JP2012116956A - エチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物、該組成物からなるフィルム、該フィルムを備える包装材、及び、該組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物は、79.5質量%以上98.5質量%以下のエチレン−ビニルアルコール共重合体と、1.5質量%以上20.5質量%以下のエチレン−メチルアクリレート共重合体との混合物からなり、JIS Z0238に規定される袋のヒートシール強度が200gf/15mm以上である。
【選択図】図2
Description
そこでこのような問題を解決すべく、特許文献2は、変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体(C)からなる表面層を有する多層構造体を開示している。
請求項4のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物は、比エネルギーが0.4MJ/kg以上となるように二軸押出機で混合物を混練することで、200gf/15mm以上のヒートシール強度を確実に有する。
請求項6の包装材は、200gf/15mmのヒートシール強度を有するエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物からなるフィルムを備え、ヒートシール性に優れている。
請求項7の包装材には、ヒートシールに一般的に供されるオレフィン系樹脂に比べて、これらの薬効成分が吸着し難い。このため、この包装材をこれらの薬効成分を有する物品被包装物に適用したときに、被包装物の品質低下が抑制される。
EVOH系ポリマーアロイ組成物は、79.5質量%以上98.5質量%以下のエチレン−ビニルアルコール共重合体と、1.5質量%以上20.5質量%以下のエチレン−メチルアクリレート共重合体とを含む混合物である。
好ましくは、EVOH系ポリマーアロイ組成物は、500gf/15mm以上のヒートシール強度を有する。
メントール吸着量試験方法は以下の通りである。
まず、EVOH系ポリマーアロイ組成物を100mm×100mm×0.04mmのシートに成形する。そして、成形したシートを1000mgのメントールとともに、直径150mmで高さ15mmのプラスチック製のシャーレに入れて封し、封したシャーレを温度40℃の恒温槽に1週間入れておく。
なお、メントール吸着量は、3枚以上のシートの定量結果の算術平均値として求められる。
薬効成分吸着量試験方法は以下の通りである。
(1)PET(ポリエチレンテレフタレート:12μm)/Al(アルミニウム:9μm)/EVOH系ポリマーアロイ組成物のフィルム(40μm)の積層フィルムをドライラミネートで作製する。
(2)(1)の積層フィルムから、それぞれ120mm×220mmの寸法の複数のシートを切り出し、2枚のシートをEVOH系ポリマーアロイ組成物のフィルムが内側になるようにして重ね合わせ、シール幅10mmにて三方をヒートシールし、三方シール袋を作製する。
(4)(3)の密封された袋を40℃の恒温槽内で1週間保存する。
(6)(5)で得られた抽出液をガスクロマトグラフィー分析し、ヒートシール部分を除くEVOH系ポリマーアロイ組成物のフィルム1つあたりの薬効成分の吸着量を定量する。
原料としてのエチレン−ビニルアルコール共重合体とエチレン−メチルアクリレート共重合体は、所定の濃度となるように、溶融混合される。溶融混合には、好ましくは、二軸押出機が用いられる。溶融混合により得られたポリマーアロイは、例えばTダイ成形法やインフレーション成形法等を用いてフィルム状に成形され、これにより、EVOH系ポリマーアロイ組成物からなるフィルムが得られる。
比エネルギーは、二軸押出機の場合、二軸押出機のスクリューを駆動するモータで消費されるエネルギーXを当該エネルギーXで溶融混合される混合物の質量Yで割って得られる値(X/Y)である。なお、エネルギーXは、モータの消費電力に力率及び溶融混合時間を掛けて得られる値である。
そして、上述したEVOH系ポリマーアロイ組成物からなる包装材は、好ましくは、リモネン及びメントール等のテルペンや、炭化水素系や、エチルブチレート及びエチルカプレート等のエステル系の香気成分のうち少なくとも1種以上を含む被包装物の包装に用いられる。
更に、この包装材は、単独で用いる場合、液体以外の固体若しくは気体の被包装物に適し、例えば、食品、医薬品、化粧品、電気製品及び電子部品等の包装に適する。
以下、EVOH系ポリマーアロイ組成物の実施例について説明する。
原料として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(株式会社クラレ製、エバール(登録商標)F104B)とエチレン−メチルアクリレート共重合体として、アクリル酸変性ポリエチレン系接着性樹脂(日本ポリエチレン株式会社製、レクスパール(登録商標)EB050S)とを用意した。エチレン−ビニルアルコール共重合体におけるエチレンのモル分率は0.32である。
これらの原料を表1及び表2に示した組成になるようにそれぞれ混合(ドライブレンド)した。なお、表1及び表2では、エチレン−ビニルアルコール共重合体をEVOHと、エチレン−メチルアクリレート共重合体をEMAとそれぞれ表示した。
スクリューには、フライトスクリュー(株式会社東洋精機製作所製)、パイナップルスクリュー(株式会社東洋精機製作所製)、及び、ニーディングディスク(株式会社東洋精機製作所製)を組み合わせたものを用いた。
2−1.ヒートシール強度の測定
実施例1〜10及び比較例1〜12の各フィルムについて、JIS Z0238:1998に規定される袋のヒートシール強さを測定した。また参考として、低密度ポリエチレン(LDPE)100%のフィルムについても、同じ条件にてヒートシール強度を測定した。
実施例1〜10及び比較例1〜12の各フィルム(試験フィルム)と、厚さ15μmの二軸延伸PETフィルムとをドライラミネートして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムから100mm×100mmのフィルム片を切り出した。切り出された2枚のフィルム片を、試験フィルムが相互に接するように重ね合わせ、1辺をヒートシールした。そして、ヒートシールしたフィルム片を15mm幅にて切断し、図4に示す形状の試験片を作成した。
なお、ヒートシールには、ヒートシール装置(株式会社東洋精機製作所製熱傾斜試験器)が用いられ、ヒートシールの設定温度、荷重及び時間は、それぞれ140℃、0.2MPa及び0.7秒である。
試験片の両端を引張試験機(株式会社東洋精機製作所製ストログラフ)のつかみに取り付け、試験片を長手方向に引っ張った。つかみ間の相対移動速度は300mm/minであり、ヒートシール部HSが破断したときの荷重をヒートシール強度とする。得られた結果を表1、表2及び図2、図3に示す。
なお、実施例1〜10及び比較例1〜12のヒートシール強度は、それぞれ、10個の試験片の結果の算術平均である。
実施例1〜10及び比較例1〜12の各フィルムについて、以下の試験方法にてメントール吸着量を測定した。また参考として、低密度ポリエチレン(LDPE)100%のフィルムについても、同じ条件にてメントール吸着量を測定した。
1週間後、シャーレから試験片を取り出し、アセトンで試験片表面を洗浄してから、試験片をアセトンで4時間のソックスレー抽出にかけた。そして、得られた抽出液中のメントールの量をガスクロマトグラフィーによって定量した。定量結果をメントール吸着量として表1、表2及び図3に示す。なお、実施例1〜10及び比較例1〜12のメントール吸着量は、それぞれ、10個の試験片の結果の算術平均であり、検出下限は0.1mgである。
実施例5のフィルムについて、以下の試験方法にて薬効成分の吸着量、則ち、メントール、リモネン、サリチル酸メチル、カンファー、及び、トコフェロールの吸着量を測定した。また参考として、低密度ポリエチレン(LDPE)100%のフィルムについても、同じ条件にて吸着量を測定した。
(2)(1)の積層フィルムから、それぞれ120mm×220mmの寸法の複数のシートを切り出し、2枚のシートを実施例5のフィルムが内側になるようにして重ね合わせ、シール幅10mmにて三方をヒートシールし、複数の三方シール袋を作製した。
(4)(3)の密封された袋を40℃の恒温槽内で1週間保存した。
(6)(5)で得られた抽出液をガスクロマトグラフィー分析し、各積層フィルムにおける各薬効成分の吸着量を定量した。定量結果を表3に示す。なお、ヒートシール部分を除く各積層フィルムの表面積が200cm2であることから、吸着量の単位をmg/200cm2とした。
2−3−1
表1、表2、図2、図3及び図4から以下のことが明らかである。
(1)実施例1〜10のヒートシール強度は200gf/15mm以上であり、比較例1〜12のヒートシール強度に比べて大きい。
(2)特に、実施例4,5,6,9,10のヒートシール強度は、526gf/15mm以上であり、顕著に大きい。
なお、実施例4,5,6,9,10のヒートシール強度は、LDPE100%のヒートシール強度(3275gf/15mm)には及ばないが、JIS Z1711に規定されるポリエチレン製袋のヒートシール強度の規定値(640gf/15mm)に近い。このため、実施例4,5,6,9,10のフィルムをヒートシールして袋を作成した場合、袋は十分な強度を有する。
<熱安定剤・酸化防止剤:1〜10000ppm>
ヒンダードフェノール系化合物、ビタミンE系化合物、
カルボン酸化合物:
シュウ酸、コハク酸、安息香酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸など
ホウ素化合物:オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチル、これらホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂など
リン酸化合物:
リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム
炭化水素、アルコール、高級脂肪酸、エステル、多価アルコール部分エステル、高級脂肪酸金属塩、天然ワックス、脂肪酸アミド
<アンチブロッキング剤:100〜10000ppm>
シリカ、ゼオライト、ポリマービーズ、脂肪酸エステル、シリコーンパウダー
<帯電防止剤:100〜10000ppm>
グリセリン、界面活性剤、導電性微粒子
無機顔料、有機顔料、染料
<可塑剤:1000〜100000ppm>
フタル酸エステル、多価アルコール、アミン化合物
<紫外線吸収剤:1000〜100000ppm>
ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系
銀ゼオライト、チオサルファイト銀錯体、ニトリル誘導体、イミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェノールエーテル誘導体、ピロール誘導体、
<高級脂肪酸塩などの成形助剤等>
シリカゲル、ゼオライト、塩化カルシウム
<ガス吸収剤:10000〜300000ppm>
活性炭、ゼオライト、鉄粉、アスコルビン酸
HS ヒートシール部
Claims (8)
- 79.5質量%以上98.5質量%以下のエチレン−ビニルアルコール共重合体と、
1.5質量%以上20.5質量%以下のエチレン−メチルアクリレート共重合体との混合物からなり、
JIS Z0238に規定される袋のヒートシール強度が200gf/15mm以上である
ことを特徴とするエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物。 - 100mm×100mm×0.04mmのフィルムに成形し、温度40℃で発生させたメントール蒸気に1週間曝露したときのメントールの吸着量が、1.0mg以下であることを特徴とする請求項1に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物。
- ポリエチレンテレフタレートの層と協働してアルミニウム層を挟む、積層フィルムの表面に位置する120mm×220mm×0.04mmのヒートシール層に成形し、
2枚の前記積層フィルムを前記ヒートシール層同士を合わせるように重ねた状態で三方をシール幅10mmにてヒートシールして三方シール袋を作製し、
前記三方シール袋に、メントール、リモネン、サリチル酸メチル、カンファー、及び、トコフェロールからなる薬効成分の群から選択された1種を質量濃度10%にて含むメチルエチルケトン溶液を注液してから、前記三方シール袋の開口をシール幅10mmにてヒートシールして密封袋を作製し、そして、
前記密封袋を温度40℃に1週間置いたとき、
ヒートシールされた部分を除く前記ヒートシール層1つあたりの前記薬効成分の吸着量が1.0mg以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物。 - 比エネルギーが0.4MJ/kg以上となるように二軸押出機で前記混合物を混練して得られたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物。
- 請求項1乃至4の何れか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物からなるフィルム。
- 請求項5に記載のフィルムを備えることを特徴とする包装材。
- メントール、リモネン、サリチル酸メチル、カンファー、及び、トコフェロールからなる薬効成分の群のうちから選択された何れか1種以上を含む物品の包装に用いられることを特徴とする請求項6に記載の包装材。
- 79.5質量%以上98.5質量%以下のエチレン−ビニルアルコール共重合体と、1.5質量%以上20.5質量%以下のエチレン−メチルアクリレート共重合体との混合物を、比エネルギーが0.4MJ/kg以上となるように二軸押出機で混練する工程を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系ポリマーアロイ組成物の製造方法。
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