JPWO2011115079A1 - 光配向処理法用の液晶配向剤、及びそれを用いた液晶配向膜 - Google Patents

光配向処理法用の液晶配向剤、及びそれを用いた液晶配向膜 Download PDF

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Abstract

偏光紫外線の照射量に依らず良好な液晶配向性を示し、照射量のバラツキがあっても均一で良好な光配向配向処理が行なわれる液晶配向膜を得るための液晶配向剤を提供する。下記(A)成分及び(B)成分を含有する液晶配向剤。(A)成分:下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸エステル及び該ポリアミック酸エステルのイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種類の重合体。[化1](式(1)中、Yは2価の有機基であり、R1は炭素数1〜5のアルキル基であり、R2〜R5はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基であり、同一でも異なってもよい。)(B)成分:テトラカルボン酸二無水物とジアミンより得られるポリアミック酸

Description

本発明は、液晶配向膜を作製するための液晶配向剤、及びこの液晶配向剤から得られる液晶配向膜に関する。さらに詳しくは、ラビング処理に代わり、光配向処理法、すなわち、偏光された紫外線の照射によって液晶配向能を付与することが可能な液晶配向膜の形成に用いられる液晶配向剤、及びかかる液晶配向剤から得られる液晶配向膜に関する。
液晶テレビ、液晶ディスプレイなどに用いられる液晶表示素子は、通常、液晶の配列状態を制御するための液晶配向膜が素子内に設けられている。
現在、工業的に最も普及している方法によれば、この液晶配向膜は、電極基板上に形成されたポリアミック酸及び/又はこれをイミド化したポリイミドからなる膜の表面を、綿、ナイロン、ポリエステル等の布で一方向に擦る、いわゆるラビング処理を行うことで作製されている。
液晶配向膜の配向過程において膜面をラビング処理する方法は、簡便で生産性に優れた工業的に有用な方法である。しかし、液晶表示素子の高性能化、高精細化、大型化への要求は益々高まり、ラビング処理によって発生する配向膜の表面の傷、発塵、機械的な力や静電気による影響、さらには、配向処理面内の不均一性など種々の問題が明らかとなってきている。
ラビング処理に代わる方法としては、偏光された紫外線を照射することにより、液晶配向能を付与する光配向法が知られている。光配向法による液晶配向処理は、メカニズム的に、光異性化反応を利用したもの、光架橋反応を利用したもの、光分解反応を利用したものなどが提案されている(非特許文献1参照)。
特許文献1では、主鎖にシクロブタン環などの脂環構造を有するポリイミド膜を光配向法に用いることが提案されている。ポリイミドを用いた光配向用配向膜を用いた場合、他に比べて高い耐熱性を有することからその有用性が期待されている。
上記のような光配向法は、ラビングレス配向処理方法として、工業的にも簡便な製造プロセスで生産できる利点があり、有望な液晶配向処理方法として注目されているが、液晶テレビや液晶ディスプレイなどに使用するためには、液晶の配向規制力や液晶表示素子としての電気特性、これら特性の安定性などに課題があり、一般的には実用化に至っていない。
特開平9−297313号公報
「液晶光配向膜」木戸脇、市村 機能材料 1997年11月号 Vol.17 No.11 13−22ページ
近年では、液晶表示素子の大画面化が普及してきているが、大画面基板にラビング処理を施した場合、基板面内にラビング強度のムラが発生し、液晶表示素子とした場合に、表示ムラとなってしまう。これに対して、光配向法では、ラビング法と比較して、表示ムラが低減できるため期待されている。しかし、光配向法においても、偏光紫外線の照射量によって、液晶配向性が変化するため、基板面内で照射強度のムラが発生することでラビング法と同様の表示ムラが発生する可能性がある。
この問題は、大画面化に伴って発生すると予想される光配向法の一つの課題であり、光配向法のメリットを最大限発揮する液晶表示素子を製造するためには、照射量に依らず、良好な液晶配向性を示す光配向膜が求められる。
本発明の目的は、光配向法により配向処理する場合において、偏光紫外線の照射量に依らず良好な液晶配向性を示し、大画面の照射面積が広い液晶配向膜において、液晶配向能が発現する照射量のバラツキがあっても均一で良好な配向処理が行なわれる液晶配向膜を得るための液晶配向剤を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、主鎖にシクロブタン環を有するポリアミック酸エステル及び該ポリアミック酸エステルのイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体と、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸とを含有する液晶配向剤を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下を要旨とするものである。
1.下記(A)成分及び(B)成分を含有する液晶配向剤。
(A)成分:下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸エステル及び該ポリアミック酸エステルのイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種類の重合体。
Figure 2011115079
(式(1)中、Yは2価の有機基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜30の炭化水素基であり、同一でも異なってもよい。)
(B)成分:テトラカルボン酸二無水物とジアミンより得られるポリアミック酸。
2.(A)成分と(B)成分との含有比率が、質量比(A/B)にて1/9〜9/1である上記1に記載の液晶配向剤。
3.(A)成分が、上記式(1)で表される繰り返し単位を40モル%以上有するポリアミック酸エステル及び該ポリアミック酸エステルのイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種類の重合体である上記1又は2に記載の液晶配向剤。
4.成分(A)が、下記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸エステルである上記1〜3のいずれかに記載の液晶配向剤。
Figure 2011115079
(式(3)中、Yは2価の有機基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)
5.成分(A)が、下記式(4)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸エステルである上記1〜3のいずれかに記載の液晶配向剤。
Figure 2011115079
(式(4)中、Yは2価の有機基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)
6.式(1)において、Yが、下記の構造式からなる群から選ばれる少なくとも1種類である上記1〜5のいずれかにに記載の液晶配向剤。
Figure 2011115079

7.成分(B)が下記式(B−1)〜(B−9)のテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含むテトラカルボン酸二無水物を用いて得られるポリアミック酸である上記1〜6のいずれかに記載の液晶配向剤。
Figure 2011115079
8.成分(B)が上記式(B−1)〜(B−9)からなる群から選ばれる少なくとも1種類のテトラカルボン酸二無水物を全テトラカルボン酸二無水物の20モル%以上有するテトラカルボン酸二無水物を用いて得られるポリアミック酸である上記7に記載の液晶配向剤。
9.(B)成分が、下記式(B−10)〜(B−13)からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含むジアミンを用いて得られるポリアミック酸である上記1〜8のいずれかに記載の液晶配向剤。
Figure 2011115079
10.成分(B)が、上記式(B−10)〜(B−13)からなる群から選ばれる少なくとも1種類のジアミンを全ジアミンの20モル%以上有するジアミンを用いて得られるポリアミック酸である上記9に記載の液晶配向剤。
11.上記1〜10のいずれかに記載の液晶配向剤を塗布、焼成して得られる被膜に、偏光紫外線を照射して得られる液晶配向膜。
本発明の液晶配向剤から得られる液晶配向膜は、良好な液晶配向性が得られる偏光紫外線の照射量範囲が広く、偏光紫外線の照射量に依らず、良好な液晶配向性が得られるため、基板面内で照射強度のムラが発生した場合でも、均一且つ良好な液晶配向性を有するプロセスマージンの広い液晶配向膜が提供される。
[(A)成分]
本発明におけるポリアミック酸エステルは、加熱又は触媒の作用によって下記に示すイミド化反応によりポリイミドに転化する。ポリアミック酸エステルは逆反応による分子量低下が起こらないため、焼成後でも分子量が高いポリイミドが得られる。これにより、より良好な液晶配向性及び信頼性に優れた液晶表示素子が得られる。また、本発明におけるイミド化重合体とは、ポリアミック酸エステルをイミド化することで得られる重合体である。イミド化重合体は、構造によって液晶配向膜に使用する有機溶媒に溶解しない場合があるため、本発明の(A)成分としては、ポリアミック酸エステルが特に好ましい。
Figure 2011115079
本発明の液晶配向剤に含有する(A)成分は、下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸エステル及び該ポリアミック酸エステルのイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種類の重合体である。
Figure 2011115079
式(1)において、R1は炭素数1〜5のアルキル基であり、好ましくは、炭素数1又は2のアルキル基である。Rにおける炭素数が増えるに従ってイミド化が進行する温度が高くなる。そのため、R1は、熱によるイミド化のしやすさの観点から、メチル基が特に好ましい。式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜30、好ましくは1〜10の炭化水素基であり、同一でも異なってもよい。
ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。炭素数1〜30の炭化水素基の例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、及びこれらを組み合わせた基からなる群から選ばれ、これらは置換基を有してもよい。上記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロヘキシル基などが挙げられる。アルケニル基としては、上記のアルキル基に存在する1つ以上のCH−CH構造を、CH=CH構造に置き換えたものが挙げられ、より具体的には、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。
前記アルキニル基としては、前記のアルキル基に存在する1つ以上のCH−CH構造をC≡C構造に置き換えたものが挙げられ、より具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基などが挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基及び9−フェナントリル基などが挙げられる。
上記のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基は、全体として炭素数が1〜30、好ましくは1〜10であれば置換基を有していてもよく、更には置換基によって環構造を形成してもよい。
この置換基の例としてはハロゲン基、水酸基、チオール基、ニトロ基、オルガノオキシ基、オルガノチオ基、オルガノシリル基、アシル基、エステル基、チオエステル基、リン酸エステル基、アミド基、アリール基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基を挙げることができる。
置換基であるハロゲン基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
置換基であるオルガノオキシ基としては、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基など−O−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。アルキルオキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ラウリルオキシ基などが挙げられる。
置換基であるオルガノチオ基としては、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基など−S−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。アルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ラウリルチオ基などが挙げられる。
置換基であるオルガノシリル基としては、−Si−(R)で表される構造を示すことができる。このRは同一でも異なってもよく、前述したアルキル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。アルキルシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリブチルシリル基、トリペンチルシリル基、トリヘキシルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基などが挙げられる。
置換基であるアシル基としては、−C(O)−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。アシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
置換基であるエステル基としては、−C(O)O−R、又は−OC(O)−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるチオエステル基としては、−C(S)O−R、又は−OC(S)−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるリン酸エステル基としては、−OP(O)−(OR)2で表される構造を示すことができる。このRは同一でも異なってもよく、前述したアルキル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアミド基としては、−C(O)NH、−C(O)NHR、−NHC(O)R、−C(O)N(R)、又は−NRC(O)Rで表される構造を示すことができる。このRは同一でも異なってもよく、前述したアルキル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアリール基としては、前述したアリール基と同じものを挙げることができる。このアリール基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルキル基としては、前述したアルキル基と同じものを挙げることができる。このアルキル基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルケニル基としては、前述したアルケニル基と同じものを挙げることができる。このアルケニル基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルキニル基としては、前述したアルキニル基と同じものを挙げることができる。このアルキニル基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
〜Rが嵩高い構造の場合、液晶配向性を阻害する可能性があるため、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基がより好ましく、水素原子、又はメチル基がさらに好ましい。
本発明の(A)成分は、下記式(6)〜(8)のテトラカルボン酸誘導体、又は、下記式(6)〜(8)で表されるテトラカルボン酸誘導体と共に、下記式(9)〜(11)で表されるテトラカルボン酸誘導体を用い、これらのテトラカルボン酸誘導体と、下記式(12)で表されるジアミンとを縮重合することにより製造することができる。
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
式中、R〜Rは、それぞれ上記式(1)中の定義と同じものである。Rは炭素数1〜5のアルキル基、より好ましくは、炭素数1又は2のアルキル基である。ポリアミック酸エステルは、アルキル基における炭素数が増えるに従ってイミド化が進行する温度が高くなる。そのため、Rは、熱によるイミド化のしやすさの観点から、メチル基が特に好ましい。
上記式(6)〜(8)のテトラカルボン酸誘導体の含有量としては、全テトラカルボン酸誘導体に対して、1モル%〜100モル%が好ましい。上記式(6)〜(8)のテトラカルボン酸誘導体の含有量が少なすぎると光配向性が不十分となり、良好な液晶配向性が得られないため、全テトラカルボン酸誘導体に対して20モル%〜100モル%がより好ましく、40モル%〜100モル%がさらに好ましい。
上記式(9)〜(11)のXは4価の有機基であり、その構造は特に限定されるものではない。その具体例を挙げるならば、下記X−1〜X−46で表される構造が挙げられる。また、これらのテトラカルボン酸誘導体は2種類以上使用してもよい。
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
上記式(12)において、Yは2価の有機基であり、その構造は特に限定されるものではない。その具体例を挙げるならば、下記式Y−1〜Y−108で表される構造が挙げられる。また、ジアミン化合物は2種類以上であってもよい。
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
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Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Yとしては、良好な液晶配向性を得るためには、直線性の高いジアミンを導入することが好ましい。Yとしては、Y−7、Y−10、Y−11、Y−12、Y−13、Y−21、Y−22、Y−23、Y−25、Y−26、Y−27、Y−41、Y−42、Y−43、Y−44、Y−45、Y−46、Y−48、Y−61、Y−63、Y−64、Y−71、Y−72、Y−73、Y−74、Y−75、Y−98、Y−100、Y−101、Y−102、Y−103、Y−104、Y−105、Y−106、Y−107、又はY−108のジアミンがより好ましい。これらジアミンを全ジアミンの30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%添加することにより、良好な液晶配向性が得られる。
また、プレチルト角を高くしたい場合は、側鎖に長鎖アルキル基、芳香族環、脂肪族環、ステロイド骨格、又はこれらを組み合わせた構造を有するジアミンをポリアミック酸エステルに導入することが好ましい。Yとしては、Y−76、Y−77、Y−78、Y−79、Y−80、Y−81、Y−82、Y−83、Y−84、Y−85、Y−86、Y−87、Y−88、Y−89、Y−90、Y−91、Y−92、Y−93、Y−94、Y−95、Y−96、又はY−97のジアミンがより好ましい。これらジアミンを全ジアミンの1〜50モル%、より好ましくは5〜30モル%添加することにより、任意のプレチルト角を発現させることができる。
なかでも、Yとしては、下記の構造式からなる群から選ばれる少なくとも1種類であるのが好ましい。
Figure 2011115079
[(B)成分]
本発明の(B)成分は、下記式(13)の構造を有するテトラカルボン酸二無水物と下記式(14)の構造を有するジアミンとの重縮合により得られるポリアミック酸であり、加熱することによって下記に示すイミド化反応が可能な部位を有するポリマーである。
Figure 2011115079
Figure 2011115079
Figure 2011115079
式(13)中、Xは4価の有機基であり、その構造は特に限定されない。具体的例を挙げるならば、上記式(X−1)〜(X−46)の構造が挙げられる。また、テトラカルボン酸二無水物は2種類以上であってもよい。
(B)成分としては、光分解反応を起こさないか、又は前記(A)成分よりも光分解の反応速度が遅いポリアミック酸が好ましい。よって、Xの構造としては、X−1、X−5、X−6、X−7、X−8、X−16、X−17、X−18、X−19、X−21、X−22、X−23、X−24、X−25、X−26、X−27、X−28、X−29、X−30、X−31、X−32、X−33、X−39、X−40、X−41、X−42、X−42、又はX−46が好ましい。
上記好ましいXの構造を有するテトラカルボン酸二無水物の使用量は、全テトラカルボン酸二無水物に対して5〜100モル%が好ましい。かかるテトラカルボン酸二無水物の割合が多いほど、ポリマーの表面自由エネルギーが高く、溶解性が高いポリアミック酸が得られるため、20〜100モル%がより好ましく、40〜100モル%がさらに好ましい。
なかでも、上記のように、(A)成分を膜表面に偏在させることにより、液晶配向性をより向上させるために、(B)成分のポリアミック酸としては、表面自由エネルギーが高く、溶解性の高いポリアミック酸が好ましい。よって、(B)成分におけるXの構造としては、入手性も含めて、X−1、X−5、X−6、X−8、X−16、X−19、X−25、X−26、又はX−32がより好ましく、特に、X−25又はX−32が好ましい。
かかる好ましいXの構造を有するテトラカルボン酸二無水物は、以下の(B−1)〜
(B−9)で表わされる、このうち、(B−1)又は(B−9)が特に好ましい。
Figure 2011115079
式(14)中、Yは2価の有機基であり、その構造は特に限定されない。具体的例を挙げるならば、上記式(Y−1)〜(Y−108)の構造が挙げられる。また、ジアミンは2種類以上であってもよい。
ポリアミック酸の体積抵抗率を低くすることで、直流電圧の蓄積による残像を低減できるため、ヘテロ原子を有する構造、多環芳香族構造、又はビフェニル骨格を有するジアミンをポリアミック酸に導入することが好ましい。このためのYとしては、Y−19、Y−23、Y−25、Y−26、Y−27、Y−30、Y−31、Y−32、Y−33、Y−34、Y−35、Y−36、Y−40、Y−41、Y−42、Y−44、Y−45、Y−49、Y−50、Y−51、又はY−61が好ましい。。
上記好ましいYの構造を有するジアミン化合物の使用量としては、全ジアミンに対して、5モル%〜100モル%が好ましい。この使用量が高いほど、ポリマーの極性が向上し、(A)成分の膜表面割合が高くなるため、20モル%〜100モル%がより好ましく、40モル%〜100モル%がさらに好ましい。
なかでも、上記のように、(A)成分を膜表面に偏在させることにより、液晶配向性をより向上することができるので、(B)成分のポリアミック酸としては、表面自由エネルギーが高いことが好ましく、2級アミノ基、ヒドロキシル基、アミド基、ウレイド基、カルボキシル基などの極性の高い置換基をポリアミック酸に導入することが好ましい。よって、Yとしては、Y−19、Y−31、Y−40、Y−45、Y−98、又はY−99がより好ましく、カルボキシル基を含有するY−98又はY−99が特に好ましい。
かかる好ましいYの構造を有するテトラカルボン酸二無水物は、以下の(B−10)〜(B−13)で表わされる、このうち、(B−10) 又は(B−11)が特に好ましい。
Figure 2011115079
[(A)成分及び(B)成分の製造]
(ポリアミック酸の製造)
ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重縮合により製造することができる。
ポリアミック酸を製造する場合、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とは、好ましくは有機溶媒存在下で−20℃〜140℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜12時間反応させることによって製造することができる。 ポリアミック酸の製造に用いる溶媒は、モノマー及びポリマーの溶解性からN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。製造時のポリマー濃度は、高すぎると重合体の析出が起こりやすく、低すぎると分子量が上がらないので、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の反応液中の合計量が1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
上記のようにして得られたポリアミック酸は、その反応溶液を本発明の(A)成分の原料又は(B)成分とすることができるが、重合に用いた溶媒を液晶配向剤中に含有させたくない場合等は、重合体として固体で回収した後、本発明におけるポリアミック酸として使用することができる。
重合体は、反応溶液をよく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、重合体を析出させ、回収することができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して、精製されたポリアミック酸の粉末を得ることができる。
前記貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
(ポリアミック酸エステルの製造)
ポリアミック酸エステルは、公知の製造方法により製造することができ、具体的には以下の(a)〜(c)の方法が挙げられるが、これに限定されない。
(a)ポリアミック酸からポリアミック酸エステルを製造する場合
本発明におけるポリアミック酸エステルは、上記した本発明におけるポリアミック酸をエステル化することによって製造することができる。ポリアミック酸エステルは、具体的には、ポリアミック酸とエステル化剤を有機溶剤の存在下で、−20℃〜140℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって製造することができる。
前記エステル化剤としては、精製によって容易に除去できるものが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジプロピルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジネオペンチルブチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジ−t−ブチルアセタール、1−メチル−3−p−トリルトリアゼン、1−エチル−3−p−トリルトリアゼン、1−プロピル−3−p−トリルトリアゼンなどが挙げられる。エステル化剤の添加量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して、2〜6モル当量が好ましい。
ポリアミック酸エステルの製造に用いる溶媒は、モノマー及びポリマーの溶解性からN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。製造時のポリマー濃度は、高すぎると重合体の析出が起こりやすく、低すぎると分子量が上がらないので、ポリアミック酸とエステル化剤の反応液中の合計量が1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
(b)酸クロライドとジアミン化合物からポリアミック酸エステルを製造する場合
ポリアミック酸エステルは、ビス(クロロカルボニル)化合物とジアミン化合物との重縮合により製造することができる。
具体的には、ビス(クロロカルボニル)化合物とジアミン化合物とを塩基と有機溶剤の存在下で−20℃〜140℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって製造することができる。前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミン、又は4−ジメチルアミノピリジンが使用できるが、反応が穏和に進行するためにピリジンが好ましい。塩基の添加量は、多すぎると除去が難しく、少なすぎると分子量が小さくなるため、ビス(クロロカルボニル)化合物に対して、2〜4倍モルであることが好ましい。
ポリアミック酸エステルの製造に用いる溶媒は、モノマー及びポリマーの溶解性からN−メチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。製造時のポリマー濃度は、高すぎると重合体の析出が起こりやすく、低すぎると分子量が上がらないので、ビス(クロロカルボニル)化合物とジアミン化合物の反応液中の合計量が1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。また、ビス(クロロカルボニル)化合物の加水分解を防ぐため、ポリアミック酸エステルの製造に用いる溶媒はできるだけ脱水されていることが良く、窒素雰囲気中で、外気の混入を防ぐのが良い。
(c)ジアルキルエステルジカルボン酸とジアミン化合物からポリアミック酸エステルを製造する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジアルキルエステルとジアミン化合物を縮合剤により重縮合することにより製造することができる。
具体的には、ジアルキルエステルジカルボン酸とジアミン化合物を縮合剤、塩基、及び有機溶剤の存在下で0℃〜140℃、好ましくは0℃〜100℃において、30分〜24時間、好ましくは3〜15時間反応させることによって製造することができる。
前記縮合剤には、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ−1,3,5−トリアジニルメチルモルホリニウム、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニルなどが使用できる。縮合剤の添加量は、ジアルキルエステルジカルボン酸に対して2〜3倍モルであることが好ましい。
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミンなどの3級アミンが使用できる。塩基の添加量は、多すぎると除去が難しく、少なすぎると分子量が小さくなるため、ジアミン成分に対して2〜4倍モルであることが好ましい。
また、上記反応において、ルイス酸を添加剤として加えることで反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量はジアミン成分に対して0〜1.0倍モルであることが好ましい。
上記3つのポリアミック酸エステルの製造方法の中でも、高分子量のポリアミック酸エステルが得られるため、(a)又は(b)の製造法が特に好ましい。
以上のようにして得られるポリアミック酸エステルの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、重合体を析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。
前記貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
上記縮重合反応に用いるジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体(テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジアルキル誘導体)の比率は分子量の制御の観点からモル比で1:0.7〜1:1.2であることが好ましい。このモル比が1:1に近いほど得られるポリアミック酸エステルの分子量は大きくなる。ポリアミック酸エステルの分子量は、ワニスの粘度や、ポリイミド膜の物理的な強度に影響を与え、ポリアミック酸エステルの分子量が大きすぎるとワニスの塗布性や塗膜均一性が悪くなる場合があり、分子量が小さすぎると得られるポリイミド膜の強度が不十分となる場合がある。従って、本発明の液晶分配向剤に用いるポリアミック酸エステルの分子量は、重量平均分子量で2,000〜500,000が好ましく、より好ましくは5,000〜300,000であり、さらに好ましくは、10,000〜100,000である。
[ポリイミドの製造]
本発明におけるポリイミドは、前記ポリアミック酸エステルをイミド化することにより製造することができる。ポリアミック酸エステルからポリイミドを製造する場合、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応で得られた前記ポリアミック酸の溶液に触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の課程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
化学的イミド化は、イミド化させたい重合体を、有機溶媒中において塩基性触媒と酸無水物の存在下で攪拌することにより行うことができる。有機溶媒としては前述した重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。また、酸無水物としては無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。
イミド化反応を行うときの温度は、−20℃〜140℃、好ましくは0℃〜100℃であり、反応時間は1〜100時間で行うことができる。塩基性触媒の量はアミック酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量はアミック酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。得られる重合体のイミド化率は、触媒量、温度、反応時間を調節することで制御することができる。イミド化反応後の溶液には、添加した触媒等が残存しているので、以下に述べる手段により、得られたイミド化重合体を回収し、有機溶媒で再溶解して、本発明の液晶配向剤とすることが好ましい。
上記のようにして得られるポリイミドの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、重合体を析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。
前記貧溶媒は、特に限定されないが、メタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。
〔液晶配向剤〕
本発明の液晶配向剤は、上記のように得られた特定構造を有するポリアミック酸エステル又はポリイミド((A)成分)と、ポリアミック酸((B)成分)が溶剤に均一に溶解している溶液である。
本発明の液晶配向剤における(A)成分と(B)成分との含有比率は、質量比(A/B)は、1/9〜9/1が好ましく、3/7〜7/3がより好ましい。(A)成分の含有量が(B)成分の含有量に対して、極端に小さい場合には、液晶配向性が不十分となり、また大きい場合は、本発明の効果が十分に発揮されないため、好ましくない。
本発明の液晶配向剤に使用される溶剤としては、上記(A)成分と(B)成分とを溶解させることができる溶剤が使用される。
かかる溶剤としては、(A)成分と(B)成分とを溶解させるものであれば特に限定されない。あえて、その具体例を挙げるならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。また、単独では重合体を溶解させない溶媒であっても、重合体が析出しない範囲であれば、混合してもよい。また、(A)成分を溶解する溶剤と(B)成分を溶解する溶剤は同一でも異なってもよく、2種類以上の混合溶剤としてもよい。
また、本発明では、(A)成分と(B)成分に対する溶解性は小さいが、液晶配向剤を基板へ塗布する際の塗膜均一性を向上させるための溶剤(以下、貧溶媒)も使用できる。貧溶媒としては、低表面張力で、塗膜均一性を向上させるものであれば、特に限定されない。あえて、その具体例を挙げるならば、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル等が挙げられる。これらの溶媒は2種類以上を併用してもよい。
本発明の液晶配向剤は、シランカップリング剤や架橋剤などの各種添加剤を含有してもよい。シランカップリング剤は、液晶配向剤が塗布される基板と、そこに形成される液晶配向膜との密着性を向上させる目的で添加される。以下にシランカップリング剤の具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。
3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシランなどのアミン系シランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシランなどのビニル系シランカップリング剤;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ系シランカップリング剤;3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのメタクリル系シランカップリング剤;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリル系シランカップリング剤;3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイド系シランカップリング剤;ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド系シランカップリング剤;3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシランなどのメルカプト系シランカップリング剤;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート系シランカップリング剤;トリエトキシシリルブチルアルデヒドなどのアルデヒド系シランカップリング剤;トリエトキシシリルプロピルメチルカルバメート、(3−トリエトキシシリルプロピル)−t−ブチルカルバメートなどのカルバメート系シランカップリング剤。
上記シランカップリング剤の添加量は、多すぎると未反応のものが液晶配向性に悪影響を及ぼすことがあり、少なすぎると密着性への効果が現れないため、ポリマーの固形分に対して0.01〜5.0重量%が好ましく、0.1〜1.0重量%がより好ましい。
上記シランカップリング剤を添加する場合は、ポリマーの析出を防ぐために、前記した塗膜均一性を向上させるための溶媒を加える前に添加するのが好ましい。また、シランカップリング剤を添加する場合は、ポリアミック酸エステル溶液とポリアミック酸溶液を混合する前に、ポリアミック酸エステル溶液、ポリアミック酸溶液、又はポリアミック酸エステル溶液とポリアミック酸溶液の両方に添加することができる。また、ポリアミック酸エステル−ポリアミック酸混合溶液に添加することができる。シランカップリング剤はポリマーと基板との密着性を向上させる目的で添加するため、シランカップリング剤の添加方法としては、膜内部及び基板界面に偏在することができるポリアミック酸溶液に添加し、ポリマーとシランカップリング剤を十分に反応させてから、ポリアミック酸エステル溶液と混合する方法がより好ましい。
塗膜を焼成する際にポリアミック酸エステルのイミド化を効率よく進行させるために、イミド化促進剤を添加してもよい。以下にポリアミック酸エステルのイミド化促進剤の具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。
Figure 2011115079
Figure 2011115079
上記式(B−1)〜(B−17)におけるDは、それぞれ独立してtert-ブトキシカルボニル基、又は9−フルオレニルメトキシカルボニル基である。なお、(B−14)〜(B−17)には、ひとつの式に複数のDが存在するが、これらは互いに同一であっても異なってもよい。
ポリアミック酸エステルの熱イミド化を促進する効果が得られる範囲であれば、イミド化促進剤の含有量は特に制限されるものではないが、液晶配向剤中のポリアミック酸エステルに含まれる下記式(12)のアミック酸エステル部位1モルに対して、好ましくはB成分が0.01モル以上、より好ましくは0.05モル以上、更に好ましくは0.1モル以上である。また、焼成後の膜中に残留するイミド化促進剤自体が、液晶配向膜の諸特性に及ぼす悪影響を最小限に留めるという点から、液晶配向剤中のポリアミック酸エステルに含まれる下記式(12)のアミック酸エステル部位1モルに対して、好ましくはイミド化促進剤が2モル以下、より好ましくは1モル以下、更に好ましくは0.5モル以下である。
Figure 2011115079
イミド化促進剤を添加する場合は、加熱することでイミド化が進行する可能性があるため、良溶媒および貧溶媒で希釈した後に加えるのが好ましい。
本発明の液晶配向剤に、さらに架橋剤などの各種添加剤を使用しても構わないことは言うまでもない。また、本発明の(A)成分の重合体及び(B)成分のポリアミック酸はそれぞれ2種類上であってもよい。
本発明の液晶配向剤中の(A)成分と(B)成分とを含む重合体濃度は、形成させようとする液晶配向膜の厚みの設定によって適宜変更することができるが、1〜10質量%とすることが好ましく、2〜8質量%がより好ましい。1質量%未満では均一で欠陥のない塗膜を形成させることが困難となり、10質量%よりも多いと溶液の保存安定性が悪くなる場合がある。
[液晶配向剤の製造方法]
本発明の液晶配向剤は、特定構造を有するポリアミック酸エステル及び該ポリアミック酸エステルのイミド化重合体から選ばれる少なくとも1種類の重合体((A)成分)とポリアミック酸((B)成分)を有する。
(A)成分と(B)成分の合計量に対する(A)成分の割合としては、5質量%〜95質量%が好ましい。(A)成分の割合が少ないと、十分な液晶配向性が得られない可能性があり、(B)成分の割合が少ないと、本発明の目的とする効果が得られない可能性がある。そのため、(A)成分の割合としては、20質量%〜80質量%がより好ましく、30質量%〜70質量%がさらに好ましい。
(A)成分と(B)成分を混合する方法としては(A)成分の重合体及び(B)成分のポリアミック酸の粉末を混合し、溶剤に溶解する方法、(A)成分の重合体の粉末と(B)成分のポリアミック酸溶液を混合する方法、(A)成分の重合体溶液と(B)成分のポリアミック酸の粉末を混合する方法、(A)成分の重合体溶液と(B)成分のポリアミック酸溶液を混合する方法がある。(A)成分の重合体と(B)成分のポリアミック酸の溶解する良溶媒が異なる場合でも均一な(A)成分の重合体−(B)成分のポリアミック酸混合溶液を得ることができるため、(A)成分の重合体溶液と(B)成分のポリアミック酸溶液を混合する方法がより好ましい。
(A)成分の重合体溶液を調製する方法としては、(A)成分の重合体の粉末を、前記良溶媒に溶解させて、(A)成分の重合体溶液、(A)成分の重合体の反応溶液をそのまま使用する方法がある。(A)成分がポリアミック酸エステル、又はポリアミック酸エステルのイミド化重合体である場合は、重合体粉末を溶解する方法がより好ましく、(A)成分がポリアミック酸である場合は、重合反応溶液をそのまま用いる方法がより好ましい。この時、ポリマー濃度は10〜30%が好ましく、10〜15%が特に好ましい。また、(A)成分の重合体の粉末を溶解する際に加熱してもよい。加熱温度は、20℃〜150℃が好ましく、20℃〜80℃が特に好ましい。
(B)成分のポリアミック酸溶液を調製する方法としては、ポリアミック酸の粉末を、前記良溶媒に溶解させて、ポリアミック酸溶液とする方法、重合反応溶液をそのまま用いる方法があり、重合反応溶液をそのまま用いる方法がより好ましい。ポリアミック酸粉末を再溶解する場合、ポリマー濃度は10〜30%が好ましく、10〜15%が特に好ましい。また、重合体の粉末を溶解する際に加熱してもよい。加熱温度は、20℃〜150℃が好ましく、20℃〜80℃が特に好ましい。
シランカップリング剤を添加する場合は、(A)成分の重合体溶液と(B)成分のポリアミック酸溶液を混合する前に、(A)成分の重合体溶液、(B)成分のポリアミック酸溶液、又は(A)成分の重合体溶液と(B)成分のポリアミック酸溶液の両方に添加することができる。また、(A)成分の重合体−(B)成分のポリアミック酸混合溶液に添加することができる。シランカップリング剤はポリマーと基板との密着性を向上させる目的で添加するため、シランカップリング剤の添加方法としては、膜内部及び基板界面に偏在することができる(B)成分のポリアミック酸溶液に添加し、ポリマーとシランカップリング剤を十分に反応させてから、(A)成分の重合体溶液と混合する方法がより好ましい。シランカップリング剤の添加量は、多すぎると未反応のものが液晶配向性に悪影響を及ぼすことがあり、少なすぎると密着性への効果が現れないため、ポリマーの固形分に対して0.01〜5.0重量%が好ましく、0.1〜1.0重量%がより好ましい。
(A)成分の重合体溶液と(B)成分のポリアミック酸溶液を混合する際は、これらの溶液中のポリマー濃度は10〜30%が好ましく、10〜15%が特に好ましい。また混合する際に加熱してもよく、加熱温度は、20℃〜100℃が好ましく、20℃〜60℃が特に好ましい。
シランカップリング剤や架橋剤を添加する場合は、ポリマーの析出を防ぐため、貧溶媒を加える前に添加するのが好ましい。また、(A)成分の重合体がポリアミック酸エステルの場合、塗膜を焼成する際にポリアミック酸エステルのイミド化を効率よく進行させるために、イミド化促進剤を添加してもよい。イミド化促進剤を添加する場合は、加熱することでイミド化が進行する可能性があるため、良溶媒および貧溶媒で希釈した後に加えるのが好ましい。
得られたA)成分の重合体と(B)成分のポリアミック酸混合溶液に前記良溶媒および前記貧溶媒を加え、所定のポリマー濃度になるように希釈することで、本発明の液晶配向剤が得られる。
[液晶配向膜]
本発明の液晶配向膜は、上記の本発明の液晶配向剤を、好ましくはろ過した後、基板に塗布し、乾燥、焼成して塗膜とすることができる。本発明の液晶配向剤を塗布する基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板、アクリル基板やポリカーボネート基板等のプラスチック基板等を用いることができ、液晶駆動のためのITO電極等が形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の観点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミ等の光を反射する材料も使用できる。
液晶配向剤の塗布方法としては、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などが挙げられる。本発明の液晶配向剤を塗布した後、好ましくは乾燥し、焼成される。液晶配向剤に含有されていた有機溶媒を十分に除去するため、好ましくは50〜120℃で好ましくは1〜10分乾燥させる。次いで、好ましくは150〜300℃、より好ましくは150〜250℃で焼成される。焼成時間は、焼成温度によっても異なるが、好ましくは5〜120分、より好ましくは5〜60分で行われる。
液晶配向膜の厚みは、特に限定されないが、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、5〜300nm、好ましくは10〜200nmである。この塗膜面をラビング等の配向処理をすることにより、液晶配向膜として使用することができる。
本発明の液晶配向膜は、偏光された紫外線を照射することにより、液晶配向能が付与される液晶配向膜である。さらに、本発明の液晶配向膜は、従来の光配向液晶配向膜に比べて液晶配向性を発現する光照射範囲が広く、照射強度の基板面内ムラが発生するような場合でも、均一且つ良好な液晶配向性が得られる液晶配向膜である。
光配向処理法の具体例としては、前記塗膜表面に、一定方向に偏光した紫外線を照射し、場合によっては、さらに150〜250℃の温度で加熱処理を行い、液晶配向能を付与する方法が挙げられる。紫外線としては、100〜400nmの波長を有するものが好ましく、200〜400nmの波長を有するものが特に好ましい。また、液晶配向性を改善するために、塗膜基板を50〜250℃で加熱しつつ、紫外線を照射してもよい。前記紫外線の照射量は、1〜10,000mJ/cmの範囲にあることが好ましく、100〜5,000mJ/cmの範囲にあることが特に好ましい。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、本実施例及び比較例で使用した化合物の略号と構造を示す。
1,3DMCBDE−Cl:ジメチル 1,3−ビス(クロロカルボニル)−1,3−ジメチルシクロブタン−2,4−ジカルボキシレート
BDA:1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
1,3DMCBDA:1,3−ジメチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物
DA−A:4,4´−ジアミノジフェニルメタン
DA−B:4,4´−ジアミノジフェニルアミン
DA−C:4,4´−ジアミノジフェニルエーテル
DA−D:3,5−ジアミノ安息香酸
(有機溶媒)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BCS:ブチルセロソルブ
γ−BL:γ−ブチロラクトン
以下に、HNMR、粘度、分子量、液晶配向性及び残像特性評価の各測定方法を示す。
HNMR]
装置:フーリエ変換型超伝導核磁気共鳴装置(FT−NMR)INOVA−400(Varian製):400MHz
標準物質:テトラメチルシラン(TMS)
溶媒:DMSO−d6
[粘度]
合成例において、ポリアミック酸エステル及びポリアミック酸溶液の粘度は、E型粘度計TVE−22H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1ml、コーンロータTE−1(1°34‘、R24)、温度25℃で測定した。
[分子量]
また、ポリアミック酸エステルの分子量はGPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド換算値として数平均分子量(以下、Mnとも言う。)と重量平均分子量(以下、Mwとも言う。)を算出した。
GPC装置:Shodex社製(GPC−101)
カラム:Shodex社製(KD803、KD805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・HO)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(重量平均分子量(Mw) 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp)約12,000、4,000、1,000)。測定は、ピークが重なるのを避けるため、900,000、100,000、12,000、1,000の4種類を混合したサンプル、及び150,000、30,000、4,000の3種類を混合したサンプルの2サンプルを別々に測定。
[液晶配向性]
液晶配向剤を塗布、焼成して得られた被膜に偏光された254nmの紫外線を照射し、本発明の液晶配向膜を作製した。この時の光照射量は、100mJ、200mJ、300mJ、400mJとした。各照射量にて配向処理を行った液晶配向膜を用いて、液晶セルを作製した後、液晶配向性を偏光顕微鏡にて観察し、液晶配向性を以下の基準で評価した。
<評価基準>
◎:セルを回転させることで、明暗の変化がある(液晶の配向が確認できる)。クロスニコル下の光抜けもほとんどない。
○:クロスニコル下で光抜けが若干観察されるが、セルを回転させることで、明暗の変化がある(液晶の配向が確認できる)。
△:流動配向が観察され、クロスニコル下で光抜けが観察されるが、セルを回転させることで、明暗の変化がある(液晶の配向が確認できる)。
×:セルを回転させることで、明暗の変化がない(液晶の配向が配向していない)。
・ジメチル1,3−ビス(クロロカルボニル)−1,3−ジメチルシクロブタン−2,4−ジカルボキシレート(1,3DMCBDE−Cl)の合成
a−1:テトラカルボン酸ジアルキルエステルの合成
Figure 2011115079
窒素気流中、3Lの四つ口フラスコに、1,3−ジメチルシクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物(式(5−1)の化合物、以下1,3−DM−CBDAと略す)を220g(0.981mol)と、メタノールを2200g(6.87mol、1,3−DM−CBDAに対して10wt倍)仕込み、65℃にて加熱還流を行ったところ、30分で均一な溶液となった。反応溶液はそのまま4時間30分加熱還流下で撹拌した。この反応液を高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略す)にて測定した。この測定結果の解析は後述する。
エバポレーターにて、この反応液から溶媒を留去した後、酢酸エチル1301gを加えて80℃まで加熱し、30分還流させた。その後、10分間に2〜3℃の速度で内温が25℃になるまで冷却し、そのまま25℃で30分撹拌した。析出した白色結晶をろ過によって取り出し、この結晶を酢酸エチル141gにて2回洗浄した後、減圧乾燥することで、白色結晶を103.97g得た。
この結晶は、1H NMR分析、及びX線結晶構造解析の結果により、化合物(1−1)であることを確認した(HPLC相対面積97.5%)(収率36.8%)。
1H NMR (DMSO-d6, δppm);12.82 (s, 2H), 3.60 (s, 6H), 3.39 (s, 2H), 1.40 (s, 6H).
a−2.1,3−DM−CBDE−C1の合成
Figure 2011115079
窒素気流中、3Lの四つ口フラスコに、化合物(1−1)234.15g(0.81mol)、n−ヘプタン1170.77g(11.68mol.5wt倍)を仕込んだ後、ピリジン0.64g(0.01mol)を加え、マグネチックスターラー攪拌下にて75℃まで加熱撹拌した。続いて、塩化チオニル289.93g(11.68mol)を1時間かけて滴下した。滴下直後から発泡が開始し、滴下終了30分後に反応溶液は均一となり、発泡は停止した。続いてそのまま75℃にて1時間30分撹拌した後、エバポレーターにて水浴40℃で内容量が924.42gになるまで溶媒を留去した。これを60℃に加熱し、溶媒留去時に析出した結晶を溶解させ、60℃にて熱時ろ過を行うことで不溶物をろ過した後、ろ液を25℃まで10分間に1℃の速度で冷却した。そのまま25℃で30分撹拌させた後、析出した白色結晶をろ過により取り出し、この結晶をn−ヘプタン264.21gにて洗浄した。これを減圧乾燥することで、白色結晶を226.09g得た。
続いて窒素気流中、3Lの四つ口フラスコに、上記で得られた白色結晶226.09g、n−ヘプタン452.18gを仕込んだ後、60℃に加熱撹拌して結晶を溶解させた。その後、25℃まで10分間に1℃の速度で冷却撹拌し、結晶を析出させた。そのまま25℃で1時間撹拌させた後、析出した白色結晶をろ過により取り出し、この結晶をn−ヘキサン113.04gにて洗浄した後、減圧乾燥することで白色結晶を203.91g得た。この結晶は、1H NMR分析結果により、化合物(3−1)すなわち、ジメチル−1,3−ビス(クロロカルボニル)−1,3−ジメチルシクロブタン−2,4−ジカルボキシレート(1,3−DM−CBDE−C1)であるであることを確認した(HPLC相対面積99.5%)(収率77.2%)。
1H NMR (CDCl3, δppm) : 3.78 (s, 6H), 3.72 (s, 2H), 1.69 (s, 6H).
<合成例1> ポリアミック酸エステル
撹拌装置付きの300mL(リットル)の四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、DA−Aを8.0102g (40.35mmol)入れ、NMPを158.1g、塩基としてピリジンを7.20g (91.03mmol) 加え撹拌して溶解させた。次にこのジアミン溶液を撹拌しながら1,3DM−CBDE−C1を2.3419g (37.93mmol)添加し、水冷下4時間反応させた。
得られたポリアミック酸エステルの溶液を、1757g の水に撹拌しながら投入し、析出した白色沈殿をろ取し、続いて、1757g の水で1回、1757g のエタノールで1回、439g のエタノールで3回洗浄し、乾燥することで白色のポリアミック酸エステル樹脂粉末16.63gを得た。収率は、94.6%であった。また、このポリアミック酸エステルの分子量はMn=10,180、Mw=21,476であった。
得られたポリアミック酸エステル樹脂粉末14.8252gを200mlの三角フラスコにとり、NMP99.3048g を加え、室温で24時間撹拌し溶解させて、ポリアミック酸エステル溶液(PAE−1)を得た。
<合成例2>
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの300mLの四つ口フラスコにDA−Aを3.9687g(20.017mmol)をとり、γ−BLを26.44g、NMPを30.08gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、1,3DMCBDAを4,4701g(19.941mmol)を添加し、更に固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸(PAA−1)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は41.4mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=10724、Mw=22520であった。
<合成例3>
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、DA−Dを6.0852g(39.99mmol)取り、NMPを29.24gを加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらBDAを7.8503g(39.62mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は2676mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=9,024、Mw=17,757であった。
上記ポリアミック酸溶液27.1035gを100mlの三角フラスコにとり、NMP18.069gを加えて、室温で4時間撹拌し、ポリアミック酸溶液(PAA−2)を得た。
<合成例4>
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、DA−Dを3.0467g(20.02mmol)取り、NMPを27.23g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらCBDAを3.8974g(19.87mmol)添加し、更に固形分濃度が15質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸(PAA−3)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は448.4mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=18,772、Mw=48,808であった。
<合成例5>
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、DA−Bを7.9719g(40.01mmol)、DA−Dを1.5246g(10.02mmol)取り、NMPを40.64g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらBDAを9.8377g(49.65mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は14550mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=16,230、Mw=34,539であった。
得られたポリアミック酸溶液45.1642gを100ml三角フラスコに取り、NMP33.87gを加えて、室温で24時間撹拌し溶解させて、15質量%のポリアミック酸溶液(PAA−4)を得た。
<合成例6>
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、DA−Cを1.848g(9.23mmol)及びDA−Dを2.1025g(13.82mmol)取り、NMP39.7gを加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらPMDAを4.8162g(22.08mmol)添加し、更に固形分濃度が15質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸(PAA−5)の溶液を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は257mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=13,620、Mw=28,299であった。
<実施例1>
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、合成例1で得られたポリアミック酸エステル溶液(PAE−1)を1.5339g、合成例3で得られたポリアミック酸溶液(PAA−2)を1.3574g取り、NMPを1.1775g、BCSを1.0164g加えて、マグネチックスターラーで30分撹拌し、液晶配向剤(I)を得た。
<実施例2>
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、合成例1で得られたポリアミック酸エステル溶液(PAE−1)を1.5160g、合成例4で得られたポリアミック酸溶液(PAA−3)を0.9026g取り、NMPを1.6340g、BCSを1.0121g加えて、マグネチックスターラーで30分撹拌し、液晶配向剤(II)を得た。
<実施例3>
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、合成例1で得られたポリアミック酸エステル溶液(PAE−1)1.5293gと合成例5で得られたポリアミック酸溶液(PAA−4)を0.8973g取り、NMPを1.6160g、BCSを1.0150g加えてマグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(III)を得た。
<実施例4>
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、合成例1で得られたポリアミック酸エステル溶液(PAE−1)1.5018gと合成例6で得られたポリアミック酸溶液(PAA−5)1.1008gを三角フラスコにとり、NMPを1.4859g、BCSを1.0214g加えてマグネチックスターラーで30分間撹拌し液晶配向剤(IV)を得た。
<比較例1>
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、合成例1で得られたポリアミック酸エステル溶液(PAE−1)4.253gを取り、NMPを1.4419g、BCSを1.4194g加えてマグネチックスターラーで30分撹拌し、液晶配向剤(a)を得た。
<比較例2>
撹拌子を入れた20mlサンプル管に、合成例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA−1)3.095gを取り、NMPを1.0163g、BCSを1.0322g加えてマグネッチクスターラーで30分撹拌し、液晶配向剤(c)を得た。
<実施例5>セルの作製
実施例1で得られた液晶配向剤(I)を1.0μmのフィルターで濾過した後、透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間の乾燥、温度250℃で1時間の焼成を経て膜厚100nmのポリイミド膜を得た。この塗膜面に偏光板を介して254nmの紫外線を100mJ/cm照射し、液晶配向膜付き基板を得た。
このような液晶配向膜付き基板を2枚用意し、一方の基板の液晶配向膜面に6μmのスペーサーを散布した後、2枚の基板の配向が逆平行になるように組み合わせ、液晶注入口を残して周囲をシールし、セルギャップが6μmの空セルを作製した。この空セルに液晶(MLC−2041、メルク株式会社製)を常温で真空注入し、注入口を封止して液晶セルとした。この液晶セルについて液晶配向性を偏光顕微鏡で確認した結果、良好な液晶配向状態であることが確認された。
偏光紫外線の照射量を200mJ/cm、300mJ/cm、400mJ/cmとした時の液晶配向性評価結果について、後述する表1に示す。
<実施例6>
実施例2で得られた液晶配向剤(II)を用いた以外は、実施例5と同様の方法で液晶セルを作製した。この液晶セルについて、この液晶セルについて液晶配向性を偏光顕微鏡で確認した。結果は、後述する表1に示す。
<実施例7>
実施例3で得られた液晶配向剤(III)を用いた以外は、実施例5と同様の方法で液晶セルを作製した。この液晶セルについて、この液晶セルについて液晶配向性を偏光顕微鏡で確認した。結果は、後述する表1に示す。
<実施例8>
実施例4で得られた液晶配向剤(IV)を用いた以外は、実施例5と同様の方法で液晶セルを作製した。この液晶セルについて、この液晶セルについて液晶配向性を偏光顕微鏡で確認した。結果は、後述する表1に示す。
<比較例3>
比較例1で得られた液晶配向剤(a)を用いた以外は、実施例5と同様の方法で液晶セルを作製した。この液晶セルについて、この液晶セルについて液晶配向性を偏光顕微鏡で確認した。結果は、後述する表1に示す。
<比較例4>
比較例2で得られた液晶配向剤(c)を用いた以外は、実施例5と同様の方法で液晶セルを作製した。この液晶セルについて、この液晶セルについて液晶配向性を偏光顕微鏡で確認した。結果は、後述する表1に示す。
Figure 2011115079
実施例5〜8及び比較例3、4との対比により、本発明の液晶配向剤は、液晶配向能が発現する光照射量の範囲が広くなることが分かる。
本発明の液晶配向剤から得られる液晶配向膜は、光配向法において偏光紫外線の照射量に依らず、良好な液晶配向性が得られる。特に、大画面の表示素子やテレビなどに広く有用である。
なお、2010年3月15日に出願された日本特許出願2010−058559号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (11)

  1. 下記(A)成分及び(B)成分を含有する液晶配向剤。
    (A)成分:下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸エステル及び該ポリアミック酸エステルのイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種類の重合体。
    Figure 2011115079
    (式(1)中、Yは2価の有機基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜30の炭化水素基であり、同一でも異なってもよい。)
    (B)成分:テトラカルボン酸二無水物とジアミンより得られるポリアミック酸。
  2. (A)成分と(B)成分との含有比率が、質量比(A/B)にて1/9〜9/1である請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. (A)成分が、上記式(1)で表される繰り返し単位を40モル%以上有するポリアミック酸エステル及び該ポリアミック酸エステルのイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種類の重合体である請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
  4. 成分(A)が、下記式(3)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸エステルである請求項1〜3のいずれかに記載の液晶配向剤。
    Figure 2011115079
    (式(3)中、Yは2価の有機基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)
  5. 成分(A)が、下記式(4)で表される繰り返し単位を有するポリアミック酸エステルである請求項1〜3のいずれかに記載の液晶配向剤。
    Figure 2011115079
    (式(4)中、Yは2価の有機基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)
  6. 式(1)において、Yが、下記の構造式からなる群から選ばれる少なくとも1種類である請求項1〜5のいずれかに記載の液晶配向剤。
    Figure 2011115079
  7. 成分(B)が下記式(B−1)〜(B−9)のテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含むテトラカルボン酸二無水物を用いて得られるポリアミック酸である請求項1〜6のいずれかに記載の液晶配向剤。
    Figure 2011115079
  8. 成分(B)が上記式(B−1)〜(B−9)からなる群から選ばれる少なくとも1種類のテトラカルボン酸二無水物を全テトラカルボン酸二無水物の20モル%以上有するテトラカルボン酸二無水物を用いて得られるポリアミック酸である請求項7に記載の液晶配向剤。
  9. (B)成分が、下記式(B−10)〜(B−13)からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含むジアミンを用いて得られるポリアミック酸である請求項1〜8のいずれかに記載の液晶配向剤。
    Figure 2011115079
  10. 成分(B)が、上記式(B−10)〜(B−13)からなる群から選ばれる少なくとも1種類のジアミンを全ジアミンの20モル%以上有するジアミンを用いて得られるポリアミック酸である請求項9に記載の液晶配向剤。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の液晶配向剤を塗布、焼成して得られる被膜に、偏光紫外線を照射して得られる液晶配向膜。
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