JP5268072B2 - 空調制御システム及びその運転方法 - Google Patents
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Description
このようなサーバラックの配置に対応して、ICT機器を冷却するための専用空調機(データセンタ用空調機)は、ホットアイルの高温空気を吸気し、コールドアイルに冷却された低温空気を供給する構造としている。
この場合、排気がホットアイル側からコールドアイル側に回り込むと冷却効率低下を招くため、省エネ性向上のため、回り込みを低減する工夫(例えば、特許文献1)や、コールドアイルの上方に空調機を設置し、コールドアイルに直接、冷気を供給する技術(例えば、特許文献2)、ラック列間に構成される空間を閉鎖空間とし、その上部に局所空調機を設ける技術(例えば、特許文献3)等、種々提案されている。
(a)吹き出し設定より低温の吹出を防止するサーモオフ制御による圧縮機の停止
(b)霜付、圧縮機への液戻りを防止するための低圧保護制御による圧縮機周波数の下限カット
(c)冷凍サイクルを守るための高圧保護制御による圧縮機周波数の上限カット
(d)室内機の蒸発温度を室内の露点温度以上に保ち、ドレン排出を抑止する除湿回避制御による圧縮機周波数の上限カット
非常時制御に移行した場合、圧縮機による能力制御が不十分となり、吹出温度が上昇、又は低下してしまう。このため、現行の空調制御方式では吹き出し温度を安定的に維持することが困難となる。特に、省エネ性向上を目的としてファン風量を自動制御した場合、風量変動により非常時制御に移行しやすくなる場合がある。例えば、ファン風量の増加は冷媒圧力上昇に、ファン風量の低下は冷媒圧力低下に、吹出温度低下は蒸発器表面温度の低下に、それぞれ直結するからである。
他方、吹き出し温度が低くなりすぎると、ICT機器の結露やIT技術者の作業性の低下という問題がある。
本発明は、以下の内容を要旨とする。すなわち、本発明に係る情報通信機械室における空調制御システムの運転方法は、
(1)複数のサーバラック列により、コールドアイルとホットアイルとが形成される室内において、ラック列を構成するサーバラックを一以上の直膨式空調機により冷却する情報通信機械室における空調制御システムの運転方法であって、該空調機の圧縮機が通常制御モードのときは、機械室内の冷気供給状態に対応して該空調機の機内ファン風量を制御し、該圧縮機が通常制御以外の制御モード移行条件となったときは、通常制御を維持、又は通常制御への復帰を促進するように、機内ファン風量を増減させる、ことを特徴とする。
本発明において、「一以上の空調機」とは、ベース空調機(フロアマウント空調機)のみ、局所空調機(ラック型空調機)のみ、ベース空調機と局所空調機の両方、等の種々の組み合わせを含む概念である。ベース空調機と局所空調機の組み合わせとすることにより、局所的な冷気供給過不足に対してより適切な対応が可能となる。
「通常制御モード」とは、圧縮機が需要に対応して(例えば、吹き出し温度に基づいて判定)、インバータによる能力制御を行っている状態をいう。
「通常制御モード以外の制御モード移行条件」とは、冷媒系統の保護、ICT機器の結露防止等の理由により、通常制御モードでの運転が適当でない状態に至ったことをいう。
「サーモオフ制御」とは、空調機吹き出し温度が設定温度以下になったときに、低温吹き出しを防止するため、圧縮機を停止する制御をいう。
「低圧保護制御」とは、圧縮機へのいわゆる「液戻り」、蒸発器への霜付等を防止するため、圧縮機周波数を下定値以下に落とさない制御(下限カット)をいう。
「高圧保護制御」とは、圧縮機自体、配管等の保護のため、圧縮機周波数を上限値以上に上げない制御(上限カット)をいう。
「除湿回避制御」とは、ICT機器の結露やドレン排出による漏水リスクを抑止するため、圧縮機周波数を上限値以上に上げない制御(上限カット)をいう。
(T1−T0)の値が一定範囲から外れるときは、冷気供給過多又は冷気供給不足(もしくはホットアイル側からコールドアイル側への排気回り込み)であり、送風ファン風量を増減してこの状態を解消する必要がある。
(4)前記冷気供給状態の判定を、コールドアイル内の温度分布のばらつきに基づいて判定する、ことを特徴とする。
温度分布のばらつきが大きいときは、局所的な高温、低温が発生していると考えられるため、送風ファン風量を増加して温度分布を均一化する必要がある。
(5)上記(1)又は(2)において、さらに前記コールドアイルを室内の他の空間と区画するアイルキャッピングが設けられている場合において、前記冷気供給状態の判定を、コールドアイルとホットアイル間との圧力差に基づいて判定する、ことを特徴とする。
圧力差が一定範囲から外れるときは、両アイル間に気流が発生していると考えられるため、送風ファン風量を増減して圧力バランスを調整する必要がある。
なお、本発明において「アイルキャッピング」とは、コールドアイルを室内の他の空間と区画する隔壁をいう。
(6)複数のサーバラック列により、コールドアイルとホットアイルとが形成される室内において、ラック列を構成するサーバラックを一以上の直膨式空調機により冷却する情報通信機械室における空調制御システムであって、機械室内の冷気供給状態を検知する検知手段と、該空調機の圧縮機が通常制御モードのときに、該検知手段からの入力信号に基づいて、該空調機の機内ファン風量を制御する第一の風量制御手段と、該圧縮機が通常制御以外の制御モード移行条件となったときに、該空調機の稼動状態又は/及びコールドアイル環境に対応して、該機内ファンの風量を増減させる第二の風量制御手段と、を備えて成ることを特徴とする。
本発明において、「機械室内の冷気供給状態」とは、コールドアイル内の温度、圧力、両アイル間の気流等を含む。さらに、例えばICT装置のファン風量等をも含む概念である。
(7)前記通常制御以外の制御モードが、サーモオフ制御、低圧保護制御、高圧保護制御又は除湿回避制御のいずれかであることを特徴とする。
(8)前記該空調機稼動状態が、吹き出し温度であることを特徴とする。
(9)前記空調機稼動状態が、冷媒圧力であることを特徴とする。
(10)前記空調機稼動状態が蒸発器表面温度であり、前記コールドアイル環境がコールドアイル内空気の露点温度である、ことを特徴とする。
(11)前記コールドアイルを室内の他の空間と区画するアイルキャッピングを、さらに備え、前記検知手段が、該アイルキャッピングの開口部に配設された温度センサであることを特徴とする。
(12)前記コールドアイルを室内の他の空間と区画するアイルキャッピングを、さらに備え、前記検知手段が、該アイルキャッピングの開口部に配設された圧力センサであることを特徴とする。
(13)前記空調機が、ラック列内に配置されるラック型空調機であることを特徴とする。
空調機として、ラック列を構成する各サーバラックと同一モジュールのラック型空調機を用いることにより、局所的な問題への対応が容易となり、より高度の空調制御が可能となる。
<第一の実施形態>
本実施形態は、空調機サーモオフの際のコールドアイル内の急激な温度上昇を防止する制御に関する。
図1、2を参照して、本実施形態に係る空調制御システム1は、情報通信機械室7内に収容されるサーバラック2を、フロアマウント空調機4及びラック型空調機5により冷却するものである。
機械室7内部は、床パネル7d及び天井パネル7eにより3つの空間に区画されており、床パネル7dの下部には二重床下空間7cが、天井パネル7eの上部には天井空間7bが形成されている。空調機4の室内ユニット4aと二重床空間7cとは往き側ダクト7aを介して結ばれている。また、天井空間7bと室内ユニット4aとは、戻り側ダクト7hを介して結ばれている。
コールドアイル8の上面及び側面は、アイルキャッピング8a、8bにより、コールドアイル8を除く室内空間7aと区画されている。アイルキャッピング8aには開口部8cが設けられており、その近傍に冷気供給バランス判定用の外部センサである温度センサS1が配設されている。
一方、ラック型空調機5については、ホットアイル9の高温排気の一部を直接吸い込んで、蒸発器5eで熱交換して冷気とし、送風ファン5cによりコールドアイル8に吹き出す。供給冷気は、フロアマウント空調機4からの冷気と混合されて、各サーバラックに吸込まれる。以上のような冷気・排気循環により、各サーバラックの冷却が行われる。フロアマウント空調機4についても同様である。
図3を参照して、通常制御定常時において空調機5の圧縮機5fは、温度センサS0の計測値T0に基づいて、吹き出し温度を設定値(例えば20℃)に維持するように周波数制御される(S101)。一方、送風ファン5cについては、外部温度センサS1と吹き出し温度センサS0の温度差に基づいて風量制御が行われる(S102)。具体的には、図4を参照して、両温度センサの温度差ΔT1=T1−T0 が下限閾値α1を下回るときは、風量過多と判断して最小風量に達するまでファン風量を1段階ダウンさせる(S1013)。一方、温度差が上限閾値α2を上回るときは、風量不足によるホットアイル側からの排気流入の可能性があるため、最大風量に達するまでファン風量を1段階アップさせて、冷気供給量を増加する(S1015)。α2≧ΔT1≧α1のときは適正風量と判断され、現状風量が維持される(S1014)。
一方、S104においてファン風量が最大に至っていないときは、最大風量に達するまでは風量を2段階アップさせる(S108)。これにより、吹き出し温度の上昇を促進し、サーオフ移行条件から速やかに外れるようにする。
なお、本実施形態では空調機5の制御を例に説明したが、空調機4についても同様の制御を行うことができる(以下の各実施形態についても同様)。
また、空調機5の制御部5iにより制御する例を示したが、独立した制御部を備え、これによる制御とすることもできる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、圧縮機の冷媒圧力異常による圧縮機能力制限により、コールドアイル内が急激に温度上昇・低下することを回避する制御に関する。
図5を参照して、本実施形態に係る空調制御システム20の構成が上述の実施形態と異なる点は、外部センサとして温度センサS0ではなく、アイルキャッピング8aの開口部8c近傍に圧力センサS2を備えていることである。さらに、冷媒配管5d経路中に冷媒圧力計測用の圧力センサSrを備えていることである。その他の構成については上述の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
図6を参照して、通常制御時においては、上述の実施形態と同様に空調機5の圧縮機5fは通常制御により運転されている(S201)。一方、送風ファン5cについては、両アイル間の気流発生をなくして省エネルギー性向上を図るため、圧力センサS2の計測値P0に基づく風量制御が行われる(S202)。具体的には図7を参照して、P0が下限閾値β1を下回るときは、ホットアイル側からの排気流入のおそれがあるため、最大風量に達するまでファン風量を1段階アップさせる(S2013)。一方、計測値P0が上限閾値β2を上回るときは、風量過多と判定して最小風量に達するまでファン風量を1段階ダウンさせる(S2015)。β2≧P0≧β1のときは、適正風量と判断されるため、現状風量が維持される(S2014)。
S204においてファン風量が最小に至っている場合には、高圧保護制御運転への移行、具体的には圧縮機周波数の上限カットを行う(S205)。その後、冷媒圧力Prが閾値P2以下に戻った時点で(S206においてYes)、高圧保護制御を解除し(S207)、通常制御に戻る(S201)。
S210においてファン風量が最大に至っている場合には、低圧保護制御への移行(S211)、具体的には圧縮機周波数の下限カットを行う。その後、冷媒圧力PrがP1以上に上昇した段階で(S212においてYes)、低圧保護制御を解除し(S213)、通常制御に戻る(S201)。
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、空調機の除湿回避制御による圧縮機能力制限により、コールドアイル内が急激に温度上昇することを回避する制御に関する。
図8を参照して、本実施形態に係る空調制御システム30の構成が第一の実施形態と異なる点は、外部センサとして、冷気供給バランス判定用の温度センサS1に加えて、空調機5の蒸発器5e表面の温度計測用の温度センサS3、及びラック2の吸気面近傍に温度、湿度検出用センサS4を備えていることである。さらに、制御部5iの記憶部(図示せず)には、湿り空気表データに該当するテーブルが格納されていることである。その他の構成については上述の実施形態と同一である。
S301、S302については、第一の実施形態におけるS101、S102と同一であるので、重複説明を省略する。
この間、所定のインターバルで、蒸発器5e表面の温度センサS3の検知温度(Te)と、コールドアイル内の平均相対湿度から演算した露点温度(Td)と、の差(ΔT2=Te−Td)が比較される(S303)。なお、室内の平均相対湿度は、温度・湿度センサS4の検出値に基づいて演算される。
そして、ΔT2が下限閾値(δ1)以下のときは(S303においてYES)、除湿回避制御に移行することになるが、冷房能力制限によるコールドアイル内の急激な温度上昇を回避するため、その時点でファン風量が定格(最大)風量であるか否かが判定される(S304)。定格に至っていない場合には、風量を定格風量に増加させて高顕熱運転とする(S308)。
S304においてファン風量が最大に至っている場合には、除湿回避制御、すなわち、圧縮機周波数の上限カット運転を行い、冷房能力を制限して除湿を回避する(S305)。その後、ΔT2が上限閾値(δ2)以上になったときは(S305においてYes)、除湿回避制御を解除し(S307)、通常制御に戻る(S301)。
本実施形態は、コールドアイル内の多点温度情報に基づいて、空調機のファン制御を行いつつ、空調機サーモオフの際のコールドアイル内の急激な温度上昇を防止する制御に関する。
図10を参照して、本実施形態に係る空調制御システム40の構成が上述の各実施形態と異なる点は、アイルキャッピングを備えていないことである。
また、コールドアイル8内に、外部センサとしてn個の温度センサS4-1乃至S4-nを備えていることである。その他の構成については、各外部センサの検出値を空調機制御部5iに入力する点を含め、上述の実施形態と同一である。
次に、空調制御システム40において、サーモオフ移行時の制御フローについては、空調制御システム1と同一であり(図3参照)、外部温度センサによる送風ファン5cの風量制御のフロー(S401以下)が異なる。空調機5の圧縮機5fは空調制御システム1と同様に、温度センサS0の計測値に基づいて、吹き出し温度を設定値(例えば20℃)に維持するように周波数制御されている。
S402においてΔT3が閾値γ1を下回った場合には、その時点でファン風量が最低に至っていない限り、風量を1段階ダウンさせて可能な限りサーオフ状態となることを回避する。γ2≧ΔT3≧γ1のときは適正風量と判断され、現状風量が維持される(S404)。
なお、本実施形態ではアイルキャッピングを備えていない例を示したが、アイルキャッピングを備える形態としてもよい。
また、本実施形態では多点温度情報に基づいて、ラック型空調機5の送風ファン5cの風量制御を行う例を示したが、例えばコールドアイルごとにフロアマウント空調機(ベース空調機)が配置されているような場合には、その送風ファンによる風量制御による形態としてもよい。
2・・・・サーバラック
3・・・・ラック列
4・・・・フロアマウント空調機
5・・・・ラック型空調機
5a・・・室内ユニット
5b・・・室外ユニット
5c・・・送風ファン
5d・・・冷媒配管
5e・・・蒸発器
5f・・・圧縮機
5g・・・凝縮器
5h・・・電子膨張弁
7・・・・情報通信機械室
8・・・・コールドアイル
8a・・・アイルキャッピング
8c・・・開口部
9・・・・ホットアイル
S0、S1、S3、S4-1〜S4-n・・・温度センサ
S2・・・圧力センサ
S4・・・温度・湿度センサ
Claims (3)
- 複数のサーバラック列により、コールドアイルとホットアイルとが形成される室内において、ラック列を構成するサーバラックを一以上の直膨式空調機により冷却する情報通信機械室における空調制御システムの運転方法であって、
前記一以上の直膨式空調機が、ラック列内に配置されるラック型空調機を含み、
該ラック型空調機の圧縮機が通常制御モードのときは、機械室内の冷気供給状態に対応して該空調機の機内ファン風量を制御し、
該圧縮機がサーモオフ制御移行条件となったときは、通常制御を維持、又は通常制御への復帰を促進するように、機内ファン風量を最大風量に至るまで増加させ、
かつ、前記冷気供給状態の判定を、コールドアイル内の温度分布のばらつきに基づいて判定する、ことを特徴とする情報通信機械室における空調制御システムの運転方法。 - 請求項1において、「サーモオフ移行条件」に替えて「高圧保護制御移行条件」であり、「機内ファン風量を最大風量に至るまで増加させる」ことに替えて「機内ファン風量を最小風量に至るまで減少させる」であることを特徴とする情報通信機械室における空調制御システムの運転方法。
- 請求項1において、「サーモオフ移行条件」に替えて「低圧保護制御移行条件」であることを特徴とする情報通信機械室における空調制御システムの運転方法。
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