JP5404873B1 - 原稿搬送装置、ジャム判定方法及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】原稿の搬送速度によらず、ジャム音によりジャムの発生の有無を精度良く判定することが可能な原稿搬送装置を提供する。
【解決手段】原稿搬送装置100は、原稿が搬送中に発生する音に応じた音信号を出力する音信号出力部141と、原稿の搬送速度情報を取得する搬送速度情報取得部157と、音信号を補正した補正信号を生成する補正信号生成部156と、補正信号に基づいて、ジャムが発生したか否かを判定する音ジャム判定部153と、を有し、補正信号生成部は、搬送速度情報に応じて前記補正の方法を設定する。
【選択図】図3
【解決手段】原稿搬送装置100は、原稿が搬送中に発生する音に応じた音信号を出力する音信号出力部141と、原稿の搬送速度情報を取得する搬送速度情報取得部157と、音信号を補正した補正信号を生成する補正信号生成部156と、補正信号に基づいて、ジャムが発生したか否かを判定する音ジャム判定部153と、を有し、補正信号生成部は、搬送速度情報に応じて前記補正の方法を設定する。
【選択図】図3
Description
本発明は、原稿搬送装置、ジャム判定方法及びコンピュータプログラムに関し、特に、原稿が搬送中に発生する音に基づいてジャムが発生したか否かを判定する原稿搬送装置、ジャム判定方法及びコンピュータプログラムに関する。
画像読取装置、画像複写装置等の原稿搬送装置では、原稿が搬送路を移動する際にジャム(紙詰まり)が発生する場合がある。一般に、原稿搬送装置は、原稿の搬送を開始してから所定時間内に搬送路内の所定位置まで原稿が搬送されたか否かによりジャムが発生したか否かを判定し、ジャムが発生したときには装置の動作を停止する機能を備える。
一方、ジャムが発生すると搬送路で大きな音が発生するため、原稿搬送装置は、搬送路で発生する音に基づいてジャムが発生したか否かを判定することにより、所定時間の経過を待たずにジャムの発生を検知できる可能性がある。
搬送路で発生する音を電気信号に変換し、基準レベルを超えている時間が基準値を超えた場合にジャムが発生したと判定する複写機のジャム検出装置が開示されている(特許文献1を参照)。
搬送路で発生する音は原稿の搬送速度によって異なるので、原稿の搬送速度によって最適なジャムの判定方法は異なる。
本発明の目的は、原稿の搬送速度によらず、ジャム音によりジャムの発生の有無を精度良く判定することが可能な原稿搬送装置、ジャム判定方法及びそのようなジャム判定方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを提供することにある。
本発明の一側面に係る原稿搬送装置は、原稿が搬送中に発生する音に応じた音信号を出力する音信号出力部と、原稿の搬送速度情報を取得する搬送速度情報取得部と、音信号を補正した補正信号を生成する補正信号生成部と、補正信号に基づいて、ジャムが発生したか否かを判定する音ジャム判定部と、を有し、補正信号生成部は、搬送速度情報に応じて補正の方法を設定する。
また、本発明の一側面に係るジャム判定方法は、原稿が搬送中に発生する音に応じた音信号を出力する音信号出力部から音信号を取得する音信号取得ステップと、原稿の搬送速度情報を取得する搬送速度情報取得ステップと、音信号を補正した補正信号を生成する補正信号生成ステップと、補正信号に基づいて、ジャムが発生したか否かを判定する音ジャム判定ステップと、を含み、補正信号生成ステップにおいて、搬送速度情報に応じて補正の方法を設定する。
また、本発明の一側面に係るコンピュータプログラムは、原稿が搬送中に発生する音に応じた音信号を出力する音信号出力部から音信号を取得する音信号取得ステップと、
原稿の搬送速度情報を取得する搬送速度情報取得ステップと、音信号を補正した補正信号を生成する補正信号生成ステップと、補正信号に基づいて、ジャムが発生したか否かを判定する音ジャム判定ステップと、をコンピュータに実行させ、補正信号生成ステップにおいて、搬送速度情報に応じて補正の方法を設定する。
原稿の搬送速度情報を取得する搬送速度情報取得ステップと、音信号を補正した補正信号を生成する補正信号生成ステップと、補正信号に基づいて、ジャムが発生したか否かを判定する音ジャム判定ステップと、をコンピュータに実行させ、補正信号生成ステップにおいて、搬送速度情報に応じて補正の方法を設定する。
本発明によれば、原稿の搬送速度情報に応じて音信号を補正し、補正した信号に基づいてジャムが発生したか否かを判定するので、原稿の搬送速度によらず、ジャム音によりジャムの発生の有無を精度良く判定することが可能となった。
以下、本発明の一側面に係る原稿搬送装置、ジャム判定方法及びコンピュータプログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1は、イメージスキャナとして構成された原稿搬送装置100及び情報処理装置10を示す斜視図である。
原稿搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、原稿台103、排出台105及び操作ボタン106等を備え、情報処理装置10(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と接続される。
下側筐体101及び上側筐体102は、樹脂材料で形成される。上側筐体102は、原稿搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、原稿つまり時、原稿搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
原稿台103は、原稿を載置可能に下側筐体101に係合している。原稿台103には、原稿の搬送方向と直行する方向、すなわち原稿の搬送方向に対して左右方向に移動可能なサイドガイド104a及び104bが設けられている。サイドガイド104a及び104bを原稿の幅に合わせて位置決めすることにより原稿の幅方向を規制することができる。
排出台105は、矢印A1で示す方向に回転可能なように、ヒンジにより下側筐体101に係合しており、図1のように開いている状態では、排出された原稿を保持することが可能となる。
操作ボタン106は、上側筐体102の表面に配置され、押下されると、操作検出信号を生成して出力する。
図2は、原稿搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
原稿搬送装置100内部の搬送経路は、第1原稿検出部110、給紙ローラ111、リタードローラ112、マイクロフォン113、第2原稿検出部114、超音波送信器115a、超音波受信器115b、第1搬送ローラ116、第1従動ローラ117、第3原稿検出部118、第1撮像部119a、第2撮像部119b、第2搬送ローラ120及び第2従動ローラ121等を有している。
下側筐体101の上面は原稿の搬送路の下側ガイド107aを形成し、上側筐体102の下面は原稿の搬送路の上側ガイド107bを形成する。図2において矢印A2は原稿の搬送方向を示す。以下では、上流とは原稿の搬送方向A2の上流のことをいい、下流とは原稿の搬送方向A2の下流のことをいう。
第1原稿検出部110は、給紙ローラ111及びリタードローラ112の上流側に配置される接触検出センサを有し、原稿台103に原稿が載置されているか否かを検出する。第1原稿検出部110は、原稿台103に原稿が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1原稿検出信号を生成して出力する。
マイクロフォン113は、用紙搬送路の近傍に設けられ、原稿が搬送中に発生する音を集音し、集音した音に応じたアナログの信号を出力する。マイクロフォン113は、給紙ローラ111及びリタードローラ112の下流側に、上側筐体102内部のフレーム108に固定されて配置される。原稿が搬送中に発生する音をより的確にマイクロフォン113が集音できるように、上側ガイド107bのマイクロフォン113に対向する位置には穴109が設けられている。
第2原稿検出部114は、給紙ローラ111及びリタードローラ112の下流側、かつ第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の上流側に配置される接触検出センサを有し、その位置に原稿が存在するか否かを検出する。第2原稿検出部114は、その位置に原稿が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2原稿検出信号を生成して出力する。
超音波送信器115a及び超音波受信器115bは、超音波信号出力部の例であり、原稿の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向するように配置される。超音波送信器115aは超音波を送信する。一方、超音波受信器115bは、超音波送信器115aにより送信され、原稿を通過した超音波を検出し、検出した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。以下では、超音波送信器115a及び超音波受信器115bを総じて超音波センサ115と称する場合がある。
第3原稿検出部118は、第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の下流側、かつ第1撮像部119a及び第2撮像部119bの上流側に配置される接触検出センサを有し、その位置に原稿が存在するか否かを検出する。第3原稿検出部118は、その位置に原稿が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第3原稿検出信号を生成して出力する。
第1撮像部119aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)を有する。このCISは、原稿の裏面を読み取ってアナログの画像信号を生成して出力する。同様に、第2撮像部119bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISを有する。このCISは、原稿の表面を読み取ってアナログの画像信号を生成して出力する。なお、第1撮像部119a及び第2撮像部119bを一方だけ配置し、原稿の片面だけを読み取るようにしてもよい。また、CISの代わりにCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを利用することもできる。以下では、第1撮像部119a及び第2撮像部119bを総じて撮像部119と称する場合がある。
原稿台103に載置された原稿は、給紙ローラ111が図2の矢印A3の方向に回転することによって、下側ガイド107aと上側ガイド107bの間を原稿搬送方向A2に向かって搬送される。リタードローラ112は、原稿搬送時、図2の矢印A4の方向に回転する。給紙ローラ111及びリタードローラ112の働きにより、原稿台103に複数の原稿が載置されている場合、原稿台103に載置されている原稿のうち給紙ローラ111と接触している原稿のみが分離されて、分離された原稿以外の原稿の搬送が制限される(重送の防止)ように動作する。給紙ローラ111及びリタードローラ112は、原稿の分離部として機能する。
原稿は、下側ガイド107aと上側ガイド107bによりガイドされながら、第1搬送ローラ116と第1従動ローラ117の間に送り込まれる。原稿は、第1搬送ローラ116が図2の矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像部119aと第2撮像部119bの間に送り込まれる。撮像部119により読み取られた原稿は、第2搬送ローラ120が図2の矢印A6の方向に回転することによって排出台105上に排出される。
図3は、原稿搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
原稿搬送装置100は、前述した構成に加えて、第1画像A/D変換部140a、第2画像A/D変換部140b、音信号出力部141、駆動部145、インターフェース部146、記憶部147及び中央処理部150等をさらに有する。
第1画像A/D変換部140aは、第1撮像部119aから出力されたアナログの画像信号をアナログデジタル変換してデジタルの画像データを生成し、中央処理部150に出力する。同様に、第2画像A/D変換部140bは、第2撮像部119bから出力されたアナログの画像信号をアナログデジタル変換してデジタルの画像データを生成し、中央処理部150に出力する。以下、これらのデジタルの画像データを読取画像と称する。
音信号出力部141は、マイクロフォン113、フィルタ部142、増幅部143及び音A/D変換部144等を含んでいる。フィルタ部142は、マイクロフォン113から出力されたアナログの信号に対して、予め定められた周波数帯域の信号を通過させるバンドパスフィルタを適用し、増幅部143に出力する。増幅部143は、フィルタ部142から出力された音信号を増幅させて音A/D変換部144に出力する。音A/D変換部144は、増幅部143から出力されたアナログ信号を所定のサンプリングレートでサンプリングしてデジタル信号に変換し、中央処理部150に出力する。以下、音信号出力部141が出力する信号を音信号と称する。
なお、音信号出力部141は、これに限定されない。音信号出力部141は、マイクロフォン113のみを含み、フィルタ部142、増幅部143及び音A/D変換部144は、音信号出力部141の外部に備えられてもよい。また、音信号出力部141は、マイクロフォン113及びフィルタ部142のみ、あるいはマイクロフォン113、フィルタ部142及び増幅部143のみを含んでもよい。
駆動部145は、1つ又は複数のモータを含み、中央処理部150からの制御信号によって、給紙ローラ111、リタードローラ112、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ120を回転させて原稿の搬送動作を行う。
インターフェース部146は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインターフェース回路を有し、情報処理装置10と電気的に接続して読取画像及び各種の情報を送受信する。また、インターフェース部146にフラッシュメモリ等を接続して読取画像を保存するようにしてもよい。
記憶部147は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶部147には、原稿搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROM(compact disk read only memory)、DVD−ROM(digital versatile disk read only memory)等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部147にインストールされてもよい。さらに、記憶部147には、読取画像と、原稿を読取るための解像度の情報を含むユーザ設定情報とが格納される。
中央処理部150は、CPU(Central Processing Unit)を備え、予め記憶部147に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、中央処理部150は、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等で構成されてもよい。
中央処理部150は、操作ボタン106、第1原稿検出部110、第2原稿検出部114、超音波センサ115、第3原稿検出部118、第1撮像部119a、第2撮像部119b、第1画像A/D変換部140a、第2画像A/D変換部140b、音信号出力部141、駆動部145、インターフェース部146及び記憶部147と接続され、これらの各部を制御する。
中央処理部150は、駆動部145の駆動制御、撮像部119の原稿読取制御等を行い、読取画像を取得する。また、中央処理部150は、制御部151、画像生成部152、音ジャム判定部153、位置ジャム判定部154、重送判定部155、補正信号生成部156及び搬送速度情報取得部157等を有する。これらの各部は、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
図4は、原稿搬送装置100の全体処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下、図4に示したフローチャートを参照しつつ、原稿搬送装置100の全体処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶部147に記憶されているプログラムに基づき主に中央処理部150により原稿搬送装置100の各要素と協働して実行される。
最初に、中央処理部150は、利用者により操作ボタン106が押下されて、操作ボタン106から操作検出信号を受信するまで待機する(ステップS101)。
次に、中央処理部150は、第1原稿検出部110から受信する第1原稿検出信号に基づいて原稿台103に原稿が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
原稿台103に原稿が載置されていない場合、中央処理部150は、ステップS101へ処理を戻し、操作ボタン106から新たに操作検出信号を受信するまで待機する。
一方、原稿台103に原稿が載置されている場合、中央処理部150は、駆動部145を駆動して給紙ローラ111、リタードローラ112、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ120を回転させて、原稿を搬送させる(ステップS103)。
次に、制御部151は、異常発生フラグがONであるか否かを判定する(ステップS104)。この異常発生フラグは、原稿搬送装置100の起動時にOFFに設定され、後述する異常判定処理で異常が発生したと判定されるとONに設定される。
異常発生フラグがONである場合、制御部151は、異常処理として、駆動部145を停止して、原稿の搬送を停止させるとともに、不図示のスピーカ、LED(Light Emitting Diode)等により、異常が発生したことを利用者に通知し、異常発生フラグをOFFに設定し(ステップS105)、一連のステップを終了する。
一方、異常判定フラグがONでない場合、画像生成部152は、搬送された原稿を第1撮像部119a及び第2撮像部119bに読み取らせ、第1画像A/D変換部140a及び第2画像A/D変換部140bを介して読取画像を取得する(ステップS106)。
次に、中央処理部150は、取得した読取画像をインターフェース部146を介して情報処理装置10へ送信する(ステップS107)。なお、情報処理装置10と接続されていない場合、中央処理部150は、取得した読取画像を記憶部147に記憶しておく。
次に、中央処理部150は、第1原稿検出部110から受信する第1原稿検出信号に基づいて原稿台103に原稿が残っているか否かを判定する(ステップS108)。
原稿台103に原稿が残っている場合、中央処理部150は、ステップS103へ処理を戻し、ステップS103〜S108の処理を繰り返す。一方、原稿台103に原稿が残っていない場合、中央処理部150は、一連の処理を終了する。
図5は、異常判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下に説明する動作のフローは、予め記憶部147に記憶されているプログラムに基づき主に中央処理部150により原稿搬送装置100の各要素と協働して実行される。
最初に、音ジャム判定部153は、音ジャム判定処理を実施する(ステップS201)。音ジャム判定部153は、音ジャム判定処理において、音信号出力部141から取得した音信号に基づいてジャムが発生したか否かを判定する。以下、音ジャム判定部153が音信号に基づいて発生の有無を判定するジャムのことを音ジャムと称する場合がある。音ジャム判定処理の詳細については後述する。
次に、位置ジャム判定部154は、位置ジャム判定処理を実施する(ステップS202)。位置ジャム判定部154は、位置ジャム判定処理において、第2原稿検出部114から取得した第2原稿検出信号と、第3原稿検出部118から取得した第3原稿検出信号とに基づいてジャムが発生したか否かを判定する。以下、位置ジャム判定部154が第2原稿検出信号及び第3原稿検出信号に基づいて発生の有無を判定するジャムのことを位置ジャムと称する場合がある。位置ジャム判定処理の詳細については後述する。
次に、重送判定部155は、重送判定処理を実施する(ステップS203)。重送判定部155は、重送判定処理において、超音波センサ115から取得した超音波信号に基づいて原稿の重送が発生したか否かを判定する。重送判定処理の詳細については後述する。
次に、制御部151は、原稿搬送処理に異常が発生したか否かを判定する(ステップS204)。制御部151は、音ジャム、位置ジャム及び原稿の重送のうちの少なくとも一つが発生した場合、異常が発生したと判定する。すなわち、音ジャム、位置ジャム及び原稿の重送の何れも発生していない場合にのみ、異常が発生していないと判定する。
制御部151は、原稿搬送処理に異常が発生した場合、異常発生フラグをONに設定し(ステップS205)、一連のステップを終了する。一方、原稿搬送処理に異常が発生していない場合、特に処理を行わず、一連のステップを終了する。なお、図5に示すフローチャートは、所定の時間間隔ごとに実行される。
図6は、音ジャム判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
図6に示す動作のフローは、図5に示すフローチャートのステップS201において実行される。
最初に、搬送速度情報取得部157は、記憶部147からユーザ設定情報のうち解像度情報を読出す(ステップS301)。なお、ユーザ設定情報は、情報処理装置10からインターフェース部146を介して設定される。
図7は、情報処理装置10が表示する、原稿を読取るための解像度の設定画面700の例を示す。
図7に示すように、設定画面700には、原稿を読取るための解像度を利用者が選択するための選択ボタンが表示される。解像度が利用者によって選択され、設定ボタンが押下されると、情報処理装置10は選択された解像度を示す解像度情報を原稿搬送装置100に送信する。原稿搬送装置100のインターフェース部146は、情報処理装置10から解像度情報を受信すると、受信した解像度情報を中央処理部150に送る。中央処理部150は、インターフェース部145から受け取った解像度情報をユーザ設定情報として記憶部147に記憶するとともに、その解像度情報に応じて駆動部145の回転速度を設定して原稿の搬送速度を設定する。搬送速度は、解像度が小さいほど速く、解像度が大きいほど遅くなるように設定される。例えば、解像度が200dpi(dots per inch)のときの搬送速度は60ppm(page per minute)に設定され、解像度が600dpiのときの搬送速度は15ppmに設定される。
次に、搬送速度情報取得部157は、読出した解像度情報に基づいて、中央処理部150により設定された原稿の搬送速度を示す搬送速度情報を取得する(ステップS302)。
次に、補正信号生成部156は、搬送速度情報取得部157が取得した搬送速度情報に応じて、音A/D変換部144がアナログ信号をデジタル信号に変換するサンプリングレートを設定する(ステップS303)。サンプリングレートは、搬送速度が速いほど高く、搬送速度が遅いほど低く、且つ搬送速度に対するサンプリングレートの比率が略一定(例えば、1.6kHz/ppm)となるように設定される。例えば、搬送速度が60ppmのときのサンプリングレートは96kHzに設定され、搬送速度が15ppmのときのサンプリングレートは24kHzに設定される。なお、サンプリングレートは、ジャムにより発生する音のピーク音を検出可能な範囲内で設定される。
次に、補正信号生成部156は、音信号出力部141から音信号を取得する(ステップS304)。
図8Aは、ジャムが発生した場合の音信号の例を示すグラフである。
図8Aの横軸は時間を示し、縦軸は音信号の信号値を示す。図8Aの信号801は、原稿が高速(60ppm)で搬送され、サンプリングレートが96kHzに設定された場合の音A/D変換部144から受け取ったデジタルの音信号を表す。
次に、補正信号生成部156は、音A/D変換部144から受け取った音信号について絶対値を取った信号を生成する(ステップS305)。
次に、補正信号生成部156は、音信号の絶対値を取った信号の外形を抽出する(ステップS306)。以下、抽出した外形を補正信号と称する場合がある。補正信号生成部156は、補正信号として、音信号の絶対値を取った信号についてピーク値をサンプリング間隔ごとに所定の減衰率で減衰させた信号(以下、ピーク減衰信号と称する)を求める。所定の減衰率は、例えば{(210−1)/(210)}=0.999023とすることができる。
図8Bは、補正信号の例を示すグラフである。
図8Bの横軸は時間を示し、縦軸は音信号の信号値を示す。図8Bの信号811は、図8Aの音信号801の絶対値を取った信号を表し、信号812は、信号811の補正信号として抽出されたピーク減衰信号を表す。
次に、音ジャム判定部153は、補正信号の信号値について、第1の閾値Th1以上である場合に増大させ、第1の閾値Th1未満である場合に減少させるカウンタ値を算出する(ステップS307)。音ジャム判定部153は、音信号のサンプリング間隔ごとに、ピーク減衰信号の値が第1の閾値Th1以上であるか否かを判定し、ピーク減衰信号の値が第1の閾値Th1以上である場合、カウンタ値をインクリメントし、第1の閾値Th1未満である場合、カウンタ値をデクリメントする。
図8Cは、補正信号について算出されたカウンタ値の例を示すグラフである。
図8Cの横軸は時間を示し、縦軸はカウンタ値を示す。図8Cのグラフ820は、図8Bのピーク減衰信号812について算出されたカウンタ値を表す。
次に、音ジャム判定部153は、カウンタ値が第2の閾値Th2以上であるか否かを判定する(ステップS308)。音ジャム判定部153は、カウンタ値が第2の閾値Th2以上であれば音ジャムが発生したと判定し(ステップS309)、カウンタ値が第2の閾値Th2未満であれば音ジャムは発生していないと判定し(ステップS310)、一連のステップを終了する。
図8Bにおいて、ピーク減衰信号812は、時刻0.12秒で第1の閾値Th1以上となり、その後、第1の閾値Th1未満となり、時刻0.18秒で再度第1の閾値Th1以上となり、その後、時刻0.34秒まで第1の閾値Th1未満となっていない。そのため、図8Cに示すように、カウンタ値は時刻0.12秒から増大し、一旦減少し、時刻0.18秒から再度増大し、時刻0.28秒で第2の閾値Th2以上となり、音ジャム判定部153は、音ジャムが発生したと判定する。
図9A、図9B及び図9Cは、ジャムが発生した場合の他の音信号及びその音信号から生成された各信号の例を示すグラフである。
図9A、図9B及び図9Cの横軸は時間を示し、図9A及び図9Bの縦軸は音信号の信号値を示し、図9Cの縦軸はカウンタ値を示す。図9Aの信号901は、原稿が低速(16ppm)で搬送され、サンプリングレートが24kHzに設定された場合のデジタルの音信号を表す。図9Bの信号911は、図9Aの音信号901の絶対値を取った信号を表し、信号912は、信号911の補正信号として抽出されたピーク減衰信号を表す。図9Cのグラフ920は、図9Bのピーク減衰信号912について算出されたカウンタ値を表す。
図9Aの音信号901は、図8Aの音信号801と同じく、0.45秒間の音信号を表しているが、音信号901のサンプリングレートは音信号801のサンプリングレートの1/4であるため、音信号901のサンプル数は、音信号801のサンプル数の1/4となっている。
図9Bにおいて、ピーク減衰信号912は、時刻0.1秒で第1の閾値Th1以上となり、その後、第1の閾値Th1未満となり、時刻0.2秒で再度第1の閾値Th1以上となり、その後、第1の閾値Th1未満となっていない。そのため、図9Cに示すように、カウンタ値は時刻0.1秒から増大し、一旦減少し、時刻0.2秒から再度増大し、時刻0.29秒で第2の閾値Th2以上となり、音ジャム判定部153は、音ジャムが発生したと判定する。
以下、搬送速度情報に応じてサンプリングレートを設定する理由について説明する。
ジャムにより発生する音は、原稿の変形によって発生する。搬送中の原稿が変形し始めると、その原稿が移動するほどその変形度合いが大きくなっていき、原稿が変形するたびに大きな音が発生する。そのため、ジャムが発生する場合、ジャムにより大きな音が発生するタイミングは原稿が所定の距離を移動したタイミングと同期する傾向にある。一方、原稿が所定の距離を移動する時間は原稿の搬送速度に反比例する。そのため、ジャムにより大きな音が発生する期間は、原稿の搬送速度に反比例して短くなる傾向にある。
図8Aに示した、原稿が60ppmで搬送された場合の音信号801では、ジャム状態となった原稿の移動に伴ってピーク値P1〜P22が出現している。一方、図9Aに示した、原稿が16ppmで搬送された場合の音信号901では、ジャム状態となった原稿の移動に伴ってピーク値P31〜P38が出現している。音信号801では、特にピーク値が密集している0.15秒間の区間802におけるピーク値の数は、ピーク値P4〜P19の16個である。一方、音信号901では、特にピーク値が密集している0.15秒間の区間902におけるピーク値の数は、ピーク値P33〜P36の4個である。つまり、区間802においてピーク値が出現する各タイミングの間の間隔は、区間902においてピーク値が出現する各タイミングの間の間隔の約1/4である。一方、音信号801についての搬送速度は、音信号901についての搬送速度の約4倍であるので、区間802及び区間902においてピーク値が出現する各タイミングの間の間隔は、原稿の搬送速度に略反比例している。
補正信号生成部156では、原稿の搬送速度に対するサンプリングレートの比率が略一定(例えば、1.6kHz/ppm)となるようにサンプリングレートを設定している。したがって、音信号においてピーク値が出現する各タイミングの間のサンプル数を原稿の搬送速度に関わらず略一定にすることができる。
補正信号はピーク値をサンプリング間隔ごとに所定の減衰率で減衰させた信号である。音信号においてピーク値が出現する各タイミングの間のサンプル数を略一定にすることにより、補正信号においてピーク値が出現してから次のピーク値が出現するまでに信号値が減衰する量を略一定とすることができる。補正信号生成部156は、原稿の搬送速度によって信号の外形が変化しないように補正信号を生成する。音ジャム判定部153は、補正信号に基づいて、原稿の搬送速度によって判定処理の内容を変更することなく、音ジャムが発生したか否かを判定している。
図10A、図10B及び図10Cは、ジャムが発生した場合のさらに他の音信号及びその音信号から生成された各信号の例を示すグラフである。
図10A、図10B及び図10Cの横軸は時間を示し、図10A及び図10Bの縦軸は音信号の信号値を示し、図10Cの縦軸はカウンタ値を示す。図10Aの音信号1001は、図9Aの音信号901と比較をするために、搬送速度が低速(16ppm)である場合に搬送速度が高速(60ppm)である場合と同一のサンプリングレート(96kHz)を利用した例を示している。図10Bの信号1011は、図10Aの音信号1001の絶対値を取った信号を表し、信号1012は、信号1011の補正信号として抽出されたピーク減衰信号を表す。図10Cのグラフ1020は、図10Bのピーク減衰信号1012について算出されたカウンタ値を表す。
図10Aの音信号1001は、図9Aの音信号901と同じく、0.45秒間の音信号を表している。しかし、音信号1001のサンプリングレートは音信号901のサンプリングレートの4倍であるため、音信号1001のサンプル数は、音信号901のサンプル数の4倍となっている。
図10Bのピーク減衰信号1012では、図9Bのピーク減衰信号912と比較して、ピーク値が出現してから次のピーク値が出現するまでのサンプル数が多いため、信号値が減衰しすぎる。ピーク減衰信号1012は、第1の閾値Th1以上となったり、第1の閾値Th1未満となることを繰り返している。図10Cに示すように、カウンタ値は、増大と減少を繰り返し、第2の閾値Th2以上とならず、音ジャムが発生したと判定されない。
図10A〜図10Cで例示したように、搬送速度が低速である場合に搬送速度が高速である場合と同一のサンプリングレートを利用すると、ピーク減衰信号において、各ピーク値の間のサンプル数が多くなり、信号値が減衰しすぎて、判定を誤る可能性がある。そのため、音ジャム判定部153において、第1の閾値Th1、第2の閾値Th2等の各パラメータについて、原稿の搬送速度に応じて最適な値を用いて音ジャム判定を行うように設定することも考えられる。しかしながら、第1の閾値Th1、第2の閾値Th2等の各パラメータを変更すると、原稿の搬送音、装置外部で発生した音等の、ジャムにより発生する音より小さい音による信号値が第1の閾値Th1以上となったり、発生期間の極度に短い音によってカウンタ値が第2の閾値Th2となり、ジャムが発生したと誤って判定する可能性がある。そのため、第1の閾値Th1、第2の閾値Th2等の各パラメータを、原稿の搬送速度に応じて一律に変更するように設定することは容易ではない。
一方、上述したように、搬送速度に応じてサンプリングレートを設定すると、ピーク減衰信号において各ピーク値の間の減衰量が変化するが、ジャムで発生する音より小さい音又は発生期間の極度に短い音によりジャムが発生したと誤って判定する可能性は低い。したがって、本願の音ジャム判定部153では、原稿の搬送速度に応じてサンプリングレートを設定し、原稿の搬送速度によらず、ジャムの発生の有無を精度良く判定できるようにしている。
図11は、位置ジャム判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
図11に示す動作のフローは、図5に示すフローチャートのステップS202において実行される。
最初に、位置ジャム判定部154は、第2原稿検出部114で原稿の先端が検出されるまで待機する(ステップS401)。位置ジャム判定部154は、第2原稿検出部114からの第2原稿検出信号の値が、原稿が存在しない状態を表す値から存在する状態を表す値に変化すると、第2原稿検出部114の位置、すなわち給紙ローラ111及びリタードローラ112の下流、かつ第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の上流において原稿の先端が検出されたと判定する。
最初に、位置ジャム判定部154は、第2原稿検出部114で原稿の先端が検出されるまで待機する(ステップS401)。位置ジャム判定部154は、第2原稿検出部114からの第2原稿検出信号の値が、原稿が存在しない状態を表す値から存在する状態を表す値に変化すると、第2原稿検出部114の位置、すなわち給紙ローラ111及びリタードローラ112の下流、かつ第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の上流において原稿の先端が検出されたと判定する。
次に、第2原稿検出部114で原稿の先端が検出されると、位置ジャム判定部154は、計時を開始する(ステップS402)。
次に、位置ジャム判定部154は、第3原稿検出部118で原稿の先端が検出されたか否かを判定する(ステップS403)。位置ジャム判定部154は、第3原稿検出部118からの第3原稿検出信号の値が、原稿が存在しない状態を表す値から存在する状態を表す値に変化すると、第3原稿検出部118の位置、すなわち第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の下流、かつ撮像部119の上流において原稿の先端が検出されたと判定する。
第3原稿検出部118で原稿の先端が検出されると、位置ジャム判定部154は、位置ジャムは発生していないと判定し(ステップS404)、一連のステップを終了する。
一方、第3原稿検出部118で原稿の先端が検出されていないと、位置ジャム判定部154は、計時を開始してから所定時間(例えば1秒間)が経過したか否かを判定する(ステップS405)。所定時間が経過していなければ、位置ジャム判定部154は、ステップS403へ処理を戻し、再度、第3原稿検出部118で原稿の先端が検出されたか否かを判定する。一方、所定時間が経過した場合、位置ジャム判定部154は、位置ジャムが発生したと判定し(ステップS406)、一連のステップを終了する。なお、原稿搬送装置100において位置ジャム判定処理が必要でない場合には、省略してもよい。
なお、中央処理部150は、第3原稿検出部118からの第3原稿検出信号により、第1搬送ローラ116と第1従動ローラ117の下流において原稿の先端を検出すると、次の原稿が送り込まれないように、一端駆動部145を制御して給紙ローラ111及びリタードローラ112の回転を停止させる。その後、中央処理部150は、第2原稿検出部114からの第2原稿検出信号により、給紙ローラ111とリタードローラ112の下流において原稿の後端を検出すると、再度駆動部145を制御して給紙ローラ111及びリタードローラ112を回転させて、次の原稿を搬送させる。これにより、中央処理部150は、複数の原稿が搬送路内で重なることを防止している。そのため、位置ジャム判定部154は、中央処理部150が給紙ローラ111及びリタードローラ112を回転させるように駆動部145を制御した時点で計時を開始し、所定時間以内に第3原稿検出部118で原稿の先端が検出されなかった場合に位置ジャムが発生したと判定してもよい。
図12は、重送判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
図12に示す動作のフローは、図5に示すフローチャートのステップS203において実行される。
最初に、重送判定部155は、超音波センサ115から超音波信号を取得する(ステップS501)。
次に、重送判定部155は、取得した超音波信号の信号値が、重送判定閾値未満であるか否かを判定する(ステップS502)。
図13は、超音波信号の特性について説明するための図である。
図13のグラフ1300において、実線1301は単数の原稿が搬送されている場合の超音波信号の特性を示し、点線1302は原稿の重送が発生している場合の超音波信号の特性を示す。グラフ1300の横軸は時間を示し、縦軸は超音波信号の信号値を示す。重送が発生していることにより、区間1303において点線1302の超音波信号の信号値が低下している。そのため、超音波信号の信号値が重送判定閾値ThA未満であるか否かにより原稿の重送が発生したか否かを判定することができる。
重送判定部155は、超音波信号の信号値が重送判定閾値未満である場合、原稿の重送が発生したと判定し(ステップS503)、一方、超音波信号の信号値が重送判定閾値以上である場合、原稿の重送は発生していないと判定し(ステップS504)、一連のステップを終了する。
以上詳述したように、原稿搬送装置100は、図4、図5及び図6に示したフローチャートに従って動作することによって、原稿の搬送速度による音信号の違いを低減するように音信号を補正してジャムが発生したか否かを判定するので、原稿の搬送速度によらず、ジャム音によりジャムの発生の有無を精度良く判定することが可能となった。
また、原稿搬送装置100は、原稿の搬送速度に対するサンプリングレートの比率が略一定となるようにサンプリングレートを設定することにより、搬送速度ごとに音ジャム判定のためのパラメータを調整する必要がなくなるので、開発効率を向上させることが可能となった。
図14は、音ジャム判定処理の動作の他の例を示すフローチャートである。
このフローチャートは、原稿搬送装置100において、前述した図6に示すフローチャートの代りに実行することが可能である。図14に示すフローチャートでは、図6に示すフローチャートと異なり、補正信号生成部156は、搬送速度に応じてサンプリングレートを設定することに代えて、搬送速度に応じてピーク減衰信号の減衰率を設定して補正信号を生成する。図14に示すステップS601〜S602、S604〜S610の処理は、図6に示すステップS301〜S302、S304〜S310の処理と同じであるため、説明を省略し、以下では、ステップS603の処理についてのみ説明する。
ステップS603において、補正信号生成部156は、搬送速度情報取得部157が取得した搬送速度情報に応じて、ピーク減衰信号の減衰率を設定する。減衰率は、搬送速度が速いほど減衰する度合いが大きく、搬送速度が遅いほど減衰する度合いが小さく、且つ搬送速度に対する減衰する度合いの比率が略一定(例えば、1ppmあたり1/(15×212))となるように設定される。例えば、搬送速度が60ppmのときの減衰率は、{1/(210)}ずつ減衰するように{(210−1)/(210)}=0.999023に設定され、搬送速度が15ppmのときの減衰率は、{1/(212)}ずつ減衰するように{(212−1)/(212)}=0.999755に設定される。
これにより、補正信号において、ピーク値が出現してから原稿が同一距離だけ移動したときの信号値を原稿の搬送速度に関わらず略一定にすることができ、補正信号生成部156は、原稿の搬送速度によって形状が変化しないように補正信号を生成することができる。したがって、音ジャム判定部153は、補正信号に基づいて、原稿の搬送速度によって判定処理の内容を変更することなく、音ジャムが発生したか否かを判定することができる。
サンプリングレートと同様に、搬送速度に応じて減衰率を設定すると、ピーク減衰信号において各ピーク値の間の減衰量が変化するが、ジャムで発生する音より小さい音又は発生期間の極度に短い音によりジャムが発生したと誤って判定する可能性は低い。したがって、原稿の搬送速度に対するピーク減衰信号の減衰する度合いの比率が略一定となるように減衰率を設定することにより、原稿の搬送速度によらず、ジャムの発生の有無を精度良く判定することができる。
図15A及び図15Bは、ピーク減衰信号の減衰率が変更された場合の音ジャム判定について説明するための図である。
図15A及び図15Bの横軸は時間を示し、図15Aの縦軸は音信号の信号値を示し、縦軸はカウンタ値を示す。図15Aの信号1501は、図10Aの音信号1001の絶対値を取った信号を表し、信号1502は、信号1501の補正信号として抽出されたピーク減衰信号を表す。図15Bのグラフ1510は、図15Aのピーク減衰信号1502について算出されたカウンタ値を表す。
図15Aの信号1901は、図10Aの信号1011と同様に、原稿が低速(16ppm)で搬送されているが、サンプリングレートが96kHzに設定されている場合の音信号の絶対値を取った信号である。しかし、図10Aのピーク減衰信号1012が{(210−1)/(210)}=0.999023の減衰率で減衰されているのに対して、図15Aのピーク減衰信号1502は{(212−1)/(212)}=0.999755の減衰率で減衰されている。
これにより、ピーク減衰信号1502では、時刻0.2秒以後、ピーク値が第1の閾値Th1未満に減衰する前に、次のピーク値が出現し、ピーク減衰信号1502は常に第1の閾値Th1以上となる。そのため、図15Bに示すように、カウンタ値は、時刻0.2秒以後、増大していき、時刻0.29秒において第2の閾値Th2以上となるため、音ジャムが発生したと判定される。
以上詳述したように、原稿搬送装置100は、図4、図5及び図14に示したフローチャートに従って動作することによって、原稿の搬送速度による音信号の違いを低減するようにピーク減衰信号の減衰率を設定して音信号を補正するので、原稿の搬送速度によらず、ジャム音によりジャムの発生の有無を精度良く判定することが可能となった。
また、原稿搬送装置100は、原稿の搬送速度に対するピーク減衰信号の減衰する度合いの比率が略一定となるようにその減衰率を設定することにより、搬送速度ごとに音ジャム判定のためのパラメータを調整する必要がなくなるので、開発効率を向上させることが可能となった。
図16は、他の原稿搬送装置200の概略構成を示すブロック図である。
図16に示す原稿搬送装置200は、図3に示す原稿搬送装置100の各部に加えて搬送距離検知部247を有する。搬送距離検知部247は、給紙ローラ111とともに回転するように配置したロータリエンコーダを有し、そのロータリエンコーダの回転角により原稿の搬送距離を検知する。搬送距離検知部247は、ロータリエンコーダの回転角を示す情報を所定の時間間隔で中央処理部150に出力する。
搬送速度情報取得部157は、搬送距離検知部247から所定の時間間隔で取得したロータリエンコーダの回転角を示す情報と、各情報を取得した時刻とから原稿の搬送速度情報を求める。補正信号生成部156は、搬送速度情報取得部157が求めた搬送速度情報に応じて、補正信号を生成する。
なお、原稿搬送装置200は、原稿の搬送距離に基づいて搬送速度情報を求める代わりに、モータの回転速度に基づいて搬送速度情報を求めてもよい。その場合、駆動部145は、モータの回転速度を示す情報を中央処理部150に出力する。そして、搬送速度情報取得部157は、駆動部145から取得したモータの回転速度を示す情報から原稿の搬送速度情報を求める。
以上詳述したように、原稿搬送装置200は、原稿の搬送距離またはモータの回転速度から原稿の搬送速度を求めることにより、DC(Direct Current)モータを用いる場合のように搬送負荷によって搬送速度が変動する場合でも、原稿の搬送速度をリアルタイムに求めて、その搬送速度に応じて音信号を補正できるので、原稿の搬送速度によらず、ジャム音によりジャムの発生の有無を精度良く判定することが可能となった。
100、200 原稿搬送装置
110 第1原稿検出部
111 給紙ローラ
112 リタードローラ
113 マイクロフォン
114 第2原稿検出部
115 超音波センサ
118 第3原稿検出部
119 撮像部
141 音信号出力部
144 駆動部
145 インターフェース部
146 記憶部
150 中央処理部
151 制御部
152 画像生成部
153 音ジャム判定部
154 位置ジャム判定部
155 重送判定部
156 補正信号生成部
157 搬送速度情報取得部
247 搬送距離検知部
110 第1原稿検出部
111 給紙ローラ
112 リタードローラ
113 マイクロフォン
114 第2原稿検出部
115 超音波センサ
118 第3原稿検出部
119 撮像部
141 音信号出力部
144 駆動部
145 インターフェース部
146 記憶部
150 中央処理部
151 制御部
152 画像生成部
153 音ジャム判定部
154 位置ジャム判定部
155 重送判定部
156 補正信号生成部
157 搬送速度情報取得部
247 搬送距離検知部
Claims (11)
- 原稿が搬送中に発生する音を所定のサンプリングレートでサンプリングした音信号を出力する音信号出力部と、
原稿の搬送速度を取得する搬送速度情報取得部と、
前記音信号のピーク値を前記サンプリングの間隔ごとに所定の減衰率で減衰させることにより前記音信号の外形を抽出した補正信号を生成する補正信号生成部と、
前記補正信号に基づいて、ジャムが発生したか否かを判定する音ジャム判定部と、を有し、
前記補正信号生成部は、前記搬送速度が速いほど高くなり、前記搬送速度が遅いほど低くなるように前記所定のサンプリングレートを設定する、
ことを特徴とする原稿搬送装置。 - 原稿が搬送中に発生する音を所定のサンプリングレートでサンプリングした音信号を出力する音信号出力部と、
原稿の搬送速度を取得する搬送速度情報取得部と、
前記音信号のピーク値を前記サンプリングの間隔ごとに所定の減衰率で減衰させることにより前記音信号の外形を抽出した補正信号を生成する補正信号生成部と、
前記補正信号に基づいて、ジャムが発生したか否かを判定する音ジャム判定部と、を有し、
前記補正信号生成部は、前記搬送速度が速いほど減衰する度合いが大きくなり、前記搬送速度が遅いほど減衰する度合いが小さくなるように前記所定の減衰率を設定する、
ことを特徴とする原稿搬送装置。 - ユーザ設定情報を記憶する記憶部を更に有し、
前記搬送速度情報取得部は、前記ユーザ設定情報に基づいて、前記搬送速度を取得する、請求項1または2に記載の原稿搬送装置。 - 前記ユーザ設定情報は、原稿を読取るための解像度の情報である、請求項3に記載の原稿搬送装置。
- 原稿を搬送させるローラを回転させるモータを更に有し、
前記搬送速度情報取得部は、前記モータの回転速度に基づいて、前記搬送速度を取得する、請求項1〜4の何れか一項に記載の原稿搬送装置。 - 原稿の搬送距離を検知する搬送距離検知部を更に有し、
前記搬送速度情報取得部は、前記搬送距離に基づいて、前記搬送速度を取得する、請求項1または2に記載の原稿搬送装置。 - 前記音ジャム判定部は、前記補正信号に基づいて、前記搬送速度にかかわらず同一の閾値を用いて、ジャムが発生したか否かを判定する、請求項1〜6の何れか一項に記載の原稿搬送装置。
- 原稿が搬送中に発生する音を所定のサンプリングレートでサンプリングした音信号を出力する音信号出力部から前記音信号を取得する音信号取得ステップと、
原稿の搬送速度を取得する搬送速度情報取得ステップと、
前記音信号のピーク値を前記サンプリングの間隔ごとに所定の減衰率で減衰させることにより前記音信号の外形を抽出した補正信号を生成する補正信号生成ステップと、
前記補正信号に基づいて、ジャムが発生したか否かを判定する音ジャム判定ステップと、を含み、
前記補正信号生成ステップにおいて、前記搬送速度が速いほど高くなり、前記搬送速度が遅いほど低くなるように前記所定のサンプリングレートを設定する、
ことを特徴とするジャム判定方法。 - 原稿が搬送中に発生する音を所定のサンプリングレートでサンプリングした音信号を出力する音信号出力部から前記音信号を取得する音信号取得ステップと、
原稿の搬送速度を取得する搬送速度情報取得ステップと、
前記音信号のピーク値を前記サンプリングの間隔ごとに所定の減衰率で減衰させることにより前記音信号の外形を抽出した補正信号を生成する補正信号生成ステップと、
前記補正信号に基づいて、ジャムが発生したか否かを判定する音ジャム判定ステップと、を含み、
前記補正信号生成ステップにおいて、前記搬送速度が速いほど減衰する度合いが大きくなり、前記搬送速度が遅いほど減衰する度合いが小さくなるように前記所定の減衰率を設定する、
ことを特徴とするジャム判定方法。 - 原稿が搬送中に発生する音を所定のサンプリングレートでサンプリングした音信号を出力する音信号出力部から前記音信号を取得する音信号取得ステップと、
原稿の搬送速度を取得する搬送速度情報取得ステップと、
前記音信号のピーク値を前記サンプリングの間隔ごとに所定の減衰率で減衰させることにより前記音信号の外形を抽出した補正信号を生成する補正信号生成ステップと、
前記補正信号に基づいて、ジャムが発生したか否かを判定する音ジャム判定ステップと、をコンピュータに実行させ、
前記補正信号生成ステップにおいて、前記搬送速度が速いほど高くなり、前記搬送速度が遅いほど低くなるように前記所定のサンプリングレートを設定する、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。 - 原稿が搬送中に発生する音を所定のサンプリングレートでサンプリングした音信号を出力する音信号出力部から前記音信号を取得する音信号取得ステップと、
原稿の搬送速度を取得する搬送速度情報取得ステップと、
前記音信号のピーク値を前記サンプリングの間隔ごとに所定の減衰率で減衰させることにより前記音信号の外形を抽出した補正信号を生成する補正信号生成ステップと、
前記補正信号に基づいて、ジャムが発生したか否かを判定する音ジャム判定ステップと、をコンピュータに実行させ、
前記補正信号生成ステップにおいて、前記搬送速度が速いほど減衰する度合いが大きくなり、前記搬送速度が遅いほど減衰する度合いが小さくなるように前記所定の減衰率を設定する、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
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