JP5382346B2 - 熱硬化膜形成用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、熱硬化膜形成用樹脂組成物及びそれから得られる硬化膜に関する。より詳しくは、段差被覆時の平坦性が高く、液晶配向能を有するポリイミド前駆体を含む熱硬化膜形成用樹脂組成物及びその硬化膜、並びに該硬化膜の適用に関するものである。この熱硬化膜形成用組成物は、特に液晶ディスプレイにおける液晶配向機能を兼ね備えたカラーフィルタオーバーコート剤に好適である。
一般に、液晶表示素子、有機EL(electroluminescent)素子、固体撮像素子などの光デバイスでは、素子表面が製造工程中に溶剤や熱にさらされるのを防ぐために保護膜が設けられる。このような保護膜は保護する基板との密着性が高く耐溶剤性が高いだけでなく、透明性、耐熱性等の性能も要求される。
このような保護膜は、カラー液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタの保護膜として使用する場合に、下地基板であるカラーフィルタやブラックマトリックス樹脂を平坦化することも通常要求されることとなる。特にSTN方式やTFT方式のカラー液晶表示素子を製造する際には、カラーフィルタ基板と対向基板との張り合わせ精度を非常に厳密に行う必要があり、該保護膜によって基板間のセルギャップを均一にすることが必要不可欠である。また、カラーフィルタを透過する光の透過率を維持するためこれらの平坦化保護膜には高い透明性が必要となる。
一方、近年液晶ディスプレイのセル内に位相差材を導入することで低コスト化、軽量化が検討されており、このような位相差材には液晶モノマーを塗布し配向させた後、光硬化させた材料が一般的に用いられる。この位相差材を配向させるためには下層膜がラビング処理後、配向性を有する材料である必要がある。そのためカラーフィルタのオーバーコート上に液晶配向膜を成膜した後、位相差材が形成される(図1(a)参照)。この液晶配向膜とカラーフィルタのオーバーコートを兼ねる膜(図1(b)参照)を形成できれば、低コスト化、プロセス数の削減等大きなメリットが得られることから、このような材料が強く望まれている。
一般にこのカラーフィルタのオーバーコートには、透明性の高いアクリル樹脂が用いられる。このようなアクリル樹脂は熱硬化や光硬化させることで耐熱性や耐溶剤性を付与している。熱硬化の方法としてはヒドロキシ基を有するアクリル樹脂にメチロール骨格を有する架橋剤と酸触媒を添加する方法、カルボキシル基を含有するアクリル樹脂にエポキシ基を有する架橋剤を添加する方法がよく知られている。また、エポキシ基とカルボキシル基をアクリル樹脂中に導入することで熱硬化させる方法(特許文献1)やさらに熱ラジカル開始剤と一分子中に2個以上の不飽和二重結合を有する化合物を用いる方法(特許文献2)が用いられている。また、光硬化の方法としてはアクリル樹脂に一分子中に2個以上の不飽和二重結合を有する化合物と光ラジカル開始剤を添加する方法、ヒドロキシ基を含有するアクリル樹脂にメチロール骨格を有する架橋剤と光酸発生剤を添加する方法が知られている。しかしながら従来の熱硬化性や光硬化性のアクリル樹脂の平坦化率は高いものとは言えなかった。また、このような平坦化膜をラビング処理しても十分な配向性を示すことはできなかった。
一方、液晶配向膜には溶剤可溶性ポリイミドやポリアミック酸からなる材料が通常用いられている。これらの材料はポストベーク時に完全にイミド化させることで耐溶剤性を付与し、十分な配向性を示すことが報告されている(特許文献3)。しかしながら、カラーフィルタの平坦化膜としてみた場合、平坦化性と透明性が大きく低下してしまうなどの問題があった。
特開2000−103937号公報 特開2000−119472号公報 特開2005−037920号公報
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その解決しようとする課題は、液晶配向性を有し、かつ高透明性、高平坦化性を有する材料を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、本発明を見出すに至った。
すなわち本発明は、第1観点として、下記の(A)成分及び(B)成分を含有する熱硬化膜形成用樹脂組成物に関する。
(A)成分:下記式(1)及び式(2)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体、(B)成分:ビスマレイミド化合物。
Figure 0005382346
(式中、A1は脂環構造を含む有機基であり、A2は脂肪族環とベンゼン環が縮合した構造を含む有機基であり、B1及びB2のうちの少なくとも一方は−SO2−構造を含む有機基であり、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1乃至7の有機基を表す。)
第2観点として、(A)成分が、式(1)で表される構造単位と式(2)で表される構造単位とを7:3乃至4:6の比率で含むポリイミド前駆体である、第1観点に記載の熱硬化膜形成用樹脂組成物に関する。
第3観点として、下記の(A)成分及び(B)成分を含有する熱硬化膜形成用樹脂組成物に関する。
(A)成分:式(a1)及び式(a2)で表されるテトラカルボン酸二無水物を含む酸成分と、分子中に−SO2−構造を持つジアミン化合物を含むジアミン成分とを反応させて得られるポリイミド前駆体、
Figure 0005382346
(式中、A1は脂環構造を含む有機基であり、A2は脂肪族環とベンゼン環が縮合した構造を含む有機基である。)
(B)成分:ビスマレイミド化合物。
第4観点として、前記酸成分が、式(a1)で表されるテトラカルボン酸二無水物と式(a2)で表されるテトラカルボン酸二無水物をモル比で7:3乃至4:6の比率で含む酸成分である、第3観点に記載の熱硬化膜形成用樹脂組成物に関する。
第5観点として、(A)成分であるポリイミド前駆体の重量平均分子量が1,000乃至10,000である、第1観点乃至第4観点のうちのいずれか一項に記載の熱硬化膜形成用樹脂組成物に関する。
第6観点として、(A)成分の100質量部に基づいて、1乃至100質量部の(B)成分を含有する、第1観点乃至第5観点のうちのいずれか一項に記載の熱硬化膜形成用樹脂組成物に関する。
第7観点として、第1観点乃至第6観点のうちのいずれか一項に記載の熱硬化膜形成用樹脂組成物から得られる硬化膜に関する。
第8観点として、第1観点乃至第6観点のうちのいずれか一項に記載の熱硬化膜形成用樹脂組成物から得られる平坦化膜に関する。
第9観点として、第1観点乃至第6観点のうちのいずれか一項に記載の熱硬化膜形成用樹脂組成物から得られる液晶配向膜に関する。
第10観点として、第1観点乃至第6観点のうちのいずれか一項に記載の熱硬化膜形成用樹脂組成物から得られる平坦化兼液晶配向膜に関する。
第11観点として、第7観点に記載の硬化膜を有する表示素子に関する。
第12観点として、第7観点に記載の硬化膜を有する液晶表示素子に関する。
第13観点として、第7観点に記載の硬化膜を有する光学フィルムに関する。
本発明の熱硬化膜形成用樹脂組成物は、高い平坦化性、高い透明性とともに、液晶配向能を有する硬化膜を形成できるため、液晶配向膜や平坦化膜の形成材料として用いることができる。特に、従来独立して形成された液晶配向膜とカラーフィルタのオーバーコート層を、両者の特性を兼ね備える平坦化膜として同時に形成することが可能となるため、製造工程の簡略化及び低コスト化等を実現できる。
また、本発明の熱硬化膜形成用樹脂組成物は、液晶配向膜や平坦化膜としても用いることができる。
本発明の熱硬化膜形成用樹脂組成物は、(A)成分のポリイミド前駆体と(B)成分のビスマレイミド化合物を含有する組成物である。
以下、各成分の詳細を説明する。
<(A)成分>
(A)成分は、下記式(1)及び式(2)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体である。
Figure 0005382346
上記式中、A1は脂環構造を含む有機基であり、A2は脂肪族環とベンゼン環が縮合した構造を含む有機基であり、B1及びB2のうちの少なくとも一方は−SO2−構造を含む有機基であり、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1乃至7の有機基を表す。
1は、脂環構造を含む有機基、詳細には脂環構造を含む4価の有機基である。ここで「脂環構造を含む(4価の)有機基」とは、脂環構造であり、即ち、単に脂肪族環のみならず、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ等の多環系脂肪族環、テトラヒドロフランなどの環状エーテル又はビシクロヘキサン等の2環が単結合で連結している環集合や、それら環において部分的に二重結合を含むものなど、様々な環構造を含む有機基であってよい。
具体例を挙げると下記表1に示すT1乃至T19で表される構造を含む有機基等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 0005382346
2は、脂肪族環とベンゼン環が縮合した構造を含む有機基である。A2は上記のような有機基であれば特に限定されないが、具体例を挙げると下記表2に示すS1及びS2で表される有機基等が挙げられる。
Figure 0005382346
1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1乃至7の有機基を表し、好ましくは水素原子又は炭素原子数1乃至5の有機基であり、より好ましくは水素原子又は炭素原子数1乃至4の有機基であることが望ましい。その際、有機基としてはアルキル基であることが好ましい。最も好ましくは水素原子である。
本発明において、B1及びB2のうちの少なくとも一方は−SO2−構造を含む有機基である。好ましくは、B1及びB2のうち少なくとも一方は下記式(3)
Figure 0005382346
(式中、ベンゼン環の水素原子は置換されていてもいなくてもよい。)で表される構造を含む有機基であり、このような構造を含む有機基であれば特に限定されない。
上記−SO2−構造を含む有機基の具体例としては、下記のK1乃至K10で表される有機基等が挙げられる。
Figure 0005382346
本発明において、B1及びB2のいずれか一方は、−SO2−構造を含む有機基以外の構造を有するその他の有機基であっても良い。その際、−SO2−構造を含む有機基以外の構造を有するその他の有機基の種類は特に限定されない。
したがって、例えば、B1が−SO2−構造を含む有機基であるとした場合、(A)成分のポリイミド前駆体は、実際には、下記式(1)及び式(2)で表される構造単位だけではなく、式(1S)、式(2S)で表される構造単位を含み得るものとなる。
Figure 0005382346
本発明において(A)成分のポリイミド前駆体は、式(1)及び式(2)並びに上記式(1S)及び式(2S)で表される構造単位以外のその他の構造単位を含んでいても良く、その他の構造単位は特に限定されない。その際、式(1)及び式(2)並びに上記式(1S)及び式(2S)で表される構造単位以外の構造単位を一種又は複数種含んでいても良い。
(A)成分のポリイミド前駆体において、式(1)で表される構造単位(脂環構造を有する酸二無水物に由来する構造単位)と式(2)で表される構造単位(脂肪族環とベンゼン環が縮合した構造を含む有機基を有する酸二無水物に由来する構造単位)の含有比率は7:3乃至4:6が好ましい。式(1)で表される構造単位の含有比率が上記範囲よりも少ない場合、配向性が低下する傾向があり、逆に含有比率が上記範囲を超える場合は平坦化性が低下する場合がある。
(A)成分のポリイミド前駆体の重量平均分子量は、1000乃至10000であり、好ましくは1500乃至6000である。(A)成分のポリイミド前駆体の重量平均分子量が前記範囲より小さい場合、配向性及び溶剤耐性が低下する傾向があり、前記範囲を超えると平坦化性が低下する場合がある。
<(A)成分の製造方法>
本発明において、(A)成分のポリイミド前駆体は、脂環構造を有する酸二無水物、脂肪族環とベンゼン環が縮合した構造を含む有機基を有する酸二無水物を含む酸成分と、分子中に−SO2−の構造を持つジアミン化合物を含むジアミン成分とを共重合させて得られる。
詳細には、下記式(a1)及び式(a2)で表されるテトラカルボン酸二無水物を含む酸成分と、分子中に−SO2−構造を持つジアミン化合物を含むジアミン成分とを反応させて得られる。
Figure 0005382346
(式中、A1及びA2は各々前記式(1)及び式(2)における定義と同義である。)
上記酸成分は、上記式(a1)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、上記式(a2)で表されるテトラカルボン酸二無水物を、モル比で7:3乃至4:6の比率で含んでなることが望ましい。
以下にA1に脂環構造を含む有機基を有する酸二無水物(a1)、A2に脂肪族環とベンゼン環が縮合した構造を含む有機基を有する酸二無水物(a2)で表される化合物の具体例を示す。
1に脂環構造を含む有機基を有する酸二無水物(a1)としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラシクロ[2,2,1,1,1]デカン−2,3,7,8−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ノルボルナンテトカラルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、トリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸二無水物、テトラシクロ[4.4.1.02,5.07,10]ウンデカン−3,4,8,9−テトラカルボン酸二無水物、ヘキサシクロ[6.6.0.12,7.03,6.19,14.010,13]ヘキサデカン−4,5,11,12−テトラカルボン酸二無水物、1,4−ビス(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)ヘキサン、1,4−ビス(2,6−ジオキソテトラヒドロ−4−ピラニル)ヘキサン等が挙げられる。
2に脂肪族環とベンゼン環が縮合した構造を含む有機基を有する酸二無水物(a2)としては、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1,2−ジフェニル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
なお、A1に脂環構造を含む有機基を有する酸二無水物(a1)及びA2に脂肪族環とベンゼン環が縮合した構造を含む有機基を有する酸二無水物(a2)はそれぞれ、複数種用いてもよい。
本発明において、酸成分として、式(a1)及び式(a2)以外のその他のテトラカルボン酸二無水物を含んでも良い。その際、用いるその他のテトラカルボン酸二無水物は一種でも良いし、複数種であっても良い。
以下、その他のテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,5−ジカルボキシメチルテレフタル酸二無水物、4,6−ジカルボキシメチルイソフタル酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)フタル酸無水物、1,4−ビス(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)ベンゼン、1,4−ビス(2,6−ジオキソテトラヒドロ−4−ピラニル)ベンゼン、1,4−ビス(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−メチル−3−フラニル)ベンゼン、1,4−ビス(2,6−ジオキソテトラヒドロ−4−メチル−4−ピラニル)ベンゼン等が挙げられる。
ジアミン成分としては、−SO2−構造を含むジアミン化合物を少なくとも一種用いればよく、−SO2−構造を含まないそれ以外のジアミン化合物と併用しても良い。このようなジアミン化合物は下記式(b1)及び(b2)で表される。
Figure 0005382346
式中、B1及びB2は、前記式(1)及び式(2)と同義であり、B1及びB2のうちの少なくとも一方は−SO2−構造を含む有機基である。
従って、前記式(a1)及び式(a2)で表されるテトラカルボン酸二無水物を含む酸成分と反応させて得られる(A)成分のポリイミド前駆体は、(a1)と(b1)が反応して得られる構造単位を含むポリイミド前駆体、同様に、(a1)と(b2)、(a2)と(b1)、そして(a2)と(b2)が、夫々反応して、得られる構造単位を含むポリイミド前駆体を含むものとなる。
−SO2−構造を含むジアミン化合物のみを単独で用い、−SO2−構造を含まないそれ以外のジアミン化合物と併用しない場合は、上記式(b1)及び式(b2)は共に−SO2−の構造を含むジアミン化合物である。その際、B1とB2は同じ有機基、すなわち同一の−SO2−の構造を含むジアミン化合物を用いても良いし、B1とB2が異なった有機基、すなわち異なった−SO2−の構造を含むジアミン化合物を用いても良い。
また、−SO2−の構造を含むジアミン化合物以外のその他のジアミン化合物を併用する場合は、式(b1)又は式(b2)の何れか一方のみが−SO2−構造を含むジアミン化合物であり、即ち、B1又はB2の何れか一方のみが−SO2−構造を含む有機基である。
上記−SO2−構造を含むジアミン化合物の具体例としては、ビス(4−アミンフェニル)スルホン、ビス(3−アミンフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3,5−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3,5−ジヒドロキシフェニル)スルホン、3,3‘−ジアミノ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンを挙げることができる。
本発明において、ジアミン成分として、上述の−SO2−構造を含むジアミン化合物以外その他のジアミン化合物は、一種でも複数種を用いても良い。
以下にその他のジアミン化合物の具体例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジメチル−1,3−ジアミノベンゼン、2,5−ジメチル−1,4−ジアミノベンゼン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、4,6−ジアミノレゾルシノール、2,5−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、N,N−ジアリル−2,4−ジアミノアニリン、N,N−ジアリル−2,5−ジアミノアニリン、4−アミノベンジルアミン、3−アミノベンジルアミン、2−(4−アミノフェニル)エチルアミン、2−(3−アミノフェニル)エチルアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−トリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−トリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルアミン、3,4’−ジアミノジフェニルアミン、N−メチル(4,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,3’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,4’−ジアミノジフェニル)アミン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,2−ビス(3−アミノフェニル)エタン、4,4’−ジアミノトラン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)へキサン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、1,10−ビス(4−アミノフェノキシ)デカン、1,11−ビス(4−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,12−ビス(4−アミノフェノキシ)ドデカン、ビス(4−アミノフェニル)プロパンジオアート、ビス(4−アミノフェニル)ブタンジオアート、ビス(4−アミノフェニル)ペンタンジオアート、ビス(4−アミノフェニル)ヘキサンジオアート、ビス(4−アミノフェニル)ヘプタンジオアート、ビス(4−アミノフェニル)オクタンジオアート、ビス(4−アミノフェニル)ノナンジオアート、ビス(4−アミノフェニル)デカンジオアート、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンジル)ベンゼン、ビス(4−アミノフェニル)テレフタラート、ビス(3−アミノフェニル)テレフタラート、ビス(4−アミノフェニル)イソフタラート、ビス(3−アミノフェニル)イソフタラート、1,4−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス(4−アミノベンゾアート)、1,4−フェニレンビス(3−アミノベンゾアート)、1,3−フェニレンビス(4−アミノベンゾアート)、1,3−フェニレンビス(3−アミノベンゾアート)、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、ビス(3−アミノフェニル)テレフタルアミド、ビス(4−アミノフェニル)イソフタルアミド、ビス(3−アミノフェニル)イソフタルアミド、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、2,6−ジアミノジベンゾフラン、2,7−ジアミノジベンゾフラン、3,6−ジアミノジベンゾフラン、2,6−ジアミノカルバゾール、2,7−ジアミノカルバゾール、3,6−ジアミノカルバゾール、2,4−ジアミノ−6−イソプロピル−1,3,5−トリアジン、2,5−ビス(4−アミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノへキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン等が挙げられる。
前記(A)成分のポリイミド前駆体において、テトラカルボン酸二無水物の合計量(酸成分の合計量)とジアミン化合物の合計量(ジアミン成分の合計量)の配合比、即ち〈ジアミン化合物の合計モル数〉/〈テトラカルボン酸二無水物化合物の合計モル数〉は0.5乃至1.5であることが望ましい。通常の重縮合反応同様、このモル比が1に近いほど生成するポリイミド前駆体の重合度は大きくなり、分子量が増加する。
(A)成分のポリイミド前駆体の末端は、後述するB成分(ビスマレイミド化合物)との反応による保存安定性の低下を避けるため、酸無水物末端とすることが好ましい。
上記ポリイミド前駆体の末端は酸成分とジアミン成分の配合比に依存して変化する。例えば酸成分を過剰に反応させた場合、末端は酸無水物となりやすい。
一方、ジアミン成分を過剰に用いて重合した場合には、末端はアミノ基になりやすい。この場合、該末端アミノ基にカルボン酸無水物を反応させ、末端アミノ基を保護することもできる。このようなカルボン酸無水物の例としてはフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、無水マレイン酸、ナフタル酸無水物、水素化フタル酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、無水イタコン酸、テトラヒドロフタル酸無水物等を挙げることができる。
上記(A)成分のポリイミド前駆体の製造において、酸成分とジアミン成分との反応温度は−20乃至150℃、好ましくは−5乃至100℃の任意の温度を選択することができる。例えば、反応温度は5℃乃至40℃、反応時間1乃至48時間でポリイミド前駆体を得ることが出来る。
また、末端アミノ基を酸無水物で保護する場合の反応温度は−20乃至150℃、好ましくは−5乃至100℃の任意の温度を選択することができる。
上記酸成分とジアミン成分との反応は、通常、溶剤中で行なわれる。その際に使用できる溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、m−クレゾール、γ−ブチロラクトン、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン等を挙げることができる。これらは単独でも、混合して使用しても良い。さらに、ポリイミド前駆体を溶解しない溶剤であっても、重合反応により生成したポリイミド前駆体が析出しない範囲で、上記溶剤に混合して使用してもよい。
このようにして得られたポリイミド前駆体を含む溶液は、熱硬化膜形成用樹脂組成物の調製にそのまま用いることができる。また、ポリイミド前駆体を水、メタノール、エタノール等の貧溶剤に沈殿単離させて回収して用いることもできる。
<(B)成分>
本発明の(B)成分であるビスマレイミド化合物は下記の式(4)で示される。
Figure 0005382346
式中、R5は、脂肪族基、環式構造を含む脂肪族基及び芳香族基からなる群から選ばれる有機基又はそれらの群から選ばれる複数の有機基の組み合わせからなる有機基である。そして、R5には、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合等の結合を含んでいても良い。
このようなビスマレイミド化合物としては、例えば、N,N’−3,3−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−(3,3−ジエチル−5,5−ジメチル)−4,4−ジフェニル−メタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、3,3−ジフェニルスルホンビスマレイミド、4,4−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−p−ベンゾフェノンビスマレイミド、N,N’−ジフェニルエタンビスマレイミド、N,N’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−(メチレンジ−ジテトラヒドロフェニル)ビスマレイミド、N,N’−(3−エチル)−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−(3、3−ジメチル)−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−(3,3−ジエチル)−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−(3,3−ジクロロ)−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−イソホロンビスマレイミド、N,N’−トリジンビスマレイミド、N,N’−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−ナフタレンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−5−メトキシ−1,3−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−プロピル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)エタン、1,1−ビス(3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)エタン、1,1−ビス(3−クロロ−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)エタン、1,1−ビス(3−ブロモ−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)エタン、3,3−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)ペンタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、N,N’−エチレンジマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−ドデカメチレンビスマレイミド、N,N’−m−キシレンビスマレイミド、N,N’−p−キシレンビスマレイミド、N,N’−1,3−ビスメチレンシクロヘキサンビスマレイミド、N,N’−2,4−トリレンビスマレイミド、N,N’−2,6−トリレンビスマレイミド、等が挙げられる。これらのビスマレイミド化合物は特に上記のものに限定されるものではない。これらは、単独又は2種以上の成分を併用することが可能である。
これらのビスマレイミドのうち2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−(3,3−ジエチル−5,5−ジメチル)−4,4−ジフェニル−メタンビスマレイミド等の芳香族ビスマレイミドが良好な配向性を示す点から好ましい。
また、これらの芳香族ビスマレイミドのうちより高い平坦化性を得るためには分子量1000以下のものが好ましい。
本発明において(B)成分のビスマレイミド化合物の使用割合は、(A)成分のポリイミド前駆体100質量部に対して1乃至100質量部であることが好ましく、より好ましくは3乃至80質量部であり、特に好ましくは5乃至50質量部である。この割合が過小である場合には、平坦化性が低下し、過大である場合には硬化膜の透過率が低下したり塗膜が荒れたりすることがある。
<溶剤>
本発明の熱硬化膜形成用樹脂組成物は、溶剤に溶解した溶液状態で用いられることが多い。その際に用いられる溶剤は、(A)成分及び(B)成分を溶解するものであり、斯様な溶解能を有する溶剤であれば、その種類及び構造などは特に限定されるものでない。
斯様な溶剤としては、(A)成分の重合に用いた溶剤や、下記に示すそれ以外の溶剤を挙げることができる。その他の溶剤としては例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、シクロヘキサノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられる。
これらの溶剤は、一種単独で、又は二種以上の組合せで使用することができる。
<その他添加剤>
更に、本発明の熱硬化膜形成用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、界面活性剤、レオロジー調整剤、シランカップリング剤等の接着補助剤、顔料、染料、保存安定剤、消泡剤、又は多価フェノール、多価カルボン酸等の溶解促進剤等を含有することができる。
<熱硬化膜形成用樹脂組成物>
本発明の熱硬化膜形成用樹脂組成物は、(A)成分のポリイミド前駆体、(B)成分のビスマレイミド化合物を含有し、それぞれ所望によりその他添加剤のうち一種以上を更に含有することができる組成物である。そして、通常は、それらが溶剤に溶解した溶液として用いられることが多い。
中でも、本発明の熱硬化膜形成用樹脂組成物の好ましい例は、以下のとおりである。
[1]:(A)成分100質量部に基づいて、1乃至100質量部の(B)成分を含有する熱硬化膜形成用樹脂組成物。
[2]:(A)成分100質量部に基づいて、1乃至100質量部の(B)成分が溶剤に溶解した熱硬化膜形成用樹脂組成物。
本発明の熱硬化膜形成用樹脂組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶剤に溶解している限り、特に限定されるものではないが、1乃至80質量%であり、好ましくは5乃至60質量%であり、より好ましくは10乃至50質量%である。ここで、固形分とは、熱硬化膜形成用樹脂組成物の全成分から溶剤を除いたものをいう。
本発明の熱硬化膜形成用樹脂組成物の調製方法は、特に限定されないが、その調製法としては、例えば、(A)成分を溶剤に溶解し、この溶液に(B)成分を所定の割合で混合し、均一な溶液とする方法、或いは、この調製法の適当な段階において、必要に応じてその他添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
本発明の熱硬化膜形成用樹脂組成物の調製にあたっては、溶剤中における重合反応によって得られるポリイミド前駆体の溶液をそのまま使用することができ、この場合、この(A)成分の溶液に前記と同様に(B)成分などを入れて均一な溶液とする際に、濃度調整を目的としてさらに溶剤を追加投入してもよい。このとき、ポリイミド前駆体の生成過程で用いられる溶剤と、熱硬化膜形成用樹脂組成物の調製時に濃度調整のために用いられる溶剤とは同一であってもよいし、異なってもよい。
而して、調製された熱硬化膜形成用樹脂組成物の溶液は、孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いて濾過した後、使用することが好ましい。
<塗膜、硬化膜及び液晶配向膜>
本発明の熱硬化膜形成用樹脂組成物を基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、金属、例えば、アルミニウム、モリブデン、クロムなどが被覆された基板、ガラス基板、石英基板、ITO基板等)の上に、回転塗布、流し塗布、ロール塗布、スリット塗布、スリットに続いた回転塗布、インクジェット塗布、印刷などによって塗布し、その後、ホットプレート又はオーブン等で予備乾燥(プリベーク)することにより、塗膜を形成することができる。その後、この塗膜を加熱処理(ポストベーク)することにより、被膜が形成される。
このプリベークの条件としては、例えば、温度70℃乃至160℃、時間0.3乃至60分間の範囲の中から適宜選択された加熱温度及び加熱時間が採用される。加熱温度及び加熱時間は、好ましくは80℃乃至140℃、0.5乃至10分間である。
また、熱硬化膜形成用樹脂組成物から形成される被膜の膜厚は、例えば0.1乃至30μmであり、使用する基板の段差や光学的、電気的性質を考慮し適宜選択することができる。
ポストベークとしては、一般に、温度140℃乃至250℃の範囲の中から選択された加熱温度にて、ホットプレート上の場合には5乃至30分間、オーブン中の場合には30乃至90分間処理するという方法が採られる。
以上のように、本発明の熱硬化膜形成用樹脂組成物により、基板の段差を充分に平坦化でき、高透明性を有する硬化膜を形成することができる。
このようにして形成した硬化膜はラビング処理を行うことで液晶材配向膜として機能させることができる。
ラビング処理の条件としては、一般に回転速度300乃至1000rpm、送り速度3乃至20mm/秒、押し込み量0.1乃至1mmという条件が用いられる。
その後、純水等を用いて超音波洗浄によりラビングにより生じた残渣が除去される。
このようにして形成された液晶配向膜上に、位相差材料を塗布した後、位相差材料を液晶状態として光硬化させ、光学異方性を有する層を形成することができる。
位相差材料としては、例えば、重合性基を有する液晶モノマーやそれを含有する組成物等が用いられる。
そして、液晶配向膜を形成する基材がフィルムである場合は、光学異方性フィルムとして有用である。
また、上記のようにして形成された液晶配向膜を有する2枚の基板を、液晶配向膜が向かい合うように張り合わせた後、それらの基板の間に、液晶を注入して、液晶が配向した液晶表示素子とすることができる。
そのため、本発明の熱硬化膜形成用樹脂組成物は、各種光学異方性フィルム、液晶表示素子に好適に用いることができる。
また、本発明の熱硬化膜形成用樹脂組成物は高い平坦化性を有するため、薄膜トランジスタ(TFT)型液晶表示素子、有機EL素子等の各種ディスプレイにおける保護膜、平坦化膜、絶縁膜等の硬化膜を形成する材料としても有用であり、カラーフィルタのオーバーコート材、TFT型液晶素子の層間絶縁膜、有機EL素子の絶縁膜等を形成する材料としても好適である。特に液晶ディスプレイにおける液晶配向機能を兼ね備えたカラーフィルタオーバーコート剤に好適である。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。
[実施例で用いる略記号]
以下の実施例で用いる略記号の意味は、次のとおりである。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
NMP:N−メチルピロリドン
BMI1:N,N’−(3,3−ジエチル−5,5−ジメチル)−4,4−ジフェニル−メタンビスマレイミド
BMI2:2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン
BMI3:N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
TDA:3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物
DDS:ビス(4−アミノフェニル)スルホン
DA‐1M:4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン
HBPDA:3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物
[数平均分子量及び重量平均分子量の測定]
以下の合成例に従い得られるポリイミド前駆体の数平均分子量及び重量平均分子量は、日本分光(株)製GPC装置(Shodex(登録商標)カラムKD802、KD−803及びKD805)を用い、溶出溶媒N,N−ジメチルホルムアミドを流量1ml/分でカラム中に(カラム温度55℃)流して溶離させるという条件で測定した。なお、下記の数平均分子量(以下、Mnと称す。)及び重量平均分子量(以下、Mwと称す。)は、ポリエチレンオキサイドおよびポリエチレングリコール換算値にて表した。
<合成例1>
CBDA 14.7g、TDA22.5g、DDS26.1をNMP 147.7g中にて23℃で24時間反応させることにより、ポリイミド前駆体溶液(固形分濃度:30.0質量%)を得た(P1)。得られたポリイミド前駆体のMnは2,000、Mwは3,500であった。
<合成例2>
CBDA 19.6g、DDS17.4をNMP 86.3g中にて23℃で24時間反応させることにより、ポリイミド前駆体溶液(固形分濃度:30.0質量%)を得た(P2)。得られたポリイミド前駆体のMnは3,200、Mwは5,500であった。
<合成例3>
TDA30.0g、DDS17.4をNMP 110.6g中にて23℃で24時間反応させることにより、ポリイミド前駆体溶液(固形分濃度:30.0質量%)を得た(P3)。得られたポリイミド前駆体のMnは2,000、Mwは3,300であった。
<合成例4>
CBDA 14.7g、TDA22.5g、DA−1M45.4をNMP 192.8g中にて23℃で24時間反応させることにより、ポリイミド前駆体溶液(固形分濃度:30.0質量%)を得た(P4)。得られたポリイミド前駆体のMnは2,400、Mwは4,100であった。
<合成例5>
HBPDA 23.0g、TDA22.5g、DDS26.1をNMP 167.0g中にて23℃で24時間反応させることにより、ポリイミド前駆体溶液(固形分濃度:30.0質量%)を得た(P5)。得られたポリイミド前駆体のMnは3,200、Mwは5,400であった。
<実施例1乃至5及び比較例1乃至3>
表4に示す組成にて実施例1乃至5及び比較例1乃至3の熱硬化膜形成用樹脂組成物を調製し、それぞれについて平坦化性、PGMEA耐性、透過率並びに配向性の評価を行った。
Figure 0005382346
[平坦化性の評価]
実施例1乃至実施例5並びに比較例1乃至比較例3の熱硬化膜形成用樹脂組成物を高さ0.5μm、ライン幅10μm、ライン間スペース50μmの段差基板(ガラス製)上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度100℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い、膜厚2.8μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS社製 F20を用いて測定した。この塗膜を温度230℃で30分間加熱することによりポストベークを行い、膜厚2.5μmの硬化膜を形成した。
段差基板ライン上の塗膜とスペース上の塗膜の膜厚差を測定した(図2参照)。平坦化率(DOP)=100×{1−(塗膜の膜厚差(μm))/(段差基板の高さ(0.5μm))の式を用いて平坦化率を求めた。
[PGMEA耐性の評価]
実施例1乃至実施例5並びに比較例1乃至比較例3の熱硬化膜形成用樹脂組成物をシリコンウェハにスピンコーターを用いて塗布した後、温度100℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い、膜厚2.8μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS社製 F20を用いて測定した。この塗膜を温度230℃で30分間ホットプレート上においてポストベークを行い、膜厚2.5μmの硬化膜を形成した。
この硬化膜をPGMEA中に60秒間浸漬させた後、温度100℃にて60秒間乾燥し、膜厚を測定した。PGMEA浸漬後の膜厚変化がないものを○、浸漬後に膜厚の減少が見られたものを×とした。
[高温焼成後の光透過率(透明性)の評価]
実施例1乃至実施例5並びに比較例1乃至比較例3の熱硬化膜形成用樹脂組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度100℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.8μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS社製 F20を用いて測定した。この塗膜を温度230℃で30分間ホットプレート上においてポストベークを行い硬化膜を形成した。
この硬化膜を紫外線可視分光光度計((株)島津製作所製SHIMADSU UV−2550型番)を用いて波長400nmの透過率を測定した。
なお、高温焼成後の光透過率において、液晶配向膜としての要求性能は80%以上である。
[配向性の評価]
実施例1乃至実施例5並びに比較例1乃至比較例3の熱硬化膜形成用樹脂組成物をITO基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度100℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚2.8μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS社製 F20を用いて測定した。この膜を温度230℃で30分間ホットプレート上においてポストベークを行い硬化膜を形成した。
この硬化膜を回転速度700rpm、送り速度10mm/秒、押し込み量0.45mmでラビング処理した。ラビング処理した基板を純水で5分間超音波洗浄した。この基板上に液晶モノマーからなる位相差材料をスピンコーターを用いて塗布した後、100℃で40秒間、55℃で30秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚1.1μmの塗膜を形成した。この基板を窒素雰囲気下2,000mJで露光した。作製した基板を偏向板に挟み、配向性を目視にて確認した。基板を45度に傾けた時と傾けない時で光の透過性が著しく変化するものを○、変化しないものを×とした。
[評価の結果]
以上の評価を行った結果を、次の表5に示す。
Figure 0005382346
実施例1乃至5は、80%以上の高い平坦化性を有し、PGMEAに対して耐性が見られた。またいずれも良好な配向性を示し、高温焼成後も液晶配向膜として要求される80%以上の透過率(透明性)を達成した。
一方、比較例1および比較例2はPGMEA耐性、配向性、透明性は良好とする結果が得られたが、平坦化率が80%に達しなかった。
また比較例3は、平坦化率、PGMEA耐性、透過率は良好とする結果が得られたが、配向性に劣るとする結果となった。
以上のように、本発明の熱硬化膜形成用樹脂組成物によると、優れた光透過性を維持した上で、平坦化性及び配向性において実用面で際立った改良となる結果が得られた。
本発明による熱硬化膜形成用樹脂組成物は、光学異方性フィルムや液晶表示素子の液晶配向膜として非常に有用であり、更に、薄膜トランジスタ(TFT)型液晶表示素子、有機EL素子等の各種ディスプレイにおける保護膜、平坦化膜、絶縁膜等の硬化膜を形成する材料、特に、TFT型液晶素子の層間絶縁膜、カラーフィルタの保護膜、有機EL素子の絶縁膜等を形成する材料としても好適である。
図1はカラーフィルタオーバーコート層と液晶配向膜を設けた従来技術による液晶セル(a)と、本発明の熱硬化膜形成用樹脂組成物を用いて配向性を有するカラーフィルタオーバーコート層を設けた液晶セル(b)とを対比して示すモデル図である。 図2は段差基板に熱硬化膜形成用樹脂組成物を塗布した際に形成された硬化膜を示すモデル図である。

Claims (13)

  1. 下記の(A)成分及び(B)成分を含有する熱硬化膜形成用樹脂組成物。
    (A)成分:下記式(1)及び式(2)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体、(B)成分:ビスマレイミド化合物。
    Figure 0005382346
    (式中、Aは脂環構造を含む有機基であり、Aは脂肪族環とベンゼン環が縮合した構造を含む有機基であり、B及びBのうちの少なくとも一方は下記式(3)
    Figure 0005382346
    (式中、ベンゼン環の水素原子は置換されていてもいなくてもよい。)で表される構造を含む有機基であり、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1乃至7の有機基を表す。)
  2. (A)成分が、式(1)で表される構造単位と式(2)で表される構造単位とを7:3乃至4:6の比率で含むポリイミド前駆体である、請求項1に記載の熱硬化膜形成用樹脂組成物。
  3. 下記の(A)成分及び(B)成分を含有する熱硬化膜形成用樹脂組成物。
    (A)成分:式(a1)及び式(a2)で表されるテトラカルボン酸二無水物を含む酸成
    分と、分子中に式(3)で表される構造を持つジアミン化合物を含むジアミン成分とを反応させて得られるポリイミド前駆体、
    Figure 0005382346
    (式中、Aは脂環構造を含む有機基であり、Aは脂肪族環とベンゼン環が縮合した構造を含む有機基である。)
    Figure 0005382346
    (式中、ベンゼン環の水素原子は置換されていてもいなくてもよい。)
    (B)成分:ビスマレイミド化合物。
  4. 前記酸成分が、式(a1)で表されるテトラカルボン酸二無水物と式(a2)で表されるテトラカルボン酸二無水物をモル比で7:3乃至4:6の比率で含む酸成分である、請求項3に記載の熱硬化膜形成用樹脂組成物。
  5. (A)成分であるポリイミド前駆体の重量平均分子量が1,000乃至10,000である、請求項1乃至請求項4のうちのいずれか一項に記載の熱硬化膜形成用樹脂組成物。
  6. (A)成分の100質量部に基づいて、1乃至100質量部の(B)成分を含有する、請求項1乃至請求項5のうちのいずれか一項に記載の熱硬化膜形成用樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至請求項6のうちのいずれか一項に記載の熱硬化膜形成用樹脂組成物から得られる硬化膜。
  8. 請求項1乃至請求項6のうちのいずれか一項に記載の熱硬化膜形成用樹脂組成物から得られる平坦化膜。
  9. 請求項1乃至請求項6のうちのいずれか一項に記載の熱硬化膜形成用樹脂組成物から得られる液晶配向膜。
  10. 請求項1乃至請求項6のうちのいずれか一項に記載の熱硬化膜形成用樹脂組成物から得られる平坦化兼液晶配向膜。
  11. 請求項7に記載の硬化膜を有する表示素子。
  12. 請求項7に記載の硬化膜を有する液晶表示素子。
  13. 請求項7に記載の硬化膜を有する光学フィルム。
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