以下、本発明の一側面に係る原稿搬送装置、ジャム判定方法及びコンピュータプログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1は、イメージスキャナとして構成された原稿搬送装置100を示す斜視図である。
原稿搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、原稿台103、排出台105及び操作ボタン106等を備える。
上側筐体102は、原稿搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、原稿つまり時、原稿搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
原稿台103は、原稿を載置可能に下側筐体101に係合している。原稿台103には、原稿の搬送方向と直行する方向、すなわち原稿の搬送方向に対して左右方向に移動可能なサイドガイド104a及び104bが設けられている。サイドガイド104a及び104bを原稿の幅に合わせて位置決めすることにより原稿の幅方向を規制することができる。
排出台105は、矢印A1で示す方向に回転可能なように、ヒンジにより下側筐体101に係合しており、図1のように開いている状態では、排出された原稿を保持することが可能となる。
操作ボタン106は、上側筐体102の表面に配置され、押下されると、操作検出信号を生成して出力する。
図2は、原稿搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
原稿搬送装置100内部の搬送経路は、第1原稿検出部110、給紙ローラ111a、111b、リタードローラ112a、112b、マイクロフォン113a、113b、113c、第2原稿検出部114、超音波送信器115a、超音波受信器115b、第1搬送ローラ116a、116b、第1従動ローラ117a、117b、第3原稿検出部118、第1撮像部119a、第2撮像部119b、第2搬送ローラ120a、120b及び第2従動ローラ121a、121b等を有している。
以下では、給紙ローラ111a及び111bを総じて給紙ローラ111と称し、リタードローラ112a及び112bを総じてリタードローラ112と称し、第1搬送ローラ116a及び116bを総じて第1搬送ローラ116と称し、第1従動ローラ117a及び117bを総じて第1従動ローラ117と称し、第2搬送ローラ120a及び120bを総じて第2搬送ローラ120と称し、第2従動ローラ121a及び121bを総じて第2従動ローラ121と称する場合がある。
下側筐体101の上面は原稿の搬送路の下側ガイド107aを形成し、上側筐体102の下面は原稿の搬送路の上側ガイド107bを形成する。図2において矢印A2は原稿の搬送方向を示す。以下では、上流とは原稿の搬送方向A2の上流のことをいい、下流とは原稿の搬送方向A2の下流のことをいう。
第1原稿検出部110は、給紙ローラ111及びリタードローラ112の上流側に配置される接触検出センサを有し、原稿台103に原稿が載置されているか否かを検出する。第1原稿検出部110は、原稿台103に原稿が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1原稿検出信号を生成して出力する。
第1マイクロフォン113a、第2マイクロフォン113b及び第3マイクロフォン113cは、それぞれ原稿が搬送中に発生する音を集音し、集音した音から生成したアナログの信号を出力する。第1マイクロフォン113aは、給紙ローラ111及びリタードローラ112の近傍に、下側筐体103内部のフレーム108aに固定されて配置される。第2マイクロフォン113b及び第3マイクロフォン113cは、給紙ローラ111及びリタードローラ112の下流側に、上側筐体102内部のフレーム108bに固定されて配置される。原稿が搬送中に発生する音をより的確に第1マイクロフォン113a、第2マイクロフォン113b及び第3マイクロフォン113cが集音できるように、下側ガイド107aの第1マイクロフォン113aに対向する位置には穴109aが設けられ、上側ガイド107bの第2マイクロフォン113b及び第3マイクロフォン113cに対向する位置にはそれぞれ穴109b及び109cが設けられている。
第2原稿検出部114は、給紙ローラ111及びリタードローラ112の下流側、かつ第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の上流側に配置される接触検出センサを有し、その位置に原稿が存在するか否かを検出する。第2原稿検出部114は、その位置に原稿が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2原稿検出信号を生成して出力する。
超音波送信器115a及び超音波受信器115bは、超音波信号出力部の例であり、原稿の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向するように配置される。超音波送信器115aは超音波を送信する。一方、超音波受信器115bは、超音波送信器115aにより送信され、原稿を通過した超音波を検出し、検出した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。以下では、超音波送信器115a及び超音波受信器115bを総じて超音波センサ115と称する場合がある。
第3原稿検出部118は、第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の下流側、かつ第1撮像部119a及び第2撮像部119bの上流側に配置される接触検出センサを有し、その位置に原稿が存在するか否かを検出する。第3原稿検出部118は、その位置に原稿が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第3原稿検出信号を生成して出力する。
第1撮像部119aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)を有する。このCISは、原稿の裏面を読み取ってアナログの画像信号を生成して出力する。同様に、第2撮像部119bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISを有する。このCISは、原稿の表面を読み取ってアナログの画像信号を生成して出力する。なお、第1撮像部119a及び第2撮像部119bを一方だけ配置し、原稿の片面だけを読み取るようにしてもよい。また、CISの代わりにCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを利用することもできる。以下では、第1撮像部119a及び第2撮像部119bを総じて撮像部119と称する場合がある。
原稿台103に載置された原稿は、給紙ローラ111が図2の矢印A3の方向に回転することによって、下側ガイド107aと上側ガイド107bの間を原稿搬送方向A2に向かって搬送される。リタードローラ112は、原稿搬送時、図2の矢印A4の方向に回転する。給紙ローラ111及びリタードローラ112の働きにより、原稿台103に複数の原稿が載置されている場合、原稿台103に載置されている原稿のうち給紙ローラ111と接触している原稿のみが分離されて、分離された原稿以外の原稿の搬送が制限される(重送の防止)ように動作する。給紙ローラ111及びリタードローラ112は、原稿の分離部として機能する。
原稿は、下側ガイド107aと上側ガイド107bによりガイドされながら、第1搬送ローラ116と第1従動ローラ117の間に送り込まれる。原稿は、第1搬送ローラ116が図2の矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像部119aと第2撮像部119bの間に送り込まれる。撮像部119により読み取られた原稿は、第2搬送ローラ120が図2の矢印A6の方向に回転することによって排出台105上に排出される。
図3は、原稿搬送装置100を上側筐体102を取り外した状態で上側から見た図、すなわち図2の矢印A7と反対方向に見た図である。
図3に示すように、第1マイクロフォン113aは、給紙ローラ111及びリタードローラ112の近傍に設けられる。第1マイクロフォン113aは、原稿搬送方向と直交する方向において給紙ローラ111aと111bの間に設けられることが好ましいが、原稿搬送方向と直交する方向において給紙ローラ111aと111bの外側に設けられてもよい。
図4は、上側筐体102を原稿搬送装置100から取り外した状態で下側から見た図、すなわち図2の矢印A7の方向に見た図である。
図4に示すように、第2マイクロフォン113bは、原稿の搬送路の原稿搬送方向と直交する方向の一端に設けられ、第3マイクロフォン113cは、原稿の搬送路の原稿搬送方向と直交する方向の他端に設けられる。
図5は、原稿搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
原稿搬送装置100は、前述した構成に加えて、第1画像A/D変換部140a、第2画像A/D変換部140b、第1音信号出力部141a、第2音信号出力部141b、第3音信号出力部141c、駆動部145、インターフェース部146、記憶部147及び中央処理部150等をさらに有する。
第1画像A/D変換部140aは、第1撮像部119aから出力されたアナログの画像信号をアナログデジタル変換してデジタルの画像データを生成し、中央処理部150に出力する。同様に、第2画像A/D変換部140bは、第2撮像部119bから出力されたアナログの画像信号をアナログデジタル変換してデジタルの画像データを生成し、中央処理部150に出力する。以下、これらのデジタルの画像データを読取画像と称する。
第1音信号出力部141aは、第1マイクロフォン113a、第1フィルタ部142a、第1増幅部143a及び第1音A/D変換部144a等を含んでいる。第1フィルタ部142aは、第1マイクロフォン113aから出力された信号に対して、予め定められた周波数帯域の信号を通過させるバンドパスフィルタを適用し、第1増幅部143aに出力する。第1増幅部143aは、第1フィルタ部142aから出力された信号を増幅させて第1音A/D変換部144aに出力する。第1音A/D変換部144aは、第1増幅部143aから出力されたアナログの信号をデジタルの信号に変換し、中央処理部150に出力する。以下、第1音A/D変換部144aが出力する信号をサブ原信号と称する。
第2音信号出力部141bは、第2マイクロフォン113b、第2フィルタ部142b、第2増幅部143b及び第2音A/D変換部144b等を含んでいる。第2フィルタ部142bは、第2マイクロフォン113bから出力された信号に対して、予め定められた周波数帯域の信号を通過させるバンドパスフィルタを適用し、第2増幅部143bに出力する。第2増幅部143bは、第2フィルタ部142bから出力された信号を増幅させて第2音A/D変換部144bに出力する。第2音A/D変換部144bは、第2増幅部143bから出力されたアナログの信号をデジタルの信号に変換し、中央処理部150に出力する。以下、第2音A/D変換部144bが出力する信号を第1メイン原信号と称する。
第3音信号出力部141cは、第3マイクロフォン113c、第3フィルタ部142c、第3増幅部143c及び第3音A/D変換部144c等を含んでいる。第3フィルタ部142cは、第3マイクロフォン113cから出力された信号に対して、予め定められた周波数帯域の信号を通過させるバンドパスフィルタを適用し、第3増幅部143cに出力する。第3増幅部143cは、第3フィルタ部142cから出力された信号を増幅させて第3音A/D変換部144cに出力する。第3音A/D変換部144cは、第3増幅部143cから出力されたアナログの信号をデジタルの信号に変換し、中央処理部150に出力する。以下、第3音A/D変換部144cが出力する信号を第2メイン原信号と称する。
駆動部145は、1つ又は複数のモータを含み、中央処理部150からの制御信号によって、給紙ローラ111、リタードローラ112、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ120を回転させて原稿の搬送動作を行う。
インターフェース部146は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインターフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して読取画像及び各種の情報を送受信する。また、インターフェース部146にフラッシュメモリ等を接続して読取画像を保存するようにしてもよい。
記憶部147は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶部147には、原稿搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROM(compact disk read only memory)、DVD−ROM(digital versatile disk read only memory)等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部147にインストールされてもよい。さらに、記憶部147には、読取画像が格納される。
中央処理部150は、CPU(Central Processing Unit)を備え、予め記憶部147に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、中央処理部150は、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等で構成されてもよい。
中央処理部150は、操作ボタン106、第1原稿検出部110、第2原稿検出部114、超音波センサ115、第3原稿検出部118、第1撮像部119a、第2撮像部119b、第1画像A/D変換部140a、第2画像A/D変換部140b、第1音信号出力部141a、第2音信号出力部141b、第3音信号出力部141c、駆動部145、インターフェース部146及び記憶部147と接続され、これらの各部を制御する。
中央処理部150は、駆動部145の駆動制御、撮像部119の原稿読取制御等を行い、読取画像を取得する。また、中央処理部150は、制御部151、画像生成部152、音ジャム判定部153、位置ジャム判定部154及び重送判定部155等を有する。これらの各部は、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
図6は、原稿搬送装置100の全体処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下、図6に示したフローチャートを参照しつつ、原稿搬送装置100の全体処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶部147に記憶されているプログラムに基づき主に中央処理部150により原稿搬送装置100の各要素と協働して実行される。
最初に、中央処理部150は、利用者により操作ボタン106が押下されて、操作ボタン106から操作検出信号を受信するまで待機する(ステップS101)。
次に、中央処理部150は、第1原稿検出部110から受信する第1原稿検出信号に基づいて原稿台103に原稿が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
原稿台103に原稿が載置されていない場合、中央処理部150は、ステップS101へ処理を戻し、操作ボタン106から新たに操作検出信号を受信するまで待機する。
一方、原稿台103に原稿が載置されている場合、中央処理部150は、駆動部145を駆動して給紙ローラ111、リタードローラ112、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ120を回転させて、原稿を搬送させる(ステップS103)。
次に、制御部151は、異常発生フラグがONであるか否かを判定する(ステップS104)。この異常発生フラグは、原稿搬送装置100の起動時にOFFに設定され、後述する異常判定処理で異常が発生したと判定されるとONに設定される。
異常発生フラグがONである場合、制御部151は、異常処理として、駆動部145を停止して、原稿の搬送を停止させるとともに、不図示のスピーカ、LED(Light Emitting Diode)等により、異常が発生したことを利用者に通知し、異常発生フラグをOFFに設定し(ステップS105)、一連のステップを終了する。
一方、異常判定フラグがONでない場合、画像生成部152は、搬送された原稿を第1撮像部119a及び第2撮像部119bに読み取らせ、第1画像A/D変換部140a及び第2画像A/D変換部140bを介して読取画像を取得する(ステップS106)。
次に、中央処理部150は、取得した読取画像をインターフェース部146を介して不図示の情報処理装置へ送信する(ステップS107)。なお、情報処理装置と接続されていない場合、中央処理部150は、取得した読取画像を記憶部147に記憶しておく。
次に、中央処理部150は、第1原稿検出部110から受信する第1原稿検出信号に基づいて原稿台103に原稿が残っているか否かを判定する(ステップS108)。
原稿台103に原稿が残っている場合、中央処理部150は、ステップS103へ処理を戻し、ステップS103〜S108の処理を繰り返す。一方、原稿台103に原稿が残っていない場合、中央処理部150は、一連の処理を終了する。
図7は、原稿搬送装置100の異常判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下に説明する動作のフローは、予め記憶部147に記憶されているプログラムに基づき主に中央処理部150により原稿搬送装置100の各要素と協働して実行される。
最初に、音ジャム判定部153は、音ジャム判定処理を実施する(ステップS201)。音ジャム判定部153は、音ジャム判定処理において、第1音信号出力部141aから取得したサブ原信号と第2音信号出力部141bから取得した第2メイン原信号との差、及びサブ原信号と第3音信号出力部141cから取得した第3メイン原信号との差に基づいてジャムが発生したか否かを判定する。以下、音ジャム判定部153が各原信号の差に基づいて発生の有無を判定するジャムのことを音ジャムと称する場合がある。音ジャム判定処理の詳細については後述する。
次に、位置ジャム判定部154は、位置ジャム判定処理を実施する(ステップS202)。位置ジャム判定部154は、位置ジャム判定処理において、第2原稿検出部114から取得した第2原稿検出信号と、第3原稿検出部118から取得した第3原稿検出信号とに基づいてジャムが発生したか否かを判定する。以下、位置ジャム判定部154が第2原稿検出信号及び第3原稿検出信号に基づいて発生の有無を判定するジャムのことを位置ジャムと称する場合がある。位置ジャム判定処理の詳細については後述する。
次に、重送判定部155は、重送判定処理を実施する(ステップS203)。重送判定部155は、重送判定処理において、超音波センサ115から取得した超音波信号に基づいて原稿の重送が発生したか否かを判定する。重送判定処理の詳細については後述する。
次に、制御部151は、原稿搬送処理に異常が発生したか否かを判定する(ステップS204)。制御部151は、音ジャム、位置ジャム及び原稿の重送のうちの少なくとも一つが発生した場合、異常が発生したと判定する。すなわち、音ジャム、位置ジャム及び原稿の重送の何れも発生していない場合にのみ、異常が発生していないと判定する。
制御部151は、原稿搬送処理に異常が発生した場合、異常発生フラグをONに設定し(ステップS205)、一連のステップを終了する。一方、原稿搬送処理に異常が発生していない場合、特に処理を行わず、一連のステップを終了する。なお、図7に示すフローチャートは、所定の時間間隔ごとに実行される。
図8は、音ジャム判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
図8に示す動作のフローは、図7に示すフローチャートのステップS201において実行される。
最初に、音ジャム判定部153は、第1音信号出力部141aからサブ原信号を取得し、第2音信号出力部141bから第1メイン原信号を取得し、第3音信号出力部141cから第2メイン原信号を取得する(ステップS301)。
次に、音ジャム判定部153は、サブ原信号について絶対値を取ったサブ絶対値信号、第1メイン原信号について絶対値を取った第1メイン絶対値信号、及び、第2メイン原信号について絶対値を取った第2メイン絶対値信号を生成する(ステップS302)。
次に、音ジャム判定部153は、サブ絶対値信号の外形を抽出したサブ外形信号、第1メイン絶対値信号の外形を抽出した第1メイン外形信号、及び、第2メイン絶対値信号の外形を抽出した第2メイン外形信号を生成する(ステップS303)。音ジャム判定部153は、サブ外形信号、第1メイン外形信号及び第2メイン外形信号として、それぞれサブ絶対値信号、第1メイン絶対値信号及び第2メイン絶対値信号についてピークホールドを取った信号を生成する。音ジャム判定部153は、各絶対値信号の極大値を一定のホールド期間だけホールドし、その後一定の減衰率で減衰させることにより各外形信号を生成する。
次に、音ジャム判定部153は、第1メイン外形信号とサブ外形信号の差を表す第1差分信号、及び、第2メイン外形信号とサブ外形信号の差を表す第2差分信号を生成する(ステップS304)。音ジャム判定部153は、第1メイン外形信号とサブ外形信号について、同一時刻における信号値の差を算出し、算出した差を時刻順に並べた信号を第1差分信号として生成する。なお、信号値の差が0未満の負の値を取る場合、信号値の差は0とする。同様に、音ジャム判定部153は、第2メイン外形信号とサブ外形信号について、同一時刻における信号値の差を算出し、算出した差を時刻順に並べた信号を第2差分信号として生成する。
次に、音ジャム判定部153は、第1差分信号の信号値について、第1の閾値Th1以上である場合に増大させ、第1の閾値Th1未満である場合に減少させる第1カウンタ値を算出する。同様に、音ジャム判定部153は、第2差分信号の信号値について、第1の閾値Th1以上である場合に増大させ、第1の閾値Th1未満である場合に減少させる第2カウンタ値を算出する(ステップS305)。
音ジャム判定部153は、所定の時間間隔(例えば音信号のサンプリング間隔)ごとに、第1差分信号の信号値が第1の閾値Th1以上であるか否かを判定し、第1差分信号の信号値が第1の閾値Th1以上である場合、第1カウンタ値をインクリメントし、第1の閾値Th1未満である場合、第1カウンタ値をデクリメントする。同様に、音ジャム判定部153は、所定の時間間隔ごとに、第2差分信号の信号値が第1の閾値Th1以上であるか否かを判定し、第2差分信号の信号値が第1の閾値Th1以上である場合、第2カウンタ値をインクリメントし、第1の閾値Th1未満である場合、第2カウンタ値をデクリメントする。
次に、音ジャム判定部153は、第1カウンタ値及び第2カウンタ値のうちの少なくとも一方が第2の閾値Th2以上であるか否かを判定する(ステップS306)。音ジャム判定部153は、第1カウンタ値及び第2カウンタ値のうちの少なくとも一方が第2の閾値Th2以上であれば音ジャムが発生したと判定する(ステップS307)。一方、音ジャム判定部153は、第1カウンタ値及び第2カウンタ値の両方が第2の閾値Th2未満であれば音ジャムは発生していないと判定し(ステップS308)、一連のステップを終了する。
音ジャム判定部153は、第1メイン外形信号及び第2メイン外形信号からそれぞれサブ外形信号を引いた差に基づいて、ジャムが発生したか否かを判定する。すなわち、音ジャム判定部153は、第1メイン外形信号及び第2メイン外形信号に基づいて、ジャムが発生したか否かを判定し、サブ外形信号に基づいてそのジャムの判定方法を変更している。
なお、第1音信号出力部141aは、図5に示す構成に限定されない。第1音信号出力部141aは、第1マイクロフォン113aのみを備え、第1フィルタ部142a、第1増幅部143a及び第1音A/D変換部144aは、第1音信号出力部141aの外部に備えられてもよい。また、第1音信号出力部141aは、第1マイクロフォン113a及び第1フィルタ部142aのみ、あるいは第1マイクロフォン113a、第1フィルタ部142a及び第1増幅部143aのみを備えてもよい。さらに、第1音信号出力部141aは、図5に示す各部に加えて、第1原信号から第1絶対値信号を生成する絶対値信号生成部を備えてもよい。さらに、第1音信号出力部141aは、図4に示す各部に加えて、サブ原信号からサブ絶対値信号を生成する絶対値信号生成部、及びサブ絶対値信号からサブ外形信号を生成する外形信号生成部を備えてもよい。
同様に、第2音信号出力部141bは、図5に示す構成に限定されない。第2音信号出力部141bは、第2マイクロフォン113bのみを備え、第2フィルタ部142b、第2増幅部143b及び第2音A/D変換部144bは、第2音信号出力部141bの外部に備えられてもよい。また、第2音信号出力部141bは、第2マイクロフォン113b及び第2フィルタ部142bのみ、あるいは第2マイクロフォン113b、第2フィルタ部142b及び第2増幅部143bのみを備えてもよい。さらに、第2音信号出力部141bは、図5に示す各部に加えて、第2原信号から第2絶対値信号を生成する絶対値信号生成部を備えてもよい。さらに、第2音信号出力部141bは、図4に示す各部に加えて、第1メイン原信号から第1メイン絶対値信号を生成する絶対値信号生成部、及び第1メイン絶対値信号から第1メイン外形信号を生成する外形信号生成部を備えてもよい。
同様に、第3音信号出力部141cは、図5に示す構成に限定されない。第3音信号出力部141cは、第3マイクロフォン113cのみを備え、第3フィルタ部142c、第3増幅部143c及び第3音A/D変換部144cは、第3音信号出力部141cの外部に備えられてもよい。また、第3音信号出力部141cは、第3マイクロフォン113c及び第3フィルタ部142cのみ、あるいは第3マイクロフォン113c、第3フィルタ部142c及び第3増幅部143cのみを備えてもよい。さらに、第3音信号出力部141cは、図5に示す各部に加えて、第2メイン原信号から第2メイン絶対値信号を生成する絶対値信号生成部を備えてもよい。さらに、第3音信号出力部141cは、図5に示す各部に加えて、第2メイン原信号から第2メイン絶対値信号を生成する絶対値信号生成部、及び第2メイン絶対値信号から第2メイン外形信号を生成する外形信号生成部を備えてもよい。
また、音ジャム判定部153は、第2マイクロフォン113bが出力した信号から第1マイクロフォン113aが出力した信号を引いた差と、第3マイクロフォン113cが出力した信号から第1マイクロフォン113aが出力した信号を引いた差とに基づいて、ジャムが発生したか否かを判定してもよい。その場合、第2マイクロフォン113bが出力した信号から第1マイクロフォン113aが出力した信号を引いた差分信号に、所定のバンドパスフィルタを適用し、増幅し、デジタル変換し、外形を抽出してジャム判定に利用する。同様に、第3マイクロフォン113cが出力した信号から第1マイクロフォン113aが出力した信号を引いた差を表す差分信号に、所定のバンドパスフィルタを適用し、増幅し、デジタル変換し、外形を抽出してジャム判定に利用する。
また、音ジャム判定部153は、第2フィルタ部142bが出力した信号から第1フィルタ部142aが出力した信号を引いた差と、第3フィルタ部142cが出力した信号から第1フィルタ部142aが出力した信号を引いた差とに基づいて、ジャムが発生したか否かを判定してもよい。その場合、第2フィルタ部142bが出力した信号から第1フィルタ部142aが出力した信号を引いた差分信号を増幅し、デジタル変換し、外形を抽出してジャム判定に利用する。同様に、第3フィルタ部142cが出力した信号から第1フィルタ部142aが出力した信号を引いた差分信号を増幅し、デジタル変換し、外形を抽出してジャム判定に利用する。
また、音ジャム判定部153は、第2増幅部143bが出力した信号から第1増幅部143aが出力した信号を引いた差と、第3増幅部143cが出力した信号から第1増幅部143aが出力した信号を引いた差とに基づいて、ジャムが発生したか否かを判定してもよい。その場合、第2増幅部143bが出力した信号から第1増幅部143aが出力した信号を引いた差分信号をデジタル変換し、外形を抽出してジャム判定に利用する。同様に、第3増幅部143cが出力した信号から第1増幅部143aが出力した信号を引いた差分信号をデジタル変換し、外形を抽出してジャム判定に利用する。
また、音ジャム判定部153は、第1メイン原信号からサブ原信号を引いた差と、第2メイン原信号からサブ原信号を引いた差とに基づいて、ジャムが発生したか否かを判定してもよい。その場合、音ジャム判定部153は、第1メイン原信号からサブ原信号を引いた差分信号の外形を抽出してジャム判定に利用する。同様に、音ジャム判定部153は、第2メイン原信号からサブ原信号を引いた差分信号の外形を抽出してジャム判定に利用する。
また、音ジャム判定部153は、第1メイン絶対値信号からサブ絶対値信号を引いた差と、第2メイン絶対値信号からサブ絶対値信号を引いた差とに基づいて、ジャムが発生したか否かを判定してもよい。その場合、音ジャム判定部153は、第1メイン絶対値信号からサブ絶対値信号を引いた差分信号の外形を抽出してジャム判定に利用する。同様に、音ジャム判定部153は、第2メイン絶対値信号からサブ絶対値信号を引いた差分信号の外形を抽出してジャム判定に利用する。
以下、サブ外形信号に基づいてジャムの判定方法を変更することの意義について説明する。
図9は、スキュージャムについて説明するための図である。
図9に示すように、原稿Pが原稿搬送方向に対して傾いて搬送されると、原稿Pの後端は原稿台103上においてサイドガイド104aを乗り越えてしまう。さらに原稿Pが搬送されると、下側筐体101と原稿台103が係合している位置の近傍の位置L1において、原稿の搬送路の側壁に原稿Pの端部がぶつかり、大きな音が発生する。このように原稿が傾いて搬送された結果ジャムが発生することをスキュージャムという。
図10は、ステイプルジャムについて説明するための図である。
図10は、ステイプルSで綴じられた原稿Pがその綴じられた部分を下流側に向けて搬送される場合の例を示している。複数の原稿をステイプルで綴じた場合、一般に原稿の四隅のうちの何れかがステイプルで綴じられることとなる。ステイプルSで綴じられた原稿Pが、その綴じられた部分を下流側に向けて原稿搬送装置100で搬送されてしまうと、給紙ローラ111とリタードローラ112により、原稿Pのうち給紙ローラ111と接触している原稿P1のみが搬送されようとする。しかし、原稿P1以外の原稿はステイプルSで綴じられているため搬送されない。
したがって、原稿P1はステイプルSを中心に回転し、原稿P1の後端は原稿台103上においてサイドガイド104bを乗り越えてしまう。さらに原稿P1が回転すると、下側筐体101と原稿台103が係合している位置の近傍の位置L2において、原稿の搬送路の側壁に原稿P1の端部がぶつかり、大きな音が発生する。また、原稿P1はステイプルSで綴じられた部分の周辺の位置L3においても、ゆがみやシワが発生して、大きな音が発生する。このようにステイプルで綴じられた原稿が搬送された結果ジャムが発生することをステイプルジャムという。
図11は、シワを有する原稿が搬送される場合について説明するための図である。
図11に示すように、シワを有する原稿Pが搬送されると、原稿Pが給紙ローラ111とリタードローラ112の間を通過する時に、ジャムが発生しなくても、そのシワにより大きな音が発生する。第1マイクロフォン113a、第2マイクロフォン113b及び第3マイクロフォン113cは、このシワにより発生した音も集音してしまう。
特に、給紙ローラ111及びリタードローラ112の近傍に配置された第1マイクロフォン113aは、シワにより発生した音を大きな音で集音する。一方、第2マイクロフォン113b及び第3マイクロフォン113cは、給紙ローラ111及びリタードローラ112から離れた位置に配置されているため、シワにより発生した音を第1マイクロフォン113aほど大きな音で集音しない。
図12は、シワを有する原稿が搬送された場合の音ジャム判定についての各信号の例を示すグラフである。
図12A、図12B、図12C及び図12Dの横軸は時間を示し、図12A、図12B及び図12Cの縦軸は信号値を示し、図12Dの縦軸はカウンタ値を示す。図12Aのグラフは、シワを有する原稿が搬送された場合の第1メイン絶対値信号1201と、第1メイン絶対値信号1201から生成された第1メイン外形信号1202の例を表す(図8のステップS302、S303参照)。図12Bのグラフは、シワを有する原稿が搬送された場合のサブ絶対値信号1211と、サブ絶対値信号1211から生成されたサブ外形信号1212の例を表す(図8のステップS302、S303参照)。図12Cのグラフは、第1メイン外形信号1202と、サブ外形信号1212から生成された第1差分信号1221の例を表す(図8のステップS304参照)。図12Dのグラフは、第1差分信号1221について算出された第1カウンタ値1231の例を表す(図8のステップS305参照)。
図12A及び図12Bに示すように、第2マイクロフォン113bが集音した音に基づく第1メイン外形信号1202と比較して、第1マイクロフォン113aが集音した音に基づくサブ外形信号1212はある程度の大きさを有している。図12Cに示すように、第1差分信号1221の信号値は、頻繁には第1の閾値Th1以上となっていない。したがって、図12Dに示すように、第1カウンタ値1231は第2の閾値Th2以上とならず、シワを有する原稿が搬送された場合、音ジャムが発生したと判定されることがない。
第1差分信号1221は、第1メイン外形信号1202からサブ外形信号1212を減じることによって生成されているので、原稿のシワにより発生する音の成分を略除去した信号となる。同様に、第2差分信号は、第2メイン外形信号からサブ外形信号を減じることによって生成されているので、原稿のシワにより発生する音の成分を略除去した信号となる。ここで、「原稿のシワにより発生する音の成分」とは、第2マイクロフォン113b又は第3マイクロフォン113cが集音した音に基づく各信号の信号値のうち、シワを有する原稿が給紙ローラ111とリタードローラ112の間を通過する時に発生した音により高くなった部分のことを意味する。「原稿のシワにより発生する音の成分を略除去した信号」とは、第2マイクロフォン113b又は第3マイクロフォン113cが集音した音に基づく各信号から原稿のシワにより発生する音による影響を低減させた信号を意味する。音ジャム判定部153は、「原稿のシワにより発生する音の成分を略除去した」差分信号に基づいてジャムの発生の有無を判定しているため、原稿のシワにより発生する音によってジャム判定の誤りを抑制できる。
図13は、図12Aの第1メイン外形信号1202について算出されたカウンタ値1301を示すグラフである。
図13の横軸は時間を示し、縦軸はカウンタ値を示す。図13においては、第1メイン外形信号1202について、第1の閾値Th1以上である場合に増大させ、第1の閾値Th1未満である場合に減少させるようにカウンタ値1301を算出している。図13に示すように、第1メイン外形信号1202について算出されたカウンタ値1301は時刻T1において第2の閾値Th2以上となっている。つまり、第2マイクロフォン113bが集音した音及び第3マイクロフォン113cが集音した音のうちの何れか一方のみに基づいて、ジャムの発生の有無を判定すると、原稿のシワにより発生する音によってジャムの発生の判定を誤る可能性がある。
図14は、シワを有さない原稿が搬送されて図9に示したスキュージャムが発生した場合の音ジャム判定についての各信号の例を示すグラフである。
図14A、図14B、図14C及び図14Dの横軸は時間を示し、図14A、図14B及び図14Cの縦軸は信号値を示し、図14Dの縦軸はカウンタ値を示す。図14Aのグラフは、シワを有さない原稿が搬送されてスキュージャムが発生した場合の第1メイン絶対値信号1401と、第1メイン絶対値信号1401から生成された第1メイン外形信号1402の例を表す。図14Bのグラフは、シワを有さない原稿が搬送されてスキュージャムが発生した場合のサブ絶対値信号1411と、サブ絶対値信号1411から生成されたサブ外形信号1412の例を表す。図14Cのグラフは、第1メイン外形信号1402と、サブ外形信号1412から生成された第1差分信号1421の例を表す。図14Dのグラフは、第1差分信号1421について算出された第1カウンタ値1431の例を表す。
図9に示したスキュージャムが発生すると、位置L1の近くの第2マイクロフォン113bではスキュージャムにより発生した音が良好に集音されるが、位置L1から離れた第1マイクロフォン113aでは第2マイクロフォン113bほど大きな音では集音されない。
したがって、図14A及び図14Bに示すように、第2マイクロフォン113bが集音した音に基づく第1メイン外形信号1402は、第1マイクロフォン113aが集音した音に基づくサブ外形信号1412より全体的に大きい値を取っている。図14Cに示すように、第1差分外形信号1421の信号値は、時刻T2で第1の閾値Th1以上となり、その後、頻繁に第1の閾値Th1以上となる。図14Dに示すように、第1カウンタ値1431は時刻T2から増大し、その後、増減を繰り返しながら時刻T3で第2の閾値Th2以上となり、音ジャムが発生したと判定される。
図15は、シワを有さない原稿が搬送されて図10に示したステイプルジャムが発生した場合の音ジャム判定についての各信号の例を示すグラフである。
図15A、図15B、図15C及び図15Dの横軸は時間を示し、図15A、図15B及び図15Cの縦軸は信号値を示し、図15Dの縦軸はカウンタ値を示す。図15Aのグラフは、ステイプルジャムが発生した場合の第1メイン絶対値信号1501と、第1メイン絶対値信号1501から生成された第1メイン外形信号1502の例を表す。図15Bのグラフは、ステイプルジャムが発生した場合のサブ絶対値信号1511と、サブ絶対値信号1511から生成されたサブ外形信号1512の例を表す。図15Cのグラフは、第1メイン外形信号1502と、サブ外形信号1512から生成された第1差分信号1521の例を表す。図15Dのグラフは、第1差分信号1521について算出された第1カウンタ値1531の例を表す。
図10に示したステイプルジャムが発生すると、位置L2の近くの第3マイクロフォン113c及び位置L3の近くの第2マイクロフォン113bでは、ステイプルジャムにより発生した音が良好に集音される。一方、位置L2及び位置L3の両方から離れた第1マイクロフォン113aでは、ステイプルジャムにより発生した音は、第2マイクロフォン113b及び第3マイクロフォン113cほど大きな音で集音されない。
したがって、図15A及び図15Bに示すように、第2マイクロフォン113bが集音した音に基づく第1メイン外形信号1502は、第1マイクロフォン113aが集音した音に基づくサブ外形信号1512より全体的に大きい値を取っている。図15Cに示すように、第1差分信号1521の信号値は、頻繁に第1の閾値Th1以上となっている。図15Dに示すように、第1カウンタ値1531は時刻T4で第2の閾値Th2以上となり、音ジャムが発生したと判定される。
なお、二つ折りにされた原稿が搬送される場合、その二つ折りにされた部分がステイプルで綴じられた部分と同様に働いてジャムが発生し、原稿の搬送路の両端において大きな音が発生する。そのため、原稿搬送装置100は、二つ折りにされた原稿が搬送されてジャムが発生した場合も、ステイプルジャムが発生した場合と同様に、音ジャムが発生したと判定することができる。
図16は、シワを有する原稿が搬送されてスキュージャムが発生した場合の音ジャム判定についての各信号の例を示すグラフである。
図16A、図16B、図16C及び図16Dの横軸は時間を示し、図16A、図16B及び図16Cの縦軸は信号値を示し、図16Dの縦軸はカウンタ値を示す。図16Aのグラフは、シワを有する原稿が搬送されてスキュージャムが発生した場合の第1メイン絶対値信号1601と、第1メイン絶対値信号1601から生成された第1メイン外形信号1602の例を表す。図16Bのグラフは、シワを有する原稿が搬送されてスキュージャムが発生した場合のサブ絶対値信号1611と、サブ絶対値信号1611から生成されたサブ外形信号1612の例を表す。図16Cのグラフは、第1メイン外形信号1602と、サブ外形信号1612から生成された第1差分信号1621の例を表す。図16Dのグラフは、第1差分信号1621について算出された第1カウンタ値1631の例を表す。
図16Cに示すように、第1差分信号1621は、原稿のシワにより発生する音が略除去されているため、図16Aの第1メイン外形信号1602より小さくなっている。しかし、スキュージャムにより発生する音が十分に大きいため、図16Dに示すように、カウンタ値1631は時刻T5において第2の閾値Th2以上となり、音ジャムが発生したと判定される。
図17は、シワを有する原稿が搬送されてステイプルジャムが発生した場合の音ジャム判定についての各信号の例を示すグラフである。
図17A、図17B、図17C及び図17Dの横軸は時間を示し、図17A、図17B及び図17Cの縦軸は信号値を示し、図17Dの縦軸はカウンタ値を示す。図17Aのグラフは、シワを有する原稿が搬送されてスキュージャムが発生した場合の第1メイン絶対値信号1701と、第1メイン絶対値信号1701から生成された第1メイン外形信号1702の例を表す。図17Bのグラフは、シワを有する原稿が搬送されてスキュージャムが発生した場合のサブ絶対値信号1711と、サブ絶対値信号1711から生成されたサブ外形信号1712の例を表す。図17Cのグラフは、第1メイン外形信号1702と、サブ外形信号1712から生成された第1差分信号1721の例を表す。図17Dのグラフは、第1差分信号1721について算出された第1カウンタ値1731の例を表す。
図17Cに示すように、第1差分信号1721は、原稿のシワにより発生する音が略除去されているため、図17Aの第1メイン外形信号1702より小さくなっている。しかし、ステイプルジャムにより発生する音が十分に大きいため、図17Dに示すように、カウンタ値1731は時刻T6において第2の閾値Th2以上となり、音ジャムが発生したと判定される。
以上のように、音ジャム判定部153は、シワを有する原稿が搬送されてもスキュージャム及びステイプルジャムが発生していない場合は、音ジャムが発生したと判定しない。一方、音ジャム判定部153は、スキュージャム又はステイプルジャムが発生した場合は、その原稿がシワを有するか否かにかかわらず、音ジャムが発生したと判定することができる。
なお、第2マイクロフォン113b及び第3マイクロフォン113cのうちの何れか一方を省略し、第1メイン原信号及び第2メイン原信号のうちの何れか一方について、音ジャム判定を省略してもよい。上述したように、ステイプルジャムが発生する場合、原稿の搬送路の両端において大きな音が発生するため、この場合でも、ステイプルジャムについては精度良く検出することができる。
図18は、位置ジャム判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
図18に示す動作のフローは、図8に示すフローチャートのステップS202において実行される。
最初に、位置ジャム判定部154は、第2原稿検出部114で原稿の先端が検出されるまで待機する(ステップS401)。位置ジャム判定部154は、第2原稿検出部114からの第2原稿検出信号の値が、原稿が存在しない状態を表す値から存在する状態を表す値に変化すると、第2原稿検出部114の位置、すなわち給紙ローラ111及びリタードローラ112の下流、かつ第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の上流において原稿の先端が検出されたと判定する。
次に、第2原稿検出部114で原稿の先端が検出されると、位置ジャム判定部154は、計時を開始する(ステップS402)。
次に、位置ジャム判定部154は、第3原稿検出部118で原稿の先端が検出されたか否かを判定する(ステップS403)。位置ジャム判定部154は、第3原稿検出部118からの第3原稿検出信号の値が、原稿が存在しない状態を表す値から存在する状態を表す値に変化すると、第3原稿検出部118の位置、すなわち第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の下流、かつ撮像部119の上流において原稿の先端が検出されたと判定する。
第3原稿検出部118で原稿の先端が検出されると、位置ジャム判定部154は、位置ジャムは発生していないと判定し(ステップS404)、一連のステップを終了する。
一方、第3原稿検出部118で原稿の先端が検出されていないと、位置ジャム判定部154は、計時を開始してから所定時間(例えば1秒間)が経過したか否かを判定する(ステップS405)。所定時間が経過していなければ、位置ジャム判定部154は、ステップS403へ処理を戻し、再度、第3原稿検出部118で原稿の先端が検出されたか否かを判定する。一方、所定時間が経過した場合、位置ジャム判定部154は、位置ジャムが発生したと判定し(ステップS406)、一連のステップを終了する。なお、原稿搬送装置100において位置ジャム判定処理が必要でない場合には、省略してもよい。
なお、中央処理部150は、第3原稿検出部118からの第3原稿検出信号により、第1搬送ローラ116と第1従動ローラ117の下流において原稿の先端を検出すると、次の原稿が送り込まれないように、一端駆動部145を制御して給紙ローラ111及びリタードローラ112の回転を停止させる。その後、中央処理部150は、第2原稿検出部114からの第2原稿検出信号により、給紙ローラ111とリタードローラ112の下流において原稿の後端を検出すると、再度駆動部145を制御して給紙ローラ111及びリタードローラ112を回転させて、次の原稿を搬送させる。これにより、中央処理部150は、複数の原稿が搬送路内で重なることを防止している。そのため、位置ジャム判定部154は、中央処理部150が給紙ローラ111及びリタードローラ112を回転させるように駆動部145を制御した時点で計時を開始し、所定時間以内に第3原稿検出部118で原稿の先端が検出されなかった場合に位置ジャムが発生したと判定してもよい。
図19は、重送判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
図19に示す動作のフローは、図8に示すフローチャートのステップS203において実行される。
最初に、重送判定部155は、超音波センサ115から超音波信号を取得する(ステップS501)。
次に、重送判定部155は、取得した超音波信号の信号値が、重送判定閾値未満であるか否かを判定する(ステップS502)。
図20は、超音波信号の特性について説明するための図である。
図20のグラフ2000において、実線2001は単数の原稿が搬送されている場合の超音波信号の特性を示し、点線2002は原稿の重送が発生している場合の超音波信号の特性を示す。グラフ2000の横軸は時間を示し、縦軸は超音波信号の信号値を示す。重送が発生していることにより、区間2003において点線2002の超音波信号の信号値が低下している。そのため、超音波信号の信号値が重送判定閾値ThA未満であるか否かにより原稿の重送が発生したか否かを判定することができる。
重送判定部155は、超音波信号の信号値が重送判定閾値未満である場合、原稿の重送が発生したと判定し(ステップS503)、一方、超音波信号の信号値が重送判定閾値以上である場合、原稿の重送は発生していないと判定し(ステップS504)、一連のステップを終了する。なお、原稿搬送装置において重送判定処理が必要でない場合には、省略してもよい。
以上詳述したように、原稿搬送装置100は、図6、図7及び図9に示したフローチャートに従って動作することによって、給紙ローラ111及びリタードローラ112の近傍に設けられた第1マイクロフォン113aが集音した音から生成したサブ原信号に基づいて、原稿の搬送に伴って発生する音、特に原稿のシワにより発生する音を略除去できるようになった。したがって、原稿搬送装置100は、原稿の搬送に伴って発生する音によって、音によるジャムの発生の判定を誤ることを抑制することが可能となった。
図21は、音ジャム判定処理の動作の他の例を示すフローチャートである。
このフローチャートは、原稿搬送装置100において、前述した図9に示すフローチャートの代りに実行することが可能である。図21に示すフローチャートでは、図9に示すフローチャートと異なり、音ジャム判定部153は、第1差分信号及び第2差分信号に基づいて音ジャム判定を行うことに代えて、第1メイン原信号及び第2メイン原信号に基づいて音ジャム判定を行う。そして、音ジャム判定部153は、サブ原信号に基づいて原稿がシワを有するか否かを判定し、原稿がシワを有すると判定した場合にジャムの判定方法を変更する。
最初に、音ジャム判定部153は、第1音信号出力部141aからサブ原信号を取得する(ステップS701)。
次に、音ジャム判定部153は、サブ原信号について絶対値を取ったサブ絶対値信号を生成する(ステップS702)。
次に、音ジャム判定部153は、サブ絶対値信号の外形を抽出したサブ外形信号を生成する(ステップS703)。
次に、音ジャム判定部153は、サブ外形信号について、第1の閾値Th1以上である場合に増大させ、第1の閾値Th1未満である場合に減少させる第3カウンタ値を算出する(ステップS704)。
次に、音ジャム判定部153は、第3カウンタ値が第3の閾値Th3以上であるか否かを判定する(ステップS705)。音ジャム判定部153は、第3カウンタ値が第3の閾値Th3以上であれば、搬送された原稿がシワを有すると判定し(ステップS706)、第4の閾値Th4及び第5の閾値Th5を通常の値より大きい所定の値に変更する(ステップS707)。第4の閾値Th4及び第5の閾値Th5の詳細については後述する。一方、音ジャム判定部153は、第3カウンタ値が第3の閾値Th3未満であれば搬送された原稿がシワを有さないと判定する(ステップS708)。
次に、音ジャム判定部153は、第2音信号出力部141bから第1メイン原信号を取得し、第3音信号出力部141cから第2メイン原信号を取得する(ステップS709)。
次に、音ジャム判定部153は、第1メイン原信号について絶対値を取った第1メイン絶対値信号、及び、第2メイン原信号について絶対値を取った第2メイン絶対値信号を生成する(ステップS710)。
次に、音ジャム判定部153は、第1メイン絶対値信号の外形を抽出した第1メイン外形信号、及び、第2メイン絶対値信号の外形を抽出した第2メイン外形信号を生成する(ステップS711)。
次に、音ジャム判定部153は、第1メイン外形信号について、第1の閾値Th1以上である場合に増大させ、第1の閾値Th1未満である場合に減少させる第4カウンタ値を算出する。同様に、音ジャム判定部153は、第2メイン外形信号について、第1の閾値Th1以上である場合に増大させ、第1の閾値Th1未満である場合に減少させる第5カウンタ値を算出する(ステップS712)。
次に、音ジャム判定部153は、第4カウンタ値及び第5カウンタ値のうちの少なくとも一方が第4の閾値Th4以上であるか否かを判定する(ステップS713)。音ジャム判定部153は、第4カウンタ値及び第5カウンタ値のうちの少なくとも一方が第4の閾値Th4以上であれば音ジャムが発生したと判定する(ステップS714)。一方、音ジャム判定部153は、第4カウンタ値及び第5カウンタ値の両方が第4の閾値Th4未満であれば音ジャムは発生していないと判定し(ステップS715)、一連のステップを終了する。
なお、音ジャム判定部153は、ステップS707において第4の閾値Th4及び第5の閾値Th5を通常の値より大きい所定の値に変更する代わりに、第4カウンタ値及び第5カウンタ値をインクリメントするかデクリメントするかを判定するための第1の閾値Th1を通常の値より大きい所定の値に変更してもよい。
図22は、シワを有する原稿が搬送され、且つジャムが発生していない場合の音ジャム判定についての各信号の例を示すグラフである。
図22A、図22B、図22C及び図22Dの横軸は時間を示し、図22A及び図22Cの縦軸は信号値を示し、図22B及び図22Dの縦軸はカウンタ値を示す。図22Aのグラフは、シワを有する原稿が搬送され、且つジャムが発生していない場合のサブ絶対値信号2201と、サブ絶対値信号2201から生成されたサブ外形信号2202の例を表す(図21のステップS702、S703参照)。図22Bのグラフは、サブ外形信号2202について算出された第3カウンタ値2211の例を表す(図21のステップS704参照)。図22Cのグラフは、シワを有する原稿が搬送され、且つジャムが発生していない場合の第1メイン絶対値信号2221と、第1メイン絶対値信号2221から生成された第1メイン外形信号2222の例を表す(図21のステップS710、S711参照)。図22Dのグラフは、第1メイン外形信号2222について算出された第4カウンタ値2231の例を表す(図21のステップS712参照)。
図22Aに示すように、シワを有する原稿によって給紙ローラ111及びリタードローラ112で発生する音により、サブ外形信号2202の信号値は、頻繁に第1の閾値Th1以上となっている。図22Bに示すように、第3カウンタ値は時刻T7で第3の閾値Th3以上となり、原稿がシワを有すると判定される。したがって、この場合、時刻T7において第4の閾値Th4は変更される。
一方、図22Cに示すように、シワを有する原稿によって給紙ローラ111及びリタードローラ112で発生する音により、第1メイン外形信号2222の信号値も、頻繁に第1の閾値Th1以上となっている。しかし、図22Dに示すように、時刻T7で第4の閾値Th4が大きい値に変更されるので、第4カウンタ値は第4の閾値Th4以上とならず、シワを有する原稿が搬送された場合、音ジャムが発生したと判定されることがない。
図23は、シワを有さない原稿が搬送されてスキュージャムが発生した場合の音ジャム判定についての各信号の例を示すグラフである。
図23A、図23B、図23C及び図23Dの横軸は時間を示し、図23A及び図23Cの縦軸は信号値を示し、図23B及び図23Dの縦軸はカウンタ値を示す。図23Aのグラフは、シワを有さない原稿が搬送されてスキュージャムが発生した場合のサブ絶対値信号2301と、サブ絶対値信号2301から生成されたサブ外形信号2302の例を表す。図23Bのグラフは、サブ外形信号2302について算出された第3カウンタ値2311の例を表す。図23Cのグラフは、シワを有さない原稿が搬送されてスキュージャムが発生した場合の第1メイン絶対値信号2321と、第1メイン絶対値信号2321から生成された第1メイン外形信号2322の例を表す。図23Dのグラフは、第1メイン外形信号2322について算出された第4カウンタ値2331の例を表す。
図23Aに示すように、搬送される原稿はシワを有していないため、サブ外形信号2302の信号値は、頻繁には第1の閾値Th1以上となっていない。図23Bに示すように、第3カウンタ値2311は第3の閾値Th3以上とならず、原稿がシワを有さないと判定される。したがって、この場合、第4の閾値Th4は変更されない。
一方、図23Cに示すように、スキュージャムによって発生する音により、第1メイン絶対値信号2321の信号値は、頻繁に第1の閾値Th1以上となっている。したがって、図23Dに示すように、第4カウンタ値2331は時刻T8で第4の閾値Th4以上となり、音ジャムが発生したと判定される。
図24は、シワを有さない原稿が搬送されてステイプルジャムが発生した場合の音ジャム判定についての各信号の例を示すグラフである。
図24A、図24B、図24C及び図24Dの横軸は時間を示し、図24A及び図24Cの縦軸は信号値を示し、図24B及び図24Dの縦軸はカウンタ値を示す。図24Aのグラフは、シワを有さない原稿が搬送されてステイプルジャムが発生した場合のサブ絶対値信号2401と、サブ絶対値信号2401から生成されたサブ外形信号2402の例を表す。図24Bのグラフは、サブ外形信号2402について算出された第3カウンタ値2411の例を表す。図24Cのグラフは、シワを有さない原稿が搬送されてステイプルジャムが発生した場合の第1メイン絶対値信号2421と、第1メイン絶対値信号2421から生成された第1メイン外形信号2422の例を表す。図24Dのグラフは、第1メイン外形信号2422について算出された第4カウンタ値2431の例を表す。
図24Aに示すように、搬送される原稿はシワを有していないため、サブ外形信号2402の信号値は、頻繁には第1の閾値Th1以上となっていない。図24Bに示すように、第3カウンタ値2411は第3の閾値Th3以上とならず、原稿がシワを有さないと判定される。したがって、この場合、第4の閾値Th4は変更されない。
一方、図24Cに示すように、ステイプルによって発生する音により、第1メイン外形信号2422の信号値は、頻繁に第1の閾値Th1以上となっている。したがって、図24Dに示すように、第4カウンタ値2431は時刻T9で第4の閾値Th4以上となり、音ジャムが発生したと判定される。
図25は、シワを有する原稿が搬送されてスキュージャムが発生した場合の音ジャム判定についての各信号の例を示すグラフである。
図25A、図25B、図25C及び図25Dの横軸は時間を示し、図25A及び図25Cの縦軸は信号値を示し、図25B及び図25Dの縦軸はカウンタ値を示す。図25Aのグラフは、シワを有する原稿が搬送されてスキュージャムが発生した場合のサブ絶対値信号2501と、サブ絶対値信号2501から生成されたサブ外形信号2502の例を表す。図25Bのグラフは、サブ外形信号2502について算出された第3カウンタ値2511の例を表す。図25Cのグラフは、シワを有する原稿が搬送されてスキュージャムが発生した場合の第1メイン絶対値信号2521と、第1メイン絶対値信号2521から生成された第1メイン外形信号2522の例を表す。図25Dのグラフは、第1メイン外形信号2522について算出された第4カウンタ値2531の例を表す。
図25Aに示すように、シワを有する原稿によって給紙ローラ111及びリタードローラ112で発生する音により、サブ外形信号2502の信号値は、頻繁に第1の閾値Th1以上となっている。図25Bに示すように、第3カウンタ値2511は、時刻T10で第3の閾値Th3以上となり、原稿がシワを有すると判定される。したがって、この場合、時刻T10において第4の閾値Th4は変更される。
一方、図25Cに示すように、スキュージャムによって発生する音により、第1メイン外形信号2522の信号値は、頻繁に第1の閾値Th1以上となっている。したがって、図25Dに示すように、第4カウンタ値2531は、第4の閾値Th4が変更される時刻T10より前の時刻T11において第4の閾値Th4以上となり、音ジャムが発生したと判定される。なお、第4カウンタ値2531は、変更後の第4の閾値Th4より大きい値を取るため、第4の閾値Th4が変更される時刻T10が時刻T11より前であっても、音ジャムが発生したと判定される。
図26は、シワを有する原稿が搬送されてステイプルジャムが発生した場合の音ジャム判定についての各信号の例を示すグラフである。
図26A、図26B、図26C及び図26Dの横軸は時間を示し、図26A及び図26Cの縦軸は信号値を示し、図26B及び図26Dの縦軸はカウンタ値を示す。図26Aのグラフは、シワを有する原稿が搬送されてステイプルジャムが発生した場合のサブ絶対値信号2601と、サブ絶対値信号2601から生成されたサブ外形信号2602の例を表す。図26Bのグラフは、サブ外形信号2602について算出された第3カウンタ値2611の例を表す。図26Cのグラフは、シワを有する原稿が搬送されてステイプルジャムが発生した場合の第1メイン絶対値信号2621と、第1メイン絶対値信号2621から生成された第1メイン外形信号2622の例を表す。図26Dのグラフは、第1メイン外形信号2622について算出された第4カウンタ値2631の例を表す。
図26Aに示すように、シワを有する原稿によって給紙ローラ111及びリタードローラ112で発生する音により、サブ音信号から生成されるサブ外形信号2602の信号値は、頻繁に第1の閾値Th1以上となっている。図26Bに示すように、第3カウンタ値2611は、時刻T12で第3の閾値Th3以上となり、原稿がシワを有すると判定される。したがって、この場合、時刻T12において第4の閾値Th4は変更される。
一方、図26Cに示すように、スキュージャムによって発生する音により、第1メイン外形信号2622の信号値は、頻繁に第1の閾値Th1以上となっている。したがって、図26Dに示すように、第4カウンタ値2631は、第4の閾値Th4が変更される時刻T12より前の時刻T13において第4の閾値Th4以上となり、音ジャムが発生したと判定される。なお、第4カウンタ値2631は、変更後の第4の閾値Th4より大きい値を取るため、第4の閾値Th4が変更される時刻T12が時刻T13より前であっても、音ジャムが発生したと判定される。
以上のように、音ジャム判定部153は、シワを有する原稿が搬送されてもスキュージャム及びステイプルジャムが発生していない場合は、音ジャムが発生したと判定しない。一方、音ジャム判定部153は、スキュージャム又はステイプルジャムが発生した場合は、その原稿がシワを有するか否かにかかわらず、音ジャムが発生したと判定することができる。
以上詳述したように、原稿搬送装置100は、図6、図7及び図21に示したフローチャートに従って動作することによって、サブ原信号に基づいて原稿がシワを有するか否かを判定し、原稿がシワを有すると判定した場合に音によるジャムの発生の判定に用いる閾値を変更できるようになった。そのため、原稿搬送装置100は、原稿の搬送に伴って発生する音によって、音によるジャムの発生の判定を誤ることを抑制することが可能となった。
図27は、他の原稿搬送装置200を上側筐体102を取り外した状態で上側から見た図、すなわち図2の矢印A7と反対方向に見た図である。
図27に示す原稿搬送装置200は、二つのサイドガイドのうち一方が固定されている片側基準で給紙を行うタイプの原稿搬送装置である。
原稿搬送装置200は、原稿台203、サイドガイド204a、204b、給紙ローラ211a、211b、第1マイクロフォン213a、第2マイクロフォン213b、第1従動ローラ217a、217b、217c、217d、撮像部219b、第2従動ローラ221a、221b、221c、221d及び排出台205等を有している。
原稿搬送装置200では、サイドガイド204aは固定され、サイドガイド204bのみが原稿の搬送方向に対して左右方向に移動可能であり、サイドガイド204bを原稿の幅に合わせて位置決めすることにより原稿の幅方向を規制することができる。
第1マイクロフォン213aは、給紙ローラ211a及び211bの近傍に設けられる。第2マイクロフォン213bは、原稿の搬送路の、固定されたサイドガイド204a側の一端に設けられる。
片側基準で給紙を行うタイプの原稿搬送装置200では、サイドガイド204aとサイドガイド204a側の原稿の搬送路の側壁は近い位置に配置されるため、原稿がサイドガイド204a側に向かって傾いて搬送されると、スキュージャムが発生しやすい。しかし、サイドガイド204bとサイドガイド204b側の原稿の搬送路の側壁は離れて配置されるため、原稿がサイドガイド204b側に向かって傾いて搬送されても、スキュージャムは発生しにくい。そのため、原稿搬送装置200では、原稿の搬送路のサイドガイド204b側の一端にはマイクロフォンを設けなくても、スキュージャムについて精度良く検出することができる。
以上詳述したように、原稿搬送装置200では、原稿の搬送路の、固定されたサイドガイド204a側の一端に第2マイクロフォン213bを設けているので、片側基準で給紙を行うタイプの原稿搬送装置においてスキュージャムを精度良く検出することが可能となった。