記銅合金板の全面をシリカコーティング層を介して覆うアルミニウム合金被覆体とにより構成され、前記アルミニウム合金被覆体が前記第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材層を介して積層接着されたことを特徴とする。この発明によるヒートシンク付セラミック回路基板によれば、銅合金板をシリカコーティング層を介してアルミニウム合金被覆体により覆ったので、アルミニウム合金被覆体と銅合金板との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板の熱サイクル寿命を延すことができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、セラミック基板と、前記セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム合金板と、前記第1又は第2アルミニウム合金板に積層接着されたヒートシンクとを備えたヒートシンク付セラミック回路基板において、前記ヒートシンクが、銅合金板と、この銅合金板の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層とにより構成され、前記シリカコーティング層が前記第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材層を介して積層接着されたことを特徴とする。
この発明によるヒートシンク付セラミック回路基板によれば、銅合金板を第1又は第2アルミニウム合金板にシリカコーティング層及び第4ろう材層を介して積層接着したので、第4ろう材層と銅合金板との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板の熱サイクル寿命を延すことができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介して第1及び第2アルミニウム合金板をそれぞれ積層接着する工程と、銅合金板の少なくとも一方の面にシリカコーティング層を形成する工程と、前記シリカコーティング層を前記第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第3ろう材層、第3アルミニウム合金板及びAl系の第4ろう材層を介して600〜630℃の温度で積層接着する工程とを含むことを特徴とする。
この発明によるヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法によれば、第3及び第4ろう材層を用いて各部材を積層接着するときに、セラミック回路基板全体が600〜630℃という高温雰囲気に曝されるが、銅合金板と第3ろう材層との間にはシリカコーティング層が介装されているので、即ち、銅合金板と第3ろう材層とは直接接触していないので、銅合金板と第3ろう材層との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板と第3ろう材層とが剥離することはない。
【0013】
請求項5に係る発明は、セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介して第1及び第2アルミニウム合金板をそれぞれ積層接着する工程と、銅合金板の全面にシリカコーティング層を形成した後に前記銅合金板の全面をアルミニウム合金被覆体で被覆する工程と、前記アルミニウム合金被覆体を前記第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材層を介して600〜630℃の温度で積層接着する工程とを含むことを特徴とする。
この発明によるヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法によれば、アルミニウム合金被覆体を第1又は第2アルミニウム合金板に第4ろう材層を用いて積層接着するときに、セラミック回路基板全体が600〜630℃という高温雰囲気に曝されるが、銅合金板とアルミニウム合金被覆体との間にはシリカコーティング層が介装されているので、即ち、銅合金板とアルミニウム合金被覆体とは直接接触していないので、銅合金板とアルミニウム合金被覆体との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板とアルミニウム合金被覆体とが剥離することはない。
【0014】
請求項6に係る発明は、セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介して第1及び第2アルミニウム合金板をそれぞれ積層接着する工程と、銅合金板の少なくとも一方の面にシリカコーティング層を形成する工程と、前記シリカコーティング層を前記第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材層を介して600〜630℃の温度で積層接着する工程とを含むことを特徴とする。
この発明によるヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法によれば、シリカコーティング層を第1又は第2アルミニウム合金板に第4ろう材層を用いて積層接着するときに、セラミック回路基板全体が600〜630℃という高温の雰囲気に曝されるが、銅合金板と第4ろう材層との間にはシリカコーティング層が介装されているので、即ち、銅合金板と第4ろう材層とは直接接触していないので、銅合金板と第4ろう材層との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板と第4ろう材層とが剥離することはない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す本発明の実施の形態について説明する。
図1には、本発明によりセラミック回路基板の第1の実施の形態が示されていて、このセラミック回路基板40は、AlNにより形成されたセラミック基板13と、このセラミック基板13の両面にAl系の第1及び第2ろう材層11、12を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム合金板21、22と、第1アルミニウム合金板21に積層接着されたヒートシンク45とを備えている。
【0016】
図1において、第1及び第2アルミニウム合金板21、22は、Alの純度が99.5%以上、好ましくは99.98%以上の高純度のAl合金により形成される。第1及び第2ろう材層11、12は80〜98重量%のAlと、15〜2重量%のSiと、5〜0重量%のその他の成分との合金により形成される。
【0017】
また、ヒートシンク45は、銅合金板16と、この銅合金板16の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層46と、シリカコーティング層46の表面にAl系の第3ろう材層43を介して積層接着された第3アルミニウム合金板54とにより構成される。
【0018】
さらに、銅合金板16は、Cuの純度が95%以上、好ましくは99.5%以上の高純度のCu合金により1.5〜3.0mmの厚さに形成される。第3アルミニウム合金板54は、Alの純度が99.5%以上、好ましくは99.98%以上の高純度のAl合金により0.2〜1.5mmの厚さに形成される。
【0019】
さらに、シリカコーティング層46の厚さは、50nm〜200μm、好ましくは0.5μm〜20μmに形成される。シリカコーティング層46の厚さを50nm〜200μmの範囲に限定したのは、50nm未満ではCuとAlとの反応の抑制効果が乏しく、200μmを超えるとシリカコーティング層46に割れが発生してCuとAlの反応を抑制できなくなるからである。
さらに、第3アルミニウム合金板54は、第1アルミニウム合金板21の表面にAl系の第4ろう材層44を介して積層接着される。
【0020】
なお、第3及び第4ろう材層43、44は、90〜95重量%のAlと、5〜10重量%のSiとの合金により形成される。
【0021】
次に、上記のように構成したこの実施の形態によるヒートシンク付セラミック回路基板40の製造方法について説明する。
先ず、第1アルミニウム合金板21の上に第1ろう材層11、セラミック基板13、第2ろう材層12及び第2アルミニウム合金板22を重ね、この状態で、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱する。積層接着後、第2アルミニウム合金板22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成する。
【0022】
次に、銅合金板16にシリカコーティング液をスピンコートするか、或いは銅合金板16をシリカコーティング液にディッピングして乾燥することにより、銅合金板16の一方の面或いは全面にシリカコーティング層46を形成する。シリカコーティング液は、シリコンアルコキシドを主成分とし、その他にジルコニウムアルコキシドが混合される。シリカコーティング層46の組成比は、シリカが55〜100重量%、好ましくは70〜95重量%であり、ジルコニアが45〜0重量%、好ましくは30〜5重量%である。
【0023】
次に、シリカコーティング層46を上側にした銅合金板16の上に、第3ろう材層43、第3アルミニウム合金板54及び第4ろう材層44を重ね、更に第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ねる。この状態でこれらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱して積層接着する。この場合、セラミック回路基板40全体が600〜630℃という高温雰囲気に曝されるが、銅合金板16と第3ろう材層43との間にはシリカコーティング層46が介装されているので、即ち、銅合金板16と第3ろう材層43とは直接接触していないので、銅合金板16と第3ろう材層43との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板16と第3ろう材層43とが剥離することはない。
【0024】
上記のような構成の製造方法により製造されたヒートシンク付セラミック回路基板40は、ヒートシンク45を第1アルミニウム合金板21に、はんだではなく第4ろう材層44を介して積層接着しているので、はんだにクラックが発生することはあり得ず、セラミック回路基板40の熱サイクル寿命を延すことができる。また、ヒートシンク45の大部分が熱伝導率の高い銅合金板16であるので、ヒートシンク45の放熱特性を向上できる。更に、銅合金板16を第3アルミニウム合金板54にシリカコーティング層46及び第3ろう材層43を介して積層接着したので、第3ろう材層43と銅合金板16との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板40に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板40の熱サイクル寿命を更に延すことができる。
【0025】
また、シリカコーティング層46と第1アルミニウム合金板21又は第2アルミニウム合金板22との間に第3アルミニウム合金板54を介装させているので、シリカコーティング層46の熱伝導率が低くても、トータルの熱抵抗を下げることができるものである。
【0026】
図2には、本発明によるセラミック回路基板の第2の実施の形態が示されていて、このセラミック回路基板60は、ヒートシンク65を、銅合金板16と、この銅合金板16の全面に形成されたシリカコーティング層66と、銅合金板16の全面をシリカコーティング層66を介して覆うアルミニウム合金被覆体67とにより構成したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様であるので、第1の実施の形態に示すものと同様の部分には同一の番号を付してその詳細な説明は省略するものとする。
【0027】
図2において、銅合金板16は、Cuの純度が95%以上、好ましくは99.5%以上の高純度のCu合金により1.5〜3.0mmの厚さに形成される。アルミニウム合金被覆体67は、Alの純度が99.5%以上、好ましくは99.98%以上の高純度のAl合金により0.2〜1.5mmの厚さに形成される。シリカコーティング層66は、第1の実施の形態のシリカコーティング層と同一材質であり、その厚さも同一に形成される。アルミニウム合金被覆体67は、第1アルミニウム合金板21にAl系の第4ろう材層44を介して積層接着される。
【0028】
次に、上記のように構成したこの実施の形態によるヒートシンク付セラミック回路基板60の製造方法について説明する。
先ず、第1アルミニウム合金板21の上に第1ろう材層11、セラミック基板13、第2ろう材層12及び第2アルミニウム合金板22を重ね、この状態で、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱する。積層接着後、第2アルミニウム合金板22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成する。
【0029】
次に、銅合金板16を第1の実施の形態と同一のシリカコーティング液にディッピングして乾燥することにより、銅合金板16の全面にシリカコーティング層66を形成する。
【0030】
次に、所定の型に、シリカコーティング層66が形成された銅合金板16を収容し、この状態で型にAlの溶湯を流し込んで冷却することにより、ヒートシンク65を作製する。
【0031】
次に、ヒートシンク65の上に第4ろう材層44を重ね、この第4ろう材層44の上に第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ね、この状態で、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱して積層接着する。この場合、セラミック回路基板60は、全体が600〜630℃という高温雰囲気に曝されるが、銅合金板16とアルミニウム合金被覆体67との間にはシリカコーティング層66が介装されているので、即ち、銅合金板16とアルミニウム合金被覆体67とは直接接触していないので、銅合金板16とアルミニウム合金被覆体67との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板16とアルミニウム合金被覆体67とが剥離することはない。
【0032】
上記のような構成の製造方法によって製造されたヒートシンク付セラミック回路基板60は、ヒートシンク65を第1アルミニウム合金板21に、はんだではなく第4ろう材層44を介して積層接着しているので、はんだにクラックが発生することはあり得ず、セラミック回路基板60の熱サイクル寿命を延すことができる。また、ヒートシンク65の大部分が熱伝導率の高い銅合金板16であるので、ヒートシンク65の放熱特性を向上できる。更に、銅合金板16をシリカコーティング層66を介してアルミニウム合金被覆体67により覆ったので、アルミニウム合金被覆体67と銅合金板16との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板60に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板60の熱サイクル寿命を更に延すことができる。
【0033】
また、シリカコーティング層66と第1アルミニウム合金板21又は第2アルミニウム合金板22との間にアルミニウム合金被覆体67を介装させているので、シリカコーティング層46の熱伝導率が低くても、トータルの熱抵抗を下げることができるものである。
【0034】
図3には、本発明によるセラミック回路基板の第3の実施の形態が示されていて、このセラミック回路基板70は、ヒートシンク75を、銅合金板16と、この銅合金板16の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層46とにより構成したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様であるので、第1の実施の形態に示すものと同様の部分には同一の番号を付してその詳細な説明は省略するものとする。
【0035】
図3において、銅合金板16は、Cuの純度が95%以上、好ましくは99.5%以上の高純度のCu合金により1.5〜3.0mmの厚さに形成される。シリカコーティング層46の厚さは、50nm〜200μm、好ましくは0.5μm〜20μmに形成される。シリカコーティング層46は、第1アルミニウム合金板21にAl系の第4ろう材層44を介して積層接着される。
【0036】
次に、上記のように構成したこの実施の形態によるヒートシンク付セラミック回路基板70の製造方法について説明する。
先ず、第1アルミニウム合金板21の上に第1ろう材層11、セラミック基板13、第2ろう材層12及び第2アルミニウム合金板22を重ね、この状態で、これらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱する。積層接着後、第2アルミニウム合金板22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成する。
【0037】
次に、銅合金板16に第1の実施の形態と同一のシリカコーティング液をスピンコートするか、或いは銅合金板16をシリカコーティング液にディッピングして乾燥することにより、銅合金板16の一方の面或いは全面にシリカコーティング層46を形成する。
【0038】
次に、シリカコーティング層46を上側にした銅合金板16の上に第4ろう材層44を重ね、更に、第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ねる。この状態でこれらに0.05〜0.5MPaの圧力を加え、真空中又は非酸化性雰囲気中で600〜630℃に加熱して積層接着する。この場合、セラミック回路基板70は、全体が600〜630℃という高温の雰囲気に曝されるが、銅合金板16と第4ろう材層44との間にはシリカコーティング層46が介装されているので、即ち、銅合金板16と第4ろう材層44とは直接接触していないので、銅合金板16と第4ろう材層44との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板16と第4ろう材層44とが剥離することはない。
【0039】
上記のような構成のセラミック回路基板の製造方法によって製造されたヒートシンク付セラミック回路基板70は、ヒートシンク75を第1アルミニウム合金板に、はんだではなく第4ろう材層44を介して積層接着しているので、はんだにクラックが発生することはあり得ず、セラミック回路基板70の熱サイクル寿命を延すことができる。また、ヒートシンク75の大部分が熱伝導率の高い銅合金板16であるので、ヒートシンク75の放熱特性を向上できる。さらに、銅合金板16を第1アルミニウム合金板21にシリカコーティング層46及び第4ろう材層44を介して積層接着したので、第4ろう材層44と銅合金板16との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板70に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板70の熱サイクル寿命を更に延すことができる。更に第3アルミニウム合金板及び第3ろう材層を用いていないため、第1アルミニウム合金板21からの熱が熱伝導率の高い銅合金板16に速やかに伝わる。この結果、この実施の形態のヒートシンク75は、第1の実施の形態のヒートシンクより放熱特性が向上するとともに、部品点数及び製造工数を低減することができる。
【0040】
なお、上記第1〜第3の実施の形態では、セラミック基板をAlNにより形成したが、セラミック基板をSi3N4又はAl2O3により形成してもよい。
【0041】
また、上記第1〜第3の実施の形態では、第2アルミニウム合金板をエッチング法により所定のパターンの回路に形成し、第1アルミニウム合金板にヒートシンクを直接又はAl系ろう材を介して積層接着したが、第1アルミニウム合金板をエッチング法により所定のパターンの回路に形成し、第2アルミニウム合金板にヒートシンクを直接又はAl系ろう材を介して積層接着してもよい。
【0042】
更に、上記第1〜第3の実施の形態では、第1〜第4ろう材層をAl−Si系ろう材により形成したが、Al−Mn系ろう材、Al−Cu系ろう材、Al−Ge系ろう材、Al−Mg系ろう材などにより形成してもよい。この場合、Al−Mn系ろう材は95〜99.5重量%のAlと、2〜0.5重量%のMnと、3〜0重量%のその他の成分との合金であり、Al−Cu系ろう材は90〜99重量%のAlと、7〜1重量%のCuと、3〜0重量%のその他の成分との合金であり、Al−Ge系ろう材は72〜95重量%のAlと、25〜5重量%のGeと、3〜0重量%のその他の成分との合金であり、更にAl−Mg系ろう材は90〜97重量%のAlと、7〜3重量%のMgと、3〜0重量%のその他の成分との合金であることが好ましい。
【0043】
【実施例】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図1に示すように、予め、純度が99.98%であって、縦×横×厚さが30×30×0.4mmである第1及び第2アルミニウム合金板21、22と、AlNにより縦×横×厚さが30×30×0.635mmに形成されたセラミック基板13と、Al:Siが93重量%:7重量%であるAl−Si系の第1及び第2ろう材層11、12とを用意した。
【0044】
次に、セラミック基板13の両面に第1及び第2アルミニウム合金板21、22を積層接着し、この後に、第2アルミニウム合金板22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成した。
【0045】
次に、銅合金板16にシリカコーティング液をスピンコートして乾燥することにより、銅合金板16の一方の面にシリカコーティング層46を形成した。このシリカコーティング層46の組成比は、シリカが80重量%であってジルコニアが20重量%であった。
【0046】
次に、シリカコーティング層46を上側にした銅合金板16の上に、第3ろう材層43(Al:Si=93重量%:7重量%)、第3アルミニウム合金板54及び第4ろう材層44(Al:Si=93重量%:7重量%)を重ね、更に、第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ねた。この状態でこれらに0.2MPaの圧力を加え、真空中で630℃に加熱して積層接着した。このセラミック回路基板40を実施例1とした。
【0047】
<実施例2>
図2に示すように、先ず、実施例1と同様に、セラミック基板13の両面に第1及び第2アルミニウム合金板21、22を積層接着し、この後に、第2アルミニウム合金板22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成した。
【0048】
次に、銅合金板16を実施例1と同一のシリカコーティング液にディッピングして乾燥することにより、銅合金板16の全面にシリカコーティング層66を形成した。
【0049】
次に、この銅合金板16を型に収容した状態で型にAlの溶湯を流し込んで冷却し、ヒートシンク65を作製した。
【0050】
次に、ヒートシンク65の上に第4ろう材層44を重ね、この第4ろう材層44の上に第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ねた。この状態でこれらに0.2MPaの圧力を加え、真空中で630℃に加熱して積層接着した。このセラミック回路基板60を実施例2とした。
【0051】
<実施例3>
図3に示すように、先ず、実施例1と同様にしてセラミック基板13の両面に第1及び第2アルミニウム合金板21、22を積層接着した後に、第2アルミニウム合金板22をエッチング法により所定のパターンの回路に形成した。
【0052】
次に、銅合金板16に実施例1と同一のシリカコーティング液をスピンコートして乾燥することにより、銅合金板16の一方の面にシリカコーティング層46を形成した。
【0053】
次に、シリカコーティング層46を上側にした銅合金板16の上に第4ろう材層44を重ね、更に第1アルミニウム合金板21を下側にしたセラミック基板13を重ねた。この状態でこれらに0.2MPaの圧力を加え、真空中で630℃に加熱して積層接着した。このセラミック回路基板70を実施例3とした。
【0054】
<実施例4>
Al:Mnが98.5重量%:1.5重量%であるAl−Mn系の第1及び第2ろう材層を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてセラミック回路基板を作製した。このセラミック回路基板を実施例4とした。
【0055】
<実施例5>
Al:Cuが95.5重量%:4.5重量%であるAl−Cu系の第1及び第2ろう材層を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてセラミック回路基板を作製した。このセラミック回路基板を実施例5とした。
【0056】
<実施例6>
Al:Geが85重量%:15重量%であるAl−Ge系の第1及び第2ろう材層を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてセラミック回路基板を作製した。このセラミック回路基板を実施例6とした。
【0057】
<実施例7>
Al:Mgが95重量%:5重量%であるAl−Mg系の第1及び第2ろう材層を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてセラミック回路基板を作製した。このセラミック回路基板を実施例7とした。
【0058】
<比較例1>
先ず、実施例1と同様にしてセラミック基板の両面に第1及び第2アルミニウム合金板を積層接着した後に、第2アルミニウム合金板をエッチング法により所定のパターンの回路に形成した。
【0059】
次に、第2アルミニウム合金板上にニッケルめっきを施した後に、このニッケルめっき上にPb−10Snはんだを用いて半導体チップ(縦×横:10mm×10mm)をダイボンドした。
【0060】
次に、実施例1と同一の銅合金板からなるヒートシンクの上にろう材層としてPb−Sn共晶はんだを重ね、このPb−Sn共晶はんだの上に、第1アルミニウム合金板を下側にしてセラミック基板を重ねて積層接着した。更にAlワイヤを用いて半導体チップと第2アルミニウム合金板とをワイヤボンディングした。この半導体チップを搭載したセラミック回路基板を比較例1とした。
【0061】
<比較試験及び評価>
実施例1〜7のセラミック回路基板の第2アルミニウム合金板上にニッケルめっきを施し、このニッケルめっき上にPb−10Snはんだを用いて半導体チップ(縦×横:10mm×10mm)をダイボンドし、更にAlワイヤを用いて半導体チップと第2アルミニウム合金板とをワイヤボンディングして、セラミック回路基板上に半導体チップを搭載した。
【0062】
上記実施例1〜7及び比較例1の半導体チップを搭載したセラミック回路基板について、−40℃から125℃までの昇温及び125℃から−40℃までの降温を1サイクルとする温度サイクル試験を3000回行った。また温度サイクル試験前の半導体チップとヒートシンク裏面との間の熱抵抗(℃/W)を測定し、3000サイクルの温度サイクル試験後の半導体チップとヒートシンク裏面との間の熱抵抗を測定した。なお、3000サイクルの温度サイクル試験後の熱抵抗は温度サイクル試験前の熱抵抗からの上昇率(%)で示した。また回路基板及びヒートシンク間の界面の信頼性は剥離の有無で評価した。これらの結果を、各ろう材層の材質とともに表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
表1から明らかなように、比較例1では、サイクル試験後の熱抵抗が100%以上も上昇したのに対し、実施例1〜7では、3.0〜4.2%と僅かしか上昇しなかった。また比較例1では1000サイクルまでに回路基板及びヒートシンク間の界面(はんだ部)で剥離したが、実施例1〜7では3000サイクルでも回路基板及びヒートシンク間の界面で剥離しなかった。
【0065】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の請求項1に記載のセラミック回路基板によれば、ヒートシンクを、銅合金板と、この銅合金板の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層と、シリカコーティング層の表面にAl系の第3ろう材層を介して積層接着された第3アルミニウム合金板とにより構成し、第3アルミニウム合金板を第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材層を介して積層接着するように構成したので、第3ろう材層と銅合金板との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板の熱サイクル寿命を延すことができる。
【0066】
また、本発明の請求項2に記載のセラミック回路基板によれば、ヒートシンクを、銅合金板と、この銅合金板の全面に形成されたシリカコーティング層と、銅合金板の全面をシリカコーティング層を介して覆うアルミニウム合金被覆体とにより構成し、アルミニウム合金被覆体を第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材を介して積層接着するように構成したので、アルミニウム合金被覆体と銅合金板との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板の熱サイクル寿命を延すことができる。
【0067】
さらに、本発明の請求項3に記載のセラミック回路基板によれば、ヒートシンクを、銅合金板と、この銅合金板の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層とにより構成し、シリカコーティング層を第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材を介して積層接着するように構成したので、第4ろう材層と銅合金板との間に金属間化合物層が形成されることはない。従って、セラミック回路基板に熱サイクルを作用させても、金属間化合物にクラックなどが生じることはあり得ないので、セラミック回路基板の熱サイクル寿命を延すことができる。
【0068】
さらに、本発明による請求項4に記載のセラミック回路基板の製造方法によれば、セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介して第1及び第2アルミニウム合金板をそれぞれ積層接着し、銅合金板の少なくとも一方の面にシリカコーティング層を形成し、シリカコーティング層を第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第3ろう材層、第3アルミニウム板及びAl系の第4ろう材層を介して600〜630℃の温度で積層接着するように構成したので、回路基板全体が600〜630℃という高温雰囲気に曝されても、銅合金板と第3ろう材層との間にシリカコーティング層が介装されているので、銅合金板と第3ろう材層との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板と第3ろう材層とが剥離することはない。
【0069】
さらに、本発明の請求項5に記載のセラミック回路基板の製造方法によれば、セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介して第1及び第2アルミニウム合金板をそれぞれ積層接着し、銅合金板の全面にシリカコーティング層を形成した後に銅合金板の全面をアルミニウム合金被覆体で被覆し、アルミニウム合金被覆体を第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材層を介して600〜630℃の温度で積層接着するように構成したので、回路基板全体が600〜630℃という高温雰囲気に曝されても、銅合金板とアルミニウム合金被覆体との間にシリカコーティング層が介装されているので、銅合金板とアルミニウム合金被覆体との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅板とアルミニウム合金被覆体とが剥離することはない。
【0070】
さらに、本発明の請求項6に記載のセラミック回路基板の製造方法によれば、セラミック基板の両面にAl系の第1及び第2ろう材層を介して第1及び第2アルミニウム合金板をそれぞれ積層接着し、銅合金板の少なくとも一方の面にシリカコーティング層を形成し、シリカコーティング層を第1又は第2アルミニウム合金板にAl系の第4ろう材層を介して600〜630℃の温度で積層接着するように構成したので、回路基板全体が600〜630℃という高温の雰囲気に曝されても、銅合金板と第4ろう材層との間にシリカコーティング層が介装されているので、銅合金板と第4ろう材層との界面が反応して金属間化合物が生成されることはない。従って、銅合金板と第4ろう材層とが剥離することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施形態のヒートシンク付セラミック回路基板の概略断面図である。
【図2】本発明による第2の実施形態のヒートシンク付セラミック回路基板の概略断面図である。
【図3】本発明による第3の実施形態のヒートシンク付セラミック回路基板の概略断面図である。
【符号の説明】
40、60、70 セラミック回路基板
11 第1ろう材層
12 第2ろう材層
13 セラミック基板
16 銅合金板
21 第1アルミニウム合金板
22 第2アルミニウム合金板
43 第3ろう材層
44 第4ろう材層
45、65、75 ヒートシンク
46、66 シリカコーティング層
54 第3アルミニウム合金板
67 アルミニウム合金被覆体
Claims (6)
- セラミック基板(13)と、前記セラミック基板(13)の両面にAl系の第1及び第2ろう材層(11、12)を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム合金板(21、22)と、前記第1又は第2アルミニウム合金板(21、22)に積層接着されたヒートシンク(45)とを備えたヒートシンク付セラミック回路基板において、前記ヒートシンク(45)が、銅合金板(16)と、この銅合金板(16)の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層(46)と、前記シリカコーティング層(46)にAl系の第3ろう材層(43)を介して積層接着された第3アルミニウム合金板(54)とにより構成され、前記第3アルミニウム合金板(54)が前記第1又は第2アルミニウム合金板(21、22)にAl系の第4ろう材層(44)を介して積層接着されたことを特徴とするヒートシンク付セラミック回路基板。
- セラミック基板(13)と、前記セラミック基板(13)の両面にAl系の第1及び第2ろう材層(11、12)を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム合金板(21、22)と、前記第1又は第2アルミニウム合金板(21、22)に積層接着されたヒートシンク(65)とを備えたヒートシンク付セラミック回路基板において、前記ヒートシンク(65)が、銅合金板(16)と、この銅合金板(16)の全面に形成されたシリカコーティング層(66)と、前記銅合金板(16)の全面をシリカコーティング層(66)を介して覆うアルミニウム合金被覆体(67)とにより構成され、前記アルミニウム合金被覆体(67)が前記第1又は第2アルミニウム合金板(21、22)にAl系の第4ろう材層(44)を介して積層接着されたことを特徴とするヒートシンク付セラミック回路基板。
- セラミック基板(13)と、前記セラミック基板(13)の両面にAl系の第1及び第2ろう材層(11、12)を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム合金板(21、22)と、前記第1又は第2アルミニウム合金板(21、22)に積層接着されたヒートシンク(75)とを備えたヒートシンク付セラミック回路基板において、前記ヒートシンク(75)が、銅合金板(16)と、この銅合金板(16)の少なくとも一方の面に形成されたシリカコーティング層(46)とにより構成され、前記シリカコーティング層(46)が前記第1又は第2アルミニウム合金板(21、22)にAl系の第4ろう材層(44)を介して積層接着されたことを特徴とするヒートシンク付セラミック回路基板。
- セラミック基板(13)の両面にAl系の第1及び第2ろう材層(11、12)を介して第1及び第2アルミニウム合金板(21、22)をそれぞれ積層接着する工程と、銅合金板(16)の少なくとも一方の面にシリカコーティング層(46)を形成する工程と、前記シリカコーティング層(46)を前記第1又は第2アルミニウム合金板(21、22)にAl系の第3ろう材層(43)、第3アルミニウム合金板(54)及びAl系の第4ろう材層(44)を介して600〜630℃の温度で積層接着する工程とを含むことを特徴とするヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法。
- セラミック基板(13)の両面にAl系の第1及び第2ろう材層(11、12)を介して第1及び第2アルミニウム合金板(21、22)をそれぞれ積層接着する工程と、銅合金板(16)の全面にシリカコーティング層(66)を形成した後に前記銅合金板(16)の全面をアルミニウム合金被覆体(67)で被覆する工程と、前記アルミニウム合金被覆体(67)を前記第1又は第2アルミニウム合金板(21、22)にAl系の第4ろう材層(44)を介して600〜630℃の温度で積層接着する工程とを含むことを特徴とするヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法。
- セラミック基板(13)の両面にAl系の第1及び第2ろう材層(11、12)を介して第1及び第2アルミニウム合金板(21、22)をそれぞれ積層接着する工程と、銅合金板(16)の少なくとも一方の面にシリカコーティング層(46)を形成する工程と、前記シリカコーティング層(46)を前記第1又は第2アルミニウム合金板(21、22)にAl系の第4ろう材層(44)を介して600〜630℃の温度で積層接着する工程とを含むことを特徴とするヒートシンク付セラミック回路基板の製造方法。
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- 2002-10-30 JP JP2002315925A patent/JP2004152972A/ja not_active Withdrawn
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