JP5341383B2 - ラック空調システム - Google Patents
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Description
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、局所空調機に冗長性を持たせることなく、情報通信機器・装置の高温障害発生を回避可能なラック空調システムを提供するものである。
(1)複数のサーバラック列により、コールドアイルとホットアイルとが形成される室内において、ラック列を構成するサーバラックを冷却するラック空調システムであって、室内全体を空調するアンビエント空調機と、サーバラック列の一又は複数の箇所に配置される局所空調機と、室内の一又は複数の箇所に配置される外部ファンユニットと、局所空調機の運転状態に対応して、外部ファンユニットの作動を制御するファン連携制御手段と、を備えて成ることを特徴とする。
(3)上記各発明において、局所空調機は、サーバラックと同一モジュールに構成され、かつ、吸排気方向がサーバラックと逆向きに配置されて成ることを特徴とする。
局所空調機をサーバラックと同一モジュールとすることにより、サーバラック用の架台をそのまま利用できるため、施工が容易で配置の自由度が高くなる。また、ラック列での収まりがよく、スペース効率を向上させることができる。
(4)上記各発明において、外部ファンユニットが、吹き出し口に設けた床パネルファン、室内上部に設けた排気ファン、コールドアイル空間に設けた撹拌ファン、のいずれか、又はこれらの組み合わせであることを特徴とする。
床パネルファンは、アンビエント空調が二重床空調方式の場合に用いることができ、アンビエント空調機の冷気を積極的にコールドアイルに供給するものである。床パネルファンは、局所的な冷却性能が高いという特徴を持つ。
排気ファンは、通常、アンビエント空調の吸い込み天井チャンバー、又は吸い込みダクトと共に用いられ、高発熱領域の高温空気を吸引してアンビエント空調機に戻し、高温空気の拡散を抑制するものである。排気ファンは、床パネルファンより冷却性能は小さいが、より広範な領域で効果的である。
攪拌ファンは、コールドアイルの空気を攪拌するものであり、アンビエント空調が二重床吹き出し方式でない場合にも利用可能である。攪拌ファンは、コールドアイルの平均温度を若干高めるものの、コールドアイル全体を均一な温度に保ち、局所高温を回避する効果を有する。
(5)上記各発明において、ファン連携制御手段が、コールドアイル空間の一又は複数箇所に配設される温度センサと、該温度センサの検出値に基づいて局所空調機の風量又は能力を制御する手段と、を含んで成ることを特徴とする。
(6)上記各発明において、温度センサが、局所空調機に搭載されるリモート温度センサであることを特徴とする。
局所空調機に搭載される能力制御用リモート温度センサを用いることにより、外部ファンコントロール用として別個に温度センサを設ける必要がなく、また、局所空調機との外部ファンの連動制御の機構も単純化できる。これらにより、空調システムのコストを低減できる。
(7)上記各発明において、無停電電源装置と、商用電源遮断時に前記アンビエント空調機のファン動力及び又は外部ファンユニットのファン動力の少なくとも一方を、該無停電電源装置により供給可能にする手段と、をさらに備えて成ることを特徴とする。
かかる構成により、商用電源遮断による局所空調機、アンビエント空調機の冷媒循環停止時にも、アンビエント空調機のファン及び外部ファンは作動可能となるため、二重床部の冷熱容量を有効に利用することができる。これにより、局所の急激な温度上昇を回避することが可能となる。
また、ファン動力のみの電源バックアップは、空調システム全体の電源バックアップと比較して、経済性に優れる。
(8)上記各ラック空調システムにおいて、局所空調機の故障又は運転停止時に、外部ファンユニットを作動させることを特徴とする。
(9)また、コールドアイル空間の所定位置における温度が所定の上限値を超えたときに、外部ファンユニットを作動させてファン風量を制御することを特徴とする。
(10)上記発明において、さらに、局所空調機の風量又は能力を増減させることにより、冷気供給量を制御することを特徴とする。
(11)上記各発明において、さらに、アンビエント空調機の風量を増加させることにより、冷気供給量を制御することを特徴とする。
床パネルファン等の外部ファンが起動すると、その気流の影響範囲外の領域で逆に環境が悪化する場合がありうる。本発明は、このような状況を回避するため、アンビエント空調機の風量を強制的に増加させるものである。これにより、外部ファン動作条件となる非常時に、時間遅れなく外部ファンの気流影響範囲外領域の環境悪化を防止することができる。
また、床パネルファンを作動させる発明においては、二重床下の冷気、蓄冷熱を利用することができるため、局所空調機の能力停止・低下時にも情報通信装置の高温障害を防止することができる。
また、局所空調機に冗長性を持たせる必要がないため、イニシアル・コストの低減化が可能となる。
アンビエント空調と局所空調機を併用した空調システムの場合、送風動力の小さい局所空調機を優先させて運転することにより、空調システム全体として効率向上を図ることができる。さらに、外部ファンユニットを併用する上記各発明により、局所空調機の運転を優先させる制御を補助することができるため、高効率の空調システムが実現できる。
(第一の実施形態)
図1(a)は、本発明の一実施形態に係るラック空調システム1(a)の断面構成を示す図である。図2は、同平面構成を示す図である。図3は、ラック空調システム1(a)の温度上昇抑制フローを示す図である。
図1(a)、2を参照して、ラック空調システム1(a)は、情報通信機械室5内に収容される複数のサーバラック2を、アンビエント空調機4及び複数のラック型空調機6(i) (i=1〜9)により冷却するシステムである。機械室5内部は、床パネル5d及び天井パネル5eにより3つの空間に区画されており、床パネル5dの下部には二重床空間5cが、天井パネル5eの上部には天井空間5bが形成されている。空調機4の室内ユニット4aと二重床空間5cとは往き側ダクト7aを介して結ばれている。また、天井空間5bと室内ユニット4aとは、戻り側ダクト7bを介して結ばれている。
サーバラック2には、ラックマウントサーバ2aが格納されている。ラックマウントサーバ2aの発生熱は、各サーバが備える冷却ファン(図示せず)により、前面から吸気した空気とともに背面に排気される。その結果として、サーバラック2は前面から冷気を吸込み、背面から排気するように構成されている。
ラック列3を構成する各サーバラックは、隣接する列の吸気面と吸気面、排気面と排気面が対向するように配置されている。これにより、吸気面側にはコールドアイル空間11が、排気面側にはホットアイル空間12が形成されている。
ラック空調システム1(a)は、各空調機が内蔵するファンに加えて、コールドアイル床面の吹出口5fに冷気供給促進のための床パネルファン8を備えている。床パネルファン8は、空調機6(i)の近傍に設けられている。なお、図示を省略するが、コールドアイルの二重床パネル5dの床パネルファン8が設置されていない部分の一部には、穴あきパネルが用いられており、アンビエント空調機4からの冷気が供給されるように構成されている。
定常状態においては、空調機4、空調機6(i)は運転状態にあり、床パネルファン8は停止状態にある(S101)。制御中は、全ての空調機について運転状態がモニターされ、いずれかの空調機が運転停止状態にあることを検出したときは、予め当該空調機と関連付けられた床パネルファン8が作動開始される(S102)。その後、当該空調機の運転復帰を検出したときは(S104においてYES)、作動開始後、所定時間(例えば30分間)経過したか否かが判定され(S105)、該当するときは当該床パネルファン8の作動が停止される(S106)。所定時間の経過を条件としたのは、通常、局所空調機の作動開始後、冷凍サイクルが安定し定常冷房出力を出せるまでに、一定時間を要するためである。
なお、本実施形態では、外部ファンとして床パネルファンを用いる形態を示したが、図1(b)に示すように、コールドアイル空間に撹拌ファン10を配置して、コールドアイルの温度均一化を図る形態とすることもできる。さらに、図1(c)に示すように、天井パネル部に排気ファン14を設けて、排気促進を図る形態とすることもできる。さらに、これら外部ファンユニットを組み合わせて用いる形態とすることもできる。 また、本実施形態では、局所空調機としてサーバラックと同一モジュールのラック型空調機を用いる例を示したが、これに限らず他のタイプの局所空調機、例えばコールドアイルの上方に設置する空調機を用いる形態とすることもできる。
次に、図4、5を参照して本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、ラック型空調機が装備している温度計測用のリモート温度センサを利用して、撹拌ファンによりコールドアイル空間の温度上昇抑制制御を行うものである。
図4は、ラック空調システム20の断面構成を示す図である。図5は、ラック空調システム20の温度上昇抑制制御フローを示す図である。
図4を参照して、ラック空調システム20の構成が上述のラック空調システム1(b)と異なる点は、各空調機6(i)が搭載するリモート温度センサS1(i)が、コールドアイル空間11に配置されていることである。ここに、撹拌ファン10と温度センサS1(i)とは、予め1:1に関連付けられている。「関連付け」の対象となるのは、ある撹拌ファン10に対して、その気流の影響下にあるセンサS1(i)である。
その他の構成は、ラック空調システム1(b)と同一であるので、重複説明を省略する。
以上の制御により、コールドアイル空間11における局所的高温域発生が解消され、温度分布の均一化が図られる。
なお、本実施形態では撹拌ファン10を作動させる例を示したが、床パネルファン等、他の外部ファンユニットを作動させる形態とすることもできる。
また、撹拌ファン10と温度センサS1(i)との関連付けを1:1に設定する形態としたが、これに限らず、1:複数、又は複数:1の関係にすることもできる。
さらに、図6、7を参照して本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、各ラック型空調機が装備している複数のリモート温度センサを、コールドアイル空間の温度上昇抑制に利用するものである。
図6は、ラック空調システム30の平面構成を示す図である。図7は、ラック空調システム30の温度上昇抑制制御フローを示す図である。
図6を参照して、ラック空調システム30の構成が上述のラック空調システム20と異なる点は、最左端ラック列を例にとると、ラック型空調機6(1)、6(2)が、それぞれ3つのリモート温度センサS2〜S4を備えていることである。温度センサS2〜S4は、それぞれ異なるラック2の吸込み口近傍に配設されている。温度センサS2〜S4の計測値は、各空調機6(i)の制御部6cに出力される。なお、図示を省略するが、他のラック列についても同様の構成である。その他の構成は上述の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
制御中において空調機4は一定風量で稼動しており、吹き出し温度を一定にするよう能力制御がされている。また、独立に装備している複数のリモート温度センサーの検出温度を設定値以下とするよう、ラック型空調機6(i)による能力制御が行われる。以下、空調機6(1)の制御を例に説明する。定常状態においては、全ての床パネルファン32a乃至32cは作動停止状態にある(S301)。運転中は、温度センサS2〜S4のそれぞれについて吸い込み温度が計測される(S302)。そして、いずれかの温度センサの計測値Tiが、上限温度THを超えたか否かが判定される(S305)。Ti>THのときは、当該センサ近傍において冷気供給不足と判定され、当該センサに近接する床パネルファンが作動開始される(S304)。例えば、センサS2又はS3がこれに該当する場合にはファン32aが、センサS4が該当する場合にはファン32bが作動開始されることになる。
なお、温度上限温度TH、及び温度下限温度TLはラック型空調機の能力制御の温度設定値より高い温度に設定されている。そのため通常はラック型空調の能力制御単独で運転されているが、一時的に局部的に冷気供給が不足した状態であっても、二重床部分の蓄冷熱がコールドアイル空間11に供給され、供給冷気温度の上昇を抑制できる。
なお、本実施形態では、温度センサの計測値に基づいて床パネルファンをON−OFFさせる例を示したが、床パネルファン風量を変化させる制御を加える形態とすることもできる。
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、緊急時にアンビエント空調機のファン及び外部ファンユニットへの電力供給を、無停電電源装置(UPS)から行うシステムである。
図8は、ラック空調システム40の電力供給ラインの構成を示す図である。図9は、同商用電源遮断時における電力供給ラインを示す図である。
図8を参照して、ラック空調システム40の構成が上述の各ラック空調システムと異なる点は、バッテリー41a、整流器41b、インバータ41cを主要構成とする無停電電源装置(UPS)41を備えていることである。さらに、アンビエント空調機4の電力のうち、ファン4cの動力を除く電力及びラック型空調機6の電力は、電力ラインE1を介して商用電源から供給される。一方、アンビエント空調機4のファン動力及び床パネルファン42のファン動力は、電力ラインE1から分岐する電力ラインE2、E3及びバッテリー41aからの電力ラインE4を経由して供給される。その他の構成は上述の実施形態と同一である。
一方、図9を参照して、停電等、商用電源遮断時には、電力ラインE1を介しての電力供給は遮断する。このため、アンビエント空調機4の冷媒循環系統及びラック型空調機6は運転停止状態となる。しかしながら、アンビエント空調機4のファン4c及び床パネルファン42については、電力ラインE3、E4を介して、UPS41側からのバッテリー電力供給を受けることができる。これにより、停電時であってもサーバの稼動とアンビエント空調機4のファン4c及び床パネルファン42の作動が保障され、緊急避難的に二重床部分の蓄冷熱により温度上昇を一定時間抑制することができる。
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、ラック型空調機のリモート温度センサの計測値に基づいて、ラック型空調機の風量制御を行うものである。本実施形態の構成は上述のラック空調システム20と同一であるので、図示及び重複説明を省略する。
以上の制御により、送風動力の小さい局所空調機を優先させて運転することができ、空調システム全体としてさらなる効率向上を図ることができる。また局所空調機のみでは対応できない負荷変動に対しても、アンビエント空調で補うことにより安定した温度環境を維持することができる。
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、ラック型空調機のリモート温度センサの計測値に基づいて、ラック型空調機の圧縮機能力制御を行うものである。本実施形態の構成についても上述のラック空調システム20と同一であるので、図示及び重複説明を省略する。
以上の制御により、送風動力の小さい局所空調機を優先させて運転することができ、空調システム全体としてさらなる効率向上を図ることができる。また、局所空調機のみでは対応できない負荷変動に対しても、アンビエント空調で補うことにより安定した温度環境を維持することができる。
2・・・サーバラック
3、33、34・・・ラック列
4・・・アンビエント空調機
5・・・情報通信機械室
5b・・・天井空間
5c・・・二重床空間
5d・・・床パネル
5e・・・天井パネル
6・・・ラック型空調機
8、32a、32b、42・・・床パネルファン
9・・・配電盤ユニット(PDU)
10・・・撹拌ファン
11・・・コールドアイル空間
12・・・ホットアイル空間
14・・・排気ファン
41・・・無停電電源装置(UPS)
E1〜E4・・・電力ライン
S1〜S4・・・温度センサ
Claims (5)
- 複数のサーバラック列により、コールドアイルとホットアイルとが形成される室内において、ラック列を構成するサーバラックを冷却するラック空調システムであって、
室内全体を空調するアンビエント空調機と、
サーバラック列の一又は複数の箇所に配置される局所空調機と、
室内の一又は複数の箇所に配置される外部ファンユニットと、
局所空調機の運転状態に対応して、外部ファンユニットの作動を制御するファン連携制御手段と、を備えて成り、
前記アンビエント空調機は、二重床構造に構成された床面に設けた吹き出し口を介して、冷気を室内に供給可能に構成し、
前記外部ファンユニットが、前記吹き出し口に設けた床パネルファン、コールドアイル空間に設けた撹拌ファン、のいずれか、又はこれらの組み合わせであり、
前記ファン連携制御手段が、前記局所空調機に搭載され、かつ、コールドアイル空間の一又は複数箇所に配設される温度センサと、該温度センサの検出値に基づいて前記局所空調機の風量又は能力を制御する手段と、を含んで成り、かつ、
コールドアイル空間の所定位置における温度が所定の上限値を超えたときに、
第一ステップとして、前記局所空調機の風量又は能力を増減させることにより、冷気供給量を制御する手段と、
第二ステップとして、前記外部ファンユニットを作動させてファン風量を制御する手段と、
を備えたことを特徴とするラック空調システム。 - 前記局所空調機は、サーバラックと同一モジュールに構成され、かつ、吸排気方向がサーバラックと逆向きに配置されて成ることを特徴とする請求項1に記載のラック空調システム。
- 無停電電源装置と、商用電源遮断時に前記アンビエント空調機のファン動力又は前記外部ファンユニットのファン動力の少なくとも一方を、該無停電電源装置により供給可能にする手段と、をさらに備えて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のラック空調システム。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のラック空調システムにおいて、
前記局所空調機の故障又は運転停止時に、前記外部ファンユニットを作動させることを特徴とするラック空調システムの運転方法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載のラック空調システムにおいて、さらに、前記アンビエント空調機の風量を増加させることにより、冷気供給量を制御することを特徴とするラック空調システムの運転方法。
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