JP5610992B2 - 空調機とデータ処理分配の連係制御方法 - Google Patents
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Description
パワーキャッピングでは、CPUの利用状況に対応して周波数を制御することにより、サーバの消費電力を最適化することができる。仮想化技術では、複数のサーバの物理リソースを超えた制御が可能となる。例えば、多数のサーバが低い稼働率で分散処理している場合に、一部のサーバにデータ処理を集約したり、また逆に、一部のサーバが高い稼働率で集中処理している場合に、多数のサーバに分散処理させることも可能である。しかし、これらの制御技術は、室内の空調状態とは無関係に運用されることが一般的である。
一方、空調機側についてみると、アンビエント(ベース)空調機とタスク(局所)空調機を用いた二重床空調方式が多く採用されている。この場合、二重床内部の配線の抵抗や空調機との位置関係によって、室内に冷気供給が容易な箇所と困難な箇所が生じる。また、タスク空調近傍は冷気供給が容易であるが、タスク空調から離れた場所は冷気供給困難という状況が生じやすい。このような状況下において、冷気供給が困難な箇所にサーバの処理負荷が集中すると、ホットスポットが発生して過剰な空調送風動力が必要となり、省エネの要請に反することになる。
この技術は、各空調機が分担する冷却対象ゾーンに配置される複数のICT装置のデータ処理負荷情報に基づいて、装置の発熱状態を把握又は予測し、空調機の冷房能力、風量を制御するものである。これにより、室内又は空調機内に配設される温度センサにより、間接的にサーバの発熱状態を検知して装置を冷却する従来の空調方法と比較して、より迅速な制御が可能となり、装置の高温障害リスクを回避できるという特徴を有する。
(1)情報通信機械室内のサーバラック内に格納されるICT装置群を、一以上の空調機により冷却する空調システムにおいて、冷気供給容易度が高い位置に配置されているICT装置に、優先的にデータ処理負荷を分配することを特徴とする。
本発明において、「ICT機器」とは、サーバ、ストレージ、ルータ等の情報通信機器・装置をいう。
該優先度テーブルを用いて、データ処理負荷の分配を行うことを特徴とする。
タスク空調機は、ICT装置までの気流距離が短く、冷房能力あたりのファン動力が小さい。また、さらに、高温排気を直接吸い込むため、アンビエント空調機と比較して熱効率的に優れているという特徴がある。従って、できるだけタスク空調機の稼働率を高くするため、省エネの観点からみて本発明による運転方法の採用が極めて有効である。
このことによって、優先度が高い位置に負荷が集中することによる局所的な冷却能力不足のリスクを回避できる。
また、本発明によれば、冷気供給が容易な位置を自動的に特定することができ、空調機リプレース、二重床レイアウト変更、等のデータセンターの運用変更や、季節変動、負荷変動等に際しても、安定的に省エネの実現が可能となる。
本実施形態は、冷気供給が容易な位置(優先位置)を判別して優先度を設定し、優先度の高い順にデータ処理を配分することにより、総合熱効率の向上を図る形態に関する。
室内ユニット3aと二重床空間2c又は天井空間2bとは、それぞれ往き側ダクト2f又は戻り側ダクト2gを介して結ばれている。かかる構成により、空調機3は、天井空間2b、戻り側ダクト2gを介して室内ユニット3aに戻る室内空気に、冷凍サイクルにより発生させた冷熱により冷却し、送風機3cにより二重床空間2cを介して機械室空間2a内に再度供給する。
各ラック5は、隣接する列の吸気面と吸気面、排気面と排気面を対向させて配置されており、これにより、吸気面側にはコールドアイル9が、排気面側にはホットアイル10が形成される。コールドアイル9床面の開口部2dには穴あきパネル2eが敷設されており、二重床空間2cを介して供給される冷気をコールドアイル9内に吹き出すように構成されている。
タスク空調機4は、蒸発器4e、送風機4b、制御部4cを主要構成として備えた室内機4aと、圧縮機、凝縮器を主要構成として備えた室外機(図示せず)と、これらを接続する冷媒配管4dと、を備えている。なお、圧縮機については室内機側に配設する形態であってもよい。
アンビエント空調機3及びタスク空調機4の制御部3f、4cは、後述するように統合制御サーバ7の指令により、統合サーバ7と協働して空調とデータ処理分配を連携して制御するように構成されている。
各処理サーバ5aの前面には温度センサS1−Snが、また、二重床空間2c内には温度センサS0が,それぞれ配設されており、温度計測値を随時、統合制御サーバ7に送信するように構成されている。
なお、ICT装置管理サーバ8及び統合制御サーバ7は、必ずしも物理的に独立したサーバである必要はなく、同機能を持ったプログラムであればよい。例えば、各処理サーバ5a内で処理されるプログラムの一つであってもよい。
図3を参照して、統合制御サーバ7には、前回設定した優先度テーブル(内容は後述)が格納されているものとする(S1101)。制御中は、タスク空調機4は風量最大(S1401)で、アンビエント空調機3は可変風量制御(S1301)で、それぞれ運転されている。
この状態において、最初に冷気供給容易度A判定フローに入る。位置Aはタスク空調機4による冷気供給容易性に関する。まず、統合制御サーバ7は、いずれかのタスク空調機4に対して吹出温度変動制御を指示する(S1102)。具体的には、当該タスク空調機4の吹出温度を周期τ(例えば60分間)、変動幅±0.5℃で変動させて(S1402)、運転中のサーバ前面の温度変化情報を取得する(S1103a)。この工程を順次、すべてのタスク空調機について行う。
なお、本実施形態では、各タスク空調機の吹出温度を順次変動させて温度変化情報を取得する形態としているが、周期τの値をタスク空調機ごとに固有とし、同時に温度変動させる態様とすることもできる。この場合、スペクトル分析により、対応するタスク空調機が特定できる。
図6を参照して、統合制御サーバ7は上述の優先度テーブル更新情報を保有している(S2101)。管理サーバ8は、ホストサーバ(図示せず)からの次回インターバルのデータ処理指令を受けると、その旨を統合制御サーバ7に送信する(S2501)。統合制御サーバ7は、更新情報に基づいて各処理サーバ7への処理負荷分配を演算する(S2102)。演算結果に基づいて、統合制御サーバ7は管理サーバ8に対して処理負荷分配を指令し(S2102)、これに基づいて管理サーバ8は、各処理サーバ5aに対して処理負荷を指令する(S2502)。
一方、タスク空調機4は風量最大(S2401)で運転され、また、アンビエント空調機3は可変風量制御(S2301)で運転される(可変風量制御の具体的内容については後述する)。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態が第一の実施形態と異なる点は、優先度テーブルの設定方法である。また、全体としての処理速度管理に基づきデータ処理分配を行っていることである。本実施形態の基本的構成は第一の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
制御開始に伴い最初に優先度テーブルの設定が行われる(S401)。上述の実施形態と同様にして特定した優先度1−3位置サーバについて、消費電力上限値(パワーキャッピング)を、表3に示すようにそれぞれE1、E2,E3に設定する(但し、E1>E2>E3、かつ、E1は当該タスク空調機4の冷房能力以下に設定される)。このように設定することにより、冷気供給良好度に対応したキャッピングの設定が可能となる。
全体処理速度(Sp)が所定の下限閾値(SL)を下回る場合には、優先度2,3位置サーバのキャッピング(上限値)が暫定的に上げられる(S408)。例えば、優先度2位置サーバの値がE2→E1、優先度3位置サーバの上限値がE3→E2の如く変更される。これにより、優先度1位置サーバのCPU処理速度低下分を、優先度2,3位置サーバにより補うことができ、全体としての処理速度上昇を図ることができる。
次に、図9−11を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態が第一の実施形態と異なる点は、優先度テーブルの設定基準が異なること、及びタスク空調機、アンビエント空調機ともに可変風量制御であることである。
本実施形態の基本的構成は第一の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
さらに、全ての空調機の風量を最大にして運転が継続される(S208)。その間、稼動している非優先位置サーバの消費電力のうち、消費電力最小の非優先位置サーバの有無が判定される(S209)。存在する場合には(S209においてY)、当該サーバはスタンバイ状態に戻される(S210)。その分の負荷は、他の非優先位置サーバに配分される。
全ての非優先位置サーバがスタンバイ状態に戻った場合には(S211においてY)、S201に戻る。稼動状態の非優先位置サーバが存在している場合には(S211においてN)、引き続きS203以下の制御が繰り返される。
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、アンビエント空調機の風量レベルに対応して、異なる優先度テーブルを適用する制御に係る。
本実施形態の構成についても、第一の実施形態と同一であるので重複説明を省略する。なお、タスク空調機4は風量最大、アンビエント空調機3は可変風量制御により、それぞれ運転される(第一の実施形態と同様)。
表4は、風量ごとの各優先位置台数及び消費電力の比較の例である。許容処理負荷についてみると、優先位置1サーバは大きく、優先位置3サーバは小さく設定されている。これにより、可能な限り冷気供給容易な位置にあるサーバに処理負荷を集中させることができる。
次いで、風量中に対する優先度テーブルに基づいて、優先度1,2位置のサーバに対して処理負荷が分配される。優先度3位置のサーバはスタンバイ状態となる(S303)。
下限閾値T1より下回る場合には、アンビエント空調機3の風量を1段階ダウンさせる(S305)。また、上限閾値(T2)を超える場合には、空調機3の風量を1段階アップさせる(S306)。この場合、それぞれ変更後風量に対応する優先度テーブルが適用される(S307)。
下限閾値を下回る(Ep<E1)場合には、当該優先位置サーバの処理負荷に余裕があると判断されるため、さらなる省エネ性を図るため非優先位置サーバに分配されている処理負荷がある場合には、この負荷を当該優先位置サーバに移管する(S309)。
S304〜S311までの制御がデータ処理完了まで繰り返される。
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、第四の実施形態と同様にアンビエント空調機の風量レベルに対応して、異なる優先度テーブルを適用するものであり、より簡易な制御形態に係る。また、第四の実施形態と同様にタスク空調機4は風量最大、アンビエント空調機3は可変風量制御により、それぞれ運転される。優先度テーブルの設定についても、第四の実施形態と同様に各風量レベル(大中小)について、優先位置1−3が設定されており、各優先位置の配置関係(図12)も同様である。
さらに、風量ごとの各優先位置台数及び消費電力についても表4と同一であり、最大消費電力合計値は、風量大のときはEmax=123kW、風量中のときはEmid=109kW、風量小のときはEmin=109kWである。
なお、本実施形態の構成についても第一の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
さらに、該当する優先度テーブルに合わせて処理負荷の再分配が行われる(S509)。上記S504〜S509の制御が、データ処理完了まで繰り返し実行される。
2・・・・情報通信機械室
2c・・・二重床空間
3・・・・アンビエント空調機
4・・・・タスク空調機
5・・・・サーバラック
5a・・・処理サーバ
6・・・・ラック列
7・・・統合制御サーバ
8・・・管理サーバ
8・・・・空調機制御装置
9・・・・コールドアイル
10・・・ホットアイル
S0、S1−Sn・・・温度センサ
Claims (10)
- 情報通信機械室内のサーバラック内に格納されるICT装置群を、一以上の空調機により冷却する空調システムにおいて、冷気供給容易度が高い位置に配置されているICT装置に、優先的にデータ処理負荷を分配するものであり、
前記冷気供給容易度の判定を、二重床面から当該ICT装置までの離隔距離に基づいて行うことを特徴とする空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。 - 情報通信機械室内のサーバラック内に格納されるICT装置群を、一以上の空調機により冷却する空調システムにおいて、冷気供給容易度が高い位置に配置されているICT装置に、優先的にデータ処理負荷を分配するものであり、
前記冷気供給容易度の判定を、当該ICT装置吸気温度、二重床下温度、二重床下温度と当該ICT装置吸気温度との温度差、又はこれらのいずれか2つ以上の組み合わせに基づいて行うことを特徴とする空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。 - 各ICT装置について、前記冷気供給容易度に対応してデータ処理負荷分担の優先度を定めた優先度テーブルを、予め備えておき、
該優先度テーブルを用いて、データ処理負荷の分配を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。 - 前記優先度テーブルを、空調機の風量レベルごとに備えたことを特徴とする請求項3に記載の空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。
- 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
ICT装置吸気温度分布の標準偏差値が第一の閾値を下回る場合には、一以上の空調機の風量を低減させ、
標準偏差値が第二の閾値を超える場合には、一以上の空調機の風量を増加させる、
ことを特徴とする空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。 - 前記空調機は、アンビエント空調機と、タスク空調機と、を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。
- 前記アンビエント空調機は可変風量で運転し、前記タスク空調機は最大風量で運転することを特徴とする請求項6に記載の空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。
- 前記冷気供給容易度の判定を、前記タスク空調機とICT装置との離隔距離に基づいて行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。
- 予め、前記タスク空調機の吹き出し温度を所定の周期で変動させて運転し、該周期とICT装置吸気温度の変動とを比較して、当該位置の冷気供給容易レベルを求めておき、
前記冷気供給容易度の判定を、該冷気供給容易レベルに基づいて行うことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。 - 請求項6乃至9のいずれかにおいて、
冷気供給容易度が高い位置として判定された一又は複数のICT装置に分配するデータ処理負荷の総和が、当該タスク空調機の冷房能力以下となるように分配することを特徴とする空調システムとデータ処理負荷分配の連係制御方法。
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