以下に添付図面を参照して、本発明にかかる共振周波数チェックプログラム、共振周波数チェック方法、および共振周波数チェック装置の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる共振周波数チェック装置による一動作例を示す説明図である。共振周波数チェック装置100は、シミュレーション空間101上に配置された物体102の開口部の共振周波数を特定するコンピュータである。物体102の開口部とは、物体102の内部に通じる開口部である。共振周波数は、開口部から漏洩する波動の周波数である。
ここで、シミュレーション空間101とは、コンピュータ上でシミュレーションされる仮想的な3次元空間である。具体的には、例えば、シミュレーション空間101は、3次元のアセンブリの設計を行うためのCAD(Computer Aided Designed)によって共振周波数チェック装置100内に仮想的に設定された空間である。シミュレーション空間101には、例えば、x軸とy軸とz軸とを有する3次元の直交座標系が定義される。
ここで、物体102は、例えば、2つ以上の部品によって形成されるアセンブリモデルである。物体102は、製品全体をコンピュータ上に仮想化したモデルであってもよいし、製品を形成する一部をコンピュータ上に仮想化したアセンブリモデルであってもよい。物体102とは、例えば、PC(Personal Computer)、タブレットPC、サーバ、携帯情報端末、スマートフォン、自動車、家電製品などの機械製品などをコンピュータ上に仮想化したアセンブリモデルである。部品は、これ以上分解できない最小単位のモデルである。また、各部品は、例えば、位置情報などを含む3次元のCADデータによって表現される。部品情報例については、図7を用いて後述する。
従来、シミュレーション空間101において物体102の設計が完了した後のように、物体102に含まれる部品のすべてのモデルの条件がそろうような状態でなければ、開口部から漏洩する波動の共振周波数や漏れる強さを特定することができない。例えば、共振周波数や波動の漏れる強さなどを特定するためには、発信機の接続や発信機の周波数などの境界条件設定、物理計算などが行われる。このように、従来手法では設計初期段階において、シミュレーション空間101における物体102に含まれる開口部から漏洩する波動の共振周波数を検出することは困難であるため、波動の漏洩箇所を特定することは困難である。設計初期段階とは、例えば、内部構造物が不足または未確定の状態である。また、内部構造物が不足している状態や内部構造物の形状が未確定な状態では、誘電率やノイズ源を用いたシミュレーションにおいて、設計最終段階とは形状の相違が大きい。
そこで、本実施の形態では、共振周波数チェック装置100は、筐体の導電体の組み合わせによる外部から見た開口部に着目し、開口部に含まれる一連の境界面を、内部方向から投影面に投影することで得られる線の形状に基づき開口部の形状の種類を特定し、特定した種類により開口部から漏洩する波動の共振周波数を求める。
これにより、シミュレーション空間101において物体102が設計途中であっても物体102にある開口部から漏洩する波動の共振周波数を特定することが可能となる。各開口部から漏洩する波動の共振周波数を特定できれば、電波の漏洩箇所を特定することができる。また、物体102の設計中であっても電波の漏洩箇所を特定できるため、開口部のサイズを変更するなど設計の容易化を図ることができる。また、内部構造物の不足や未確定な設計初期段階において波動の漏洩箇所の特定を図ることで、設計早期から確認しながら波動の漏洩の対策を盛り込んだ設計を行うことができる。これにより、設計最終段階において従来のシミュレーションを実施しても波動漏洩に関する問題検出が減少し、設計の手戻りを減らすことができる。
共振周波数チェック装置100は、検出された一連の面を含む開口部の形状の種類を、一連の面を、第1直方体103に基づく方向から投影面に投影することによって得られる線の形状によって特定する。一連の面は、物体102に含まれる複数の部品の各々を示す部品情報に基づく物体102を内包する第1直方体103を分割した複数の第2直方体に含まれる面から検出される。第2直方体はグリッドgとも称する。一連の面は、従来技術(例えば、上記特許文献1)によって検出される連続する境界面である。
境界面とは、例えば、外部領域空間と、内部領域空間と、の間で重複する面である。外部領域空間とは、複数のグリッドgのうち、第1直方体103の少なくともいずれかの面の法線上の面と、グリッドgとの間に、複数の部品の少なくとも一部を含むグリッドgがない第3直方体である。内部領域空間とは、外部領域空間と、複数のグリッドgのうちの複数の部品の少なくとも一部を含むグリッドgとを、複数のグリッドgから除いた第4直方体である。
また、第1直方体103に基づく方向とは、第1直方体103の面の法線ベクトルの方向と逆方向である。また、第1直方体103の特定面に基づく方向とは、第1直方体103の特定面に直交する方向のうち物体102と交差する方向である。ここで、第1直方体103の特定面に基づく方向を内側方向dとも称する。開口部に含まれる一連の境界面を投影することによって得られる線は、一連の境界面を形成する辺を内側方向dから見た場合に見える辺の集合によって形成される。
投影面は、例えば、内部方向dに直交する面であって、特定面から一連の面よりも離れた位置にある面である。具体的に、例えば、投影面は、第1直方体103の6面のうち、内側方向dと直交する面であって、内側方向dから奥にある面である。また、投影面は、一連の境界面を内包する最小の直方体104の面のうち、内部方向dと直交する面の中で、内側方向dから奥にある面105である。投影面が小さいほど、投影時間の短縮を図ることができる。
また、内部方向dを定める特定面については、第1直方体103の6面のうちのいずれかの面であるため、利用者によって指定されてもよいし、開口部の開口方向によって予め特定しておいてもよい。また、共振周波数チェック装置100は、例えば、方向の各々について一連の境界面を当該方向から投影し、投影によって得られる像が線の形状である方向を内側方向dとしてもよい。
また、共振周波数チェック装置100は、例えば、シミュレーション空間101において、第1直方体103の面の法線ベクトルの方向に各視点を設けて、一連の面に、各視点から平行光線を当てて、その影を内側方向dと直交する平面に映す。これにより、共振周波数チェック装置100は、映し出された像が示す線を得る。ここでの線は、境界線とも称する。ここでは、共振周波数チェック装置100は、シミュレーション空間101において、物体102については一時的に除外して、一連の境界面だけを内側方向dから投影することによって得られる境界線の形状に基づいて開口部の形状を特定する。
共振周波数チェック装置100は、例えば、検出された一連の境界面を内包する最小の直方体104の面のうち、内側方向dに直交するいずれかの面を特定する。直方体104の面のうち、内側方向dに直交する面は2面あるがいずれでもよい。ここでは、例えば、いずれかの面を面105とする。共振周波数チェック装置100は、例えば、面105を形成する辺の各々について、当該辺に、当該辺からの距離が所定条件に合致する境界線の部分を投影する。
所定条件とは、例えば、利用者によって定められた所定距離以内であるという条件や、辺から面105の中心線までの距離以内であるという条件などが挙げられる。辺から面105の中心線までの距離以内であるという条件によって投影が行われる例は、図15および図16を用いて後述する。ここで、境界線の部分を投影することによって得られる線を外周線107とも称する。そして、共振周波数チェック装置100は、例えば、外周線107の形状によって開口部の形状の種類を特定する。
共振周波数チェック装置100は、特定した開口部の形状の種類に応じた、開口部から漏洩する波動の共振周波数を算出する。例えば、予め開口部の形状の種類ごとに共振周波数を算出可能な式を用意しておき、開口部の形状の種類が特定されると、共振周波数チェック装置100は、開口部の形状の種類に応じた式によって共振周波数を算出する。本実施の形態では、開口部の形状の種類を開口、ループ、スリットの3種類とするが、これに限らず、シミュレーション結果などに応じてより多くの開口部の形状の種類を用意してもよい。開口は、開口部の全面が開いているような形状を示す。ループは、開口部の外周が空いているような形状を示す。スリットは、開口部の外周が一部切れているような形状を示す。
共振周波数チェック装置100は、算出した共振周波数を提示する。共振周波数チェック装置100は、例えば、シミュレーション空間101において物体102の開口部に関連付けて共振周波数をディスプレイなどに表示してもよい。また、共振周波数チェック装置100は、例えば、共振周波数を可視化して開口部に関連付けて表示してもよい。また、共振周波数チェック装置100は、例えば、開口部に関連付けて共振周波数を記憶装置などに記憶してもよい。
これにより、シミュレーション空間101において物体102が設計途中であっても物体102にある開口部から漏洩する波動の共振周波数を特定することが可能となる。例えば、物体102がCPU(Central Processing Unit)を有するPCなどの場合、CPUが使用する周波数などが決定された場合に、CPUから発する電波がいずれの開口部から漏洩するかなど、電波の漏洩箇所を特定することができる。また、物体102の設計中であっても電波の漏洩箇所を特定できるため、開口部のサイズを変更するなど設計の容易化を図ることができる。
(共振周波数チェック装置100のハードウェア構成例)
図2は、共振周波数チェック装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。図2において、共振周波数チェック装置100は、CPU201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、ディスクドライブ204と、ディスク205と、を有する。共振周波数チェック装置100は、I/F(Inter/Face)206と、キーボード207と、マウス208と、ディスプレイ209と、を有する。また、CPU201と、ROM202と、RAM203と、ディスクドライブ204と、I/F206と、キーボード207と、マウス208と、ディスプレイ209とは、バス200によってそれぞれ接続される。
ここで、CPU201は、共振周波数チェック装置100の全体の制御を司る。ROM202は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。ディスクドライブ204は、CPU201の制御にしたがってディスク205に対するデータのリード/ライトを制御する。ディスク205は、ディスクドライブ204の制御で書き込まれたデータを記憶する。ディスク205としては、磁気ディスク、光ディスクなどが挙げられる。
I/F206は、通信回線を通じてLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどのネットワーク210に接続され、このネットワーク210を介して他の装置に接続される。そして、I/F206は、ネットワーク210と内部のインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。I/F206には、例えばモデムやLANアダプタなどを採用することができる。
キーボード207やマウス208は、利用者の操作により、各種データの入力を行うインターフェースである。ディスプレイ209は、CPU201の指示により、データを出力するインターフェースである。
また、図示を省略するが、共振周波数チェック装置100には、カメラから画像や動画を取り込む入力装置やマイクから音声を取り込む入力装置が設けられていてもよい。また、図示を省略するが、共振周波数チェック装置100には、プリンタなどの出力装置が設けられていてもよい。
また、本実施の形態では、共振周波数チェック装置100のハードウェア構成として、パーソナル・コンピュータを例に挙げているが、これに限らず、サーバなどであってもよい。共振周波数チェック装置100がサーバである場合、共振周波数チェック装置100と利用者の操作可能な装置やディスプレイ209などがネットワーク210を介して接続されてもよい。
また、図示を省略するが、共振周波数チェック装置100には、カメラから画像や動画を取り込む入力装置やマイクから音声を取り込む入力装置が設けられていてもよい。また、図示を省略するが、共振周波数チェック装置100には、プリンタなどの出力装置が設けられていてもよい。また、図示を省略するが、共振周波数チェック装置100には、例えば、SSD(Solid State Drive)やフラッシュROMなどが設けられていてもよい。
また、共振周波数チェック装置100は、上述した構成部のうち、例えば、ディスクドライブ204、ディスク205などを有さないことにしてもよい。
(共振周波数チェック装置100の機能的構成例)
図3は、共振周波数チェック装置の機能的構成例を示すブロック図である。共振周波数チェック装置100は、制御部301と、提示部302と、記憶部303と、を有する。制御部301の処理は、例えば、図2に示すCPU201がアクセス可能なROM202、RAM203、ディスク205などの記憶部303に記憶されたプログラムにコーディングされている。そして、CPU201が記憶部303から該プログラムを読み出して、プログラムにコーディングされている処理を実行する。これにより、制御部301の処理が実現される。
また、制御部301の処理結果は、例えば、RAM203、ROM202、ディスク205などの記憶部303に記憶される。また、制御部301は、例えば、シミュレーション空間101上に物体102を配置可能なCADなどを実行していてもよい。提示部302は、例えば、ディスプレイ209などによって実現され、制御部301による指示によって画面などを表示する。
制御部301は、外部領域空間を作成する処理と、内部領域空間を作成する処理と、境界面を作成する処理と、開口単位に分類する処理と、開口単位に共振周波数を特定する処理と、などを行う。制御部301の詳細例については図4に示す。提示部302の詳細例については図5に示す。記憶部303の詳細例については図6に示す。
図4は、制御部の詳細例を示す説明図である。制御部301は、外部領域空間抽出部401と、内部領域空間抽出部402と、境界面抽出部403と、開口単位作成部404と、接続箇所抽出部405と、接続可能箇所抽出部406と、共振周波数特定部407と、を有する。外部領域空間抽出部401と、内部領域空間抽出部402と、境界面抽出部403と、開口単位作成部404と、については、従来技術(例えば、上述した特許文献1を参照。)である。
図5は、提示部の詳細例を示す説明図である。提示部302は、開口面表示部501と、第1周波数表示部502と、第2周波数表示部503と、一覧表示部504と、接続可能箇所表示部505と、を有する。
図6は、記憶部の詳細例を示す説明図である。記憶部303は、例えば、部品情報601やグリッド情報602などを有する。また、記憶部303は、制御部301や提示部302の処理結果などを記憶する。部品情報601の詳細例は図7に示す。グリッドg例を図9に示し、グリッド情報602の詳細例は図10に示す。
図7は、部品情報の記憶内容例を示す説明図である。部品情報601は、シミュレーション空間101上に設計対象の物体102を表示させるための情報であり、設計対象の物体102に含まれる各部品を示す情報である。部品情報601は、例えば、部品ID、形状、位置、導電性などのフィールドを有する。各フィールドに情報が設定されることにより、レコード(例えば、700−1など)として記憶される。また、図示しないが、部品情報601は、色情報などを有していてもよい。
部品IDのフィールドには、部品を一意に特定可能な識別情報が設定される。形状のフィールドには、部品の形状を示す情報が設定される。位置のフィールドには、部品の位置を示す情報が設定される。シミュレーション空間101には、例えば、x軸とy軸とz軸とを有する3次元の直交座標系が定義される。導電性のフィールドには、導電性の有無が設定される。
図4の説明に戻って、外部領域空間抽出部401の処理について説明する。上述したように、外部領域空間抽出部401と、内部領域空間抽出部402と、境界面抽出部403と、開口単位作成部404との処理については、従来技術(例えば、上記特許文献1参照。)であるため、ここでは簡単に説明する。
また、以降立方体、直方体、領域空間などがシミュレーション空間上に設けられるが、実際には例えば、立方体、直方体、領域空間などの各頂点を示す頂点情報などが生成される。
まず、外部領域空間抽出部401は、シミュレーション空間101上に配置された物体102から、面SFから面SFの法線の方向と逆方向に物体102の形状に接触するまでを埋めた外部領域空間を抽出する。面SFとは、物体102を最も小さく直方体で内包した各面である。直方体の種類には、立方体が含まれる。具体的には、外部領域空間抽出部401は、物体102に接触し、物体102を内包する最小の直方体104を示す直方体情報を生成する。
図8は、第1直方体と第1直方体の面例を示す説明図である。上述したように、シミュレーション空間101上には、第1直方体103に基づきx,y,zの基準となる座標系が定義されてある。第1直方体103は、面SF−1〜SF−6によって形成される。
つぎに、外部領域空間抽出部401は、直方体情報が示す第1直方体103を所定サイズで分割した複数のグリッドgを示すグリッド情報602を生成する。
図9は、グリッド例を示す説明図である。図10は、グリッド情報例を示す説明図である。図9に示すように、第1直方体103は複数のグリッドgに分割される。グリッド情報602は、各グリッドgに設定可能な情報である。グリッド情報602は、グリッド位置、グリッド属性、導電性、面のフィールドを有する。各フィールドに情報が設定されることにより、グリッドgに対応するレコード(例えば、1000−1〜1000−6など)として記憶される。
グリッド位置のフィールドには、上述したように、定義された座標系に基づく座標が設定される。グリッド属性のフィールドには、グリッドgがいずれの属性であるかを示す情報が設定される。属性としては、部品、後述する外部領域空間、後述する内部領域空間、後述する内部隙間領域、後述する境界領域、後述する開口領域のいずれかが挙げられる。部品タイプのフィールドには、グリッド属性が部品であるグリッドgについて、グリッドgと位置が重複する部品のタイプを示す情報が設定される。導電性のフィールドには、グリッド属性が部品であるグリッドgについて、グリッドgと位置が重複する部品の導電性の有無が設定される。面のフィールドには、グリッドgを形成する6つの面の各々について、部品境界、境界、開口のいずれであるか、いずれでもないかが設定される。いずれでもない場合には「−」が設定される。6つの面には、Xminの面と、Xmaxの面と、Yminの面と、Ymaxの面と、Zminの面と、Zmaxの面と、がある。
つぎに、図4に示す外部領域空間抽出部401は、複数の面SFから順に1つの面SFを選択する。外部領域空間抽出部401は、選択した面SFと接するグリッドgを順に選択する。そして、外部領域空間抽出部401は、複数のグリッドgのうち、選択したグリッドgから内側方向dに少なくとも一部が部品と重複するグリッドgまでの間にある部品と重複しないグリッドgを外部領域空間として抽出する。抽出結果は、グリッド情報602のグリッド属性のフィールドに設定される。上述したように、内側方向dとは面SFの法線ベクトルの方向と逆方向である。
そして、外部領域空間抽出部401は、選択したグリッドgから内側方向dに少なくとも一部が部品と重複する最初のグリッドgを外装部品領域として抽出する。抽出結果は、グリッド情報602のグリッド属性のフィールドに設定される。また、外部領域空間抽出部401は、部品情報601に基づいて、抽出した外装部品領域に少なくとも一部が重複する部品の導電性の有無を抽出する。抽出結果は、グリッド情報602のグリッド属性のフィールドとグリッド情報602の導電性のフィールドとに設定される。
つぎに、内部領域空間抽出部402は、未抽出のグリッドgの各々について、部品情報601に基づいて、グリッドgに少なくとも一部が重複する部品があるか否かを判断する。そして、内部領域空間抽出部402は、重複する部品がないグリッドgであれば、内部領域空間として抽出する。抽出結果は、グリッド情報602のグリッド属性のフィールドに設定される。
内部領域空間抽出部402は、重複する部品があるグリッドgであれば、部品領域として抽出する。また、内部領域空間抽出部402は、部品情報601に基づいて、部品領域paとして抽出されたグリッドgに重複する部品の導電性の有無を抽出する。抽出結果は、グリッド情報602のグリッド属性のフィールドとグリッド情報602の導電性のフィールドとに設定される。
境界面抽出部403は、内部領域空間の面のうち、外部領域空間の面に接触する接触面を境界面として抽出する。抽出結果は、グリッド情報602の面のフィールドに設定される。また、抽出結果は、境界面情報として記憶される。
図11は、境界面情報の記憶内容例を示す説明図である。境界面情報1100は、抽出された境界面を示す情報である。境界面情報1100は、例えば、境界面ID、グリッド位置、方向などのフィールドを有する。各フィールドに情報が設定されることにより、レコード(例えば、1101−1など)として記憶される。
境界面IDのフィールドには、境界面を一意に特定可能な識別情報が設定される。グリッド位置のフィールドには、境界面が含むグリッドgの頂点の座標値が設定される。方向のフィールドは、グリッドgにおける面の方向が設定される。
図4に示す開口単位作成部404は、抽出した境界面のうちいずれかを選択する。開口単位作成部404は、選択した境界面を新規開口部として記録する。つぎに、開口単位作成部404は、選択した境界面と隣接する境界面を選択する。そして、開口単位作成部404は、選択した境界面と選択した隣接する境界面とを同一の開口部として記録する。つぎに、開口単位作成部404は、同一の開口部として記録された複数の境界面のいずれかに隣接する境界面を選択する。そして、開口単位作成部404は、あらたに選択した境界面を複数の境界面と同一の開口部として記憶部303に記録する。開口単位作成部404は、例えば、開口部に関する情報を開口部情報として記憶部303に記憶する。このように、開口単位作成部404は、選択した境界面から隣接する境界面を辿ることにより一連の境界面を開口部として特定することができる。
図12は、開口部情報の記憶内容例を示す説明図である。開口部情報1200は、開口部に関する情報である。開口部情報1200は、例えば、開口ID、開口位置座標、境界面ID、開口方向などのフィールドを有する。各フィールドに情報が設定されることにより、レコード(例えば、1201−1など)として記憶される。
開口IDのフィールドには、開口部を一意に特定可能な識別情報が設定される。開口位置座標のフィールドには、開口部の最小の座標値および最大の座標値が設定される。境界面IDのフィールドには、開口部に含まれる一連の境界面の各々の識別情報が設定される。開口方向のフィールドには、開口部の開口方向が設定される。
図13は、開口部に含まれる境界面の表示例を示す説明図である。図13には、シミュレーション空間101において物体102の開口部に含まれる境界面を表示した例を示す。図13の例では、物体102のうち点の模様が付された部分が境界面を表す。また、点線については、開口部の各々について、開口部を包含する最小の直方体104を示す。
図4に示した共振周波数特定部407は、例えば、特定された開口部から共振周波数を抽出する対象の開口部として順に選択する。共振周波数特定部407は、例えば、選択した開口部に含まれる一連の境界面を内側方向dに投影することによって境界線106を得る。
そして、共振周波数特定部407は、開口部に含まれる境界面を包含する最小の直方体104の面のうち、内側方向dに直交するいずれかの面105を特定する。ここでは、開口部における開口側の面を面105とする。境界面を包含する最小の直方体104は、例えば、境界面の最大外形を含む最小の直方体104である。
共振周波数特定部407は、特定した面105の辺の各々について、特定した面105の辺からの距離が所定条件に合致する境界線106の部分を投影する。所定条件とは、特定した面の辺から所定距離以内にあるなどでもよいし、特定した面の辺から特定した面の中心線までにあるなどでもよい。
図14は、境界面のみを示す説明図である。図14には、開口部に含まれる境界面のみを表示した例を示す。矢印は第1直方体103の内側方向dを示す。第1直方体103は物体102を内包する最小の直方体である。
図15は、境界面の投影例を示す説明図である。共振周波数特定部407は、特定した面105の各中心線を境にして、特定した面105の辺に境界線106を投影する。例えば、面の左上の領域については、境界線106があるが、左下の領域については境界線106がない。共振周波数特定部407は、面105の辺を一周するように、面105の各中心線を境にして、境界線106の有無を判定することにより境界線106を投影した外周線107を得る。
図16は、外周線例を示す説明図である。図16には、面105を投影することによって得られる外周線107を示す。共振周波数特定部407は、外周線107が1周せずに途中で切れる場合、開口部の形状の種類をスリットと特定する。図16の例は、開口部の形状の種類がスリットである。共振周波数特定部407は、外周線107が1周する場合、シミュレーション空間101において面105を開口面とし、開口面のうち部品に含まれる部分を部品面とする。
そして、共振周波数特定部407は、当該開口面のうち部品面の面積の割合が閾値以上であるか否かによって開口部であるループ内に穴があるか否かを判断する。閾値は例えば利用者が設定可能であり、本実施の形態では閾値は7〜8割とする。
図17は、開口部の形状の種類が開口の場合とループの場合の例を示す説明図である。共振周波数特定部407は、例えば、部品面の面積の割合が7割未満であれば、開口部の形状がループのような穴でないため、開口部の形状の種類を開口と特定する。共振周波数特定部407は、例えば、部品面の面積の割合が7割以上であれば、開口部の形状がループのような穴であるため、開口部の形状の種類をループと特定する。
共振周波数特定部407は、例えば、開口部の形状の種類が開口の場合、開口面の対角線の長さをLとして、以下式(1)によって共振周波数を算出する。共振周波数特定部407は、例えば、開口部の形状の種類がループの場合、外周長をLとして、以下式(2)によって共振周波数を算出する。共振周波数特定部407は、例えば、開口部の形状の種類がスリットの場合、外周長をLとして、以下式(3)によって共振周波数を算出する。
F=C/2L・・・(1)
F=C/L・・・(2)
F=C/2L・・・(3)
ここで、上記式(1)〜(3)において、Cは、光速であり、(3E+8)[m/s]である。Fは共振周波数である。各開口部の形状の種類において上記式やLとした例について説明する。
図18は、開口部の形状と共振周波数との関係を求めるシミュレーション例を示す説明図である。シミュレーション空間101において、解析領域1800を金属壁1801によって2分割しておき、一方の空間に波源を配置するようにシミュレーションが行われる。そして、波源が開口部からもう一方の空間に漏洩する電界の周波数特性が算出される。グラフ1802に示すように、波源側において、電界を一定にし、周波数を変化させるシミュレーション例である。
観測側の空間における星印の位置についての電界と周波数との関係をグラフ1802に示す。グラフ1803において、電界が最も大きくなる周波数が共振周波数である。
つぎに、各開口部の形状に基づく電界と共振周波数との関係に基づいて上記式(1)〜(3)を得る例を示す。
図19は、開口部の形状の種類が開口の場合における共振周波数を示す説明図である。グラフ1900には、例えば、開口部の辺aと辺bとの長さを20,35,70,140,200[mm]とした場合の電界と周波数との関係を示す。グラフ1900では、縦軸が電界であり、横軸が周波数である。グラフ1900の各矢印の位置が、周波数の変化点であり、各矢印の位置の周波数が共振周波数である。開口の面積が大きい場合、特定の周波数の波動に限定して漏洩するのではなく、幅広い周波数の波動が漏洩する。また、開口部のサイズが70×70[mm]、140×140[mm]、200×200[mm]のように一定よりも大きくなると、低周波数における電界が低くならない。
表1901には、各辺の長さにおける対角長と、飽和周波数と、波長と、を示す。表1901によれば、開口部の形状の種類が開口の場合、開口部の対角長は、「波長/2」に近い値である。このため、共振周波数は、「光速/波長」であるため、「光速/波長」の波長に対角長の2倍の値を代入した式が式(1)となる。
図20は、開口部の形状の種類がループの場合における共振周波数を示す説明図である。スリット長は、2a+2bである。グラフ2000には、スリット長を80、140、280、560、800とした場合の電界と周波数との関係を示す。グラフ2000では、縦軸が電界であり、横軸が周波数である。例えば、辺aと辺bが20[mm]である場合、スリット長は、80[mm]である。
グラフ2000の各矢印の位置が、周波数の変化点であり、各矢印の位置の周波数が共振周波数である。表2001では、スリット長が80[mm]である場合、共振周波数は、4800[MHz]であり、波長が62[mm]である。また、表2001では、スリット長が140[mm]である場合、共振周波数は2560[MHz]であり、波長が120[mm]である。
このように、開口部のスリット長は、「波長」に近い値である。このため、共振周波数は、「光速/波長」であるため、「光速/波長」の波長にスリット長を代入した式が式(2)となる。
図21および図22は、開口部の形状の種類がスリットの場合における共振周波数を示す説明図である。図21に示すように、直線スリットの場合、グラフ2100には、例えば、スリットの辺aの長さを20,35,70,140,200[mm]とした場合の電界と周波数との関係を示す。図22に示すように、コの字のスリットの場合、グラフ2200には、例えば、スリットの辺a+b+bの合計の長さを20,35,70,140,200[mm]とした場合の電界と周波数との関係を示す。
例えば、辺aの長さが8であり、辺bの長さが6である場合、スリット長は、8+6+6の20である。例えば、辺aの長さが12であり、辺bの長さが12である場合、スリット長は、12+12+12の36であり、約35である。グラフの各矢印の位置が、周波数の変化点であり、各矢印の位置の周波数が共振周波数である。
図21の表2101では、スリット長は、スリットの外周長の約半分であり、波長の半分の値に近い値である。また、図22の表2201では、スリット長は、波長の半分の値に近い値である。そのため、共振周波数は、光速/波長であるため、波長にスリット長の2倍の値を代入した式が式(3)となる。
以上、図19〜図22を用いて説明したように上述した式(1)〜(3)が得られる。このように、開口部の形状の種類ごとに共振周波数を特定可能な式が得られる。本実施の形態では、開口部の形状の種類を3種類としているが、これに限らない。
図4の説明に戻り、共振周波数特定部407は、種類に応じた式によって共振周波数を特定する。
また、接続箇所抽出部405は、例えば、シミュレーション空間101における物体102に含まれる複数の部品のうち、最小の直方体104に含まれる部品間において部品同士が干渉する位置を抽出する。部品同士が干渉するとは、部品同士が重複することや部品同士が接触することを示す。部品同士が干渉する位置を接続箇所とも称する。また、接続箇所抽出部405は、例えば、抽出した接続箇所を後述する開口タイプ情報に格納する。
図23は、接続箇所を含めた境界面の外周線例を示す説明図である。共振周波数特定部407は、外周線107から接続箇所について線を削除する。これにより、外周線107が外周線107−1と外周線107−2とに分断される。このため、交差または接続箇所によっては、投影した外周線107が分断されるため、ループでなくスリットと判断される場合もある。
共振周波数特定部407は、分断された後の外周線107に基づいて開口部の形状の種類を特定し、特定した種類に応じて共振周波数を算出する。ここで、分断された場合、共振周波数特定部407は、分断後の複数の外周線107の合計の長さをLとして式(3)に与えて共振周波数を算出する。共振周波数特定部407は、特定した共振周波数を開口タイプ情報に格納する。また、共振周波数特定部407は、例えば、境界線106から、抽出した接続箇所に対応する各位置を除外した境界線106を生成してもよい。そして、共振周波数特定部407は、例えば、除外した境界線106を上記のように投影することにより外周線107を得てもよい。
図24は、開口タイプ情報例を示す説明図である。開口タイプ情報2400は、例えば、開口ID、外周線長、タイプ、タイプ別外周長、共振周波数、接続箇所、接続位置のフィールドを有する。各フィールドに情報が設定されることにより、レコード(例えば、2401−1など)として記憶される。
開口IDのフィールドには、開口部を一意に識別可能な識別情報が設定される。外周線長のフィールドには、開口部について特定した外周線107の長さが設定される。タイプのフィールドには、外周線107に基づいて特定された開口部の形状の種類が設定される。
タイプ別外周長は、特定された開口部の形状の種類に応じた外周長が設定される。上述したように、開口部の形状の種類が開口の場合、外周長は、対角線の長さである。開口部の形状の種類がループとスリットの場合、外周長は、外周線107の長さである。
共振周波数のフィールドには、特定された共振周波数が設定される。接続箇所のフィールドには、利用者によって指定された接続箇所の反映の有無を示す情報が設定される。反映する場合、「反映あり」が設定され、反映しない場合、「反映なし」が設定される。接続位置のフィールドには、抽出された接続箇所の位置が設定される。
また、シミュレーション空間101における物体102では、例えば、開口部周辺の部品間の空間距離が近ければ、電気的に接続可能な場合がある。電気的に接続させることにより、開口部の形状を小さくするなど開口部の形状を変えることが可能となる。
そこで、接続可能箇所抽出部406は、複数の部品のうち、最小の直方体104の各面から第1所定距離以内にある第1部品の面と、第1部品と異なる部品の面のうち前記第1部品の面からの距離が第2所定距離以内である第2部品の面と、の組み合わせを抽出する。第1所定距離と第2所定距離とは、例えば、利用者によって設定可能であり、記憶部303などに記憶されてある。抽出された組み合わせに含まれる第1部品の面から、抽出された組み合わせに含まれる第2部品の面までの各位置が接続可能箇所である。ここで、第1部品と第2部品とは導電性のある部品である。部品の導電性の有無については、部品情報601によって特定可能である。
具体的に、接続可能箇所抽出部406は、例えば、直方体104の面の各々について、直方体104の面と、物体102に含まれる部品の面と、の間の最短距離によって、部品の面を選択する。これにより、直方体104の面に近い部品の面を選択可能である。ここで選択される部品が対象部品である。
接続可能箇所抽出部406は、選択した対象部品の面と、対象部品と異なる部品の面との最短距離が第2所定距離以内である場合、対象部品の面と、対象部品と異なる部品の面と、の組み合わせを抽出する。これにより、開口部に近い対象部品の面と、対象部品の面に最も近い部品の面と、の組み合わせが抽出される。
図25は、接続可能箇所を表示する例を示す説明図である。接続可能箇所表示部505は、物体102をディスプレイ209などに表示する際に、接続可能箇所を強調してディスプレイ209などに表示する。図25の例では、USB(Universal Serial Bus)コネクタを挿入可能な開口部については、点線の丸印の箇所に接続可能箇所がある。
図26は、選択された接続可能箇所を表示する例を示す説明図である。図5に示す接続可能箇所表示部505は、図26に示すように、対象部品ごとに、接続可能箇所を一覧として表示する。接続可能箇所表示部505は、対象部品ごとに、対象部品の識別情報と、対象部品の対象面と組み合わせになった面を有する相手側部品の識別情報と、を関連付けて表示する。
そして、接続可能箇所表示部505は、利用者によって選択された対象部品について面IDと、相手側面IDと、クリアランス量と、をリスト化して表示する。面IDは、対象部品に含まれる強調表示可能な対象面を示す。相手側面IDは、面IDが示す対象面の組み合わせの相手となる相手側の面を示す。クリアランス量とは、面IDが示す対象面と、相手側面IDが示す面と、の間の最短距離である。利用者は、キーボード207やマウス208などの入力装置を介して強調表示させたい対象面を示す面IDを選択する。
そして、接続可能箇所表示部505は、シミュレーション空間101において配置された物体102を表示する際に、利用者によって選択された面IDが示す対象面を強調して表示する。
共振周波数特定部407は、例えば、外周線107から、抽出した組み合わせに含まれる第1部品の面から、抽出した組み合わせに含まれる第2部品の面までの位置に対応する線を除外した外周線107の形状に基づいて、開口部の形状の種類を特定する。共振周波数特定部407は、例えば、接続箇所と同様に削除を行い、開口部の形状の種類を特定するため、詳細な説明を省略する。また、共振周波数特定部407は、例えば、境界線106から、抽出した組み合わせに含まれる第1部品の面から、抽出した組み合わせに含まれる第2部品の面までの位置に対応する線を除外した境界線106を生成してもよい。そして、共振周波数特定部407は、例えば、除外した境界線106を上記のように投影することにより外周線107を得てもよい。
図27は、共振周波数の一覧表示例を示す説明図である。一覧表示部504は、例えば、開口部の共振周波数を一覧にして表示する。一覧表示部504は、例えば、周波数単位ごとに、開口部数と、開口部の形状の種類と、をリスト化して表示する。図27の例では、共振周波数が100[MHz]の場合、開口部数は、4であり、開口部の形状の種類別では、例えば、スリットが1箇所であり、ループが2箇所であり、開口が1箇所である。
また、一覧表示部504は、例えば、指定された共振周波数についての個別箇所を表示してもよい。一覧表示部504は、例えば、外周長と、第1直方体103における場所と、開口部の形状の種類と、を表示する。図27の例では、一覧表示部504は、100[MHz]の場合について個別箇所を表示する。表示させる共振周波数については、利用者によってキーボード207やマウス208などの入力装置を介して指定されてもよい。
図28は、開口部の開口面表示例を示す説明図である。開口面表示部501は、開口部の開口面を表示する。また、開口面表示部501は、例えば、シミュレーション空間101における物体102において開口部の開口面を強調して表示する。開口面表示部501は、例えば、特定した開口部の形状の種類を判別可能なように開口面を強調して表示してもよい。
第1周波数表示部502と第2周波数表示部503とは、例えば、算出した共振周波数を提示する。また、第1周波数表示部502と第2周波数表示部503とは、開口部に含まれる複数の境界面に基づく位置に、算出した共振周波数に応じたサイズの図形を表示する。図形は、例えば、直方体や長方形など特に限定しない。
図29は、開口部ごとに共振周波数を直方体によって可視化して表示する例を示す説明図である。図29の上側には、共振周波数の可視化前を示す。図29の下側には、開口部ごとに特定した共振周波数に基づく長さの直方体を開口部に基づく位置に配置することにより共振周波数を可視化した例を示す。第1周波数表示部502は、例えば、開口部の最大外形の直方体を物体102よりも外に向かって、開口部ごとに特定した共振周波数が高いほど長くなるように表示する。図29の例では、右側の開口部の方が左側の開口部よりも共振周波数が高いと一目で判別可能である。このように、利用者が、開口部ごとの共振周波数がどの程度であるかを判別しやすくなる。
図30は、凡例を併用して開口部ごとに共振周波数を直方体によって可視化して表示する例を示す説明図である。第1周波数表示部502は、開口部ごとに特定した共振周波数を可視化して表示する際に、共振周波数の凡例も表示してもよい。図30の例では、共振周波数の凡例が表示されるため、左側の開口部の共振周波数が1[GHz]〜2[GHz]程度であり、右側の開口部の共振周波数が2[GHz]〜3[GHz]程度であると利用者は一目で判別可能である。これにより、利用者は、開口部ごとに開口部から漏洩する波動の共振周波数がどの程度であるかを判別しやすくなる。
図31は、ラベルを併用して開口部ごとに共振周波数を直方体によって可視化して表示する例を示す説明図である。第1周波数表示部502は、共振周波数を直方体によって可視化して表示する際に、直方体に共振周波数が記述されたラベルを関連付けて表示してもよい。例えば、左側の開口部に関連付けて表示された直方体には、「1G」のラベルが付され、右側の開口部に関連付けて表示された直方体には、「2G」のラベルが付される。
図32は、開口部ごとに共振周波数を投影によって可視化して表示する例(その1)を示す説明図である。第2周波数表示部503は、第1直方体103の底面に、共振周波数ごとに共振周波数に応じた長さの長方形を投影して表示する。底面とは、例えば、図8に示す面SF−1〜面SF−6のいずれかの面であり、物体102の配置に応じて定まる。
また、第2周波数表示部503は、第1直方体103の背面に、共振周波数ごとに共振周波数に応じた長さの長方形を投影して表示する。背面とは、例えば、図8に示す面SF−1〜面SF−6のいずれかの面であり、物体102の配置に応じて定まる。これにより、利用者が、各開口部から漏洩する波動の共振周波数がどの程度であるかを判別しやすくなる。
図33は、開口部ごとに共振周波数を投影によって可視化して表示する例(その2)を示す説明図である。第2周波数表示部503は、第1直方体103の底面や背面側に共振周波数ごとに共振周波数に応じた長さの長方形を投影して表示する際に、共振周波数に応じた罫線を表示する。また、第2周波数表示部503は、罫線に共振周波数のラベルを付して表示してもよい。図33の例では、罫線に1[GHz]と2[GHz]のラベルが付される。これにより、利用者が、各開口部から漏洩する波動の共振周波数がどの程度であるかを判別しやすくなる。
(共振周波数チェック装置100による共振周波数チェック処理手順例)
図34は、共振周波数チェック装置による共振周波数チェック処理手順例を示すフローチャートである。共振周波数チェック装置100は、外部領域空間を作成する(ステップS3401)。つぎに、共振周波数チェック装置100は、内部領域空間を作成する(ステップS3402)。そして、共振周波数チェック装置100は、外部領域空間と内部領域空間とが接触する境界面を作成する(ステップS3403)。
共振周波数チェック装置100は、作成した境界面から連続する境界面を検出して、開口部単位に分類する(ステップS3404)。ステップS3401〜ステップS3404については、従来技術であるため、詳細な処理手順を示すフローチャートについては省略する。
共振周波数チェック装置100は、開口部ごとに開口部の形状の種類を判定する種類判定処理と共振周波数を算出する算出処理とを行う(ステップS3405)。そして、共振周波数チェック装置100は、開口部単位によって共振周波数を表示する(ステップS3406)。
そして、共振周波数チェック装置100は、接続箇所または接続可能箇所を反映して再度検証するか否かを判断する(ステップS3407)。接続箇所または接続可能箇所を反映して再度検証すると判断された場合(ステップS3407:Yes)、共振周波数チェック装置100は、ステップS3405へ移行する。再度検証しないと判断された場合(ステップS3407:No)、共振周波数チェック装置100は、一連の処理を終了する。
図35は、種類判定処理と共振周波数算出処理手順例を示すフローチャートである。共振周波数チェック装置100は、共振周波数を未算出の開口部があるか否かを判断する(ステップS3501)。未算出の開口部があると判断された場合(ステップS3501:Yes)、共振周波数チェック装置100は、未算出の開口部からいずれかの開口部を算出対象として選択する(ステップS3503)。
共振周波数チェック装置100は、境界面から境界線を投影によって得て、開口部を包含する最小の直方体104に境界線106を投影する(ステップS3504)。そして、共振周波数チェック装置100は、接続箇所を反映するか否かを判断する(ステップS3505)。接続箇所を反映すると判断された場合(ステップS3505:Yes)、共振周波数チェック装置100は、反映処理を行い(ステップS3506)、ステップS3507へ移行する。
接続箇所を反映しないと判断された場合(ステップS3505:No)、共振周波数チェック装置100は、投影により得られた外周線107が一周しているか否かを判断する(ステップS3507)。外周線107が一周していないと判断された場合(ステップS3507:No)、共振周波数チェック装置100は、開口部の形状の種類をスリットとして、共振周波数を算出し(ステップS3508)、ステップS3501へ戻る。ステップS3508において、共振周波数チェック装置100は、外周線107の外周線を、式(3)に与えることにより、共振周波数を算出する。
外周線107が一周していると判断された場合(ステップS3507:Yes)、共振周波数チェック装置100は、開口部の開口面に含まれる部品の部品面を特定する(ステップS3509)。共振周波数チェック装置100は、部品面が閾値以上であるか否かを判断する(ステップS3510)。閾値以上であると判断された場合(ステップS3510:Yes)、共振周波数チェック装置100は、開口部の形状の種類を開口として、共振周波数を算出し(ステップS3512)、ステップS3501へ戻る。ステップS3512において、共振周波数チェック装置100は、外周線107の対角線の長さを、式(1)に与えることにより、共振周波数を算出する。
閾値以上でないと判断された場合(ステップS3510:No)、共振周波数チェック装置100は、開口部の形状の種類をループとして、共振周波数を算出し(ステップS3511)、ステップS3501へ戻る。ステップS3511において、共振周波数チェック装置100は、外周線107の長さを、式(2)に与えることにより、共振周波数を算出する。
ステップS3501において、未算出の開口部がないと判断された場合(ステップS3501:No)、共振周波数チェック装置100は、共振周波数単位でグループ化し(ステップS3502)、一連の処理を終了する。
図36は、図35に示す反映処理手順例を示す説明図である。共振周波数チェック装置100は、交差チェックを反映するか否かを判断する(ステップS3601)。交差チェックを反映しないと判断された場合(ステップS3601:No)、共振周波数チェック装置100は、ステップS3605へ移行する。
交差チェックを反映すると判断された場合(ステップS3601:Yes)、共振周波数チェック装置100は、交差チェックを行う(ステップS3602)。そして、共振周波数チェック装置100は、開口部の最大外形の直方体に含まれる交差箇所を抽出する(ステップS3603)。
共振周波数チェック装置100は、投影結果から交差箇所を削除し(ステップS3604)、ステップS3605へ移行する。共振周波数チェック装置100は、接続可能箇所を反映するか否かを判断する(ステップS3605)。接続可能箇所を反映しないと判断された場合(ステップS3605:No)、共振周波数チェック装置100は、一連の処理を終了する。
また、接続可能箇所を反映すると判断された場合(ステップS3605:Yes)、共振周波数チェック装置100は、開口部の最大外形の直方体に含まれる接続可能箇所を抽出する(ステップS3606)。そして、共振周波数チェック装置100は、投影結果から接続可能箇所を削除し(ステップS3607)、一連の処理を終了する。
以上説明したように、共振周波数チェック装置100は、開口部に含まれる一連の境界面を、内部方向から投影面に投影することで得られる線の形状に基づき開口部の形状の種類を特定し、特定した種類により開口部から漏洩する波動の共振周波数を求める。これにより、物体の設計途中であっても開口部から漏洩する波動の共振周波数を簡単に求めることができる。したがって、設計対象の物体の波動の漏洩箇所を特定できる。例えば、漏洩箇所に該当する開口部のサイズによる影響を事前に確認できることで、所望の周波数帯が開口部から漏洩しないように対策を講じた設計をすることができ、設計の手戻りを削減できる。また、内部構造物の不足や未確定な設計初期段階において波動の漏洩箇所の特定を図ることで、設計早期から確認しながら波動の漏洩の対策を盛り込んだ設計を行うことができる。これにより、設計最終段階において従来のシミュレーションを実施しても波動漏洩に関する問題検出が減少し、設計の手戻りを減らすことができる。
また、共振周波数チェック装置100は、一連の境界面を内包する最小の直方体の面のうち、内部方向に直交するいずれかの面の辺に、投影で得た線を投影することによって得られる外周線の形状によって、開口部の形状の種類を特定する。外周線の形状によって開口部の形状の種類を簡単に特定することができる。
また、共振周波数チェック装置100は、外周線が一周しない場合、開口部の形状の種類がスリットであると判断し、外周線の長さに基づいて共振周波数を算出する。これにより、より詳細に開口部の形状を判別することが可能となる。
また、共振周波数チェック装置100は、外周線が一周する場合、さらに、直交する面にある部品の割合に基づいて、開口部の形状の種類を特定する。これにより、より詳細に開口部の形状を判別することが可能となる。
また、共振周波数チェック装置100は、いずれかの面にある部品面の割合が閾値以上である場合に、開口部の形状の種類がループであると判断し、外周線の長さに基づいて共振周波数を算出する。これにより、開口部の形状によってより精度よく共振周波数を求めることができる。
また、共振周波数チェック装置100は、いずれかの面にある部品の割合が閾値以上でない場合に、開口部の形状の種類が開口であると判断し、いずれかの面の対角線の長さに基づいて共振周波数を算出する。これにより、開口部の形状によってより精度よく共振周波数を求めることができる。
また、共振周波数チェック装置100は、接続箇所に対応する線を投影した線から削除した線の形状に基づいて、開口部の形状の種類を特定する。これにより、導電性のある部品間によって開口部周辺の接続状態の変化によって開口部の共振周波数がどのように変化するかの検証の容易化を図ることができる。
また、共振周波数チェック装置100は、最小の直方体の各面から近くにある第1部品の面から、第1部品の面の近くにある第2部品の面までの接続可能箇所に対応する線を投影した外周線から除外した外周線の形状に基づいて、開口部の形状の種類を特定する。ここでの第1部品と第2部品とは干渉しておらず、第1部品の面と第2部品の面とが近いとは、第1部品の面と第2部品の面との間の空間距離が近いことを示す。これにより、接続可能箇所を指定することで、開口部の形状変更や接続用のモデル配置など不要で、導電性のある部品間によって開口部周辺の接続状態の変化によって開口部の共振周波数がどのように変化するかの検証の容易化を図ることができる。したがって、物体の設計の容易化を図ることができる。
また、共振周波数チェック装置100は、開口部に基づく位置に、算出した共振周波数に応じた長さの図形を表示する。例えば、共振周波数チェック装置100は、開口部の位置に共振周波数に対応する長さの直方体を表示してもよい。また、例えば、共振周波数チェック装置100は、第1直方体の底面や背面に対応する開口部の位置に、共振周波数に対応する長さの長方形を表示してもよい。また、共振周波数チェック装置100は、共振周波数を判別可能な罫線やラベルなどを図形に関連付けて表示してもよい。これにより、利用者が、各開口部からどの程度の共振周波数である波動が漏洩しているかを判別可能である。
また、共振周波数チェック装置100は、複数の開口部の各々について算出した共振周波数を所定の周波数帯別に分類した分類結果を表示する。これにより、利用者は、どのような共振周波数が漏洩するかを把握することができる。
なお、本実施の形態で説明した共振周波数チェック方法は、予め用意された共振周波数チェックプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本共振周波数チェックプログラムは、磁気ディスク、光ディスク、USBフラッシュメモリなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、共振周波数チェックプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)コンピュータに、
シミュレーション空間において物体を内包する第1直方体を分割した複数の第2直方体の面から検出された一連の面を含む開口部の形状の種類を、前記第1直方体の特定面に基づく方向に直交する投影面であって、前記特定面から前記一連の面よりも離れた位置にある投影面に、前記一連の面を前記方向から投影することによって得られる線の形状に基づいて特定し、
特定した前記開口部の形状の種類に応じた、前記開口部から漏洩する波動の共振周波数を算出し、
算出した前記共振周波数を提示する、
処理を実行させることを特徴とする共振周波数チェックプログラム。
(付記2)前記開口部の形状の種類を特定する処理では、
前記一連の面を内包する最小の直方体の面のうち前記方向に直交するいずれかの面を形成する辺の各々に、前記辺からの距離が所定条件に合致する前記線の部分を投影することにより得られる線の形状に基づいて、前記開口部の形状の種類を特定する、
ことを特徴とする付記1に記載の共振周波数チェックプログラム。
(付記3)前記開口部の形状の種類を特定する処理では、
前記線の部分を投影することにより得られる前記線の形状が、前記いずれかの面の外周を一周する形状であるか否かに基づいて、前記形状の種類を特定する、
ことを特徴とする付記2に記載の共振周波数チェックプログラム。
(付記4)前記共振周波数を算出する処理では、
前記いずれかの面の外周を一周する形状でない場合に、前記線の部分を投影することにより得られる前記線の長さに基づいて、前記共振周波数を算出する、
ことを特徴とする付記3に記載の共振周波数チェックプログラム。
(付記5)前記開口部の形状の種類を特定する処理では、
前記外周を一周する形状である場合に、前記物体に含まれる複数の部品のうち、前記いずれかの面に含まれる部品の割合に基づいて、前記開口部の種類を特定する、
ことを特徴とする付記3に記載の共振周波数チェックプログラム。
(付記6)前記共振周波数を算出する処理では、
前記割合が閾値以上である場合に、前記線の部分を投影することにより得られる前記線の長さに基づいて、前記共振周波数を算出する、
ことを特徴とする付記5に記載の共振周波数チェックプログラム。
(付記7)前記共振周波数を算出する処理では、
前記割合が閾値以上でない場合に、前記いずれかの面の対角線の長さに基づいて、前記共振周波数を算出する、
ことを特徴とする付記5に記載の共振周波数チェックプログラム。
(付記8)前記コンピュータに、
前記物体に含まれる複数の部品のうち、前記最小の直方体に含まれる部品において前記部品同士が干渉する位置を抽出する、
処理を実行させ、
前記開口部の種類を特定する処理では、
前記線の部分を投影することにより得られる前記線から、抽出した前記位置に対応する部分を除外した線の形状に基づいて、前記開口部の形状の種類を特定する、
ことを特徴とする付記2〜7のいずれか一つに記載の共振周波数チェックプログラム。
(付記9)前記コンピュータに、
前記物体に含まれる複数の部品のうち、前記最小の直方体の各面から第1所定距離以内にある第1部品の面と、前記複数の部品のうち前記第1部品と異なる部品の面のうち前記第1部品の面からの距離が第2所定距離以内である第2部品の面と、の組み合わせを抽出する、
処理を実行させ、
前記開口部の形状の種類を特定する処理では、
前記線の部分を投影することにより得られる前記線から、抽出した前記組み合わせに含まれる前記第1部品の面から、抽出した前記組み合わせに含まれる前記第2部品の面までの位置に対応する部分を除外した線の形状に基づいて、前記開口部の形状の種類を特定する、
ことを特徴とする付記2〜7のいずれか一つに記載の共振周波数チェックプログラム。
(付記10)前記提示する処理では、
前記シミュレーション空間において、前記複数の面に基づく位置に、算出した前記共振周波数に応じたサイズの図形を表示する、
ことを特徴とする付記1〜9のいずれか一つに記載の共振周波数チェックプログラム。
(付記11)前記開口部が複数ある場合に、
前記提示する処理では、
複数の前記開口部を、複数の前記開口部の各々について算出した前記共振周波数を、周波数帯別に分類した分類結果を表示する、
ことを特徴とする付記1〜9のいずれか一つに記載の共振周波数チェックプログラム。
(付記12)コンピュータが、
シミュレーション空間において物体を内包する第1直方体を分割した複数の第2直方体の面から検出された一連の面を含む開口部の形状の種類を、前記第1直方体の特定面に基づく方向に直交する投影面であって、前記特定面から前記一連の面よりも離れた位置にある投影面に、前記一連の面を前記方向から投影することによって得られる線の形状に基づいて特定し、
特定した前記開口部の形状の種類に応じた、前記開口部から漏洩する波動の共振周波数を算出し、
算出した前記共振周波数を提示する、
処理を実行することを特徴とする共振周波数チェック方法。
(付記13)シミュレーション空間において物体を内包する第1直方体を分割した複数の第2直方体の面から検出された一連の面を含む開口部の形状の種類を、前記第1直方体の特定面に基づく方向に直交する投影面であって、前記特定面から前記一連の面よりも離れた位置にある投影面に、前記一連の面を前記方向から投影することによって得られる線の形状に基づいて特定し、特定した前記開口部の形状の種類に応じた、前記開口部から漏洩する波動の共振周波数を算出する制御部と、
前記制御部によって算出された前記共振周波数を提示する提示部と、
を有することを特徴とする共振周波数チェック装置。