JP5640570B2 - パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents
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Description
また、この金属板は回路層として形成され、その金属板の上には、はんだ材を介してパワー素子(半導体素子)が搭載される。
なお、セラミックス基板の下面にも放熱のためにAl等の金属板が接合されて金属層とされ、この金属層を介して放熱板上にパワーモジュール用基板全体が接合されたものが提案されている。
よって、比較的低温、短時間の接合条件で接合しても、セラミックス基板と金属板とを強固に接合することが可能となる。
さらに、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に介在されるCu及び前記添加元素の固着量を10mg/cm2以下としているので、固着層にクラックが発生することを防止することができ、セラミックス基板と金属板との界面に溶融金属領域を確実に形成することができる。さらに、Cu及び前記添加元素が過剰に金属板側に拡散して界面近傍の金属板の強度が過剰に高くなることを防止できる。よって、パワーモジュール用基板に冷熱サイクルが負荷された際に、熱応力を金属板で吸収することができ、セラミックス基板の割れ等を防止できる。
この場合、Cu及び前記添加元素とともにAlを固着させているので、形成される固着層がAlを含有することになり、加熱工程において、この固着層が優先的に溶融して溶融金属領域を確実に形成することが可能となり、セラミックス基板と金属板とを強固に接合することができる。また、Mg,Ca,Liなどの酸化活性元素の酸化を防止することができる。なお、Cu及び前記添加元素とともにAlを固着させるには、Cu及び前記添加元素とAlとを同時に蒸着してもよいし、Cu及び前記添加元素とAlの合金をターゲットとしてスパッタリングしてもよい。さらに、Cu及び添加元素とAlとを積層してもよい。
この場合、めっき、蒸着、CVD、スパッタリング、コールドスプレー、又は、粉末が分散しているペースト及びインクなどの塗布によって、Cu及び前記添加元素が前記セラミックス基板の接合面及び前記金属板の接合面のうち少なくとも一方に確実に固着されるので、セラミックス基板と金属板との接合界面にCu及び前記添加元素を確実に介在させることが可能となる。また、Cu及び前記添加元素の固着量を精度良く調整することができ、溶融金属領域を確実に形成して、セラミックス基板と金属板とを強固に接合することが可能となる。
このパワーモジュール1は、回路層12が配設されたパワーモジュール用基板10と、回路層12の表面にはんだ層2を介して接合された半導体チップ3と、ヒートシンク4とを備えている。ここで、はんだ層2は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。なお、本実施形態では、回路層12とはんだ層2との間にNiメッキ層(図示なし)が設けられている。
セラミックス基板11は、回路層12と金属層13との間の電気的接続を防止するものであって、絶縁性の高いAlN(窒化アルミ)で構成されている。また、セラミックス基板11の厚さは、0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。なお、本実施形態では、図1に示すように、セラミック基板11の幅(図1における左右方向長さ)は、回路層12及び金属層13の幅より広く設定されている。
また、本実施形態においては、ヒートシンク4の天板部5と金属層13との間には、アルミニウム又はアルミニウム合金若しくはアルミニウムを含む複合材(例えばAlSiC等)からなる緩衝層15が設けられている。
なお、回路層12及び金属層13の接合界面30近傍のCu及び前記添加元素の濃度は、EPMA分析(スポット径30μm)によって、接合界面30から50μmの位置で5点測定した平均値である。また、図2のグラフは、回路層12(金属板22)及び金属層13(金属板23)の中央部分において積層方向にライン分析を行い、前述の50μm位置での濃度を基準として求めたものである。
なお、Cu析出部35のCu濃度は、EPMA分析(スポット径30μm)で5点測定した平均値である。
なお、ここで観察する接合界面30は、図3に示すように、回路層12(金属板22)及び金属層13(金属板23)の格子像の界面側端部とセラミックス基板11の格子像の接合界面側端部との間の中央を基準面Sとする。
まず、図5及び図6に示すように、金属板22、23のそれぞれの接合面に、スパッタリングによって、Cuと、Zn,Ge,Ag,Mg,Ca,Ga及びLiから選択される1種又は2種以上の添加元素と、を固着し、固着層24、25を形成する。
ここで、本実施形態では、Geを添加元素として用いており、固着層24、25におけるCu量は0.08mg/cm2以上2.7mg/cm2以下、Ge量は0.002mg/cm2以上2.5mg/cm2以下に設定されている。
次に、図5に示すように、金属板22をセラミックス基板11の一方の面側に積層し、かつ、金属板23をセラミックス基板11の他方の面側に積層する。このとき、図5及び図6に示すように、金属板22、23のうち固着層24、25が形成された面がセラミックス基板11を向くように積層する。すなわち、金属板22、23とセラミックス基板11との間にそれぞれ固着層24、25(Cu及び前記添加元素)を介在させているのである。このようにして積層体20を形成する。
次に、積層工程S2において形成された積層体20を、その積層方向に加圧(圧力1〜35kgf/cm2)した状態で真空加熱炉内に装入して加熱し、図6に示すように、金属板22、23とセラミックス基板11との界面にそれぞれ溶融金属領域26、27を形成する。この溶融金属領域26、27は、図6に示すように、固着層24、25のCu及び前記添加元素が金属板22、23側に拡散することによって、金属板22、23の固着層24、25近傍のCu濃度及び前記添加元素の濃度(本実施形態では、Ge濃度)が上昇して融点が低くなることにより形成されるものである。なお、上述の圧力が1kgf/cm2未満の場合には、セラミックス基板11と金属板22、23との接合を良好に行うことができなくなるおそれがある。また、上述の圧力が35kgf/cm2を超えた場合には、金属板22,23が変形するおそれがある。よって、上述の加圧圧力は、1〜35kgf/cm2の範囲内とすることが好ましい。
ここで、本実施形態では、真空加熱炉内の圧力は10−6〜10−3Paの範囲内に、加熱温度は550℃以上650℃以下の範囲内に設定している。
次に、溶融金属領域26、27が形成された状態で温度を一定に保持しておく。すると、溶融金属領域26、27中のCu及び添加元素(本実施形態では、Ge)が、さらに金属板22、23側へと拡散していくことになる。これにより、溶融金属領域26、27であった部分のCu濃度及び前記添加元素の濃度(本実施形態では、Ge濃度)が徐々に低下していき融点が上昇することになり、温度を一定に保持した状態で凝固が進行していくことになる。つまり、セラミックス基板11と金属板22、23とは、いわゆる拡散接合(Transient Liquid Phase Diffusion Bonding)によって接合されているのである。このようにして凝固が進行した後に、常温にまで冷却を行う。
また、加熱工程S3においてCu及び前記添加元素が十分に金属板22、23側に拡散しており、金属板22、23とセラミックス基板11とが強固に接合されていることになる。
しかも、金属板22、23の接合面に固着層24、25を形成しているので、金属板22、23とセラミックス基板11との界面に介在する酸化被膜は、金属板22、23の表面にのみ存在することになるため、初期接合の歩留りを向上させることができる。
例えば、回路層及び金属層を構成する金属板を純度99.99%の純アルミニウムの圧延板としたものとして説明したが、これに限定されることはなく、純度99%のアルミニウム(2Nアルミニウム)であってもよい。
さらに、固着工程において、スパッタによってCu及び前記添加元素を固着するものとして説明したが、これに限定されることはなく、めっき、蒸着、CVD、コールドスプレー、又は、粉末が分散しているペースト及びインクなどの塗布によって、Cu及び前記添加元素を固着させてもよい。
また、セラミックス基板と金属板との接合を、真空加熱炉を用いて行うものとして説明したが、これに限定されることはなく、N2雰囲気、Ar雰囲気及びHe雰囲気等でセラミックス基板と金属板との接合を行ってもよい。
さらに、ヒートシンクをアルミニウムで構成したものとして説明したが、アルミニウム合金、又はアルミニウムを含む複合材等で構成されていてもよい。さらに、ヒートシンクとして冷却媒体の流路を有するもので説明したが、ヒートシンクの構造に特に限定はなく、種々の構成のヒートシンクを用いることができる。
厚さ0.635mmのAlNからなるセラミックス基板に、厚さ0.6mmの4Nアルミニウムからなる回路層と、厚さ0.6mmの4Nアルミニウムからなる金属層とを接合し、パワーモジュール用基板を作製した。
ここで、回路層及び金属層となるアルミニウム板(4Nアルミニウム)の接合面に、Cu及び添加元素を固着して固着層を形成し、金属板とセラミックス基板とを積層して加圧加熱し、金属板とセラミックス基板とを接合した。
なお、接合率は、以下の式で算出した。ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積のこととした。
接合率 = (初期接合面積−剥離面積)/初期接合面積
また、固着層のCu量が0.01mg/cm2(厚さ換算0.011μm)、及び添加元素(Li)の固着量が0.09mg/cm2(厚さ換算1.68μm)とされ、固着量の合計が0.1mg/cm2とされた本発明例64や固着層のCu量が2.4mg/cm2(厚さ換算2.69μm)、及び添加元素(Ge)の固着量が2.1mg/cm2(厚さ換算3.95μm)、添加元素(Ag)の固着量が5.1mg/cm2(厚さ換算4.86μm)とされ、固着量の合計が9.6mg/cm2とされた本発明例65においても、冷熱サイクル(−45℃−125℃)を2000回繰り返した後の接合率が70%を超えていた。
この結果から、本発明例によれば、Cu及び各種添加元素の拡散によって、金属板とセラミックス基板との界面に溶融金属領域を確実に形成することが可能となり、金属板とセラミックス基板とを強固に接合できたと判断される。
3 半導体チップ(電子部品)
10 パワーモジュール用基板
11、111 セラミックス基板
12、112 回路層
13、113 金属層
22、23、122、123 金属板
24、25 固着層
26、27、126、127 溶融金属領域
30、130 接合界面
124A、125A Cu層
124B、125B 添加元素層
Claims (3)
- セラミックス基板の表面に、アルミニウムからなる金属板が積層されて接合されたパワーモジュール用基板の製造方法であって、
前記セラミックス基板の接合面及び前記金属板の接合面のうち少なくとも一方に、Cuに加えて、Zn,Ge,Ag,Mg,Ca,Ga及びLiから選択される1種又は2種以上の添加元素を固着し、Cu及び前記添加元素を含有する固着層を形成する固着工程と、
前記固着層を介して前記セラミックス基板と前記金属板と積層する積層工程と、
積層された前記セラミックス基板と前記金属板を積層方向に加圧するとともに加熱し、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に溶融金属領域を形成する加熱工程と、
この溶融金属領域を凝固させることによって、前記セラミックス基板と前記金属板とを接合する凝固工程と、を有し、
前記固着工程において、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に、Cu及び前記添加元素を、0.1mg/cm2以上10mg/cm2以下の範囲内で介在させ、
前記加熱工程において、前記固着層の元素を前記金属板側に拡散させることにより、前記セラミックス基板と前記金属板との界面に、前記溶融金属領域を形成し、
前記凝固工程において、前記溶融金属領域が形成された状態で温度を一定に保持し、前記溶融金属領域中のCu及び前記添加元素をさらに前記金属板側に拡散させることにより、温度を一定に保持した状態で前記溶融金属領域の凝固を進行させることを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。 - 前記固着工程では、Cu及び前記添加元素とともに、Alを固着させることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
- 前記固着工程は、めっき、蒸着、CVD、スパッタリング、コールドスプレー、又は、粉末が分散しているペースト及びインクなどの塗布によって、前記セラミックス基板の接合面及び前記金属板の接合面のうち少なくとも一方に、Cuと、Zn,Ge,Ag,Mg,Ca,Ga及びLiから選択される1種又は2種以上の添加元素と、を固着させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
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