以下に、添付図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。また、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
<画像形成装置>
以下に、本発明に係る画像形成装置について説明する。
図1は、画像形成装置100の概略模式図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
本発明の画像形成装置100は、例えば、プリンタやスキャナ単体、あるいはプリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機等が該当する。
なお、一例として複合機を利用して、原稿のコピーを行う際の画像形成装置の動作を簡単に説明する。
ユーザが複合機を利用して、例えば、原稿の印刷を行う場合、原稿を図1に示す原稿台103或いは載置台105に配置し、原稿台近傍に供えられた操作パネルに対して印刷の指示を行う。当該指示があると、以下に示す各部(駆動部)が動作することで、印刷が行われる。
即ち、図1に示すように、本実施の形態の画像形成装置100は、本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102を備える。本体101の上面には原稿台103が設けられており、原稿台103は、プラテンカバー102によって開閉されるようになっている。プラテンカバー102には、自動原稿給紙装置104と載置台105と排紙台109が設けられている。
自動原稿給紙装置104は、プラテンカバー102の内部に形成された原稿搬送路108と、プラテンカバー102の内部に備えられたピックアップローラ106や搬送ローラ107等で構成される。原稿搬送路108は、載置台105から、本体101に設けられた読取部110にて読み取りが行なわれる読取位置Pを経由して、排紙台109に通じる原稿の搬送路である。
自動原稿給紙装置104は、載置台105に載置された原稿1枚ずつをピックアップローラ106で搬送路内108に引き出し、搬送ローラ107等によって引き出した原稿を、読取位置Pを通過させて排紙台109に排紙する。読取位置Pを通過する時に原稿は読取部110にて読み取られる。
上記読取部110は、原稿台103の下方に設けられており、図2にその詳細を示す。読取部110は、原稿台103を照射する主走査方向に長い光源111と、原稿台からの光を選択的に通過させるスリット116と、原稿台からの光を導くミラー112とを備える第一の移動キャリッジ117を備えている。また、この第一の移動キャリッジ117からの反射光を再度反射するミラー113A、113Bを備える第二の移動キャリッジ118、ミラー112、113A、113Bで導かれた光を光学的に補正するレンズ群119を備えている。さらに、当該レンズ群119より補正された光を受光する撮像素子115、撮像素子115にて受光した光を電気信号に変換し、必要に応じて補正・修正などを行う画像データ生成部114を備えている。
自動原稿給紙装置104上の原稿を読み取る場合には、光源111は、読取位置Pを照射できる位置に移動して発光する。光源111からの光は、原稿台103を透過して読取位置Pを通過する原稿にて反射し、スリット116、ミラー112、113A、113B、レンズ群119によって撮像素子115に導かれる。撮像素子115は、受光した光を電気信号に変換して画像データ生成部114に送信する。画像データ生成部114には、上記撮像素子115にて受光された光がR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のアナログ電気信号として入力され、ここでアナログ−デジタル変換され、デジタル化される。さらに、画像データ生成部114では、順次変換されたデジタル信号を単位データとし、これら単位データを必要に応じて補正、修正等することで複数の単位データからなる画像データを生成し、第一の記憶部114Bに格納する。
また、読取部110は、自動原稿給紙装置104で搬送される原稿だけでなく、原稿台103に載置された原稿も読み取ることが可能となっている。原稿台103に載置された原稿を読み取る場合は、第一のキャリッジ112は、光源111を発光しながら副走査方向に移動し、光源111から撮像素子115までの光路長を一定にするために、第二の移動キャリッジ118は第一の移動キャリッジ117の1/2の速度で撮像素子115方向に移動する。
撮像素子115は、自動原稿給紙装置104に搬送された原稿のときと同様に、ミラー112、113A、113Bに導かれた光に基づいて原稿台103に載置された原稿からの光を電気信号に変換し、これに基づいて画像データ生成部114が画像データを生成し、第一の記憶部114Bに記憶する。
本体101の読取部110の下方には、画像データを印刷する印刷部120を備えている。印刷部120が印刷できる画像データは、上記のように画像データ生成部114にて生成された画像データや、その他画像形成装置100とLAN等のネットワークで接続されたパソコン等の端末から、ネットワークインターフェイスを介して受信した画像データである。
印刷部120が行う印刷方式には、電子写真方式が用いられている。即ち、感光体ドラム121を帯電器122で一様に帯電させ、その後、レーザ123で感光体ドラム121を照射して感光体ドラム121に潜像(静電潜像)を形成し、現像器124で当該潜像にトナーを付着させてトナー像(可視像)を形成し、転写ローラ125Bにて当該トナー像を用紙に転写する方式である。
尚、フルカラー画像に対応する画像形成装置100では、上記現像器(ロータリー現像器)124が、図1の紙面に対して垂直方向に構成される回転軸を中心として周方向に回転させられ、対応する色のトナーが格納された現像ユニットが感光体ドラム121の対向位置に配置される。この状態で、感光体ドラム121上の潜像が、現像器124が格納するトナーにより現像され、中間転写ベルト(中間転写体)125Aに転写される。なお、現像器124は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニット124(Y)、(C)、(M)、(K)を有している。上記中間転写ベルト125Aへの転写を上記各色毎に繰り返すことにより、当該中間転写ベルト125A上にフルカラー画像が形成される。
又、レーザの照射、つまり、感光体ドラム121への露光のタイミングは、後述する中間転写ベルト125Aに備えられた基準マークと、当該基準マークを光学的に検知する検知部とに基づいてなされる(後述する)。
トナー像が印刷される印刷媒体、即ち用紙は、手差しトレイ131、給紙カセット132、133、134などの給紙トレイに載置されたものである。
印刷部120が印刷を行う際には、何れか1つの給紙トレイから用紙1枚を、ピックアップローラ135を用いて引き出し、引き出した用紙を搬送ローラ137(手差しトレイ131を利用する場合には搬送ローラ136)やレジストローラ138で中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bの間に送り込む。
印刷部120は、中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bとの間に送り込んだ用紙に、上記中間転写ベルト125A上のトナー像を転写すると、当該トナー像を定着させるために、搬送ベルト126で定着装置127に用紙を送る。定着装置127は、ヒータが内蔵された加熱ローラ128と、所定の圧力で加熱ローラ128に押し当てられた加圧ローラ129とで構成されている。加熱ローラ128と加圧ローラ129の間を用紙が通過すると、熱と用紙への押圧力によって可視像が用紙に定着する。印刷部120は、定着装置127を通過した用紙を排紙トレイ130に排紙する。
以上が、画像形成装置100における基本的なコピーサービスの処理である。
なお、上記画像形成装置100では、図3のハードウェア構成図に示すように、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304及び上記印刷処理における各駆動部に対応するドライバ305が内部バス306を介して接続されている。上記CPU301は、例えばRAM302を作業領域として利用し、ROM303やHDD304等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ305とデータや命令を授受することにより上記図1、図2に示した各駆動部307の動作を制御する。
<中間転写ベルトの基準マーク>
以下に、本発明に係る中間転写ベルトの基準マークについて説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る中間転写ベルト125Aの基準マークの概略図である。図4(A)は、基準マークを備えた中間転写ベルト125Aを平面に展開した概略展開図であり、図4(B)は、中間転写ベルト125Aの基準マークを検知するフォトインタラプタの概略図である。尚、図4に示す矢印F方向は、中間転写ベルトの進行(周回)する方向を示し、図4の上下方向が、フォトインタラプタの上下方向に対応する。
本発明に係る中間転写ベルト125Aは、図4(A)に示すように、感光体ドラム121への露光開始のタイミングを決定するための基準マーク4Mが設けられている。感光体ドラム121への露光開始のタイミングを決定することは、言い換えると、感光体ドラム121に形成されたトナー像を中間転写ベルト125Aへ転写するタイミングを決定することに対応する。
ここで、基準マーク4Mは、F方向の垂直方向に対して凹形の切り欠き部である。そして、図4(B)に示すように、中間転写ベルト125Aを挟むように、凹形のフォトインタラプタ401(Photo Interrupter:IP)が配置される。IP401の凹形の開口部402には、上下方向に所定の赤外線403を発しており、当該赤外線403が遮られるか否かにより、当該IP401が所定の検出信号を発するか否かが決定される。
前記IP401は、中間転写ベルト125Aが当該IP401の赤外線403を光学的に遮る場合、検出信号を発しない。一方、中間転写ベルト125Aの基準マーク4Mの凹部により、中間転写ベルト15Aが当該IP401の赤外線403を透過する(光学的に遮らない)場合、検出信号を発する。前記検出信号の有無によって、中間転写ベルト125Aの基準マーク4Mの検出は実行される。尚、前記検出信号の有無の基準となる係る切り欠き部のF方向の寸法は、前記IP401のF方向の寸法に応じて適宜設計される。
尚、基準マーク4Mを切り欠き部としたのは例示であって、基準マーク4Mは、感光体ドラム121への露光開始のタイミングを決定することができれば、どのような構成を採用しても構わない。例えば、中間転写ベルト125A上にF方向に所定の長さを有する金属膜を貼り付けることによって当該基準マーク4Mとしても構わない。当該構成では、上述したIP401の赤外線403が金属膜から反射されるが、当該反射光をIP401の凹部の裏面で受光することによって、基準マーク4Mを検出する。
さて、IP401が基準マーク4Mを検知すると、印刷部120が予め帯電された感光体ドラム121に、露光装置であるレーザ123がレーザ光を照射し、感光体ドラム121上の所定の位置に潜像を形成する。形成された潜像にトナーが付着して、当該感光体ドラム121上にトナー像が形成されると、感光体ドラム121は当該トナー像を、中間転写ベルト125Aの基準マーク4MからF方向後方の所定の転写位置4Rに転写する。
このようにして、中間転写ベルト125Aの基準マーク4Mに基づいてトナー像を当該中間転写ベルト125Aに転写しているため、当該トナー像を所定の転写位置4Rに正確に転写することができるのである。
<本発明の実施形態>
次に図5乃至図6を参照しながら、本発明の複合機100が、中間転写ベルト125Aにおけるトナー像の転写位置を変更する手順について説明する。図5は、本発明の複合機100の機能ブロック図である。図6は、本発明の実行手順を示すためのフローチャートである。
まず、ユーザがコピーサービスを複合機100に実行させるために、原稿Pを原稿台101に載置し、操作パネルのスタートキーを押下すると、画像データ取得手段501が、原稿Pの画像データを取得する(図6:S101)。
画像データ取得手段501が画像データを取得すると、転写位置変更手段502が、枚数カウンタ503に備えられた所定のメモリに記憶されている現時点の印刷枚数の累積値(例えば、5000枚)を取得する(図6:S102)。
前記枚数カウンタ503は、複合機100の排紙口から排出された印刷用紙の印刷枚数を所定のジョブ毎に計測し、所定のメモリに記憶された印刷枚数に、計測された印刷枚数を加算した合計値を累積値として更新するよう構成されている。
前記転写位置変更手段502が、印刷枚数の累積値を取得すると、タイミング記憶手段504に記憶されているタイミングテーブルを参照し、当該印刷枚数の累積値に対応する露光タイミング時間を取得する(図6:S103)。
図7(A)は、印刷枚数を基準としたタイミングテーブルの一例を示す図である。
印刷枚数を基準としたタイミングテーブル700には、図7(A)に示すように、所定の印刷枚数(「3000枚」)毎に区画された複数の印刷枚数累積値範囲701と、複数の露光タイミング時間702とが関連付けて記憶されている。又、印刷枚数累積値範囲701が、段階的に増加することに伴い、露光タイミング時間702が段階的に増加するよう構成している。前記転写位置変更手段502は、取得した印刷枚数累積値と、一の印刷枚数累積値範囲の閾値(上限値又は下限値)とを比較することによって、取得した印刷枚数累積値が、タイミングテーブル700の複数の印刷枚数累積値範囲のうち、いずれかに属するかを判定する。判定した結果、前記転写位置変更手段502は、取得した印刷枚数累積値が属する印刷枚数累積値範囲に対応する所定の露光タイミング時間を取得する。本実施形態では、取得した印刷枚数累積値「5000枚」は、図7(A)に示す印刷枚数累積値範囲「3000〜5999枚」703に属するから、当該印刷枚数累積値範囲「3000〜5999枚」703に対応する所定の露光タイミング時間「5msec(m秒)」704を取得する。
所定の露光タイミング時間「5m秒」を取得すると、前記転写位置変更手段502は、基準マーク検出手段からの検出信号の受信まで待機する。
一方、画像形成のため、中間転写ドラム125Aは所定の回転速度で回転している。そこで、IP401から構成される基準マーク検出手段505が、回転している中間転写ドラム125Aの基準マーク4Mを検出すると、検出信号を前記転写位置変更手段502に発信する(図6:S104)。
図8は、基準マーク4Mの検出からトナー像の転写までのタイムチャートと、当該基準マーク4Mが設けられた中間転写ベルト125Aの概略展開図である。図8(A)は、経過時間を横軸として、IPの作動と、露光の作動と、トナー像の転写の作動との関係を縦軸に並列させて示すタイムチャートであり、図8(B)は、図8(A)に示すタイムチャートの経過時間に対応する中間転写ベルト125Aの所定の位置を示す中間転写ベルト125Aの概略展開図である。
図8(A)、図8(B)に示すように、検出信号が発信した時点、つまり、IPの検知信号がOFFからONへ立ち上がる時点801は、中間転写ベルトの基準マークのF方向前端の位置802に対応する。
前記転写位置変更手段502は、前記検出信号を受信すると、当該転写位置変更手段502に予め備えられた所定のタイマによって、当該検出信号の受信時点からの経過時間の計時を開始するとともに、当該計時時間が、先ほど取得した露光タイミング時間(「5msec」)を超過するか否かを判定する(図6:S105)。
前記判定処理が実行されている間に、中間転写ベルト125Aは継続して回転する(図6:S105NO)。具体的には、当該中間転写ベルト125Aは、基準マーク4Mを検出した位置から、前記露光タイミング時間(「5msec」)と当該中間転写ベルト125Aの所定の回転速度(例えば、「30mm/msec」)とを乗算した第一回転距離の位置(「150mm」)まで、F方向前方に回転することになる。
計時時間が露光タイミング時間(「5msec」)を超過すると、前記転写位置変更手段502が、レーザ123から構成される露光手段506に、露光を実行させる。前記露光手段506は、画像データに対応する潜像を感光体ドラム121上に作成するために、露光を開始する(図6:S105YES→S106)。
図8(A)、図8(B)に示すように、露光が開始された時点803は、中間転写ベルト125Aの基準マーク4MのF方向前端の位置から第一回転距離D1(「150mm」)だけF方向後方に移動した位置804に対応する。
前記露光手段506の露光処理によって、感光体ドラム121上に潜像が形成される。感光体ドラム121は中間転写ドラム125Aとの当接位置に向かって回転しているから、当該潜像も当該当接位置に向かって回転する。当該潜像は、途中に備えられた現像器124からのトナー供給を受け、トナー像となる。感光体ドラム121は更に回転し、当該トナー像は、当該感光体ドラム121と中間転写ベルト125Aとの当接位置に移動する。
露光を開始した時点からトナー像が前記当接位置に到達する時点までの間に、中間転写ベルト125Aは、所定の回転速度(「30mm/msec」)で回転することになる。
前記トナー像が前記当接位置に移動すると、感光体ドラム121上のトナー像が中間転写ベルトに転写される(図6:S107)。
図8(A)、図8(B)に示すように、トナー像の転写が開始された時点805は、中間転写ベルト125Aの基準マーク4MのF方向前端の位置から第二の回転距離D2(mm)だけF方向後方に移動した位置806に対応する。この第二の回転距離D2(mm)は、露光開始時点803からトナー像の当接位置到達時点805までの間の時間(msec)と中間転写ベルト125Aの所定の回転速度(「30mm/msec」)とを乗算した距離X(mm)に、第一の回転距離D1(mm)を加算して算出される。
ここで、露光開始時点803からトナー像の当接位置到達時点805までの間の時間(msec)と中間転写ベルト125Aの所定の回転速度(「30mm/msec」)とを乗算した距離X(mm)は、複合機100の構成、つまり、転写回転ベルト125Aの回転速度、感光体ドラム121の直径、感光体ドラム121の回転速度等により、一義的に決定されてしまう距離である。当該距離Xは、一度、複合機100が構成されてしまうと、ほとんど変更することができない。
従来であれば、IP401の検出信号が発信された時点からほぼ即時に露光が開始されていたため、前記距離Xに対応して、中間転写ベルト125Aに転写されるトナー像の転写開始位置806は基準マーク4Mの位置802に対してほぼ同一の位置であった。本発明の実施形態では、露光タイミング時間を変更することにより、トナー像の転写開始位置806は基準マーク4Mの位置802に対して第一の回転距離D1(mm)だけF方向後方に移動させることが可能となる。
このように、IP401の検出信号が発信された時点から、露光タイミング時間の経過を待った後に、露光開始することによって、トナー像の転写開始位置806、つまり、図8(B)に示すトナー像の転写位置8Rを自在に変更することが可能となり、結果として、トナー像の転写により発生する中間転写ベルト125Aの磨耗、破損を中間転写ベルト125A全体に分散させることが可能となるのである。
中間転写ベルト125Aにトナー像が転写されると、中間転写ベルト125Aは更に回転し、当該トナー像は、中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bとの当接位置へ向かって移動する。
一方、所定の給紙トレイから用紙が搬送され、中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bとの間に送り込まれる。前記用紙の搬送のタイミングは、上述した露光タイミング時間(「5msec」)に対応して調整される。
そして、中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bとの当接位置で、送り込まれた用紙に中間転写ベルト125A上のトナー像が転写される(図6:S108)。当該トナー像に転写された用紙は、搬送ベルト126を介して定着装置127へ送り込まれ、所定の定着処理が実行される(図6:S109)。
定着処理により可視像が用紙に定着すると、当該用紙は所定の排紙トレイ130に排紙される。ここで、排紙トレイ130近傍に備えられた枚数カウンタ503は、用紙の排紙を検知して、印刷用紙の枚数を計測することになる。印刷用紙の枚数は、次のジョブの実行の際に、露光タイミング時間の取得(決定)に反映されることは言うまでもない。
これにより、コピーサービスの処理が完了する。
このように、前記基準マーク4Mが検知された検知時点から露光開始時点までの露光タイミング時間を変更することによって、前記トナー像の転写位置を変更する転写位置変更手段502を備える。
これにより、中間転写ベルト125Aにおけるトナー像の転写位置の集中を回避することが可能となる。そのため、トナー像の転写により生じる中間転写ベルト125Aの磨耗、汚損を中間転写ベルト125A全周に分散させ、中間転写ベルト125Aを満遍なく使用することが可能となる。その結果、中間転写ベルト125A自体の耐用年数を飛躍的に延長することが可能となる。又、上述したトナー像の転写位置の変更は、新たに基準マーク4Mを中間転写ベルト125Aに設ける必要がなく、露光開始時点の変更という簡単な方法により達成することが可能となるから、部品点数の増加を抑制し、コスト低下にも効果的である。
又、当該複合機100は、更に、印刷枚数を計測する枚数カウンタ503を備え、前記転写位置変更手段502が、前記枚数カウンタにより計測された印刷枚数の累積値に対応して露光タイミング時間を変更するよう構成することができる。
これにより、印刷枚数の累積値を基準として、中間転写ベルト125Aの磨耗、汚損が蓄積されてきた適切なタイミングでトナー像の転写位置が変更される。そのため、中間転写ベルト125Aの磨耗、汚損の程度が、所定の中間転写ベルトの位置で集中することを回避し、中間転写ベルトの耐用年数を効率よく延長することが可能となる。
尚、本実施形態に係る転写位置変更手段502では、枚数カウンタにより計測された印刷枚数の累積値に対応して、露光タイミング時間を変更するよう構成したが、他の構成でも構わない。
例えば、枚数カウンタに代えて、印刷ドット数を計測するドットカウンタを備え、前記転写位置変更手段502が、前記ドットカウンタにより計測された印刷ドット数の累積値に対応して、露光タイミング時間を変更するよう構成しても構わない。当該構成とすると、印刷ドット数の累積値を基準として、中間転写ベルトの磨耗、汚損が蓄積されてきた適切なタイミングでトナー像の転写位置が変更される。そのため、中間転写ベルトの磨耗、汚損の程度が、所定の中間転写ベルトの位置で集中することを回避し、中間転写ベルトの耐用年数を効率よく延長することが可能となる。
印刷ドット数とは、用紙に現実に印字されたトナー像のドットの個数のことであり、通常、画像データの印字率と、当該画像データの解像度とに基づいて決定される。従って、原稿が毎回異なる印刷の場合、中間転写ベルトの磨耗、汚損は、印刷枚数と比較すると、印刷ドット数に顕著な相関が見られる。よって、印刷枚数に代えて印刷ドット数を採用して露光タイミング時間を変更すると、中間転写ベルト125Aの耐用年数をより長く延長することが可能となる。
前記ドットカウンタは、複合機100から排出された印刷用紙の印刷ドット数を所定のジョブ毎に計測し、所定のメモリに記憶された印刷ドット数に、計測された印刷ドット数を加算した合計値を累積値として更新するよう構成される。
又、印刷ドット数を基準とする場合は、タイミング記憶手段504に記憶されているタイミングテーブルを、印刷ドット数に対応したテーブルに変更すればよい。
印刷ドット数を基準とするタイミングテーブル705は、図7(B)に示すように、所定の印刷ドット数(「30億個」)毎に区画された複数の印刷ドット数累積値範囲706と、複数の露光タイミング時間707とが関連付けて記憶されている。又、印刷ドット数累積値範囲706が、段階的に増加することに伴い、露光タイミング時間707が段階的に増加するよう構成している。前記転写位置変更手段502は、ドットカウンタから取得した印刷ドット数の累積値と、一の印刷ドット数累積値範囲の閾値(上限値又は下限値)とを比較することによって、取得した印刷ドット数の累積値が、タイミングテーブル705の複数の印刷ドット数累積値範囲706のうち、いずれかに属するかを判定する。判定した結果、前記転写位置変更手段502は、取得した印刷ドット数の累積値が属する印刷ドット数累積値範囲706に対応する所定の露光タイミング時間707を取得するよう構成すればよい。例えば、取得した印刷ドット数の累積値が「50億個」であれば、当該「50億個」は、図7(B)に示す印刷ドット数累積値範囲「30〜59億個」708に属するから、当該印刷ドット数累積値範囲「30〜59億個」708に対応する露光タイミング時間「5msec」709を取得することになる。
尚、印刷ドット数は、通常、桁数が大きいため、所定の桁数で四捨五入されるよう設計される。例えば、複合機の解像度が600dpi、平均の印字率が4%である印刷物が100枚印刷された場合、当該印刷物には、1億4000万数の印刷ドット数が付されたことになる。このように、印刷ドット数の桁数は、印刷枚数と比較すると大きいため、所定の統計学的手法により、前記転写位置変更手段502が適切に露光タイミング時間を取得できるよう調整される。
又、本実施形態に係る転写位置変更手段502では、枚数カウンタにより計測された印刷枚数の累積値に対応して、露光タイミング時間を変更するよう構成したが、他の構成でも構わない。
例えば、操作パネル(操作部、受付手段)からユーザの入力により露光タイミング時間をジョブ毎に設定するよう構成してもよいし、乱数を発生する乱数発生手段を設けて、発生した乱数に対応した時間を露光タイミング時間としてジョブ毎に設定するよう構成しても構わない。又、中間転写ベルト125Aをクリーニングした直後のタイミングで、転写位置変更手段502が露光タイミング時間を変更しても構わない。当該構成では、ジョブ毎にトナー像の転写位置が変更されることになる。もちろん、ジョブ毎でなくても、所定の印刷枚数毎等であっても構わないし、枚数カウンタ、ドットカウンタ、乱数発生手段等、上述した手段、態様を併用しても、当然構わない。
又、本実施形態に係る第一の回転距離D1(mm)は、どのように設計変更されても構わないが、中間転写ベルト125AのF方向での全周の長さと、用紙の搬送方向の寸法とに応じて決定され、設定されると好ましい。例えば、中間転写ベルト125AのF方向での全周の長さが370mmであり、用紙のA4サイズの搬送方向の寸法が297mmであると、中間転写ベルト125AにA4サイズに対応するトナー像を転写させると、約70mmだけトナー像が転写されない部分が発生する。そのため、例えば、第一の回転距離D1(mm)を70mmとなるよう設定すると、トナー像が転写されない部分にもトナー像を転写することになるから、結果として、中間転写ベルト125Aを満遍なく利用することが可能となるのである。尚、第一の回転距離D1(mm)は、中間転写ベルト125Aの回転速度と、露光タイミング時間とで容易に設定変更できることは言うまでもない。
又、本発明の実施形態では、モノクロ印刷での実施形態であるが、カラー印刷であっても同一の作用効果を有することは言うまでもない。
又、本実施形態に係る印刷枚数を基準とするタイミングテーブル700では、所定の印刷枚数(「3000枚」)毎に区画された複数の印刷枚数累積値範囲701を採用した。区画間の所定の印刷枚数は、中間転写ベルト125Aの耐用年数に対応する耐用枚数に応じて決定されることが好ましい。中間転写ベルト125Aの材質等に応じてその耐用年数は変動するものの、同一の位置でトナー像が転写された場合の中間転写ベルト125Aの耐用枚数は、15000枚と見積もられている。従って、上述した所定の印刷枚数3000枚を、例えば、15000枚、10000枚、5000枚と決定すると、中間転写ベルト125Aの延命に効果的に貢献することになるため好ましい。
又、本実施形態に係る印刷枚数を基準とするタイミングテーブル700又は印刷ドット数を基準とするタイミングテーブル705では、印刷枚数累積値範囲又は印刷ドット数累積値範囲が、段階的に増加することに伴い、露光タイミング時間が段階的に増加するよう構成しているが、他の構成でも構わない。例えば、印刷枚数累積値範囲又は印刷ドット数累積値範囲が、段階的に増加することに伴い、露光タイミング時間が段階的に減少するよう構成したり、露光タイミング時間が無作為的な値に変動するよう構成しても構わない。更に、タイミングテーブルに代えて、印刷枚数の累積度又は印刷ドット数の累積度の入力に対応して、所定の関係(例えば、線形関係)に従い、露光タイミング時間を出力する所定の関数を採用しても構わない。
又、本発明の実施形態では、中間転写ベルト125Aに一の基準マーク4Mを設けたが、複数設けても構わない。
又、本発明の実施形態では、中間転写ベルトとロータリー現像器を用いる場合を例として説明したが、本発明はこれに限らず、タンデム型の印刷機を含め、およそ中間転写体を利用して複数色の印刷を行うすべての画像形成装置に適用可能であることは言うまでもない。
又、本発明の実施形態では、複合機が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、上記プログラムを複合機に読み出させ、その複合機が上記各手段を実現する。その場合、上記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる記憶方法として提供することも可能である。
又、本発明の実施形態では、コピーサービスとの処理に関して採用したが、例えば、ファクシミリ送受信サービス、プリントサービス等に対しても採用できる。