JP5312370B2 - インレット組立体 - Google Patents

Description

本発明は、外部電源に接続されたコネクタが連結されるインレットを含むインレット組立体の構造に関する。

電気自動車やハイブリッド車（ＨＶ）など、蓄電装置に蓄えた電力でモータを駆動することによって走行する電動車両が実用化されている。また、近年では、充電スタンドなどと呼ばれる外部電源から供給される電力で蓄電装置を充電するシステムを備えた、いわゆるプラグイン車両（ＰＨＶ）の開発も進んでいる。

このようなプラグイン車両において、車両の側面（たとえば、車両のフロント左フェンダー）には、充電用のコネクタを連結するための充電用のインレットが設けられる。充電用のコネクタの一端は、商用電源等に連結され、たとえば、駐車場等において、車両の充電用のインレットにコネクタが一定時間連結された状態となる。

充電のためには、インレットにコネクタが連結された状態が維持される。この場合に、寒冷地や冬季においては、インレットを含むインレット組立体またはコネクタに、雨水、泥はね等により付着した水分が凍結し、インレットからコネクタが抜けない状況になることが考えられる。また、インレット組立体に付着した水分が凍結し、インレットにコネクタを連結できない状況になることも考えられる。

なお、下記の特許文献１には、電気自動車用充電コネクタに関し、外部電源を用いて、車両に搭載された充電装置に充電を行なうことが可能な構造を備える電気自動車が開示されている。下記特許文献２には、容器の水抜き穴形状に関し、水抜き穴の外側の側面を傾斜させることで、水抜き穴に水膜が張るのを防止する技術が開示されている。下記特許文献３には、自動車用ドアミラーのステーの水抜き構造に関して、水抜き穴の径を段階的に小さくすることにより、水抜き効果を向上させる技術が開示されている。

特開平０７−１９２８２６号公報 特開２００３−２００９３６号公報 特開平０７−１７９１４９号公報

本願発明が解決しようとする課題は、外部電源に接続されたコネクタが連結されるインレットを含むインレット組立体またはコネクタに付着した水分が凍結した場合に、インレットからコネクタが抜けない状況になる点、また、インレット組立体に付着した水分が凍結し、インレットにコネクタを連結できない状況になる点である。本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、インレット組立体に付着した水分を、外部に排水することを促す構造を備えるインレット組立体を提供することにある。

この発明に基づいたインレット組立体においては、外部電源を用いて内部に搭載された蓄電装置に充電を行なう車両に設けられるインレット組立体であって、以下の構成を備える。

上記外部電源に接続されたコネクタに連結されるインレットと、上記インレットを上記車両に固定するインレットベースと、上記インレットを取り囲み、上記コネクタの上記インレットへの接続を案内する筒状のガイド壁とを含み、上記インレットベースには、水抜き穴が設けられ、上記インレットベースの上記インレットが設けられる側と反対側である背面側において、上記水抜き穴の縁部に排水を促す排水誘導部材が配設される。

上記インレット組立体の他の形態においては、上記インレットベースには、上記水抜き穴が２箇所以上設けられ、複数の上記水抜き穴のそれぞれに設けられた排水誘導部材から排水される水を一箇所に集めて排水するための集合排水部材が設けられる。

上記インレット組立体の他の形態においては、上記インレットベースの背面側には、上記インレットに連結されたケーブルを覆うグロメットが設けられ、上記集合排水部材は、上記グロメットに設けられる。

この発明に基づいたインレット組立体によれば、インレット組立体に付着した水分を、外部に排水することを促す構造を備えるインレット組立体を提供することが可能となる。

実施の形態におけるインレット組立体を備える車両および充電スタンドを示す図である。 実施の形態におけるインレット組立体の正面図である。 実施の形態におけるインレット組立体の拡大正面図である。 実施の形態におけるインレットシールドの平面図である。 図２中のＶ線矢視図である。

本発明に基づいた実施の形態におけるインレット組立体について、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。

（車両および充電スタンド）
図１は、本発明に基づいた実施の形態にけるインレット組立体を備える車両および充電スタンドを示す図である。充電スタンド１０は、車両１などの電動車両に搭載される充電器を充電するために専用に設けられた交流電源である。なお、充電スタンド１０は直流電源であってもよい。

車両１は、充電器３の電力でモータ（図示せず）を駆動することによって走行する電動車両である。車両１は、駆動源としてモータのみを備える電気自動車であってもよいし、モータとエンジンとを備えるハイブリッド車両であってもよい。

車両１は、いわゆるプラグイン車両であり、外部の充電スタンド１０から供給される交流電力で蓄電装置Ｂを充電するための充電システムを備える。この充電システムは、インレット２、充電器３、ＥＣＵ４を含む。インレット２は、充電スタンド１０から延びる充電ケーブルＣＡのコネクタ１２に連結可能に構成される。充電器３は、ＥＣＵ４からの制御信号に応じて、充電スタンド１０から供給される交流電力を蓄電装置Ｂに充電可能な直流電力に変換して蓄電装置Ｂに供給する。

充電ケーブルＣＡのコネクタ１２が車両１のインレット２に接続されると、充電スタンド１０のＥＣＵ１００によって生成されたパイロット信号ＣＰＬＴ（後述）が充電ケーブルＣＡ、インレット２を経由してＥＣＵ４に入力される。ＥＣＵ４は、パイロット信号ＣＰＬＴなどの情報に基づいて充電器３を制御することによって、蓄電装置Ｂの充電制御を行なう。

一方、充電スタンド１０は、商用電源１１、切替装置ＳＷ、充電ケーブルＣＡ、ＥＣＵ１００を含む。商用電源１１は、日本などで広く普及している、いわゆる単相３線式の交流電源である。

充電ケーブルＣＡは、一方の端部が接続部１３経由で切替装置ＳＷに接続され、他方の端部はコネクタ１２に接続される。コネクタ１２は、車両１のインレット２に接続可能に構成されたコネクタである。なお、接続部１３をコネクタで構成して、充電ケーブルＣＡと充電スタンド１０とを切り離し可能にしてもよい。

（インレット組立体２００）
次に、図２を参照して、本実施の形態におけるインレット組立体２００の構成について説明する。このインレット組立体２００は、一例として、車両１の側面（たとえば、車両のフロント左フェンダー）に設けられたインレット開口部１ｈ内に収容されている。インレット開口部１ｈは、カバー１ｃ（図５参照）により開閉可能である。

インレット組立体２００は、上記したコネクタ１２が連結されるインレット２と、このインレット２を車両１に固定するインレットベース２ｂと、インレット２を取り囲み、コネクタ１２のインレット２への接続を案内する筒状のガイド壁２ａとを含んでいる。本実施の形態においては、インレット２、インレットベース２ｂ、およびガイド壁２ａは樹脂成型品により一体成型されている。

筒状のガイド壁２ａの外周上端面には、ロック壁２ｃが設けられ、コネクタ１２側に設けられたロックピン１２ａ（図１参照）が係合可能に設けられている（図１参照）。また、筒状のガイド壁２ａの下端面には、コネクタ１２側に設けられた位置決め壁１２ｃ（図１参照）が勘合する位置決め溝２ｈが設けられている。

コネクタ１２のインレット２への差込時には、位置決め溝２ｈにコネクタ１２側に設けられた位置決め壁１２ｃを勘合させながら押し込むことで、ロックピン１２ａがロック壁２ｃを乗り越える。これにより、インレット２とコネクタ１２との連結状態が固定される。

インレット２からコネクタ１２を引き抜く際には、コネクタ１２側に設けられたロック解除ボタン１２ｂを押さえ込むことで、ロックピン１２ａのロック壁２ｃへの係合が解除され、インレット２からコネクタ１２を引き抜くことが可能になる。

インレット組立体２００は、インレット２を保護するためのインレットカバー２ｄを含む。インレットカバー２ｄは、カバー用ヒンジ２ｅにより、開閉可能にガイド壁２ａに連結されている。また、インレットカバー２ｄの閉状態を固定するためのロックレバー２ｆが設けられている。このロックレバー２ｆも、ロックレバー用ヒンジ２ｇにより、回動可能にガイド壁２ａに連結されている。

インレットベース２ｂのインレット２が設けられる側と反対側である背面側（車両１の内側）には、外部からの水分等の車体内への浸入を防止し、また、目隠しとしてのインレットシールド３０が設けられている。このインレットシールド３０の周縁部は、車両の外方に向かって起立し、インレット組立体２００の周囲を取り囲むように設けられている。このインレットシールド３０には、ゴム、エラストマ等により構成される柔軟性を有する素材が用いられている。

（水抜き穴)
次に、図３を参照して、インレット組立体２００に設けられる水抜き穴について説明する。図３においては、説明の便宜上、インレット組立体２００から、インレットカバー２ｄ、カバー用ヒンジ２ｅ、ロックレバー２ｆ、およびロックレバー用ヒンジ２ｇを取り外した状態を示している。

このインレット組立体２００には、表面に付着した水分を裏面側に排出するための水抜き穴が設けられている。ロック壁２ｃの背面側に水抜き穴２０ａ、位置決め溝２ｈの背面側に水抜き穴２０ｂ、カバー用ヒンジ２ｅの背面側に水抜き穴２０ｃ、およびロックレバー用ヒンジ２ｇの背面側に水抜き穴２０ｄが設けられている。

いずれの水抜き穴２０ａ〜２０ｄも、インレットベース２ｂを貫通する穴である。水抜き穴２０ａ〜２０ｄの形状は、設ける位置によって様々であり、正方形、長方形、円形、楕円形等が考えられる。開口面積は、約１０ｍｍ^２〜約１００ｍｍ^２程度である。

上記した位置に水抜き穴２０ａ〜２０ｄを設けた理由は、これらの領域に水分が付着し凍結した場合には、コネクタ１２の抜き差しに支障が生じ、また、インレットカバー２ｄの開閉に支障が生じるからである。したがって、コネクタ１２の抜き差しに支障が生じると考えられる他の領域に水抜き穴を設けることは可能である。

図４を参照して、インレットベース２ｂの背面側に配置されるインレットシールド３０にも、水抜き穴２０ａ〜２０ｄを塞がないように、中央開口領域３０ａに切欠領域３０ｂ〜３０ｅが設けられている。

次に、図５を参照して、水抜き穴２０ａ〜２０ｄの背面側の構造について説明する。図５に示すように、インレット組立体２００は、車両１の内面に設けられたインレットボックス１ｂ内に収容されるように配置され、インレットシールド３０により車両１の内部が見えないように目隠しされている。

また、インレット組立体２００の背面側には、インレット２に接合されるケーブル６０が配設されている。また、インレット組立体２００の背面側およびケーブル６０を保護するため、グロメット４０が配置されている。グロメット４０には、ゴム、エラストマ等により構成される柔軟性を有する素材が用いられている。

ここで、インレット組立体２００には、水抜き穴２０ａ〜２０ｄが設けられているが、付着した水分が多い場合には、水抜き穴２０ａ〜２０ｄから水分は排出され易い。しかし、水分が少ない場合には、表面張力により水抜き穴２０ａ〜２０ｄを塞いだ状態となり水分が排出され状態が考えられ得る。

そこで、本実施の形態においては、水抜き穴２０ａ〜２０ｄに到達した水分の外部への排出をより促すために、水抜き穴２０ａ〜２０ｄの背面側の縁部に排水を促す排水誘導部材５１を配設している。この排水誘導部材５１を設けることで、水抜き穴２０ａ〜２０ｄでの水分の表面張力の張りを無くし、排水誘導部材５１側に水分を呼込むことが可能となる。排水誘導部材５１は、水抜き穴２０ａ〜２０ｄの縁部に位置するように、インレットベース２ｂの背面側に接着剤等を用いて固定される。

排水誘導部材５１には、ゴム、エラストマ等により構成される柔軟性を有する素材を用いることが好ましい。また、形態としては、舌状、円筒状等が挙げられる。

インレット組立体２００の背面側にグロメット４０が設けられていない場合には、排水誘導部材５１により呼込まれた水分は、そのまま外部に排出されることになるが、グロメット４０が設けられている場合には、グロメット４０の外に水分を排水する必要がある。

水抜き穴２０ａ〜２０ｄのそれぞれに管状の排水誘導部材５１を設けた場合には、管状の排水誘導部材５１をグロメット４０の外部にまで導出すれば良い。複数の管状の排水誘導部材５１を、途中で一箇所に集めて一本の管状の排水誘導部材５１とすることも可能である。

また、図５に示すように、舌状の排水誘導部材５１や、長さの短い管状の排水誘導部材５１を採用した場合には、グロメット４０の下端面に、排水誘導部材５１から排水される水を一箇所に集めて排水するための集合排水部材５２を設けることが好ましい。

なお、図５においては、水抜き穴２０ａ〜２０ｄが、略水平状態となるように設けているが、インレット組立体２００自体が、緩く上方に傾斜するように配置された場合には、水抜き穴２０ａ〜２０ｄも背面側が下方となるように傾斜するため、より排水を促すことができる。

また、インレット組立体２００自体が、水平状態に配置される場合であっても、水抜き穴２０ａ〜２０ｄを背面側が下方となるように傾斜させて開口することで、より排水を促すことができる。

以上、本実施の形態おけるインレット組立体においては、水抜き穴２０ａ〜２０ｄを設けるとともに、水抜き穴２０ａ〜２０ｄに到達した水分の外部への排出をより促すために、水抜き穴２０ａ〜２０ｄの背面側の縁部に排水誘導部材５１を配設している。これにより、水抜き穴２０ａ〜２０ｄでの水溜まりをなくして、排水誘導部材５１側に水分を呼込むことが可能となる。

その結果、インレット組立体２００に付着した水分を、外部に排水することを促すことが可能となり、寒冷地や冬季における凍結に起因した、インレット２からコネクタ１２が抜けない状況、インレット２にコネクタ１２を連結できない状況の発生を未然に防止することが可能となる。

以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。

１ 車両、１ｃ カバー、１ｈ インレット開口部、２ インレット、２ａ ガイド壁、２ｂ インレットベース、２ｃ ロック壁、２ｄ インレットカバー、２ｅ カバー用ヒンジ、２ｆ ロックレバー、２ｇ ロックレバー用ヒンジ、２ｈ 位置決め溝、３ 充電器、４ ＥＣＵ、１０ 充電スタンド、１１ 商用電源、１２ コネクタ、１２ａ ロックピン、１２ｃ 位置決め壁、１３ 接続部、２０ａ〜２０ｄ 水抜き穴、３０ インレットシールド、３０ａ 中央開口領域、３０ｂ〜３０ｅ 切欠領域、４０ グロメット、５１ 排水誘導部材、５２ 集合排水部材、６０ ケーブル、１００ ＥＣＵ、２００ インレット組立体、Ｂ 蓄電装置、ＣＡ 充電ケーブル、ＳＷ 切替装置。

Claims (3)

1. 外部電源を用いて内部に搭載された蓄電装置に充電を行なう車両に設けられるインレット組立体であって、
   前記外部電源に接続されたコネクタに連結されるインレットと、
   前記インレットを前記車両に固定するインレットベースと、
   前記インレットを取り囲み、前記コネクタの前記インレットへの接続を案内する筒状のガイド壁と、を含み、
   前記インレットベースには、水抜き穴が設けられ、
   前記インレットベースの前記インレットが設けられる側と反対側である背面側において、前記水抜き穴の縁部に排水を促す排水誘導部材が配設される、インレット組立体。
2. 前記インレットベースには、前記水抜き穴が２箇所以上設けられ、
   複数の前記水抜き穴のそれぞれに設けられた排水誘導部材から排水される水を一箇所に集めて排水するための集合排水部材が設けられる、請求項１に記載のインレット組立体。
3. 前記インレットベースの背面側には、前記インレットに連結されたケーブルを覆うグロメットが設けられ、
   前記集合排水部材は、前記グロメットに設けられる、請求項２に記載のインレット組立体。

Images