JP5332731B2 - 電磁界シミュレータ及び電磁界シミュレーション装置 - Google Patents

電磁界シミュレータ及び電磁界シミュレーション装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5332731B2
JP5332731B2 JP2009048523A JP2009048523A JP5332731B2 JP 5332731 B2 JP5332731 B2 JP 5332731B2 JP 2009048523 A JP2009048523 A JP 2009048523A JP 2009048523 A JP2009048523 A JP 2009048523A JP 5332731 B2 JP5332731 B2 JP 5332731B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
wiring board
printed wiring
cell
electromagnetic field
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009048523A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010204859A (ja
Inventor
尚志 山ヶ城
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
Priority to JP2009048523A priority Critical patent/JP5332731B2/ja
Priority to US12/707,786 priority patent/US8412506B2/en
Priority to EP10154567A priority patent/EP2226737A1/en
Publication of JP2010204859A publication Critical patent/JP2010204859A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5332731B2 publication Critical patent/JP5332731B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06FELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
    • G06F30/00Computer-aided design [CAD]
    • G06F30/20Design optimisation, verification or simulation
    • G06F30/23Design optimisation, verification or simulation using finite element methods [FEM] or finite difference methods [FDM]

Description

本書でなされる開示は、コンピュータシミュレーションに関する。
周知のように、コンピュータシミュレーションとは、或る事象をコンピュータ上で模擬的に再現することを言う。ここで、事象の再現とは、その事象を生じせしめる既存の又は未知の事物の状態の時間的推移を視覚的又は統計的に表現することを言う。コンピュータシミュレーションでは、事物を抽象的に表す数式モデルが用いられる。数式モデルは、所定の数式にて互いに関連付けられた要素の集合体である。コンピュータシミュレーションは、コンピュータにより実行されるシミュレーションソフトウエア、すなわち、シミュレータにより、行われる。
電磁界シミュレータは、例えば、プリント配線板、無線通信回路、高周波回路、アンテナ、レーダー、電波吸収体、電力設備、フォトニック結晶といった物理的な物体の内部又はその物体の外部の空間における電磁界(電磁場)の様子をコンピュータ上に再現する。電磁界の様子は、具体的には、数式モデル、すなわち、各要素の電磁界の強度を、或るタイムスパン内で1タイムステップ進めるごとに算出し、算出して得た強度に基づいてアニメーション等の表示処理を行うことにより、再現される。各要素の電磁界の強度は、マックスウェル方程式を用いて算出される。なお、要素の数が多い程、電磁界の強度の算出に時間が掛かる。
電磁界シミュレータの一つに、FDTD[Finite Difference Time Domain]シミュレ
ータがある。FDTDシミュレータは、前述したような物理的な物体の内部又はその物体の外部の空間における電磁界の様子を、FDTD法を利用してコンピュータ上に再現する。ここで、FDTD法とは、物理的な物体の形状が定義された仮想空間(解析空間)内に、電界強度を計算する点と磁界強度を計算する点とを離散的に配置し、時間軸に沿って電界強度と磁界強度とを交互に算出する方法を言う。以下では、仮想空間において、電界強度を計算する点を「電界計算点」と表記し、磁界強度を計算する点を「磁界計算点」と表記する。
FDTD法では、より具体的には、仮想空間内に直方体状の複数のセルが設定される。各セルには、自セルに多く含まれている媒体(物体又は空気)の媒質に応じた電気定数、例えば、誘電率、透磁率、及び、導電率が、付与される。そして、各セルの各辺の中心には、電界計算点が配置され、各セルの各面の中心には、磁界計算点が配置される。FDTD法では、このようにして電界計算点と磁界計算点とが離散的に配置される。なお、仮想空間内に電界計算点と磁界計算点とを配置することは、「空間の離散化」と称されている。
また、FDTD法では、波源の位置、波源の大きさ、タイムステップの大きさが与えられると、或るタイムスパン内で、電界計算点での電界強度と、磁界計算点での磁界強度とが、繰り返し算出される。具体的には、電界計算点での電界強度は、その電界計算点で1タイムステップ前に算出された電界の強度と、その電界計算点の直近の磁界計算点で半タイムステップ前に算出された磁界強度とに基づいて、求められる。逆に、磁界計算点での磁界強度は、その磁界計算点で1タイムステップ前に算出された磁界強度と、その磁界計算点の直近の電界計算点で半タイムステップ前に算出された電界強度とに基づいて、求められる。なお、半タイムステップごとに電界強度と磁界強度とを交互に算出する方法は、蛙跳び算法(リープフロッグアルゴリズム)と称されている。
特開2007−304952号公報
多層プリント配線板は、導体層と誘電体層とを備えている。導体層は、二次元の回路パターンが形成された導体と絶縁体とを含んでいる。誘電体層は、絶縁体を含んでいる。多層プリント配線板では、導体層と誘電体層は、厚み方向において、交互に配置されている。また、誘電体層は、更に、特定の導体層内の導体同士、又は、全ての導体層内の導体同士を接続するための導体であるビアを、含んでいる。前述したFDTDシミュレータは、この種の多層プリント配線板を設計するためにも、使用される。なお、多層プリント配線板は、単層のプリント配線板に比べて、導体層の数が多い。このため、FDTDシミュレータは、多層プリント配線板の形状が定義された仮想空間を離散化する場合、単層のプリント配線板に比べて、膨大な数のセルを設定することとなる。
既存のFDTDシミュレータは、プリント配線板と平行な平面内においては、回路配線の縁とセルの辺とが一致するように、セルを設定する。これにより、配線の輪郭形状が、セルの辺によって正確にトレースされる。例えば、図25に示すように、互いに平行な短冊状の2本の回路配線61、62が、その短尺方向において互いに離れて並ぶとともに、その長尺方向において僅かに重複している場合がある。この場合、既存のFDTDシミュレータは、重複部分の幅を持つ微細なセルを設定することにより、2本の回路配線61、62と同じ形状で同じ大きさのセル群66、67に、2本の回路配線61、62と同じ電気定数を付与することができる。
つまり、既存のFDTDシミュレータは、前述したトレースを行うために、微細なセルを設定するものとなっている。このため、回路パターンの緻密さが増すと、セルの数が増加し、その結果として、電磁界の強度の算出時間が増加してしまうという問題があった。
また、いわゆるクーラン条件により、タイムステップの大きさの上限は、最小のセルの大きさに比例する。このため、前述したトレースのために微細なセルが設定されてしまうと、タイムステップの大きさも小さくせざるを得ない。これにより、タイムステップ数が増加することとなるため、電磁界の強度の算出時間が増加してしまうという問題があった。
また、既存のFDTDシミュレータは、セルの辺の位置を決める際に、回路配線の縁を検出する処理を行うため、回路パターンが緻密であると、空間を離散化する処理自体にも時間が掛かることとなる。
本発明の一態様は、前述したような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、プリント配線板の形状が定義された仮想空間の離散化と電磁界の強度の算出とに掛かる時間を低減させることにある。
本発明の一態様である電磁界シミュレータは、前述した課題を解決するため、コンピュータに、以下の複数の手順を実行させることを、特徴としている。この複数の手順とは、すなわち、プリント配線板の導体層及び誘電体層に含まれる導体及び絶縁体の形状を仮想空間内に定義するデータを受け付ける受付手順、仮想空間に複数のセルを設定する場合に、プリント配線板の厚さ方向においては導体層と誘電体層の境界面上にセルの節点を配置
するとともに、プリント配線板と平行な面内においてはセルの節点を等間隔に配置する設定手順、仮想空間に設定された各セルに対し、自セルに多く包含される媒質の電気定数を付与する付与手順、及び、電気定数が付与された各セルにおける電磁界の強度の時間的推移を算出する算出手順である。
この電磁界シミュレータによれば、コンピュータは、所定の仮想空間に複数のセルを設定する場合に、プリント配線板と平行な面内においてはセルの節点を等間隔に配置する。このため、プリント配線板と平行な面内において、微細なセルが生成されることがなくなる。また、回路配線の縁を検出する処理も行わなくて済む。
従って、本発明の一態様によれば、プリント配線板の形状が定義された仮想空間の離散化と電磁界の強度の算出とに掛かる時間が低減されるようになる。
本実施形態であるシミュレーション装置の構成を示す図 FDTD法におけるセルと電界計算点と磁界計算点との関係を模式的に示す図 FDTDシミュレータに従ってCPUが実行するメインルーチンの流れを示す図 事前処理サブルーチンの流れを示す図 離散化条件入力画面の一例を示す図 選択画面の一例を示す図 セル設定サブルーチンの流れを示す図 多層プリント配線板の形状が定義されている仮想空間にセルの節点が配置された状態の一例を、厚さ方向に直交する方向に視線を向けてみたときの図 多層プリント配線板の形状が定義されている仮想空間にセルの節点が配置された状態の一例を、厚さ方向に直交する方向に視線を向けてみたときの図 (a)導線幅が60μmである回路配線が50μm×50μmのセル上でモデル化された状態を示す図、(b)導線幅が60μmである回路配線が40μm×40μmのセル上でモデル化された状態を示す図 多層プリント配線板の形状が定義されている仮想空間にセルの節点が配置された状態の一例を、厚さ方向に視線を向けてみたときの図 (a)仮想空間内に定義された或る回路パターンと本実施形態のFDTDシミュレータが設定したセルとの関係を示す図、(b)回路配線の電気定数が付与されたセルを示す図 (a)ビアとビアの電気定数が付与されたセルとの関係を示す図、(b)ビアの電気定数が付与される領域が角柱状に調節された後にその電気定数が付与されたセルを示す図 (a)ビアとセルとの関係を示す図、(b)ワイヤ状に近似されたビアとセルとの関係を示す図 セル情報確認画面の一例を示す図 外径が0.15mmであるとともに内径が0.102mmであるスルーホールビアがモデル化された例を示す図 図16に示されたモデルを評価するために用いる解析空間の斜視図 図17の解析空間を、ビアの中心軸方向に視線を向けてみたときの図 図17の解析空間を、ビアの中心軸に直交する方向に視線を向けてみたときの図 図16に示されたモデルのインピーダンスの虚数部と信号電圧の周波数との関係を示すグラフ 角柱モデルとワイヤモデルとを評価するために用いる解析空間を、ビアの中心軸方向に視線を向けてみたときの図 角柱モデルとワイヤモデルとを評価するために用いる解析空間を、ビアの中心軸に直交する方向に視線を向けてみたときの図 角柱モデルとワイヤモデルの反射損失と信号電圧の周波数との関係を示すグラフ 変形形態であるシミュレーション装置の構成を示す図 (a)回路パターンの一例を示す図、(b)既存のFDTDシミュレータが(a)に例示された回路パターンに対して設定したセルの一例を示す図
以下、本実施形態であるシミュレーション装置について、添付図面を参照しながら、説明する。
なお、以下に説明するシミュレーション装置は、あくまでも実施形態であり、本発明の一態様である電磁界シミュレータ、他の態様である電磁界シミュレーション装置、及び、その他の態様が、以下に説明する具体的な技術事項に限定されるものではない。
《構成》
図1は、本実施形態であるシミュレーション装置10の構成を示す図である。
シミュレーション装置10は、後述のFDTD[Finite Difference Time Domain]シ
ミュレータ13が導入されたパーソナルコンピュータである。シミュレーション装置10は、出力デバイス10aと、操作デバイス10bと、これらデバイス10a、10bが接続された本体とを、備えている。出力デバイス10aとしては、例えば、スピーカ付き液晶ディスプレイがある。操作デバイス10bとしては、例えば、キーボード及びマウスがある。本体は、ビデオ制御ユニット10c、入力制御ユニット10d、通信ユニット10e、ストレージユニット10f、CPU[Central Processing Unit]10g、及び、メ
インメモリユニット10hを、内蔵している。
ビデオ制御ユニット10cは、CPU10gから渡される音声情報及び描画情報に基づいて音声映像信号を生成して出力デバイス10aに出力する。なお、出力デバイス10aは、ビデオ制御ユニット10cから入力された音声映像信号に基づいて音声映像を出力する。
入力制御ユニット10dは、操作デバイス10bに対してなされた操作を検出して、操作がなされた旨とその操作の種類とをCPU10gに通知する。
通信ユニット10eは、ネットワーク内の中継装置と有線又は無線にて通信する。通信ユニット10eとしては、例えば、イーサネット(米国ゼロックス社の商標)カード、FC[Fiber Channel]カード、ATM[Asynchronous Transfer Mode]カード、トークン
リングカード、FDDI[Fiber-Distributed Data Interface]カード、無線LAN[Local Area Network]カード、Bluetooth(ブルートゥース特別利益団体の商標)カード、データ通信カード、モデムカードがある。なお、通信ユニット10eは、例えば、PCカードスロット、PCIカードスロット、USBスロット、SCSI[Small Computer System Interface]スロット、AGP[Accelerated Graphics Port]スロット、CF[CompactFlash]カードスロット、SDカードスロットを介して、シミュレーション装置10の本体に外部から接続されるタイプのものであってもよい。中継装置としては、例えば、スイッチングハブ、ルータ、FCスイッチ、FDDIスイッチ、ATMスイッチ、無線ハブ、無線LANルータ、携帯電話中継器(回線補償器)、PHS[Personal Handy
phone System]用電波中継器(レピータ)、TA[Terminal Adapter]がある。
ストレージユニット10fは、各種のプログラム及び各種のデータが記録される記録媒体を、備えている。ストレージユニット10fは、CPU10gからの指示に従って、記録媒体にデータを書き込んだり、記録媒体からデータを読み出したりする。ストレージユニット10fとしては、例えば、SSD[Solid State Drive]装置、HDD[Hard Disk
Drive]装置、BD[Blu-ray Disk]ドライブ装置、DVD[Digital Versatile Disk]ドライブ装置、+R/+RWドライブ装置、CD[Compact Disk]ドライブ装置、メモリーカードドライブ装置、及び、フレキシブルディスクドライブ装置がある。また、記録媒体としては、例えば、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ)、ハードディスク、BD、DVD、+R/+RW、CD、メモリーカード、及び、フレキシブルディスクがある。BDとしては、例えば、BD−R、BD−RE[Rewritable]、及び、BD−ROM[Read Only Memory]がある。DVDとしては、例えば、DVD−R[Recordable]、DVD−RW[Rewritable]、DVD−ROM、及び、DVD−RAM[Random Access Memory]がある。CDとしては、例えば、CD−R、CD−RW、及び、CD−ROMがある。メモリーカードとしては、コンパクトフラッシュ(米国サンディスク社の商標)、スマートメディア(東芝社の商標)、SDカード(米国サンディスク社、松下電器産業社、東芝社の商標)、メモリースティック(ソニー社の商標)、MMC(米国ジーメンス社、米国サンディスク社の商標)がある。以上に例示した記録媒体は、ドライブ装置に対して着脱自在に装着されるものであってもよいし、ドライブ装置内に固定的に装着されたものであってもよい。何れにしても、以上に例示した記録媒体は、コンピュータ可読媒体である。
CPU10gは、ストレージユニット10f内のプログラムに従って処理を行う。また、CPU10gは、プログラムやデータをメインメモリユニット10hにキャッシュしたり、メインメモリユニット10hに作業領域を展開したりする。メインメモリユニット10hとしては、例えば、DRAM[Dynamic Random Access Memory]、及び、SRAM[Static Random Access Memory]がある。
シミュレーション装置10のストレージユニット10fには、オペレーティングシステム11、三次元CAD[Computer Aided Design]データ12、及び、FDTDシミュレ
ータ13が、記録されている。
なお、以下では、ソフトウエア、アプリケーション、モジュール、及び、コンポーネント等のプログラムの名称は、そのプログラムがCPU10gによって実行されることによって実現される機能そのものの名称として、取り扱うこともある。
オペレーティングシステム11は、ソフトウエアとハードウエアの仲介、メモリ空間の管理、ファイル管理、プロセス管理、及び、タスク管理を主に行う。本実施形態では、オペレーティングシステム11は、通信ユニット10eのドライバと、通信インターフェースとを、含んでいる。通信インターフェースは、ネットワーク上の他のコンピュータの通信インターフェースとデータの遣り取りを行う。通信インターフェースとしては、例えば、TCP/IP[Transmission Control Protocol/Internet Protocol]スイートがある
なお、後述の三次元CADデータ12、及び、後述のFDTDシミュレータ13は、通信インターフェース、ドライバ、及び、通信ユニット10eを介して、ネットワーク上の他のコンピュータからストレージユニット10f内の記録媒体にダウンロードされたものであってもよい。また、後述の三次元CADデータ12、及び、後述のFDTDシミュレータ13は、先に例示した記録媒体に他のコンピュータによって格納され、その記録媒体
がドライブ装置に装着されることによって、シミュレーション装置10に導入されたものであってもよい。また、後述の三次元CADデータ12、及び、後述のFDTDシミュレータ13は、先に例示した記録媒体に他のコンピュータによって格納され、その記録媒体が装着されたドライブ装置から、ストレージユニット10f内の記録媒体に複製されたものであってもよい。
三次元CADデータ12は、ベクトルデータと属性データとを含んでいる。ベクトルデータは、工業製品に含まれる1個以上の部品の三次元形状を仮想空間内に定義するためのデータである。属性データは、各部品の材質を示す。本実施形態では、三次元CADデータ12内のベクトルデータは、多層プリント配線板に含まれる導体と誘電体の輪郭形状を仮想空間内に定義するための線分要素及び面要素を規定するデータとなっている。線分要素としては、例えば、仮想空間に定義された三次元座標系(xyz直交座標系)における二端点の座標の組み合わせがある。また、面要素としては、例えば、仮想空間に定義された三次元座標系における3個以上の頂点の座標の組み合わせがある。また、本実施形態において、三次元CADデータ12内の属性データは、導体、誘電体、及び、空気についての少なくとも誘電率、透磁率、及び、導電率を含んでいる。なお、多層プリント配線板は、導体層と誘電体層とを備えている。導体層は、二次元の回路パターンが形成された導体と絶縁体を含んでおり、電源層、グランド層、又は、信号層として用いられる。誘電体層は、絶縁体を含んでいる。多層プリント配線板では、導体層と誘電体層は、厚み方向において、交互に配置されている。また、誘電体層は、更に、特定の導体層内の導体同士、又は、全ての導体層内の導体を接続するための導体であるビアを、含んでいる。本実施形態では、三次元CADデータ12は、他のコンピュータのCADアプリケーションを用いて作成されたものであってもよいし、後述のFDTDシミュレータ13に連繋ツールとして備えられた図示せぬCADアプリケーションを用いて作成されたものであってもよい。
FDTDシミュレータ13は、FDTDシミュレーションを行うための機能をパーソナルコンピュータに附加するためのソフトウエアである。本実施形態におけるFDTDシミュレータは、多層プリント配線板の内部又はその板の外部の空間における電磁界(電磁場)の様子を、後述のFDTD法を用いてコンピュータ上に再現する。より具体的には、FDTDシミュレータ13は、多層プリント配線板内の導体を通る電気信号の様子、又は、多層プリント配線板から外部空間に放射される電磁波の様子を、再現する。なお、外部空間への電磁波の放射の要因としては、例えば、電源層やグランド層に形成されたスリット、電源層とグランド層とのプレーン共振、導体層における回路パターンそのものがある。FDTDシミュレータ13は、例えば、操作デバイス10bを操作する操作者から直接起動が指示されると、その指示をトリガとしてCPU10gに起動されるようになっている。FDTDシミュレータ13に従ってCPU10gが実行する処理の内容については、図3乃至図14を用いて後述する。
《FDTD法》
次に、FDTDシミュレータ13による処理の内容を説明する前に、FDTD法について説明する。
FDTD法は、物理的な物体の形状が定義された仮想空間(解析空間)内に、電界強度を計算する点と磁界強度を計算する点とを離散的に配置し、時間軸に沿って電界強度と磁界強度とを交互に算出する方法を言う。電界強度と磁界強度は、マックスウェル方程式を用いて算出される。
〈マックスウェル方程式の変形〉
マックスウェル方程式は、電磁気の現象を理論的に説明するのに利用される基本方程式である。物質中のマックスウェル方程式には、以下の式(1)乃至式(4)の方程式が含
まれる。
Figure 0005332731
以上の式(1)乃至式(4)のうち、式(1)は、ファラデーの法則(電磁誘導の法則)を表す方程式である。式(2)は、拡張されたアンペールの法則を表す方程式である。式(3)は、電界に関するガウスの法則を表す方程式である。式(4)は、磁界に関するガウスの法則を表す方程式である。ここで、太字斜体のBは、(x,y,z)の位置における或る時刻tでの磁束密度を表し、その単位は、[Wb/m]である。太字斜体のHは、(x,y,z)の位置における或る時刻tでの磁界強度を表し、その単位は、[A/m]である。太字斜体のDは、(x,y,z)の位置における或る時刻tでの電束密度を表し、その単位は、[C/m]である。太字斜体のJは、(x,y,z)の位置における或る時刻tでの電流密度を表し、その単位は、[A/m]である。ρは、(x,y,z)の位置における電荷密度であり、その単位は、[C/m]である。
また、マックスウェル方程式の利用においては、以下の式(5)乃至式(7)の方程式が、補助的に利用される。
Figure 0005332731
以上の式(5)乃至式(7)のうち、式(5)は、媒質が等方的且つ非分散的である場合での電束密度Dと電界強度Eとを関連付ける構成方程式である。式(6)は、媒質が等方的且つ非分散的である場合での磁束密度Bと磁界強度Hとを関連付ける構成方程式である。式(7)は、オームの法則を表す方程式である。ここで、太字斜体のEは、(x,y,z)の位置における或る時刻tでの電界強度を表し、その単位は、[V/m]である。εは、(x,y,z)の位置における物質の誘電率であり、その単位は、[F/m]である。μは、(x,y,z)の位置における物質の透磁率であり、その単位は、[H/m]である。σは、(x,y,z)の位置における物質の導電率であり、その単位は、[S/m]である。
そして、電界強度Eと磁界強度Hの導出のため、マックスウェル方程式のうち、式(1)及び式(2)を、式(3)乃至式(7)を用いて、電界強度Eと磁界強度Hのみを含む式に変形すると、以下の式(8)及び式(9)の通りとなる。
Figure 0005332731
以上の式(8)及び式(9)において、電界強度Eと磁界強度Hは、前述したとおり、位置(x,y,z)と時間tを変数とする関数となっている。これに対し、誘電率εと透磁率μと導電率σは、位置(x,y,z)を変数とする関数となっている。従って、或る位置(x,y,z)における電界強度Eと磁界強度Hは、基本的には、或る時刻tでの式(8)及び式(9)の連立方程式を解くことによって、得られることとなる。
〈時間の離散化〉
FDTD法では、或る時刻tでの式(8)及び式(9)の連立方程式は、中心差分法を利用して、解かれる。ここで、差分法とは、変数軸上に幾つかの離散点をとり、微分可能な関数の或る離散点での微分を差分方程式に置換し、差分方程式を解くことによって近似解を得る方法を言う。また、差分方程式とは、微分可能な関数f(q)が2個の変数値q、q+rに対してとる値の差分f(q+r)−f(q)を、変数値の差分rで除算する方程式を言う。中心差分法は、或る離散点qでの関数f(q)の解を、次の離散点との中間点q+r/2での関数f(q+r/2)と、前の離散点との中間点q−r/2での関数f(q−r/2)との差分により得る方法である。
いま、タイムステップの大きさ(時間間隔)をΔt[sec]とし、時間軸上においてΔ
tの間隔に離散点をとって時間を離散化したとする。すなわち、時間軸上における離散点の時刻tが、0、Δt、2Δt、……、(n−1)Δt、nΔt、(n+1)Δt、……をとるとする。ここで、時刻t=nΔtでの電界強度Eと磁界強度Hとを、E、Hと表現する。そして、時刻t=nΔtでの式(8)の左辺、すなわち、磁界強度Hの時間微分を、中心差分法での差分方程式に置換すると、以下の式(10)の通りとなる。
Figure 0005332731
また、以上の式(10)において磁界強度Hの計算時刻が電界強度Eの計算時刻に対して半タイムステップずれていることに鑑みて、時刻t=(n−1/2)Δtでの式(9)の左辺、すなわち、電界強度En−1/2の時間微分を、差分方程式に置換すると、以下の式(11)の通りとなる。
Figure 0005332731
ここで、式(10)と式(11)との関係から、電界強度Eの計算時刻に半タイムステップが存在しないとして、以下の式(12)にて示す近似式を用いる。
Figure 0005332731
この式(12)を、式(11)に代入すると、式(13)の通りとなる。
Figure 0005332731
そして、式(10)と式(13)とをそれぞれ変形すると、以下の式(14)と式(15)の通りとなる。
Figure 0005332731
〈空間の離散化〉
FDTD法では、前述したように、物理的な物体の形状が定義された仮想空間(解析空間)内に、電界強度を計算する点と磁界強度を計算する点とが離散的に配置される。以下では、仮想空間において、電界強度を計算する点を「電界計算点」と表記し、磁界強度を計算する点を「磁界計算点」と表記する。FDTD法では、具体的には、物理的な物体の形状が定義された仮想空間に直方体状の複数のセルが設定される。各セルには、自セルに多く含まれている媒体(物体又は空気)の媒質に応じた電気定数、すなわち、誘電率、透
磁率、及び、導電率が、付与される。そして、各セルの各辺の中心には、電界計算点が配置され、各セルの各面の中心には、磁界計算点が配置される。つまり、FDTD法では、セルが仮想空間内に設定されることにより、電界計算点と磁界計算点とが離散的に配置される。
図2は、FDTD法におけるセルと電界計算点30eと磁界計算点30hとの関係を模式的に示す図である。
図2において、黒丸は、電界計算点30eを示し、白丸は、磁界計算点30hを示している。なお、図2では、理解を容易にするため、電界計算点30eと磁界計算点30hは、それぞれ4個のみ示されている。図2に示すように、電界計算点30eは、各セルの各辺の中心に配置されている。また、磁界計算点30hは、各セルの各面の中心に配置されている。このため、電界計算点30eにとって最も近くに存在する磁界計算点30hは、その電界計算点30eが中心に配置された1辺において互いに接する4面の中心にある。また、磁界計算点30hにとって最も近くに存在する電界計算点は、その磁界計算点30hが中心に配置された1面の縁の4辺の中心にある。
いま、各セルの頂点を「節点」と表記し、x方向、y方向、z方向における座標原点側からの各節点の順番をそれぞれi、j、kと表現することとする。但し、i、j、kは、ゼロ以上の整数である。すると、例えば、(i+1/2,j,k)の位置にある電界計算点30eにとって最も近くに存在する磁界計算点30hの位置は、(i+1/2,j+1/2,k)、(i+1/2,j−1/2,k)、(i+1/2,j,k+1/2)、(i+1/2,j,k−1/2)と表現される。また、例えば、(i+1/2,j+1/2,k)の位置にある磁界計算点30hにとって最も近くに存在する電界計算点30eの位置は、(i+1/2,j,k)、(i,j+1/2,k)、(i+1,j+1/2,k)、(i+1/2,j+1,k)と表現される。
ここで、位置(i,j,k)における時刻t=nΔtでの電界強度を、E(i,j,k)と表現し、磁界強度を、H(i,j,k)と表現する。また、x方向、y方向、z方向の単位ベクトルを、それぞれ、太字斜体のi、j、kと表記することとする。更に、電界強度Eのx成分、y成分、z成分をそれぞれ、E、E、Eと表記し、磁界強度Hのx成分、y成分、z成分をそれぞれ、H、H、Hと表記する。すると、電界強度Eと磁界強度Hの回転(rot)は、それぞれ、以下の式(16)と式(17)のよ
うに展開される。
Figure 0005332731
以上の式(16)を用いると、式(14)のz成分は、以下の式(18)の通りとなる。
Figure 0005332731
ここで、セルのx方向、y方向、z方向の大きさをそれぞれ、Δx、Δy、Δzと表記することとする。そして、例えば(i+1/2,j+1/2,k)の位置にある磁界計算点30hについての式(18)を、電界強度Eのx成分とy成分の微分をそれぞれ差分方程式に置換することにより、展開する。すると、式(19)の通りとなる。
Figure 0005332731
図2における(i+1/2,j+1/2,k)の位置と、この位置に存在する磁界計算点30hに最も近い4個の電界計算点30eの位置との関係から、次のことが明らかである。すなわち、式(19)は、磁界計算点30hでの磁界強度Hn+1/2が、その磁界計算点30hで1タイムステップ前に算出された磁界強度Hn−1/2と、その磁界計算点30hに最も近い4個の電界計算点30eで半タイムステップ前に算出された電界強度Eとに基づいて求まることを、意味している。なお、透磁率μと、セルのx方向、y方向、z方向の大きさΔx、Δy、Δzとは、何れも、位置(i,j,k)を変数とする関数となっている。
式(19)導出と同様の議論により、例えば(i+1/2,j,k+1/2)の位置にある磁界計算点30hについての式(14)のy成分は、以下の式(20)の通りとなる。
Figure 0005332731
また、例えば(i,j+1/2,k+1/2)の位置にある磁界計算点30hについての式(14)のx成分は、以下の式(21)の通りとなる。
Figure 0005332731
FDTD法では、これら式(19)乃至式(21)の3つの展開式のうちの何れかにより、磁界計算点30hの各時刻での磁界強度Hが算出されることとなる。また、図2の矢印で示すように、磁界計算点30hでの磁界強度Hは、その磁界計算点30hが中心に配置された面の法線方向の成分のみ算出すればよいこととなる。
また、式(17)を用いると、式(15)のx成分は、以下の式(22)の通りとなる。
Figure 0005332731
そして、例えば(i+1/2,j,k)の位置にある磁界計算点30hについての式(22)を、磁界強度Hのy成分とz成分の微分をそれぞれ差分方程式に置換することにより、展開する。すると、式(23)の通りとなる。
Figure 0005332731
図2における(i+1/2,j,k)の位置と、この位置に存在する電界計算点30eに最も近い4個の磁界計算点30hの位置との関係から、次のことが明らかである。すなわち、式(23)は、電界計算点30eでの電界強度Eが、その電界計算点30eで1タイムステップ前に算出された電界強度En−1と、その電界計算点30eに最も近い4個の磁界計算点30hで半タイムステップ前に算出された磁界強度Hn−1/2とに基づいて求まることを、意味している。なお、誘電率εと、導電率σと、セルのx方向、y方向、z方向の大きさΔx、Δy、Δzとは、何れも、位置(i,j,k)を変数とする関数となっている。
式(23)導出と同様の議論により、例えば、(i,j+1/2,k)の位置にある電界計算点30eについての式(15)のy成分は、以下の式(24)の通りとなる。
Figure 0005332731
また、例えば、(i,j,k+1/2)の位置にある電界計算点30eについての式(15)のz成分は、以下の式(25)の通りとなる。
Figure 0005332731
FDTD法では、これら式(23)乃至式(25)の3つの展開式のうちの何れかにより、電界計算点30eの各時刻での電界強度Eが算出されることとなる。また、図2の矢印で示すように、電界計算点30eでの電界強度Eは、その電界計算点30eが中心に配置された辺と平行な方向の成分のみ算出すればよいこととなる。
《シミュレーション処理》
図3は、FDTDシミュレータ13に従ってCPU10gが実行するメインルーチンの流れを示す図である。
メインルーチンの開始後、最初のステップS101では、CPU10gは、三次元CA
Dデータ12を受け付ける処理を行う。具体的には、CPU10gは、図示せぬファイルパス入力画面を出力デバイス10aに表示する処理を行い、図示せぬファイルパス入力画面に含まれるインポートボタンが、操作デバイス10bを操作する操作者によってクリックされるまで待機する。その後、操作デバイス10bを操作する操作者によってインポートボタンがクリックされると、CPU10gは、図示せぬファイルパス入力画面に含まれる入力欄に操作者によって入力されたファイルパスを取得する。そして、CPU10gは、取得したファイルパスにて所在が特定される三次元CADデータ12をストレージユニット10fから読み出す処理を行う。
なお、このステップS101は、前述した受付手順の一例である。
次のステップS102では、CPU10gは、ステップS101で受け付けた三次元CADデータ12に基づいて、仮想空間内に定義された物体のCG[Computer Graphics]
をワイヤーフレームモデル又はサーフィスモデルとして表示する処理を行う。前述したように、本実施形態では、仮想空間内に定義された物体は、多層プリント配線板となっている。従って、このステップS102では、多層プリント配線板に含まれる導体と誘電体の輪郭が出力デバイス10aに表示されることとなる。なお、CGが表示される画面、又は、その画面の周辺には、そのCGに対する視線の方向や視点の深度を変更するための手段、及び、そのCGの表示倍率を変更するための手段が、備えられている。この種の手段としては、例えば、マウスドラッグ、及び、スライドバーがある。
次のステップS103では、CPU10gは、事前処理サブルーチンを呼び出して実行する。事前処理サブルーチンは、電磁界の強度を算出する前に行っておくべき処理、すなわち、空間の離散化を行うための処理である。
図4は、事前処理サブルーチンの流れを示す図である。
事前処理サブルーチンの開始後、最初のステップS201では、CPU10gは、離散化条件入力画面を出力デバイス10aに表示する処理を行う。離散化条件入力画面は、空間の離散化に必要な情報を条件として入力するための画面である。ステップS201では、具体的には、CPU10gは、図5に例示されるような離散化条件入力画面41を表示する処理を行う。離散化条件入力画面41は、多層プリント配線板の厚さ方向におけるセルの大きさの上限値を入力するための入力欄、例えば、テキストボックス41aを、備えている。また、離散化条件入力画面41は、多層プリント配線板に含まれるビアを角柱モデルにて近似するか、ワイヤモデルで近似するかを選択するための選択手段、例えば、一対のラジオボタン41bを、備えている。なお、ビアの角柱モデルへの近似は、一般的な電磁波の解析に適しており、一方、ビアのワイヤモデルへの近似は、電源層とグランド層とのプレーン共振により放射される電磁波の解析に適している。その理由については、後述する。また、離散化条件入力画面41は、仮想空間を離散化する処理を開始させるための指示手段、例えば、入力ボタン41cを、備えている。CPU10gは、図5に例示されるような離散化条件入力画面41を表示する処理を行った後、仮想空間の離散化が指示手段を通じて指示されるまで、待機する。そして、操作デバイス10bを操作する操作者が、厚さ方向のセルの大きさの上限値を入力欄に入力し、ビアの近似方法を選択手段を通じて決定し、その後、仮想空間の離散化が指示手段を通じて指示されると、CPU10gは、次のステップS202へ処理を進める。
ステップS202では、CPU10gは、後述のセル設定サブルーチンにおいて使用される等間隔範囲を取得する処理を行う。ここで、等間隔範囲とは、多層プリント配線板と平行な面内において、前述したセルの節点が等間隔に配置される範囲を言う。ステップS103では、具体的には、CPU10gは、まず、図6に例示されるような選択画面42
を出力デバイス10aに表示する処理を行う。選択画面42は、等間隔範囲をシミュレーション装置10に自動的に決定させるか、操作者が任意の範囲を等間隔範囲として自主的に決定するかを選択するための選択手段、例えば、一対のラジオボタン42aを、備えている。また、選択画面42は、選択手段を通じて選択された決定手法を開始させるための指示手段、例えば、選択ボタン42bを、備えている。そして、操作デバイス10bを操作する操作者が、等間隔範囲をシミュレーション装置10に自動的に決定させることを選択した場合、CPU10gは、多層プリント配線板と平行な面にこの板を投影したときの輪郭を含む最も小さい矩形の範囲を、等間隔範囲として決定する。一方、操作者が、任意の範囲を等間隔範囲として自主的に決定することを選択した場合、CPU10gは、図3のステップS102で表示した多層プリント配線板のCGに対してマウスドラッグがなされるまで待機する。そして、多層プリント配線板と平行な面に対し、操作者がマウスドラッグにより任意の矩形範囲を決定すると、CPU10gは、この任意の矩形範囲を等間隔範囲として受け付ける。
次のステップS203では、CPU10gは、セル設定サブルーチンを呼び出して実行する。セル設定サブルーチンは、仮想空間内にセルを設定するための処理である。
図7は、セル設定サブルーチンの流れを示す図である。
セル設定サブルーチンの開始後、最初のステップS301では、CPU10gは、図3のステップS101で受け付けた三次元CADデータに基づいて、多層プリント配線板の厚さ方向における多層プリント配線板の一方側の縁から他方側の縁までの区間を、物体区間として決定する。
次のステップS302では、CPU10gは、ステップS301で決定した物体区間の内側にXY面を配置する。ここで、XY面は、セルの節点を配置するための仮想的な面であり、多層プリント配線板と平行な面となっている。このステップS302では、CPU10gは、図3のステップS101で受け付けた三次元CADデータに基づいて、多層プリント配線板の導体層と誘電体層との境界面を特定する。そして、CPU10gは、特定した境界面に一致するように、XY面を配置する。また、CPU10gは、特定した境界面同士の間隔が、図4のステップS201で受け付けた厚さ方向におけるセルの大きさの上限値を超えている場合、XY面の間隔が上限値を超えないようにするため、1枚以上のXY面を境界面の間に等間隔に配置する。このとき、CPU10gは、仮想空間内に設定されるセル数をできるだけ減らすため、XY面の間隔を上限値に対して超過させることなく、境界面の間のXY面の枚数が最も少なくなるよう、調整する。図8は、多層プリント配線板の形状が定義された仮想空間にセルの節点が配置された状態の一例を、厚さ方向に直交する方向に視線を向けてみたときの図である。図8では、多層プリント配線板の外部の空間に配置されたセルの節点と、導体層及び誘電体層との関係が明確となるよう、多層プリント配線板の縁を含む部分が拡大されている。なお、図8における上下方向(z方向)が、多層プリント配線板の厚さ方向となっている。また、図8では、黒い点が、セルの節点を示している。従って、図8では、横一列に並ぶ節点が、同一のXY面に属する節点となっている。図8に示すように、XY面は、導体層と誘電体層との境界面に対して一致するように、配置されている。
次のステップS303では、CPU10gは、ステップS301で決定した物体区間の外側にXY面を配置する。このとき、CPU10gは、XY面の間隔が、電磁界の強度の算出における吸収境界、すなわち、仮想空間の外縁に向かって等比級数的に発散するよう、XY面の間隔を調整する。図9は、多層プリント配線板の形状が定義されている仮想空間にセルの節点が配置された状態の一例を、厚さ方向に直交する方向に視線を向けてみたときの図である。図9では、多層プリント配線板の外部の空間に配置されているセルの節
点の間隔が明確となるよう、仮想空間全体が示されている。なお、図9における上下方向(z方向)が、多層プリント配線板の厚さ方向となっている。また、図9でも、黒い点が、セルの節点を示している。図9に示されるように、多層プリント配線板の厚さ方向において、多層プリント配線板の外側には、セルの節点が、互いの間隔が外側に向かって等比級数的に発散するように、配置される。
次のステップS304では、CPU10gは、図3のステップS101で受け付けた三次元CADデータに基づいて、導体層内の導体に形成されている回路パターンおける最小の導体幅を、特定する。
次のステップS305では、CPU10gは、図4のステップS202で取得した等間隔範囲におけるセルの節点の間隔を、決定する。ここで、CPU10gは、等間隔範囲におけるセルの節点の間隔を、ステップS304で特定した最小の導体幅に応じた所定値を越えない範囲(例えば、最小の導体幅の5/6倍以下の範囲)で、決定する。決定方法としては、例えば、CPU10gが、セルの節点の間隔を、自動的に、セルの個数を低減するよう(例えば、最小の導体幅の5/6倍)に決定してもよい。また、例えば、CPU10gが、ダイアログ等の受付手段を通じて、最小の導体幅の5/6倍以下の範囲で操作者に選択させてもよい。なお、所定値は、例えば、回路パターン内の回路配線がモデル化された場合に回路配線モデルが断線しない範囲として定められる。
なお、仮想空間内に設定された複数のセルのうち、回路パターン内の回路配線に対応する位置にあるセルに対し、導体の電気定数を付与することにより、回路配線がモデル化された場合、セルの大きさによって、回路配線モデルが断線したり、回路配線モデルに通される信号の例えばアイパターン上での品質が劣化したりする。例えば、携帯電話機に組み込まれる多層プリント配線板の導線幅には、本願の出願時では、主に60μmが採用されることが多い。そして、導線幅が60μmである回路配線がx方向及びy方向に対して斜めに配置されている多層プリント配線板を含む仮想空間に対し、x方向及びy方向の大きさが50μm×50μmであるセルを設定し、回路配線に対応する位置にあるセルに導体の電気定数を付与することにより、回路配線をモデル化したとする。すると、図10(a)に示すように、回路配線モデル51は、完全に断線してはいないものの、かなり断線に近い状態にある。一方、同じ仮想空間に対し、x方向及びy方向の大きさが40μm×40μmであるセルを設定し、回路配線に対応する位置にあるセルに導体の電気定数を付与することにより、回路配線をモデル化したとする。すると、図10(b)に示すように、回路配線モデル52は、その回路配線モデル52に通される信号の品質を劣化させない程度の太さを、有することとなる。本実施形態のステップS305では、回路配線モデルが完全に断線することのない限界として、等間隔範囲におけるセルの節点の間隔の上限値に、最小の導体幅の5/6倍が、採用されている。なお、FDTDシミュレータ13が、多層プリント配線板の信号の品質を解析するために用いられる場合、等間隔範囲におけるセルの節点の間隔の上限値は、最小の導体幅の4/6倍であってもよい。
次のステップS306では、CPU10gは、ステップS302で仮想空間に配置したXY面のうちの等間隔範囲の内側において、セルの節点を、x方向とy方向の何れにおいても等間隔となるよう、配置する。このとき、CPU10gは、等間隔範囲内に設定されるセル数をできるだけ減らすため、セルの節点の間隔がステップS305で決定した上限値を超えない範囲で、セルの節点の個数が最も少なくなるよう、調整する。つまり、等間隔範囲内において、セルの節点は、最小の導体幅の5/6倍以下の間隔をもって、等間隔に配置される。
次のステップS307では、CPU10gは、ステップS302で仮想空間に配置したXY面のうちの等間隔範囲の外側において、セルの節点を配置する。このとき、CPU1
0gは、XY面の間隔が、電磁界の強度の算出における吸収境界、すなわち、仮想空間の外縁に向かって等比級数的に発散するよう、XY面の間隔を調整する。図11は、多層プリント配線板の形状が定義されている仮想空間にセルの節点が配置された状態の一例を、厚さ方向に視線を向けてみたときの図である。図11では、多層プリント配線板の外部の空間に配置されているセルの節点の間隔が明確となるよう、仮想空間全体が示されている。なお、図11の紙面に直交する方向(z方向)が、多層プリント配線板の厚さ方向となっている。また、図11でも、黒い点が、セルの節点を示している。図11の縦方向及び横方向における節点の間隔と、図9の横方向における節点の間隔とに示されるように、多層プリント配線板と平行な面内における多層プリント配線板の外側では、セルの節点が、互いの間隔が外側に向かって等比級数的に発散するように、配置される。
CPU10gは、以上のステップS301乃至S307を実行することによって、多層プリント配線板の形状が定義された仮想空間にセルの節点を配置し、その後、図7に係るセル設定サブルーチンを終了させる。
なお、以上のステップS301乃至S307(ステップS203)と、図4のステップS201及びS202は、前述した設定手順の一例である。
セル設定サブルーチンが終了すると、CPU10gは、図4に係る事前処理サブルーチンに復帰し、ステップS203からステップS204へ処理を進める。
ステップS204では、CPU10gは、電磁界の強度を計算する時間間隔であるタイムステップの幅を、決定する。具体的には、CPU10gは、図7のステップS302において物体領域内に配置されたXY面の間隔の最小値と、図7のステップS306で等間隔範囲の内側に配置されたセルのx方向及びy方向における間隔の最小値とを、取得する。その後、CPU10gは、x方向、y方向、z方向それぞれのセルの大きさΔx、Δy、Δzの最小値に基づいて、以下の式(26)で表されるCFL[Courant-Friedrich-Levy]条件、すなわち、クーラン条件を満たす最大のタイムステップ幅Δtを、算出する。
Figure 0005332731
以上の式(26)において、cは、自由空間における光速であり、その単位は、[m/s]である。
次のステップS205では、CPU10gは、ステップS203で仮想空間内に設定した各セルに対し、自セルに多く含まれている媒体(導体、絶縁体、又は、空気)の媒質の電気定数、すなわち、誘電率ε、透磁率μ、導電率σを付与する処理を行う。このステップS205によると、導体に形成されている回路パターンは、以下のようにモデル化される。例えば、互いに平行な短冊状の2本の回路配線が、その短尺方向において互いに離れて並ぶとともに、その長尺方向において僅かに重複している導体層に対し、図7のステップS306を行うと、回路配線61、62とセルとの関係は、図12(a)に示すようになる。すなわち、回路配線61、62の縁が、セルの辺によってトレースされてはいない。なお、図12において、格子状の破線がセルの境界を示している。図12(a)のよう
にセルが設定された仮想空間に対し、ステップS205を行うと、図12(b)に示すように、回路配線61、62を多く含むセルに、回路配線61、62の電気定数が付与される。これにより、回路配線61、62は、その電気定数が付与されたセル、すなわち、回路配線モデル63、64としてモデル化される。回路配線モデル63、64の縁は、セルの境界と一致しているため、回路配線61、62における重複部分は、モデル化により除去されることとなる。なお、このようなモデル化により、回路配線の形状は、変形することとなるが、信号周波数がGHzのオーダーであれば、変形量は、信号波長に比べて十分小さいため、パターンから放射される電磁界の強度には、殆ど影響しない。
次のステップS206では、CPU10gは、ビアを近似する処理を行う。具体的には、CPU10gは、まず、図3のステップS101で受け付けた三次元CADデータに基づいて、多層プリント配線板に含まれる円柱状又は円筒状のビアを、特定する。続いて、CPU10gは、ステップS201で受け付けたビアの近似方法が、角柱モデルへの近似であるか、ワイヤモデルへの近似であるかを、判別する。そして、ビアの近似方法が、角柱モデルへの近似である場合、CPU10gは、特定したビアのそれぞれについて、以下の処理を行う。すなわち、CPU10gは、ステップS205でそのビアの媒質の電気定数が付与されたセルを含む最小の角柱状の領域を特定し、特定した角柱状の領域に含まれる全てのセルに対し、同じ電気定数を付与する。例えば、図13(a)では、円筒状のビア71の媒質を多く含むセルに対し、斜線掛けが施されているが、ステップS205では、この斜線掛けが施されているセルに対し、ビア71の媒質の電気定数が付与される。図13(a)に示すように、ビア71を単純にモデル化すると、ビアモデルの厚さ方向(ビア71の中心軸の方向)に垂直な断面の形状は、歪な形となる。また、ビア71がスルーホールビアであれば、貫通孔もモデル化されることとなる。その後のステップS206では、まず、ビアと同一の厚さ方向の高さを有するとともに図13(a)で斜線掛けが施されたセルを含む最小の角柱状の領域が特定される。続いて、特定した角柱状の領域の中心軸に垂直な方向の大きさが、以下のように調節される。すなわち、特定した角柱状の領域の中心軸に垂直な方向の大きさは、ビア71の側面(円柱面)の中心軸に垂直な断面形状である円に内接する四角形よりも大きく、その円に外接する四角形よりも小さくなるよう、調節される。すなわち、角柱状の領域に含まれるセルの個数が調節される。ここで、ビア71がスルーホールビアであれば、内接又は外接の基準となる当該円は、ビア71の内面ではなく、外側の側面の断面形状である。そして、大きさが調節された角柱状の領域に含まれる全てのセルが、1個のセルとなるよう、その領域に含まれるセルの節点が除去される。その後、この角柱状の1個のセルに対し、ビア71の媒質の電気定数が付与される。これにより、円筒状のビア71は、モデル化された後、その電気定数が付与された角柱状の領域、すなわち、1個のセル上に形成された角柱状のビアモデル72に近似される。図13(b)には、角柱状の領域に含まれるセルに対し、斜線掛けが施されている。つまり、図13(b)には、角柱状のビアモデル72の断面形状が、斜線掛けにて示されている。なお、ビアモデル72の断面形状の大きさについて、調節幅が定められる理由、及び、円筒状のビアが穴のない角柱状に近似されてもよい理由については、後述する。一方、ビアの近似方法が、ワイヤモデルへの近似である場合、CPU10gは、特定したビアのそれぞれについて、以下の処理を行う。すなわち、CPU10gは、ステップS205でそのビアの電気定数が付与されたセルに対し、絶縁体の電気定数を付与するとともに、そのビアの中心軸近傍に存在するとともにそのビアと同一の厚さ方向の高さを有するセルの辺に対し、ゼロの電界強度が固定値として付与する。これにより、例えば、図14(a)に示す円筒状のビア71は、モデル化された後、図14(b)に示すような線分状のビアモデル73に近似される。なお、セルの辺に対して導電率などの電気定数を付与することができない。このため、ステップS206では、セルの辺に対し、固定値としてゼロの電界強度が付与される。
なお、ステップS205及びS206は、前述した付与手順の一例である。
次のステップS207では、CPU10gは、セル情報確認画面を出力デバイス10aに表示する処理を行う。セル情報確認画面は、ステップS203で設定したセルに関するセル情報を提示するための画面である。CPU10gは、具体的には、図15に例示されるようなセル情報確認画面43を表示する処理を行う。セル情報確認画面43は、仮想空間に設定されたセルのx方向、y方向、z方向での個数を提示する手段、例えば、テーブル43aを、備えている。また、セル情報確認画面43は、x方向、y方向、z方向のうちの何れかの方向におけるセルの節点の座標と間隔とを提示する提示手段、例えば、テーブル43bを、備えている。なお、提示手段は、各セルに付与された電気定数を提示するものであってもよい。また、提示手段は、ビアの近似がワイヤモデルである場合において、セルの辺に固定値として付与されたゼロの電界強度を提示するものであってもよい。何れにしても、セル情報には、セルの個数、節点の座標、節点の間隔(セルの幅)、各セルに付与された電気定数、セルの辺に固定値として付与されたゼロの電界強度が、含まれる。セル情報確認画面43は、提示手段にセルの節点の座標と間隔とが提示される方向をxyzの中から選択するための選択手段、例えば、3個一組のラジオボタン43cを、備えている。また、セル情報確認画面43は、提示されたセル情報にて示されるセルを確定させるための指示手段、例えば、決定ボタン43dを、備えている。また、セル情報確認画面43は、セル情報を変更してセルを再設定するフェーズに移行するための指示手段、例えば、再設定ボタン43eを、備えている。CPU10gは、図15に例示されるようなセル情報確認画面43を表示する処理を行った後、操作デバイス10bを操作する操作者によって、セルの確定又はセルの再設定が、指示手段を通じて指示されるまで、待機する。そして、セルの確定又はセルの再設定が、指示手段を通じて操作者から指示されると、CPU10gは、次のステップS208へ処理を進める。
ステップS208では、CPU10gは、図15に例示されるようなセル情報確認画面43においてなされた指示が、セルの確定であるか、セルの再設定であるかを、判別する。そして、図15に例示されるようなセル情報確認画面43においてなされた指示が、セルの再設定である場合、CPU10gは、ステップS208から処理を分岐させ、ステップS201へ処理を戻す。一方、図15に例示されるようなセル情報確認画面43においてなされた指示が、セルの確定である場合、CPU10gは、ステップS208からステップS209へ処理を進める。
ステップS209では、CPU10gは、セル情報を、図3のステップS101で受け付けた三次元CADデータ12に関連付けて、ストレージユニット10fに保存する処理を行う。
CPU10gは、以上のステップS201乃至S209を実行することによって、仮想空間内に対するセルの設定を完了させ、その後、図4に係る事前処理サブルーチンを終了させる。
事前処理サブルーチンが終了すると、CPU10gは、図3に係るメインルーチンに復帰し、ステップS103からステップS104へ処理を進める。
ステップS104では、CPU10gは、実行条件入力画面を出力デバイス10aに表示する処理を行う。実行条件入力画面は、電磁界の強度の算出に必要な実行条件、例えば、波源の位置、波源の大きさ、吸収境界条件、タイムスパンの大きさ、その他を受け付けるための画面である。実行条件入力画面は、実行条件を入力するための入力欄を備えている。また、実行条件入力画面は、電磁界の強度の算出を開始させるため指示手段、及び、FDTDシミュレータ13を終了させるための指示手段を、備えている。CPU10gは、実行条件入力画面を表示する処理を行った後、操作デバイス10bを操作する操作者に
よって、電磁界の強度の算出の開始、又は、FDTDシミュレータ13の終了が、指示手段を通じて指示されるまで、待機する。そして、電磁界の強度の算出の開始、又は、FDTDシミュレータ13の終了が、指示手段を通じて操作者によって指示されると、CPU10gは、ステップS105へ処理を進める。
ステップS105では、CPU10gは、ステップS104で表示された実行条件入力画面においてなされた指示が、電磁界の強度の算出の開始であるか、FDTDシミュレータ13の終了であるかを、判別する。そして、ステップS104で表示された実行条件入力画面においてなされた指示が、電磁界の強度の算出の開始である場合、CPU10gは、ステップS105からステップS106へ処理を分岐させる。
ステップS106では、CPU10gは、CPU10gは、先に説明した式(19)乃至式(21)と式(23)乃至式(25)とを用いて、電界計算点30eでの電界強度と磁界計算点30hでの磁界強度とを、ステップS104で受け付けたタイムスパン内で、1タイムステップ進めるごとに算出する。そして、電磁界の強度を算出する処理が終了すると、CPU10gは、ステップS107へ処理を進める。
ステップS107では、CPU10gは、ステップS106で算出した電磁界の強度に基づいて、アニメーション等の表示処理を行う。この表示処理により、多層プリント配線板の内部又はその板の外部の空間における電磁界の様子がコンピュータ上で再現されることとなる。CPU10gは、この表示処理の終了後、ステップS104へ処理を戻し、実行条件入力画面を表示する処理を行う。なお、処理がステップS104に戻るようになっているため、操作者は、実行条件を変えて電磁界シミュレーションを行うことができる。
一方、ステップS104で表示された実行条件入力画面においてなされた指示が、FDTDシミュレータ13の終了である場合、CPU10gは、図3に係るメインルーチンを終了させる。
《ビアの近似》
〈角柱モデル〉
図4のステップS201において、ビアを角柱モデルで近似することが、操作者によって選択された場合、ステップS203及びS205によって、ビア71がモデル化され、その後、ステップS206において、複数のセル上に形成された歪な形状のビアモデルが、1個のセル上に形成された角柱状のビアモデルに近似される。本実施形態では、この近似において、角柱状の領域の中心軸に垂直な方向の大きさが、ビアの側面(円柱面)の断面形状である円に内接する四角形より大きく、その円に外接する四角形より小さくなるよう、調節される。このように、ビアモデルの断面形状の大きさについて、調節幅が定められる理由は、以下の通りである。
図16(a)及び図16(b)は、外径が0.15mmであるとともに内径が0.102mmであるスルーホールビアがモデル化された例を示す図である。図16(c)乃至図16(g)は、図16(b)のビアモデルが近似された例を示す図である。
具体的には、図16(a)は、スルーホールビアが定義された仮想空間を、特にスルーホールビアの周囲が密となるように離散化して、スルーホールビアをモデル化した例を、示している。なお、図16(a)に示した例を、以下、モデル1と表記する。図16(b)は、x方向及びy方向の大きさがともに約0.1mmであるセル上でスルーホールビアをモデル化した例を、示している。なお、図16(b)に示した例を、以下、モデル2と表記する。図16(c)は、x方向及びy方向の大きさがともに約0.1mmであるセル上で、スルーホールビアモデルを、角筒状に近似した例を示している。なお、図16(c
)では、角筒の断面形状における外側の四角形の一辺の長さは、スルーホールビアの外径と同じ0.15mmであり、内側の四角形の一辺の長さは、スルーホールビアの外径と同じ0.102mmである。図16(c)に示した例を、以下、モデル3と表記する。図16(d)は、図16(c)においてビアモデルの形状を角筒状から角柱状に変更した例を、示している。従って、図16(d)では、ビアモデルの断面形状における一辺の長さは、スルーホールビアの外径と同じ0.15mmとなっている。なお、図16(d)に示した例を、以下、モデル4と表記する。図16(e)は、図16(d)においてビアモデルの断面形状の一辺の長さを、スルーホールビアの外径と内径の中間値である0.126mmに変更した例を、示している。なお、図16(e)に示した例を、以下、モデル5と表記する。図16(f)は、図16(d)においてビアモデルの断面形状の一辺の長さを、スルーホールビアの内径である0.102mmに変更した例を、示している。なお、図16(f)に示した例を、以下、モデル6と表記する。図16(g)は、図16(d)においてビアモデルの断面形状の一辺の長さを、0.05mmに変更した例を、示している。なお、図16(g)に示した例を、以下、モデル7と表記する。
図17乃至図19は、図16(a)乃至図16(g)に示したモデル1乃至モデル7を評価するために用いた解析空間を示す図である。図17は、解析空間の斜視図である。図18は、解析空間を、ビアの中心軸方向に視線を向けてみたときの図である。図19は、解析空間を、ビアの中心軸に直交する方向に視線を向けてみたときの図である。
図17乃至図19に示す解析空間には、グランド層と誘電体層と信号層とが順に配置されている。解析空間の厚さ方向の大きさは、1.5mmであり、厚さ方向に直交する方向においては、1.0mm×1.0mmである。グランド層は、厚さが35μmであるとともに導電率が5×10[S/m]である導体81を、含んでいる。誘電体層は、厚さが0.3mmであり、比誘電率が4.2であり、誘電損が0.0である絶縁体を、含んでいる。信号層は、長さが5.075mmであり、幅が0.56mmであり、厚さが35μmであり、導電率が5×10[S/m]であり、特性インピーダンスZが50[Ω]であるマイクロストリップライン(MSL[Micro Strip Line])82を、含んでいる。図16(a)乃至図16(g)に示したモデル1乃至モデル7は、図17乃至図19に示すように、マイクロストリップライン82の先端において、マイクロストリップライン82とグランド層内の導体81とを導通するように、配置される。
図16(a)乃至図16(g)に示したモデル1乃至モデル7の評価は、図19に示した波源位置において500MHzから5GHzまでの周波数の信号電圧を波源として与え、図19に示した電圧観測位置からビア側のインピーダンスを計算することにより、行った。
図20は、図16(a)乃至図16(g)に示したモデル1乃至モデル7のインピーダンスの虚数部と信号電圧の周波数との関係を示すグラフである。
図20に示すグラフにおいて、モデル3とモデル4のグラフは、殆ど重なっている。このことから、スルーホールビアを、角筒状にモデル化しても、貫通孔のない四角柱状にモデル化しても、解析結果には殆ど違いがないことが解る。
また、図20に示すグラフにおけるモデル4乃至モデル7のグラフの関係から、同一の離散化空間においては、角柱状のビアモデルの断面形状を小さくすると、インピーダンスの虚数部が増加する傾向が見受けられる。
そして、同一の離散化空間において、スルーホールビアが単純にモデル化されているモデル2と同等の結果が得られる近似モデルは、モデル4とモデル6との間にあることが解
る。ここで、モデル4の断面形状の一辺の長さは、スルーホールビアの外径と同一の0.15mmであり、モデル6の断面形状の一辺の長さは、スルーホールビアの内径と同一の0.102mmである。ここで、0.15mmの円に内接する四角形の一辺の長さは、0.106mmになる。
従って、図4のステップS206では、特定した角柱状の領域の中心軸に垂直な方向の大きさは、ビア71の側面(円柱面)の中心軸に垂直な断面形状である円に内接する四角形よりも大きく、その円に外接する四角形よりも小さくなるよう、調節されることが望ましい。
また、モデル2と同等の結果が得られる角柱状の近似モデルの断面形状の一辺の長さを求めると、0.133mmとなる。これは、スルーホールビアの外径のほぼ90%である。
従って、図4のステップS206では、特定した角柱状の領域の中心軸に垂直な断面の形状の一辺の長さが、ビア71の外径の90%にできるだけ近づくよう、調節されることがより望ましい。
〈ワイヤモデル〉
本実施形態では、電源層とグランド層とのプレーン共振により放射される電磁波の解析に対しては、ビアのワイヤモデルへの近似が適しているとした。これは、プレーン共振では、プレーンの大きさにより特性が定まり、ビアをワイヤモデルに近似しても影響がないと考えられたからである。そこで、以下に、ワイヤモデルを評価する。
図21及び図22は、角柱モデルとワイヤモデルとを評価するために用いた解析空間を示している。図21は、解析空間を、ビアの中心軸方向に視線を向けてみたときの図である。図22は、解析空間を、ビアの中心軸に直交する方向に視線を向けてみたときの図である。
図21及び図22に示す解析空間には、電源層と誘電体層とグランド層とが順に配置されている。解析空間の厚さ方向の大きさは80mmであり、厚さ方向に直交する方向においては、180mm×120mmである。電源層は、厚さが0μmであるとともに導電率が無限大である完全導体91を、含んでいる。グランド層も、厚さが0μmであるとともに導電率が無限大である完全導体92を、含んでいる。誘電体層は、厚さが336μmであり、比誘電率が4.2であり、導電率が0.00561[S/m]である絶縁体を、含んでいる。なお、ここでは誘電体層の絶縁体について導電率を与えたが、導電率の代わりに誘電損を与えてもよい。
また、電源層とグランド層に含まれる完全導体91、92は、縦40mm横100mmの平板となっている。図21に示すように、電源層の完全導体91における左下隅から右へ6.7mm、上へ7.2mmの地点に、0.5GHzから2.5GHzまでの周波数の信号電圧を波源として与えた。そして、電源層の完全導体91の右上隅から下に4.0mm、左へ5.0mmの地点に、電源層とグランド層とを導通する角柱モデル又はワイヤモデルが置かれたときの反射損失S11[dB]をそれぞれ計算した。なお、角柱モデルの中心軸方向(z方向)の高さは0.336mmであり、中心軸に直交する方向(x方向及びy方向)の大きさは、1.3mm×1.3mmである。また、ワイヤモデルの周辺のセルのx方向及びy方向の大きさは、1.25mm及び1.0mmである。
図23は、角柱モデルとワイヤモデルの反射損失S11と信号電圧の周波数との関係を示すグラフである。
図23に示されるように、角柱モデルとワイヤモデルの共振周波数はよく一致しており、共振周波数での反射損失の誤差は、最大で3%程度となっている。従って、プレーン共振により放射される電磁波の解析においては、ビアをワイヤモデルへ近似して演算時間を短縮しても問題ないことが解る。
《効果》
本実施形態によれば、多層プリント配線板の形状が定義された仮想空間に複数のセルを設定する場合に、プリント配線板と平行な面内においては、セルの節点が等間隔に配置される。このため、プリント配線板と平行な面内において、微細なセルが生成されることがなくなる。また、回路配線の縁を検出する処理も行わなくて済む。従って、プリント配線板の形状が定義された仮想空間の離散化と電磁界の強度の算出とに掛かる時間が低減されるようになる。
また、本実施形態によれば、多層プリント配線板の形状が定義された仮想空間に複数のセルを設定する場合に、導体層と誘電体層の境界面が、セルの辺によって正確にトレースされ、導体層の幅が正確にモデル化される。従って、本実施形態によれば、インピーダンスなどの諸数値の誤差が大きくなってしまうことがない。
また、本実施形態によれば、等間隔範囲におけるセルの節点の間隔が、回路パターンにおける最小の導体幅の5/6倍以下となっている。このため、本実施形態によれば、回路配線をモデル化した場合でも、回路配線モデルが断線することがない。
また、本実施形態によれば、等間隔範囲が選択できるようになっているため、多層プリント配線板において操作者が注目している部分を中心として電磁界解析を行うことができる。
また、本実施形態によれば、セルの節点の間隔が、多層プリント配線板と平行な方向においても、厚さ方向においても、吸収境界に向かって等比級数的に発散するようになっている。これにより、セル数を大幅に減らすことができる。
また、本実施形態によれば、円柱状又は円筒状のビアを、1個のセル上に形成された角柱状のビアモデルに近似することができる。これにより、セルの数が低減されるため、その結果として、電磁界の強度の算出とに掛かる時間が低減されるようになる。また、本実施形態では、角柱状の領域の中心軸に垂直な方向の大きさが、ビア側面の中心軸に垂直な断面の形状である円に対して内接する四角形より大きく、その円に対して外接する四角形より小さくなるよう、調節される。このため、円柱状又は円筒状のビアが角柱モデルに近似された場合でも、インピーダンス等の諸数値が正確に計算できることとなる。
また、電源層とグランド層とのプレーン共振による電磁波の放射を解析する場合に、ビア自身のインピーダンスの影響が大きくなることがある。しかしながら、本実施形態によれば、ビアの中心軸近傍に存在するセルの辺に対して、ゼロの電界強度が固定値として付与される。このため、セル数を大幅に減らすことができる。
《変形形態》
前述した本実施形態は、FDTDシミュレータ13が導入されたパーソナルコンピュータである。すなわち、前述した本実施形態は、ハードウエア要素とソフトウエア要素とを含むものであった。しかしながら、本発明の各態様の実施形態は、ハードウエア要素のみを含むシミュレーション装置であってもよい。
図24は、変形形態であるシミュレーション装置100の構成を示す図である。
変形形態であるシミュレーション装置100は、受付部100a、設定部100b、付与部100c、保存部100d、算出部100e、及び、再現部100fを、含んでいる。受付部100aは、図3のステップS101と同等の処理を行うハードウエアである。設定部100bは、図4のステップS201乃至S203と同等の処理を行うハードウエアである。付与部100cは、図4のステップS205及びS206と同等の処理を行うハードウエアである。保存部100dは、図4のステップS207乃至S209と同等の処理を行うハードウエアである。算出部100eは、図3のステップS104乃至S106と同等の処理を行うハードウエアである。再現部100fは、図3のステップS107と同等の処理を行うハードウエアである。
変形形態であるシミュレーション装置100に含まれる各部100a〜100fは、例えば、FPGA[Field Programmable Gate Array]、ASIC[Application Specific Integrated Circuit]、LSI[Large Scale Integration]、IC[Integrated Circuit]、ゲートアレイ、論理ゲート、信号処理回路、アナログ回路を、含んでいる。論理ゲ
ートとしては、例えば、AND、OR、NOT、NAND、NOR、フリップフロップ、カウンタ回路がある。信号処理回路には、信号値に対し、例えば、加算、乗算、除算、反転、積和演算、微分、積分を実行する回路要素が、含まれていてもよい。アナログ回路には、信号値に対し、例えば、増幅、加算、乗算、微分、積分を実行する回路要素が、含まれていてもよい。
この変形形態によっても、多層プリント配線板の形状が定義された仮想空間に複数のセルを設定する場合に、プリント配線板と平行な面内においては、セルの節点が等間隔に配置される。このため、プリント配線板と平行な面内において、微細なセルが生成されることがなくなる。また、回路配線の縁を検出する処理も行わなくて済む。従って、プリント配線板の形状が定義された仮想空間の離散化と電磁界の強度の算出とに掛かる時間が低減されるようになる。
また、変形形態によれば、多層プリント配線板の形状が定義された仮想空間に複数のセルを設定する場合に、導体層と誘電体層の境界面が、セルの辺によって正確にトレースされ、導体層の幅が正確にモデル化される。従って、変形形態によっても、インピーダンスなどの諸数値の誤差が大きくなってしまうことがない。
《その他》
前述した本実施形態及び変形形態に関し、更に、以下の付記を開示する。
(付記1)
コンピュータに、
プリント配線板の導体層及び誘電体層に含まれる導体及び絶縁体の形状を仮想空間内に定義するデータを受け付ける受付手順、
前記仮想空間に複数のセルを設定する場合に、前記プリント配線板の厚さ方向においては導体層と誘電体層の境界面上に前記セルの節点を配置するとともに、前記プリント配線板と平行な面内においては前記セルの節点を等間隔に配置する設定手順、
前記仮想空間に設定された各前記セルに対し、自セルに多く包含される媒質の電気定数を付与する付与手順、及び、
前記電気定数が付与された各前記セルにおける電磁界の強度の時間的推移を算出する算出手順
を実行させるための電磁界シミュレータ。
(付記2)
前記算出手順において、前記電磁界の強度の時間的推移は、FDTD法に基づいて算出される
ことを特徴とする付記1記載の電磁界シミュレータ。
(付記3)
前記プリント配線板と平行な面における前記節点の間隔は、前記プリント配線板の導体層に含まれる導体に形成されている回路パターンにおける最も細い配線の幅に応じた所定値を越えない範囲の値に設定される
ことを特徴とする付記1又は2記載の電磁界シミュレータ。
(付記4)
前記所定値は、前記最も細い配線の幅の5/6である
ことを特徴とする付記3記載の電磁界シミュレータ。
(付記5)
前記節点の間隔は、前記所定値を越えない範囲で、かつ前記セルの個数を低減するように設定される
ことを特徴とする付記3又は4記載の電磁界シミュレータ。
(付記6)
前記セルの節点は、前記プリント配線板と平行な面のうちの選択された範囲において、等間隔に配置される
ことを特徴とする付記1、2、3、4又は5記載の電磁界シミュレータ。
(付記7)
前記プリント配線板と平行な面における選択された領域の外側において、前記セルの節点の間隔は、外側に向かって等比級数的に発散する
ことを特徴とする付記6記載の電磁界シミュレータ。
(付記8)
前記プリント配線板の厚さ方向における前記プリント配線板の外側において、前記セルの節点の間隔は、外側に向かって等比級数的に発散する
ことを特徴とする付記1、2、3、4、5、6又は7記載の電磁界シミュレータ。
(付記9)
前記プリント配線板の前記誘電体層には、円柱状又は円筒状のビアが含まれ、
前記付与手順において、前記ビアと同一の高さを有するとともに前記ビアの一部を包含する角柱状の領域が特定され、特定された角柱状の領域に含まれる全てのセルに対し、前記ビアの媒質の電気定数が付与される
ことを特徴とする付記1、2、3、4、5、6、7又は8記載の電磁界シミュレータ。
(付記10)
前記付与手順において、前記角柱状の領域の中心軸に垂直な断面の形状は、前記ビアの側面の中心軸に垂直な断面の形状である円に対して内接する四角形よりも大きく、前記円に対して外接する四角形よりも小さい
ことを特徴とする付記9記載の電磁界シミュレータ。
(付記11)
前記プリント配線板の前記誘電体層には、円柱状又は円筒状のビアが含まれ、
前記付与手順において、前記ビアの媒質を多く包含するセルに対し、絶縁体の電気定数が付与されるとともに、前記ビアの中心軸近傍に存在するセルの辺に対し、ゼロの電界強度が固定値として付与される
ことを特徴とする付記1、2、3、4、5、6、7又は8記載の電磁界シミュレータ。
(付記12)
プリント配線板の導体層及び誘電体層に含まれる導体及び絶縁体の形状を仮想空間内に定義するデータを受け付ける受付部、
前記仮想空間に複数のセルを設定する場合に、前記プリント配線板の厚さ方向においては導体層と誘電体層の境界面上に前記セルの節点を配置するとともに、前記プリント配線板と平行な面内においては前記セルの節点を等間隔に配置する設定部、
前記仮想空間に設定された各前記セルに対し、自セルに多く包含される媒質の電気定数を付与する付与部、及び、
前記電気定数が付与された各前記セルにおける電磁界の強度の時間的推移を算出する算出部
を備えることを特徴とする電磁界シミュレーション装置。
(付記13)
コンピュータが、
プリント配線板の導体層及び誘電体層に含まれる導体及び絶縁体の形状を仮想空間内に定義するデータを受け付ける受付手順、
前記仮想空間に複数のセルを設定する場合に、前記プリント配線板の厚さ方向においては導体層と誘電体層の境界面上に前記セルの節点を配置するとともに、前記プリント配線板と平行な面内においては前記セルの節点を等間隔に配置する設定手順、
前記仮想空間に設定された各前記セルに対し、自セルに多く包含される媒質の電気定数を付与する付与手順、及び、
前記電気定数が付与された各前記セルにおける電磁界の強度の時間的推移を算出する算出手順
を実行する
ことを特徴とする電磁界シミュレーション方法。
10 シミュレーション装置
10a 出力デバイス
10b 操作デバイス
10f ストレージユニット
10g CPU
12 三次元CADデータ
13 FDTDシミュレータ
30e 電界計算点
30h 磁界計算点
51 回路配線モデル
52 回路配線モデル
61 回路配線
71 ビア
72 ビアモデル
73 ビアモデル
73 回路配線モデル
81 導体
82 マイクロストリップライン
91 導体
92 導体

Claims (8)

  1. コンピュータに、
    プリント配線板の導体層及び誘電体層に含まれる導体及び絶縁体の形状を仮想空間内に定義するデータを受け付ける受付手順、
    前記仮想空間に複数のセルを設定する場合に、前記プリント配線板の厚さ方向においては導体層と誘電体層の境界面上に前記セルの節点を配置するとともに、前記プリント配線板と平行な面内においては前記セルの節点を、前記プリント配線板の導体層に含まれる導体に形成されている回路パターンにおける最も細い配線の幅の5/6倍を越えない範囲の値で等間隔に配置する設定手順、
    前記仮想空間に設定された各前記セルに対し、自セルに多く包含される媒質の電気定数を付与する付与手順、及び、
    前記電気定数が付与された各前記セルにおける電磁界の強度の時間的推移を算出する算出手順
    を実行させるための電磁界シミュレータ。
  2. 前記セルの節点は、前記プリント配線板と平行な面のうちの選択された範囲において、等間隔に配置される
    ことを特徴とする請求項記載の電磁界シミュレータ。
  3. 前記プリント配線板と平行な面における選択された領域の外側において、前記セルの節点の間隔は、外側に向かって等比級数的に発散する
    ことを特徴とする請求項記載の電磁界シミュレータ。
  4. 前記プリント配線板の厚さ方向における前記プリント配線板の外側において、前記セルの節点の間隔は、外側に向かって等比級数的に発散する
    ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の電磁界シミュレータ。
  5. 前記プリント配線板の前記誘電体層には、円柱状又は円筒状のビアが含まれ、
    前記付与手順において、前記ビアと同一の高さを有するとともに前記ビアの一部を包含する角柱状の領域が特定され、特定された角柱状の領域に含まれる全てのセルに対し、前
    記ビアの媒質の電気定数が付与される
    ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の電磁界シミュレータ。
  6. 前記付与手順において、前記角柱状の領域の中心軸に垂直な断面の形状は、前記ビアの側面の中心軸に垂直な断面の形状である円に対して内接する四角形よりも大きく、前記円に対して外接する四角形よりも小さい
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の電磁界シミュレータ。
  7. コンピュータに、
    プリント配線板の導体層及び誘電体層に含まれる導体及び絶縁体の形状を仮想空間内に定義するデータを受け付ける受付手順、
    前記仮想空間に複数のセルを設定する場合に、前記プリント配線板の厚さ方向においては導体層と誘電体層の境界面上に前記セルの節点を配置するとともに、前記プリント配線板と平行な面内においては前記セルの節点を等間隔に配置する設定手順、
    前記仮想空間に設定された各前記セルに対し、自セルに多く包含される媒質の電気定数を付与する付与手順、及び、
    前記プリント配線板の前記誘電体層には、円柱状又は円筒状のビアが含まれ、
    前記付与手順において、前記ビアの媒質を多く包含するセルに対し、絶縁体の電気定数が付与されるとともに、前記ビアの中心軸近傍に存在するセルの辺に対し、ゼロの電界強度が固定値として付与され、
    前記電気定数が付与された各前記セルにおける電磁界の強度の時間的推移を算出する算出手順を実行させるための電磁界シミュレータ。
  8. プリント配線板の導体層及び誘電体層に含まれる導体及び絶縁体の形状を仮想空間内に定義するデータを受け付ける受付部、
    前記仮想空間に複数のセルを設定する場合に、前記プリント配線板の厚さ方向においては導体層と誘電体層の境界面上に前記セルの節点を配置するとともに、前記プリント配線板と平行な面内においては前記セルの節点を、前記プリント配線板の導体層に含まれる導体に形成されている回路パターンにおける最も細い配線の幅の5/6倍を越えない範囲の値で等間隔に配置する設定部、
    前記仮想空間に設定された各前記セルに対し、自セルに多く包含される媒質の電気定数を付与する付与部、及び、
    前記電気定数が付与された各前記セルにおける電磁界の強度の時間的推移を算出する算出部
    を備えることを特徴とする電磁界シミュレーション装置。
JP2009048523A 2009-03-02 2009-03-02 電磁界シミュレータ及び電磁界シミュレーション装置 Expired - Fee Related JP5332731B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009048523A JP5332731B2 (ja) 2009-03-02 2009-03-02 電磁界シミュレータ及び電磁界シミュレーション装置
US12/707,786 US8412506B2 (en) 2009-03-02 2010-02-18 Electromagnetic field simulation apparatus and computer readable storage medium storing electromagnetic field simulation program
EP10154567A EP2226737A1 (en) 2009-03-02 2010-02-24 Electromagnetic field simulation apparatus and computer readable storage medium storing electromagnetic field simulation program

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009048523A JP5332731B2 (ja) 2009-03-02 2009-03-02 電磁界シミュレータ及び電磁界シミュレーション装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010204859A JP2010204859A (ja) 2010-09-16
JP5332731B2 true JP5332731B2 (ja) 2013-11-06

Family

ID=42106057

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009048523A Expired - Fee Related JP5332731B2 (ja) 2009-03-02 2009-03-02 電磁界シミュレータ及び電磁界シミュレーション装置

Country Status (3)

Country Link
US (1) US8412506B2 (ja)
EP (1) EP2226737A1 (ja)
JP (1) JP5332731B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5644815B2 (ja) * 2012-07-04 2014-12-24 株式会社デンソー 電子図面生成装置、電子図面生成方法およびそのプログラム
CN102759666B (zh) * 2012-07-09 2014-11-05 北京航空航天大学 一种印刷电路板远场辐射限制的判断方法
US9759693B2 (en) * 2012-12-20 2017-09-12 International Business Machines Corporation Method of simulating the absorption of plane waves using FEM software tools
JP6337577B2 (ja) * 2014-04-04 2018-06-06 株式会社明電舎 伝導ノイズ解析方法及び伝導ノイズ解析装置
JP6421447B2 (ja) * 2014-05-08 2018-11-14 富士通株式会社 解析装置、解析プログラム、および解析方法
JP6515734B2 (ja) * 2015-08-12 2019-05-22 富士通株式会社 共振周波数チェックプログラム、共振周波数チェック方法、および共振周波数チェック装置
KR101709893B1 (ko) * 2016-03-25 2017-02-24 포항공과대학교 산학협력단 유전 알고리즘 기반 3차원 나노 구조를 가지는 광소재의 설계 방법
CN105893678B (zh) * 2016-04-01 2021-07-13 吉林大学 一种时域有限差分的三维感应-极化双场数值模拟方法
CN109920787B (zh) * 2017-12-12 2021-05-25 中芯国际集成电路制造(北京)有限公司 互连结构的设计方法、装置及制造方法
CN108595744B (zh) * 2018-03-02 2021-11-16 中国科学院空间应用工程与技术中心 基于高斯过程回归的电磁作动器等效磁场强度建模方法

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3472299B2 (ja) * 1991-12-31 2003-12-02 テッセラ、インク. 多層回路ユニットの製造方法及びその構成要素
JPH09223166A (ja) * 1996-02-15 1997-08-26 Toray Ind Inc 分子または分子集合体の構造の解析方法および解析装置
JP3703812B2 (ja) * 2002-04-24 2005-10-05 株式会社エフ・エフ・シー Fdtd法を用いた電磁界解析方法、電磁界解析における媒質表現方法、シミュレーション装置、及びプログラム
EP1615151A4 (en) * 2003-08-07 2006-08-02 Matsushita Electric Ind Co Ltd METHOD AND DEVICE FOR ELECTROMAGNETIC FIELD ANALYSIS OF PRINTED CIRCUIT BOARD, PRINTED CIRCUIT BOARD AND DESIGN METHOD THEREOF
JP2005190211A (ja) * 2003-12-25 2005-07-14 Ngk Spark Plug Co Ltd 電子回路基板用cadシステムとそれに使用するコンピュータプログラム、及び電子回路基板の製造方法
JP4528024B2 (ja) * 2004-04-28 2010-08-18 富士通株式会社 回路解析方法を実行させるためのプログラム
JP4792274B2 (ja) * 2004-10-29 2011-10-12 パナソニック株式会社 等価材料定数算出システム、等価材料定数算出プログラム、等価材料定数算出方法、設計システムおよび構造体の製造方法
DE102004060962A1 (de) * 2004-12-17 2006-07-13 Advanced Micro Devices, Inc., Sunnyvale Mehrlagige gedruckte Schaltung mit einer Durchkontaktierung für Hochfrequenzanwendungen
JP2006209590A (ja) * 2005-01-31 2006-08-10 Ricoh Co Ltd 電磁界解析装置および解析方法、ならびに解析プログラム
JP2006253187A (ja) * 2005-03-08 2006-09-21 Nec Electronics Corp 電源解析方法および電源解析を実行するプログラム
JP2006303202A (ja) 2005-04-21 2006-11-02 Cmk Corp 部品内蔵型プリント配線板とその製造方法
JP4946107B2 (ja) * 2006-03-16 2012-06-06 日本電気株式会社 電磁界解析装置
JP2007304952A (ja) * 2006-05-12 2007-11-22 Sharp Corp 解析モデル作成プログラム、解析プログラム、解析結果抽出プログラム、解析モデル作成装置、解析装置、解析結果抽出装置
JP2008157746A (ja) * 2006-12-22 2008-07-10 Digital Electronics Corp 熱解析方法、熱解析プログラムおよびその熱解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP5156252B2 (ja) * 2007-03-31 2013-03-06 財団法人福岡県産業・科学技術振興財団 レイアウト自動簡略化装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20100223043A1 (en) 2010-09-02
EP2226737A1 (en) 2010-09-08
JP2010204859A (ja) 2010-09-16
US8412506B2 (en) 2013-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5332731B2 (ja) 電磁界シミュレータ及び電磁界シミュレーション装置
US8539422B2 (en) Method and system for power delivery network analysis
TWI526695B (zh) 電磁輻射特性的預測方法、電腦可讀取記錄媒體和模擬器
EP3992834A1 (en) Computer program, training data generating method, and computing system
JP6433159B2 (ja) 情報処理装置、方法及びプログラム
US9916415B2 (en) Integrated circuit performance modeling that includes substrate-generated signal distortions
JP6006831B1 (ja) 均一電界範囲決定法
JP6658046B2 (ja) アンテナ設計用コンピュータプログラム、アンテナ設計装置及びその方法
US10643018B1 (en) System and method for determining return path quality in an electrical circuit
EP2287757A1 (en) Multilevel-Multigrid simulation techniques
EP3028018A2 (en) Methods and systems for determining response of a reverberant system
JP2023007070A (ja) 電波伝搬シミュレーションシステム及び電波伝搬モデルの作成方法
JP3703812B2 (ja) Fdtd法を用いた電磁界解析方法、電磁界解析における媒質表現方法、シミュレーション装置、及びプログラム
JP4614094B2 (ja) 共振周波数算出装置および共振周波数算出方法
JP6129011B2 (ja) 検査ポイント設定装置、及び基板検査装置
US8612913B1 (en) Automated approach to planning critical signals and busses
US20160011257A1 (en) System for and method of semiconductor fault detection
JP2009123132A (ja) プリント基板設計支援装置、プリント基板設計支援方法およびプリント基板設計支援プログラム
JP4868412B2 (ja) 解析装置、解析方法、解析プログラムおよび解析プログラムが格納された記録媒体
JP2015022693A (ja) 解析方法、解析装置、及び解析プログラム
JP2023021712A (ja) 解析方法、解析装置、及び解析プログラム
JP6421447B2 (ja) 解析装置、解析プログラム、および解析方法
JP2001221822A (ja) Emi特性解析方法
JP6214251B2 (ja) 検査ポイント設定装置、及びプログラム
JP2008225876A (ja) シミュレーション装置、シミュレーションプログラム、シミュレーションプログラムが格納された記録媒体およびシミュレーション方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121120

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130702

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130715

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees