JP2005184631A - 高周波電力増幅用電子部品 - Google Patents

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啓之 永森
Takayuki Tsutsui
孝幸 筒井
Tetsuaki Adachi
徹朗 安達
Hiroaki Inose
弘晃 猪瀬
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Abstract

【課題】 電力結合器の小型化を図り、これを使用した高周波電力増幅用電子部品(モジュール)の小型化を達成する。
【解決手段】 変調された高周波信号を増幅する電力増幅回路(210)と、該電力増幅回路の最終出力段と出力端子との間に設けられたインピーダンス整合回路(244)と、前記電力増幅回路の出力電力の大きさを検出し前記電力増幅回路をフィードバック制御するための信号を出力する出力電力検出回路(220)と、前記インピーダンス整合回路と前記出力電力検出回路の入力端子との間に設けられた電力結合器(250)とを備える高周波電力増幅用電子部品において、前記電力結合器は、前記インピーダンス整合回路の主線路(MS1)の前記電力増幅回路の最終出力段側の一部と近接して平行に配置された副線路(MS4)と、前記主線路と副線路との間に接続された容量素子(Ce)と、前記副線路の前記電力増幅回路の最終出力段と反対側と定電位点との間に接続された抵抗素子(Rt)とから構成するようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、携帯電話機等の無線通信システムに使用され高周波の送信信号を増幅して出力する高周波電力増幅回路および出力電力のフィードバック制御に必要な出力電力の検出に用いる電力結合器を組み込んだ電子部品に適用して有効な技術に関する。
一般に、携帯電話機等の無線通信装置(移動体通信装置)における送信側出力部には、変調後の送信信号を増幅する高周波電力増幅回路が設けられている。従来の無線通信装置においては、ベースバンド回路もしくはマイクロプロセッサ等の制御回路からの送信要求レベルに応じて高周波電力増幅回路の増幅率を制御するため、高周波電力増幅回路もしくはアンテナの出力電力を検出して帰還をかけることが行なわれている(例えば、特許文献1参照)。そして、出力電力の検出は、従来は一般に、カプラとダイオード検波回路などを使用して行なっており、検波回路は高周波電力増幅回路とは別個の半導体集積回路として構成されることが多い。
また、カプラは、ディスクリート部品もしくは絶縁基板に形成された出力線(マイクロストリップライン)と並行に配設された導体との間に形成される容量を介して出力電力を検出する素子であり、素子サイズが比較的大きい。なお、方向性電力結合器(カプラ)については例えば非特許文献1のP191〜P193に、また、非特許文献2のP91〜P95には移動体通信用セラミック積層ロウパスフィルタおよび方向性電力結合器について記載されている。
特開2000−151310号公報 総合電子出版社、1997年7月10日発行「マイクロ波の基礎とその応用」 工業調査会発行「電子材料」1999年4月号
従来の方向性カプラを使用した高周波電力増幅回路の出力電力検出方式にあっては、方向性カプラを構成する伝送線の長さが長いためカプラ自身の大きさが大きい上、両端にそれぞれ抵抗素子が、またカプラの検出出力を検波するため外付けのダイオード素子が必要である。このように、従来の方向性カプラを使用した高周波電力増幅用モジュールは、高周波電力増幅回路とは別の半導体集積回路や電子部品を数多く使用しているため、モジュールの小型化を困難にしていた。
ここで、従来の方向性カプラの原理を、図2を用いて説明する。図2において、11は送信信号を伝送する主線路、12は該主線路と平行に配設された副線路である。かかる構成においては、主線路11と副線路12との間に磁気結合と電界結合とが存在するため、主線路11を送信信号(電磁波)が通過する際、磁気結合によって副線路12には主線路の信号の進行方向と逆向きの磁界が生じて電圧VM(H)が発生する。また、電界結合によって副線路12にはその中央から始端側へ向かう電流IE(E)と終端側へ向かう電流IE(E)とが発生する。
従来の方向性カプラにおいては、副線路12の終端での電圧Vout_R=VE(E)−VM(H)が"0"となるように、線路の長さと副線路12の終端に接続される抵抗RLの抵抗値を調整することで電磁波の進行方向によって取り出す電力の強度に大きな差をつけて、副線路12の始端側からVout_R=VE(E)+VM(H)で表わされる大きな電圧を取り出すようにしている。しかしながら、かかる方向性カプラにおいては、線路の長さが3mm程度必要であるとともに、両端に抵抗素子を設ける必要があるため、モジュールの小型化を困難にしていた。
そこで、本出願人は、高周波電力増幅回路の最終段の電力増幅用トランジスタと出力端子との間に設けられているインピーダンス整合回路の中間ノードから、抵抗および容量素子を介して電圧を取り出して出力電力に比例した電流を生成し、それを電圧に変換して出力する出力電力検出回路を設けることによって、カプラを使用しないで高周波電力増幅回路の出力電力を検出して小型化を図るようにした高周波電力増幅用モジュールに関する発明をなし、先に出願した(特願2003−123040)。
しかしながら、上記先願発明にあっては、高周波電力増幅回路の出力電力が一定であるにもかかわらず負荷が変動する(アンテナのインピーダンスが50Ωでなくなる)ことによって、出力端で反射が起きて主線路に生じる定在波の位置が負荷インピーダンスの位相の変化で変化する。それによってカップリング量が変化してしまい、カプラの検出出力で高周波電力増幅回路にフィードバックをかけてバイアスを変化させたときに出力電力が変化し、出力電力の制御性が劣化するとともに、過剰電流が流れるおそれがあるという課題があることが明らかとなった。また、従来のカレントセンス方式の出力電力検出回路を使用した高周波電力増幅用モジュールにおいても、負荷が変動することによってカップリング量が変化して、過剰な電流が流れるおそれがある。
本発明の目的は、出力電力を検出してフィードバック制御を行なう無線通信システムを構成する高周波電力増幅用電子部品において、電力結合器の小型化を図ることができる出力電力の検出技術を提供することにある。
本発明の他の目的は、小型でしかも負荷が変動しても高周波電力増幅回路に過剰な動作電流が流されることのない高周波電力増幅用電子部品を提供することにある。
この発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を説明すれば、下記のとおりである。
すなわち、本願の第1の発明は、変調された高周波信号を増幅する電力増幅回路と、該電力増幅回路の最終出力段と出力端子との間に設けられたインピーダンス整合回路と、前記電力増幅回路の出力電力の大きさを検出し前記電力増幅回路をフィードバック制御するための信号を出力する出力電力検出回路と、前記インピーダンス整合回路と前記出力電力検出回路の入力端子との間に設けられた電力結合器とを備える高周波電力増幅用電子部品において、前記電力結合器は、前記インピーダンス整合回路の主線路の前記電力増幅回路の最終出力段側の一部と近接して平行に配置された副線路と、前記主線路と副線路との間に接続された容量素子と、前記副線路の終端(電力増幅回路の最終出力段と反対側の端部)と定電位点との間に接続された抵抗素子とから構成されるようにしたものである。ここで、前記主線路の前記副線路と対向する部分のインピーダンスは10Ω以下であり、前記対向部分の長さは伝送される信号の波長λの数10分の1にするのが望ましい。
上記した手段によれば、主線路と副線路とからなる電力結合器をインピーダンスの小さい電力増幅回路の最終出力段に接続するため、電力結合器を出力端子側に接続する場合よりも主線路と副線路の対向部分の長さが短くても磁気結合強度を高くすることができるため、主線路を短くして電力結合器を小型化することが可能になる。しかも、主線路を短くしたことにより生じる電界結合強度の低下を主線路と副線路との間に接続された容量素子で補うことができるとともに、副線路の終端に接続された抵抗素子によって、反射波により生じる検出電圧(モニタ電圧)をゼロにすることができるため、小型で方向性カプラと同等の能力を有する電力結合器が得られ、結果として高周波電力増幅用電子部品(モジュール)の小型化を達成することができる。
また、望ましくは、前記容量素子は、前記副線路の中央よりも始端側の任意の点と、前記主線路の前記副線路との対向部分の中央よりも始端側の任意の点との間に接続する。これにより、容量素子を接続することに伴う主線路への影響を小さくすることができる。また、前記抵抗素子は、前記副線路の終端と定電位点との間に接続するようにする。副線路として機能するのは抵抗素子が接続されている部位よりも始端側の部分であるため、抵抗素子を副線路の終端に接続することにより、副線路に無駄な部分が生じるのを回避して小型化に貢献することができる。
本願の第2の発明は、変調された高周波信号を増幅する電力増幅回路と、該電力増幅回路の最終出力段と出力端子との間に設けられたインピーダンス整合回路と、前記電力増幅回路の出力電力の大きさを検出し前記電力増幅回路をフィードバック制御するための信号を出力する出力電力検出回路と、前記インピーダンス整合回路と前記出力電力検出回路の入力端子との間に設けられた電力結合器とを備える高周波電力増幅用電子部品において、前記電力結合器を前記インピーダンス整合回路のマイクロストリップラインの入力側に接続された第1の容量素子と、出力側に接続された第2の容量素子とから構成し、これらの容量素子を介して前記出力電力検出回路の入力端子へモニタ電圧を供給するようにしたものである。
上記した手段によれば、電力結合器は数pF程度の2つの容量素子で構成することができるため、3mm程度の長さと2個の抵抗素子を必要とする従来の方向性カプラに比べて小型化が可能となる。また、始端側と終端側の容量素子との容量比を適宜に設定することにより、負荷変動に伴うカップリング量(モニタ電圧)の変動を抑制することができる。ここで、望ましくは、2つの容量素子の容量比を調整することにより、電力結合器のカップリング電圧−負荷位相特性を、過剰な電流が流れる負荷位相におけるモニタ電圧が増大する方向へ位相シフトさせるようにする。
出力電力検出回路によって電力増幅回路の出力電力の大きさを検出して自動パワー制御回路で検出電圧と目標電圧とを比較して電力増幅回路のバイアスを制御することで出力電力を制御するフィードバック制御ループのかかった高周波電力増幅回路においては、上記のような2つの容量素子からなる電力結合器を用いた場合、ある負荷位相でモニタ電圧の落ち込みが発生しその負荷位相条件においてはフィードバック制御の目標電圧に満たないような低検出出力状態が発生することがある。その場合、自動パワー制御回路は電力増幅回路のバイアスを最大にするような制御電圧を印加するため、電力増幅回路に過剰な動作電流(ドレイン電流)が流されるおそれがある。しかるに、2つの容量素子の容量比を調整することにより、電力結合器のカップリング電圧−負荷位相特性を位相シフトさせるようにすると、過剰電流が流れる負荷位相におけるモニタ電圧を増大させることができるため、電力増幅回路に過剰な電流が流れるのを防止することができるようになる。
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
すなわち、本発明に従うと、電力結合器の小型化を図り、結果として高周波電力増幅用電子部品(モジュール)の小型化を達成することができる。また、小型でしかも負荷が変動しても高周波電力増幅回路に過剰な動作電流が流されることのない高周波電力増幅用電子部品を実現することができる。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施例の電力結合器を適用した高周波電力増幅器(以下、RFパワーモジュールと称する)の出力部の構成例を示したものである。なお、本明細書においては、表面や内部にプリント配線が施されたセラミック基板のような絶縁基板に半導体チップとディスクリート部品が実装されて上記プリント配線やボンディングワイヤで各部品が所定の役割を果たすように結合されることであたかも一つの電子部品として扱えるように構成されたものをモジュールと称する。
図1において、符号213が付されている素子は高周波電力増幅部の最終増幅段の電力増幅用FET、符号244が付されている部分は前記電力増幅用FET211のドレイン端子とモジュールの出力端子OUTとの間に設けられたインピーダンス整合回路、符号250が付されている部分は電力結合器である。図1より、電力結合器250はインピーダンス整合回路244を構成するマイクロストリップラインMS1を共用していることが分かる。
上記インピーダンス整合回路244は、最終段の電力増幅用FET213のドレイン端子とモジュールの出力端子OUTとの間に直流カットの容量C4と直列に接続されたマイクロストリップラインMS1〜MS3、MS2とMS3の接続ノードN2と接地点との間に接続された容量C21、およびMS3と容量C4の接続ノードN3と接地点との間に接続された容量C22からなるいわゆるπ型の整合回路として構成されている。さらに、電源電圧端子Vddとの間のインピーダンス整合をとるため、マイクロストリップラインMS1とMS2の接続ノードN1と電源電圧端子Vddとの間にはインダクタL3が、また電源電圧端子Vddと接地点との間には容量C23が接続されている。
電力結合器250は、インピーダンス整合回路244を構成する主線路としてのマイクロストリップラインMS1と、該MS1と平行に配設された副線路としてのマイクロストリップラインMS4と、MS1の始端(FET213のドレイン端側の端部)とMS4の始端との間に接続された結合容量Ceと、MS4の終端と接地点との間に接続された抵抗Rtと、MS4の始端と出力電力検出回路の入力端子との間に接続される直流カットの容量CDCとから構成されている。マイクロストリップラインMS1とMS4とにより磁気結合が構成され、容量Ceにより電界結合が構成される。
上記容量Ceには0.5〜1pF程度の容量値を有するものを使用すると良い。容量CDCは直流成分を遮断するための素子であり、100pF程度の容量値を有するものを使用すると良い。また、抵抗Rtとしては30〜150Ω程度の抵抗値を有するものを使用すると良い。直流カットの容量CDCは交流成分を充分に伝達できるようにするため比較的容量値が大きいのでディスクリートの部品(素子)を用いるのが良い一方、結合用容量Ceは容量値が小さいので、ディスクリートの部品でも、モジュール基板に形成された一対の導電層のパターンからなる内挿容量を用いても良い。
この実施例においては、マイクロストリップラインMS1とMS4の長さは約1mm、幅はMS4が0.1mmで、MS1はMS4の4〜5倍に設定され、マイクロストリップラインMS1のインピーダンスは2〜3Ωとされている。また、マイクロストリップラインMS1とMS4の間隔は0.1mmに設定されている。マイクロストリップラインMS1の始端が接続される電力増幅用FET213のドレイン端子のインピーダンスは2Ω程度であり、これによりMS1とMS2の接続ノードN1のインピーダンスは5Ω程度となるようにされている。なお、図1では、マイクロストリップラインMS1〜MS3が分離して形成されているが、連続するように形成され、その途中にインダクタL3や容量C21,C22が接続されていても良い。その場合、MS1の長さが1mm以上(3〜5mm程度)で、MS4の長さが1mmとされる。
図2に示すような従来の方向性カプラは、インピーダンスが50Ωに近いモジュールの出力端側すなわち図1の出力端子OUTと容量C21との間あるいは容量C21とマイクロストリップラインMS3との間に設けられていた。そのため、本実施例の電力結合器を構成するマイクロストリップラインMS1に相当するラインの長さは3mmと、本実施例のMS1のライン長の3倍近い長さを必要とし、またディスクリートの部品として接続する構成であり、それによってモジュールの小型化が困難であった。これに対し、本実施例の電力結合器を構成する主線路の長さは約1mmで済むとともに、主線路として整合回路のマイクロストリップラインMS1を利用しかつ副線路もモジュールの基板上に形成された導体層を使用するため、モジュールの小型化が可能となる。
このように、マイクロストリップラインMS1の長さを短くできるのは、本実施例の電力結合器は電力増幅用FET213のドレイン端子に接続されており、このドレイン端子のインピーダンスは約2Ωとかなり低いので、ラインの長さが短くても電力結合器の磁気結合が強く充分に磁界変化を副線路としてのマイクロストリップラインMS4に伝達できるためである。一方、接続点のインピーダンスが低くてもラインが短いと寄生容量が小さいため、マイクロストリップラインのみでは電界結合が弱く電界変化を充分に伝達することができない。そこで、この実施例の電力結合器においては、容量Ceを設けて電界結合を補うようにしている。これによって、小型であっても充分に出力電力をモニタすることができる電力結合器が得られる。
なお、図1では、容量CeはマイクロストリップラインMS1の始端側に接続されているが、接続点はMS1の中央よりも始端側であれば良い。容量Ceの接続点をMS1の中央よりも後ろにすると主線路のインピーダンスに与える影響が大きくなるためである。
さらに、本実施例の電力結合器は、容量Ceの容量値と抵抗Rtの抵抗値を調整することで反射波によるカップリング電圧(モニタ電圧)への影響を抑制するようにしている。具体的には、図3(A)に示すように、進行波によって磁気結合を介して副線路MS4に生じる電圧をVm(H)、進行波によって電界結合を介して副線路MS4に流れる電流をIe(E)、この電流Ie(E)が抵抗Rt(抵抗値Rterm)に流れることによって生じる電圧をVe(E)とおくと、モニタ電圧Vmonは、Vmon=Ve(E)+Vm(H)=Rterm×Ie(E)+Vm(H)となる。
一方、図3(B)に示すように、反射波によって磁気結合を介して副線路MS4に生じる電圧を−Vm(H)、反射波によって電界結合を介して副線路MS4に流れる電流をIe(E)、この電流Ie(E)が抵抗Rt(抵抗値Rterm)に流れることによって生じる電圧をVe(E)とおくと、モニタ電圧Vmonは、Vmon=Ve(E)−Vm(H)=Rterm×Ie(E)−Vm(H)となる。本実施例の電力結合器は、容量Ceの容量値と抵抗Rtの抵抗値Rtermを調整することで、反射波により生じるモニタ電圧Vmon=Ve(E)−Vm(H)が「0」となるようにしている。これにより、本実施例の電力結合器は方向性を有し、負荷が変動してもモニタ電圧が影響を受けにくくすることができる。
図4に、本実施例の電力結合器の方向性に関して行なったシミュレーションの結果を示す。図4は、横軸に出力電力Poutにとって、また縦軸にモニタ電圧Vmonの実効値をとって示したものである。図4において、実線Aは出力電力Poutに応じて進行波によって生じるモニタ電圧、破線Bは反射波によって生じるモニタ電圧である。図4より、本実施例の電力結合器は、進行波により生じる電圧を充分に伝え、反射波により生じる電圧を抑えることができることが分かる。また、本実施例の電力結合器は、負荷が変動してもモニタ電圧の出力電力Poutに対する追従性が比較的良好である。
その理由は、以下のとおりである。図1の回路において、アンテナの環境、状態が変化して負荷が変動つまり容量成分とインダクタンス成分のバランスが変化すると、アンテナのインピーダンスが50Ωからずれ、出力端子OUTで反射が起きる。そして、この反射により、整合回路のマイクロストリップラインでは、図5に示すように、電圧成分と電流成分がそれぞれ定在波となって現われる。しかも、その定在波の節の位置は負荷の位相変動によって移動する。ただし、電圧成分の定在波の節の位置と電流成分の定在波の節の位置は一致することはない。従って、マイクロストリップラインのどの端面でも有能電力は「0」にならず、かつどの端面でも有能電力は等しく、これが出力電力とほぼ一致する。そのため、電力結合器が電流と電圧の双方でバランスよくカップリングしていれば、出力電力自体をモニタしているのと同等になる。本実施例の電力結合器は、それに近い形になっているため、負荷が変動してもモニタ電圧が出力電力Poutの変化に追従するようになる。
その結果、本実施例の電力結合器を使用してパワー制御を行なうようにした高周波電力増幅回路は、負荷が変動しても出力電力Poutの制御性が比較的良好になるとともに、過剰電流が流れるおそれがない。その結果、EDGE(Enhanced Data Rates for GMS Evolution)モードのような振幅制御を伴う送信を行なう場合に、負荷変動による出力波形の歪を抑え、変調精度が低下するのを抑制することができる。
図7には、図1の電力結合器を使用した高周波電力増幅回路において、図6のように出力端子OUTに位相シフタ260を介して3dBのアッテネータ270を負荷として接続するとともに、電力結合器250に出力電圧検出回路220を接続した試験装置において、位相シフタ260で位相を変化させても出力電圧検出回路220の出力電圧Vdetが一定になるように入力電力Pinを変化させたときの出力電力Poutの測定値を◆印で示す。
また、本実施例の電力結合器を使用せず代わりに容量CDCをマイクロストリップラインMS1の任意の位置に接続してモニタ電圧を出力電圧検出回路220に取り出すようにした前記先願発明(特願2003−123040)において同様な試験を行なった場合の出力電力Poutの測定値を■印で示す。なお、従来の方向性カプラ(図2)を使用した場合における負荷位相の変化に対する出力電力Poutの大きさは、理想的な方向性カプラであれば一点鎖線Cのようにほぼフラットになる。
同図より、本実施例の電力結合器を使用してパワー制御を行なうようにした高周波電力増幅回路は、負荷変動に対する出力電力Poutの制御性が比較的良好であることが分かる。先願発明においては負荷の位相によって出力電力Poutが大きく変化するのは、先願発明は電界結合のみ利用するため電圧を取り出す容量を接続した位置に図5の電圧の定在波の節が一致したときに、検出電圧Vdetが大きく下がり出力電力を上げようとする作用が働くためである。
図8には、図1の電力結合器を使用した図6のような試験装置において、位相シフタ260で位相を変化させても出力電圧検出回路220の出力電圧Vdetが一定になるように入力電力Pinを変化させたときの電力増幅用FET213に流れる電流Iddの値を◆印で示す。また、比較のため、前記先願発明(特願2003−123040)において同様な試験を行なった場合の電力増幅用FET213に流れる電流の値を■印で示す。同図より、本実施例の電力結合器を使用してパワー制御を行なうようにした高周波電力増幅回路は、負荷変動に対する電流の変化が先願発明に比べて小さいことが分かる。これにより、本実施例の電力結合器を適用すると、負荷変動によって先願発明のように電力増幅用FET213に過剰電流が流れるのを回避することができる。
図9には、本実施例の電力結合器を、EDGEモードのような振幅制御を伴う送信を行なうシステムに適用した場合における負荷変動に伴うEVM(Error Vector Magnitude)を◆印で示す。同図より、本実施例の電力結合器を使用してパワー制御を行なうようにした高周波電力増幅回路は、EVM値を1.75〜3.25%の範囲に押さえ、変調精度が低下するのを抑制するできることが分かる。
次に、本実施例の電力結合器における主線路および副線路としてのマイクロストリップラインMS1,MS4の適切な長さとインピーダンスについて説明する。
図10に、本実施例の電力結合器における主線路の特性インピーダンスと電力結合器のカップリング電圧(モニタ電圧)との関係つまり磁気結合の強度を示す。図10より、主線路と副線路の長さLが長いほどカップリング電圧は高くなるが、同一の長さであれば特性インピーダンスが低いほどカップリング電圧は高くなることが分かる。本実施例の電力結合器においては、主線路の特性インピーダンスを小さくすることで磁気結合の強度を高めて主線路の長さを短くして小型化を図ることとした。具体的には、主線路および副線路としてのマイクロストリップラインMS1,MS4を約1mmとした。そして、ラインが短いと寄生容量が小さいため電界結合が弱く電界変化を充分に伝達することができないので、容量Ceを設けて電界結合を補うようにした。図10より、主線路の特性インピーダンスが10Ω以下であれば、主線路と副線路の長さLが短くてもカップリング電圧をかなり大きくすることができることが分かる。これより、主線路の特性インピーダンスの望ましい範囲は10Ω以下とした。
ところで、図1の高周波電力増幅回路においては、増幅用FET213のドレイン端のインピーダンスや整合回路のインピーダンスは、送信する信号の周波数に応じて変化する。従って、インピーダンスの変動による出力電力の変動を補償できることが望まれる。そして、そのためには、インピーダンスの変動に対する磁気結合によるカップリング電圧の変動が大きい必要がある。
また、電力結合器は、主線路の特性インピーダンスの変動に対する磁気結合と電界結合によるカップリング電圧の変動量のバランスがとれている必要がある。そこで、本実施例の電力結合器に関して、主線路の特性インピーダンスと磁気結合および電界結合との関係について調べた。その結果を図11に示す。なお、図11は、結合容量Ceとして0.5pF、主線路および副線路の長さを1mmとしたときのものである。図11より、本実施例の電力結合器においては、磁気結合と電界結合のバランスがとれる点(2つの線の交点)は主線路の特性インピーダンスが低い範囲にあることが分かる。図11より、主線路の特性インピーダンスの望ましい範囲は5Ω以下で、最も好ましいのは2〜3Ωであることが分かる。
図12には、本実施例の電力結合器を適用したRFパワーモジュールのより詳細な構成を示す。図12において、図1に示されている回路および素子と同一の回路および素子には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
この実施例のRFパワーモジュール200は、変調された入力高周波信号Pinを増幅する電力増幅用FETを含む高周波電力増幅部210と、該高周波電力増幅回路210の出力電力を検出する出力電力検出回路220と、前記高周波電力増幅部210の各段の電力増幅用FETにバイアス電圧を与えて各FETに流すアイドル電流を制御するバイアス回路230と、高周波電力増幅部210の最終段の整合回路244と出力電力検出回路220との間に設けられた前記実施例の電力結合器250とからなる。
特に制限されるものでないが、この実施例の高周波電力増幅部210は、3個の電力増幅用FET211、212、213を備え、このうち後段のFET212,213はそれぞれ前段のFET211,212のドレイン端子にゲート端子が接続され、全体で3段の増幅回路として構成されている。また、各段のFET211,212,213のゲート端子には、バイアス回路230から供給されるゲートバイアス電圧Vb1,Vb2,Vb3が印加され、これらの電圧に応じたアイドル電流が各FET211,212,213にそれぞれ流されるようにされている。
電力増幅用素子211〜213として、この実施例ではMOSFETが使用されているが、バイポーラ・トランジスタやGaAsMESFET、ヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ(HBT)、HEMT(High Electron Mobility Transistor)等他のトランジスタを用いても良い。
各段のFET211,212のドレイン端子にはそれぞれインダクタンス素子L1,L2を介して電源電圧Vddが印加されている。初段のFET211のゲート端子と入力端子Inとの間には、インピーダンス整合回路241および直流カットの容量素子C1が設けられ、これらの回路及び素子を介して高周波信号PinがFET211のゲート端子に入力される。
初段のFET211のドレイン端子と2段目のFET212のゲート端子との間には、インピーダンス整合回路242および直流カットの容量素子C2が接続されている。また、2段目のFET212のドレイン端子と最終段のFET213のゲート端子との間には、インピーダンス整合回路243および直流カットの容量素子C3が接続されている。そして、最終段のFET213のドレイン端子がインピーダンス整合回路244および容量素子C4を介して出力端子OUTに接続されており、高周波入力信号Pinの直流成分をカットし交流成分を増幅した信号Poutを出力する。
出力電力検出回路220は、最終段の電力増幅EFT213のドレイン端子とモジュールの出力端子OUTとの間に設けられたインピーダンス整合回路244に隣接して設けられた電力結合器250により取り出されたモニタ電圧が直流カットの容量CDCを介して印加される入力端子と接地点との間に、直列形態で接続された整流用ダイオードD1および抵抗R1と、前記ダイオードD1のアノード端子に抵抗R2を介して動作点となるバイアス電圧を与える直流電圧源DC1と、前記ダイオードD1と抵抗R1との接続ノードと接地点との間に接続された平滑容量C10とから構成されている。抵抗R1には、容量CDCを介して入力される交流波形に比例しそれを半波整流したような電流が流されて電圧に変換され、それが平滑容量C10で平滑されて検波電圧Vdetとして出力される。
なお、この実施例のRFパワーモジュール200は、破線で囲まれた部分が半導体集積回路化されている。すなわち電力増幅部210の各素子(インダクタンス素子L1〜L3およびインピーダンス整合回路244を除く)およびバイアス回路230の各素子と、出力電力検出回路220の各素子が単結晶シリコンのような1個の半導体チップ上に半導体集積回路IC1として構成されている。そして、この半導体チップと、電力増幅部210のインダクタンス素子L1〜L3およびインピーダンス整合回路244と、電力結合器250および直流カットの容量素子CDCとが、1つのセラミック基板上に実装されてパワーモジュールとして構成されている。容量素子CDCはディスクリートの部品が用いられる。出力電力検出回路220もディスクリートのダイオード素子、抵抗素子、容量素子などの部品により構成するようにしても良い。
このように、本実施例のRFパワーモジュールは、方向性カプラに比べてサイズの小さな電力結合器250を使用するため、モジュールを小型化できるとともに、出力電力検出回路220を電力増幅部210およびそのバイアス回路230の主要部とともに半導体集積回路化することが容易となるため、部品点数を減らしモジュールを小型化することができるようになる。
なお、図12においては、インダクタンス素子L1〜L3およびインピーダンス整合回路244を除く電力増幅部210の各素子およびバイアス回路230と出力電力検出回路220を1つの半導体集積回路として構成しているが、電力増幅部210の初段EFT211および2段目FET212と、バイアス回路230と、出力電力検出回路220とを1つの半導体集積回路として構成、つまり、電力増幅部210の最終段のFET213とインピーダンス整合回路241〜244とインダクタンス素子L1〜L3はIC外の素子として構成するようにしても良い。この変形例は、図1の実施例に比べてモジュールの実装密度は若干劣るものの、インピーダンス整合回路241〜243や最終段のFET213としてオンチップのものに比べて特性がすぐれたものを使用できるため、回路の性能を向上させることができるという利点がある。
図13には、実施例のパワーモジュール200のデバイス構造の構成例を示す。なお、図13は実施例のRFパワーモジュールの構造を正確に表わしたものではなく、その概略が分かるように一部の部品や配線などを省略した構造図として表わしたものである。
図13に示されているように、本実施例のモジュールの本体10は、アルミナなどのセラミック板からなる複数の誘電体層11を積層して一体化した構造にされている。各誘電体層11の表面または裏面には、所定のパターンに形成し表面に金メッキを施した銅などの導電材料からなる導体層が設けられている。12a〜12dは導体層からなる導電パターンである。また、各誘電体層11の表裏の導電パターン同士を接続するために、各誘電体層11にはスルーホールと呼ばれる孔(図示略)が設けられ、この孔内には導体が充填されている。
図13の実施例のモジュールでは、6枚の誘電体層11が積層されており、1番下の誘電体層の裏面側にはほぼ全面にわたって導体層が形成され、接地電位GNDを供給するグランド層とされている。また、1〜5層目の各誘電体層11の表裏面にも伝送線路としてのマイクロストリップラインを構成する導電パターンやグランド層となる導体層が形成されている。
第1層目の誘電体層11上には、前記半導体集積回路IC1が形成された半導体チップ30が実装され、該半導体チップ30の上面の電極(パッド)と誘電体層11表面の所定の導体層(12a,12b)とはボンディングワイヤ31により電気的に接続されている。また、第1層目の誘電体層11の表面には、図1に示されている整合回路244や電力結合器250を構成するマイクロストリップラインMS1,MS2,MS3,MS4等を構成する導電パターン12b,12cが形成されているとともに、整合回路から出力電力検出回路へモニタ電圧を取り出すための電力結合器250を構成する抵抗素子Rtや容量素子Ce,CDCなどとして用いられるディスクリート部品41,42,43、直流カットの容量素子C4やインダクタンス素子L3として用いられる部品44,45などが実装されている。インピーダンス整合回路244の容量C21,C22は、ディスクリート部品でも良いが、本実施例では、導電パターン12bと該パターンの一部に対向するように1層目の誘電体層11の裏面に形成された図示しない導電パターンとにより内挿容量として構成されている。
図14には、実施例のRFパワーモジュール200のデバイス構造の他の構成例を示す。図14と図13のデバイスとの違いは、図14のデバイスでは、整合回路244や電力結合器250を構成する抵抗素子Rtや容量素子Ce,CDC、直流カットの容量素子C4やインダクタンス素子L3等の受動素子を、ガラスなどからなる誘電体基体20に実装もしくは内挿するとともに、この誘電体基体20の表面に公知の半導体製造技術等を利用して導体層21からなるマイクロストリップラインMS1,MS2,MS3,MS4等を形成したものである。かかる受動素子を実装もしくは内挿した素子はIPC(Integrated Passive Component)と呼ばれている。IPCでは、抵抗素子や容量素子も基板表面に形成した導電パターンで構成することができる。また、誘電体基体20は比較的厚いので、シリコンのような半導体基板上に形成された素子よりも良好な特性の素子を得ることができる。
モジュールの本体10は、図13のものと同様に、アルミナなどのセラミック板からなる複数の誘電体層11を積層して一体化した構造にされ、各誘電体層11の表面または裏面には所定のパターンに形成し表面に金メッキを施した銅などの導電材料からなる導体層12が設けられている。図14のようなデバイス構造を採用することにより、RFパワーモジュール200を構成する部品点数を減らし、より一層の小型化が可能になる。IPCを構成する誘電体基体20も積層構造とし、各層の表裏に導体層のパターンを形成するように構成することができる。
図15は、第1の実施例の電力結合器を適用したRFパワーモジュールの他の構成例を示す。本実施例のRFパワーモジュールは、例えばGSM(Global System for Mobile Communication)とDCS(Digital Cellular System)またはPCS(Personal Communication System)のような複数のバンドの無線通信が可能なシステムを構成するのに適するように構成したモジュールである。
具体的には、GSMの送信信号を増幅する高周波電力増幅回路210Aと、該高周波電力増幅回路210Aの後段に設けられたインピーダンス整合回路244Aと、DCSまたはPCSの送信信号を増幅する高周波電力増幅回路210Bと、該高周波電力増幅回路210Bの後段に設けられたインピーダンス整合回路244Bとを設けたRFパワーモジュールにおいて、共通の出力電力検出回路220と直流カット用の容量CDCを設けるとともに、整合回路244AのマイクロストリップラインMS1Aと整合回路244BのマイクロストリップラインMS1Bとを平行して配設し、それらの間に2つの電力結合器の共通の副線路としてマイクロストリップラインMS4を配設し、MS1Aの始端とMS4の始端との間およびMS1Bの始端とMS4の始端との間に、それぞれ結合容量Ce1,Ce2を接続し、MS4の他端と接地点との間に抵抗Rtを接続してなる電力結合回路250を設けたものである。出力電力検出回路220と直流カット用の容量CDCおよび副線路(MS4)を共通化することにより、別々に設ける場合に比べてモジュールを小型化することができるようになる。
図16は、本発明の電力結合器を適用した第3の実施例のRFパワーモジュールの構成例を示す。本実施例は、高周波電力増幅回路の最終段の電力増幅FET213のドレイン端子に容量素子C31の一方の端子を、またモジュールの出力端子OUTに容量素子C32の一方の端子を接続し、これらの容量素子C31,C32の他端を結合して出力電力検出回路220の入力端子に接続し、インピーダンス整合回路244の始端と終端の両方からモニタ電圧を取り出すように構成したものである。図16では、整合回路244の終端側の容量素子C32はモジュールの出力端子OUTに接続されているが、図17のように、整合回路244と直流カット用の容量素子C4との接続ノードN3に接続するようにしても良い。容量素子C31,C32の容量値は数100nF〜数pFとすると良い。
本実施例の電力結合器は、せいぜい数pF程度の容量値を有する2つの容量素子で構成されるため、3mm程度の長さを必要とする主線路と副線路とからなり2個の抵抗素子を必要とする従来の方向性カプラ(図2参照)に比べて小型化が可能となる。また、後述のように、始端側と終端側の容量素子C31とC32の容量比を適宜に設定することにより、負荷変動に伴う容量素子C31,C32のカップリング量(モニタ電圧Vmon)の変動を抑制することができる。さらに、図16では始端側と終端側の容量素子C31とC32が互いに離れているため、一見これらの素子を結合する結線の長さが長くなり小型化を妨げるように見えるが、後述のようにレイアウトを工夫することにより省スペース化が可能になる。
出力電力検出回路220は、最終段の電力増幅FET213のドレイン端子とモジュールの出力端子OUTに接続された上記容量素子C31,C32により取り出されたモニタ電圧が、抵抗Riおよび直流カットの容量CDCを介してゲート端子に印加されるように接続されたNチャネルMOSトランジスタQ1と、該トランジスタQ1と直列に接続されたPチャネルMOSトランジスタQ2と、該トランジスタQ2とカレントミラー接続されたMOSトランジスタQ3と、該トランジスタQ3と直列に接続された電流−電圧変換用MOSトランジスタQ4と、変換された電圧をインピーダンス変換して次段に供給するボルテージフォロワ222と、上記MOSトランジスタQ1にゲートバイアス電圧を与えるバイアス生成回路223と、該バイアス生成回路223で生成されたバイアス電圧をインピーダンス変換して次段に供給するボルテージフォロワ224と、ボルテージフォロワ222の出力からボルテージフォロワ224の出力を差し引いた電圧を出力する減算回路225とから構成されている。
バイアス生成回路223は、電圧レギュレータから供給される定電圧Vregをインピーダンス変換するボルテージフォロワ226の出力端子と接地点との間に直列に接続された抵抗R1およびMOSトランジスタQ5と、該MOSトランジスタQ5のゲート端子と上記出力検出用MOSトランジスタQ1のゲート端子との間に接続された抵抗R2と、前記MOSトランジスタQ5のゲート端子と接地点との間に接続された容量C11とからなる。MOSトランジスタQ5は、そのゲート端子とドレイン端子とが結合されてダイオードとして作用するように構成されており、抵抗R1とトランジスタQ5のオン抵抗の比でVregを分割した電圧を出力検出用MOSトランジスタQ1のゲート端子にバイアス電圧として付与する。
本実施例では、このバイアス電圧の値として、上記出力検出用MOSトランジスタQ1をB級増幅動作させることができるように、Q1のしきい値電圧に近い電圧値が設定されている。これにより、MOSトランジスタQ1には、容量CDCを介して入力される交流波形に比例しそれを半波整流したような電流が流され、Q1のドレイン電流は入力交流電圧(モニタ電圧)の振幅に比例した直流成分を含むようにされる。このトランジスタQ1のドレイン電流がQ2とQ3のカレントミラー回路221によりQ3側に転写され、Q4によって電圧に変換される。
また、この実施例においては、ボルテージフォロワ224の入力端子に、上記バイアス生成回路223のMOSトランジスタQ5のゲート端子と抵抗R2との接続ノードの電位が入力されている。抵抗R2と容量C11は、容量CDCを介して取り込まれた出力電力の交流成分がボルテージフォロワ224の入力に回り込むのを防止する。そして、このバイアス生成回路223で生成され出力検出用MOSトランジスタQ1のゲート端子に印加されるバイアス電圧と同一の電圧がボルテージフォロワ224を介して減算回路225に供給され、出力検出電圧からバイアス電圧を差し引いた電圧が減算回路225から出力される。これにより、減算回路225の出力は、バイアス生成回路223により付与される直流成分を含まない純粋な出力電力の交流成分に比例した検出電圧Vdetとなる。なお、出力電力検出回路220は図16に示されているものに限定されず、図12に示されているような出力電力検出回路であっても良い。
次に、本実施例の電力結合器においては、負荷変動に伴ない容量素子C31,C32のカップリング量が変動する理由およびそれに伴う不具合、並びに始端側と終端側の容量素子C31とC32の容量比を適宜に設定することにより負荷変動に伴うカップリング量の変動を抑制することができる理由について説明する。
図16のような構成のRFパワーモジュールにおいては、出力端に接続されるアンテナの状態が変化して負荷が変動すると前述したように出力端で反射が起きて定在波が生じるようになる。そして、負荷の位相が変化すると定在波の節の位置が移動するため、定在波の節の位置が結合容量C31,C32の接続点と一致するとカップリング量が減少することとなる。
図18は、容量素子を用いた電力結合器において、出力電力を一定にして負荷位相を変化させた場合おける負荷位相とカップリング量との関係を示す。図18において、●印は図16に示すような構成を有する高周波電力増幅回路において電力結合器として整合回路のマイクロストリップラインMS1〜3の途中に結合容量を1つだけ接続した場合における負荷の位相とカップリング量との関係、■印は電力結合器として整合回路の両端に結合容量C31,C32を接続しFET213のドレイン端側の容量C31を出力端側の容量C32の2倍の容量値としたものを用いた場合における負荷の位相とカップリング量との関係を示す。
図18より、結合容量を1つだけ接続した場合には、出力電力が一定であっても負荷の位相によってカップリング量に15dB近い差が生じる。一方、実施例のような2つの結合容量を用いた結合器の場合には、カップリング量の差を7dB程度まで小さくできることが分かる。
そして、このような負荷位相の変化によるカップリング量の変動があると、容量素子からなる電力結合器を用いて出力電力検出回路220で出力電力を検出し、その検出電圧Vdetを自動パワー制御回路(APC回路)400へ供給して高周波電力増幅回路210のバイアス電圧を制御するようなシステムを構成して、出力端に図6と同様な位相シフタ260および3dBのアッテネータ270を負荷として接続し、GSMの最大出力電力に近いパワー(約33dB)を指示する信号PCSをAPC回路400に与えて位相シフタ260で位相をシフトさせながら高周波電力増幅回路210をAPC回路400でフィードバック制御したとき、検出電圧Vdetは図19に示すようになる。
なお、図19において、破線Dはフィードバック制御しない場合の特性を表わしている。また、このとき増幅用FET213に流れるドレイン電流Iddは図20に示すようになる。図20において、◆印は結合容量が1つの場合の各位相でのドレイン電流Iddの測定値、×印は実施例つまり結合容量が2つの場合の各位相でのドレイン電流Iddの測定値である。検出電圧Vdetとドレイン電流Iddとの関係を分かりやすくするため、図19には、結合容量が1つの場合の各位相でのIddの変化が一点鎖線で示されている。
上記のような制御ループでは、本来負荷が変化しても検出電圧Vdetが一定となるようにフィードバックがかかるが、図19において、検出電圧Vdetが負荷位相0°の近傍で落ち込んでいるのは、結合容量の接続点が定在波の節の位置に一致しモニタ電圧が低下したにもかかわらず、APC回路400から出力される制御電圧Vapcはある値以上になることができないためである。そして、検出電圧Vdetがこのように落ち込むと、高周波電力増幅回路に許容されている最大出力電力を生じさせるバイアス電圧のリミット値以上の電圧が高周波電力増幅回路210に印加されて、図20に◆印で示すように、増幅用FET213に過剰なドレイン電流Iddが流されて消費電力が必要以上に増加してしまうという不具合が発生する。なお、上記不具合を回避するため、検出電圧Vdetが落ち込むような位相になったときでも高周波電力増幅回路210から所望の出力電力が得られるようにAPC回路400を構成すると、逆に検出電圧Vdetが高くなるような位相になったときに充分な出力電力が得られなくなる。
また、図16の出力電力検出回路220内のトランジスタQ1のゲート端子に増幅用FET213のゲート電圧を印加することで出力電力の検出を行なうカレントセンス方式の出力電力検出回路を使用した場合にも、図20に△印で示すように、負荷変動で増幅用FET213に過剰電流が流れる。しかるに、結合容量が2つである本実施例の電力結合器を用いた場合には、×印で示すようにドレイン電流Iddの変動量が少なくなり、過剰電流が流れるのを防止することができる。
このように、2個の結合容量からなる実施例の電力結合器を用いた場合にドレイン電流Iddの変動量を小さくできるのは、整合回路のマイクロストリップラインに生じる定在波の谷の影響を減らすことができるためであると考えられる。そこで、2個の結合容量の比を変えて増幅用FET213に流れるドレイン電流Iddと負荷の位相との関係を調べてみた。その結果を図21に、また、そのときの出力電力Poutの変化を図22に示す。
図21,図22において、◆印は出力端に1個の結合容量を接続した場合、■印は電力結合器として整合回路の両端に結合容量C31,C32を接続しドレイン端側の容量C31と出力端側の容量C32の比を4:1にした場合、△印は2つの容量の比を3:1にした場合、×印は容量比を2:1にした場合、▽印は容量比を1:1にした場合をそれぞれ示す。図21および図22より、2個の結合容量の比が2:1のときが最もドレイン電流Iddと出力電力Poutの変化を小さくできることが分かる。
ところで、2個の結合容量の比を変えることでドレイン電流Iddと出力電力Poutの変化を小さくできる理由は、2個の結合容量の比を変えることで、図19における出力電力検出回路220の検出電圧Vdetの落ち込み位相範囲(谷)を、点線Eのようにマイナス方向へずらすことができるためである。つまり、負荷位相の変化に伴うドレイン電流Iddの変化量を抑えるには、検出電圧Vdetの落ち込み位相範囲すなわちカップリング電圧−負荷位相特性をずらすことができれば良く、上述したような2個の結合容量の比を変える手法に限定される必要はない。例えば、2つの結合容量の一方あるいは両方の接続位置を変えることで検出電圧Vdetの落ち込み位相範囲をずらすようにしても良い。
次に、2個の結合容量からなる実施例の電力結合器を構成するための好適なレイアウトを図23および図24を用いて説明する。
図23は、整合回路244を構成するマイクロストリップラインMSを蛇行するように配設して、ラインの比較的近接した部位に結合容量C31,C32の一方の端子をそれぞれ接続するとともに、結合容量C31,C32の他方の端子同士を結合して出力電力検出回路220の入力端子INに接続するようにしたもので、図17の実施例に対応する。かかるレイアウトによれば、結合容量C31,C32の端子を出力電力検出回路220の入力端子に接続するための配線あるいはボンディングワイヤの長さを短くすることができる。なお、図23においては、マイクロストリップラインMSがΩ状に形成されているが、マイクロストリップラインMSの始端に近い部分と終端に近い部分が互いに近接している形状であれば、途中の部分が例えばS字状やコの字状などどのような形状であっても構わない。
図24は、整合回路244を構成するマイクロストリップラインMSの始端とモジュールの出力端子としてのパッドPDoとが近接するように配設して、マイクロストリップラインMSの始端と出力パッドPDoに結合容量C31,C32の一方の端子をそれぞれ接続するとともに、結合容量C31,C32の他方の端子同士を結合して出力電力検出回路220の入力端子INに接続するようにしたもので、図16の実施例に対応する。かかるレイアウトによっても、結合容量C31,C32の端子を出力電力検出回路220の入力端子に接続するための配線あるいはボンディングワイヤの長さを短くすることができる。また、図23に比べてマイクロストリップラインMSの形状が単純になる。
なお、図23や図24のマイクロストリップラインMSは、当該電力結合器を有するRFパワーモジュールが図13のようなデバイス構造を有するときはモジュールの絶縁基板10の誘電体層11の表面に形成され、RFパワーモジュールが図14のようなデバイス構造を有するときはIPCのガラス基体20の表面に形成される。結合容量C31,C32はディスクリート部品でも良いし、モジュール基板10あるいはIPCの基体20に内挿された容量であっても良い。
図25は、本発明の電力結合器を適用した第4の実施例のRFパワーモジュールの構成例を示す。本実施例は、第1の実施例と第3の実施例とを組み合わせ、スイッチSWにより切り替えることができるように構成したものである。このスイッチSWは、8PSK変調を行なうEDGEモードの際には第1の実施例の電力結合器250を出力電力検出回路220に接続し、GMSK変調を行なうGSMモードの際には第3の実施例の電力結合器(C31,C32)を出力電力検出回路220に接続するように制御される。
図1の第1実施例の電力結合器は、EDGEモードのようにパワーアンプがリニア動作をする際の変調精度を高めることに対しては有効であるが、GSMモードのようなパワーアンプが飽和動作をする際の過剰電流を防止することに対してはあまり有効ではない。そこで、本実施例のように第1の実施例と第3の実施例とを組み合わせ、スイッチにより切り替えることができるように構成することによって、それぞれの電力結合器の長所を生かすことができる。
(応用例)
図26は、本発明を適用して有効な無線通信システムの一例の概略構成を示す。
図26において、ANTは信号電波の送受信用アンテナ、T/R−SWは送受信の切替えスイッチ、100はGSMやDCSのシステムにおける送信信号の変調やアップコンバートを行なう送信側ミキサ110、受信信号の復調やダウンコンバートを行なう受信側ミキサ120、送受信信号とミキシングされるローカル発振信号を発生するVCO(電圧制御発振回路)130、送信データ(ベースバンド信号)に基づいてI,Q信号を生成したり受信信号から抽出されたI,Q信号を処理したりする機能、出力電力制御信号PCSを出力する機能等を有する高周波信号処理用半導体集積回路(ベースバンドIC)、200は前記実施例のRFパワーモジュールである。
ベースバンドIC100で変調された送信信号は、不要波を除去するバンドパスフィルタBPF1を介してRFパワーモジュール200によって増幅され、高調波成分を除去するロウパスフィルタLPF1および送受信切替えスイッチT/R−SWを経てアンテナANTへ供給される。一方、アンテナANTにより受信された受信信号は送受信切替えスイッチT/R−SWおよび受信信号から不要波を除去するバンドパスフィルタBPF2を経てロウノイズアンプLNAに供給されて増幅され、LNAで増幅された受信信号はバンドパスフィルタBPF3へ経てベースバンドIC100へ入力され、復調回路(ミキサ)120により復調されて処理される。
本無線通信システムにおいては、前記実施例のRFパワーモジュール200の出力電力検出回路220から出力される出力電力検出信号VdetとベースバンドIC100から出力される出力電力制御信号PCSに基づいて出力制御電圧Vapcを生成する自動パワー制御回路(APC)400の出力VapcがRFパワーモジュール200のバイアス回路230に供給されることによって、VdetをPCSに一致させるようにRFパワーモジュール200内の高周波電力増幅回路210の利得を制御するフィードバック制御が行なわれるように構成されている。かかるシステムは、GMSK変調を行なうGSM方式の携帯電話機に適用すると有効である。
図27は、本発明を適用して有効な無線通信システムの他の構成例を示す。
本無線通信システムにおいては、前記実施例のRFパワーモジュール200の出力電力検出回路220から出力される出力電力検出信号VdetとベースバンドIC100から出力される出力電力制御信号PCSに基づいて出力制御電圧Vapcを生成する自動パワー制御回路(APC)400がベースバンドIC100内に設けられているとともに、送信用ミキサ110の前段に可変利得アンプ140が設けられ、自動パワー制御回路(APC)400の出力Vapcが可変利得アンプ140に供給されることによって、VdetをPCSに一致させるように可変利得アンプ140の利得を制御するフィードバック制御が行なわれるように構成されている。
なお、このシステムでは、RFパワーモジュール200のバイアス回路230に対してベースバンドIC100から所定のバイアス電流Icontが供給されて高周波電力増幅回路210の利得が設定される。かかるシステムは、位相変調と振幅変調を行なうEDGE方式やCDMA方式の携帯電話機に適用すると特に有効である。本発明の電力結合器を有するRFパワーモジュール200を用いたシステムでは、出力電力に正確に対応した検出電圧Vdetが自動パワー制御回路(APC)400に供給されるため、GMSK変調を行なうGSM方式の携帯電話機に適用することもできる。
また、図27の無線通信システムにあっては、バイアス電圧が固定であるため、出力要求レベルが低い場合に電力増幅部の最終段FET213のゲートバイアス電圧が相対的に大きくなり、検出用MOSトランジスタQ1のゲート端子に入力される信号の直流成分が相対的に大きくなって検出感度が低下するおそれがある。しかるに、図16の本実施例のように、検出電圧から検出入力の直流成分を差し引いた電圧を出力検出電圧Vdetとして減算回路225から出力させるように構成することにより、検出感度を高くすることができる。なお、図27では、APC回路400からの制御電圧Vapcをミキサ110の前段に設けられている利得可変アンプ140に供給してそのゲインを変化させているが、ミキサ110とRFパワーモジュール200との間に利得可変アンプを設けてそのゲインをAPC回路400からの制御電圧Vapcを変化させるように構成しても良い。
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば図16においては、インピーダンス整合回路244内のマイクロストリップラインMS1〜MS3が連続して形成されているが、図1のように互いに分離して形成されていても良い。また、前記実施例の高周波電力増幅回路では、電力増幅用FETを3段接続しているが、2段構成としたり、4段以上の構成としても良い。
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野である携帯電話機を構成するRFパワーモジュールに適用した場合を説明したが、本発明はそれに限定されるものでなく、無線LANなどを構成するRFパワーモジュールに利用することができる。
本発明の第1の実施例の電力結合器を適用した高周波電力増幅器(RFパワーモジュール)の出力部の構成例を示す回路構成図である。 従来の方向性カプラの原理を示す説明図である。 第1実施例の電力結合器の作用を示す図で、(A)は進行波に関するもの、(B)は反射波に関するものある。 第1実施例の電力結合器の方向性に関して行なったシミュレーションの結果を示す図である。 第1実施例の電力結合器における反射により生じる定在波の様子を示す説明図である。 第1実施例の電力結合器を適用したRFパワーモジュールにおける負荷位相と出力電力との関係を調べるための試験装置の構成を示す回路図である。 第1実施例の電力結合器を適用したRFパワーモジュールにおける負荷位相と出力電力との関係を示すグラフである。 第1実施例の電力結合器を適用したRFパワーモジュールにおける負荷位相とドレイン電流との関係を示すグラフである。 第1実施例の電力結合器を適用したRFパワーモジュールにおける負荷位相とEVMとの関係を示すグラフである。 主線路の特性インピーダンスと電力結合器のカップリング電圧(モニタ電圧)との関係を示すグラフである。 主線路の特性インピーダンスと電力結合器の磁気結合および電界結合との関係を示すグラフである。 第1実施例の電力結合器を適用したRFパワーモジュールのより詳細な構成を示す回路構成図である。 実施例のパワーモジュールのデバイス構造の一例を示す斜視図である。 実施例のパワーモジュールのデバイス構造の他の例を示す斜視図である。 第1の実施例の電力結合器を適用したRFパワーモジュールの他の構成例を示す回路構成図である。 第2の発明の電力結合器を適用した第3の実施例のRFパワーモジュールの出力部と出力電力検出回路の構成例を示す回路構成図である。 第2の発明の電力結合器を適用したRFパワーモジュールの全体の構成を示す回路構成図である。 第2の発明の電力結合器における負荷位相とカップリング量との関係を示すグラフである。 第2の発明の電力結合器を適用したRFパワーモジュールにおける負荷位相と出力電力検出電圧との関係を示すグラフである。 第2の発明の電力結合器を適用したRFパワーモジュールにおける負荷位相とドレイン電流との関係を示すグラフである。 第2の発明の電力結合器を適用したRFパワーモジュールにおいて始端側の容量と終端側の容量の比を変えたときの負荷位相と出力電力との関係を示すグラフである。 第2の発明の電力結合器を適用したRFパワーモジュールにおいて始端側の容量と終端側の容量の比を変えたときの負荷位相とドレイン電流との関係を示すグラフである。 第2の発明の電力結合器を構成するための好適なレイアウトの一例を示す平面説明図である。 第2の発明の電力結合器を構成するための好適なレイアウトの他の例を示す平面説明図である。 本発明の電力結合器を適用したRFパワーモジュールの他の構成例を示す回路構成図である。 本発明を適用して有効な無線通信システムの一例の概略構成を示すブロック図である。 本発明を適用して有効な無線通信システムの他の例の概略構成を示すブロック図である。
符号の説明
MS1〜MS4 マイクロストリップライン
MS1 主線路
MS4 副線路
100 ベースバンドIC
110 送信側ミキサ
120 受信側ミキサ
200 RFパワーモジュール
210 高周波電力増幅回路
211,212,213 電力増幅用FET
220 出力電力検出回路
221 カレントミラー回路
222,224 バッファ回路
223 ロウパスフィルタ
225 減算回路
230 バイアス回路
241〜244 インピーダンス整合回路
250 電力結合器
400 自動パワー制御回路(APC回路)
10 絶縁基板(モジュール基板)
11 誘電体層
12a〜12d 導電パターン
20 IPC
30 IC(半導体集積回路)
41〜45 ディスクリート部品

Claims (17)

  1. 変調された高周波信号を増幅する電力増幅回路と、該電力増幅回路の最終出力段の出力端に接続された第1のインピーダンス整合回路と、該第1のインピーダンス整合回路と出力端子との間に接続された第2のインピーダンス整合回路と、前記電力増幅回路の出力電力の大きさを検出し前記電力増幅回路をフィードバック制御するための信号を出力する出力電力検出回路と、前記第1のインピーダンス整合回路と前記出力電力検出回路の入力端子との間に設けられた電力結合器とを備える高周波電力増幅用電子部品であって、
    前記電力結合器は、前記第1のインピーダンス整合回路の主線路の前記電力増幅回路の最終出力段側の一部と近接して平行に配置された副線路と、前記主線路と副線路との間に接続された容量素子と、前記副線路の前記電力増幅回路の最終出力段から遠い側の端部と定電位点との間に接続された抵抗素子とから構成され、前記主線路の前記副線路と対向する部分のインピーダンスは10Ω以下であり、前記対向部分の長さは伝送される信号の波長λの数10分の1であることを特徴とする高周波電力増幅用電子部品。
  2. 変調された高周波信号を増幅する電力増幅回路と、該電力増幅回路の最終出力段と出力端子との間に設けられたインピーダンス整合回路と、前記電力増幅回路の出力電力の大きさを検出し前記電力増幅回路をフィードバック制御するための信号を出力する出力電力検出回路と、前記インピーダンス整合回路と前記出力電力検出回路の入力端子との間に設けられた電力結合器とを備える高周波電力増幅用電子部品であって、
    前記電力結合器は、前記インピーダンス整合回路の主線路の前記電力増幅回路の最終出力段側の一部と近接して平行に配置された副線路と、前記主線路と副線路との間に接続された容量素子と、前記副線路の前記電力増幅回路の最終出力段から遠い側の端部と定電位点との間に接続された抵抗素子とから構成されていることを特徴とする高周波電力増幅用電子部品。
  3. 前記主線路の前記副線路と対向する部分のインピーダンスは10Ω以下であり、前記対向部分の長さは伝送される信号の波長λの数10分の1であることを特徴とする請求項2に記載の高周波電力増幅用電子部品。
  4. 前記容量素子は、前記副線路の中央よりも前記電力増幅回路の最終出力段に近い側の任意の点と、前記主線路の前記副線路との対向部分の中央よりも前記電力増幅回路の最終出力段に近い側の任意の点との間に接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高周波電力増幅用電子部品。
  5. 前記抵抗素子は、前記副線路の前記電力増幅回路の最終出力段から遠い側の端部と定電位点との間に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高周波電力増幅用電子部品。
  6. 前記電力結合器と前記出力電力検出回路の入力端子との間には、前記容量素子と直列に、該容量素子よりも容量値の大きな容量素子が接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高周波電力増幅用電子部品。
  7. 前記主線路および前記副線路は、前記電力増幅回路が実装された絶縁基板に形成された導体層からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高周波電力増幅用電子部品。
  8. 前記容量素子と前記抵抗素子は1つの共通の誘電体基体に実装もしくは内挿され、前記主線路と前記副線路は前記誘電体基体の表面に形成された導体層からなり、前記誘電体基体が、前記電力増幅回路とともに共通の絶縁基板に実装されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高周波電力増幅用電子部品。
  9. 前記出力電力検出回路は、前記電力増幅回路と該電力増幅回路にバイアスを与えるバイアス回路と同一の半導体チップ上に半導体集積回路として構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の高周波電力増幅用電子部品。
  10. 変調された高周波信号を増幅する電力増幅回路と、該電力増幅回路の最終出力段と出力端子との間に設けられたインピーダンス整合回路と、前記電力増幅回路の出力電力の大きさを検出し前記電力増幅回路をフィードバック制御するための信号を出力する出力電力検出回路と、前記インピーダンス整合回路と前記出力電力検出回路の入力端子との間に設けられた電力結合器とを備える高周波電力増幅用電子部品であって、
    前記電力結合器は、前記インピーダンス整合回路の入力側に接続された第1の容量素子と、出力側に接続された第2の容量素子とからなり、これらの容量素子を介して前記出力電力検出回路へモニタ電圧を供給するように構成されていることを特徴とする高周波電力増幅用電子部品。
  11. 前記第1の容量素子と第2の容量素子の容量比を調整することにより、前記電力結合器のカップリング電圧−負荷位相特性を、過剰な電流が流れる負荷位相におけるモニタ電圧が増大する方向へ位相シフトさせることを特徴とする請求項10に記載の高周波電力増幅用電子部品。
  12. 前記第1の容量素子と第2の容量素子は、容量比が2:1に設定されていることを特徴とする請求項11に記載の高周波電力増幅用電子部品。
  13. 前記第2の容量素子の一方の端子の接続点は前記インピーダンス整合回路の主線路の前記電力増幅回路の最終出力段から遠い側の端部であることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の高周波電力増幅用電子部品。
  14. 前記インピーダンス整合回路の主線路は、始端に近い部分と終端に近い部分が互いに近接するように湾曲もしくは折曲して形成され、前記主線路の互いに近接する部位に前記第1の容量素子と第2の容量素子の一方の端子が接続されていることを特徴とする請求項13に記載の高周波電力増幅用電子部品。
  15. 前記第2の容量素子の一方の端子の接続点は出力端子であり、前記インピーダンス整合回路の主線路の終端と前記出力端子との間には第3の容量素子が接続されていることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の高周波電力増幅用電子部品。
  16. 前記インピーダンス整合回路の主線路は、始端に近い部分が前記出力端子の近傍に位置するように配置され、前記第1の容量素子の一方の端子は前記主線路の始端部に接続されていることを特徴とする請求項15に記載の高周波電力増幅用電子部品。
  17. 変調された高周波信号を増幅する電力増幅回路と、該電力増幅回路の最終出力段と出力端子との間に設けられたインピーダンス整合回路と、前記電力増幅回路の出力電力の大きさを検出し前記電力増幅回路をフィードバック制御するための信号を出力する出力電力検出回路と、前記インピーダンス整合回路と前記出力電力検出回路の入力端子との間に設けられた電力結合器とを備える高周波電力増幅用電子部品であって、
    前記電力結合器は、
    前記インピーダンス整合回路の主線路の前記電力増幅回路の最終出力段に近い側の一部と近接して平行に配置された副線路および前記主線路と副線路との間に接続された容量素子並びに前記副線路の前記電力増幅回路の最終出力段から遠い側と定電位点との間に接続された抵抗素子からなる第1電力結合器と、
    前記インピーダンス整合回路の入力側に一方の端子が接続された第1の容量素子および出力側に一方の端子が接続され他方の端子が前記第1の容量素子の他方の端子と結合された第2の容量素子からなる第2電力結合器と、
    を含み、前記第1電力結合器と第2電力結合器をモードに応じて切り替えて使用するように構成されていることを特徴とする高周波電力増幅用電子部品。
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