JP5337078B2 - エチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物、該組成物からなるフィルム、該フィルムを備える包装材、及び、該組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
請求項2のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物は、JIS K7126−2に規定される等圧法での酸素ガス透過率が5.0×10−15mol/(m2・s・Pa)以下であり、酸素ガスバリア性において優れている。
請求項3のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物は、比エネルギーが0.8MJ/kg以上となるように二軸押出機で混合物を混練することで、11.0%以下の吸水率を確実に有する。
請求項5の包装材は、酸素ガスバリア性及び耐湿性の双方において優れているフィルムを備えているので、被包装物が水分活性を有していてもよい。
請求項6のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物の製造方法によれば、請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物が確実に製造される。
EVOH系ポリマーアロイ組成物は、85.0質量%以上94.0質量%以下のエチレン−ビニルアルコール共重合体と、6質量%以上15.0質量%以下の酸変性ポリプロピレンとを含む混合物である。EVOH系ポリマーアロイ組成物は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは11質量%以上の酸変性ポリプロピレンを含む。
そして、EVOH系ポリマーアロイ組成物は、好ましくは、JIS K7126−2:2006、ISO15105−2:2003又はASTM D3985−81に規定される等圧法で、5.0×10−15mol/(m2・s・Pa)以下の酸素ガス透過率を有する。
なお、5.0×10−15mol/(m2・s・Pa)は、1.0cc/(m2・day・atm)に相当する。
原料としてのエチレン−ビニルアルコール共重合体と酸変性ポリプロピレンは、所定の濃度となるように、溶融混合される。溶融混合には、好ましくは、二軸押出機が用いられる。溶融混合により得られたポリマーアロイは、例えばTダイ成形法やインフレーション成形法等を用いてフィルム状に成形され、これにより、EVOH系ポリマーアロイ組成物からなるフィルムが得られる。
比エネルギーは、二軸押出機の場合、二軸押出機のスクリューを駆動するモータで消費されるエネルギーXを当該エネルギーXで溶融混合される混合物の質量Yで割って得られる値(X/Y)である。なお、エネルギーXは、モータの消費電力に力率及び溶融混合時間を掛けて得られる値である。
この包装材は、単独で用いる場合、液体以外の固体若しくは気体の被包装物に適し、例えば、水分活性(湿度)を有する食品、薬剤、医薬品、及び、化粧品、並びに、酸素を嫌う電気製品及び電子部品等の包装に適する。
なお、上述したEVOH系ポリマーアロイ組成物からなるフィルムを単独又は積層体の一部として含む包装材は、液体やゲル状の内容物を入れる袋の材料にも適用可能であり、内容物の酸化を防止することができる。
なお、このEVOH系ポリマーアロイ組成物は、水への耐性が高いことから、アルコール等の極性溶媒に対しても高い耐性を有する。
以下、EVOH系ポリマーアロイ組成物の実施例について説明する。
原料として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(株式会社クラレ製、エバール(登録商標)F104B)と酸変性ポリプロピレン(日本製紙ケミカル株式会社製、アウローレン(登録商標)150S)とを用意した。エチレン−ビニルアルコール共重合体におけるエチレンのモル分率は0.32である。
これらの原料を表1及び表2に示した組成になるようにそれぞれ配合した。なお、表1及び表2では、エチレン−ビニルアルコール共重合体をEVOHと、酸変性ポリプロピレンを酸変性PPとそれぞれ表示した。
スクリューには、フライトスクリュー(株式会社東洋精機製作所製)、パイナップルスクリュー(株式会社東洋精機製作所製)、及び、ニーディングディスク(株式会社東洋精機製作所製)を組み合わせたものを用いた。
2−1.吸水率の測定
実施例1〜11及び比較例1〜11の各フィルムについて、JIS K7209:2000(ISO62:1999)に規定される吸水率を以下の条件にて測定した。
(1)吸水率用試験片の準備、乾燥、及び、乾燥質量の計量
各フィルムから、それぞれ大きさが100mm×100mmで厚さが0.04mmの試験片を3枚ずつ切り出した。そして、切り出した試験片を強制通風式の50±2℃のオーブン内で24時間乾燥させた。この後、乾燥させた試験片をデシケータに入れて室温まで冷却した後、冷却された試験片の質量(乾燥質量m1)の計量を行った。
乾燥質量m1を計量した試験片を、蒸留水に代えて、温度が23±2℃の脱イオン水に24時間浸漬した。脱イオン水の比抵抗は、30kΩ・mであった。
浸漬後、脱イオン水から取り出して1分以内に試験片の表面の水分を拭き取って質量(浸漬後質量m2)の計量を行った。そして、浸漬後質量m2と乾燥質量m1との差(m2−m1)を乾燥質量m1で除して得た値の百分率((m2−m1)/m1×100)を吸水率として求めた。求めた吸水率を表1及び表2に示すとともに、図1及び図2のグラフに示す。なお、吸水率は、3枚の試験片の算術平均値である。
実施例3,5,6,8〜11及び比較例1,4,6〜11の各フィルムについて、JIS K7126−2:2006(ISO15105−2:2003)に規定される酸素ガス透過率を以下の条件にて測定した。
(1)酸素ガス透過率用試験片の準備、及び、乾燥
各フィルムから、それぞれ大きさが108mm×108mmで厚さが0.04mmの試験片を3枚ずつ切り出した。そして、切り出した試験片を23±2℃の温度のデシケータ内にて48時間乾燥させた。
酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製 OX−TRAN 2/21)を用いて、温度23℃の相対湿度0%の乾燥環境で酸素ガス透過率を測定した。測定結果を表1及び表2に示す。なお、酸素ガス透過率は、3枚の試験片の算術平均値である。
試験ガスとしては、酸素濃度が99.9%の乾燥ガス(酸素ガス)を用いた。キャリアガスとしては、酸素を含まず1%の水素を含む乾燥窒素ガスを用いた。有効透過面積は50cm2であり、試験ガスの流量は10ml/minであり、キャリアガスの流量は10ml/minであった。
2−3−1
表1、表2、図1及び図2から以下のことが明らかである。
(1)エチレン−ビニルアルコール共重合体の質量濃度が85%以上94%以下であり、混練時の比エネルギーが0.8MJ/kg以上である実施例1〜8では、吸水率が11.0%以下である。特に、酸変性ポリプロピレンの質量濃度が10%以上である実施例3〜8では、吸水率が9%以下である。
(3)また、混練時の比エネルギーが0.8MJ/kg以下である比較例4〜9では、エチレン−ビニルアルコール共重合体の質量濃度に関係なく、吸水率が11.0%超である。
(5)一方、比較例8及び9では、吸水率が11.0%近くまで低下しているが、酸素ガス透過率が1.0×10−12(mol/(m2・s・Pa)を超えており、エチレン−ビニルアルコール共重合体の優れた酸素ガスバリア性が失われている。
(7)また、低剪断条件では、酸変性ポリプロピレンの濃度が10%を超えるフィルムを作製できなかったが、高剪断条件では、酸変性ポリプロピレンの濃度が15%までフィルムを作製することができた。つまり、高剪断条件では、低剪断条件では相分離する混合物を、相分離することなく溶融混合させ、フィルムを作製することができた。
(9)更に図2から、吸水率は、比エネルギーが0.8MJ/kg以上になると臨界的に変化することがわかる。
Claims (6)
- 85.0質量%以上94.0質量%以下のエチレン−ビニルアルコール共重合体と、
6.0質量%以上15.0質量%以下の酸変性ポリプロピレンとの混合物からなり、
JIS K7209に規定される24時間の浸漬時間での吸水率が11.0%以下である
ことを特徴とするエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物。 - JIS K7126−2に規定される等圧法での酸素ガス透過率が5.0×10−15mol/(m2・s・Pa)以下であることを特徴とする請求項1に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物。
- 比エネルギーが0.8MJ/kg以上となるように二軸押出機で前記混合物を混練して得られたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物。
- 請求項1乃至3の何れか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物からなるフィルム。
- 請求項4に記載のフィルムを備えることを特徴とする包装材。
- 85.0質量%以上94.0質量%以下のエチレン−ビニルアルコール共重合体と、6.0質量%以上15.0質量%以下の酸変性ポリプロピレンとの混合物を、比エネルギーが0.8MJ/kg以上となるように二軸押出機で混練する工程を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物の製造方法。
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