JP4682889B2 - パワーモジュール用基板およびパワーモジュール並びにパワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、このようにエッチング処理により導体パターンを形成すると、この導体パターンを構成する導体は、その表面(発熱体側)から裏面(セラミックス板側)に向かうに従い漸次幅が広くなるため、近年のパワーモジュールに対するさらなるコンパクト化、すなわち導体パターンを構成する導体の幅を狭くして、隣合う導体同士の間隔を狭くすることについての要求に応えることが困難であるという問題があった。
そこで、本発明者等は、母材から打ち抜いた導体パターン部材、若しくは鋳造により形成した導体パターン部材を、セラミックス板にろう付けすることによって、側面がセラミックス板の表面から略垂直に立上がった導体パターンを形成することについて検討している。
そして、このろう材は、前記のようにAl−Si系とされてSiを含有しているので、純Al若しくはAl合金により形成された導体パターンよりも硬いうえに、パワーモジュールを使用する過程における熱サイクルによりさらに加工硬化させられることによって、導体パターンに対してその表面および側面から大きな外力が作用して、導体パターンとセラミックス板との接合界面に大きな応力が作用し、導体パターンがセラミックス板の表面から剥離し易くなり、パワーモジュールの熱サイクル寿命を低下させるおそれがある。
また、導体パターンの表面においてろう材が乗り上げた部分に、ワイヤボンディングが施されると、ろう材は前記のように導体パターンと比べて硬いので、この部分とワイヤボンディングとの接合部における熱サイクル寿命を低下させるおそれがある。
さらに、導体パターンの表面に前記のように乗り上げたろう材は、視認することができ、外観品質を低減させるおそれもある。
ここで、前記導体パターン部材の側面は、セラミックス板の表面に配置したときに、この表面に対して略垂直に延在することになり、エッチング処理して形成した導体パターンの側面と比べてその前記延在する方向の長さが短いので、ろう材の前記乗り上げが生じ易くなっている。
すなわち、導体パターンの表面へのろう材の乗り上げ量が低減されているので、このパワーモジュール用基板を有するパワーモジュールに熱サイクルが作用したことにより、前記乗り上げたろう材が加工硬化したとしても、このろう材がセラミックス板と導体パターンとの接合界面に作用させる負荷を抑えることが可能になり、導体パターンがセラミックス板から剥離し易くなるのを抑制し、パワーモジュールの熱サイクル寿命が低下するのを防ぐことができる。
また、導体パターンの表面においてワイヤボンディングが接合される部分は、一般にその外周縁から内側に1mm以上離れた部分なので、この部分におけるSiの含有量が3wt%以下であると、ワイヤボンディングと導体パターンとの接合部に、十分な熱サイクル数に耐え得る強度を具備させることができる。
さらにまた、導体パターンの表面において、少なくともその外周縁から内側に1mm以上離れた部分におけるSiの含有量が3wt%以下とされていると、導体パターンの表面の平面視において、ろう材の乗り上げがしみとして視認され難くなり、外観品質の向上を図ることができる。
なお、前記収納部は、溝加工部若しくは粗面加工部とされてもよい。また、この溝加工部若しくは粗面加工部は、幅を50μm〜100μmとし、その内周縁と導体パターンの外周縁との距離を約150μmとして形成してもよい。
このパワーモジュール10は、セラミックス板11の表面に、純Al若しくはAl合金により形成された導体パターン12がAl−Si系のろう材13により接合されたパワーモジュール用基板14と、導体パターン12の表面に第1はんだ層17を介してはんだ接合された半導体チップ15と、セラミックス板11の裏面側に接合された冷却器16とを備えている。
なお、導体パターン12の表面のSiは、セラミックス板11の表面に導体パターン12と同形同大の導体パターン部材をろう付けしたときに、Al−Si系のろう材13が、導体パターン12の側面12aを伝って乗り上げたものであって、導体パターン12の表面におけるこのSiの含有量は、その外周縁から内側に向かうに従い漸次少なくなっている。
まず、純Al若しくはAl合金からなる母材を打ち抜いて導体パターン12と同形同大の導体パターン部材を形成する。この際に得られた切断面が側面12aとなる。なお、前記母材を打ち抜く際、予めAl−Si系のろう材箔をこの母材の裏面に配置しておき、この母材における導体パターン部材の形成予定部をその裏面側から押圧し、この導体パターン部材の形成予定部の外周縁にせん断力を作用させてその厚さ方向途中まで切断するとともに、この導体パターン部材の形成予定部の外周縁に位置する前記ろう材箔を切断した後に、この導体パターン部材の形成予定部をその表面側から押圧して押し戻し、その後、この母材の裏面とセラミックス板11の表面とをテンプレートを挟んで対向させた状態で、導体パターン部材の形成予定部の表面をセラミックス板11の表面に向けて押圧して母材から分離し導体パターン部材を形成するとともに、この導体パターン部材をその裏面側からテンプレートのガイド孔に挿入することにより、セラミックス板11の表面にろう材箔と導体パターン部材とをこの順に配置する。
まず、材質については、導体パターン12および金属板18を純度99.98%の純Al、ろう材13をAl−Si系(Alが93wt%、Siが7wt%)、セラミックス板11をAlNによりそれぞれ形成した。厚さについては、導体パターン12および金属板18を約0.4mm、ろう材箔を約13μm、セラミックス板11を約0.635mmとした。なお、ろう材箔は平面視四角形とされ、縦および横の寸法はそれぞれ、約28mmおよび約70mmとした。また、導体パターン部材および金属板18と、ろう材箔とは、揮発性有機媒体(オクタンジオール)により仮固定した。
そして、前記積層体を600℃〜650℃の真空中に置いた状態で、約1時間、積層方向に0.23MPa〜0.35MPaで加圧して、パワーモジュール用基板14を形成した。
さらにまた、導体パターンの表面においてその外周縁から内側に1mm以上離れた部分におけるSiの含有量が3wt%以下とされていると、導体パターン12の表面の平面視において、ろう材の乗り上げがしみとして視認され難くなり、外観品質の向上を図ることができる。すなわち、前記Siの含有量が3wt%より多いということは、それだけ導体パターン12の表面へのろう材の乗り上げ量が多いことになるので、このろう材が視認され易くなる。
さらに、この測定の前に予め、導体パターンの表面を目視して外観検査した。
例えば、前記実施形態では、導体パターン部材を母材から打ち抜いて形成したが、これに代えて、鋳造により形成してもよい。
また、前記ろう付けの前に予め、セラミックス板11の表面に溝加工部11aを形成するのに代えて、この溝加工部11aの形成位置と同様の位置に、例えばサンドブラスト加工等を施して粗面加工部を形成してもよい。
11 セラミックス板
11a 溝加工部(収納部)
12 導体パターン
12a 導体パターンの側面
13 ろう材
14 パワーモジュール用基板
15 半導体チップ
16 冷却器
21 凸部
Claims (4)
- セラミックス板の表面に、純Al若しくはAl合金により形成された導体パターンが、Al−Si系のろう材により接合され、この導体パターンの表面に半導体チップが設けられるパワーモジュール用基板であって、
前記セラミックス板の表面から立上がるこの導体パターンの側面は、前記セラミックス板の表面に対して略垂直に延在し、前記半導体チップが設けられる導体パターンの表面において、少なくともその外周縁から内側に1mm以上離れた部分は、Siの含有量が3wt%以下とされ、
前記セラミックス板の表面において、接合される導体パターン部材の外周縁よりも外側に、溶融したろう材のうちセラミックス板と導体パターン部材との間から溢れ出た余剰分を収納する収納部が形成されていることを特徴とするパワーモジュール用基板。 - セラミックス板の表面に、純Al若しくはAl合金により形成された導体パターンがAl−Si系のろう材により接合されたパワーモジュール用基板と、導体パターンの表面に接合された半導体チップと、セラミックス板の裏面側に接合された冷却器とを備えたパワーモジュールであって、
前記パワーモジュール用基板が、請求項1記載のパワーモジュール用基板であることを特徴とするパワーモジュール。 - セラミックス板の表面に、純Al若しくはAl合金により形成された導体パターンが、Al−Si系のろう材により接合され、この導体パターンの表面に半導体チップが設けられ、前記セラミックス板の表面から立上がる前記導体パターンの側面が前記セラミックス板の表面に対して略垂直に延在し、前記半導体チップが設けられる導体パターンの表面において、少なくともその外周縁から内側に1mm以上離れた部分は、Siの含有量が3wt%以下とされるパワーモジュール用基板の製造方法であって、
前記導体パターンは、純Al若しくはAl合金により形成された母材から打ち抜いた導体パターン部材、または鋳造により形成した導体パターン部材を、セラミックス板にろう付けすることにより形成され、
このろう付けの前に予め、セラミックス板の表面において、接合される導体パターン部材の外周縁よりも外側に、溶融したろう材のうちセラミックス板と導体パターン部材との間から溢れ出た余剰分を収納する収納部を形成しておき、その後、セラミックス板の表面において収納部に囲まれた部分よりも内側にろう材箔を介して導体パターン部材を配置し、これらを積層方向に押圧した状態で加熱してろう材箔を溶融し、セラミックス板の表面に導体パターン部材をろう付けしてパワーモジュール用基板を形成することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。 - 請求項3記載のパワーモジュール用基板の製造方法において、
前記収納部は、溝加工部若しくは粗面加工部とされていることを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。
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