JP2010133626A - 空調設備とict機器の連係制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】標準復旧時間trと比較するとt4<trであるから、標準復旧時間以前に許容限界温度Txに達してしまうことになる。標準復旧時間にちょうど許容限界温度に達する設定温度(以下、臨界設定温度という)Tcとすると、負荷W1のときは、Tc=Tc(1)となる。処理負荷W2の場合は、設定温度T1以外は標準復旧時間内に限界温度に達してしまう。また、Tc=Tc(2)である。同様にして各処理負荷Wと臨界冷房設定温度Tcの関係テーブルを用いて、ある処理負荷Wに対してゾーン温度を臨界設定温度Tc以下に設定することにより、空調機故障等による運転停止状態が発生しても、許容限界温度に達する前に運転復旧する確率が高く、ICT装置の高温障害発生リスクを極力回避することができる。
【選択図】図3
Description
近年、データセンタにおけるICT機器・装置の省エネ対策として、「仮想化技術」が注目されている。これは、多数のサーバが低い稼働率で分散処理している場合に、一部のサーバにデータ処理を集約するものであり、サーバ群の消費電力削減に大きく寄与するものである。しかしながら、集中処理の対象となるサーバについては、1ラック当たりの消費電力が10−20kWに達することもあり、局所的に発熱密度が極端に高くなるケースが生じうる。一方、対象外のサーバについては発熱密度が極端に低くなる。このようにサーバ負荷(トラフィック)により消費電力が大きく異なり、これに伴い室温上昇の度合いもサーバごとに異なることになる。
このような状況下で、空調機故障時や停電時の室温上昇によるICT機器類の高温障害発生リスクを回避するため、冷房温度を過剰に低く設定することが一般的である。
しかしながら、このような制御はサーバ負荷が小さいゾーンに対しては過剰に余裕度を持たせることとなり、省エネ性向上の要請に反する。また、低温による作業環境悪化を招いているという問題もある。
(1)情報通信機械室内において、一以上の空調機の運転制御と、それぞれの空調機の冷却対象ゾーンに属する一以上のICT機器(以下、対象ICT機器群という)のデータ処理制御と、を連係させて制御する連係制御方法であって、当該空調機の冷房設定温度について、所定のタイムスパンごとに対象ICT機器群に配分されるデータ処理負荷に対して、当該空調機が運転停止したとしても、標準復旧時間(tr)内には当該冷却対象ゾーンが許容限界温度(Tx)を超えない温度(以下、臨界設定温度(Tc)という)以下に設定する、ことを特徴とする。
また、「ICT機器」とは、サーバ、ストレージ、ルータ等の情報通信機器・装置を含む。
「臨界設定温度(Tc)」とは、空調機が運転停止したとしても、標準復旧時間(tr)内には当該冷却対象ゾーンが許容限界温度(Tx)を超えない温度をいう。
ここに、空調機の「運転停止」とは、故障や停電などの原因による停止をいい、サーモオフによる停止を除く。
臨界設定温度(Tc)の設定部位としては、ICT装置群の吸い込み温度又は空調機の吹き出し温度を採用することができる。
また、「許容限界温度(Tx)」とは、この温度を超えるとICT機器群の高温障害(稼動停止、破壊)発生リスクが高くなる温度をいう。
空調機の停止原因は大別すると、空調機自体の故障によるものと、空調機への給電が停止(停電)することによるもの、に分類される。さらに空調機自体の故障の態様には、構成部品の致命的な損壊等によるものと、何らの処置を要せず、改めて運転させた場合に支障なく運転復旧できるものと、がある。さらに、停電による空調機の停止についても、予備エンジンを備えず電源の復旧が期待できないため、許容限界温度(Tx)に達するまでにサービスを適正にシャットダウンしなければならないケース、予備エンジンは備えているが、予備エンジンの起動失敗を考慮すべきケース、予備エンジンが起動することを前提として、予備エンジンの起動時間と空調機が正常能力を発揮するまでの時間遅れを考慮するケース、がある。「標準復旧時間」の設定に際しては、これらを総合的に勘案し、対象システムの特性に合わせて設定することができる。
同図(a)を参照して、データ処理負荷W1の場合、設定温度T4のときはTxに達するまでの時間はt4である。標準復旧時間trと比較するとt4<trであるから、標準復旧時間以前に許容限界温度Txに達してしまうことになる。しかしながら、T3のときはt3>trであるから、標準復旧時間内には限界温度に至らない。T2、T1についても同様である。標準復旧時間にちょうど許容限界温度に達する設定温度(以下、臨界設定温度という)Tcとすると、負荷W1のときは、Tc=Tc(1)となる。
(3)上記(2)において、前記冷房設定温度を下げるべき場合には直ちに行い、前記冷房設定温度を上げるべき場合には、前記所定のタイムスパンごとに行う、ことを特徴とする。
このような制御により、冷房設定温度を常に安全サイドに設定することが可能となる。
(4)情報通信機械室内において、一以上の空調機の運転制御と、対象ICT機器群のデータ処理制御と、を連係させて制御する連係制御方法であって、対象ICT機器群のデータ処理負荷について、当該空調機の冷房設定温度において、当該空調機が運転停止したとしても、標準復旧時間(tr)内には許容限界温度(Tx)に達しない負荷量に設定する、ことを特徴とする。
本実施形態は、ゾーン内のICT機器・装置のデータ処理負荷変化に対応して、消費電力低減と当該空調機の運転停止時のICT機器の高温障害発生リスクを極力回避するように冷房設定温度を調整するものである。
図1は、本発明の一実施形態に係る空調設備とICT機器の連係制御システム(以下、連係制御システム)1の全体構成を示す図である。図2は、ラック型空調機5-1の冷却対象ゾーンZ1の詳細構成を示す図である。図3は、本実施形態の連係制御フローを示す図である。
ラック列6は、横一列に並んだ同一モジュールの複数のサーバラック4により構成されている。ラック4内には複数のICT機器・装置(以下、処理サーバと総称)4aが積層されており、各処理サーバ4aはそれぞれ冷却ファン4bを備えている。これにより、ラック全体として前面から冷気を吸込み、機器内部を冷却したのち高温空気を背面から排気するように構成されている。
各ラック列6において、内部発熱の大きな処理サーバを格納するラック近傍には、ローカル空調機としてラック型空調機5-1乃至5-4が配置されている。各ラック型空調機はラック4と同一モジュール、かつ、吸排気方向が各ラック4とは逆向きに置かれている。すなわち、ホットアイル空間の高温排気を吸込み、コールドアイル側に冷却空気を吹き出すように配置されている。
コールドアイル9内には、ラック型空調機5-1乃至5-4がそれぞれ分担する冷却対象ゾーンZ1乃至Z4が設定されている。各ラック型空調機は、分担する制御対象空間の冷熱・風量バランスを維持するように冷気を供給する。ゾーンZ1を例にとると、床面から供給されるアンビエント空調機3の冷房出力Waは一定である。一方、ラック型空調機5-1の冷房能力Wsは、ゾーン内処理サーバ群の処理負荷に比例する消費電力(≒発熱量)に対応して随時変化していく。
かかる構成により、統合制御装置7はホストコンピュータ(図示せず)から指令されるデータ処理負荷について、所定のタイムスパンごとに室内サーバ群の総消費電力の低減と、故障等による空調機運転停止によるICT機器の高温障害発生リスクの極力回避を両立させするような処理分担と、ゾーン温度設定を行うように構成されている。
なお、統合制御装置7と各ラック列、アンビエント空調機3、各ラック型空調機間は通信線を介して結ばれているが、図1では煩雑化を回避するため、代表的に一部のみ図示している。
制御開始時において、ラック型空調機5-1の冷房設定温度(吹き出し空気設定温度)はデフォルト値T(0)とする(S101)。以下、制御開始から相当時間経過したタイムスパンτ(i)を想定する。このとき各処理サーバの消費電力W(i)、冷房温度T(i)に設定されているものとする(S102)。統合制御装置7は、次タイムスパンτ(i+1)について、ゾーンZ1−Z4のデータ処理負荷を把握する(S103)。次いで、ゾーンZ1全体の消費電力を最小とする最適負荷分担を演算し(S104)、このときの当該ゾーンの総消費電力予測値W(i+1)を演算する(S105)。さらに、図7の臨界設定温度テーブルに基づいて、W(i+1)に対応する冷房設定温度T(i+1)を演算する(S106)。
S107においてYES、すなわち、T(i+1)<T(i)の場合は、処理負荷が上がり、危険側の変化であるため、余裕度を見込んで直ちに冷房設定温度をT(i+1)に変更する(S110)。その後、現タイムスパン終了後に(S111においてYES)、各サーバに対してデータ処理を指令する(S112)。
以上の制御により、「仮想化技術」の採用による省エネ性向上を実現しつつ、たとえ空調機に故障が発生した場合であっても、高温障害リスクを低減できる。
また、本実施形態では「仮想化技術」による消費電力最適制御を前提とした空調設定温度の連係制御の例を示したが、本発明はこれに限られる趣旨ではなく、仮想化技術を採用しないシステムにおける、ICT機器群の負荷に対応する空調設定温度の連係制御であってもよい。
次に、図4を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、空調機の冷房設定温度に合わせて、故障停止によるICT機器の高温障害発生リスクを回避するように、ゾーン内ICT機器・装置のデータ処理負荷を調整するものである。
本実施形態に係る連係制御システムの構成は上述の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
図4は、本実施形態における連係制御フローを示す図である。制御中、ゾーンZ1のラック型空調機5-1の冷房設定温度はT(i)(一定)とする(S201)。統合制御装置7は、次タイムスパンにおけるゾーンZ1−Z4のデータ処理負荷を把握し(S202)、当該ゾーン全体の消費電力を最小とする最適負荷分担を演算し(S203)、さらにこのときの消費電力予測値W(i+1)を演算する(S204)。次いで処理負荷−設定温度テーブルにより、設定温度Tiのときの臨界消費電力W(i)と予測値W(i+1)とを比較する(S205)。W(i+1)≦Wiの場合は(S205においてYES)、図5(a)に示すようにT(i+1)≧T(i)となる。この場合は、標準復旧時間内に許容限界温度Txに達することはないと判定し、演算結果に基づくデータ処理を各サーバに対して指令する(S206)。
2・・・・情報通信機械室
2a・・・二重床空間
3・・・・アンビエント空調機
4・・・・サーバラック
4a・・・サーバ
5−1〜5−4・・・・ラック型空調機
6・・・・ラック列
7・・・・統合制御装置
7a・・・連係制御サーバ
7b・・・ICT機器管理サーバ
7c・・・空調機制御サーバ
9・・・・コールドアイル
10・・・ホットアイル
Z1〜Z4・・・冷却対象ゾーン
Claims (4)
- 情報通信機械室内において、一以上の空調機の運転制御と、それぞれの空調機の冷却対象ゾーンに属する一以上のICT機器(以下、対象ICT機器群という)のデータ処理制御と、を連係させて制御する連係制御方法であって、
当該空調機の冷房設定温度について、
所定のタイムスパンごとに対象ICT機器群に配分されるデータ処理負荷に対して、当該空調機が運転停止したとしても、標準復旧時間(tr)内には当該冷却対象ゾーンが許容限界温度(Tx)を超えない温度(以下、臨界設定温度(Tc)という)以下に設定する、
ことを特徴とする空調設備とICT機器の連係制御方法。 - 所定のタイムスパンごとに前記冷房設定温度の見直しを行うことを特徴とする請求項1に記載の空調設備とICT機器の連係制御方法。
- 請求項2において、前記冷房設定温度を下げるべき場合には直ちに行い、
前記冷房設定温度を上げるべき場合には、前記所定のタイムスパンごとに行う、
ことを特徴とする空調設備とICT機器の連係制御方法。 - 情報通信機械室内において、一以上の空調機の運転制御と、対象ICT機器群のデータ処理制御と、を連係させて制御する連係制御方法であって、
対象ICT機器群のデータ処理負荷について、
当該空調機の冷房設定温度において、当該空調機が運転停止したとしても、標準復旧時間(tr)内には許容限界温度(Tx)に達しない負荷量に設定する、
ことを特徴とする空調設備とICT機器の連係制御方法。
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