JP2004035759A - 熱可塑性樹脂組成物およびその積層物 - Google Patents
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Abstract
【課題】気体遮断性能の低下を最低限に抑えつつ、ポリオレフィン系樹脂との共押出接着性能を最大限に高め、かつゲル、メヤニの発生が著しく少ない熱可塑性樹脂組成物およびその積層物、容器を提供する。
【解決手段】少なくとも(A)エチレン−ビニルアルコール共重合体60〜99.5質量%および(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体0.5〜40質量%を含む熱可塑性樹脂組成物、この熱可塑性樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む積層物、およびこの積層物からなる容器。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも(A)エチレン−ビニルアルコール共重合体60〜99.5質量%および(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体0.5〜40質量%を含む熱可塑性樹脂組成物、この熱可塑性樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む積層物、およびこの積層物からなる容器。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂組成物およびその積層物に関し、詳しくは気体遮断性樹脂を用いた各種包装材料など、特に食品包装材料に適した熱可塑性樹脂組成物およびその積層物・容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOH樹脂という)は、気体遮断性、保香性等の特徴を生かし、多くの食品包装類、床暖房パイプ、化粧品類容器等に広く使用されている。しかしながら、ポリオレフィンとの接着性がないことから、EVOH樹脂層およびポリオレフィン層を有する積層物においては、無水マレイン酸変性ポリオレフィンをEVOH樹脂層と接するポリオレフィン層に使用することが通常、行われている。
【0003】
一方、EVOH樹脂は、その剛直性からヒンジ特性が一般ポリオレフィンより劣るため、スクイズボトルの用途においては、気体遮断のバックアップの目的でEVOH樹脂を複数層設けることが一般に行われている。EVOH樹脂を複数層設けるときに、各EVOH樹脂層の両側に接着樹脂層を設けた場合、層数が多くなるため、加工機が複雑になり、加工コストがかさんでしまう。そのため、EVOH樹脂層に無水マレイン酸グラフトポリオレフィンをあらかじめブレンド反応させて、EVOH樹脂層の接着性を改良し、接着樹脂層をなくして層数を減らす工夫が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィンを用いた場合、EVOH樹脂との架橋によるゲル発生の制約から、無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィンの添加量が限られ、そのことによるポリオレフィン層との接着強度不足が潜在的問題となっていた。また、ゲルの問題を無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィン添加量を減らす事で解決したとしても、積層物の成形時に、無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィンによるメヤニの発生が顕著なため、実用上の障害となっていた。
【0005】
よって、本発明の目的は、気体遮断性能の低下を最低限に抑えつつ、ポリオレフィン系樹脂との共押出接着性能を最大限に高め、かつコンパウンド工程・成形工程でのゲル、メヤニの発生が著しく少ない熱可塑性樹脂組成物およびその積層物・容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体を、EVOH樹脂にブレンドすることで、性能・コスト両面において、市場のニーズに答えうる組成物が提供できることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、少なくとも(A)エチレン−ビニルアルコール共重合体60〜99.5質量%および(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体0.5〜40質量%を含むことを特徴とする。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記成分(A)と成分(B)の合計100質量部にさらにポリオレフイン系樹脂30質量部以下を配合してもよい。
【0008】
また、本発明の積層物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含むことを特徴とする。
また、本発明の積層物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる層を少なくとも2層含むことを特徴とする。
また、本発明の積層物は、さらにバリヤー性基材からなる層を含むことが望ましい。
また、バリヤー性基材は、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、アルミニウム箔からなる群から選ばれるの少なくとも1種からなるものであることが望ましい。
また、本発明の容器は、本発明の積層物からなることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH樹脂)と、(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体とを必須構成要素とするものである。
【0010】
[(A)エチレンービニルアルコール共重合体]
本発明で用いる(A)EVOH樹脂とは、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂のケン化物である。
具体的な商品名では、クラレ(株)のエバール、日本合成化学(株)のソアノールなどが挙げられる。本発明においては、極力、気体遮断性を維持する趣旨に則り、エチレン共重合比率が40mol%以下のものを使用することが好ましい。
【0011】
[(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体]
本発明で用いる(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体は、主鎖に組み込まれた酸無水物基を有するエチレン系共重合体であればよく、特に制約はない。具体的示せば、エチレンとラジカル重合性酸無水物とのランダム共重合体であり、必要に応じて他のラジカル重合性コモノマー(以下第3モノマーと言う)成分を含む多元共重合体であってもよい。
【0012】
本発明に使用するラジカル重合性酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水エンディック酸、無水シトラコン酸、1−ブテン−3,4−ジカルボン酸無水物、炭素数が多くとも18である末端に二重結合を有するアルケニル無水コハク酸、炭素数が多くとも18である末端に二重結合を有するアルカジエニル無水コハク酸等を挙げることができる。これらは2種類以上同時に併用しても差し支えない。
このうち、無水マレイン酸、無水イタコン酸が、EVOH樹脂との反応性、接着性、ゲル、メヤニの発生が著しく少なく好適に用いられる。
【0013】
また、ラジカル重合性酸無水物と併用することができる第3コモノマーとしては、エチレン系不飽和エステル化合物、エチレン系不飽和アミド化合物、エチレン系不飽和酸化合物、エチレン系不飽和エーテル化合物、エチレン系不飽和炭化水素化合物等を挙げることができる。
エチレン系不飽和エステル化合物としては、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、フマル酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸プロピル、フマル酸ブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸エチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル等を例示することができる。
【0014】
エチレン系不飽和アミド化合物としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、等を例示することができる。
エチレン系不飽和酸化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等を例示することができる。
【0015】
エチレン系不飽和エーテル化合物としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等を例示することができる。
エチレン系不飽和炭化水素化合物およびその他の化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ノルボルネン、ブタジエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクロレイン、クロトンアルデヒド、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、等を挙げることができる。
これらの中でも、特にエチレン系不飽和エステル化合物が、共重合性等により好適に用いられる。また、これらの第3モノマーは、必要に応じて2種類以上同時に併用してもよい。
【0016】
本発明で用いる(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体の具体例としては、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸ノルマルブチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−メタクリル酸−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸エチル共重合体等が挙げられる。
【0017】
本発明で用いる(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体は、不飽和カルボン酸無水物に由来する単位の割合が0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。不飽和カルボン酸無水物に由来する単位の割合が0.1質量%未満では、(A)EVOH樹脂との反応性が不足し、優れた物性を有する最終組成物を得ることができないおそれがある。一方、不飽和カルボン酸無水物に由来する単位の割合が10質量%を超えると、(A)EVOH樹脂との反応点密度が上がりすぎるため、ミクロゲルが発生するおそれがある。
【0018】
[ポリオレフィン系樹脂]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その基本性能を損なわない範囲で、その他のポリオレフィン系樹脂をブレンドして用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂の具体的な例示としては、チーグラー系触媒、フィリップス系触媒、シングルサイト系(メタロセン系)触媒を用いて、高・中・低圧法で製造される高密度ポリエチレン、密度0.91〜0.94g/cm3 の線状低密度ポリエチレン、密度0.86〜0.91g/cm3 未満の超低密度ポリエチレン;高圧ラジカル法による低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体等のエチレン−α,β−不飽和カルボン酸またはそのエステル共重合体などのエチレン系重合体;アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン等のポリプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂;炭素数4以上のα−オレフィンの単独またはその共重合体;エチレン−プロピレン共重合ゴム(ERR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)などのエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム;無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性EPR,EPDM等の酸変性ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
【0019】
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物における各成分の割合は、(A)EVOH樹脂60〜99.5質量%、(B)エチレン系共重合体0.5〜40質量%であり、好ましくは(A)EVOH樹脂70〜95質量%、(B)エチレン系共重合体5〜30質量%であり、より好ましくは(A)EVOH樹脂80〜90質量%、(B)エチレン系共重合体10〜20質量%である。(B)成分の配合量が0.5質量%未満では、物性改良の効果はなく、40質量%を超えると、剛性の低下が生じるので好ましくない。
【0020】
また、ポリオレフィン系樹脂を配合する場合には、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して30質量部以下の範囲で配合されることが望ましい。配合量が30質量部を超える場合には、(A)EVOH樹脂の特性を損なうおそれがある。
【0021】
本発明で用いる(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体は、これ単独でもEVOH樹脂やポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンに対し優れた相溶化性能を示し、EVOH樹脂のバリヤー性を維持し、物性・成形性を改良する効果がある。また、必要により、さらに不飽和エポキシ化合物をコモノマーに有するエチレン系共重合体を併用することで安定した物性・成形性改良効果を得ることができる。
【0022】
本発明で用いる不飽和エポキシ化合物をコモノマーに有するエチレン系共重合体は、主鎖にエポキシ基を有するエチレン系共重合体であればよく、特に制約はない。具体的示せば、エチレンとラジカル重合性エポキシモノマーとの共重合体であり、必要に応じて他のラジカル重合性コモノマー(以下第3モノマーと言う)成分を含む多元共重合体であってもよい。具体的には、エチレン−グリシジルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルアクリレート−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0023】
不飽和エポキシ化合物をコモノマーに有するエチレン系共重合体を配合する場合には、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して30質量部以下の範囲で配合されることが望ましい。配合量が30質量部を超える場合では、(A)EVOH樹脂及び(B)成分とからなる組成物との反応が高く、ゲル化し、加工性等の特性を損なうおそれがある。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する方法は、特に限定されない。基本的には機械的溶融混練方法が用いられ、具体的には、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、各種ニーダー、ブラベンダー、ロール等が用いられる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、架橋剤、無機充填剤、顔料、発泡剤などの通常の添加剤を配合しても差し支えない。
【0025】
[積層物]
本発明の積層物とは、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる層(以下、熱可塑性樹脂組成物層(M)という)を少なくとも1層含む積層物である。具体的には、熱可塑性樹脂組成物層(M)と、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等のプラスチック(延伸物、印刷物を包含する);鉄、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金等の金属箔;合成繊維、天然繊維などからなる不織布、織布;紙等等の基材からなる基材層(X)とを有する少なくとも2層からなるものである。特にガスバリヤー性、接着性、コスト、リサイクル性等の観点から熱可塑性樹脂組成物層(M)層を少なくとも2層を有する積層物であることが好ましい。
【0026】
基材の中でも、包装材料として使用される場合においては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、EVOH樹脂、アルミニウム箔等のガスバリヤー性もしくは耐透湿性のあるバリヤー性基材が望ましい。
【0027】
本発明の積層物の具体的な構成としては、LD/M、LL/M、HD/M、PP/M、CPP/M等の2層構造、LD/M/LD、LL/M/LL、HD/M/HD、CPP/M/CPP、PP/M/PP、OPP/M/CPP、OPP/M/LD、OPP/M/EVA、PET/M/LD、PET/M/EVA、PET/M/LL、PA/M/LD、PA/M/EVA,PA/M/LL、アルミニウム蒸着PET/M/LD、アルミニウム蒸着PET/M/CPP等の3層構造、LD/M/AL/LD、LD/紙/M/LD等の4層構造、LD/M/LD/M/LD、LL/M/LL/M/LL等の3種5層構造、LD/紙/M/AL/LD、LL/紙/M/AL/LD等の5層構造等の積層物が挙げられる。(ここで、M:本発明の熱可塑性組成物、LD:低密度ポリエチレン、LL:直鎖状低密度ポリエチレン、HD:高密度ポリエチレン、CPP:キャストポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレン、PP:ホモポリプロピレン、EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体、PET:ポリエチレンテレフタレート、PA:ポリアミド、AL:アルミニウム箔を意味する。)
【0028】
本発明の積層物は、一般的に使用される成形機を用いて成形することが可能である。例えば、押出ラミネーション、ドライラミネーション、サンドラミネーション法、共押出ラミネーション、共押出インフレーション法等の押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、ブロー成形法、プレス成形法等の各種の成形方法が適用可能である。
【0029】
また、本発明の容器は、熱可塑性樹脂組成物層(M)を少なくとも1層含む積層物から構成された容器である。本発明の容器は、上記熱可塑性樹脂組成物層(M)を複数層含む場合、繰り返し反復使用されるスクイズボトル等の容器に適用される。
容器としては、ジュース、牛乳、コーヒー、清涼飲料水、食用油、醤油、バックインボックス、レトルト用容器、各種パウチ等の食品用容器、カップ、洗剤用容器、工業用薬品容器等が挙げられる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細かつ具体的に説明する。
実施例における各測定項目の評価方法は以下の通りである。
(1)MFR:JIS K7210に準拠し、すべて荷重2.16kg、190℃で測定した。
(2)酸素透過度:MOCON社製OX−TRAN10/50A測定器を用い、40℃乾燥条件下で、JIS K7126B法に準じて測定したデータ(n=3)の平均値。
(3)フィルムインパクト:東洋精機社製パンクチャーテスターを用い、23℃50%RHの条件下で、JIS P8134法に準じて測定したデータ(n=5)の平均値。
【0031】
(4)ヘイズ:村上色彩技術研究所製HM−150型ヘイズメーターを用い、JIS K7136法に準じて測定したデータ(n=3)の平均値。
(5)ホモポリエチレン共押出界面接着強度:表1に指定した3種類のポリエチレン(系混合物)と本発明の熱可塑性樹脂組成物とを、Tダイ温度220℃、引取り速度10m/分で2種2層(30μm/30μm)に成形し、共押出界面の接着強度を加工の翌日に測定した。接着強度は、15mm幅T剥離剥離速度300mm/min、n=5で測定した。
【0032】
<実施例1〜5>、<比較例1〜4>
表1の組成で各成分を220℃で混練し、その後、物性測定用の30μmの単層フィルム、および接着強度測定用の30μm/30μmの2種2層フィルムを各220℃設定Tダイで成形した。評価結果を表2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
表中の略号は下記の通りである。
<EVOH>
EVOH▲1▼:クラレ社製エバールEP−F101、
EVOH▲2▼:クラレ社製エバールEP−E105、
<エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸メチル3元共重合体>
高圧ラジカル重合法により製造した表3に示すエチレン三元共重合体。
【0036】
【表3】
【0037】
<無水マレイン酸グラフト変性線状低密度ポリエチレン>
密度:0.923g/cm3、MFR:4.0、コモノマー:1−ブテン、
無水マレイン酸のグラフト量:0.4質量%(MAH−LLDPEと称す)
<ポリエチレン>
LDPE:日本ポリオレフィン社製ジェイレクスJH606N(MFR=7g/10分、密度=0.918g/cm3 )、
*1:LDPE/ET−A=80/20(質量比)組成物、
*2:LDPE/MAH−LLDPE=80/20(質量比)組成物
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、少なくとも(A)エチレン−ビニルアルコール共重合体60〜99.5質量%および(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体0.5〜40質量%を含むものであるので、気体遮断性能の低下を最低限に抑えつつ、ポリオレフィン系樹脂との共押出接着性能を最大限に高め、かつコンパウンド工程・成形工程でのゲル、メヤニの発生が著しく少ない。
【0039】
また、本発明の積層物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含むものであるので、気体遮断性能を有し、かつ各層の接着強度が高く、接着樹脂層が不要であり、生産性がよく、低コストである。このような積層物は、気体バリヤ性のスクイズボトル等の積層容器の材料としてたいへん有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂組成物およびその積層物に関し、詳しくは気体遮断性樹脂を用いた各種包装材料など、特に食品包装材料に適した熱可塑性樹脂組成物およびその積層物・容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOH樹脂という)は、気体遮断性、保香性等の特徴を生かし、多くの食品包装類、床暖房パイプ、化粧品類容器等に広く使用されている。しかしながら、ポリオレフィンとの接着性がないことから、EVOH樹脂層およびポリオレフィン層を有する積層物においては、無水マレイン酸変性ポリオレフィンをEVOH樹脂層と接するポリオレフィン層に使用することが通常、行われている。
【0003】
一方、EVOH樹脂は、その剛直性からヒンジ特性が一般ポリオレフィンより劣るため、スクイズボトルの用途においては、気体遮断のバックアップの目的でEVOH樹脂を複数層設けることが一般に行われている。EVOH樹脂を複数層設けるときに、各EVOH樹脂層の両側に接着樹脂層を設けた場合、層数が多くなるため、加工機が複雑になり、加工コストがかさんでしまう。そのため、EVOH樹脂層に無水マレイン酸グラフトポリオレフィンをあらかじめブレンド反応させて、EVOH樹脂層の接着性を改良し、接着樹脂層をなくして層数を減らす工夫が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィンを用いた場合、EVOH樹脂との架橋によるゲル発生の制約から、無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィンの添加量が限られ、そのことによるポリオレフィン層との接着強度不足が潜在的問題となっていた。また、ゲルの問題を無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィン添加量を減らす事で解決したとしても、積層物の成形時に、無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィンによるメヤニの発生が顕著なため、実用上の障害となっていた。
【0005】
よって、本発明の目的は、気体遮断性能の低下を最低限に抑えつつ、ポリオレフィン系樹脂との共押出接着性能を最大限に高め、かつコンパウンド工程・成形工程でのゲル、メヤニの発生が著しく少ない熱可塑性樹脂組成物およびその積層物・容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体を、EVOH樹脂にブレンドすることで、性能・コスト両面において、市場のニーズに答えうる組成物が提供できることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、少なくとも(A)エチレン−ビニルアルコール共重合体60〜99.5質量%および(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体0.5〜40質量%を含むことを特徴とする。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記成分(A)と成分(B)の合計100質量部にさらにポリオレフイン系樹脂30質量部以下を配合してもよい。
【0008】
また、本発明の積層物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含むことを特徴とする。
また、本発明の積層物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる層を少なくとも2層含むことを特徴とする。
また、本発明の積層物は、さらにバリヤー性基材からなる層を含むことが望ましい。
また、バリヤー性基材は、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、アルミニウム箔からなる群から選ばれるの少なくとも1種からなるものであることが望ましい。
また、本発明の容器は、本発明の積層物からなることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH樹脂)と、(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体とを必須構成要素とするものである。
【0010】
[(A)エチレンービニルアルコール共重合体]
本発明で用いる(A)EVOH樹脂とは、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂のケン化物である。
具体的な商品名では、クラレ(株)のエバール、日本合成化学(株)のソアノールなどが挙げられる。本発明においては、極力、気体遮断性を維持する趣旨に則り、エチレン共重合比率が40mol%以下のものを使用することが好ましい。
【0011】
[(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体]
本発明で用いる(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体は、主鎖に組み込まれた酸無水物基を有するエチレン系共重合体であればよく、特に制約はない。具体的示せば、エチレンとラジカル重合性酸無水物とのランダム共重合体であり、必要に応じて他のラジカル重合性コモノマー(以下第3モノマーと言う)成分を含む多元共重合体であってもよい。
【0012】
本発明に使用するラジカル重合性酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水エンディック酸、無水シトラコン酸、1−ブテン−3,4−ジカルボン酸無水物、炭素数が多くとも18である末端に二重結合を有するアルケニル無水コハク酸、炭素数が多くとも18である末端に二重結合を有するアルカジエニル無水コハク酸等を挙げることができる。これらは2種類以上同時に併用しても差し支えない。
このうち、無水マレイン酸、無水イタコン酸が、EVOH樹脂との反応性、接着性、ゲル、メヤニの発生が著しく少なく好適に用いられる。
【0013】
また、ラジカル重合性酸無水物と併用することができる第3コモノマーとしては、エチレン系不飽和エステル化合物、エチレン系不飽和アミド化合物、エチレン系不飽和酸化合物、エチレン系不飽和エーテル化合物、エチレン系不飽和炭化水素化合物等を挙げることができる。
エチレン系不飽和エステル化合物としては、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、フマル酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸プロピル、フマル酸ブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸エチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル等を例示することができる。
【0014】
エチレン系不飽和アミド化合物としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、等を例示することができる。
エチレン系不飽和酸化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等を例示することができる。
【0015】
エチレン系不飽和エーテル化合物としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等を例示することができる。
エチレン系不飽和炭化水素化合物およびその他の化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ノルボルネン、ブタジエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクロレイン、クロトンアルデヒド、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、等を挙げることができる。
これらの中でも、特にエチレン系不飽和エステル化合物が、共重合性等により好適に用いられる。また、これらの第3モノマーは、必要に応じて2種類以上同時に併用してもよい。
【0016】
本発明で用いる(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体の具体例としては、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸ノルマルブチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−メタクリル酸−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸エチル共重合体等が挙げられる。
【0017】
本発明で用いる(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体は、不飽和カルボン酸無水物に由来する単位の割合が0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。不飽和カルボン酸無水物に由来する単位の割合が0.1質量%未満では、(A)EVOH樹脂との反応性が不足し、優れた物性を有する最終組成物を得ることができないおそれがある。一方、不飽和カルボン酸無水物に由来する単位の割合が10質量%を超えると、(A)EVOH樹脂との反応点密度が上がりすぎるため、ミクロゲルが発生するおそれがある。
【0018】
[ポリオレフィン系樹脂]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その基本性能を損なわない範囲で、その他のポリオレフィン系樹脂をブレンドして用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂の具体的な例示としては、チーグラー系触媒、フィリップス系触媒、シングルサイト系(メタロセン系)触媒を用いて、高・中・低圧法で製造される高密度ポリエチレン、密度0.91〜0.94g/cm3 の線状低密度ポリエチレン、密度0.86〜0.91g/cm3 未満の超低密度ポリエチレン;高圧ラジカル法による低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体等のエチレン−α,β−不飽和カルボン酸またはそのエステル共重合体などのエチレン系重合体;アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン等のポリプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂;炭素数4以上のα−オレフィンの単独またはその共重合体;エチレン−プロピレン共重合ゴム(ERR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)などのエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム;無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性EPR,EPDM等の酸変性ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
【0019】
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物における各成分の割合は、(A)EVOH樹脂60〜99.5質量%、(B)エチレン系共重合体0.5〜40質量%であり、好ましくは(A)EVOH樹脂70〜95質量%、(B)エチレン系共重合体5〜30質量%であり、より好ましくは(A)EVOH樹脂80〜90質量%、(B)エチレン系共重合体10〜20質量%である。(B)成分の配合量が0.5質量%未満では、物性改良の効果はなく、40質量%を超えると、剛性の低下が生じるので好ましくない。
【0020】
また、ポリオレフィン系樹脂を配合する場合には、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して30質量部以下の範囲で配合されることが望ましい。配合量が30質量部を超える場合には、(A)EVOH樹脂の特性を損なうおそれがある。
【0021】
本発明で用いる(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体は、これ単独でもEVOH樹脂やポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンに対し優れた相溶化性能を示し、EVOH樹脂のバリヤー性を維持し、物性・成形性を改良する効果がある。また、必要により、さらに不飽和エポキシ化合物をコモノマーに有するエチレン系共重合体を併用することで安定した物性・成形性改良効果を得ることができる。
【0022】
本発明で用いる不飽和エポキシ化合物をコモノマーに有するエチレン系共重合体は、主鎖にエポキシ基を有するエチレン系共重合体であればよく、特に制約はない。具体的示せば、エチレンとラジカル重合性エポキシモノマーとの共重合体であり、必要に応じて他のラジカル重合性コモノマー(以下第3モノマーと言う)成分を含む多元共重合体であってもよい。具体的には、エチレン−グリシジルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルアクリレート−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0023】
不飽和エポキシ化合物をコモノマーに有するエチレン系共重合体を配合する場合には、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して30質量部以下の範囲で配合されることが望ましい。配合量が30質量部を超える場合では、(A)EVOH樹脂及び(B)成分とからなる組成物との反応が高く、ゲル化し、加工性等の特性を損なうおそれがある。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する方法は、特に限定されない。基本的には機械的溶融混練方法が用いられ、具体的には、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、各種ニーダー、ブラベンダー、ロール等が用いられる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、架橋剤、無機充填剤、顔料、発泡剤などの通常の添加剤を配合しても差し支えない。
【0025】
[積層物]
本発明の積層物とは、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる層(以下、熱可塑性樹脂組成物層(M)という)を少なくとも1層含む積層物である。具体的には、熱可塑性樹脂組成物層(M)と、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等のプラスチック(延伸物、印刷物を包含する);鉄、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金等の金属箔;合成繊維、天然繊維などからなる不織布、織布;紙等等の基材からなる基材層(X)とを有する少なくとも2層からなるものである。特にガスバリヤー性、接着性、コスト、リサイクル性等の観点から熱可塑性樹脂組成物層(M)層を少なくとも2層を有する積層物であることが好ましい。
【0026】
基材の中でも、包装材料として使用される場合においては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、EVOH樹脂、アルミニウム箔等のガスバリヤー性もしくは耐透湿性のあるバリヤー性基材が望ましい。
【0027】
本発明の積層物の具体的な構成としては、LD/M、LL/M、HD/M、PP/M、CPP/M等の2層構造、LD/M/LD、LL/M/LL、HD/M/HD、CPP/M/CPP、PP/M/PP、OPP/M/CPP、OPP/M/LD、OPP/M/EVA、PET/M/LD、PET/M/EVA、PET/M/LL、PA/M/LD、PA/M/EVA,PA/M/LL、アルミニウム蒸着PET/M/LD、アルミニウム蒸着PET/M/CPP等の3層構造、LD/M/AL/LD、LD/紙/M/LD等の4層構造、LD/M/LD/M/LD、LL/M/LL/M/LL等の3種5層構造、LD/紙/M/AL/LD、LL/紙/M/AL/LD等の5層構造等の積層物が挙げられる。(ここで、M:本発明の熱可塑性組成物、LD:低密度ポリエチレン、LL:直鎖状低密度ポリエチレン、HD:高密度ポリエチレン、CPP:キャストポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレン、PP:ホモポリプロピレン、EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体、PET:ポリエチレンテレフタレート、PA:ポリアミド、AL:アルミニウム箔を意味する。)
【0028】
本発明の積層物は、一般的に使用される成形機を用いて成形することが可能である。例えば、押出ラミネーション、ドライラミネーション、サンドラミネーション法、共押出ラミネーション、共押出インフレーション法等の押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、ブロー成形法、プレス成形法等の各種の成形方法が適用可能である。
【0029】
また、本発明の容器は、熱可塑性樹脂組成物層(M)を少なくとも1層含む積層物から構成された容器である。本発明の容器は、上記熱可塑性樹脂組成物層(M)を複数層含む場合、繰り返し反復使用されるスクイズボトル等の容器に適用される。
容器としては、ジュース、牛乳、コーヒー、清涼飲料水、食用油、醤油、バックインボックス、レトルト用容器、各種パウチ等の食品用容器、カップ、洗剤用容器、工業用薬品容器等が挙げられる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細かつ具体的に説明する。
実施例における各測定項目の評価方法は以下の通りである。
(1)MFR:JIS K7210に準拠し、すべて荷重2.16kg、190℃で測定した。
(2)酸素透過度:MOCON社製OX−TRAN10/50A測定器を用い、40℃乾燥条件下で、JIS K7126B法に準じて測定したデータ(n=3)の平均値。
(3)フィルムインパクト:東洋精機社製パンクチャーテスターを用い、23℃50%RHの条件下で、JIS P8134法に準じて測定したデータ(n=5)の平均値。
【0031】
(4)ヘイズ:村上色彩技術研究所製HM−150型ヘイズメーターを用い、JIS K7136法に準じて測定したデータ(n=3)の平均値。
(5)ホモポリエチレン共押出界面接着強度:表1に指定した3種類のポリエチレン(系混合物)と本発明の熱可塑性樹脂組成物とを、Tダイ温度220℃、引取り速度10m/分で2種2層(30μm/30μm)に成形し、共押出界面の接着強度を加工の翌日に測定した。接着強度は、15mm幅T剥離剥離速度300mm/min、n=5で測定した。
【0032】
<実施例1〜5>、<比較例1〜4>
表1の組成で各成分を220℃で混練し、その後、物性測定用の30μmの単層フィルム、および接着強度測定用の30μm/30μmの2種2層フィルムを各220℃設定Tダイで成形した。評価結果を表2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
表中の略号は下記の通りである。
<EVOH>
EVOH▲1▼:クラレ社製エバールEP−F101、
EVOH▲2▼:クラレ社製エバールEP−E105、
<エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸メチル3元共重合体>
高圧ラジカル重合法により製造した表3に示すエチレン三元共重合体。
【0036】
【表3】
【0037】
<無水マレイン酸グラフト変性線状低密度ポリエチレン>
密度:0.923g/cm3、MFR:4.0、コモノマー:1−ブテン、
無水マレイン酸のグラフト量:0.4質量%(MAH−LLDPEと称す)
<ポリエチレン>
LDPE:日本ポリオレフィン社製ジェイレクスJH606N(MFR=7g/10分、密度=0.918g/cm3 )、
*1:LDPE/ET−A=80/20(質量比)組成物、
*2:LDPE/MAH−LLDPE=80/20(質量比)組成物
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、少なくとも(A)エチレン−ビニルアルコール共重合体60〜99.5質量%および(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体0.5〜40質量%を含むものであるので、気体遮断性能の低下を最低限に抑えつつ、ポリオレフィン系樹脂との共押出接着性能を最大限に高め、かつコンパウンド工程・成形工程でのゲル、メヤニの発生が著しく少ない。
【0039】
また、本発明の積層物は、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含むものであるので、気体遮断性能を有し、かつ各層の接着強度が高く、接着樹脂層が不要であり、生産性がよく、低コストである。このような積層物は、気体バリヤ性のスクイズボトル等の積層容器の材料としてたいへん有用である。
Claims (7)
- 少なくとも(A)エチレン−ビニルアルコール共重合体60〜99.5質量%および(B)不飽和カルボン酸無水物をコモノマーに有するエチレン系共重合体0.5〜40質量%を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- 前記成分(A)と成分(B)の合計100質量部にさらにポリオレフイン系樹脂30質量部以下を配合してなることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1または請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含むことを特徴とする積層物。
- 請求項1または請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物からなる層を少なくとも2層含むことを特徴とする積層物。
- さらに、バリヤー性基材からなる層を含むことを特徴とする請求項3または請求項4記載の積層物。
- バリヤー性基材が、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、アルミニウム箔からなる群から選ばれるの少なくとも1種からなるものであることを特徴とする請求項5記載の積層物。
- 請求項3ないし6いずれか一項に記載の積層物からなることを特徴とする容器。
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