以下、添付図面を参照しながら実施例について詳細に説明する。なお、以下の説明では、空調制御システム及び空調制御方法の一例として、アイルキャッピングによる空調方式を用いた空調制御手法について説明するが、空調方式についてはこれに限定されるものではない。
<空調制御システムの概略構成例>
図1は、空調制御システムの概略構成の一例を示す図である。図1(A)は、全体システム構成例(真上から見た図)を示し、図1(B)は、図1(A)に示す空調施設内の(1)の領域の詳細図(断面構造)を示している。また、図1(C)は、図1(A)に示す空調施設内の(2)の領域内に対するラックを説明するための図を示し、図1(D)は、図1(A)に示す空調施設内の(3)の領域内の空気の流れを説明する図を示している。
図1(A)に空調制御システム10は、例えばデータセンター等における各種の空調機器が設けられた空調施設11と、空調制御管理装置12とを有する。空調施設11と、空調制御管理装置12とは、インターネットやLocal Area Network(LAN)等に代表される通信ネットワーク13を介してデータの送受信が可能な状態で接続されている。
また、空調施設11には、所定数を所定位置に配列した機器の一例であるラック21と、分電盤22と、床グリル23と、空調機24とを有する。なお、図1(A)の例では、A列〜R列まで配列されたラックを示しているが、数や配列内容については、これに限定されるものではない。
ラック21は、例えばユーザが使用するサーバや通信機器の各機器類を収納する架である。分電盤22は、例えばラック21に収納された各IT機器に対して電力を供給するための電力手段であり、各IT機器又はラック21毎の消費電力を取得し、取得した消費電力の情報を、通信ネットワーク13を介して空調制御管理装置12に送信する。
床グリル23は、例えば各ラック21の各列間に床に空調機24からの風(冷風)を通過させるための通気口を有する床である。空調機24は、配列されたラックの下部から風(冷風)を送り、ラックの温度や空調施設11全体の温度を調整する。なお、図1(A)の例において、空調機24は、例えばラック21列の両側に対に配置されている(例えば、空調機24−1a、24−1b等)が、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、図1(B)に示すように、空調機24−1a〜24−2aが床下面に設置されているが、これに限定されるものではない。
また、図1(B)、(C)に示すアイルキャッピングでは、冷風31が通過する区画(コールドアイル)とラックを通過した後の温風32が通過する区画(ホットアイル)とが存在する。なお、アイルとは、例えば両端の空調機の出力風量及びそれぞれの出力風量のバランスを管理する区画を意味する。ホットアイルの温風32は、天井に設けられた排気口33から施設外に排出される。
なお、本実施形態では、図1(C)に示すように天井から垂れ下がった垂れ壁34を有する。これにより、本実施形態では、ラック21と垂れ壁34とにより空調機24からの冷風31が排気側のアイルに漏れなくなる。また、空調機24からの冷風31は、ラック21を通過することにより暖められ、暖められた空気(温風)が、図1(D)に示すように、天井の排気口33から外部に排出される。これにより、冷風によるラック21の冷却が行われる。なお、本実施形態において、ラック21の冷却とは、ラック21内の各機器が冷却されることを含む。
ここで、上述した空調制御システム10には、空調設備11内の所定の領域(例えば、各ラック毎)における風量や風向、温度等を計測する各種の計測手段(図示せず)が設けられている。空調制御システム10は、各種の計測手段により計測された計測データを、通信ネットワーク13を介して空調制御管理装置12に送信する。
空調制御管理装置12は、空調設備11から得られる各種計測データから所定の演算により風量等を求め、求めた結果と温度等の関係、又は使用している電力との関係に基づいて空調設備11の複数の空調機24のうち、少なくとも1つに対して所定の空調制御を行う。つまり、空調制御管理装置12は、空調制御が必要な1又は複数の空調機24に対して空調制御を行う。本実施形態における空調制御の具体例については、後述する。
上述した空調制御システム10において、空調制御管理装置12が管理する空調施設11は、1つに限定されるものではなく、例えば通信ネットワーク13に接続される複数の空調施設11を管理してもよい。
次に、本実施形態における空調制御について具体的に説明するにあたり、その前提となる従来の空調制御における課題について具体的に説明する。
<課題1:温度一定制御に対する課題>
近年のデータセンターの環境下においては、一つのIT機器に着目すると、そのIT機器には動作を保障する温度の範囲及び一定温度における動作保障期間がある。一般的には、Intel(登録商標) Architecture(IA)サーバのような機器は、例えば動作保障温度が10℃〜35℃程度で動作保障期間は3〜5年に設定されている。
この動作保障期間は、一定温度(25℃〜28℃前後)での運用を想定していることから、一般的にはデータセンター内の温度は、それよりも低い25℃付近以下に温度を保つ運用を行っている。しかしながら、IT機器を個別にみると、動作保障温度の範囲であれば一時的に温度が上がったとしても問題はなく、稼働中の時間に対して平均的に25℃〜28℃前後の動作保障期間の温度を保てばよいといえる。
従来では、動作保障期間で設定されている温度以上にならないように、データセンター内の全体的な温度或いはデータセンター内の区画(温度を計測して管理している範囲)の温度やラックの温度を一定温度以下にするような空調管理を行ってきた。そのため、従来では、動作保障期間の温度以上にならないために過冷却(必要以上な冷却)を行ったり、必要な冷却量を予測して事前に冷風量を増加させたりしていた。省エネという観点からこのような空調制御を見ると、過冷却はさることながら、必要な冷風量を予測して事前に冷風量を用意しておく(事前に空調を強めておく)ことも空調電力の無駄であるといえる。
<課題2:IT機器の実稼働量(消費電力)と温度の関係のばらつきに対する課題>
図2は、温度と消費電力との関係を示す図である。図2(A)は、ラック21内の各IT機器(例えば、サーバ1〜サーバ3)の温度(℃)と消費電力(kW)との関係を示し、図2(B)は、ラック全体の温度と消費電力との関係を示している。また、図2(C)は、空調施設11内に配列されたラック21毎の温度分布を示し、図2(D)は、配列されたラック21毎の消費電力分布を示している。なお、これらの情報は、例えばラック21毎又は各ラック21内のIT機器毎に設置された温度センサーによる計測データに基づいて温度情報を取得でき、また、分電盤22からの情報によりラック21毎又は各ラック21内のIT機器毎の消費電力を取得できる。
まず、個々のIT機器に着目すると、図2(A)、(B)に示すように、各々のIT機器(例えば、サーバ1〜サーバ3)は、その機器を構成するハードウェアや稼働するソフトウェアの処理負荷・処理能力等により温度に対する消費電力の変化が異なる。これは、Central Processing Unit(CPU)や電源のファン或いは筐体のファンが、温度の変化に追従した冷却機構が働くからである。このIT機器の持つ冷却機構の動作は、ハードウェアベンダーやハードウェアの種別により異なるため、温度に追従して冷却機構の稼働が変化するものや、一定温度を超えてから急激に冷却機構が稼働するもの、或いは段階的に稼働が変化するもの等、様々である。このようなIT機器が複数実装されたラック21としてみると、ラック21の温度と消費電力の関係は、例えば図2(C)、(D)に示すようにラック21毎に個性があるといえる。
つまり、そのラックが複数並んだ区画(ここでは、「ブロック」という)やラック列(アイルキャッピング方式では「アイル」という)においても消費電力と温度の関係には個性があるといえる。
ここで、空調風量を削減することで省エネを実現するためには、このような温度−消費電力の関係に差異があるラックの集合区画(ブロックやアイル)毎に空調の風量を変化させて冷風を必要量だけその集合区画に提供することが望ましい。しかしながら、これを実現するには、ラック21と空調機24が1:1又は1:N(例えば、N=1〜3程度の少数なもの)の関係でなければ冷風の拡散や干渉等の影響により実現が困難である。なお、例外的に局所空調機(1ラック毎に設置されるそのラック専用の空調機)のような1〜3ラック程度の単位で冷風を提供できるような特殊な冷却ユニットを設置すれば、ある程度の温度−消費電力の関係に追従した空調制御が可能である。しかしながら、これを実現すると局所に空調機を導入する分のコストがかかってしまう。
<課題3:空調機とラックとの位置的な供給風量の差異の課題>
図3は、アイルにおける空調機と風量のばらつきを説明するための図である。図3(A)は、アイル両端の空調機が同じ風量の場合の例を示し、図3(B)は、両端が異なる風量の一例を示し、図3(C)は、片側の空調機のみ運転させた場合の例を示している。なお、図3(A)〜(C)の何れも、一例として空調機24−1a、24−1bを用いた空調の例を示している。
例えば、上述した図1に示したアイルキャッピング方式は、ラックの吸気(冷風側)と排気(排熱側)を分離することで、データセンター内の空調設備11に固定的に設置された空調機の冷却効率を向上させ、空調の消費電力量の削減を実現している。しかしながら、このように効率化された環境下であっても、空調機24は、ある程度広範囲の領域に対して冷風を提供することから、図3(A)〜(C)に示すように空調機24とラック21の位置関係や空調機24の風量、運転状況等により、ラック21が空調機24から提供される風量には位置的な差異が生じる。
具体的には、図3(A)に示すように、アイル両端の空調機が同じ風量の場合には、両端からの冷風がぶつかり合う中央部の風量が増加する。また、図3(B)に示すように、両端が異なる風量の一例を示す場合には、風量が弱い方に風が集まってしまう。また、図3(C)に示すように、片側の空調機のみ運転させた場合には、一方に風が集まってしまう。
また、図1に示したアイルキャッピング方式は、床下まではアイルキャッピングを行っていない構造であるが、実際には床下は空調機器をはじめ、床を支える建築構造上必要な柱等の構造物や床上のラック下の電源配線やネットワークケーブルの配線等があるため、床下までアイルキャッピングできていないものである。これは、床上を整列させるためには、床下の利用方法がある程度自由度が高くないと困難だからである。
しかしながら、風量を供給するにあたっては、この例では床下アイルキャッピングされていないことにより、空調機24の供給する冷風が物や冷風同士の干渉、強い冷風の引っ張り込み、設備や柱等に当たって冷風が曲がる等の影響がある。したがって、実際には、図3に示す風量の差異以上に位置的な供給風量の差異が生じる。
<課題4:ブロック毎の風量の供給バランス調整に関する課題>
図4は、空調機のブロックに対する風量調整による他ブロックへの影響を説明するための図である。図4(A)は、風量バランス調整の前提を示し、図4(B)は、図4(A)の状態から隣のアイルの風量を強くして風量調整を行っている例を示し、図4(C)は、図4(A)の状態から不足アイルの風量を強くして風量調整を行っている例を示している。
データセンター内に設置される空調機24は、冷風の提供範囲を持ち、その範囲内にある複数の空調機の風量バランスを調整することにより、範囲内のブロックに対してある程度の風量の提供量の調整を行うことができる。ここで、図4(A)に示すように、特定のブロック(例えば、空調機24−1a、24−1bにより空調を行うブロック)において風量不足が生じた場合には、不足した風量を補う調整を行う必要がある。しかしながら、単純に近辺の空調機24を調整するだけでは、別のブロックが過冷却に陥る可能性もある。また、風量の調整が必要なブロックが複数になると、どの空調機をどのように調整すればよいか、ある程度経験したり調整して様子を見たりする必要があり、自動的に調整することは困難である。
図4(B)の例では、図4(A)に示すように吸気温度が高く、風量が少ない場合に、隣のアイルの空調機24−2a、24−2bの風量を強くするように風量調整を行っている(例えば、風量3→風量4)。この場合、冷却不足箇所は補えるが、冷却不足が解消できる代わりに他の箇所が過冷却になってしまう。これは、冷風は多いところから少ないところへ流れ易いからである。
また、図4(C)の例では、図4(A)のような場合には、不足アイルの空調機24−1a、24−1bの風量を強くする風量調整を行っている(例えば、風量3→風量4)。この場合、冷却不足箇所は補えるが、中心付近が過冷却となり、結局、冷却不足が解消できる代わりに他の箇所が過冷却になる。
<課題5:データセンター全体での消費電力の削減に関する課題>
図5は、アイル毎のラックの実装状態の違いによる消費電力と温度との関係を示す図である。図5(A)は、ラックの電力が小さい(IT機器の実装密度が小さい)場合の電力(ラック・合計電力(kW)、空調電力(kW))と温度(℃)との関係を示し、また、図5(B)は、ラックの電力が大きい(IT機器の実装密度が大きい)場合の電力と温度との関係を示す。また、図5(C)は、高密度ラックの場合の電力と温度との関係を示す。
ここで、従来では、データセンターの運用の効率を見る指標としてPower Usage Effectiveness(PUE)がある。これは、データセンター(空調設備11)全体の消費電力に対するIT機器の消費電力の比で表される指標であり、具体的に「PUE=データセンター全体の消費電力/IT機器消費電力」で表される。また、PUEは、1に近づくほど効率がよいことを示しており、データセンターの効率としてはPUE=1.5程度が一般的な目標値である。つまり、一般的にIT機器の消費電力の割合が非常に大きいといえるが、この効率を作り出しているのが、空調機を含めた冷却設備の効率とアイルキャッピング方式によるデータセンターの構造による効率である。
ここで、更に効率を上げようとすると、空調設備の消費電力を極限まで下げる必要があるが、空調設備をより高効率なものに入れ替える、或いは電灯やエレベータ等の人が利用する設備を削減する等の方法以外には空調機の運転を抑えることしかできない。また、空調機の運転を抑えることは、データセンター内の温度の上昇を意味する。上述した課題1に示すように、IT機器は、温度が上昇すると消費電力も上昇する傾向がある。更に、図5(A)〜(C)に示すように、複数のラックの消費電力と空調機の消費電力と複数のラックが設置されている箇所の温度の関係には、それぞれのバランスの違いにより最も適した状態(例えば、消費電力が最低になる温度)は一定ではない。
したがって、従来のIT機器の安定稼働を目的とし、データセンター内の温度やラックの温度を制御のターゲットとした空調機の風量制御では、必ずしもデータセンター全体の消費電力の削減とはいえない。このことから、空調機の消費電力とIT機器の消費電力の両方のバランスを見て消費電力が最低となり、かつIT機器が安定稼働できる温度の範囲での空調制御を行う必要がある。なお、図5(A)〜(C)を見て分かるように、温度を低くする(冷風を多く供給する)方が空調機とIT機器の消費電力の合計が小さくなる場合もある。これは、空調機の冷却機構の方がIT機器そのものの冷却機構よりも熱交換率が格段によいため、IT機器の冷却機構を働かせない方が、消費電力が小さくなるケースもありうることを示している。
<本実施形態の具体例>
上記の各課題等を踏まえ、本実施形態では、複数の空調機24が複数のブロックに対して総合的な影響を考慮し、かつ、空調機の消費電力の削減だけでなくラックの消費電力の削減も行うことで空調制御システム10全体の省エネを実現する。具体的には、本実施形態では、例えば図1のようなアイルキャッピング方式のデータセンターの空調設備11を対象とし、空調制御の各種の管理として、データセンター内を論理的な区画分けを行う。
ここで、図6は、空調施設内の区画分割の一例を示す図である。なお、図6の例では、図1の空調制御システム10における空調設備11部分のみを示すものである。
図6の例では、空調施設11において、1又は複数の空調制御グループ(エリア)41を有する。また、空調制御グループ41内に1又は複数の空調制御対(アイル)42を有し、アイル42内に1又は複数の空調制御ターゲット(ブロック)43を有する。なお、エリア41、アイル42、ブロック43の範囲等については、図6の例に限定されるものではない。
ここで、エリア41とは、例えば左右の空調機24同士の干渉を考慮する区画を意味する。本実施形態では、この区画内の冷風の出力風量を、対応するラック21の総吸気風量と、ラック21の電力量とから計算した熱換算による総風量の何れか小さい風量となるような出力風量となるように管理する。なお、ラック21の総吸気風量は、例えば各ラック21に設置した風量計により取得することができる。また、本実施形態では、風量が必要なアイルに対して隣のアイルの風量補助を行うような空調制御の管理を行う。空調制御は、この区画内で独立して行う。
また、本実施形態において、アイル42は、この区画内の冷風の出力風量を所属するラック21の総吸気風量とラック21の電力量から計算した熱換算による総風量の何れか小さい風量となるような出力風量となるように管理する。また、本実施形態では、両端の空調機の出力の強弱を調整することにより、冷却が必要なブロック43に対して必要な冷風を多く送るような空調制御の管理を行う。
また、ブロック43は、例えば、温度分布とラック21の消費電力の監視対象となる区画を意味する。本実施形態では、区画内のラック21吸気側の平均温度と最高温度及びブロック43内の合計消費電力を計測・演算し、ラック21の合計消費電力とエリア41の空調機の消費電力をブロック43の面積で按分した消費電力の総合計が最低となるような空調の風量削減制御による消費電力の推移を監視する。また、本実施形態では、例えば平均又は最高温度の何れかがIT機器の稼働保障範囲を基準として指定した温度の閾値を超えないような空調制御の管理を行う。
なお、上述した各管理は、空調制御管理装置12で行われる。また、空調制御管理装置12は、空調施設11内において、空調制御を実現するためにデータ計測及びデータの演算を行い、その演算結果に基づいて各種の空調制御を行う。
上述したように、本実施形態では、空調施設11を複数の管理ブロックに分割し、複数のブロック内に配置された機器を複数の空調機24により冷却する空調制御方法において、ブロック毎の複数の機器の消費電力とブロックを冷却する複数の空調機の消費電力との関係及び前記ブロック毎の温度に応じた必要風量を発生させるための複数の空調機の出力風量の関係を求める。また求めた結果から複数ブロック内に設置された全ての機器の温度が所定の温度範囲内に収まる条件で、空調施設全体の消費電力に基づく空調制御を行う。
なお、本実施形態において、ラック21の配列は、例えば上述した図3(A)に示すように、空気の通り道の中心付近の方がより冷風を多く供給しやすいため、中心付近に消費電力が多いIT機器が実装されているラック21を設置してもよい。また、図6の例では、物理的な壁や柱等の仕切りは行っていないが、これに限定されるものではない。
<空調制御管理装置12の機能構成例>
ここで、空調制御管理装置12の機能構成例について説明する。図7は、空調制御管理装置12の機能構成の一例を示す図である。図7に示す空調制御管理装置12は、入力手段51と、出力手段52と、記憶手段53と、計測手段54と、演算手段55と、風量均一制御手段(第1の風量制御手段)56と、風量削除調整手段(第2の風量制御手段)57と、試行制御手段(第3の風量制御手段)58と、制御管理手段59と、画面生成手段60と、送受信手段61と、制御手段62とを有する。
入力手段51は、空調制御管理装置12を使用する管理者(ユーザ)等からの空調制御処理に関する各種指示の開始/終了等の入力を受け付ける。なお、入力手段51は、例えばPersonal Computer(PC)等であれば、キーボードやマウス等からなる。また、入力手段51は、音声等による入力であってもよく、その場合には、マイク等の音声入力手段等を有する。
出力手段52は、入力手段51により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容等の出力を行う。なお、出力手段52は、例えば画面表示により出力するのであればディスプレイ等の表示手段を有し、音声により出力するのであれば、スピーカ等の音声出力手段を有する。
記憶手段53は、本実施形態において必要となる各種情報を記憶する。具体的には、記憶手段53には、データセンター等の空調施設11において、取得される各計測部(風量計、風向、温度計)から得られる計測データや計測データ等を用いた演算結果、画面生成結果、各種制御結果、設定情報等が記憶される。なお、設定情報とは、例えば後述する各種閾値、テーブル等を含むがこれに限定されるものではない。
また、記憶手段53は、記憶された各種情報を必要に応じて所定のタイミングで読み出したり、空調制御処理に関する実行結果等を書き込んだりすることができる。なお、記憶手段53は、上述したような多種の情報の集合物であり、それらの情報を、例えばキーワード等を用いて検索し、抽出することができるように体系的に構成されているデータベースとしての機能も有していてもよい。
計測手段54は、通信ネットワーク13に接続された所定の空調施設11に設けられた各計測手段(センサー等)に対して計測データの取得要求を生成し、空調施設11に送信する。また、計測手段54は、空調施設11内の要求した各計測手段から必要な計測データを取得する。なお、計測手段54は、上述したように空調施設11に設置された各計測機器との間でデータの送受信を行う手段であってもよく、空調施設11内の各計測機器そのものであってもよい。また、計測手段54は、取得した計測データを記憶手段53に記憶させることもできる。
なお、計測手段54における計測内容としては、例えばラック21前面(吸気面)の温度及び風速を各ラック21につきラック前面の2、3箇所にセンサーを設置することで全てのラックに対して計測することができる。これは、温度を計測することで、ラック21が冷却されていることを確認することができ、風速を計測することで、ラック21の吸気風量を算出するためである。また、計測手段54は、例えばラック背面(排熱面)の温度(例えば、各ラック21につき2、3箇所)を計測することができる。これは、例えば前面の温度と背面の温度の差と消費電力量からラックが必要とする風量を算出するためである。
また、計測手段54は、例えば床グリル23の温度及び風速(例えば、コールドアイルに等間隔で3箇所以上)を計測することができる。これは、例えば温度を計測することで、コールドアイルに供給している冷風の温度を確認することができ、風速を計測することで、コールドアイルに供給している風量を算出することができるからである。
また、計測手段54は、例えば垂れ壁34の温度及び風速(例えば、ラック列につき3箇所以上)を計測することができる。これは、例えば温度及び風速を計測することで、コールドアイルからホットアイルへの空気の流れの方向及び流れの量を算出することができるからである。また、計測手段54は、例えばラック21への配電電力(消費電力)及び電力量(分電盤22のブレーカの電力及び電力量)を計測することができる。これは、例えばラック内のIT機器が必要とするエネルギーを求め、ラックの発熱量を算出するためであり、また、温度変化による消費電力の推移を計測するためである。なお、上述した各計測手段54は、一例でありこれに限定されるものではない。
演算手段55は、空調施設11を所定の領域に分割し、分割した領域を基準として、上述した計測手段54により計測された結果等に基づいて、分割した領域毎の風量等の演算を行う。演算手段55は、例えば分割した各領域に含まれる機器の消費電力、領域を冷却する空調の消費電力、領域毎の温度に応じた必要風量を発生させるための空調機の出力風量等を演算する。なお、演算手段55は、分割する領域として、例えば上述したエリア41やアイル42、ブロック43に分割し、分割したエリア41やアイル42、ブロック43に基づいて、各種の演算処理を行う。
具体的には、演算手段55は、例えばラック吸気風量、アイル必要風量、エリア必要風量、アイル供給風量、エリア供給風量、ラック吸気風量(消費電力換算値)、アイル必要風量(消費電力換算値)、及び、エリア必要風量(消費電力換算値)のうち、少なくとも1つの風量を求める演算を行う。なお、演算手段55が行う演算の内容は、上記の内容に限定されるものではない。
なお、「ラック吸気風量」は、例えばラック21が必要としている冷風の量を算出する。具体的には、「吸気風量=ラック面積×ラック前面の平均風速」等として演算される。また、「アイル必要風量」は、例えばアイル42内の全ラック21に必要な冷風の量を算出する。具体的には、「アイル必要風量=Σラック吸気風量」等として演算される。なお、「Σ」は、合計を意味し、例えば「Σラック吸気風量」であればラック21毎の吸気風量の合計を意味する。
また、「エリア必要風量」は、例えばエリア41内の全ラック21に必要な冷風の量を算出する。具体的には、「エリア必要風量=Σアイル必要風量」等として演算される。
また、「アイル供給風量」は、例えばアイル42内に供給している冷風の量を算出する。具体的には、「アイル供給風量=Σ(床グリル風速×床グリル面積×床グリル開口率)」等として算出される。また、「エリア供給風量」は、エリア41内に供給している冷風の量を算出する。この風量を極力抑えるように風量制御を行うものとする。具体的には、「エリア供給風量=Σアイル供給風量」等として演算される。
また、「ラック吸気風量(消費電力換算値)」は、IT機器の消費電力量と前面・背面の温度差から、ラック消費電力量による吸気風量を算出する。具体的には、「ラック吸気風量(消費電力換算値)=ラック電力量/(空気密度1.1614×空気熱容量1005×(背面の平均温度−前面の平均温度))」等として演算される。
また、「アイル必要風量(消費電力換算値)」は、例えばアイル42内の全ラック21の消費電力量から求めた必要風量を算出する。具体的には、「アイル必要風量(消費電力換算値)=Σラック吸気風量(消費電力換算値)」等として演算される。
また、「エリア必要風量(消費電力換算値)」は、例えばエリア41内の全ラック21の消費電力量から求めた必要風量を算出する。具体的には、「エリア必要風量(消費電力換算値)=Σアイル必要風量(消費電力換算値)」等として演算される。なお、演算手段55は、演算により得られた演算結果を記憶手段53に記憶させる。
風量均一制御手段56は、空調施設11内の全空調機24に対して均一に風量を下げる制御を行う。この制御は、例えばブロック43毎の空調機の消費電力とブロック43毎のIT機器の消費電力の推移を観測し、観測結果から空調機24とIT機器の消費電力の合計が最低になる風量のバランスを検出するものである。なお、上述したブロック43毎の空調機の消費電力とは、例えばエリア41内の全空調機24の消費電力の合計をブロック43の数で按分して得られるものである。また、ブロック43毎のIT機器の消費電力とは、例えばブロック43内の全ラック21の消費電力の合計である。なお、具体的な処理内容については、後述する。
また、風量削減調整手段57は、例えば上述した風量均一制御手段56において消費電力が最低となるブロック43を検出した場合に、風量削減均一制御を停止し、各ブロック43の消費電力の推移をみて、更に風量削減を行って消費電力が下がる風量バランスを調整する。つまり、風量削減調整手段57は、例えば、複数の空調機24から選択された所定数の空調機24の風量を下げる制御を行う。
なお、風量削減調整手段57は、風量の制御回数が所定数(例えば、N回)以上であるか否かを判断し、制御回数が所定数以上である場合に試行制御手段58による制御を行うように制御してもよい。なお、具体的な処理内容については、後述する。
上述した風量均一制御手段56及び風量削減調整手段57における空調制御により、空調機24が担当するエリア41内のブロック43の多くが温度をIT機器の動作保障温度を満たしつつ消費電力を最低にする空調バランスが実現できる。なお、この状態では、温度超過のために過冷却にせざるを得ないブロック43が存在する可能性がある。この場合には、空調機24の配置による理論的な空調バランス以外に、床下の状況や冷風の干渉等による不測な要因による冷風のバランス調整を行う。また、バランス調整は、例えば人の手により冷風のバランスを見ながら微調整することもあるが、自動制御によって微調整していくのは困難であり、従来では、ある程度のところで調整をやめて、やや過冷却の状況に定着させる程度であった。そこで、本実施形態では、試行制御手段58において、上述した微調整の自動化を実現させる。
ただし、単純に定義された空調機のバランスによる制御を行うだけでは、制御の結果、対象ブロックの温度が改善されるかどうかわからない。そのため、試行制御手段58は、一旦試行的に制御を数分間実行し、結果の良否を判断しながら対象ブロックに対する影響の大きさを統計し、効果のある空調機のバランスをフィードバックしながら空調バランスを調整していく試行を繰り返す制御を行う。
例えば、試行制御手段58は、風量削減調整手段57の制御で温度が高くなって過冷却にせざるを得なくなったブロック43(制御対象ブロック)に対し、そのブロック43に最も影響の大きい単体の空調機24又は複数の空調機24の組み合わせで風量調整を行う。なお、試行制御手段58における具体的な処理に付いては、後述する。
制御管理手段59は、演算手段55により得られる演算結果等から、領域に含まれるラック21の温度が所定の温度範囲内となるように、空調施設全体の消費電力に基づく空調制御を行う。つまり、制御管理手段59は、空調機24の消費電力と、ラック21の消費電力とに基づいて空調制御を行う。
また、制御管理手段59は、例えば風量均一制御手段56、風量削減調整手段57、試行制御手段58の制御結果に基づいて、全ブロック43に関して消費電力が最低となり、かつ、温度が閾値を超過しない範囲で落ち着くと、その状態(風量のバランス)を継続する。
ここで、例えばラック21の追加設置・撤去・移動等によりデータセンター内の状況が変わった場合には、再度消費電力の推移と風量バランスを追従させて変更しなければならない。したがって、制御管理手段59は、これらの制御結果を管理し、現状の状況(最終的に落ち着いている状況)から制御状態として、適切な制御内容を選定し、制御の種類を再帰的に遷移させながら調整していく。このように、本実施形態では、全体的に消費電力最低となる空調機の風量バランスを調整していくことで、例えば上述した課題5の対応として、全体的な消費電力の削減を実現する。
画面生成手段60は、本実施形態における空調制御結果等を表示するための画面を生成する。具体的には、画面生成手段60は、空調制御の設定画面や、計測結果、風量や温度、空調制御における電力消費量等を表示する画面を生成する。画面生成手段60で生成された画面は、出力手段52のディスプレイ等に出力される。
送受信手段61は、本実施形態における各処理に必要な情報や、本実施形態における空調制御処理を実現するための実行プログラム(例えば、空調制御プログラム)等を送受信することが可能なインタフェースである。また、送受信手段61は、例えば空調設備11内の各計測手段から各種計測データ等を取得することができ、また空調機24や分電盤22等の空調設備機器に対して制御信号を送信することができる。また、送受信手段61は、制御結果の画面等を、通信ネットワーク13を介して他の外部装置に送信することができる。
制御手段22は、空調制御管理システム12の各構成全体の制御を行う。例えば、制御手段22は、各種データ計測や各種データ演算、風量均一制御、風量削減調整、試行制御、制御管理、画面生成等における処理等のうち、少なくとも1つを制御する。
<空調制御管理装置12のハードウェア構成例>
次に、空調制御管理装置12のハードウェア構成例について図を用いて説明する。図8に示すハードウェア構成例は、入力装置71と、出力装置72と、ドライブ装置73と、補助記憶装置74と、メモリ装置75と、各種制御を行うCPU76と、ネットワーク接続装置77と、を有するよう構成され、これらはシステムバスBで相互に接続されている。
入力装置71は、例えば空調制御管理装置12の管理者(ユーザ)等が操作するキーボードやマウス等のポインティングデバイスを有しており、例えばユーザ等からのプログラムの実行等、各種操作信号を入力する。出力装置72は、本実施形態における処理を行うコンピュータ本体を操作するのに必要な各種ウィンドウやデータ等を表示するディスプレイを有し、CPU76が実行する制御プログラムの実行経過や結果等を表示する。
ここで、空調制御管理装置12のコンピュータ本体にインストールされる実行プログラムは、例えばUniversal Serial Bus(USB)メモリやCD−ROM等の可搬型の記録媒体79等により提供される。記録媒体79は、ドライブ装置73にセット可能であり、記録媒体79に含まれる実行プログラムが、記録媒体79からドライブ装置73を介して補助記憶装置74にインストールされる。
補助記憶装置74は、ハードディスク等のストレージ手段であり、本実施形態における実行プログラムやコンピュータに設けられた制御プログラム等を蓄積し、必要に応じて入出力を行う。
メモリ装置75は、CPU76により補助記憶装置74から読み出された実行プログラム等を格納する。なお、メモリ装置75は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなる。
CPU76は、OS(Operating System)等の制御プログラム、及びメモリ装置75に格納されている実行プログラムに基づいて、各種演算や各ハードウェア構成部とのデータの入出力等、コンピュータ全体の処理を制御することで、空調制御における各処理を実現する。なお、プログラム実行中に必要な各種情報等は、補助記憶装置74から取得し、実行結果等を格納してもよい。
ネットワーク接続装置77は、通信ネットワーク13を接続することにより、空調設備11に対して所定の計測手段からの測定データの取得要求を行い、空調設備11から所定の測定データを取得する。また、ネットワーク接続装置77は、空調設備11に対して空調制御信号を送信することができる。
また、ネットワーク接続装置77は、通信ネットワーク13を接続することにより、実行プログラムを通信ネットワーク73に接続されている外部装置等から取得したり、プログラムを実行することで得られた実行結果又は本実施形態に対応する実行プログラム自体を外部装置等に提供したりすることができる。
<空調制御処理例>
ここで、本実施形態における空調制御処理例について説明する。図9は、本実施形態における空調制御処理の一例を示すフローチャートである。図9において、空調制御処理は、まず初期状態の設定制御を行い(S01)、次に風量均一削減制御(第1の空調制御)を行う(S02)。また、空調制御処理は、風量削減調整処理(第2の空調制御)を行い(S03)、更に予め設定された試行条件に基づく試行制御処理(第3の空調制御)を行う(S04)。
次に、空調制御処理は、制御結果に対応する制御の種類を選定してその内容を実行させる(S05)。ここで、空調制御処理は、空調制御を終了するか否かを判断し(S06)、終了しない場合(S06において、NO)、S02に戻る。また、空調制御処理は、空調制御を終了する場合(S06において、YES)、処理を終了する。
本実施形態では、上述した第1〜第3の空調制御を行い、制御の種類を再帰的に遷移させながら調整していくことで全体的に消費電力が最低となる空調機24の風量バランスを制御し、空調制御システム10の全体的な消費電力の削減を実現する。
<S01:初期状態設定制御>
ここで、上述したS01の処理に対応する初期状態設定制御について、具体的に説明する。本実施形態における空調制御は、初期状態として、データセンター等における空調設備11内の全ての空調機24がある一定の風量を出力し、データセンター内が十分に冷却された状態(過冷却な状態)から開始する。ここで、本実施形態の空調制御は、全ての空調機24に対してのバランスを制御するものであるため、特定の空調機24を停止しておく場合は、その停止した空調機は使用しないものとして制御の対象に含めないものとする。
また、初期状態の後に風量を一律に下げていく制御を行うことから、初期状態においては、全ての空調機24が同一の出力風量であることが好ましい。また、前提条件として示したデータの計測及び演算を常時一定間隔(1分間隔程度)で行い、常時継続する。また、各計測値においては、データセンターの運用上、正常な値の範囲を定義し、計測値又は演算値が正常範囲外となった場合にデータセンターの管理者に対して注意喚起が行えるように閾値の判定を行う。これらの計測値や演算値は、画面生成手段により生成される監視画面等により監視員や管理者等に対して状況が容易に把握できるようにしておく。
<S02:風量均一削減制御(第1の空調制御)>
次に、上述したS02の処理に対する風量均一削減制御について、具体的に説明する。図10は、空調機における風量削減の具体例を示す図である。また、図11は、風量削減制御処理手順の一例を示すフローチャートである。また、図12は、風量削減制御結果の一例を示す図である。
本実施形態における風量均一削減制御では、図10に示すように、空調設備11内の全空調機24に対して均一に風量を下げる制御を行う。この制御は、上述したようにブロック43毎の空調機の消費電力とブロック43毎のIT機器の消費電力の推移を観測し、空調機24とIT機器の消費電力との合計が最低になる風量のバランスを検出するものである。具体的には、S02の処理では、各空調機24に対して均一に、予め設定した割合で風量を段階的に下げる。
ここで、図11において、風量削減制御処理は、現在のアイル42の風量を所定の割合(例えば、N%)で弱める制御を行い(S11)、その時点での電力・温度を計測する(S12)。次に、風量削減制御処理は、温度が予め設定された閾値未満か否かを判断し(S13)、所定未満である場合(S13において、YES)、過去の数分前(例えば、n分前、m分前(n<m))の電力値と、S12で得られた現在の電力値の差を検出する(S14)。
また、風量削減制御処理は、電力低下中か否かを判断する(S15)。具体的には、時間の経過に伴う電力差から低下中であるか否かを判断する。ここで、風量削減制御処理は、電力が低下中である場合(S15において、YES)、S11の処理に戻る。また、風量削減制御処理は、S13の処理において、温度が閾値未満である場合(S12において、NO)、各空調機24における風量を現在の量から予め設定された割合(例えば、M%)強める(S16)。次に、風量削減制御処理は、温度が予め設定された閾値未満であるか否かを判断し(S17)、閾値未満でない場合(S17において、NO)、S12の処理に戻る。
また、風量削減制御処理は、S15の処理において、電力が低下中でない場合(S15において、NO)、又はS17の処理において、温度が閾値未満の場合(S17において、YES)、風量削減制御処理を終了する。
S02の処理では、上述した制御により、時間(分)と消費電力(kW)との関係において図12(A)に示すような結果が得られたブロック43が検出された場合、そのブロック43における最適な風量バランスが求められる。そして、最初に消費電力の合計が最低になるブロック43が得られた場合には、一旦風量削減制御を停止し、次に示す風量削減調整に遷移する。
ただし、全ての場合に関して、このような結果が得られるわけではなく、場合によっては図12(B)に示すように風量を削減しても消費電力が最低になるポイントを検出することなく、温度が設定した閾値に達する場合もある。なお、図12(B)は、時間(分)と温度(℃)(例えば、ラック平均吸気温度)の関係を示している。この場合には、上述した温度の閾値監視も同時に行っていることから、例えば温度が設定した閾値を超えた場合に、風量削減制御を一旦停止し、逆に風量を増やす(若干風量を戻す)制御を行う。これは、風量を下げすぎたために、この後更に温度が上昇することが予想できるためである。
このとき、温度が閾値以下に安定するまでは、風量を増やす制御を行う。なお、この風量削減制御は、初期状態が過冷却な状態(風量が多すぎる状態)から始めるため、風量を削減し始めてすぐに消費電力が上昇することはなく、消費電力は減少方向に推移する(上述した図5の推移がこれを示している)。なお、上述したS02の処理は、上述した風量均一制御手段56における処理に相当する。
<S03:風量削減調整(第2の空調制御)>
次に、風量削減調整処理について、具体的に説明する。図13は、風量削減調整処理手順の一例を示すフローチャートである。また、図14は、ブロックレベルでの風量削減制御の具体例を示す図である。
図14に示す風量削減調整処理は、まず、まだ風量削減できるブロック43を特定し(S21)、風量削減できるブロック43の近くの空調機24の風量を更に下げる(S22)。なお、下げる量は予め設定されておけばよく、特に制限されるものではない。
次に、風量削減調整処理は、電力・温度を計測し(S23)、特定ブロック43の温度が予め設定された閾値未満であるか否かを判断する(S24)。ここで、特定ブロック43の温度が閾値未満である場合(S24において、YES)、上述したように、異なる複数の時間前(例えば、n分前、m分前(n<m))の電力値と、S23の処理で求めた電力値との差を検出し(S25)、特定ブロック43が電力低下中か否かを判断する(S26)。
風量削減調整処理は、特定ブロック43が電力低下中である場合(S26において、YES)、他のブロック43の温度が閾値未満か否かを判断する(S27)。風量削減調整処理は、他のブロック43の温度が閾値未満である場合(S27において、YES)、S22の処理に戻る。
また、風量削減調整処理は、他のブロック43の温度が閾値未満でない場合(S27において、NO)、温度が上昇したブロック43の近くの空調機24の風量を上げる(S28)。なお、どの空調機24に対してどの程度の風量を上げるかについては、例えば、温度の状況に基づいて、その対象の位置と温度から、空調機24の選定及び選定した空調機24に対する温度を設定する。
ここで、風量削減調整処理は、温度上昇したブロック43の温度が閾値未満か否かを判断し(S29)、温度上昇したブロック43の温度が閾値未満でない場合(S29において、NO)、風量を上げる制御回数がN回以上であるか否かを判断する(S30)。風量削減調整処理は、制御回数がN回以上である場合(S30において、YES)、試行制御処理に遷移する(S31)。また、風量削減調整処理は、制御回数がN回以上でない場合(S30において、NO)、S28の処理に戻る。
また、風量削減調整処理は、上述したS24の処理において、特定ブロック43の温度が閾値未満でない場合(S24において、NO)、S26の処理において、特定ブロック43が電力低下中でない場合(S26において、NO)、S29の処理において、温度が閾値未満である場合(S29において、YES)、又は、S31の処理が終了後、処理を終了する。
つまり、風量削減調整処理は、上述した風量均一制御処理において、消費電力が最低となるブロック43を検出した場合、上述したS02の処理に対応する風量削減均一制御を停止し、各ブロック43の消費電力の推移を見る。更に、風量削減調整処理は、風量削減を行って消費電力が下がる風量バランスを調整していく。
この風量削減調整の制御イメージは、図14(A)、(B)に示すように、初めにブロック43に近い空調機24に関して風量削減を行っていくもので、基本的には消費電力が下がる方向のブロック43に対して最も効果のあると思われるブロック近隣の空調機の風量削減を行う。この制御により、更に風量を削減することにより、消費電力を下げる。
具体的には、図14(A)、(B)は、空調機24とラック23の一部が表示されている。図14(A)、(B)に示す各ブロック43は、一例として、温度、電力、電力変化方向(上昇(↑)、変化なし(→)、下降(↓))を示している。図14(A)の例では、例えば電力が下降方向で、温度が閾値からa℃離れている場合に、ブロックレベルで風量削減制御を実施する。この場合、例えば図14(A)の(1)のブロックは、電力最低到達を判断したブロック43である。また、図14(A)の(2)のブロックは、電力はまだ削減できそうであるが、温度が閾値間際なので制御停止と判断したブロック43である。また、図14(A)の(3)、(4)のブロックは、まだ風量削減できるブロック43である。
また、図14(B)では、ブロックレベルの風量削減の結果、温度が上昇し始めたら風量削減を停止し、冷却が必要な付近の空調機24の風量を上げる例を示している。例えば、図14(B)に示す空調機24−2aの風量削減を実施した場合には、図14(B)の(1)のブロック43は、温度が閾値に達するため、空調機24−2aの風量削減を停止し、冷却が必要な空調機24−1aの風量を上げる制御を行う。なお、風量を上げると24−1b側が過冷却になるが、微小であるため無視してもよい。
本実施形態では、上述した風量均一削減制御と風量削減調整との制御により、できる限り多くのブロック43に対し、消費電力が最も小さくなり、かつ、ブロック内のラック21の温度が閾値を超えないような風量バランスを検出しながら制御を行う。本実施形態では、この制御により、例えば上述した課題5に示すように、消費電力を最低にするような制御を実現し、かつ、上述した課題2〜4に示すように、消費電力や風量のばらつきに対して効果的な調整制御を行う。ただし、消費電力が下がっていくブロック43の他に、消費電力が上がっていくブロック43や温度が閾値を超過するようなブロック43がある場合には、この風量削減調整は一旦停止し、次の試行制御処理を実行する。
また、例えば温度の閾値を超過するブロック43が発生する場合には、温度の閾値を超過したブロック43に関しての制御を逆向き(風量を増加させる)方向に制御する。また、本実施形態では、近隣のブロック43に対して過冷却なブロック43も発生する場合もある。なお、上述したような場合(温度が閾値に達したために風量増加させた場合)に関しては、消費電力の上昇が顕著にならなければ少々の過冷却は許し、温度を閾値以下になるように風量を増加させる制御を行うことができる。
なお、この制御は、基本的には上述した課題1に示すように、温度超過の事後で行うリカバリ制御である。このリカバリを行うことで、温度超過に対して若干遅れてではあるが風量増加による温度低下を実現し、事前に温度超過を起こさないような風量制御を行うよりは空調の消費電力を抑えた制御が実現できる。なお、上述したS03の処理は、上述した風量削減調整手段57における処理に相当する。
<S04:試行制御(第3の空調制御)>
次に、上述したS04に示す試行制御について、具体的に説明する。図15は、試行制御処理手順の一例を示すフローチャートである。また、図16は、空調バランス管理テーブルの一例を示す図である。なお、図15に示す処理手順は、一例として、エリア41単位での試行制御処理手順の一例を示している。
本実施形態では、空調機24の配置による理論的な空調バランス以外に、床下の状況や冷風の干渉等による不測な要因による冷風のバランス調整を試行制御処理において実行する。ただし、単純に定義された空調機24のバランスによる制御を行うだけでは、制御の結果、対象ブロック43の温度が改善されるかどうかわからない。そのため、試行制御処理では、一旦試行的に制御を数分間実行し、結果の良否を判断しながら対象ブロック43に対する影響の大きさを統計し、効果のある空調機24のバランスをフィードバックしながら空調バランスを調整していく試行を繰り返す制御を行う。なお、ここでは、上述したS03の制御で温度が高くなって過冷却にせざるを得なくなったブロック(制御対象ブロック)に対してそのブロックに最も影響の大きい単体の空調機24又は複数の空調機24の組み合わせで風量の調整を行っていくものとする。
図15の例に示す試行制御処理は、まず、制御対象のブロック(例えば、温度が高くなったブロック等)を決定し(S41)、そのブロックに対する空調機24の組み合わせ及び風量のパターンをテーブルより抽出する(S42)。具体的には、図16に示すような予め設定された空調バランス管理テーブルを用いて制御対象ブロックに対応するブロックのレコードを抽出する。なお、対象のレコードが複数ある場合には、複数抽出してもよく、また少なくとも1つを選択して抽出してもよい。また、少なくとも1つを選択する場合には、図16に示す空調バランス管理テーブルの優先度等に基づいて制御パターンのレコードが選択される。また、本実施形態では、優先度だけでなく、図16の空調バランス管理テーブルに含まれる有効数や無効数等に基づいてレコードを選択してもよい。更に、本実施形態では、例えば上述した風量削減調整制御によって得られた現状の空調バランスに最も近いものを抽出してもよい。
次に、試行制御処理は、現状の風量と抽出した制御パターンとの差分のある空調機24に対して風量削減制御を所定時間(例えば、n分)実行する(S43)。なお、S43の処理では、制御パターンが複数ある場合に、実行順序を上述した優先度(例えば、高い順)、有効数(例えば、多い順)、無効数(例えば、少ない順)等に基づいて決定し、決定した順序で実行していくことができる。
次に、試行制御処理は、制御対象ブロック43に有効な空調制御だったか否かを判断する(S44)。なお、有効であったか否かの判断は、予め設定された閾値等との比較において、温度や消費電力が所定の結果を得られたか否かにより判断する。具体的には、まずS43の処理において、現状の制御状態(風量のバランス)と最も近いバランス比で優先度が最も高いものを抽出して風量を下げる制御をn分間継続して行う。この場合、S44の処理では、このn分後の制御の結果、制御対象のブロックの温度に変化が少なく、周辺の過冷却なブロックに対して消費電力が下がる方向に変化する場合、この制御を有効と判断し、制御対象のブロックの温度が閾値以下の範囲で継続させる。なお、本実施形態においては、この例に限定されるものではない。
試行制御処理は、抽出した制御対象ブロック43に有効である場合(S44において、YES)、抽出した制御パターンのレコードの有効数を加算する(S45)。また、試行制御処理は、図16に示す空調バランス管理テーブル内で管理される優先度にk(1≦k<2)を乗算する(S46)。なお、S46の処理では、1以上の値を優先度に乗算することで、優先度を上げる処理を行っている。次に、試行制御処理は、制御継続の必要があるか否かを判断し(S47)、必要がある場合(S47において、YES)、S43の処理に戻る。
また、試行制御処理は、上述したS44の処理において、制御対象ブロックに有効でなかった場合(S44の処理において、NO)、抽出した制御パターンのレコードの無効数を加算する(S48)。また、試行制御処理は、図16に示す空調バランス管理テーブル内で管理される優先度にk(0<k<1)を乗算する(S49)。なお、S49の処理では、1未満の値を優先度に乗算することで、優先度を下げる処理を行っている。
次に、試行制御処理は、次の制御パターンがあるか否かを判断し(S50)、次の制御パターンがある場合(S50において、YES)、例えば次の優先度の制御パターンを選択し(S51)、S43の処理に戻る。具体的には、例えばS43の処理により、例えば制御対象ブロック43の温度の上昇度が大きく、周辺の過冷却なブロックの消費電力が下がらない場合(温度上昇度が大きい場合)、この制御を無効と判断する。この場合、本実施形態では、一旦制御前の風量バランスに戻した後、S51により次の優先度のパターンを選択し、風量を下げる制御をn分間継続して行うことになる。
また、試行制御処理は、S50の処理において、次の制御パターンがない場合(S50において、NO)、例えば手動制御するか否かを判断し(S52)、手動制御する場合(S52において、YES)、ユーザ等による手動制御に対応した空調制御を実施し、その制御パターンを図16に示す空調バランス管理テーブルに登録する(S54)。また、試行制御処理は、S47において、制御継続の必要がない場合(S57において、NO)、又はS54の処理が終了後、消費電力又は温度が閾値を超過するまで待機する(S55)。また、試行制御処理は、上述したS52の処理において、手動制御しない場合(S52において、YES)、全空調機24の風量を増加させ(S56)、上述した風量均一削減制御処理を実施させる(S57)。また、試行制御処理は、S55及びS57の処理後、試行制御処理を終了する。
なお、上述した試行制御処理では、まず事前にエリア内の各空調機24がどのブロック43に対して影響が大きいかを事前にシミュレーションしておき、このシミュレーション結果をテーブル化しておいてもよい。また、試行制御処理は、ある程度効果的な組み合わせをテーブルに登録しておいてもよい。具体的には、例えば事前に人手による経験的な観点から、ある程度効果的と思われるブロック43に対する空調機24の影響度の高い組み合わせを登録する。
このテーブルは、図16に示すような構造で、これは各ブロックに対する空調機の組み合わせによる風量の影響度を優先順位付けして管理したものである。図16に示す空調バランス管理テーブルは、一例として「制御対象ブロック」、「空調機1〜n(図16の例では、n=6)の各空調機間バランス比」、「優先度」、「有効数(統計)」、「無効数(統計)」等の各項目が設けられているが、これに限定されるものではない。
図16に示す空調バランス管理テーブルには、実際に空調制御を実施した際の制御結果(例えば、そのブロック43に対して有効であったか否か)等を記録する。試行制御処理は、空調バランス管理テーブルの情報から統計を取っておく。これにより、特定のブロック43が風量不足で温度超過となった場合、最も影響しそうな空調機24の組み合わせを効率的に選定し、風量を調整することができる。そして、試行制御処理は、風量を調整した結果、効果があるかどうかを記録し、その効果の有無(例えば、制御の結果、対象のブロック43の温度が低下したかどうかの結果)等を統計し、優先度を再計算してフィードバックすることにより、特定のブロック43に対してより影響の大きい空調機を選定することができる。
上述した試行制御処理は、適切な風量バランスが継続できるパターンを検出できるまで、抽出した制御パターンを順次試行していく。また、適切な風量バランスが継続できた場合には、この時点の風量バランスを継続させる。なお、抽出できるパターンの試行を行っても最適な風量バランスの検出ができなかった場合には、システムとしてアラームイベントを発生させたり、全空調機24に対して一律で風量を多くし、上述した風量均一削減制御を実施するか、ユーザ等による手動の風量バランス調整を行う。
なお、上述した手動による風量バランスの調整を行った場合には、その時点の風量バランスを新しいパターンとして空調バランス管理テーブルに登録し、次回の試行制御に使用できるようにフィードバックする。この試行制御では、初回の運用後やラック21の配置が変更されてしばらくの期間は、手動等による風量調整が度々発生することも考えられる。しかしながら、そのような場合でも、結果の風量バランスのパターンをフィードバックすることから、制御対象のブロック43に対して有効な制御パターンは洗練され、無効な制御パターンは衰退してくることになる。なお、上述したS04の処理は、上述した試行制御手段58における処理に相当する。
<S05、S06:制御管理処理>
次に、上述したS05、S06における制御管理処理について具体的に説明する。上述したS02〜S04の制御は、全ブロック43に関して消費電力が最低となり、かつ、温度が閾値を超過しない範囲で落ち着くと、その状態(風量のバランス)を継続する。しかしながら、ラックの追加設置・撤去・移動等によりデータセンター内の状況が変わった場合、S02の処理に戻り、再度消費電力の推移と風量バランスとを追従させて変更しなければならない。なお、現状の状況が落ち着いている状況の場合に、そこからの制御状態としては、例えばS03の処理における調整制御の段階に推移し、再度調整制御及び試行制御を行ってもよい。これにより、本実施形態では、できる限り過冷却な状況を発生させずにシステム全体としての消費電力を削減させる制御を継続させることができる。
本実施形態では、上述したように、制御の種類を再帰的に遷移させながら調整していくことで、例えば全体的に消費電力が最低となる空調機の風量バランスを調整していくことができる。したがって、例えば上述した課題5に対応する全体的な消費電力の削減を実現することができる。なお、上述したS05、S06の処理は、上述した制御管理手段59における処理に相当する。
<画面生成手段60により得られる画面生成例>
次に、上述した画面生成手段60により得られる画面生成例について、図を用いて説明する。ここで、図17〜図19は、画面生成手段により生成される画面例(その1〜その3)を示す図である。なお、以下の画面例では、例えば本実施形態に係る空調制御に関する画面の一例を示している。
図17には、室内環境表示画面80が示されている。室内環境とは、例えば上述したデータセンター等の空調施設11内の環境である。ここで、領域81は、複数の空調施設11のうち、何れかの空調施設11を選択(例えば、画面上をクリック)することで、本画面(室内環境)を表示する。また、室内環境表示画面80では、インフォメーションボタン82(図17における「i」)を選択することで、画面上の所定のエリア(例えば、右下部分)に、室内環境表示画面80に表示されている内容の説明等が表示される。
また、室内環境表示画面80では、領域83に示すように、例えば所定のアイルにおける空調機の内容等を把握することができる。また、室内環境表示画面80は、「電力・風力グラフ」ボタン84を選択すると、電力・風力グラフ等の画面(例えば、室内電力風力表示画面)に遷移させることができる。また、室内環境表示画面80は、領域85に示すラック等を選択することで、各ラックの詳細情報を表示することができる。なお、詳細情報としては、ラック毎ではなく、例えば選択した領域に対応するエリア41やアイル42、ブロック43の詳細情報を表示させることもできる。
また、図18は、室内電力風力表示画面90を示している。図18の領域91には、各アイルの供給風量(例えば、グリル・局所)と必要風量(例えば、ラック吸気)との大小関係を示す。また、領域92は、各アイルの消費電力を示す。また、室内電力風力表示画面90では、局所空調増設が必要となる基準値等を表示することができる。なお、詳細な基準値は、運用面から修正することが可能である。更に、室内電力風力表示画面90では、「ルームに戻る」ボタン等により、室内環境表示画面等に戻る。
また、図19は、アイル内環境表示画面100を示している。図19の領域101は、ラック毎の排気風量・排気温度を示し、半円サイズが風量を示し、半円サイズが大きい場合には風量の大きい。また、領域102は、ラック毎の消費電力量と、局所空調導入基準(例えば、4kw)を示す。また、領域103は、グリル吹き出し風量等を線幅で示している。また、領域104は、ラック上部、中部、下部における各風量センサーから得られる風向や風量の強さを示している。
上述したような画面を生成してユーザ(管理者)等に提供することで、ユーザは空調制御の状況を容易に確認することができ、適切な管理を実現できる。なお、本実施形態において、画面生成手段60は、上述した画面以外の画面も生成することができ、例えば空調制御を行うための各種設定画面やエラー発生時等に表示されるエラー表示用の画像を生成することもできる。
上述した実施形態によれば、空調施設内における風量バランスを適切に制御することで省エネ化を実現させることができる。これにより、例えば各ブロックの消費電力と空調機の風量バランス及び温度の関係を分析できるデータを得ることができ、ブロックの特性やラックの特性を知ることができる。また、このデータを分析することにより、更に空調効率が向上するラックの配置の検討に生かすことができる。
例えば、本実施形態では、冷却した方が消費電力を抑えられるラックと冷却しない方が消費電力を抑えられるラックをそれぞれ集約して別エリアに再配置することにより、冷却量を多くするエリアと冷却量を極力抑えるエリアとして固定の空調機の風量バランスを明確に分割することで冷却効率の向上を図ることができる。また、本実施形態では、各空調機のバランスとブロックへ影響の関係の実態(シミュレーションでは求められない実態)を分析できるデータ得ることができ、空調効率がよくなるラックの配置の検討に生かすことができる。更に、本実施形態では、全体的な消費電力の削減の実現により、PUEの削減を実現できる。また、本実施形態では、PUEの削減によりデータセンターとしての価値の向上とサービス価格を安価にすることができる。
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、上記変形例以外にも種々の変形及び変更が可能である。
なお、以上の実施例に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
配列された複数の機器の温度を制御する空調施設と、
該空調施設を複数の領域に分割し、分割した各領域に含まれる機器の消費電力と前記領域を冷却する空調の消費電力との関係と、前記領域毎の温度に応じた必要風量を発生させるための空調機の出力風量とを演算する演算手段と、前記演算手段により得られる演算結果から、前記領域に含まれる機器の温度が所定の温度範囲内となるように、前記空調施設全体の消費電力に基づく空調制御を行う制御管理手段とを有する空調制御管理装置とを含む空調制御システム。
(付記2)
前記制御管理手段は、
前記空調機の消費電力と、前記機器の消費電力とに基づいて空調制御を行うことを特徴とする付記1に記載の空調制御システム。
(付記3)
前記空調施設に含まれる複数の空調機の風量を均一に下げる第1の風量制御手段と、
前記複数の空調機から選択された所定数の空調機の風量を下げる第2の風量制御手段と、
予め設定された条件に基づいて空調の試行制御を行う第3の風量制御手段とを有することを特徴とする付記1又は2に記載の空調制御システム。
(付記4)
前記制御管理手段は、
前記第1の風量制御手段、前記第2の風量制御手段、及び前記第3の風量制御手段を用いて、風量制御の種類を再帰的に遷移させて前記空調施設全体の消費電力を調整することを特徴とする付記3に記載の空調制御システム。
(付記5)
前記第2の風量制御手段は、風量制御を予め設定された回数以上行わないことを特徴とする付記3又は4に記載の空調制御システム。
(付記6)
前記空調制御の経過又は結果を表示する画面を生成する画面生成手段を有することを特徴とする付記1乃至5の何れか1項に記載の空調制御システム。
(付記7)
前記領域は、前記空調施設に含まれる1又は複数のエリア、該エリアに含まれる1又は複数のアイル、該アイルに含まれるブロックのうち、少なくとも1つであることを特徴とする付記1乃至6の何れか1項に記載の空調制御システム。
(付記8)
配列された複数の機器の温度を制御する空調施設を複数の領域に分割し、分割した各領域に含まれる機器の消費電力と前記領域を冷却する空調の消費電力との関係と、前記領域毎の温度に応じた必要風量を発生させるための空調機の出力風量とを演算し、演算された結果から、前記領域に含まれる機器の温度が所定の温度範囲内となるように、前記空調施設全体の消費電力に基づく空調制御を行う、処理を有することを特徴とする空調制御方法。