JP5337078B2 - エチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物、該組成物からなるフィルム、該フィルムを備える包装材、及び、該組成物の製造方法 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物、該組成物からなるフィルム、該フィルムを備える包装材、及び、該組成物の製造方法 Download PDF

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本発明は、エチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物、該組成物からなるフィルム、該フィルムを備える包装材、及び、該組成物の製造方法に関する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体は、例えば、包装用フィルムの材料として用いられている(特許文献1)。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、透明性及びガスバリア性、特に酸素に対するガスバリア性において優れており、被包装物の酸化劣化等の防止に有効である。
特開平6−155677号公報
しかしながら、特許文献1が開示するように、エチレン−ビニルアルコール共重合体のフィルムは吸湿性を有する。このため一般的に、機能性フィルム全体として耐湿性を持たせるために、エチレン−ビニルアルコール共重合体のフィルムの両面は、耐湿性を有するポリオレフィン等のフィルムによって覆われる。
このような状況下で、エチレン−ビニルアルコール共重合体のガスバリア性を維持しながら吸湿性を改善し、耐湿性を高めることに成功すれば、エチレン−ビニルアルコール共重合体の有用性が更に高まる。
例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体のフィルムに耐湿性が付与されれば、種々の機能性フィルムを設計する際に、エチレン−ビニルアルコール共重合体のフィルムを必ずしも他の耐湿性のフィルムと重ね合わせる必要がなくなり、設計の自由度が高くなるとともに製造コストの低減が図られる。
本発明は上述した事情に基づいてなされ、その目的とするところは、酸素ガスバリア性に優れ、且つ、耐湿性にも優れたエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物、該組成物からなるフィルム、該フィルムを備える包装材、及び、該組成物の製造方法を提供することにある。
上述した目的を達成するため、本発明の一態様によれば、85.0質量%以上94.0質量%以下のエチレン−ビニルアルコール共重合体と、6.0質量%以上15.0質量%以下の酸変性ポリプロピレンとの混合物からなり、JIS K7209に規定される24時間の浸漬時間での吸水率が11.0%以下であることを特徴とするエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物が提供される(請求項1)。
請求項1のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物は、所定濃度のエチレン−ビニルアルコール共重合体と酸変性ポリプロピレンとの混合物をポリマーアロイ化したものであり、24時間の浸漬時間で11.0%以下の吸水率を有する。このエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体と酸変性ポリプロピレンの単純な混合物に比べて、エチレン−ビニルアルコール共重合体の優れた酸素ガスバリア性を維持しながら、耐湿性においても優れている。
好ましくは、前記エチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物は、JIS K7126−2に規定される等圧法で、5.0×10−15mol/(m・s・Pa)以下の酸素ガス透過率を有する(請求項2)。
請求項2のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物は、JIS K7126−2に規定される等圧法での酸素ガス透過率が5.0×10−15mol/(m・s・Pa)以下であり、酸素ガスバリア性において優れている。
好ましくは、前記エチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物は、比エネルギーが0.8MJ/kg以上となるように二軸押出機で前記混合物を混練して得られる(請求項3)。
請求項3のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物は、比エネルギーが0.8MJ/kg以上となるように二軸押出機で混合物を混練することで、11.0%以下の吸水率を確実に有する。
本発明の他の態様によれば請求項1乃至3の何れか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物からなるフィルムが提供される(請求項4)。
請求項4のフィルムは、11.0%以下の吸水率を有するエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物からなり、エチレン−ビニルアルコール共重合体の優れた酸素ガスバリア性を維持しながら、耐湿性においても優れている。
本発明の更に他の態様によれば、請求項4に記載のフィルムを備えることを特徴とする包装材が提供される(請求項5)。
請求項5の包装材は、酸素ガスバリア性及び耐湿性の双方において優れているフィルムを備えているので、被包装物が水分活性を有していてもよい。
本発明の他の態様によれば、85.0質量%以上94.0質量%以下のエチレン−ビニルアルコール共重合体と、6.0質量%以上15.0質量%以下の酸変性ポリプロピレンとの混合物を、比エネルギーが0.8MJ/kg以上となるように二軸押出機で混練する工程を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物の製造方法が提供される(請求項6)。
請求項6のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物の製造方法によれば、請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物が確実に製造される。
本発明によれば、酸素ガスバリア性に優れ、且つ、耐湿性にも優れたエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物、該組成物からなるフィルム、該フィルムを備える包装材、及び、該組成物の製造方法が提供される。
エチレン−ビニルアルコール共重合体と酸変性ポリプロピレンの混合物における、酸変性ポリプロピレンの濃度と吸水率と剪断力との関係を示すグラフである。 エチレン−ビニルアルコール共重合体と酸変性ポリプロピレンの混合物における、混練時の比エネルギーと吸水率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物(以下、EVOH系ポリマーアロイ組成物ともいう)について説明する。
EVOH系ポリマーアロイ組成物は、85.0質量%以上94.0質量%以下のエチレン−ビニルアルコール共重合体と、6質量%以上15.0質量%以下の酸変性ポリプロピレンとを含む混合物である。EVOH系ポリマーアロイ組成物は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは11質量%以上の酸変性ポリプロピレンを含む。
ただし、EVOH系ポリマーアロイ組成物は、JIS K7209:2000若しくはISO62:1999に規定される24時間の吸水率が11.0%以下になるように前記組成の混合物を溶融混合して得られる。つまり、EVOH系ポリマーアロイ組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体と酸変性ポリプロピレンの単なる混合物ではなく、新規な物性を示すエチレン−ビニルアルコール系樹脂組成物である。
そして、EVOH系ポリマーアロイ組成物は、好ましくは、JIS K7126−2:2006、ISO15105−2:2003又はASTM D3985−81に規定される等圧法で、5.0×10−15mol/(m・s・Pa)以下の酸素ガス透過率を有する。
なお、5.0×10−15mol/(m・s・Pa)は、1.0cc/(m・day・atm)に相当する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−ビニルアルコール共重合体の総物質量を1としたとき、モル分率にて、0.38以下のエチレン成分を含むのが好ましく、換言すれば、0.62以上のビニルアルコール成分を含む。エチレン成分のモル分率が0.38以下の場合、EVOH系ポリマーアロイ組成物の酸素ガス透過率が確実に5.0×10−15mol/(m・s・Pa)以下になる。
酸変性ポリプロピレンは、原料としてのポリプロピレンを不飽和カルボン酸類によって変性させたものである。すなわち、酸変性ポリプロピレンは、ポリプロピレンに不飽和カルボン酸類を重合させたものであり、ポリプロピレンにカルボキシル基若しくはカルボキシル基から水素が抜けたもの(COO)を付与したものである。
酸変性ポリプロピレンの原料としての不飽和カルボン酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及び、これらの無水物又は金属塩等から選択された1種を用いることができ、好ましくは、無水マレイン酸が用いられる。
以下、上述したEVOH系ポリマーアロイ組成物の製造方法について説明する。EVOH系ポリマーアロイ組成物は新規な組成物であり、以下のリアクティブプロセッシング法によって製造することができる。
原料としてのエチレン−ビニルアルコール共重合体と酸変性ポリプロピレンは、所定の濃度となるように、溶融混合される。溶融混合には、好ましくは、二軸押出機が用いられる。溶融混合により得られたポリマーアロイは、例えばTダイ成形法やインフレーション成形法等を用いてフィルム状に成形され、これにより、EVOH系ポリマーアロイ組成物からなるフィルムが得られる。
溶融混合時には、混合物をポリマーアロイ化するために、高い剪断力が加えられる。具体的には、比エネルギーが0.8MJ/kg(=0.8×10J/kg)以上になるように、混合物が溶融混合させられる。
比エネルギーは、二軸押出機の場合、二軸押出機のスクリューを駆動するモータで消費されるエネルギーXを当該エネルギーXで溶融混合される混合物の質量Yで割って得られる値(X/Y)である。なお、エネルギーXは、モータの消費電力に力率及び溶融混合時間を掛けて得られる値である。
ここで、溶融混合物に対して高い剪断力を確実に加えるために、二軸押出機のスクリューとしては、高剪断タイプが用いられる。具体的には、スクリューとして、フライトスクリュー、パイナップルスクリュー、及び、ニーディングディスクを適当に組み合わせたものが用いられる。
なお、二軸押出機のL(軸長)/D(軸径)は、例えば15以上である。また、スクリューの回転速度は、例えば10rpm以上2000rpm以下であり、溶融混合時の混合物の温度は、例えば190℃以上250℃以下であり、混練時間は、例えば1分以上30分以下である。
上述したEVOH系ポリマーアロイ組成物は、例えば、フィルム状に成形して酸素ガスバリア性及び耐湿性を有する包装材として用いることができる。
この包装材は、単独で用いる場合、液体以外の固体若しくは気体の被包装物に適し、例えば、水分活性(湿度)を有する食品、薬剤、医薬品、及び、化粧品、並びに、酸素を嫌う電気製品及び電子部品等の包装に適する。
また、上述したEVOH系ポリマーアロイ組成物のフィルムに更に、アルミニウムや他の樹脂からなる別の層を設けて、積層体からなる包装材として用いてもよい。この場合、成形されたフィルムに後から別の層を貼り付けてもよく、また、共押出により一体の積層体を製造してもよい。
なお、上述したEVOH系ポリマーアロイ組成物からなるフィルムを単独又は積層体の一部として含む包装材は、液体やゲル状の内容物を入れる袋の材料にも適用可能であり、内容物の酸化を防止することができる。
上述した一実施形態のEVOH系ポリマーアロイ組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体と酸変性ポリプロピレンとの混合物をポリマーアロイ化したものであり、24時間の浸漬時間で11.0%以下の吸水率を有する。このEVOH系ポリマーアロイ組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体の優れた酸素ガスバリア性を維持しながら、エチレン−ビニルアルコール共重合体と酸変性ポリプロピレンの単純な混合物に比べて、耐湿性において優れている。
なお、このEVOH系ポリマーアロイ組成物は、水への耐性が高いことから、アルコール等の極性溶媒に対しても高い耐性を有する。
具体的には、上述した一実施形態のEVOH系ポリマーアロイ組成物は、JIS K7126−2に規定される等圧法で、5.0×10−15mol/(m・s・Pa)以下の酸素ガス透過率を有し、酸素ガスバリア性において優れている。
更に、上述した一実施形態のEVOH系ポリマーアロイ組成物は、比エネルギーが0.8MJ/kg以上となるように二軸押出機で混合物を混練することで、11.0%以下の吸水率を確実に有する。
一方、上述した一実施形態のEVOH系ポリマーアロイ組成物からなるフィルムは、EVOH系ポリマーアロイ組成物が24時間の浸漬時間で11.0%以下の吸水率を有するため、酸素ガスバリア性及び耐湿性において優れている。そして、このフィルムを備える包装材は、フィルムが酸素ガスバリア性及び耐湿性の双方において優れているので、被包装物が水分活性を有していてもよく、用途が広い。
以下、EVOH系ポリマーアロイ組成物の実施例について説明する。
1.フィルムの作製
原料として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(株式会社クラレ製、エバール(登録商標)F104B)と酸変性ポリプロピレン(日本製紙ケミカル株式会社製、アウローレン(登録商標)150S)とを用意した。エチレン−ビニルアルコール共重合体におけるエチレンのモル分率は0.32である。
これらの原料を表1及び表2に示した組成になるようにそれぞれ配合した。なお、表1及び表2では、エチレン−ビニルアルコール共重合体をEVOHと、酸変性ポリプロピレンを酸変性PPとそれぞれ表示した。
そして、総質量で1kgの配合物を二軸押出機(株式会社東洋精機製作所製、ラボプラストミル)で溶融混合した。そして、二軸押出機に付設されたTダイで、溶融混合物から実施例1〜11及び比較例1〜11のフィルムをそれぞれ作製した。各フィルムの厚さは0.04mmであった。
溶融混合時の比エネルギーは表1及び表2に示した通りであり、表1では、比エネルギーが約0.15MJ/kgのグループを低剪断とし、比エネルギーが約2.5MJ/kgのグループを高剪断と表示した。
二軸押出機のL/Dは30、回転速度は100rpm、溶融混合物の温度は220℃、そして、混練時間は10分であった。
スクリューには、フライトスクリュー(株式会社東洋精機製作所製)、パイナップルスクリュー(株式会社東洋精機製作所製)、及び、ニーディングディスク(株式会社東洋精機製作所製)を組み合わせたものを用いた。
なお、比エネルギーが約0.15MJ/kgの低剪断条件では、酸変性ポリプロピレンの質量濃度が11%以上になると、エチレン−ビニルアルコール共重合体と酸変性ポリプロピレンが相分離してしまい、フィルムを作製することができなかった。また、比エネルギーが約2.5MJ/kgの高剪断条件であっても、酸変性ポリプロピレンの質量濃度が16%以上になると、エチレン−ビニルアルコール共重合体と酸変性ポリプロピレンが相分離してしまい、フィルムを作製することができなかった。
2.フィルムの評価
2−1.吸水率の測定
実施例1〜11及び比較例1〜11の各フィルムについて、JIS K7209:2000(ISO62:1999)に規定される吸水率を以下の条件にて測定した。
(1)吸水率用試験片の準備、乾燥、及び、乾燥質量の計量
各フィルムから、それぞれ大きさが100mm×100mmで厚さが0.04mmの試験片を3枚ずつ切り出した。そして、切り出した試験片を強制通風式の50±2℃のオーブン内で24時間乾燥させた。この後、乾燥させた試験片をデシケータに入れて室温まで冷却した後、冷却された試験片の質量(乾燥質量m1)の計量を行った。
(2)浸漬、浸漬後質量の測定、及び、吸水率の計算
乾燥質量m1を計量した試験片を、蒸留水に代えて、温度が23±2℃の脱イオン水に24時間浸漬した。脱イオン水の比抵抗は、30kΩ・mであった。
浸漬後、脱イオン水から取り出して1分以内に試験片の表面の水分を拭き取って質量(浸漬後質量m2)の計量を行った。そして、浸漬後質量m2と乾燥質量m1との差(m2−m1)を乾燥質量m1で除して得た値の百分率((m2−m1)/m1×100)を吸水率として求めた。求めた吸水率を表1及び表2に示すとともに、図1及び図2のグラフに示す。なお、吸水率は、3枚の試験片の算術平均値である。
2−2.酸素ガス透過率の測定
実施例3,5,6,8〜11及び比較例1,4,6〜11の各フィルムについて、JIS K7126−2:2006(ISO15105−2:2003)に規定される酸素ガス透過率を以下の条件にて測定した。
(1)酸素ガス透過率用試験片の準備、及び、乾燥
各フィルムから、それぞれ大きさが108mm×108mmで厚さが0.04mmの試験片を3枚ずつ切り出した。そして、切り出した試験片を23±2℃の温度のデシケータ内にて48時間乾燥させた。
(2)酸素ガス透過率の測定
酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製 OX−TRAN 2/21)を用いて、温度23℃の相対湿度0%の乾燥環境で酸素ガス透過率を測定した。測定結果を表1及び表2に示す。なお、酸素ガス透過率は、3枚の試験片の算術平均値である。
試験ガスとしては、酸素濃度が99.9%の乾燥ガス(酸素ガス)を用いた。キャリアガスとしては、酸素を含まず1%の水素を含む乾燥窒素ガスを用いた。有効透過面積は50cmであり、試験ガスの流量は10ml/minであり、キャリアガスの流量は10ml/minであった。
2−3.評価結果
2−3−1
表1、表2、図1及び図2から以下のことが明らかである。
(1)エチレン−ビニルアルコール共重合体の質量濃度が85%以上94%以下であり、混練時の比エネルギーが0.8MJ/kg以上である実施例1〜8では、吸水率が11.0%以下である。特に、酸変性ポリプロピレンの質量濃度が10%以上である実施例3〜8では、吸水率が9%以下である。
(2)これに対し、エチレン−ビニルアルコール共重合体の質量濃度が94%を超え、混練時の比エネルギーが0.8MJ/kg以上である比較例1〜3では、吸水率が11.0%超である。
(3)また、混練時の比エネルギーが0.8MJ/kg以下である比較例4〜9では、エチレン−ビニルアルコール共重合体の質量濃度に関係なく、吸水率が11.0%超である。
(4)上記(1)〜(3)より、エチレン−ビニルアルコール共重合体の質量濃度が85%以上94%以下であり、混練時の剪断力が高ければ、エチレン-ビニルアルコール共重合体と酸変性ポリプロピレンが新規なポリマーアロイ組成物を構成することがわかる。
(5)一方、比較例8及び9では、吸水率が11.0%近くまで低下しているが、酸素ガス透過率が1.0×10−12(mol/(m・s・Pa)を超えており、エチレン−ビニルアルコール共重合体の優れた酸素ガスバリア性が失われている。
(6)これに対し、実施例2及び3は、比較例8及び9と比べ、組成が同じであるが、吸水率が小さく、更に、酸素ガス透過率は5.0×10−15(mol/(m・s・Pa)以下であり顕著に小さい。
(7)また、低剪断条件では、酸変性ポリプロピレンの濃度が10%を超えるフィルムを作製できなかったが、高剪断条件では、酸変性ポリプロピレンの濃度が15%までフィルムを作製することができた。つまり、高剪断条件では、低剪断条件では相分離する混合物を、相分離することなく溶融混合させ、フィルムを作製することができた。
(8)上記(5)〜(7)からも、エチレン−ビニルアルコール共重合体の質量濃度が85%以上94%以下であり、混練時の剪断力が高ければ、エチレン-ビニルアルコール共重合体と酸変性ポリプロピレンが新規なポリマーアロイ組成物を構成することがわかる。
(9)更に図2から、吸水率は、比エネルギーが0.8MJ/kg以上になると臨界的に変化することがわかる。
Figure 0005337078
Figure 0005337078
本発明は、上述した実施形態及び実施例に限定されることはなく、これらに更に変更を加えた実施形態及び実施例も含む。例えば、上述したEVOH系ポリマーアロイ組成物に対し、上述した成分の他に、分散剤、着色剤又は増量剤等の各種の添加剤を更に加えてもよい。ただし、優れた酸素ガスバリア性及び耐湿性を確保するためには、EVOH系ポリマーアロイ組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体、酸変性ポリプロピレン及び不可避的不純物以外の他の成分を含まないのが好ましい。
最後に、本発明のEVOH系ポリマーアロイ組成物の用途は、包装材に限定されることはなく、種々の製品に適用可能であるのは勿論である。

Claims (6)

  1. 85.0質量%以上94.0質量%以下のエチレン−ビニルアルコール共重合体と、
    6.0質量%以上15.0質量%以下の酸変性ポリプロピレンとの混合物からなり、
    JIS K7209に規定される24時間の浸漬時間での吸水率が11.0%以下である
    ことを特徴とするエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物。
  2. JIS K7126−2に規定される等圧法での酸素ガス透過率が5.0×10−15mol/(m・s・Pa)以下であることを特徴とする請求項1に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物。
  3. 比エネルギーが0.8MJ/kg以上となるように二軸押出機で前記混合物を混練して得られたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物からなるフィルム。
  5. 請求項4に記載のフィルムを備えることを特徴とする包装材。
  6. 85.0質量%以上94.0質量%以下のエチレン−ビニルアルコール共重合体と、6.0質量%以上15.0質量%以下の酸変性ポリプロピレンとの混合物を、比エネルギーが0.8MJ/kg以上となるように二軸押出機で混練する工程を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物の製造方法。
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