JP2014163530A - 空気調和装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】室外機ユニット内の空気の流通抵抗増大を抑制して省エネ効果を向上でき、しかも小型化できて設置も容易にする。
【解決手段】空気調和装置は、圧縮式冷凍サイクルと冷媒ポンプサイクルを持ち、室内熱交換器及び圧縮機を筐体内に収容する室内機ユニットと、室外熱交換器2及び冷媒ポンプ3を筐体6a内に収容すると共にこの筐体の上には室外送風機9を備える室外機ユニット6を備える。室外熱交換器は、その上部を室外機ユニット内の正面側に近接させ、下部を背面側に近接させて筐体内に前傾させて設置され、室外熱交換器の正面側の室外機ユニット内には冷媒ポンプが設置される。室外機ユニットの筐体底部から外気が導入され、室外熱交換器を通過後、室外送風機から上方に吹き出される。室外送風機の最大風量を室外熱交換器の通風側入口面積で除した値である風量比は110〜140となるように構成している。
【選択図】図4

Description

本発明は、空気調和装置に関し、特に情報通信機器向け空気調和装置として好適なものである。
コンピュータネットワークを構築するには、各コンピュータから要求を受けて処理するために、コミュニケーション用、データベース用、ファイル管理用などのサーバーを必要とする。この種のサーバーは運営や管理の利便性から、サーバー機械室に設置されている。また、前記サーバーは、通常、前記サーバー室に多数設置されるが、複数のサーバーはサーバーラックに格納され、前記サーバー機械室には複数のサーバーラックが設置されている。
前記サーバーは動作時の発熱が大きく、これを安定動作させるために、年間冷房型の空気調和装置を併設して運用している。また、多くのサーバー機械室を持つデータセンターでは、データセンター全体の消費電力の内、サーバーの消費電力の割合が最も多く、次いでその冷却を行う空気調和装置の消費電力が大きくなっている。
近年、データセンターの需要が伸びていることから、データセンター分野での電力消費が増加する傾向にあり、データセンターにおいてサーバーに次ぐ消費電力となっている空気調和装置の更なる低消費電力化が求められている。
サーバー機械室全体の空気調和装置としては、一般に、圧縮機、室外熱交換器(凝縮器)、膨張弁、室内熱交換器(蒸発器)を順次冷媒配管で接続して冷凍サイクルを構成する圧縮式冷凍サイクルの空気調和装置が利用されている。しかし、サーバー機械室は30℃程度で運用されるため、たとえば真冬の場合など外気温がそれよりも低ければ、圧縮機を使用するまでもなく単に冷媒を循環させることで直接外気により冷媒を冷却でき、冷房運転を行うことができる。
この種の従来技術としては、例えば、特開平10−82566号公報(特許文献1)に記載のものがある。この特許文献1のものでは、「簡単な構成で、少ない冷媒配管で、室内外機の設置条件(高さ位置)に制約を受けることなく、しかも送風機動力の増大や水質管理等の問題を生じることなく、外気温度を考慮しながら年間を通じて必要かつ十分な冷房能力を確保しつつ省エネルギー運転を可能として年間運転効率の向上が図れる空冷パッケージ空調機」が提案されている。そして、この特許文献1のものでは、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器を配管接続して冷媒を循環させる蒸気圧縮式冷却回路において、凝縮器と膨張弁との間の配管に冷媒ポンプを設け、前記圧縮機の運転による圧縮サイクル(圧縮式冷凍サイクル)の冷房運転と、前記冷媒ポンプの運転による熱輸送サイクル(冷媒ポンプサイクル)による冷房運転の何れかを、外気温度に基づいて自動的に選択して実行する発明が記載されている。
なお、外気を利用して冷却するシステムとして、外気を直接サーバー機械室に取り込む直接外気冷房方式というものもあり、この方式は、単純で効率的であるが、外気を直接取り入れることは、塵埃や海塩粒子といった不純物によるIT機器の腐食に対する処置が必要となる。また、低温の外気を直接取り入れた場合、湿度が低いため、サーバー機械室に適切となる空気条件まで加湿する必要があり、大きなエネルギーが必要で、現実的には採用し難い。
従って、現実的には、上記特許文献1に記載されているような間接外気冷房方式と呼ばれる方式が好ましい。この間接外気冷房方式では、室外熱交換器(凝縮器)、冷媒循環装置(冷媒ポンプ)、膨張弁(絞り器)、室内熱交換器(蒸発器)を順次冷媒配管で接続して冷媒ポンプサイクルでの冷凍サイクルを構成する。そして、前記室外熱交換器で冷媒を間接的に外気により冷却して液化した冷媒を、冷媒ポンプなどの冷媒循環装置により室内熱交換器に送り出す。この室内熱交換器で冷媒とサーバー機械室内の空気を熱交換させることにより、前記サーバー機械室内を冷却することできる。前記室内熱交換器で熱交換した冷媒はガス化し、前記室外熱交換器に送られ、再度冷却され液化するサイクル、即ち冷媒ポンプサイクルとなる。
この冷媒ポンプサイクルと、前記圧縮式冷凍サイクルを併用した空気調和装置とすることにより、空気調和装置の年間消費電力を削減することが可能となる。
特開平10−82566公報
上記特許文献1に記載のもののように、圧縮機、室外熱交換器(凝縮器)、膨張弁、室内熱交換器(蒸発器)を順次冷媒配管で接続して冷凍サイクルを構成する従来の圧縮式冷凍サイクルと、前記冷媒ポンプサイクルを併用した空気調和装置とすることにより、室内気温より外気温が低い場合、冷媒ポンプサイクルにより冷媒を循環して運転するため、圧縮機により冷媒循環を行う圧縮式冷凍サイクルで運転する場合に比べ、低消費電力での冷房運転を行うことができ、年間消費電力を削減できる。
しかし、圧縮機を利用した圧縮式冷凍サイクルと冷媒ポンプサイクルを併用した空気調和装置は、通常、膨張弁、室内熱交換器、圧縮機を備えた室内機ユニット、室外熱交換器を備えた室外機ユニット、及び冷媒循環装置(冷媒ポンプ)を備え室外に設置されるポンプユニットの3つのユニットから構成され、前記各ユニット間を冷媒配管により接続された構成となっている。
このような空気調和装置は、室内機ユニットと室外機ユニットから構成され、それらの間を冷媒配管で接続している従来の年間冷房型の空気調和装置(圧縮式冷凍サイクルのみの空気調和装置)と比べ、システムが煩雑化し、このため設置・施工コストの増大、設置面積の増大、ポンプユニット分のコスト増大などの課題があった。
そこで、前記ポンプユニットの機能を前記室内機ユニット若しくは前記室外機ユニットに内蔵することも考えられるが、前記ポンプユニットを室内機ユニット側に内蔵させると室内機ユニットが大きくなる。このため、サーバー機械室に設置できる室内機ユニットの台数が減少することになり、例えば、既存のサーバー機械室に設置されている空気調和装置に置き換えて使用する場合、最大熱負荷に対する尤度が低下する問題がある。また、新規に設置する場合でも、室内機ユニットが大きくなることで、サーバー機械室に設置されるサーバーの設置台数が減少する。
従って、室内機ユニットの寸法は従来の年間冷房型の空気調和装置より大型化するのは好ましくなく、従って特許文献1にも記載のように、室外機ユニット側にポンプユニットの機能を付加する、即ち冷媒ポンプを設置することが望ましい。しかし、室外機ユニット側に冷媒ポンプとその制御装置を組み込む場合、これら冷媒ポンプなどの後流が室外熱交換器に対し影響し、室外熱交換器の熱交換性能を低下させる課題がある。また、特許文献1のものでは、圧縮式冷凍サイクルを構成する圧縮機も室外機ユニットに設置されているため、更に圧縮機の後流も室外熱交換器に対して影響し、また室外機ユニットも大型化する課題がある。
このため、特に、冷媒ポンプサイクル(間接外気冷房方式)での運転時の基本性能を損ない、また室外機ユニット内の通風抵抗が増大し、前記室外側熱交換器に外気を通風させるための室外ファンの動力も増大するから、冷媒ポンプサイクルでの運転時の「冷房能力/消費電力比」(COP)も低下する。
本発明の目的は、圧縮式冷凍サイクルと冷媒ポンプサイクルの両方の冷凍サイクルを持ち、室外機ユニット内の空気の通風抵抗増大を抑制して省エネ効果を向上でき、しかも小型化できて設置も容易な空気調和装置を得ることにある。
上記目的を達成するため、本発明は、室内熱交換器、圧縮機、室外熱交換器、冷媒ポンプを順次冷媒配管で接続し、圧縮式冷凍サイクルと冷媒ポンプサイクルを持つ空気調和装置であって、前記室内熱交換器及び前記圧縮機を筐体内に収容する室内機ユニットと、前記室外熱交換器及び前記冷媒ポンプを筐体内に収容すると共にこの筐体の上には室外送風機を備える室外機ユニットとを備え、前記室外機ユニット内に収容されている前記室外熱交換器は、その上部を室外機ユニット内の正面側に近接させ、またその下部を室外機ユニット内の背面側に近接させることで前記筐体内に前傾させて設置され、前記室外熱交換器の正面側の前記室外機ユニット内には前記冷媒ポンプが設置され、前記室外機ユニットの前記筐体底部から外気が導入され、前記室外熱交換器を通過した後、前記室外送風機から上方に吹き出されるように構成し、前記室外送風機の最大風量(m/min)を室外熱交換器の通風側入口面積(m)で除した値である風量比が、110〜140となるように構成していること特徴とする。
本発明によれば、圧縮式冷凍サイクルと冷媒ポンプサイクルの両方の冷凍サイクルを持ち、室外機ユニット内の空気の流通抵抗増大を抑制して省エネ効果を向上でき、しかも小型化できて設置も容易な空気調和装置を得ることができる。
本発明の空気調和装置の実施例1を示す冷凍サイクル構成図。 従来の空気調和装置における室外機ユニット構造を説明する斜視図。 圧縮式冷凍サイクルと冷媒ポンプサイクルを持つ従来の空気調和装置を示す冷凍サイクル構成図。 本発明の空気調和装置における室外機ユニットの構造を説明する斜視図。 本実施例における冷媒ポンプサイクルによる運転時の風量比に対する能力とCOPとの関係を示す線図。 本実施例における冷媒ポンプサイクルによる運転時の風量比に対する能力比(従来機比)との関係を示す線図。
以下、本発明の空気調和装置の具体的実施例を図面に基づいて説明する。なお、各図において、同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。
図1は、本発明の空気調和装置の実施例1を示す冷凍サイクル構成図で、圧縮式冷凍サイクルと冷媒ポンプサイクルの両方の冷凍サイクルを持つ年間冷房型の空気調和装置を示し、情報通信向け空気調和装置などに好適なものである。
本実施例の空気調和装置はサーバー機械室などの冷房運転に特に有利な効果を奏するものである。即ち、真冬のような外気温度が低い場合であっても冷房対象であるサーバー機械室は30℃程度で運用されるが、このように外気温度がサーバー機械室内の温度より低ければ、冷媒を単に循環することにより冷却できる。このため、圧縮機を使用することなく低消費電力で冷房運転を行うことができる。このような低温外気の冷熱を利用した冷房運転を効果的に行うため、冷媒の強制循環装置を追加したシステムが開発されつつあり、冷媒の強制循環に冷媒ポンプを使う冷媒ポンプサイクルとして運転することにより、圧縮機を用いる圧縮式冷凍サイクルによる運転に対して低消費電力で冷房運転を行うことが可能となる。
図1に示すように、本実施例の空気調和装置100は、室外機ユニット6と室内機ユニット8とから構成されており、室内機ユニット8はサーバー機械室内に設置され、室外機ユニット6は、サーバー機械室を有する建物の外(例えば屋上)に設置される。
また、前記空気調和装置100は、圧縮機1、室外熱交換器(以下凝縮器ともいう)2、膨張弁4、室内熱交換器(以下蒸発器ともいう)5を順次冷媒配管で接続して冷房運転を行う圧縮機による圧縮式冷凍サイクルによる運転と、凝縮器2、冷媒ポンプ3、膨張弁4、蒸発器5を順次冷媒配管で接続して冷房運転するポンプによる冷媒ポンプサイクルによる運転との双方のサイクルを持ち、切り替え運転を行う。なお、両サイクルで凝縮器2、膨張弁4、蒸発器5を共有する。
室内機ユニット8側には、閉止弁20、膨張弁4、蒸発器5、アキュームレータ17、圧縮機1が搭載され、順次冷媒配管で接続されている。前記蒸発器5の出口側には、冷媒温度を検出する蒸発器出口温度センサ15と圧縮機入口側の冷媒圧力を検出する圧力センサ16を備えており、これらのセンサの検出値を用いて、室内機ユニット8に設けられた室内制御装置24により、冷媒過熱度が検出される。また、19は前記蒸発器5に室内空気を送風するための室内送風機で、本実施例ではシロッコファンで構成され、モータ31により駆動される。更に、前記圧縮機1の出口側には該圧縮機1からの騒音伝達を抑えるためのサイレンサ28、前記圧縮機1への逆流を防止する圧縮機出口逆止弁23、及び圧縮機出口圧力センサ18が設けられている。
前記室内制御装置24は、前記各センサ15,16,18で検出された情報や前記室外機ユニット6に設けられた室外制御装置25からの情報に基づいて、前記圧縮機1、前記膨張弁4及び前記モータ31などを制御する。
また、前記室内機ユニット8には、圧縮機1のバイパス管30が設けられており、その途中に圧縮機バイパス弁14が設けられている。この圧縮機バイパス弁14は、前記凝縮器2側へのみ流通可能な逆止弁としても、或いは空気調和装置の運転に応じて制御される開閉弁としても良い。
圧縮式冷凍サイクルでは、前記圧縮機バイパス弁14が、例えば開閉弁で構成されている場合には、前記室内制御装置24によって閉じられ、且つ前記圧縮機1が駆動されることで、冷媒は圧縮機1を経由して流れる。一方、冷媒ポンプサイクルでは、前記圧縮機1が停止され、前記圧縮機バイパス弁14が開閉弁で構成されている場合には前記制御装置24によって開にされることで、冷媒は圧縮機1を経由せず、バイパス管30を経由して流れる。
なお、前記圧縮機バイパス弁14が開閉弁で構成されている場合の開閉は、前記室内制御装置24により能動的に行うようにしても良いし、或いは前記室外制御装置25からの指示に従って室内制御装置24が行うようにしても良い。
前記室外機ユニット6側には、閉止弁26、凝縮器2、余剰冷媒調節器10、冷媒ポンプ3及び閉止弁27を有し、これらが順次(直列に)冷媒配管で接続されている。なお、9は前記凝縮器2に室外空気を送風するための室外送風機で、この室外送風機9はモータ32により駆動され、該モータ32は前記室外制御装置25により制御される。
前記冷媒ポンプ3の前後にはサイレンサ13が設けられ、それにより冷媒ポンプ3の駆動音の伝達が抑えられる。また、冷媒ンプ3の前後には、ポンプ交換時にポンプの前後の回路を閉じるためのポンプ交換用阻止弁21が設けられている。
前記冷媒ポンプ3は、圧縮機1の運転中、即ち圧縮式冷凍サイクルでの運転中は抵抗となるため、圧縮機1の運転中には前記冷媒ポンプ3をバイパスさせるためのバイパス管29が設けられており、そのバイパス管29の途中には、ポンプバイパス弁22が設けられている。このポンプバイパス弁22は、前記蒸発器5側への流通のみ可能な逆止弁としても、或いは空気調和装置の運転に応じて制御される開閉弁としても良い。なお、11は前記冷媒ポンプ3へ流入する冷媒の圧力を検出する入口圧力センサ、12は冷媒ポンプ3へ流入する冷媒の温度を検出する入口温度センサである。
冷媒ポンプサイクルでは、前記ポンプバイパス弁22が、例えば室外制御装置25によって閉じられ、且つ前記冷媒ポンプ3が駆動されることにより、冷媒は冷媒ポンプ3を経由して流れる。一方、圧縮式冷凍サイクルでは、前記ポンプバイパス弁22が、例えば前記室外制御装置25によって開にされ、且つ前記冷媒ポンプ3が停止されることにより、冷媒は冷媒ポンプ3を経由せずバイパス管29を経由して流れる。
前記ポンプバイパス弁22が開閉弁で構成されている場合の開閉は、室外制御装置25が能動的に行っても良いし、室内制御装置24からの指示に従って室外制御装置25が行うようにしても良い。
このように、前記室内制御装置24と前記室外制御装置25は互いに通信することができる。例えば、室外制御装置25が、室外機ユニット6内の各センサで検出された値(センサ検出値)を室内制御装置24に通知し、室内制御装置24が、そのセンサ検出値に応じて、冷凍サイクルを切り替えることができる。
前記圧縮式冷凍サイクルと前記冷媒ポンプサイクルは、室内機ユニット8側での熱負荷と外気条件により切り替わるが、基本的には外気温度が室内温度よりも低い場合には圧縮式冷凍サイクル運転から冷媒ポンプサイクル運転に切り替える。これにより冷媒ポンプ3は圧縮機1よりも消費電力が非常に低いため、圧縮式冷凍サイクル運転に比べて低消費電力で運転することが可能となる。
また、本実施例では、前記冷媒ポンプ3が前記室外機ユニット6の筐体6a内に設置されている。従来のものでは、前記冷媒ポンプ3やこれをバイパスするバイパス管29などは前記室外機ユニット6とは別の筐体内に設置してポンプユニットとして構成されていた。このため、ポンプユニットが別設置となるから、システムが煩雑化し、設置・施行コストの増大、設置面積の増大、ポンプユニット分のコスト増大などの課題があった。
これに対し、本実施例では、冷媒ポンプ3を室外機ユニット6の筐体6a内に設置しているから、ポンプユニットを別設置した場合の上記課題を解消でき、工事施工性などを改善できる。
一方、特許文献1に記載のように、ポンプユニットを室外機ユニットに設置することも考えられる。しかし、室外機ユニット側に冷媒ポンプとその制御装置を組み込む場合、冷媒ポンプなどの後流が凝縮器に対して影響し、凝縮器の熱交換性能を低下させる。また、特許文献1のものでは圧縮機も室外機ユニットに設置されているため、更に圧縮機の後流も室外側熱交換器に対して影響し、室外機ユニットも大型化する課題がある。
そこで、本実施例では、冷媒ポンプ3を室外機ユニット6内に設置すると共に、圧縮機1については室内機ユニット8の筐体8a内に設置するようにしている。また、本実施例では、冷媒ポンプ3などの後流が凝縮器2に影響して、凝縮器2の熱交換性能を低下させないように、室外機ユニット6内の構成を後述するように工夫しているものである。
ここで、まず図2により、従来の年間冷房型の空気調和装置(圧縮式冷凍サイクルのみの空気調和装置)における室外機ユニットの構造を説明する。図2は従来の空気調和装置における室外機ユニット構造を説明する斜視図である。
図2に示すように、従来の空気調和装置における室外機ユニット6は、凝縮器2を、室外機ユニット6の筐体6a側面から見て、V字型に配置しており、凝縮器2の伝熱面積を増やし、熱交換性能を向上させる設計が為されている。従って、このような構造の室外機ユニット6では、室外機ユニット6内で前記凝縮器2が占める割合が大きくなっている。このような空気調和装置に冷媒ポンプサイクルの機能を追加するため、室外機ユニット6内に、冷媒ポンプ等の機器を追加設置しようとしても十分なスペースがない。また、冷媒ポンプなどを追加設置できたとしても、それら機器が凝縮器2への空気の流れを遮り、熱交換性能を悪化させてしまう。このため、特に、冷媒ポンプサイクルで運転する際のエネルギー効率を低下させる課題がある。
このような理由により、圧縮式冷凍サイクルと冷媒ポンプサイクルを併用した従来の空気調和装置では、図3に示すような構成となっていた。図3は圧縮式冷凍サイクルと冷媒ポンプサイクルを持つ従来の空気調和装置を示す冷凍サイクル構成図である。
この図3に示すように、冷媒ポンプサイクルも備えた従来の空気調和装置では、室外機ユニット6、室内機ユニット8、ポンプユニット7の3つのユニットに別れており、ポンプユニット7が増えることから、空気調和装置の設置や配管を施工する際の作業性が悪くなり、導入コストが増大し、設置面積も増大する課題があった。
そこで、上記課題を解決するため、本実施例における空気調和装置では、冷媒ポンプ3を室外機ユニット6内に設置すると共に、圧縮機1は室内機ユニット8内に設置し、また、前記室外機ユニット6における冷媒ポンプ3などの後流が凝縮器2に影響しないように、室外機ユニット6を、図4に示すように構成している。
即ち、室外機ユニット6の筐体6a上部には室外送風機9を配し、その下の前記筐体6a内には凝縮機(室外熱交換器)2を設置している。この凝縮器2は、1枚の平板状に構成され、その上部2aを室外機ユニット6内の正面側に近接させて設置し、またその下部2bを前記室外機ユニット6内の背面側に近接させて設置している。従って、前記凝縮器2は図4に示すように、1枚の熱交換器を前傾させた単一の角度を持つ凝縮器として構成されている。また、前記凝縮器2の前記前傾角度は、前記室外機ユニット6の正面(垂直面)に対して、前記凝縮器2の前面(通風入口面)がなす角度を、15〜40度としている。このように構成することにより、前記凝縮器2の正面側の室外機ユニット6内に冷媒ポンプ3、余剰冷媒調節器10及び室外制御装置25などの機器を設置するための十分なスペースを確保でき、前記凝縮器2との距離も十分にとることができるから、凝縮器2に対する前記各機器3,10,25などの後流の影響を大幅に低減することができる。
なお、前記凝縮器2への通風方向は、室外機ユニット6の筐体6a底部から外気(空気)が導入され、熱交換器(凝縮器)2を通過した後、上部の室外送風機9から上方に吹き出されるように構成されている。また、室外機ユニット6の底面(底部)だけでなく、正面からも外気(室外熱交換器冷却風)を導入するようにしても良い。このように、外気を室外機ユニット6の底面から導入することで、冷媒ポンプ3、室外制御装置25、余剰冷媒調節器10などが室外熱交換器(凝縮器)2への通風抵抗となるのを低減できる。
従って、冷媒ポンプ3などを室外機ユニット6内に設けたことにより凝縮器2の熱交換性能が低下するのを抑制することができ、図2に示す室外機ユニットに冷媒ポンプを設置した場合や、特許文献1に示すものより大幅に熱交換性能を向上できる。
本実施例では、前記凝縮器2の前面がなす角度を15〜40度としているが、この理由を述べる。即ち、室外機ユニット6の寸法は、設置個所への搬入性を考慮する必要がある。特に、空気調和装置が設置される建物の昇降機により搬入できる寸法とするのが一般的であり、高さ31m以上 (大よそ11階建て以上)の建物には、非常用エレベータの設置義務があるので、このエレベータにより搬入可能な寸法にすることが望ましい。
この非常用エレベータの扉寸法は、幅1000mm、高さ2100mmであり、エレベータのかご奥行きは1500mmである。従って、前記室外機ユニット6の寸法としては、幅1350mm程度(エレベータのかご奥行きより小さくする)、奥行き900mm程度(エレベータの扉の幅より小さくする)、高さ2000mm程度とするのが望ましく、室外機ユニット6をこれらの寸法以上に大型化することは好ましくない。
これらの寸法を考慮し、上述した本実施例における前記凝縮器2と、冷媒ポンプ3、余剰冷媒調節器10、室外制御装置25などの配置構成を検討すると、前記凝縮器2の前傾角度を15〜40度とすることは、前記冷媒ポンプ3、余剰冷媒調節器10、室外制御装置25などの機器と前記凝縮器(室外熱交換器)2との空気流れの干渉を抑えつつ、前記凝縮器2を大きくできる、効果的な設計値となることがわかる。
なお、図4に示す本実施例のように室外機ユニット6を構成した場合、筐体寸法が同じ大きさで、図2に示したような従来の室外機ユニットのものと比較すると、本実施例のものでは凝縮器2が従来のものより小さくなる。そこで、本実施例では、室外機ユニット6における室外送風機9の最大風量(m/min)を、凝縮器2の通風面入口面積(m)で除した値である風量比が110〜140となるようにしている。これにより、図2に示すような従来の室外機ユニットの熱交換性能と同程度の能力を得ることができ、熱交換器(凝縮器)も小型化できるから、コスト低減を図れる。
本実施例では、前記風量比を110〜140としているが、この理由を図5、図6を用いて説明する。図5は本実施例における冷媒ポンプサイクルによる運転時の風量比に対する能力とCOPとの関係を示す線図、図6は本実施例における冷媒ポンプサイクルによる運転時の風量比に対する能力比(従来機比)との関係を示す線図である。なお、これらの図は、室内温度27/19℃(乾球温度27℃、湿球温度19℃)、外気温度−5℃の条件でのものである。
図5から、冷媒ポンプサイクル時の能力(冷房能力)は、風量比が大きくなるに従い、増える傾向にあるが、COP(能力/消費電力比)は、風量比が大きくなるに従いに下がり、風量比140以上においては下がり勾配が急となることがわかる。従って、風量比を140以下とすることが好ましい。
また、図6から、従来の室外機ユニット(図2に示したV字型熱交換器を備え、筐体寸法が同一の室内機ユニット)と比較した場合、風量比105〜110付近で従来機と同等の能力となるので、風量比の下限は110以上とすることが好ましい。
従って、本実施例では前述したように、風量比を110〜140としている。なお、図2に示す従来の室外機ユニットにおける風量比は一般に55〜65程度であり、本実施例では従来機に対して2倍程度の風量比としているものである。
なお、本実施例では、圧縮機1を室内機ユニット8内に設置しているが、これにより次の効果が得られる。
即ち、現地施工配管(室内機〜室外機間配管)の長さが長くなった場合、圧縮機1を室外機ユニット6に設けると、蒸発器5出口から圧縮機1入口までの配管が長くなって圧力損失が増大するため、圧縮機吸入圧力が低下し、吸入冷媒密度が下がる。従って、冷媒循環量が低下し、能力が低下し易いという課題があるが、本実施例のように、圧縮機1を室外機ユニット8に設けることにより、蒸発器〜圧縮機間の配管長が短くなり、現地施工配管が長くなっても圧縮機吸入圧力の変化を少なくできる。このため、圧縮機吸入冷媒密度の変化も少なくなり、冷媒循環量もほとんど影響を受けないから、能力が低下するのを回避できる。また、圧縮機1を室内機ユニット8に設置することにより、室外機ユニット6には圧縮機がないので、その分室外熱交換器(凝縮器)2への通風阻害要因を抑えることができる。
このように、本実施例によれば、室外機ユニット6内に、1つの熱交換器(凝縮器)2を15〜40度の角度で前傾させて設置し、室外機ユニット6の正面側と凝縮器2との間の空間下部に、冷媒ポンプ3、余剰冷媒調整器10、室外制御装置25などの機器を設置するようにしているので、凝縮器2の通風面と前記各機器3,10,25との距離を十分に離すことができる。従って、前記各機器3,10,25の後流の影響を低減して、凝縮器2全体を通風面として有効に利用できるから、空気の流通抵抗増大を抑え熱交換性能の低下を抑制できる。また、前記各機器3,10,25を室外機ユニット6内の前面側に設置しているので、これらの機器のメンテナンスも容易に可能となる。
更に、本実施例では、室外送風機9の最大風量を、凝縮器2の通風面入口面積で除した値(風量比)が110〜140となるようにしているので、1つの熱交換器を前傾配置させた小型の凝縮器2でありながら、図2に示すような、凝縮器2をV字型に配置した室外機ユニットのものと同等の熱交換性能を得ることができる。
また、本実施例によれば、圧縮式冷凍サイクルと冷媒ポンプサイクルを持つ空気調和装置でありながら、ポンプユニットを別設置しておらず、室外機ユニットも大型化する必要がないので、コストを抑えて、設置及び施工の容易な空気調和装置を得ることができる。
以上述べたように、本実施例によれば、圧縮式冷凍サイクルと冷媒ポンプサイクルの両方の冷凍サイクルを持ち、室外機ユニット内の空気の流通抵抗増大を抑制して省エネ効果を向上でき、しかも小型化できて設置も容易な空気調和装置を得ることができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記実施例では凝縮器2を1枚の平板状の熱交換器により構成した例を示したが、1枚の平板状の熱交換器に限定されるものではなく、例えば、湾曲した1つの熱交換器で構成したり、或いは途中に折れ曲がりのある熱交換器で構成することもできる。また、本実施例では、室内制御装置24と室外制御装置25を備えているが、これらを1つの制御装置で構成するようにしても良い。
更に、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
1:圧縮機、
2:室外熱交換器(凝縮器)、2a:上部、2b:下部、
3:冷媒ポンプ、4:膨張弁、
5:室内熱交換器(蒸発器)、
6:室外機ユニット、6a:筐体、
7:ポンプユニット、
8:室内機ユニット、8a:筐体、
9:室外送風機、
10:余剰冷媒調節器、
11:入口圧力センサ、12:入口温度センサ、
13,28:サイレンサ、
14:圧縮機バイパス弁、
15:蒸発器出口温度センサ、16:圧力センサ、
17:アキュームレータ、
18:圧縮機出口圧力センサ、
19:室内送風機、
20,26,27:開止弁、
21:ポンプ交換用阻止弁、22:ポンプバイパス弁、23:圧縮機出口逆止弁
24,25:制御装置(24:室内制御装置、25:室外制御装置)、
29,30:バイパス管、
31,32:モータ。

Claims (5)

  1. 室内熱交換器、圧縮機、室外熱交換器、冷媒ポンプを順次冷媒配管で接続し、圧縮式冷凍サイクルと冷媒ポンプサイクルを持つ空気調和装置であって、
    前記室内熱交換器及び前記圧縮機を筐体内に収容する室内機ユニットと、
    前記室外熱交換器及び前記冷媒ポンプを筐体内に収容すると共にこの筐体の上には室外送風機を備える室外機ユニットとを備え、
    前記室外機ユニット内に収容されている前記室外熱交換器は、その上部を室外機ユニット内の正面側に近接させ、またその下部を室外機ユニット内の背面側に近接させることで前記筐体内に前傾させて設置され、
    前記室外熱交換器の正面側の前記室外機ユニット内には前記冷媒ポンプが設置され、
    前記室外機ユニットの前記筐体底部から外気が導入され、前記室外熱交換器を通過した後、前記室外送風機から上方に吹き出されるように構成し、
    前記室外送風機の最大風量(m/min)を室外熱交換器の通風側入口面積(m)で除した値である風量比が、110〜140となるように構成している
    こと特徴とする空気調和装置。
  2. 請求項1に記載の空気調和装置であって、前記室外熱交換器は1つの平板状に構成され、且つその前傾角度が、前記室外機ユニットの正面(垂直面)に対して、15〜40度の角度としていることを特徴とする空気調和装置。
  3. 請求項1または2に記載の空気調和装置において、前記冷媒ポンプは前記室外熱交換器正面側の室外機ユニット内底部に設置されていることを特徴とする空気調和装置。
  4. 請求項1または2に記載の空気調和装置であって、前記室外熱交換器の正面側の前記室外機ユニット内には、余剰冷媒調節器及び制御装置も設置されていることを特徴とする空気調和装置。
  5. 請求項1または2に記載の空気調和装置であって、前記室外機ユニットの正面からも外気(室外熱交換器冷却風)が導入されるように構成されていることを特徴とする空気調和装置。
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