JP5610992B2 - 空調機とデータ処理分配の連係制御方法 - Google Patents

空調機とデータ処理分配の連係制御方法 Download PDF

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Description

本発明は空調機とデータ処理分配の連係制御方法に係り、特に情報通信機械室において、データ処理負荷の集中・分散を行う際に好適な、空調機とデータ処理分配の連係制御方法に関する。
近年、データセンターにおけるICT機器・装置(以下、サーバと総称することがある)の省エネ対策として、パワーキャッピングや仮想化技術が提案されている。
パワーキャッピングでは、CPUの利用状況に対応して周波数を制御することにより、サーバの消費電力を最適化することができる。仮想化技術では、複数のサーバの物理リソースを超えた制御が可能となる。例えば、多数のサーバが低い稼働率で分散処理している場合に、一部のサーバにデータ処理を集約したり、また逆に、一部のサーバが高い稼働率で集中処理している場合に、多数のサーバに分散処理させることも可能である。しかし、これらの制御技術は、室内の空調状態とは無関係に運用されることが一般的である。
一方、空調機側についてみると、アンビエント(ベース)空調機とタスク(局所)空調機を用いた二重床空調方式が多く採用されている。この場合、二重床内部の配線の抵抗や空調機との位置関係によって、室内に冷気供給が容易な箇所と困難な箇所が生じる。また、タスク空調近傍は冷気供給が容易であるが、タスク空調から離れた場所は冷気供給困難という状況が生じやすい。このような状況下において、冷気供給が困難な箇所にサーバの処理負荷が集中すると、ホットスポットが発生して過剰な空調送風動力が必要となり、省エネの要請に反することになる。
本願出願人は上記問題に対応するため、仮想化技術の適用によるデータ処理の集中・分散により、サーバの稼動負荷に偏在が生じた場合でも、局所的な高温領域を発生させることのない空調機とデータ処理分配の連係制御方法を提案している(特許文献1)。
この技術は、各空調機が分担する冷却対象ゾーンに配置される複数のICT装置のデータ処理負荷情報に基づいて、装置の発熱状態を把握又は予測し、空調機の冷房能力、風量を制御するものである。これにより、室内又は空調機内に配設される温度センサにより、間接的にサーバの発熱状態を検知して装置を冷却する従来の空調方法と比較して、より迅速な制御が可能となり、装置の高温障害リスクを回避できるという特徴を有する。
特開2009−293851号公報
本発明は、特許文献1の技術をさらに進展させ、二重床空調方式を採用するデータセンターにおいて、パワーキャッピング、仮想化技術等の適用により、サーバの稼動負荷の偏在や変動が生じた場合であっても、局所的な高温領域を発生させることのない、空調機とデータ処理分配の連係制御方法を提供するものである。
本発明は以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法は、
(1)情報通信機械室内のサーバラック内に格納されるICT装置群を、一以上の空調機により冷却する空調システムにおいて、冷気供給容易度が高い位置に配置されているICT装置に、優先的にデータ処理負荷を分配することを特徴とする。
本発明において、「ICT機器」とは、サーバ、ストレージ、ルータ等の情報通信機器・装置をいう。
(2)上記(1)において、前記冷気供給容易度の判定を、二重床面から当該ICT装置までの離隔距離に基づいて行うことを特徴とする。
(3)上記(1)において、前記冷気供給容易度の判定を、当該ICT装置吸気温度、二重床下温度、二重床下温度と当該ICT装置吸気温度との温度差、又はこれらのいずれか2つ以上の組み合わせに基づいて行うことを特徴とする。
(4)上記各発明において、各ICT装置について、前記冷気供給容易度に対応してデータ処理負荷分担の優先度を定めた優先度テーブルを、予め備えておき、
該優先度テーブルを用いて、データ処理負荷の分配を行うことを特徴とする。
(5)上記各発明において、前記優先度テーブルを、空調機の風量レベルごとに備えたことを特徴とする。
(6)上記各発明において、ICT装置吸気温度の標準偏差値が第一の閾値を下回る場合には、一以上の空調機の風量を低減させ、標準偏差値が第二の閾値を超える場合には、一以上の空調機の風量を増加させる、ことを特徴とする。
(7)上記各発明において、前記空調機は、アンビエント空調機と、タスク空調機と、を含むことを特徴とする。
(8)上記(7)において、前記アンビエント空調機は可変風量で運転し、前記タスク空調機は最大風量で運転することを特徴とする。
タスク空調機は、ICT装置までの気流距離が短く、冷房能力あたりのファン動力が小さい。また、さらに、高温排気を直接吸い込むため、アンビエント空調機と比較して熱効率的に優れているという特徴がある。従って、できるだけタスク空調機の稼働率を高くするため、省エネの観点からみて本発明による運転方法の採用が極めて有効である。
(9)上記各発明において、前記冷気供給容易度の判定を、前記タスク空調機とICT装置との離隔距離に基づいて行うことを特徴とする。
(10)上記各発明において、予め、前記タスク空調機の吹き出し温度を所定の周期で変動させて運転し、該周期とICT装置吸気温度の変動とを比較して、当該位置の冷気供給容易レベルを求めておき、前記冷気供給容易度の判定を、該冷気供給容易レベルに基づいて行うことを特徴とする。
(11)上記各発明において、冷気供給容易度が高い位置として判定された一又は複数のICT装置に分配するデータ処理負荷の総和が、当該タスク空調機の冷房能力以下となるように分配することを特徴とする。
このことによって、優先度が高い位置に負荷が集中することによる局所的な冷却能力不足のリスクを回避できる。
本発明によれば、冷気供給が容易なICT装置に負荷を集中させることでき、冷気供給容易度と無関係に負荷分配する従来方式と比較して、空調動力の大幅削減が可能となる。
また、本発明によれば、冷気供給が容易な位置を自動的に特定することができ、空調機リプレース、二重床レイアウト変更、等のデータセンターの運用変更や、季節変動、負荷変動等に際しても、安定的に省エネの実現が可能となる。
第一の実施形態に係る連係制御システム1の全体構成(側面)を示す図である。 同平面図である。 第一の実施形態における優先度更新フローを示す図である。 各位置の温度変化トレンドを概念的に示した図である。 運転中における各位置の温度分布を模式的に示した図である。 第一の実施形態の連係制御フローを示す図である。 第一の実施形態における処理負荷分配方式を概念的に示す図である。 第一の実施形態におけるアンビエント空調機の可変風量制御フローを示す図である。 第二の実施形態の連係制御フローを示す図である。 第三の実施形態の連係制御フローを示す図である。 第三の実施形態における優先位置サーバの設定方式を示す図である。 移管に伴う各サーバ消費電力の時間的推移を示す図である。 風量レベルごとの優先位置1−3の配置を示す図である。 第四の実施形態の連係制御フローを示す図である。 第五の実施形態の連係制御フローを示す図である。
以下、本発明に係る連係制御システムの実施形態について、図1乃至13を参照してさらに詳細に説明する。重複説明を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
<第一の実施形態>
本実施形態は、冷気供給が容易な位置(優先位置)を判別して優先度を設定し、優先度の高い順にデータ処理を配分することにより、総合熱効率の向上を図る形態に関する。
図1、2を参照して、連係制御システム1の空調系統は、情報通信機械室2内に、ラック列6を構成して収容される複数のサーバラック(以下、ラック)5内部に格納されるICT装置(以下、処理サーバと略称)5aを、ベース空調機であるアンビエント空調機3、及び、ラック列6内に配設される局所空調機であるタスク空調機4により冷却するように構成されている。なお図示の便宜上、図1において、アンビエント空調機3は1台のみ、配置を90度ずらした位置に表示している。
空調機3は、蒸発器3b及び送風機3c、制御部3fを備えた室内ユニット3a、圧縮機、凝縮器、を主要構成とする室外ユニット(いずれも不図示)、及びこれらを接続する冷媒配管3dを備えている。
室内ユニット3aと二重床空間2c又は天井空間2bとは、それぞれ往き側ダクト2f又は戻り側ダクト2gを介して結ばれている。かかる構成により、空調機3は、天井空間2b、戻り側ダクト2gを介して室内ユニット3aに戻る室内空気に、冷凍サイクルにより発生させた冷熱により冷却し、送風機3cにより二重床空間2cを介して機械室空間2a内に再度供給する。
各ラック列6は、横一列に並んだ同一モジュールの複数のサーバラック5により構成されている。ラック5内には複数の処理サーバ5aが積層されており、各処理サーバ5aはそれぞれ冷却ファン(図示せず)を備えている。これにより、ラック全体として前面から冷気を吸込み、装置内部を冷却したのち高温空気を背面から排気するように構成されている。
各ラック5は、隣接する列の吸気面と吸気面、排気面と排気面を対向させて配置されており、これにより、吸気面側にはコールドアイル9が、排気面側にはホットアイル10が形成される。コールドアイル9床面の開口部2dには穴あきパネル2eが敷設されており、二重床空間2cを介して供給される冷気をコールドアイル9内に吹き出すように構成されている。
各ラック列6において、内部発熱の大きなサーバを格納するラック近傍には、スポット空調機としてタスク空調機4が配置されている。タスク空調機4はラック5と同一モジュール、かつ、吸排気方向が各ラック5とは逆向きに配設されている。すなわち、ホットアイル10側から高温排気を吸込み、コールドアイル9側に冷却空気を吹き出すように配置されている。
タスク空調機4は、蒸発器4e、送風機4b、制御部4cを主要構成として備えた室内機4aと、圧縮機、凝縮器を主要構成として備えた室外機(図示せず)と、これらを接続する冷媒配管4dと、を備えている。なお、圧縮機については室内機側に配設する形態であってもよい。
アンビエント空調機3及びタスク空調機4の制御部3f、4cは、後述するように統合制御サーバ7の指令により、統合サーバ7と協働して空調とデータ処理分配を連携して制御するように構成されている。
次に、連係制御システム1の制御系統は、ICT装置管理サーバ(以下、管理サーバという)8と、アンビエント空調機3の制御部3fと、タスク空調機4の制御部4cと、これらの連携をとって統合的に制御する統合制御サーバ7と、により構成されている。管理サーバ8は、ホストサーバ(図示せず)から指令されるデータ処理を、統合制御サーバ7の指令に基づいて各処理サーバ5aに分配する。
各処理サーバ5aの前面には温度センサS1−Snが、また、二重床空間2c内には温度センサS0が,それぞれ配設されており、温度計測値を随時、統合制御サーバ7に送信するように構成されている。
なお、ICT装置管理サーバ8及び統合制御サーバ7は、必ずしも物理的に独立したサーバである必要はなく、同機能を持ったプログラムであればよい。例えば、各処理サーバ5a内で処理されるプログラムの一つであってもよい。
連係制御システム1は以上のように構成されており、次に図3乃至8を参照して、本実施形態における空調機とデータ処理分配の連係制御フローについて説明する。なお、以下の制御は所定の時間インターバルで行われる。
図3を参照して、統合制御サーバ7には、前回設定した優先度テーブル(内容は後述)が格納されているものとする(S1101)。制御中は、タスク空調機4は風量最大(S1401)で、アンビエント空調機3は可変風量制御(S1301)で、それぞれ運転されている。
この状態において、最初に冷気供給容易度A判定フローに入る。位置Aはタスク空調機4による冷気供給容易性に関する。まず、統合制御サーバ7は、いずれかのタスク空調機4に対して吹出温度変動制御を指示する(S1102)。具体的には、当該タスク空調機4の吹出温度を周期τ(例えば60分間)、変動幅±0.5℃で変動させて(S1402)、運転中のサーバ前面の温度変化情報を取得する(S1103a)。この工程を順次、すべてのタスク空調機について行う。
なお、本実施形態では、各タスク空調機の吹出温度を順次変動させて温度変化情報を取得する形態としているが、周期τの値をタスク空調機ごとに固有とし、同時に温度変動させる態様とすることもできる。この場合、スペクトル分析により、対応するタスク空調機が特定できる。
さらに、この間の温度トレンドをスペクトル解析し(S1103b)、ノイズ(日変動や、装置負荷変動の影響)を取り除く。図4は、ノイズ除去後の各位置の温度変化トレンドの一例を示した図である。また、図5は、運転中の各位置の平均温度分布を模式的に示した図である。同図において、網掛け部分は冷気供給良好領域、白抜き部分は冷気供給不良領域を示している。図4,5より、位置P1、P2は比較的高温のまま推移し温度変化が殆どない。これは、位置P1、P2は当該タスク空調機の影響を殆ど受けないことを意味し、冷気供給困難位置と推定される。これに対して、P6、P7は温度振幅が大きい。このことは、当該タスク空調機の影響を受け易いことを示しており、冷気供給容易な位置と推定される。これより、位置P1、P2等のサーバの処理負荷を小さくし、位置P6、P7のサーバの処理負荷を大きくすることにより、省エネ性向上を図ることができると判断できる。このような基準に従い、タスク空調機4による冷気供給容易度Aを特定する(S1104)。具体的には図4において温度変動幅ΔT(周波数Fiのパワー)が閾値αより大きく、かつ、吸込温度Tsが閾値βよりも小さい位置を冷気供給容易度Aとして特定する。
次に冷気供給容易度Bの特定を行う。位置Bは、アンビエント空調機による冷気供給容易性に関する。具体的には、まず、タスク空調機4の吹き出し温度をデフォルト制御値に戻す(S1105、S1403)。この状態で一定時間運転を継続し、各部温度を計測する(S1106)。温度計測値に基づいて、二重床下温度(T0)と吸い込み温度(Tj)との差が閾値γよりも小さく、かつ、サーバ吸込温度Tsが閾値βよりも小さい位置を冷気供給容易度Bとして特定する(S1107)。
次いで、冷気供給容易度A,B情報に基づいて、優先度1−3位置の設定が行われる(S1108)。表1は、優先度1乃至3の設定基準をまとめた表である。すなわち、優先度1位置の対象は、冷気供給容易度A、Bともに該当する位置である。優先度2位置の対象は、同位置A、Bのいずれか一方に該当する位置である。そして、優先度3位置の対象は、同位置A、Bのいずれにも該当しない位置である。表1に従う具体的位置が、すなわち優先度テーブルの内容となる。上記設定に基づいて優先度テーブルの更新が行われる(S1109)。
Figure 0005610992
以上により、優先度テーブルの更新が終了し、次に、更新後の優先度テーブルに基づくデータ処理分配と、アンビエント空調機3風量の連携制御について説明する。なお、以下の説明ではタスク空調機4が2台配置された状態を想定している。
図6を参照して、統合制御サーバ7は上述の優先度テーブル更新情報を保有している(S2101)。管理サーバ8は、ホストサーバ(図示せず)からの次回インターバルのデータ処理指令を受けると、その旨を統合制御サーバ7に送信する(S2501)。統合制御サーバ7は、更新情報に基づいて各処理サーバ7への処理負荷分配を演算する(S2102)。演算結果に基づいて、統合制御サーバ7は管理サーバ8に対して処理負荷分配を指令し(S2102)、これに基づいて管理サーバ8は、各処理サーバ5aに対して処理負荷を指令する(S2502)。
一方、タスク空調機4は風量最大(S2401)で運転され、また、アンビエント空調機3は可変風量制御(S2301)で運転される(可変風量制御の具体的内容については後述する)。
上述の処理負荷分配の演算は、以下の通り行われる。各優先位置に属するサーバの処理能力は、表2のサーバ能力欄の通り設定されているものとする。図7(a)を参照して、総処理負荷量Wとして、最初に優先度1位置のサーバに処理分配する。この場合、割り当てられる処理負荷量W1’は、タスク空調機4の冷房能力Wt1、Wt2以下とする。能力オーバー分(Wa=Wt1+Wt2)については、優先度2位置のサーバに分配される。さらに残りの処理負荷(W−W1)は、優先度2位置のサーバに優先的に分配され、優先度2位置のサーバの処理能力を超える負荷(W3’=W−W1’−W2)は優先度3位置のサーバに均等に割り当てられる。優先度3位置の余剰のサーバ(処理能力Wb)はスタンバイ状態とする。以上の結果をまとめると表2のようになる。
Figure 0005610992
次に、図7(b)を参照して、アンビエント空調機3の可変風量制御フローについて説明する。上記負荷配分によりデータ処理及び空調機の運転が行われ、その間、温度センサS1−Snにより装置前面の温度が計測され(S101)、さらにラック列6ごとに温度均一度(標準偏差σs)が演算される(S102)。S102において、装置前面温度の偏差が第1の閾値(x1)より下回る場合(均一な場合)には、アンビエント空調機3の風量を1段階ダウンさせる(S103)。第2の閾値(x2)を超える場合(不均一な場合)には、空調機の風量を1段階アップさせる(S105)。両閾値間にある場合には、現在風量が維持される(S104)。
ホストサーバからのデータ処理指令の都度、以上の制御が繰り返し実行されることにより、処理負荷の変動に関わらず局所的な高温スポットの発生を回避することができる。これにより温度分布が均一となり、空調風量を低減でき、省エネルギー性の向上を図ることができる。なお本実施形態では、統合制御サーバ7の指令に基づいて管理サーバ8が各処理サーバ5aに負荷分配する例を示したが、統合制御サーバ7が直接、各処理サーバ5aに負荷分配する形態であってもよい。
<第二の実施形態>
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態が第一の実施形態と異なる点は、優先度テーブルの設定方法である。また、全体としての処理速度管理に基づきデータ処理分配を行っていることである。本実施形態の基本的構成は第一の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
以下、図8を参照して、本実施形態における優先度テーブルの設定方法及びデータ処理分配のフローについて説明する。
制御開始に伴い最初に優先度テーブルの設定が行われる(S401)。上述の実施形態と同様にして特定した優先度1−3位置サーバについて、消費電力上限値(パワーキャッピング)を、表3に示すようにそれぞれE1、E2,E3に設定する(但し、E1>E2>E3、かつ、E1は当該タスク空調機4の冷房能力以下に設定される)。このように設定することにより、冷気供給良好度に対応したキャッピングの設定が可能となる。
Figure 0005610992
次に、統合制御サーバ7により、仮想化技術に基づいて優先度の高いサーバから順次、処理負荷の割り当てが行われる(S402)。データ処理が開始されると(S403)、ホストサーバ(図示せず)による全体としての処理速度管理が継続的に実施される(S404)。全体処理速度(Sp)が所定の閾値範囲内(SH≧Sp≧SL)の場合には、現行キャッピングによる処理が継続される(S407)。
全体処理速度(Sp)が所定の下限閾値(SL)を下回る場合には、優先度2,3位置サーバのキャッピング(上限値)が暫定的に上げられる(S408)。例えば、優先度2位置サーバの値がE2→E1、優先度3位置サーバの上限値がE3→E2の如く変更される。これにより、優先度1位置サーバのCPU処理速度低下分を、優先度2,3位置サーバにより補うことができ、全体としての処理速度上昇を図ることができる。
また、全体処理速度(Sp)が所定の上限閾値(SH)を上回っている場合には、S408において暫定的に上げられていた優先度2,3位置サーバがあれば、キャッピングがデフォルト値に戻される(S406)。例えば、優先度2位置サーバの上限値がE1→E2、優先度3位置サーバの上限値がE2→E3に戻される。これにより、省エネ性向上を図ることができる。
<第三の実施形態>
次に、図9−11を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態が第一の実施形態と異なる点は、優先度テーブルの設定基準が異なること、及びタスク空調機、アンビエント空調機ともに可変風量制御であることである。
本実施形態の基本的構成は第一の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
図9を参照して、制御開始に伴い最初に優先度テーブルの設定が行われる。本実施形態では、図10に示すように、タスク空調機4に隣接するサーバ及び二重床直上の各サーバ(同図網掛け部)が、冷気供給容易な優先位置サーバとして設定される(S200)。また、タスク空調機4、アンビエント空調機3ともに可変風量により制御される(S201)。次いで、各優先位置サーバに対して処理負荷が分配される。一方、非優先位置サーバはスタンバイ状態となる(S202)。データ処理実行中はその消費電力が計測され、さらに、この値が予め定めた当該サーバの上限閾値(Et)を超えたか否かが判定される(S203)。
閾値以下の場合には(S203においてNO)、次に稼動サーバの前面温度分布に基づいて、冷気供給の適正度が判定される(S204)。具体的には、各稼動サーバの前面温度の標準偏差が、所定の閾値(σt)を超えたか否かにより判定される。閾値以下の場合には(S204においてN)、温度分布均一と判定され、さらなる省エネ性を図るため全ての空調機の風量を最小風量に至るまで1段階ずつダウンしていく(S206)。また、閾値を超えている場合には(S204においてY)、各サーバに対する冷気供給にばらつきがあると判定され、装置の高温障害発生を回避するため、全ての空調機の風量を最大風量に至るまで1段階ずつアップしていく(S205)。風量調整後、S203以下の制御が繰り返し行われる。
一方、S203においてY、すなわち消費電力が閾値を超えている場合には、スタンバイ状態にある非優先位置サーバに順次、処理負荷が移管される(S207)。図11は、移管に伴う各サーバ消費電力の時間的推移を模式的に示した図である。すなわち、時刻t1において優先位置サーバの消費電力が閾値Etを超えたため、非優先位置サーバに負荷の一部が移管され、その後、優先位置サーバの消費電力が閾値以下に抑えられている。
さらに、全ての空調機の風量を最大にして運転が継続される(S208)。その間、稼動している非優先位置サーバの消費電力のうち、消費電力最小の非優先位置サーバの有無が判定される(S209)。存在する場合には(S209においてY)、当該サーバはスタンバイ状態に戻される(S210)。その分の負荷は、他の非優先位置サーバに配分される。
全ての非優先位置サーバがスタンバイ状態に戻った場合には(S211においてY)、S201に戻る。稼動状態の非優先位置サーバが存在している場合には(S211においてN)、引き続きS203以下の制御が繰り返される。
<第四の実施形態>
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、アンビエント空調機の風量レベルに対応して、異なる優先度テーブルを適用する制御に係る。
本実施形態の構成についても、第一の実施形態と同一であるので重複説明を省略する。なお、タスク空調機4は風量最大、アンビエント空調機3は可変風量制御により、それぞれ運転される(第一の実施形態と同様)。
最初に、本実施形態における優先度テーブルの設定方法について説明する。各風量レベル(大中小)について、第一の実施形態と同様の方法により優先位置1−3を設定する。図12は、設定された各優先位置の配置関係を示している。同図において、優先位置3は、二重床内に敷設されたケーブルにより、冷気供給が阻害される位置の例である。
表4は、風量ごとの各優先位置台数及び消費電力の比較の例である。許容処理負荷についてみると、優先位置1サーバは大きく、優先位置3サーバは小さく設定されている。これにより、可能な限り冷気供給容易な位置にあるサーバに処理負荷を集中させることができる。
Figure 0005610992
次に、図13を参照して、本実施形態における連係制御フローについて説明する。前提として上記風量別優先度テーブルが設定されているものとする(S301)。また、タスク空調機4は最大風量、アンビエント空調機はデフォルト風量(例えば風量中)に設定されている(S302)。
次いで、風量中に対する優先度テーブルに基づいて、優先度1,2位置のサーバに対して処理負荷が分配される。優先度3位置のサーバはスタンバイ状態となる(S303)。
運転中は空調機3の吸込温度Tsが計測され、この温度が上限閾値T2、下限閾値T1の範囲内にある場合には(S304においてY)、現状風量を変更することなく後述のS308に移行する。
下限閾値T1より下回る場合には、アンビエント空調機3の風量を1段階ダウンさせる(S305)。また、上限閾値(T2)を超える場合には、空調機3の風量を1段階アップさせる(S306)。この場合、それぞれ変更後風量に対応する優先度テーブルが適用される(S307)。
制御中は、稼動サーバの消費電力Epが計測されており、この値がそれぞれ上限閾値E2、下限閾値E1の範囲内にあるか否かが判定される(S308)。両閾値内の場合には(S308においてY)、現状負荷分配が維持される(S310)。
下限閾値を下回る(Ep<E1)場合には、当該優先位置サーバの処理負荷に余裕があると判断されるため、さらなる省エネ性を図るため非優先位置サーバに分配されている処理負荷がある場合には、この負荷を当該優先位置サーバに移管する(S309)。
また、上限閾値を超えている(Ep>E2)の場合には、パワーキャッピングによる処理速度低下を回避するため、超過分を非優先位置サーバに負荷移管する(S311)。この場合の移管先サーバは、テーブル変更に伴い優先度2→3に変更されたサーバ(図12において※のサーバ)が対象となる。
S304〜S311までの制御がデータ処理完了まで繰り返される。
<第五の実施形態>
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、第四の実施形態と同様にアンビエント空調機の風量レベルに対応して、異なる優先度テーブルを適用するものであり、より簡易な制御形態に係る。また、第四の実施形態と同様にタスク空調機4は風量最大、アンビエント空調機3は可変風量制御により、それぞれ運転される。優先度テーブルの設定についても、第四の実施形態と同様に各風量レベル(大中小)について、優先位置1−3が設定されており、各優先位置の配置関係(図12)も同様である。
さらに、風量ごとの各優先位置台数及び消費電力についても表4と同一であり、最大消費電力合計値は、風量大のときはEmax=123kW、風量中のときはEmid=109kW、風量小のときはEmin=109kWである。
なお、本実施形態の構成についても第一の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
次に、図14を参照して、本実施形態における連係制御フローについて説明する。前提として、表4の風量別優先度テーブルが設定されているものとする(S501)。また、タスク空調機4は最大風量、アンビエント空調機はデフォルト風量(風量中)に設定されている(S502)。次いで、風量中に対する優先度テーブルに基づいて、優先度1−3位置のサーバに対して処理負荷が分配される。(S503)。
運転中はサーバの合計消費電力(ΣE)が計測され(S504)、この値と各優先度テーブルにおける上限合計消費電力(Emax、Emid、Emin)とが比較される(S505)。Emax≧ΣE>Emidの場合には、アンビエント空調機3は風量大により運転される(S508)。Emid≧ΣE>Eminの場合には、アンビエント空調機3は風量中により運転される(S507)。ΣE≦Eminの場合には、アンビエント空調機3は風量小により運転される(S506)。
さらに、該当する優先度テーブルに合わせて処理負荷の再分配が行われる(S509)。上記S504〜S509の制御が、データ処理完了まで繰り返し実行される。
本発明は、熱源、冷媒、空調方式、建築構造等の種類を問わず、ICT機器・装置を収容する機械室等の連係制御システムに広く適用可能である。
1・・・・連係制御システム
2・・・・情報通信機械室
2c・・・二重床空間
3・・・・アンビエント空調機
4・・・・タスク空調機
5・・・・サーバラック
5a・・・処理サーバ
6・・・・ラック列
7・・・統合制御サーバ
8・・・管理サーバ
8・・・・空調機制御装置
9・・・・コールドアイル
10・・・ホットアイル
S0、S1−Sn・・・温度センサ

Claims (10)

  1. 情報通信機械室内のサーバラック内に格納されるICT装置群を、一以上の空調機により冷却する空調システムにおいて、冷気供給容易度が高い位置に配置されているICT装置に、優先的にデータ処理負荷を分配するものであり、
    前記冷気供給容易度の判定を、二重床面から当該ICT装置までの離隔距離に基づいて行うことを特徴とする空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。
  2. 情報通信機械室内のサーバラック内に格納されるICT装置群を、一以上の空調機により冷却する空調システムにおいて、冷気供給容易度が高い位置に配置されているICT装置に、優先的にデータ処理負荷を分配するものであり、
    前記冷気供給容易度の判定を、当該ICT装置吸気温度、二重床下温度、二重床下温度と当該ICT装置吸気温度との温度差、又はこれらのいずれか2つ以上の組み合わせに基づいて行うことを特徴とする空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。
  3. 各ICT装置について、前記冷気供給容易度に対応してデータ処理負荷分担の優先度を定めた優先度テーブルを、予め備えておき、
    該優先度テーブルを用いて、データ処理負荷の分配を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。
  4. 前記優先度テーブルを、空調機の風量レベルごとに備えたことを特徴とする請求項に記載の空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。
  5. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    ICT装置吸気温度分布の標準偏差値が第一の閾値を下回る場合には、一以上の空調機の風量を低減させ、
    標準偏差値が第二の閾値を超える場合には、一以上の空調機の風量を増加させる、
    ことを特徴とする空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。
  6. 前記空調機は、アンビエント空調機と、タスク空調機と、を含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。
  7. 前記アンビエント空調機は可変風量で運転し、前記タスク空調機は最大風量で運転することを特徴とする請求項に記載の空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。
  8. 前記冷気供給容易度の判定を、前記タスク空調機とICT装置との離隔距離に基づいて行うことを特徴とする請求項又はに記載の空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。
  9. 予め、前記タスク空調機の吹き出し温度を所定の周期で変動させて運転し、該周期とICT装置吸気温度の変動とを比較して、当該位置の冷気供給容易レベルを求めておき、
    前記冷気供給容易度の判定を、該冷気供給容易レベルに基づいて行うことを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。
  10. 請求項乃至のいずれかにおいて、
    冷気供給容易度が高い位置として判定された一又は複数のICT装置に分配するデータ処理負荷の総和が、当該タスク空調機の冷房能力以下となるように分配することを特徴とする空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。
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