JP5327324B2 - 方向性結合器 - Google Patents

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Description

本発明は、方向性結合器に関し、より特定的には、高周波信号により通信を行う無線通信機器等に用いられる方向性結合器に関する。
従来の方向性結合器としては、例えば、特許文献1に記載の方向性結合器が知られている。該方向性結合器は、コイル状導体及び地導体が形成された複数の誘電体層が積層されて構成されている。コイル状導体は、2本設けられている。一方のコイル状導体は、主線路を構成しており、他方のコイル状導体は副線路を構成している。主線路と副線路とは、互いに電磁気的に結合している。また、地導体は、積層方向からコイル状導体を挟んでいる。地導体には、接地電位が印加される。以上のような方向性結合器では、主線路に信号を入力すると、副線路からは、該信号の電力に比例する電力を有する信号が出力される。
しかしながら、特許文献1に記載の方向性結合器では、主線路と副線路との結合度が、主線路に入力してくる信号の周波数が高くなるにしたがって高くなってしまう(すなわち、結合度特性が平坦ではない)という問題を有している。そのため、同じ電力の信号が主線路に入力したとしても、信号の周波数が変動すると、副線路から出力されてくる信号の電力が変動してしまう。よって、副線路に接続されているICでは、信号の周波数に基づいて、信号の電力を補正する機能を有している必要がある。
特開平8−237012号公報
そこで、本発明の目的は、方向性結合器における結合度特性を平坦に近づけることである。
本発明の第1の形態に係る方向性結合器は、所定の周波数帯域において用いられる方向性結合器であって、第1の端子ないし第4の端子と、前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続されている主線路と、前記第3の端子と前記第4の端子との間に接続され、かつ、前記主線路と電磁気的に結合している第1の副線路と、前記第3の端子と前記第1の副線路との間に接続されている第1のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第1のローパスフィルタと、接地端子である第5の端子を、を備えていること、前記第1のローパスフィルタは、前記第3の端子と前記第1の副線路との間と、前記第5の端子との間に接続されている第1のコンデンサと、前記第3の端子と前記第1の副線路との間に直列に接続されている第1のコイルと、を含んでおり、前記第1のコンデンサは、前記第1のコイルと前記第1の副線路との間と、前記第5の端子との間に接続されていること、を特徴とする。
本発明の第2の形態に係る方向性結合器は、所定の周波数帯域において用いられる方向性結合器であって、第1の端子ないし第4の端子と、前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続されている主線路と、前記第3の端子と前記第4の端子との間に接続され、かつ、前記主線路と電磁気的に結合している第1の副線路と、前記第3の端子と前記第1の副線路との間に接続されている第1のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第1のローパスフィルタと、前記第4の端子と前記第1の副線路との間に接続されている第2のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第2のローパスフィルタと、終端化される終端端子である第5の端子及び第6の端子と、を備えており、前記第1のローパスフィルタは、前記第3の端子と前記第1の副線路との間に直列に接続されている第1のコイルと、前記第3の端子と前記第1の副線路との間と、前記第5の端子との間に接続されている第1のコンデンサと、を含み、前記第2のローパスフィルタは、前記第4の端子と前記第1の副線路との間に直列に接続されている第2のコイルと、前記第4の端子と前記第1の副線路との間と、前記第6の端子との間に接続されている第2のコンデンサと、を含んでおり、前記第1のコンデンサは、前記第1のコイルと前記第1の副線路との間と、前記第5の端子との間に接続され、前記第2のコンデンサは、前記第2のコイルと前記第1の副線路との間と、前記第6の端子との間に接続されていること、を特徴とする。
本発明の第3の形態に係る方向性結合器は、所定の周波数帯域において用いられる方向性結合器であって、第1の端子ないし第4の端子と、前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続されている主線路と、前記第3の端子と前記第4の端子との間に接続され、かつ、前記主線路と電磁気的に結合している第1の副線路と、前記第3の端子と前記第1の副線路との間に接続されている第1のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第1のローパスフィルタと、前記第4の端子と前記第1の副線路との間に接続されている第2のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第2のローパスフィルタと、接地端子である第7の端子と、前記接地端子に接続されている終端抵抗と、を備えており、前記第1のローパスフィルタは、前記第3の端子と前記第1の副線路との間に直列に接続されている第1のコイルと、前記第3の端子と前記第1の副線路との間と、前記終端抵抗との間に接続されている第1のコンデンサと、を含み、前記第2のローパスフィルタは、前記第4の端子と前記第1の副線路との間に直列に接続されている第2のコイルと、前記第4の端子と前記第1の副線路との間と、前記終端抵抗との間に接続されている第2のコンデンサと、を含むこと、を特徴とする。
本発明の第4の形態に係る方向性結合器は、所定の周波数帯域において用いられる方向性結合器であって、第1の端子ないし第4の端子と、前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続されている主線路と、前記第3の端子と前記第4の端子との間に接続され、かつ、前記主線路と電磁気的に結合している第1の副線路と、前記第3の端子と前記第1の副線路との間に接続されている第1のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第1のローパスフィルタと、複数の絶縁体層が積層されて構成されている積層体と、接地端子である第5の端子と、を備えており、前記主線路、前記第1の副線路及び前記第1のローパスフィルタは、前記絶縁体層上に設けられている導体層により構成されており、前記第1のローパスフィルタは、前記第3の端子と前記第1の副線路との間に直列に接続されている第1のコイルと、前記第3の端子と前記第1の副線路との間と、前記第5の端子との間に接続されている第1のコンデンサと、を含み、前記方向性結合器は、積層方向において、前記主線路及び前記第1の副線路と前記第1のコイルとの間に設けられているシールド導体層であって、接地電位が印加されるシールド導体層を、更に備えていること、を特徴とする。
本発明の第5の形態に係る方向性結合器は、所定の周波数帯域において用いられる方向性結合器であって、第1の端子ないし第4の端子と、前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続されている主線路と、前記第3の端子と前記第4の端子との間に接続され、かつ、前記主線路と電磁気的に結合している第1の副線路と、前記第3の端子と前記第1の副線路との間に接続されている第1のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第1のローパスフィルタと、第8の端子及び第9の端子と、前記第8の端子と前記第9の端子との間に接続され、かつ、前記主線路と電磁気的に結合している第2の副線路と、前記第9の端子と前記第2の副線路との間に接続されている第3のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第3のローパスフィルタと、を備えていること、を特徴とする。
本発明の第6の形態に係る方向性結合器は、所定の周波数帯域において用いられる方向性結合器であって、第1の端子ないし第4の端子と、前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続されている主線路と、前記第3の端子と前記第4の端子との間に接続され、かつ、前記主線路と電磁気的に結合している第1の副線路と、前記第3の端子と前記第1の副線路との間に接続されている第1のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第1のローパスフィルタと、第8の端子及び第9の端子と、前記第8の端子と前記第9の端子との間に接続され、かつ、前記主線路と電磁気的に結合している第2の副線路と、前記第8の端子と前記第2の副線路との間に接続されている第3のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第3のローパスフィルタと、を備えていること、を特徴とする。
本発明によれば、方向性結合器における結合度特性を平坦に近づけることができる。
第1の実施形態ないし第4の実施形態に係る方向性結合器の等価回路図である。 ローパスフィルタを有さない従来の方向性結合器の結合度特性及びアイソレーション特性を示したグラフである。 ローパスフィルタを有さない従来の方向性結合器の結合度特性、及び、ローパスフィルタの挿入損失特性を示したグラフである。 第1の実施形態に係る方向性結合器の結合度特性及びアイソレーション特性を示したグラフである。 第1の実施形態ないし第5の実施形態に係る方向性結合器の外観斜視図である。 第1の実施形態に係る方向性結合器の積層体の分解斜視図である。 第2の実施形態に係る方向性結合器の積層体の分解斜視図である。 第3の実施形態に係る方向性結合器の積層体の分解斜視図である。 第4の実施形態に係る方向性結合器の積層体の分解斜視図である。 第5の実施形態に係る方向性結合器の積層体の分解斜視図である。 第6の実施形態に係る方向性結合器の等価回路図である。 第6の実施形態及び第7の実施形態に係る方向性結合器の外観斜視図である。 第6の実施形態に係る方向性結合器の積層体の分解斜視図である。 第7の実施形態に係る方向性結合器の積層体の分解斜視図である。 第8の実施形態及び第9の実施形態に係る方向性結合器の等価回路図である。 第7の実施形態に係る方向性結合器の積層体の分解斜視図である。 ローパスフィルタを有さない従来の方向性結合器の結合度特性及びアイソレーション特性を示したグラフである。 図18は、方向性結合器の結合度特性及びアイソレーション特性を示したグラフである。 第9の実施形態に係る方向性結合器の積層体の分解斜視図である。 第10の実施形態に係る方向性結合器の積層体の分解斜視図である。 第11の実施形態に係る方向性結合器の等価回路図である。 第11の実施形態に係る方向性結合器の積層体の分解斜視図である。 第12の実施形態に係る方向性結合器の等価回路図である。 第12の実施形態に係る方向性結合器の積層体の分解斜視図である。
以下に、本発明の実施形態に係る方向性結合器について説明する。
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態に係る方向性結合器について図面を参照しながら説明する。図1は、第1の実施形態ないし第4の実施形態に係る方向性結合器10a〜10dの等価回路図である。
方向性結合器10aの回路構成について説明する。方向性結合器10aは、所定の周波数帯域において用いられる。所定の周波数帯域とは、例えば、824MHz〜915MHz(GSM800/900)の周波数を有する信号及び1710MHz〜1910MHz(GSM1800/1900)の周波数を有する信号が方向性結合器10aに入力される場合には、824MHz〜1910MHzである。
方向性結合器10aは、外部電極(端子)14a〜14f、主線路M、副線路S及びローパスフィルタLPF1を回路構成として備えている。主線路Mは、外部電極14a,14b間に接続されている。副線路Sは、外部電極14c,14d間に接続され、かつ、主線路Mと電磁気的に結合している。
また、ローパスフィルタLPF1は、外部電極14cと副線路Sとの間に接続され、所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している。ローパスフィルタLPF1は、コンデンサC1及びコイルL1を含んでいる。コイルL1は、外部電極14cと副線路Sとの間に直列に接続されている。コンデンサC1は、副線路Sと外部電極14cとの間(より正確には、コイルL1と外部電極14cの間)と、外部電極14e,14fとの間に接続されている。
以上のような方向性結合器10aでは、外部電極14aが入力ポートとして用いられ、外部電極14bが出力ポートとして用いられる。また、外部電極14cは、カップリングポートとして用いられ、外部電極14dは、50Ωで終端化されるターミネートポートとして用いられる。また、外部電極14e,14fは、接地される接地ポートとして用いられる。そして、外部電極14aに対して信号を入力すると、該信号が外部電極14bから出力される。更に、主線路Mと副線路Sとが電磁気的に結合しているので、信号の電力に比例する電力を有する信号が外部電極14cから出力する。
以上のような回路構成を有する方向性結合器10aによれば、以下に説明するように、結合度特性を平坦に近づけることができる。図2は、ローパスフィルタLPF1を有さない従来の方向性結合器の結合度特性及びアイソレーション特性を示したグラフである。図3は、ローパスフィルタLPF1を有さない従来の方向性結合器の結合度特性、及び、ローパスフィルタLPF1の挿入損失特性を示したグラフである。図4は、方向性結合器10aの結合度特性及びアイソレーション特性を示したグラフである。図2ないし図4は、シミュレーション結果を示している。なお、結合度特性とは、外部電極14a(入力ポート)に入力される信号と外部電極14c(カップリングポート)から出力される信号との間の電力の比(すなわち、減衰量)、及び、周波数の関係であり、アイソレーション特性とは、外部電極14b(出力ポート)から入力される信号と外部電極14c(カップリングポート)から出力される信号との間の電力の比(すなわち、減衰量)、及び、周波数の関係である。また、挿入損失特性とは、ローパスフィルタの減衰量と周波数との関係である。図2ないし図4において、縦軸は減衰量を示し、横軸は周波数を示している。
従来の方向性結合器では、主線路と副線路との結合度は、信号の周波数が高くなるにしたがって、高くなる。よって、図2に示すように、従来の方向性結合器の結合度特性では、周波数が高くなるにしたがって、入力ポートから入力され、カップリングポートへ出力される電力の比が増加する。
そこで、方向性結合器10aでは、外部電極14cと副線路Sとの間にローパスフィルタLPF1が接続されている。ローパスフィルタLPF1は、図3に示すように、周波数が高くなるにしたがって、減衰量が増加する挿入損失特性を有している。そのため、信号の周波数が高くなることにより、副線路Sから外部電極14cに出力される信号の電力が大きくなったとしても、ローパスフィルタLPF1により該信号の電力が低減される。その結果、図4に示すように、方向性結合器10aにおいて、結合度特性を平坦に近づけることができる。
なお、所定の周波数帯域において、方向性結合器10aのローパスフィルタLPF1を除く部分(すなわち、主線路Mと副線路S)の結合度特性の傾きの平均値とローパスフィルタLPF1の挿入損失特性の傾きの平均値とが、互いに逆の符号を有し、かつ、略等しい絶対値を有していることが望ましい。これにより、方向性結合器10aの結合度特性をより平坦に近づけることが可能となる。
また、図3に示された方向性結合器10aと図2に示された従来の方向性結合器のアイソレーション特性とを比較して、方向性結合器10aにおいては、ローパスフィルタLPF1が設けられることにより、アイソレーション特性の減衰量が増えることがない。
次に、方向性結合器10aの具体的構成について図面を参照しながら説明する。図5は、第1の実施形態ないし第5の実施形態に係る方向性結合器10a〜10eの外観斜視図である。図6は、第1の実施形態に係る方向性結合器10aの積層体12aの分解斜視図である。以下では、積層方向をz軸方向と定義し、z軸方向から平面視したときの方向性結合器10aの長辺方向をx軸方向と定義し、z軸方向から平面視したときの方向性結合器10aの短辺方向をy軸方向と定義する。なお、x軸、y軸、z軸は、互いに直交している。
方向性結合器10aは、図5及び図6に示すように、積層体12a、外部電極14(14a〜14f)、主線路M、副線路S、ローパスフィルタLPF1及びシールド導体層26aを備えている。積層体12aは、図5に示すように、直方体状をなしており、図6に示すように、絶縁体層16(16a〜16m)がz軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に並ぶように積層されることにより構成されている。絶縁体層16は、誘電体セラミックであり、長方形状をなしている。
外部電極14a,14e,14bは、積層体12aのy軸方向の正方向側の側面において、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並ぶように設けられている。外部電極14c,14f,14dは、積層体12aのy軸方向の負方向側の側面において、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並ぶように設けられている。
主線路Mは、図6に示すように、線路部18(18a,18b)及びビアホール導体b1により構成されており、z軸方向の正方向側から負方向側にいくにしたがって、時計回りに旋廻する螺線状をなしている。ここで、主線路Mにおいて、時計回りの上流側の端部を上流端と呼び、時計回りの下流側の端部を下流端と呼ぶ。線路部18aは、絶縁体層16b上に設けられている線状の導体層であり、その上流端は、外部電極14aに接続されている。線路部18bは、絶縁体層16c上に設けられている線状の導体層であり、その下流端は、外部電極14bに接続されている。ビアホール導体b1は、絶縁体層16bをz軸方向に貫通しており、線路部18aの下流端と線路部18bの上流端とを接続している。これにより、主線路Mは、外部電極14a,14b間に接続されている。
副線路Sは、図6に示すように、線路部20(20a,20b)及びビアホール導体b2〜b4により構成されており、z軸方向の正方向側から負方向側にいくにしたがって、反時計回りに旋廻する螺線状をなしている。すなわち、副線路Sは、主線路Mと逆方向に旋廻している。更に、副線路Sにより囲まれている領域は、z軸方向から平面視したときに、主線路Mにより囲まれている領域と重なっている。すなわち、主線路Mと副線路Sとは、絶縁体層16cを挟んで対向している。これにより、主線路Mと副線路Sとが電磁気的に結合している。ここで、副線路Sにおいて、反時計回りの上流側の端部を上流端と呼び、反時計回りの下流側の端部を下流端と呼ぶ。線路部20aは、絶縁体層16d上に設けられている線状の導体層であり、その上流端は、外部電極14dに接続されている。線路部20bは、絶縁体層16e上に設けられている線状の導体層である。ビアホール導体b2は、絶縁体層16dをz軸方向に貫通しており、線路部20aの下流端と線路部20bの上流端とを接続している。また、ビアホール導体b3,b4は、絶縁体層16e,16fをz軸方向に貫通しており、互いに接続されている。そして、ビアホール導体b3は、線路部20bの下流端に接続されている。
ローパスフィルタLPF1は、コイルL1及びコンデンサC1により構成されている。コイルL1は、線路部22(22a〜22d)及びビアホール導体b5〜b7により構成されており、z軸方向の正方向側から負方向側にいくにしたがって、反時計回りに旋廻する螺旋状をなしている。ここで、コイルL1において、反時計回りの上流側の端部を上流端と呼び、反時計回りの下流側の端部を下流端と呼ぶ。線路部22aは、絶縁体層16g上に設けられている線状の導体層であり、その上流端は、ビアホール導体b4に接続されている。線路部22b,22cはそれぞれ、絶縁体層16h,16i上に設けられている線状の導体層である。線路部22dは、絶縁体層16j上に設けられている線状の導体層であり、その下流端は、外部電極14cに接続されている。ビアホール導体b5は、絶縁体層16gをz軸方向に貫通しており、線路部22aの下流端と線路部22bの上流端とを接続している。ビアホール導体b6は、絶縁体層16hをz軸方向に貫通しており、線路部22bの下流端と線路部22cの上流端とを接続している。ビアホール導体b7は、絶縁体層16iをz軸方向に貫通しており、線路部22cの下流端と線路部22dの上流端とを接続している。これにより、コイルL1は、副線路Sと外部電極14cとの間に接続されている。
コンデンサC1は、面状導体層24(24a〜24c)により構成されている。面状導体層24a,24cはそれぞれ、絶縁体層16k,16mの略全面を覆うように設けられており、外部電極14e,14fに接続されている。面状導体層24bは、絶縁体層16lに設けられており、外部電極14cに接続されている。面状導体層24bは、長方形状をなしており、z軸方向から平面視したときに、面状導体層24a,24cに重なっている。これにより、面状導体層24a,24cと面状導体層24bとの間には容量が発生している。そして、コンデンサC1は、外部電極14cと外部電極14e,14fとの間に接続されている。すなわち、コンデンサC1は、コイルL1と外部電極14cの間と、外部電極14e,14fとの間に接続されている。
シールド導体層26aは、絶縁体層16fの略全面を覆うように設けられており、外部電極14e,14fに接続されている。すなわち、シールド導体層26aには、接地電位が印加されている。シールド導体層26aは、z軸方向において、主線路M及び副線路SとコイルL1との間に設けられることにより、副線路SとコイルL1とが電磁気的に結合することを抑制している。
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態に係る方向性結合器10bの構成について図面を参照しながら説明する。図7は、第2の実施形態に係る方向性結合器10bの積層体12bの分解斜視図である。
方向性結合器10bの回路構成は、方向性結合器10aと同じであるので説明を省略する。方向性結合器10bと方向性結合器10aとの相違点は、図7に示すように、シールド導体層26bが設けられた絶縁体層16nが、絶縁体層16a,16b間に設けられている点である。
より詳細には、シールド導体層26bは、絶縁体層16nの略全面を覆うように設けられており、外部電極14e,14fに接続されている。すなわち、シールド導体層26bには、接地電位が印加されている。シールド導体層26bは、主線路Mのz軸方向の正方向側に設けられている。これにより、シールド導電層26bは面状導体層24a、24cと共に、主線路M、副線路S及びコイルL1をz軸方向から挟むように構成される。このため、主線路M、副線路S及びコイルL1で発生した磁界が積層体12bの外部へと漏れることが、シールド導体層26b及び面状導体層24a、24cにより防止される。
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態に係る方向性結合器10cの構成について図面を参照しながら説明する。図8は、第3の実施形態に係る方向性結合器10cの積層体12cの分解斜視図である。
方向性結合器10cの回路構成は、方向性結合器10a,10bと同じであるので説明を省略する。方向性結合器10cと方向性結合器10bとの相違点は、主線路M、副線路S、ローパスフィルタLPF1(コイルL1及びコンデンサC1)、シールド導体層26a,26bの積層順が異なっている点である。
より詳細には、方向性結合器10bでは、図7に示すように、z軸方向の正方向側から負方向側へと、シールド導体層26b、主線路M、副線路S、シールド導体層26a、コイルL1、コンデンサC1の順に並んでいる。一方、方向性結合器10cでは、図8に示すように、z軸方向の正方向側から負方向側へと、コンデンサC1、コイルL1、シールド導体層26a、副線路S,主線路M、シールド導体層26bの順に並んでいる。
以上のような構成を有する方向性結合器10cによっても、方向性結合器10bと同様に、主線路M、副線路S及びコイルL1で発生した磁界が外部へ漏れることを防ぎながら、結合度特性を平坦に近づけることができる。
(第4の実施形態)
以下に、第4の実施形態に係る方向性結合器10dの構成について図面を参照しながら説明する。図9は、第4の実施形態に係る方向性結合器10dの積層体12dの分解斜視図である。
方向性結合器10dの回路構成は、方向性結合器10a,10bと同じであるので説明を省略する。方向性結合器10dと方向性結合器10aとの相違点は、主線路M、副線路S、ローパスフィルタLPF1(コイルL1及びコンデンサC1)、シールド導体層26aの積層順が異なっている点である。
より詳細には、方向性結合器10aでは、図6に示すように、z軸方向の正方向側から負方向側へと、主線路M、副線路S、シールド導体層26a、コイルL1、コンデンサC1の順に並んでいる。一方、方向性結合器10dでは、図9に示すように、z軸方向の正方向側から負方向側へと、コイルL1、シールド導体層26a、副線路S、主線路M、コンデンサC1の順に並んでいる。
以上のような構成を有する方向性結合器10dによっても、方向性結合器10aと同様に、結合度特性を平坦に近づけることができる。
更に、方向性結合器10dでは、主線路M及び副線路Sのz軸方向の負方向側にコンデンサC1が設けられている。これにより、面状導体層24a,24cは、シールド導体層26aと共に、主線路M及び副線路Sをz軸方向から挟むようになる。よって、主線路M及び副線路Sで発生した磁界が積層体12dの外部へと漏れることが、面状導体層24a,24c及びシールド導体層26aにより防止される。すなわち、方向性結合器10dでは、主線路M及び副線路Sが発生した電界が積層体12dの外部に漏れることを防止するための新たなシールド導体層26を追加する必要がない。
(第5の実施形態)
以下に、第5の実施形態に係る方向性結合器10eの構成について図面を参照しながら説明する。図10は、第5の実施形態に係る方向性結合器10eの積層体12eの分解斜視図である。
方向性結合器10eは、図1に示す方向性結合器10aの回路構成において、外部電極14dと外部電極14eとの間に、外部電極14dを終端化するための終端抵抗Rが追加された回路構成を有している。そして、方向性結合器10eでは、図10に示すように、終端抵抗Rとしての抵抗導体層28aが絶縁体層16jに設けられている。
より詳細には、抵抗導体層28aは、図10に示すように、外部電極14dと外部電極14eとの間に接続されており、蛇行している線状の導体層である。抵抗導体層28aは、例えば、50Ωのインピーダンスを有している。このように、方向性結合器10eは、終端抵抗Rを内蔵することもできる。この場合、外部に終端抵抗を設けた時と比較して、この方向性結合器が搭載される基板を終端抵抗のスペース分だけ小型化できる。
(第6の実施形態)
以下に、第6の実施形態に係る方向性結合器について図面を参照しながら説明する。図11は、第6の実施形態に係る方向性結合器10fの等価回路図である。
方向性結合器10fの回路構成について説明する。方向性結合器10fにおけるローパスフィルタLPF1の構成は、方向性結合器10aにおけるローパスフィルタLPF1の構成と異なっている。具体的には、方向性結合器10aにおけるローパスフィルタLPF1では、コンデンサC1は、図1に示すように、外部電極14cとコイルL1との間と、外部電極14e,14fとの間に接続されていた。これに対して、方向性結合器10fにおけるローパスフィルタLPF1では、コンデンサC1は、図11に示すように、副線路SとコイルL1との間と、外部電極14eとの間に接続されている。これにより、副線路Sから外部電極14c側へと出力される信号の内、不要な信号は、コイルL1を通過することなく、コンデンサC1及び外部電極14eを経由して、方向性結合器10f外へと出力されるようになる。そのため、不要な信号が、コイルL1にて反射して副線路S側へと戻ることが抑制されるようになる。
また、方向性結合器10fでは、方向性結合器10aに対して、ローパスフィルタLPF2が追加されている。具体的には、ローパスフィルタLPF2は、外部電極14dと副線路Sとの間に接続され、所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している。ローパスフィルタLPF2は、コンデンサC2及びコイルL2を含んでいる。コイルL2は、外部電極14dと副線路Sとの間に直列に接続されている。コンデンサC2は、副線路Sと外部電極14dとの間(より正確には、コイルL2と副線路Sの間)と、外部電極14fとの間に接続されている。
以上のような方向性結合器10fは、外部電極14c,14dの双方をカップリングポートとして用いることができる。より詳細には、方向性結合器10fでは、第1の使用方法として、方向性結合器10aと同様に、外部電極14aが入力ポートとして用いられ、外部電極14bが出力ポートとして用いられる。外部電極14cは、カップリングポートとして用いられ、外部電極14dは、ターミネートポートとして用いられる。外部電極14e,14fは、ターミネートポートとして用いられる。この場合には、外部電極14aに対して信号が入力すると、該信号が外部電極14bから出力する。更に、主線路Mと副線路Sとが電磁気的に結合しているので、信号の電力に比例する電力を有する信号が外部電極14cから出力する。
更に、方向性結合器10fでは、第2の使用方法として、外部電極14bが入力ポートとして用いられ、外部電極14aが出力ポートとして用いられる。外部電極14dは、カップリングポートとして用いられ、外部電極14cは、ターミネートポートとして用いられる。外部電極14e,14fは、ターミネートポートとして用いられる。この場合には、外部電極14bに対して信号が入力すると、該信号が外部電極14aから出力する。更に、主線路Mと副線路Sとが電磁気的に結合しているので、信号の電力に比例する電力を有する信号が外部電極14dから出力する。
以上のような方向性結合器10fは、例えば、携帯電話等の無線通信端末の送受信回路に適用可能である。すなわち、送信信号の電力の検出時には14aを入力ポートとして用い、アンテナからの反射電力の検出時には外部電極14bを入力ポートとして用いればよい。そして、方向性結合器10fでは、外部電極14a,14bのいずれが入力ポートとして用いられたとしても、ローパスフィルタLPF1,LPF2が設けられているので、結合度特性を平坦に近づけることができる。
また、方向性結合器10fでは、外部電極14g,14hと接地電位との間に終端抵抗R1,R2が接続されている。これにより、外部電極14g,14hからローパスフィルタLPF1,LPF2を介して外部電極14c,14dへと信号が反射することが抑制される。
次に、方向性結合器10fの具体的構成について図面を参照しながら説明する。図12は、第6の実施形態及び第7の実施形態に係る方向性結合器10f,10gの外観斜視図である。図13は、第6の実施形態に係る方向性結合器10fの積層体12fの分解斜視図である。以下では、積層方向をz軸方向と定義し、z軸方向から平面視したときの方向性結合器10fの長辺方向をx軸方向と定義し、z軸方向から平面視したときの方向性結合器10fの短辺方向をy軸方向と定義する。なお、x軸、y軸、z軸は、互いに直交している。
方向性結合器10fは、図12及び図13に示すように、積層体12f、外部電極14(14a〜14h)、主線路M、副線路S、ローパスフィルタLPF1,LPF2及びシールド導体層26(26a〜26c)を備えている。積層体12fは、図12に示すように、直方体状をなしており、図13に示すように、絶縁体層16(16a〜16p)がz軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に並ぶように積層されることにより構成されている。絶縁体層16は、誘電体セラミックであり、長方形状をなしている。
外部電極14a,14h,14bは、積層体12fのy軸方向の正方向側の側面において、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並ぶように設けられている。外部電極14c,14g,14dは、積層体12fのy軸方向の負方向側の側面において、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並ぶように設けられている。外部電極14eは、積層体12fのx軸方向の負方向側の側面に設けられている。外部電極14fは、積層体12fのx軸方向の正方向側の側面に設けられている。
主線路Mは、図13に示すように、線路部18(18a,18b)及びビアホール導体b1により構成されており、z軸方向の正方向側から負方向側にいくにしたがって、反時計回りに旋廻する螺線状をなしている。ここで、主線路Mにおいて、反時計回りの上流側の端部を上流端と呼び、反時計回りの下流側の端部を下流端と呼ぶ。線路部18aは、絶縁体層16o上に設けられている線状の導体層であり、その下流端は、外部電極14aに接続されている。線路部18bは、絶縁体層16n上に設けられている線状の導体層であり、その上流端は、外部電極14bに接続されている。ビアホール導体b1は、絶縁体層16nをz軸方向に貫通しており、線路部18aの上流端と線路部18bの下流端とを接続している。これにより、主線路Mは、外部電極14a,14b間に接続されている。
副線路Sは、図13に示すように、線路部20(20a,20b)及びビアホール導体b2〜b6,b13〜b15により構成されており、z軸方向の正方向側から負方向側にいくにしたがって、時計回りに旋廻する螺線状をなしている。すなわち、副線路Sは、主線路Mと逆方向に旋廻している。更に、副線路Sにより囲まれている領域は、z軸方向から平面視したときに、主線路Mにより囲まれている領域と重なっている。すなわち、主線路Mと副線路Sとは、絶縁体層16mを挟んで対向している。これにより、主線路Mと副線路Sとが電磁気的に結合している。ここで、副線路Sにおいて、時計回りの上流側の端部を上流端と呼び、時計回りの下流側の端部を下流端と呼ぶ。線路部20aは、絶縁体層16m上に設けられている線状の導体層である。線路部20bは、絶縁体層16l上に設けられている線状の導体層である。ビアホール導体b2は、絶縁体層16lをz軸方向に貫通しており、線路部20aの上流端と線路部20bの下流端とを接続している。また、ビアホール導体b3,b4,b5,b6はそれぞれ、絶縁体層16l,16k,16j,16iをz軸方向に貫通しており、互いに接続されている。そして、ビアホール導体b3は、線路部20aの下流端に接続されている。また、ビアホール導体b13,b14,b15はそれぞれ、絶縁体層16k,16j,16iをz軸方向に貫通しており、互いに接続されている。そして、ビアホール導体b13は、線路部20bの上流端に接続されている。
ローパスフィルタLPF1は、コイルL1及びコンデンサC1により構成されている。コンデンサC1は、面状導体層24(24a〜24d)及びビアホール導体b16,b17により構成されている。面状導体層24a,24cはそれぞれ、絶縁体層16j,16hに設けられており、外部電極14eに接続されている長方形状の導体層である。面状導体層24b,24dは、絶縁体層16i,16gに設けられている。面状導体層24b,24dは、長方形状をなしており、z軸方向から平面視したときに、面状導体層24a,24cに重なっている。これにより、面状導体層24a,24cと面状導体層24b,24dとの間には容量が発生している。ビアホール導体b16,b17はそれぞれ、絶縁体層16h,16gをz軸方向に貫通しており、互いに接続されている。そして、ビアホール導体b16,b17は、面状導体層24b,24dを接続している。また、面状導体層24bには、ビアホール導体b15が接続されている。これにより、コンデンサC1は、副線路Sの上流端に接続されている。
コイルL1は、線路部22(22a〜22d)及びビアホール導体b18〜b21により構成されており、z軸方向の正方向側から負方向側にいくにしたがって、時計回りに旋廻する螺旋状をなしている。ここで、コイルL1において、時計回りの上流側の端部を上流端と呼び、時計回りの下流側の端部を下流端と呼ぶ。線路部22a,22b,22cはそれぞれ、絶縁体層16f,16e,16d上に設けられている線状の導体層である。線路部22dは、絶縁体層16c上に設けられている線状の導体層であり、その上流端は、外部電極14cに接続されている。ビアホール導体b18は、絶縁体層16fをz軸方向に貫通しており、線路部22aの下流端と面状導体層24dとを接続している。ビアホール導体b19は、絶縁体層16eをz軸方向に貫通しており、線路部22aの上流端と線路部22bの下流端とを接続している。ビアホール導体b20は、絶縁体層16dをz軸方向に貫通しており、線路部22bの上流端と線路部22cの下流端とを接続している。ビアホール導体b21は、絶縁体層16cをz軸方向に貫通しており、線路部22cの上流端と線路部22dの下流端とを接続している。これにより、コイルL1は、コンデンサC1及び副線路Sと外部電極14cとの間に接続されている。
ローパスフィルタLPF2は、コイルL2及びコンデンサC2により構成されている。コンデンサC2は、面状導体層34(34a〜34d)及びビアホール導体b7,b8により構成されている。面状導体層34a,34cはそれぞれ、絶縁体層16j,16hに設けられており、外部電極14fに接続されている長方形状の導体層である。面状導体層34b,34dは、絶縁体層16i,16gに設けられている。面状導体層34b,34dは、長方形状をなしており、z軸方向から平面視したときに、面状導体層34a,34cに重なっている。これにより、面状導体層34a,34cと面状導体層34b,34dとの間には容量が発生している。ビアホール導体b7,b8はそれぞれ、絶縁体層16h,16gをz軸方向に貫通しており、互いに接続されている。そして、ビアホール導体b7,b8は、面状導体層34b,34dを接続している。また、面状導体層34bには、ビアホール導体b6が接続されている。これにより、コンデンサC2は、副線路Sの下流端に接続されている。
コイルL2は、線路部32(32a〜32d)及びビアホール導体b9〜b12により構成されており、z軸方向の正方向側から負方向側にいくにしたがって、反時計回りに旋廻する螺旋状をなしている。ここで、コイルL2において、反時計回りの上流側の端部を上流端と呼び、反時計回りの下流側の端部を下流端と呼ぶ。線路部32a,32b,32cはそれぞれ、絶縁体層16f,16e,16d上に設けられている線状の導体層である。線路部32dは、絶縁体層16c上に設けられている線状の導体層であり、その上流端は、外部電極14dに接続されている。ビアホール導体b9は、絶縁体層16fをz軸方向に貫通しており、線路部32aの下流端と面状導体層34dとを接続している。ビアホール導体b10は、絶縁体層16eをz軸方向に貫通しており、線路部32aの上流端と線路部32bの下流端とを接続している。ビアホール導体b11は、絶縁体層16dをz軸方向に貫通しており、線路部32bの上流端と線路部32cの下流端とを接続している。ビアホール導体b12は、絶縁体層16cをz軸方向に貫通しており、線路部32cの上流端と線路部32dの下流端とを接続している。これにより、コイルL2は、コンデンサC2及び副線路Sと外部電極14cとの間に接続されている。
シールド導体層26aは、絶縁体層16kの略全面を覆うように設けられており、外部電極14g,14hに接続されている。すなわち、シールド導体層26aには、接地電位が印加されている。シールド導体層26aは、副線路SとコンデンサC1,C2との間に設けられており、副線路SとコンデンサC1,C2とが電磁気的に結合することを抑制している。
シールド導体層26b,26cはそれぞれ、絶縁体層16p,16bの略全面を覆うように設けられており、外部電極14g,14hに接続されている。すなわち、シールド導体層26b,26cには、接地電位が印加されている。シールド導体層26bは、主線路M、副線路Sよりもz軸方向の負方向側に設けられている。また、シールド導体層26cは、コイルL1,L2よりもz軸方向の正方向側に設けられている。これにより、シールド導体層26b、26cは主線路M、副線路S及びコイルL1、L2で発生した磁界が積層体12fの外部へと漏れることが、シールド導体層26bにより防止される。さらに、コイルL1とL2とがそれぞれ逆方向に旋回する螺旋状に形成されているため、2つのコイル間で発生する磁界が逆向きになり、コイル間の磁界結合を抑えることができる。これにより、カップリングポートとターミネートポート間の結合を抑えることができ、アイソレーション特性を向上することができる。
(第7の実施形態)
以下に、第7の実施形態に係る方向性結合器10gの構成について図面を参照しながら説明する。図14は、第7の実施形態に係る方向性結合器10gの積層体12gの分解斜視図である。
方向性結合器10gでは、図11に示す方向性結合器10fの回路構成において、終端抵抗R1,R2の代わりに、外部電極14e,14h間及び外部電極14f,14h間に、外部電極14e,14fを終端化するための終端抵抗R3が接続されている。これにより、コンデンサC1は、外部電極14cと副線路Sとの間(より正確には、コイルL1と副線路Sとの間)と、終端抵抗R3との間に接続されている。また、コンデンサC2は、外部電極14dと副線路Sとの間(より正確には、コイルL2と副線路Sとの間)と、終端抵抗R3との間に接続されている。そして、外部電極14e,14fには、接地電位など電位が印加されない。一方、外部電極14hは、接地電位が印加される接地端子として用いられる。以上のような構成を満たすために、方向性結合器10gでは、図14に示すように、終端抵抗R3としての抵抗導体層28bが設けられた絶縁体層16qが設けられている。
より詳細には、抵抗導体層28bは、図14に示すように、外部電極14e,14h間及び外部電極14f,14h間を接続するように設けられており、蛇行している線状の導体層である。抵抗導体層28bは、例えば、50Ωのインピーダンスを有している。これにより、コンデンサC1,C2は、抵抗導体層28bにより終端化されている。このように、方向性結合器10gは終端抵抗R3を内蔵することもできる。この場合、外部に終端抵抗を設けた時と比較して、この方向性結合器10gが搭載される基板を終端抵抗R3のスペース分だけ小型化できる。
(第8の実施形態)
以下に、第8の実施形態に係る方向性結合器10hの構成について図面を参照しながら説明する。図15は、第8の実施形態及び第9の実施形態に係る方向性結合器10h,10iの等価回路図である。図16は、第7の実施形態に係る方向性結合器10hの積層体12hの分解斜視図である。
方向性結合器10hは、図15に示すように、図1及び図6に示す方向性結合器10aにおいて、コイルL1が設けられていない回路構成を有している。よって、方向性結合器10hは、図16に示すように、絶縁体層16f〜16j、線路部22a〜22d、シールド導体層26a及びビアホール導体b3〜b7を有していない。そして、線路部20bは、外部電極14cに接続されている。
以上のように、方向性結合器10hのように、コイルL1を用いることなく、コンデンサC1のみでローパスフィルタLPF1を構成しても、結合度特性を平坦に近づけることができる。図17は、ローパスフィルタLPF1を有さない従来の方向性結合器の結合度特性及びアイソレーション特性を示したグラフである。図18は、方向性結合器10hの結合度特性及びアイソレーション特性を示したグラフである。図17及び図18において、縦軸は減衰量を示し、横軸は周波数を示している。
従来の方向性結合器では、主線路と副線路との結合度は、信号の周波数が高くなるにしたがって、高くなる。よって、図17に示すように、従来の方向性結合器の結合度特性では、周波数が高くなるにしたがって、入力ポートから入力され、カップリングポートへ出力される電力の比が増加する。
そこで、方向性結合器10hでは、外部電極14cと副線路Sとの間にローパスフィルタLPF1が接続されている。ローパスフィルタLPF1は、周波数が高くなるにしたがって、減衰量が増加する挿入損失特性を有している。そのため、信号の周波数が高くなることにより、副線路Sから外部電極14cに出力される信号の電力が大きくなったとしても、ローパスフィルタLPF1により該信号の電力が低減される。その結果、図18に示すように、方向性結合器10hにおいて、結合度特性を平坦に近づけることができる。
また、図18に示された方向性結合器10hと図17に示された従来の方向性結合器のアイソレーション特性とを比較して、方向性結合器10hにおいては、ローパスフィルタLPF1が設けられることにより、アイソレーション特性の減衰量が増えることがない。
(第9の実施形態)
以下に、第9の実施形態に係る方向性結合器10iの構成について図面を参照しながら説明する。図19は、第9の実施形態に係る方向性結合器10iの積層体12iの分解斜視図である。
方向性結合器10iの回路構成は、方向性結合器10hと同じであるので説明を省略する。方向性結合器10iと方向性結合器10hとの相違点は、図19に示すように、シールド導体層26bが設けられた絶縁体層16nが、絶縁体層16a,16b間に設けられている点である。
より詳細には、シールド導体層26bは、絶縁体層16nの略全面を覆うように設けられており、外部電極14e,14fに接続されている。すなわち、シールド導体層26bには、接地電位が印加されている。シールド導体層26bは、主線路Mのz軸方向の正方向側に設けられている。これにより、シールド導電層26bは面状導体層24a、24cと共に、主線路M、副線路Sをz軸方向から挟むように構成される。このため、主線路M、副線路Sで発生した磁界が積層体12iの外部へと漏れることが、シールド導体層26b及び面状導体層24a、24cにより防止される。
(第10の実施形態)
以下に、第10の実施形態に係る方向性結合器10jの構成について図面を参照しながら説明する。図20は、第10の実施形態に係る方向性結合器10jの積層体12jの分解斜視図である。
方向性結合器10jの回路構成は、方向性結合器10h,10iと同じであるので説明を省略する。方向性結合器10jと方向性結合器10iとの相違点は、主線路M、副線路S、ローパスフィルタLPF1(コンデンサC1)、シールド導体層26bの積層順が異なっている点である。
より詳細には、方向性結合器10iでは、図19に示すように、z軸方向の正方向側から負方向側へと、シールド導体層26b、主線路M、副線路S、コンデンサC1の順に並んでいる。一方、方向性結合器10jでは、図20に示すように、z軸方向の正方向側から負方向側へと、コンデンサC1、副線路S,主線路M、シールド導体層26bの順に並んでいる。
以上のような構成を有する方向性結合器10jによっても、方向性結合器10iと同様に、主線路M、副線路Sで発生した磁界が外部へ漏れることを防ぎながら、結合度特性を平坦に近づけることができる。
(第11の実施形態)
以下に、第11の実施形態に係る方向性結合器10kの構成について図面を参照しながら説明する。図21は、第11の実施形態に係る方向性結合器10kの等価回路図である。
方向性結合器10kの回路構成について説明する。方向性結合器10kは、外部電極(端子)14a〜14h、主線路M、副線路S1,S2及びローパスフィルタLPF1,LPF3を回路構成として備えている。主線路Mは、外部電極14g,14h間に接続されている。副線路S1は、外部電極14c,14a間に接続され、かつ、主線路Mと電磁気的に結合している。副線路S2は、外部電極14d,14b間に接続され、かつ、主線路Mと電磁気的に結合している。
また、ローパスフィルタLPF1は、外部電極14cと副線路S1との間に接続され、所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している。ローパスフィルタLPF1は、コンデンサC1及びコイルL1を含んでいる。コイルL1は、外部電極14cと副線路S1との間に直列に接続されている。コンデンサC1は、副線路S1と外部電極14cとの間(より正確には、コイルL1と外部電極14cの間)と、外部電極14e,14fとの間に接続されている。
また、ローパスフィルタLPF3は、外部電極14bと副線路S2との間に接続され、所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している。ローパスフィルタLPF3は、コンデンサC3及びコイルL3を含んでいる。コイルL3は、外部電極14bと副線路S2との間に直列に接続されている。コンデンサC3は、副線路S2と外部電極14bとの間(より正確には、コイルL3と外部電極14bの間)と、外部電極14e,14fとの間に接続されている。
以上のような方向性結合器10kでは、外部電極14gが入力ポートとして用いられ、外部電極14hが出力ポートとして用いられる。また、外部電極14cは、第1のカップリングポートとして用いられ、外部電極14aは、50Ωで終端化されるターミネートポートとして用いられる。また、外部電極14bは、第2のカップリングポートとして用いられ、外部電極14dは、50Ωで終端化されるターミネートポートとして用いられる。また、外部電極14e,14fは、接地される接地ポートとして用いられる。そして、外部電極14gに対して信号を入力すると、該信号が外部電極14hから出力される。更に、主線路Mと副線路S1,S2とが電磁気的に結合しているので、信号の電力に比例する電力を有する信号が外部電極14b,14cから出力する。
次に、方向性結合器10kの具体的構成について図面を参照しながら説明する。図22は、第11の実施形態に係る方向性結合器10kの積層体12kの分解斜視図である。方向性結合器10kの外観斜視図については、図12を援用する。
方向性結合器10kは、図12及び図22に示すように、積層体12k、外部電極14(14a〜14h)、主線路M、副線路S1,S2、ローパスフィルタLPF1,LPF3及びシールド導体層26a,26bを備えている。積層体12kは、図12に示すように、直方体状をなしており、図22に示すように、絶縁体層16(16a〜16l)がz軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に並ぶように積層されることにより構成されている。絶縁体層16は、誘電体セラミックであり、長方形状をなしている。
外部電極14a,14h,14bは、積層体12kのy軸方向の正方向側の側面において、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並ぶように設けられている。外部電極14c,14g,14dは、積層体12kのy軸方向の負方向側の側面において、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並ぶように設けられている。
主線路Mは、図22に示すように、線路部18aにより構成されている。線路部18aは、絶縁体層16d上に設けられている線状の導体層である。線路部18aは、y軸方向に延在しており、外部電極14g,14hに接続されている。これにより、主線路Mは、外部電極14g,14h間に接続されている。
副線路S1は、図22に示すように、線路部20a及びビアホール導体b1〜b4により構成されている。線路部20aは、z軸方向の正方向側から平面視したときに、絶縁体層16c上において線路部18aよりもx軸方向の負方向側に設けられている線状の導体層である。線路部20aは、線路部18aと平行にy軸方向に延在しており、外部電極14aに接続されている。これにより、主線路Mと副線路S1とが電磁気的に結合している。ビアホール導体b1〜b4は、絶縁体層16c〜16fをz軸方向に貫通しており互いに接続されている。また、ビアホール導体b1は、線路部20aのy軸方向の負方向側の端部に接続されている。
ローパスフィルタLPF1は、コイルL1及びコンデンサC1により構成されている。コイルL1は、線路部22(22a〜22d)及びビアホール導体b5〜b7により構成されており、z軸方向の正方向側から負方向側にいくにしたがって、反時計回りに旋廻する螺旋状をなしている。ここで、コイルL1において、反時計回りの上流側の端部を上流端と呼び、反時計回りの下流側の端部を下流端と呼ぶ。線路部22aは、絶縁体層16g上に設けられている線状の導体層であり、その上流端は、ビアホール導体b4に接続されている。線路部22b,22cはそれぞれ、絶縁体層16h,16i上に設けられている線状の導体層である。線路部22dは、絶縁体層16j上に設けられている線状の導体層であり、その下流端は、外部電極14cに接続されている。ビアホール導体b5は、絶縁体層16gをz軸方向に貫通しており、線路部22aの下流端と線路部22bの上流端とを接続している。ビアホール導体b6は、絶縁体層16hをz軸方向に貫通しており、線路部22bの下流端と線路部22cの上流端とを接続している。ビアホール導体b7は、絶縁体層16iをz軸方向に貫通しており、線路部22cの下流端と線路部22dの上流端とを接続している。これにより、コイルL1は、副線路S1と外部電極14cとの間に接続されている。
コンデンサC1は、面状導体層24(24b,24c)により構成されている。面状導体層24cは、絶縁体層16lの略全面を覆うように設けられており、外部電極14e,14fに接続されている。面状導体層24bは、絶縁体層16kに設けられており、外部電極14cに接続されている。面状導体層24bは、長方形状をなしており、z軸方向から平面視したときに、面状導体層24cに重なっている。これにより、面状導体層24cと面状導体層24bとの間には容量が発生している。そして、コンデンサC1は、外部電極14cと外部電極14e,14fとの間に接続されている。すなわち、コンデンサC1は、コイルL1と外部電極14cの間と、外部電極14e,14fとの間に接続されている。
副線路S2は、図22に示すように、線路部40a及びビアホール導体b8,b9により構成されている。線路部40aは、z軸方向の正方向側から平面視したときに、絶縁体層16e上において線路部18aよりもx軸方向の正方向側に設けられている線状の導体層である。線路部40aは、線路部18aと平行にy軸方向に延在しており、外部電極14dに接続されている。これにより、主線路Mと副線路S2とが電磁気的に結合している。ビアホール導体b8,b9は、絶縁体層16e,16fをz軸方向に貫通しており互いに接続されている。また、ビアホール導体b8は、線路部40aのy軸方向の正方向側の端部に接続されている。
ローパスフィルタLPF3は、コイルL3及びコンデンサC3により構成されている。コイルL3は、線路部42(42a〜42d)及びビアホール導体b10〜b12により構成されており、z軸方向の正方向側から負方向側にいくにしたがって、反時計回りに旋廻する螺旋状をなしている。ここで、コイルL3において、反時計回りの上流側の端部を上流端と呼び、反時計回りの下流側の端部を下流端と呼ぶ。線路部42aは、絶縁体層16g上に設けられている線状の導体層であり、その上流端は、ビアホール導体b9に接続されている。線路部42b,42cはそれぞれ、絶縁体層16h,16i上に設けられている線状の導体層である。線路部42dは、絶縁体層16j上に設けられている線状の導体層であり、その下流端は、外部電極14bに接続されている。ビアホール導体b10は、絶縁体層16gをz軸方向に貫通しており、線路部42aの下流端と線路部42bの上流端とを接続している。ビアホール導体b11は、絶縁体層16hをz軸方向に貫通しており、線路部42bの下流端と線路部42cの上流端とを接続している。ビアホール導体b12は、絶縁体層16iをz軸方向に貫通しており、線路部42cの下流端と線路部42dの上流端とを接続している。これにより、コイルL3は、副線路S2と外部電極14dとの間に接続されている。
コンデンサC3は、面状導体層44b,24cにより構成されている。面状導体層24cは、絶縁体層16lの略全面を覆うように設けられており、外部電極14e,14fに接続されている。面状導体層44bは、絶縁体層16kに設けられており、外部電極14bに接続されている。面状導体層44bは、長方形状をなしており、z軸方向から平面視したときに、面状導体層24cに重なっている。これにより、面状導体層24cと面状導体層44bとの間には容量が発生している。そして、コンデンサC3は、外部電極14bと外部電極14e,14fとの間に接続されている。すなわち、コンデンサC3は、コイルL3と外部電極14bの間と、外部電極14e,14fとの間に接続されている。
シールド導体層26a,26bは、絶縁体層16f,16bの略全面を覆うように設けられており、外部電極14e,14fに接続されている。すなわち、シールド導体層26a,26bには、接地電位が印加されている。シールド導体層26aは、z軸方向において、主線路M及び副線路S1,S2とコイルL1,L3との間に設けられることにより、副線路S1,S2とコイルL1,L3とが電磁気的に結合することを抑制している。
(第12の実施形態)
以下に、第12の実施形態に係る方向性結合器10lの構成について図面を参照しながら説明する。図23は、第12の実施形態に係る方向性結合器10lの等価回路図である。
方向性結合器10lの回路構成について説明する。方向性結合器10lは、外部電極(端子)14a〜14h、主線路M、副線路S1,S2及びローパスフィルタLPF1,LPF3を回路構成として備えている。方向性結合器10lの主線路M、副線路S1及びローパスフィルタLPF1の構成は、方向性結合器10kの主線路M、副線路S1及びローパスフィルタLPF1の構成と同じであるので説明を省略する。
また、ローパスフィルタLPF3は、外部電極14dと副線路S2との間に接続され、所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している。ローパスフィルタLPF3は、コンデンサC3及びコイルL3を含んでいる。コイルL3は、外部電極14dと副線路S2との間に直列に接続されている。コンデンサC3は、副線路S2と外部電極14dとの間(より正確には、コイルL3と外部電極14dの間)と、外部電極14e,14fとの間に接続されている。
以上のような方向性結合器10lでは、外部電極14gが入力ポートとして用いられ、外部電極14hが出力ポートとして用いられる。また、外部電極14cは、第1のカップリングポートとして用いられ、外部電極14aは、50Ωで終端化されるターミネートポートとして用いられる。また、外部電極14dは、第2のカップリングポートとして用いられ、外部電極14bは、50Ωで終端化されるターミネートポートとして用いられる。また、外部電極14e,14fは、接地される接地ポートとして用いられる。そして、外部電極14gに対して信号を入力すると、該信号が外部電極14hから出力される。更に、主線路Mと副線路S1とが電磁気的に結合しているので、信号の電力に比例する電力を有する信号が外部電極14cから出力する。
ここで、外部電極14hから出力した信号は、外部電極14hに接続されたアンテナ等において一部反射する。このような反射信号は、外部電極14hから主線路Mに入力する。主線路Mと副線路S2とが電磁気的に結合しているので、外部電極14dから入力してくる反射信号の電力に比例する電力を有する信号が外部電極14dから出力する。
次に、方向性結合器10lの具体的構成について図面を参照しながら説明する。図24は、第12の実施形態に係る方向性結合器10lの積層体12lの分解斜視図である。方向性結合器10lの外観斜視図については、図12を援用する。
方向性結合器10lは、図12及び図24に示すように、積層体12l、外部電極14(14a〜14h)、主線路M、副線路S1,S2、ローパスフィルタLPF1,LPF3及びシールド導体層26a,26bを備えている。積層体12lは、図12に示すように、直方体状をなしており、図24に示すように、絶縁体層16(16a〜16l)がz軸方向の正方向側から負方向側へとこの順に並ぶように積層されることにより構成されている。絶縁体層16は、誘電体セラミックであり、長方形状をなしている。
外部電極14a,14h,14bは、積層体12lのy軸方向の正方向側の側面において、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並ぶように設けられている。外部電極14c,14g,14dは、積層体12lのy軸方向の負方向側の側面において、x軸方向の負方向側から正方向側へとこの順に並ぶように設けられている。
主線路Mは、図6に示すように、線路部18aにより構成されている。線路部18aは、絶縁体層16d上に設けられている線状の導体層である。線路部18aは、y軸方向に延在しており、外部電極14g,14hに接続されている。これにより、主線路Mは、外部電極14g,14h間に接続されている。
方向性結合器10lの主線路M、副線路S1及びローパスフィルタLPF1の構成は、方向性結合器10kの主線路M、副線路S1及びローパスフィルタLPF1の構成と同じであるので説明を省略する。
副線路S2は、図24に示すように、線路部40a及びビアホール導体b8,b9により構成されている。線路部40aは、z軸方向の正方向側から平面視したときに、絶縁体層16e上において線路部18aよりもx軸方向の正方向側に設けられている線状の導体層である。線路部40aは、線路部18aと平行にy軸方向に延在しており、外部電極14bに接続されている。これにより、主線路Mと副線路S2とが電磁気的に結合している。ビアホール導体b8,b9は、絶縁体層16e,16fをz軸方向に貫通しており互いに接続されている。また、ビアホール導体b8は、線路部40aのy軸方向の負方向側の端部に接続されている。
ローパスフィルタLPF3は、コイルL3及びコンデンサC3により構成されている。コイルL3は、線路部42(42a〜42d)及びビアホール導体b10〜b12により構成されており、z軸方向の正方向側から負方向側にいくにしたがって、時計回りに旋廻する螺旋状をなしている。ここで、コイルL3において、時計回りの上流側の端部を上流端と呼び、時計回りの下流側の端部を下流端と呼ぶ。線路部42aは、絶縁体層16g上に設けられている線状の導体層であり、その上流端は、ビアホール導体b9に接続されている。線路部42b,42cはそれぞれ、絶縁体層16h,16i上に設けられている線状の導体層である。線路部42dは、絶縁体層16j上に設けられている線状の導体層であり、その下流端は、外部電極14dに接続されている。ビアホール導体b10は、絶縁体層16gをz軸方向に貫通しており、線路部42aの下流端と線路部42bの上流端とを接続している。ビアホール導体b11は、絶縁体層16hをz軸方向に貫通しており、線路部42bの下流端と線路部42cの上流端とを接続している。ビアホール導体b12は、絶縁体層16iをz軸方向に貫通しており、線路部42cの下流端と線路部42dの上流端とを接続している。これにより、コイルL3は、副線路S2と外部電極14dとの間に接続されている。
コンデンサC3は、面状導体層44b,24cにより構成されている。面状導体層24cは、絶縁体層16lの略全面を覆うように設けられており、外部電極14e,14fに接続されている。面状導体層44bは、絶縁体層16kに設けられており、外部電極14bに接続されている。面状導体層44bは、長方形状をなしており、z軸方向から平面視したときに、面状導体層24cに重なっている。これにより、面状導体層24cと面状導体層44bとの間には容量が発生している。そして、コンデンサC3は、外部電極14bと外部電極14e,14fとの間に接続されている。すなわち、コンデンサC3は、コイルL3と外部電極14bの間と、外部電極14e,14fとの間に接続されている。
シールド導体層26aは、絶縁体層16fの略全面を覆うように設けられており、外部電極14e,14fに接続されている。すなわち、シールド導体層26aには、接地電位が印加されている。シールド導体層26aは、z軸方向において、主線路M及び副線路S1,S2とコイルL1,L3との間に設けられることにより、副線路S1,S2とコイルL1,L3とが電磁気的に結合することを抑制している。
なお、方向性結合器10a〜10lでは、主線路M又は副線路S,S1,S2とローパスフィルタLPF1,LPF2,LPF3とは、z軸方向に並ぶように配置されている。しかしながら、主線路M又は副線路S,S1,S2とローパスフィルタLPF1,LPF2,LPF3との位置関係はこれに限らない。例えば、主線路M又は副線路S,S1,S2とローパスフィルタLPF1,LPF2,LPF3とは、x軸方向又はy軸方向に並ぶように配置されていてもよい。
なお、方向性結合器10a〜10lは、誘電体セラミックからなる絶縁体層16が積層された積層型電子部品であるとした。しかしながら、方向性結合器10a〜10lは、積層型電子部品でなくてもよい。方向性結合器10a〜10lは、例えば、半導体チップにより構成されていてもよい。半導体チップの積層数は、積層型電子部品の積層数に比べて少ない。そのため、主線路M、副線路S,S1,S2及びローパスフィルタLPF1,LPF2,LPF3をz軸方向に並べることは困難である。よって、この場合には、主線路M、副線路S,S1,S2及びローパスフィルタLPF1,LPF2,LPF3をx軸方向又はy軸方向に並ぶように配置することが望ましい。
また、方向性結合器10a〜10lでは、所定の周波数帯域として、824MHz〜1910MHzとした。しかしながら、所定の周波数帯域はこれに限らない。方向性結合器10a〜10lに入力しうる信号の周波数帯域としては、例えば、WCDMAの場合、以下の6種類があげられる。
Band5:824MHz〜849MHz
Band8:880MHz〜915MHz
Band3:1710MHz〜1785MHz
Band2:1850MHz〜1910MHz
Band1:1920MHz〜1980MHz
Band7:2500MHz〜2570MHz
よって、所定の周波数帯域とは、上記6種類の周波数帯域を任意に組み合わせて得られる周波数帯域である。例えば、Band1,Band2,Band3,Band5,Band8を組み合わせた周波数帯域は、824MHz〜915MHz及び1710MHz〜1980MHzとなる。よって、この場合の所定の周波数帯域は、824MHz〜1980MHzである。
以上のように、本発明は、方向性結合器に有用であり、特に、結合度特性を平坦に近づけることができる点において優れている。
C1,C2,C3 コンデンサ
L1,L2,L3 コイル
LPF1,LPF2,LPF3 ローパスフィルタ
M 主線路
R,R1〜R3 終端抵抗
S 副線路
b1〜b21 ビアホール導体
10a〜10l 方向性結合器
12a〜12l 積層体
14a〜14h 外部電極
16a〜16q 絶縁体層
18a,18b,20a,20b,24a〜24d,32a〜32d 線路部
26a〜26c シールド導体層
28a,28b 抵抗導体層
34a〜34d 面状導体層

Claims (12)

  1. 所定の周波数帯域において用いられる方向性結合器であって、
    第1の端子ないし第4の端子と、
    前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続されている主線路と、
    前記第3の端子と前記第4の端子との間に接続され、かつ、前記主線路と電磁気的に結合している第1の副線路と、
    前記第3の端子と前記第1の副線路との間に接続されている第1のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第1のローパスフィルタと、
    接地端子である第5の端子を、
    を備えていること、
    前記第1のローパスフィルタは、
    前記第3の端子と前記第1の副線路との間と、前記第5の端子との間に接続されている第1のコンデンサと、
    前記第3の端子と前記第1の副線路との間に直列に接続されている第1のコイルと、
    を含んでおり、
    前記第1のコンデンサは、前記第1のコイルと前記第1の副線路との間と、前記第5の端子との間に接続されていること、
    を特徴とする方向性結合器。
  2. 所定の周波数帯域において用いられる方向性結合器であって、
    第1の端子ないし第4の端子と、
    前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続されている主線路と、
    前記第3の端子と前記第4の端子との間に接続され、かつ、前記主線路と電磁気的に結合している第1の副線路と、
    前記第3の端子と前記第1の副線路との間に接続されている第1のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第1のローパスフィルタと、
    前記第4の端子と前記第1の副線路との間に接続されている第2のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第2のローパスフィルタと、
    終端化される終端端子である第5の端子及び第6の端子と、
    を備えており
    前記第1のローパスフィルタは、
    前記第3の端子と前記第1の副線路との間に直列に接続されている第1のコイルと、
    前記第3の端子と前記第1の副線路との間と、前記第5の端子との間に接続されている第1のコンデンサと、
    を含み、
    前記第2のローパスフィルタは、
    前記第4の端子と前記第1の副線路との間に直列に接続されている第2のコイルと、
    前記第4の端子と前記第1の副線路との間と、前記第6の端子との間に接続されている第2のコンデンサと、
    を含んでおり、
    前記第1のコンデンサは、前記第1のコイルと前記第1の副線路との間と、前記第5の端子との間に接続され、
    前記第2のコンデンサは、前記第2のコイルと前記第1の副線路との間と、前記第6の端子との間に接続されていること、
    を特徴とする方向性結合器。
  3. 所定の周波数帯域において用いられる方向性結合器であって、
    第1の端子ないし第4の端子と、
    前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続されている主線路と、
    前記第3の端子と前記第4の端子との間に接続され、かつ、前記主線路と電磁気的に結合している第1の副線路と、
    前記第3の端子と前記第1の副線路との間に接続されている第1のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第1のローパスフィルタと、
    前記第4の端子と前記第1の副線路との間に接続されている第2のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第2のローパスフィルタと、
    接地端子である第7の端子と、
    前記接地端子に接続されている終端抵抗と、
    を備えており
    前記第1のローパスフィルタは、
    前記第3の端子と前記第1の副線路との間に直列に接続されている第1のコイルと、
    前記第3の端子と前記第1の副線路との間と、前記終端抵抗との間に接続されている第1のコンデンサと、
    を含み、
    前記第2のローパスフィルタは、
    前記第4の端子と前記第1の副線路との間に直列に接続されている第2のコイルと、
    前記第4の端子と前記第1の副線路との間と、前記終端抵抗との間に接続されている第2のコンデンサと、
    を含むこと、
    を特徴とする方向性結合器。
  4. 前記第1のコンデンサは、前記第1のコイルと前記第1の副線路との間と、前記終端抵抗との間に接続され、
    前記第2のコンデンサは、前記第2のコイルと前記第1の副線路との間と、前記終端抵抗との間に接続されていること、
    を特徴とする請求項に記載の方向性結合器。
  5. 所定の周波数帯域において用いられる方向性結合器であって、
    第1の端子ないし第4の端子と、
    前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続されている主線路と、
    前記第3の端子と前記第4の端子との間に接続され、かつ、前記主線路と電磁気的に結合している第1の副線路と、
    前記第3の端子と前記第1の副線路との間に接続されている第1のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第1のローパスフィルタと、
    複数の絶縁体層が積層されて構成されている積層体と、
    接地端子である第5の端子と、
    を備えており
    前記主線路、前記第1の副線路及び前記第1のローパスフィルタは、前記絶縁体層上に設けられている導体層により構成されており、
    前記第1のローパスフィルタは、
    前記第3の端子と前記第1の副線路との間に直列に接続されている第1のコイルと、
    前記第3の端子と前記第1の副線路との間と、前記第5の端子との間に接続されている第1のコンデンサと、
    を含み、
    前記方向性結合器は、
    積層方向において、前記主線路及び前記第1の副線路と前記第1のコイルとの間に設けられているシールド導体層であって、接地電位が印加されるシールド導体層を、
    更に備えていること、
    を特徴とする方向性結合器。
  6. 前記主線路と前記第1の副線路とは、前記絶縁体層を介して対向していること、
    を特徴とする請求項に記載の方向性結合器。
  7. 前記第1のコンデンサは、
    前記シールド導体層と共に、前記主線路及び前記第1の副線路を積層方向から挟んでいる面状導体層であって、接地電位が印加される面状導体層を、
    更に有していること、
    を特徴とする請求項に記載の方向性結合器。
  8. 前記第1のコンデンサは、
    前記シールド導体層と共に、前記第1のコイルを積層方向から挟んでいる面状導体層であって、接地電位が印加される面状導体層を、
    更に有していること、
    を特徴とする請求項に記載の方向性結合器。
  9. 前記主線路又は前記第1の副線路と前記第1のローパスフィルタとは、積層方向に直交する方向に並ぶように設けられていること、
    を特徴とする請求項ないし請求項のいずれかに記載の方向性結合器。
  10. 所定の周波数帯域において用いられる方向性結合器であって、
    第1の端子ないし第4の端子と、
    前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続されている主線路と、
    前記第3の端子と前記第4の端子との間に接続され、かつ、前記主線路と電磁気的に結合している第1の副線路と、
    前記第3の端子と前記第1の副線路との間に接続されている第1のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第1のローパスフィルタと、
    第8の端子及び第9の端子と、
    前記第8の端子と前記第9の端子との間に接続され、かつ、前記主線路と電磁気的に結合している第2の副線路と、
    前記第9の端子と前記第2の副線路との間に接続されている第3のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第3のローパスフィルタと、
    を備えていること、
    を特徴とする方向性結合器。
  11. 所定の周波数帯域において用いられる方向性結合器であって、
    第1の端子ないし第4の端子と、
    前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続されている主線路と、
    前記第3の端子と前記第4の端子との間に接続され、かつ、前記主線路と電磁気的に結合している第1の副線路と、
    前記第3の端子と前記第1の副線路との間に接続されている第1のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第1のローパスフィルタと、
    第8の端子及び第9の端子と、
    前記第8の端子と前記第9の端子との間に接続され、かつ、前記主線路と電磁気的に結合している第2の副線路と、
    前記第8の端子と前記第2の副線路との間に接続されている第3のローパスフィルタであって、前記所定の周波数帯域において、周波数が高くなるにしたがって減衰量が増加する特性を有している第3のローパスフィルタと、
    を備えていること、
    を特徴とする方向性結合器。
  12. 前記第1の端子は、信号が入力する入力端子であり、
    前記第2の端子は、前記信号が出力する第1の出力端子であり、
    前記第3の端子は、前記信号の電力に比例する電力を有する信号が出力する第2の出力端子であり、
    前記第4の端子は、終端化される終端端子であること、
    を特徴とする請求項1又は請求項5ないし請求項9のいずれかに記載の方向性結合器。
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