JP5183291B2 - ラック空調システム及びその運転方法、ラック型空調機 - Google Patents
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Description
この場合、二重床からの冷気供給のみで室全体を均一に空調する従来の方式(アンビエント空調方式)では、ラックからの発熱の偏在によりコールドアイルに局所的な高温エリアが生じ、情報通信機器・装置の高温障害発生という問題が生じる。このような問題を解消すべく、局所冷却のためにコールドアイルの上方に空調機を設置する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
一方、局所空調機をラック列内に配置する方式もある。特に、スペース効率向上等を図るため、サーバラックと同一モジュールとするラック型空調機が実用化されている。ラック型空調機は、吸排気の方向が各ラックとは逆向き、すなわちホットアイル空間の高温排気を吸込み、コールドアイル側に冷却空気を吹き出すように配置される。
さらに、ラック下部より二重床空間から直接冷気供給を受けて上面から排気するクローズドラックを用いたシステムにおいては、従来のコールドアイルに吹き出す局所空調機では冷気供給できない、という問題がある。
さらに、クローズドラックを用いたシステムにも対応可能なラック空調システム及びラック型空調機を提供するものである。
(1)二重床空間を有し、サーバラック列によりコールドアイルとホットアイルとが形成される室内において、局所空調用のラック型空調機を含む一又は複数の空調機によりサーバラックを冷却するラック空調システムにおいて、一以上のラック型空調機は、冷却空気をコールドアイル側に吹き出す第一の送風ファンと、冷却空気を二重床側に吹き出す第二の送風ファンと、を備えて成ることを特徴とする。
本発明によれば、ラック型空調機のサーモオフ条件時にあっても、第二の送風ファンを用いて余剰の冷気を二重床下に供給することができ、圧縮機のサーモオフを回避することができる。これによりサーモオフ時、空調機自体がホットアイル側からコールドアイル側への高温空気の流路となってしまうことを回避できる。
(2)前記一又は複数の空調機には、二重床吹き出し空調方式のアンビエント空調機が含まれることを特徴とする。
(3)前記サーバラックには、一以上のクローズドラックが含まれることを特徴とする。
(4)さらに、二重床空間の特定位置における温度が所定の範囲内に収まるように、前記第二の送風ファン側の風量を制御することを特徴とする。
(5)コールドアイル空間の複数位置における温度のうち、最高温度が所定の範囲内に収まるように、第一の送風ファン側及び前記第二の送風ファン側の風量を制御することを特徴とする。
(6)クローズドラックの必要冷気量の全部又は一部を、前記第二の送風ファン側から供給することを特徴とするラック型空調機の運転方法。
本発明により、第二の送風ファンを作動させて、対象クローズドラックの必要冷気量分を二重床下から供給することが可能となる。
さらに、例えばクローズドラック下の床面温度に基づいて第二の送風ファンの風量制御をすることにより、クローズドラックに安定した温度の冷気供給を行うことが可能となる。
(7)冷却空気をコールドアイル側に吹き出す第一の送風ファンと、冷却空気を二重床側に吹き出す第二の送風ファンと、第一の送風ファン側及び該第二の送風ファン側の風量比率を、二重床空間温度又はコールドアイル空間温度に対応して可変とする手段と、を備えて成ることを特徴とする。
また、クローズドラックを用いたシステムにも、安定的な冷気供給が可能となるという効果がある。
図1は、ラック型空調機8を用いた空調システム1の断面構成を示す図である。図2は、空調システム1の平面構成を示す図である。図3は、本実施形態における前面ファン、底面ファンの風量制御フローを示す図である。
図1、2を参照して、空調システム1は情報通信機械室5内に収容され、ラック列3を構成するサーバラック2を、アンビエント空調機である空調機4及び局所空調機であるラック型空調機8により冷却するシステムである。
アンビエント空調機である空調機4は、蒸発器4e及び送風機4cを備えた室内ユニット4a、圧縮機、凝縮器(いずれも不図示)等を主要構成とする室外ユニット4b、及びこれらを接続する冷媒配管4dを備えている。
機械室5内部は、床パネル5d及び天井パネル5eにより3つの空間に区画されており、床パネル5dの下部には二重床空間5cが、天井パネル5eの上部には天井空間5bが形成されている。空調機4の室内ユニット4aと二重床空間5cとは往き側ダクト7aを介して結ばれている。また、天井空間5bと室内ユニット4aとは、戻り側ダクト7bを介して結ばれている。
コールドアイル6a床面の一部は、穴あきパネル5fにより構成されている。また、ラック型空調機8の室内機8aの下側床面には冷気吹出口5gが設けられている。これらにより、空調機4及び後述するようにラック型空調機8から送られる冷気をコールドアイル空間に供給可能に構成されている。
運転中は、圧縮機がサーモオフ条件に該当したか否かが判定される(S103)。これに該当するときは、次に前面ファン風量が最小に至っているか、又は底面ファン風量が最大に至っているかが判定される(S104)。この条件に至っていないときは、前面ファン風量を1段階ダウンし、底面ファン風量を1段階アップする(S105)。既にこの条件に至っているときは(S104においてYES)、その状態が維持される。
S103においてNO、すなわちサーモオフ条件に該当しないときは、前面ファン8d及び底面ファン8fがデフォルト風量か否かが判定され(S106)、これに該当するときはその状態が維持される。いずれかがデフォルト風量でない場合には、前面ファン風量を1段階アップし、底面ファン風量を1段階ダウンする(S107)。
以上のフローが所定の時間間隔で行われることにより(S108)、余剰の冷気を二重床下に供給することで圧縮機の停止を回避し、コールドアイルの温度環境を安定させることができる。
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、ラック列内にクローズドラックを備える形態に係る。
図4は、本実施形態に係るラック列20の一部構成を示す図である。ここに、紙面表側が、コールドアイル側である。ラック列20の構成が上述実施形態に係るラック列3と異なる点は、前面吸気、背面排気タイプのラック2の間に、床面吸気、上面排気タイプのクローズドラック21を備えていることである。ラック21内部にはラック21aが格納されており、上面には排気用ファン21bが設けられている。ラック21の底面は開口されており、床パネル5dの開口部22を介して冷気導入可能に構成されている。なお、室内機8aの底面ファン8fの風量は、クローズドラック21の冷却に必要な量を考慮して調整されている。その他の構成は上述の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、二重床空間温度に基づいてラック型空調機の冷房能力及び底面ファン、前面ファン風量を制御するものである。
図5は、ラック空調システム30の断面構成を示す図である。図8は、ラック空調システム30の運転制御フローを示す図である。
ラック空調システム30の構成が上述のラック空調システム1と異なる点は、コールドアイル6a内に温度センサS1、二重床空間内に温度センサS2を備えており、その計測値を制御部8gに出力していることである。その他の構成は上述の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
運転中は、温度センサS1、S2によりコールドアイル温度Tc及び二重床空間(床下)温度Tfが計測される(S202)。
次いで、コールドアイル温度について、現在温度Tcと設定温度Tcsとが比較される(S203)。そして、Tc<Tcsのときは(S203においてYES)、コールドアイル温度を上げるため圧縮機周波数を1段階ダウンする。既に最低周波数に至っているときは、その状態が維持される(S204)。次いで、床下温度Tfが設定温度Tfsを下回っているか否かが判定される(S205)。これに該当するときは、床下温度を上げるため底面ファン8f風量を1段階ダウンする。S205においてNO、すなわちTf≧Tfsのときは、床下温度を下げるため底面ファン8f風量を1段階アップする。既に最大風量に至っているときは、その風量を維持する(S207)。
S203においてNO、すなわちTc≧Tcsのときは、コールドアイル温度を下げるため圧縮機周波数を1段階アップする。既に最大周波数に至っているときは、その状態が維持される(S208)。次いで、床下温度Tfが設定温度Tfsを下回っているか否かが判定される(S209)。これに該当するときは、床下温度を上げるため底面ファン8f風量を1段階ダウンする。S209においてNO、すなわちTf≧Tfsのときは、床下温度を下げるため底面ファン8f風量を1段階アップする。既に最大風量に至っているときは、その風量を維持する(S211)。以上の制御を所定のインターバルで行うことにより(S212)、局所的な高温領域の発生を回避し、冷却対象領域全体として温度均一化を図ることができる。
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、ラック型空調機が備える複数のリモート温度センサの計測値に基づいて底面ファン、前面ファンの風量を制御するものである。
図7は、ラック型空調機41の制御対象領域R1部分の(a)断面構成及び(b)平面構成を示す図である。図8は、ラック型空調機41の運転制御フローを示す図である。
図7を参照して、ラック型空調機41が分担するコールドアイル6a内の制御対象領域R1には、4つのリモート温度センサS31〜S34が配設されており、各位置の温度T31〜T34を計測している。これらの計測値は、制御部44に取り込まれるように構成されている。
次に図8を参照して、本実施形態におけるラック型空調機41の冷房能力・風量制御について説明する。制御開始時において圧縮機(図示せず)は能力制御運転、前面ファン42は圧縮機駆動に対応して運転、底面ファン43はデフォルト風量で運転されている(S301)。
一方、Tmax<TS−εのときは制御対象領域の冷気供給過剰と判定され、前面ファン42の風量が1段階ダウンされ、底面ファン43の風量は1段階アップされる(S305)。これにより、二重床空間(図示せず)を介して他領域への冷気供給が増加される。以上のフローが一定時間ごとに繰り返される(S306)。
2・・・・サーバラック
3、20・・・・ラック列
4・・・・アンビエント空調機
5・・・・情報通信機械室
5b・・・天井空間
5c・・・二重床空間
5d・・・床パネル
5e・・・天井パネル
5g・・・冷気吹出口
6a・・・コールドアイル
6b・・・ホットアイル
8、32・・・ラック型空調機
8d、42・・・前面ファン
8e、43・・・底面ファン
8j・・・圧縮機
21・・・クローズドラック
R1・・・制御対象領域
S1、S2、S31〜S34・・・温度センサ
Claims (7)
- 二重床空間を有し、サーバラック列によりコールドアイルとホットアイルとが形成される室内において、局所空調用のラック型空調機を含む一又は複数の空調機によりサーバラックを冷却するラック空調システムにおいて、
一以上のラック型空調機は、
冷却空気をコールドアイル側に吹き出す第一の送風ファンと、
冷却空気を二重床側に吹き出す第二の送風ファンと、
を備えて成り、かつ、
サーモオフ条件時に、第一の送風ファン側及び前記第二の送風ファン側の風量比率を変更することにより、余剰の冷気を二重床空間に供給可能に構成した、
ことを特徴とするラック空調システム。 - 前記一又は複数の空調機には、二重床吹き出し空調方式のアンビエント空調機が含まれることを特徴とする請求項1に記載のラック空調システム。
- 前記サーバラックには、一以上のクローズドラックが含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載のラック空調システム。
- 請求項1乃至3に記載のラック空調システムにおけるラック型空調機の運転方法であって、
二重床空間の特定位置における温度が所定の範囲内に収まるように、前記第二の送風ファン側の風量を制御することを特徴とするラック型空調機の運転方法。 - 請求項1乃至3に記載のラック空調システムにおけるラック型空調機の運転方法であって、
コールドアイル空間の複数位置における温度のうち、最高温度が所定の範囲内に収まるように、第一の送風ファン側及び前記第二の送風ファン側の風量を制御することを特徴とするラック型空調機の運転方法。 - 請求項3に記載のラック空調システムにおけるラック型空調機の運転方法であって、
前記クローズドラックの必要冷気量の全部又は一部を、前記第二の送風ファン側から供給することを特徴とするラック型空調機の運転方法。 - 冷却空気をコールドアイル側に吹き出す第一の送風ファンと、
冷却空気を二重床側に吹き出す第二の送風ファンと、
第一の送風ファン側及び前記第二の送風ファン側の風量比率を、二重床空間温度又はコールドアイル空間温度に対応して可変とする手段と、
を備えて成ることを特徴とするラック空調システムに用いるラック型空調機。
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