JP5578664B2 - 電算室用空気調和機 - Google Patents
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この従来のデータセンターでの冷房空調システムを従来例1として図2に示して説明する。電算室aに隣接して、アイスチラー氷蓄熱装置等の冷熱源から冷水bが、冷房空調装置cの冷却コイルdや送風ファンe等で冷房を行うものであるが、図2において、冷房空調装置cからの冷気Cをグリル床fからサーバーg2等のラックgの前面パネルg1に送風し、サーバーg2の発熱を処理したラックgで暖まった暖気Hは、サーバー内蔵ファンg3によってラックgの背面パネルg4から排気され、この暖機Hは天井h上の天井通路iの天井吸い込み口jから空気調和機eに還気(RA)する循環冷却システムである。
このように、サーバー高密化に伴って単位面積当りの負荷密度が大幅に上がり、大容量な冷却量が求められる一方、環境負荷軽減を目的に冷却するための空調エネルギーの削減も求められている。
ところで、電算機室が機器の耐熱性の向上により、サーバーの動作温熱環境が長時間30℃近くになっても連続稼働が可能なサーバーに改良され、年間を通じて大部分の期間を熱源での冷却運転を行わないで、外気そのものでサーバーが設置された電算室の冷房が可能なようになってきた。
また、特許文献3の先行技術の局部循環冷房方式は、先行技術例2として図4に示すように、一対の熱交換器p1,p2,p3と送風ファンq1,q2,q3からなる複数の空気調和機を、単スパンごとにそれぞれ配置し、循環する冷風の送風抵抗を小さくすることにより、冷熱搬送動力を削減し省エネを提案している。
(1)外気導入路の確保が必要であり、外部に向けて大きな開口が必要であるが、大きな開口であるためにセキュリティ上の問題がある。
(2)外気条件により外気導入量を決定するため、調整用のダンパーなどの制御コントロールが複雑になる。
(3)外気を導入するので、外気粉塵除去のため圧力損失の高い濾過装置(フィルタ)が必要となり、空気搬送動力が大きくなる。
(4)外気導入量と同風量の排気を確保しなければならず、排気ファンが必要であり、空気搬送動力も大きくなる。
(5)特に、冬季では外気湿度が低い場合には加湿負荷が発生する。また年間冷房で加湿が難いため加湿効率が良くない。
(1)それぞれのスパンに、一対の熱交換器p1,p2,p3と送風ファンq1,q2,q3の複数の空気調和機を設けなければならず、空気搬送路を設けることが物理的に困難であるため、外気を直接導入するフリークーリング手法の採用ができない。
前記冷却空間領域のラック列間のグリル床の下面には冷房空調施設が設けられ、該グリル床の直下はフィルターではなくフィルター作用を有する金網だけで覆い、該金網の下方には送風ファン及び冷却コイルが設けられ、その下方は床下空間の排熱空間領域からの暖気を吸い込む吸込開口が形成され、
前記冷却空間領域の床下には、外気冷熱による第1冷却コイルと冷熱源から冷水による第2冷却コイルとを直列に配設し、
これらの冷却コイルに通過する送風ファンを設けて冷気をグリル床から上方の前記冷却空間領域に送風し、
該冷却空間領域の冷気で電子装置の熱負荷を処理して隣接する前記排熱空間領域に排気し、該排熱空間領域の暖気をグリル床から吸気して前記各冷却コイルに循環させるようにしたことを特徴とする冷房空気を局部的に循環させる電算室用空気調和機である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の冷房空気を局部的に循環させる電算室用空気調和機において、前記第1冷却コイルは、高所に空冷凝縮器を配置して外気冷熱により循環冷媒を凝縮し、該第1冷却コイルで熱交換することにより循環冷媒を蒸発させて冷媒の自重により自然循環させることを特徴とする。
また、ラック列間の空間が冷却空間領域と排熱空間領域とに交互に配置させて、隣り合うラック列間で局部的に空気を循環させるので、従来システムに比べて空調搬送動力を削減し、空調および、その送風機のエネルギーを削減することができる。
更に、冷却コイルや送風ファン等を床下に収納したので、サーバ室用の空調施設のフロアーが不要となり、サーバーラックスペースおよび、サーバーラックの数を減ずる必要もなく、空調施設のスペースを別途用意する必要もない。すなわち、グリル床の直下に冷房空調施設を設置しているため、ダクト等の付属部品を用いることなく漏れなく冷却空間領域に冷気を給気できるが、その場合(特に人歩行時)床からのゴミ落下によるコイル、ファンの汚れ等が懸念されるが、グリル床の直下の給気側であるコイル、ファンより上部にフィルター作用のある金網を設置することでこうした汚れ等による効率低下、損傷を抑制することができる。また、データセンター内は所謂居住空間ではないので、従来のフィルターの代わりに金網を設けて大きな浮遊ゴミ等除去することとし、空調システムでの空気搬送抵抗を小さくしている。
また、各床下の送風ファンは、局部毎にサーバの稼働状況に応じてきめ細かくファンの風量制御ができるので、温度ムラやエネルギー消費の無駄を省くことができ、サーバ室の熱環境向上や省エネが可能となる。
図1の電算機室(データセンター)における空気調和装置の概要に示すように、データセンター1の内部は、内蔵ファンを有するサーバ24やルータなどのICT(Information and Communication Technology)装置等の発熱体を有する電子装置を収納した複数のラック2列が並列に配置され、対向するラック2列間の空間が冷却空間領域C1と排熱空間領域H1とが交互に配置されており、ラック2列間の床には貫通した長孔を有するグリル床3が敷き詰められ、グリル床3の床下空間4は互いに連結されていてチャンバー(空気通路)を形成している。
また、排熱空間領域H1の天井5'は、吊り天井としてラック2の上部23とほぼ同じ高さにし、冷却空間領域C1の天井5''はラック2の上部23よりも高く、本来の基礎天井部を利用している。勿論、天井5''も吊り天井としてもよい。要は、各ラック2列の天井が実質的に密封状態、すなわち、各空間領域をチャンバー化して、空気を発散されることなく、循環させるようにして冷却効率を高めるようにすればよく、吊り天井ではなく、天井板(従来の図2乃至4を参照)を上部23を隣り合うラック2の天井に掛け渡すようにしてもよい。
このように、グリル床の直下に冷房空調施設を設置しているため、当然のことながら、ダクト等の付属部品を用いることなく漏れなく冷却空間領域に冷気を給気できるが、その場合(特に人歩行時)床からのゴミ落下によるコイル、ファンの汚れ等が懸念されるが、グリル床の直下の給気側であるコイル、ファンより上部にフィルター作用のある金網を設置することでこうした汚れ等による効率低下、損傷を抑制する。
送風ファン62は高効率である直流(DC)モータ(図示せず)で駆動され、送風ファン62の隣接又は近傍するラック2の列のラック2の上部23近傍に設けた温度センサ66の検出値に基づいて、高い温度値であれば早く、低い温度値であれば遅く回転するように制御される。
ここで、送風ファン62を制御するファクターとしてサーバ24の負荷を検知するものであれば良く、本実施例では、ラック2内の温度としたが、各サーバ24の消費電流に基づいて送風ファン62を制御してもよく、両者を組み合わせて制御するようにしてもよく、他の送風ファン62を制御するファクターとしても良いことは勿論である。
したがって、金網61の網の目(メッシュ)は、金網の網目が30メッシュ(1インチ(25.4mm)間の目数)程度が良いが、200メッシュ以上だと空気抵抗(圧力損失)が大きくなり、10メッシュ以下だと空気中の浮遊ゴミを捕捉できないからである。
冷やされた液体冷媒は下に位置する第1冷却コイル63に導入させ、この第1冷却コイル63では、電算室1内の熱せられた還気RAを吸い込み開口65から吸い込み熱交換するが、この還気RAの導入により、液体冷媒配管711からの液体冷媒は第1冷却コイル63内で蒸発させて気体冷媒にする。
このように、室外機7側では屋上に設置された空冷凝縮器71を用い、外気冷熱によって循環冷媒を凝縮し、室内機側ではサーバーラックを通風し温められた空気が第1冷却コイル63を通過することにより循環冷媒を蒸発させて、循環冷媒の高低差・圧力差を利用して、室外機7と室内機の第1冷却コイル63間で動力なしに自然循環させることができる。
稼働させる場合に、この第2冷却コイル64は、外部のアイスチラー氷蓄熱装置や中央冷暖房施設等の冷熱源からの冷水が往管641から供給され、この第2冷却コイル64では、電算室1内の熱せられた還気RAを吸い込み開口65から吸い込み熱交換し、冷水は第2冷却コイル64内で熱せられて、復管642から戻される。
なお、本実施例では、第2冷却コイル64はプレ冷却として、外気冷熱だけでは不十分な負荷に対しては、この第2冷却コイルで処理をすることにより、局部循環冷房方式を採用しながら外気冷熱利用が可能となるが、逆に、外気熱源の利用が困難な場合には、外部の冷熱源を利用する第2冷却コイル64を主とし、予備冷却コイルとして外気冷熱利用の冷媒自然循環コイルの第1冷却コイルを用いてもよい。
図1において、本実施例の冷房空調施設6は、金網61、送風ファン62、第1冷却コイル63、第2冷却コイル64、吸い込み開口65、温度センサ66、及び、室外機7から構成されるが、冷房空調装置6からの冷気Cをグリル床3(吹出しグリル床31)からサーバ24を収納したラック2のラック前面パネル21に送風し、サーバ24の発熱を処理した暖まった暖気Hは、サーバ内蔵ファン241等によってラック背面パネル22から排気され、この暖気Hは排熱空間領域H1の下部のグリル床3(吸い込みグリル床32)の貫通長孔から床下空間4を通過して、吸い込み開口65に吸い込まれ循環する。
また、電算機室1の冷房が外気冷熱で足りる場合には、第2冷却コイル64は稼働させず、足りない場合には不足する冷房能力を補完する第2冷却コイル64を稼働させるように、中央制御装置(図示せず)で適切に稼働させればよい。
ところで、本発明の実施例の電算室用空気調和機は、前記のように空調搬送動力を著しく削減できる他に、サーバ室の床下空間をチャンバーとて利用するので、スペース的に有利であるが、この床下スペースにファン、コイル、冷水配管等を配置してサーバ室の有効スペースを確保することができる。
(1)第1冷却コイルが外気冷熱を有効利用でき、外気そのものでサーバーが設置された電算室の冷房を可能とし、アイスチラー氷蓄熱装置等の外部の冷熱源を使用するにしても使用を大幅に削減でき、結果として、空調エネルギーの大幅な削減が図れる。
(2)前掲の先行技術の特許文献2のように、直接外気を導入しないことにより、冬季における加湿負荷が室内に発生しない。また、年間空調エネルギー削減効果は、図2に示す前掲の従来の電算室用空気調和機と比較して、東京地区で38.4%、通年の外気温が低い札幌地区で49.6%と試算できる。
(3)第1冷却コイルの空冷凝縮器を屋上等に配置し、外気冷熱により循環冷媒を凝縮して第1冷却コイルで循環冷媒を蒸発させ、室外機と室内機間で動力なしの自然循環をさせたので、冷媒を搬送する圧縮機等が不要となり空調エネルギーを削減することができる。
(5)冷却コイルや送風ファン等を床下に収納したので、サーバ室用の空調施設のフロアーが不要となり、サーバーラックスペースおよび、サーバーラックの数を減ずる必要もなく、空調施設のスペースを別途用意する必要もない。
(6)各床下の送風ファンは、局部毎のサーバの稼働状況に応じてきめ細かくファンの風量制御ができるので、温度ムラやエネルギー消費の無駄を省くことができ、サーバ室の熱環境向上や省エネが可能となる。
なお、本発明の特徴を損うものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論である。
H・・暖気、H1・・排熱空間領域
1・・ 電算機室(データセンター)、
2・・ラック、21・・ラック前面パネル、22・・ラック背面パネル、
23・・(ラック)上部、
24・・サーバ、241・・サーバ内蔵ファン
3・・グリル床、31・・吹出しグリル床、32・・吸い込みグリル床、
4・・床下空間(チャンバー)
5、5’、5’’・・天井、
6・・冷房空調施設(装置)、61・・金網、62・・送風ファン、
63・・第1冷却コイル、64・・第2冷却コイル、
641・・往管、642・・復管、65・・吸い込み開口、
66・・温度センサ、
7・・室外機、71・・空冷凝縮器、711・・液体冷媒配管、
712・・気体冷媒配管、72・・送風ファン、
Claims (2)
- 発熱体を有する電子装置を収納した複数のラック列が並列に配置され、対向するラック列間の空間が冷却空間領域と排熱空間領域とに交互に配置され、床下空間が連結され、排熱空間領域のラック列の上部が天井で実質的に密封された施設において、
前記冷却空間領域のラック列間のグリル床の下面には冷房空調施設が設けられ、該グリル床の直下はフィルターではなくフィルター作用を有する金網だけで覆い、該金網の下方には送風ファン及び冷却コイルが設けられ、その下方は床下空間の排熱空間領域からの暖気を吸い込む吸込開口が形成され、
前記冷却空間領域の床下には、外気冷熱による第1冷却コイルと冷熱源から冷水による第2冷却コイルとを直列に配設し、
これらの冷却コイルに通過する送風ファンを設けて冷気をグリル床から上方の前記冷却空間領域に送風し、
該冷却空間領域の冷気で電子装置の熱負荷を処理して隣接する前記排熱空間領域に排気し、該排熱空間領域の暖気をグリル床から吸気して前記各冷却コイルに循環させるようにしたことを特徴とする冷房空気を局部的に循環させる電算室用空気調和機。 - 前記第1冷却コイルは、高所に空冷凝縮器を配置して外気冷熱により循環冷媒を凝縮して、該第1冷却コイルで熱交換することによって循環冷媒を蒸発させて冷媒の自重により自然循環させることを特徴とする請求項1に記載の冷房空気を局部的に循環させる電算室用空気調和機。
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