JP5289398B2 - インダクタンス素子 - Google Patents

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Description

本発明は、電波により信号の伝達を行う各種機器のアンテナ素子等として使用されるインダクタンス素子関する。
近年、アンテナ素子や情報を記憶する回路素子を具備するデータキャリア部品と外部機器との間で、電波により信号の伝達を行うシステムが各種分野で使用されている。データキャリア部品としては、各種の物品管理や物流管理、入退出管理、各種チケット、車載用のキーレスエントリやイモビライザ、携帯電話等の各種携帯機器に利用されているRFタグ(信号周波数:120〜140kHz(代表的には134.2kHz))、ペンタグ(信号周波数:500kHz)、非接触ICカード(信号周波数:13.56MHz帯)等が実用化されている。
また、腕時計型電波時計、据置型電波時計、車載用電波時計等の電波時計においても、電波により外部機器との間で信号の伝達を行うシステムが利用されている。このような電波時計では40〜120kHzの信号搬送周波数が使用されている。例えば、日本や米国では40kHzや60kHzの信号搬送周波数が、また欧州では78kHzの信号搬送周波数が使用されている。電波時計はこのような信号搬送周波数に対応したアンテナ素子を備えている。
データキャリア部品や電波時計等のアンテナ素子には、空心コイルや磁気コアとコイルとを組合せたインダクタンス素子(インダクタ)が用いられている。これらのうち、空心コイルでは数100kHz以下程度の低い周波数領域で使用するのに十分なインダクタンスLとQ値(品質係数Q=ω・L/R(ω:角周波数,L:インダクタンス,R:抵抗))を得ることが難しい。このため、低い周波数領域(長波帯)で使用するアンテナ素子には、磁気コアとコイルとを組合せたインダクタ素子が主として利用されている。
従来、アンテナ素子のコアにはフェライトを用いることが一般的であったが、フェライトは脆いために僅かに変形しただけでも割れ等が生じると共に、磁気特性的にも透磁率が低い等の難点を有している。このため、フェライトコアでは薄型化や小型化等が求められているアンテナ素子に対応することができない。特に、携帯型の機器では耐衝撃性が求められることから、割れ等が生じやすいフェライトでは十分な小型化を達成することができない。さらに、フェライトはキュリー温度が200℃程度と低いことから、安定した温度特性が得られないという難点も有している。
このような点に対して、例えば特許文献1〜3にはアンテナ用の磁気コアにアモルファス磁性合金薄帯やナノ結晶磁性合金薄帯の積層物を使用することが記載されている。しかしながら、従来の磁性合金薄帯の積層物(コア)の周囲に巻線(コイル)を施して構成したアンテナ素子では、データキャリア部品や電波時計等に求められている小型・高性能化に対して必ずしも十分な特性が得られていないのが現状である。
例えば、アンテナ素子を携帯型の機器等に適用する場合、限られたスペース内に配置することが重要であり、そのためには曲げた状態で配置することも必要となる。しかし、例えば特許文献2〜3では磁性薄帯間を絶縁性樹脂で接着しているため、磁気コアの剛性が高くて容易に曲げることができない。また、磁気コアを曲げることができたとしても、曲げた際の大きな応力で磁性合金薄帯の特性が劣化してしまう。直方体形状の磁気コアでは実装形態が制限されるため、曲げた場合においても特性低下が少ない磁気コア、並びにそのような磁気コアを用いたアンテナ素子(インダクタ)が求められている。
また、アンテナ素子の本質的な小型・高性能化を実現するためには、インダクタンスLやQ値等の磁気特性自体をより一層高めることが重要である。ここで、アンテナ素子の特性は磁性合金薄帯の特性のみならず、その形状や寸法、製造時の処理条件等にも影響される。しかし、従来の磁性合金薄帯の積層物(コア)を用いたアンテナ素子では、小型化や短尺化した際の特性に影響を及ぼす因子が十分に検討されていない。このため、データキャリア部品や電波時計等に求められている小型・高性能化に対応できるほどの特性(例えばインダクタンスLやQ値)を得るまでには至っていない。
特許文献3には、磁性合金薄帯の幅方向に誘導磁気異方性を付与することが記載されている。磁気異方性を薄帯幅方向に付与した磁性合金薄帯は、一般的に比較的高い周波数領域で使用するアンテナ素子に求められる特性(例えば良好なQ値)を有するものの、使用する周波数領域によっては特性が低下する場合もある。さらに、特許文献3には所望形状に加工した磁性合金薄帯を積層した後、薄帯幅方向に磁界を印加しながら熱処理(磁場中熱処理)することによって、誘導磁気異方性を磁性合金薄帯の幅方向に付与している。しかし、アンテナ素子の小型化を実現する上で、磁性合金薄帯の幅を狭小化した場合には反磁界の影響が無視できなくなり、アンテナ素子の特性低下を招くおそれがある。
特開平5−267922号公報 特開平7−221533号公報 特開平7−278763号公報
本発明の目的は、例えばデータキャリア部品や電波時計等の薄型化、小型化、短尺化等に対応させることが可能なインダクタンス素子提供することにある。
本発明インダクタンス素子は、信号搬送周波数が40〜120kHzの範囲の信号を受信するアンテナ素子として用いられるインダクタンス素子であって、複数のCo基アモルファス磁性合金薄帯を積層した積層物を備えるコアと、前記コアの周囲に配置されたコイルとを具備し、前記Co基アモルファス磁性合金薄帯はその長手方向に対する磁区幅mが0.106mm以下とされていることを特徴としている。
本発明の第1の実施形態によるインダクタの概略構成を示す斜視図である。 図1に示すインダクタのコア部分を示す横断面図である。 図1に示すインダクタの縦断面図である。 図1に示すインダクタの変形例を示す横断面図である。 本発明の第2の実施形態によるインダクタの概略構成を示す縦断面図である。 図5に示すインダクタのコア部分の一例を示す横断面図である。 図5に示すインダクタのコア部分の他の例を示す横断面図である。 図5に示すインダクタのコア部分の要部を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態によるインダクタの概略構成を示す斜視図である。 本発明の第4の実施形態によるインダクタに用いた磁性合金薄帯を示す平面図である。 本発明の第5の実施形態によるインダクタの概略構成を示す斜視図である。 本発明の第5の実施形態による他のインダクタの概略構成を示す斜視図である。 第5の実施形態によるインダクタの変形例を示す断面図である。 本発明のインダクタの製造方法の一実施形態を示す図である。 本発明のインダクタの製造方法の他の実施形態を示す図である。 本発明の実施形態によるインダクタをアンテナ素子として用いた腕時計型電波時計の一構成例を示す図である。 本発明の実施例6による磁性合金薄帯の表面粗さとインダクタンスおよびQ値との関係を示す図である。 本発明の実施例7による磁性合金薄帯の占積率と曲げた状態でのインダクタンス値およびQ値との関係を示す図である。 本発明の実施例7による磁性合金薄帯の占積率とL/L0比およびQ/Q0比との関係を示す図である。 本発明の実施例8によるコイル長さを一定とした場合のコア長さとインダクタンスとの関係を示す図である。 本発明の実施例8によるコイル長さおよびコア長さとインダクタンスとの関係を示す図である。 本発明の実施例9による幅が異なるアモルファス磁性合金薄帯を用いた場合のコア長さとインダクタンスとの関係を示す図である。 図22のインダクタンスを相対値で示した図である。 本発明の実施例10によるアモルファス磁性合金薄帯間を層間絶縁した場合と層間絶縁していない場合の誘導起電力を比較して示す図である。 本発明の実施例11による幅広薄帯に磁場中熱処理を施した後に切断した場合と切断した後に磁場中熱処理した場合の誘導起電力を比較して示す図である。 図25の誘導起電力を相対値で示した図である。 本発明の実施例12によるインダクタのインダクタンスと周波数との関係を示す図である。 本発明の実施例13によるインダクタのインダクタンスと周波数との関係を示す図である。 本発明の実施例14による薄帯長手方向に磁気異方性を付与した場合と薄帯幅方向に磁気異方性を付与した場合と磁気異方性を付与していない場合のインダクタンスと周波数との関係を示す図である。 本発明の実施例21におけるアモルファス磁性合金薄帯に付与した誘導磁気異方性の方向(薄帯長手方向に対する角度)とQ値との関係を示す図である。 本発明の実施例21におけるアモルファス磁性合金薄帯に付与した誘導磁気異方性の方向(薄帯長手方向に対する角度)とQ値との関係を示す図である。 本発明の実施例22におけるアモルファス磁性合金薄帯の磁区幅とQ値との関係を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。まず、図1ないし図3を参照して、本発明の第1の実施形態によるインダクタンス素子(インダクタ)について述べる。図1、図2および図3は第1の実施形態によるインダクタの概略構成を示す図であり、図1はその斜視図、図2は図1のコア部分をA−A線に沿って切断した横断面図、図3は図1に示すインダクタのB−B線に沿った縦断面図である。
これらの図に示すインダクタ1は、長尺形状のコア(磁心)2と、このコア2の周囲にコイル導体3を配置して構成したコイル(ソレノイドコイル)4とを具備している。なお、コイル導体3には樹脂被覆された銅線等が用いられるが、これに限られるものではない。コア2は複数の磁性合金薄帯5、5…を非接着状態で積層した積層物6を有している。ここで、非接着状態とは力が加わった際に、個々の磁性合金薄帯5が力に応じた変形並びに滑りを起し、相対位置の変化が可能な状態を示すものである。
従来の接着剤の塗布や樹脂含浸等の方法で積層した場合、磁性合金薄帯は相互に固定されているため、個々の変形や滑りは接着剤や樹脂の変形に制限される。なお、図1〜図3に示した積層物6は個々に独立した磁性合金薄帯5を重ね、その周囲を絶縁被覆層7で覆った状態を示している。磁性合金薄帯5の積層物6は、中空形状の絶縁被覆層7の内部に挿入する等してもよい。また、図1〜図3は磁性合金薄帯5が整列した状態の積層物6を示しているが、磁性合金薄帯5はランダムに挿入された状態であってよい。
コア2を構成する磁性合金薄帯5には、例えばアモルファス磁性合金薄帯や微結晶磁性合金薄帯が用いられる。アモルファス磁性合金薄帯としては、例えば
一般式:(T1-aa100-bb …(1)
(式中、TはCoおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素を、MはNi、Mn、Cr、Ti、Zr、Hf、Mo、V、Nb、W、Ta、Cu、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、ReおよびSnから選ばれる少なくとも1種の元素を、XはB、Si、CおよびPから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aおよびbは0≦a≦0.3、10≦b≦35at%を満足する数である)
で実質的に表される組成を有するものが挙げられる。
上記した(1)式において、T元素は磁束密度、磁歪値、鉄損等の要求される磁気特性に応じて組成比率を調整するものとする。M元素は熱安定性、耐食性、結晶化温度の制御等のために添加される元素である。M元素の添加量はaの値として0.3以下とすることが好ましい。M元素の添加量があまり多すぎると相対的にT元素量が減少するため、アモルファス磁性合金薄帯の磁気特性が低下する。M元素の添加量を示すaの値は実用的には0.01以上とすることが好ましい。aの値は0.15以下とすることがより好ましい。
X元素はアモルファス合金を得るのに必須の元素である。特に、Bは磁性合金のアモルファス化に有効な元素である。Siはアモルファス相の形成を助成したり、また結晶化温度の上昇に有効な元素である。X元素の含有量があまり多すぎると透磁率の低下や脆さが生じ、逆に少なすぎるとアモルファス化が困難になる。このようなことから、X元素の含有量は10〜35at%の範囲とすることが好ましい。X元素の含有量は15〜25at%の範囲とすることがさらに好ましい。
微結晶磁性合金薄帯としては、
一般式:Fe100-c-d-e-f-g-hcdeSifgh …(2)
(式中、AはCuおよびAuから選ばれる少なくとも1種の元素を、DはTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Ni、Coおよび希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を、EはMn、Al、Ga、Ge、In、Snおよび白金族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を、ZはC、NおよびPから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、c、d、e、f、gおよびhは0.01≦c≦8at%、0.01≦d≦10at%、0≦e≦10at%、10≦f≦25at%、3≦g≦12at%、15≦f+g+h≦35at%を満足する数である)
で実質的に表される組成を有するFe基合金からなり、かつ面積比で組織の20%以上が粒径50nm以下の微結晶粒からなるものが挙げられる。
上記した(2)式において、A元素は耐食性を高め、結晶粒の粗大化を防ぐと共に、鉄損や透磁率等の磁気特性を改善する元素である。A元素の含有量があまり少ないと結晶粒の粗大化抑制効果等を十分に得ることができず、逆にあまり多すぎると磁気特性が劣化する。従って、A元素の含有量は0.01〜8at%の範囲とすることが好ましい。D元素は結晶粒径の均一化や磁歪の低減等に有効な元素である。D元素の含有量は0.01〜10at%の範囲とすることが好ましい。
E元素は軟磁気特性や耐食性の改善に有効な元素である。E元素の含有量は10at%以下とすることが好ましい。SiおよびBは薄帯製造時における合金のアモルファス化を助成する元素である。Siの含有量は10〜25at%の範囲、Bの含有量は3〜12at%の範囲とすることが好ましい。なお、SiおよびB以外のアモルファス化助成元素としてZ元素を含んでいてもよい。その場合、Si、BおよびZ元素の合計含有量は15〜35at%の範囲とすることが好ましい。微結晶構造は、特に粒径が5〜30nmの結晶粒を合金中に面積比で50〜90%の範囲で存在させた形態とすることが好ましい。
磁性合金薄帯5として用いるアモルファス磁性合金薄帯は、例えば液体急冷法(溶湯急冷法)により作製される。具体的には、所定の組成比に調整した合金素材を溶融状態から急冷することにより作製される。微結晶磁性合金薄帯は、例えば液体急冷法によりアモルファス合金薄帯を作製した後、その結晶化温度に対して−50〜+120℃の範囲の温度で1分〜5時間の熱処埋を行い、微結晶粒を析出させる方法により得ることができる。あるいは、液体急冷法の急冷速度を制御して微結晶粒を直接析出させる方法によっても、微結晶磁性合金薄帯を得ることができる。
このような磁性合金薄帯5は、曲げた際の薄帯間の滑り性等を考慮して、表面粗さRfが0.08〜0.45の範囲の表面粗さを有することが好ましい。ここで、表面粗さRfはJIS−B−0601に規定される基準長さ2.5mmにおける10点平均粗さRzを、磁性合金薄帯5の質量より求めた平均板厚Tで割った値である。すなわち、表面粗さRfは[Rf=Rz/T]の式で求められる値であり、表面粗さを特徴付けるパラメ−タである。
磁性合金薄帯5の表面粗さRfが大きいと、曲げた際に薄帯間の滑りが悪くなることで応力が大きくなり、これによって磁性合金薄帯5の磁気特性が低下する。また、表面の平滑度が高すぎする(表面粗さRfが小さすぎる)と密着して滑りにくくなり、この場合にも応力が大きくなって磁性合金薄帯5の磁気特性が低下する。従って、表面粗さRfは0.08〜0.45の範囲とすることが好ましい。磁性合金薄帯5の表面粗さRfは0.1〜0.35の範囲であることがより好ましい。
アモルファス磁性合金薄帯や微結晶磁性合金薄帯からなる磁性合金薄帯5の厚さは5〜50μmの範囲とすることが好ましい。磁性合金薄帯5の厚さが50μmを超えると透磁率が低くなり、インダクタ1としての特性が低下するおそれがある。一方、磁性合金薄帯5の板厚を5μm未満としても、それ以上の効果が得られないばかりか、逆に製造コストの増加等を招くことになる。磁性合金薄帯5の厚さは5〜35μmの範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは10〜25μmの範囲である。
磁性合金薄帯5の形状は、インダクタ1の用途や形状、また要求される特性等に応じて適宜に設定するものとする。磁性合金薄帯5の曲げやすさ等を考慮した場合には、その厚さtに対する幅wの比(w/t)が10以上、厚さtに対する長さlの比(l/t)が100以上の形状を有することが好ましい。また、磁性合金薄帯5は後述するように磁気異方性が付与されていることが好ましい。磁気異方性の付与方向は後に詳述するように、磁性合金薄帯5の幅方向、幅方向から所定の角度を付けた方向、また使用周波数によっては薄帯長手方向であってもよい。
アモルファス磁性合金薄帯や微結晶磁性合金薄帯においては、その合金組成を適切化すると共に適当な熱処理を施すことによって、磁歪値を低減することができる。磁性合金薄帯5の具体的な磁歪値はその絶対値として25×10-6以下とすることが好ましい。磁性合金薄帯5の磁歪は以下に示すストレンゲージ法により測定する。すなわち、例えばゲージ線(Ni57Mn24Cr16.5Mo2.5組成)を有するストレンゲージを、磁性合金薄帯の表面をアセトン等の溶剤で清浄にした後に、例えばニトロセルローズ系、ポリエステル系、フェノール樹脂、アラルダイト、ポリエステル系等の接着剤を用いて貼り付ける。ホイートストーンブリッジ回路にて、磁性合金薄帯の外部磁界印加方向の長さをGとしたとき、その方向に磁気飽和させたときに得られる伸び△Gから、△G/Gとして得られるλs(=△G/G)を飽和磁歪と呼ぶ。
磁性合金薄帯5の磁歪値とインダクタンス特性との関係の一例を表1に示す。ここでは、幅2mm、長さ30mmのアモルファス磁性合金薄帯(合金組成:(Fe1-xCo78(Si81422)を20枚積層し、この積層物を熱収縮チューブで固定したコアに、内径3mm、巻き数100ターンの巻線を施してインダクタを作製した。このインダクタを5mm曲げたときのインダクタンス特性の変化を調べた。曲げの値(5mm)は、コアを円弧状に変形させたとき、その両端を結んだ直線とコア中央部との直線距離を示す。表1のL特性の判定結果は、コアが直線状態のときの100kHzにおけるL値を基準とし、曲げた状態で測定したL値の変化が10%以内のときを◎、30%以内のときを○、30%を超えたときを×として示した。
Figure 0005289398
表1の判定結果から、磁性合金薄帯2の磁歪値(λs)はその絶対値が25×10-6以下であることが好ましいことが分かる。さらに安定した特性を得るためには、磁性合金薄帯2の磁歪値(λs)はその絶対値が10×10-6以下であることが望ましい。また、積層物6を構成する磁性合金薄帯2は磁歪値(λs)が同一のものに限られるものではない。例えば、磁歪が正の磁性合金薄帯と磁歪が負の磁性合金薄帯とを交互に積層し、積層物6を構成するようにしてもよい。
さらに、インダクタンスの温度勾配が正の磁性合金薄帯と負の磁性合金薄帯とを交互に積層することも有効である。このようなインダクタによれば、温度変化に対する共振周波数のずれを抑制することができる。具体的には、実用的な−20〜60℃の環境下でのインダクタンスの変化率を±1%以下、さらには±0.1%以下とすることが可能となる。例えば、インダクタ1を長波帯受信アンテナとして用いる場合には、40kHzにおけるインダクタンスの温度勾配が正・負となるように設定することが好ましい。
インダクタ1の共振周波数のずれは信号の受信の可否に大きく影響する。従って、インダクタ1の共振周波数のずれを抑制することによって、例えば環境温度変化によるアンテナ素子の受信感度の低下等を防ぐことが可能となる。また、共振周波数は基本的には1/(LC)1/2に比例するため、温度変化率が正負逆のインダクタとコンデンサとを組合せて使用することも有効である。インダクタの温度変化率は一般的に正であるため、温度変化率が負のコンデンサと組合せて使用することが有効である。
磁性合金薄帯5は、図示を省略した層間絶縁層を介して非接着状態で積層されている。層間絶縁層には磁性合金薄帯5の表面酸化膜、絶縁性酸化物の被膜や粉体付着層、絶縁性樹脂被膜等、各種公知の絶縁物を使用することができる。ただし、磁性合金薄帯5の層間を接着して固定しないように、接着性を有しない絶縁物を使用する。複数の磁性合金薄帯5を非接着状態で積層した積層物6は、その積層状態が維持されるように、柔軟性を有する絶縁物からなる絶縁被覆層7で覆われている。絶縁被覆層7は積層物6の外周面の少なくとも一部を非接着状態で覆うように配置される。積層物6と絶縁被覆層7とが接着されていると、積層物6を曲げた際に磁性合金薄帯5の変形や滑りが拘束されるためである。
絶縁被覆層7の構成材料には、柔軟性を有する絶縁物が用いられる。ただし、単に伸びが大きいだけではコイル導体3を巻回する際の擦れや圧力等によって破損してしまうおそれがある。絶縁被覆層7が破損すると、磁性合金薄帯5間がショートしてインダクタ1の特性が低下する。このため、絶縁被覆層7には柔軟性と共に巻線加工に耐え得る硬さや耐磨耗性等を有する絶縁性材料を使用することが好ましい。このような絶縁性材料としては、シリコーンゴム系、フッ素ゴム系、ブタジエンゴム系等の絶縁性ゴム材料や、シリコーン系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フッ素樹脂系、ポリアセタール樹脂系等の絶縁性樹脂材料等が例示される。
特に、柔軟に変形させるためには、絶縁被覆層7は10%以上の伸び率を有することが好ましい。さらに、巻線加工に耐えるような硬さとして、ショア硬度が20以上の材料を使用することが好ましい。絶縁被覆層7の厚さはそれ自体の破損強度等を損なわない範囲で薄くすることが好ましい。絶縁被覆層7を厚くすれば破損を防ぐことができるものの、それ自体の伸びや磁性合金薄帯5の変形、滑り等を拘束するおそれが大きくなる。上記したような絶縁性材料からなる絶縁被覆層7の厚さは1mm以下とすることが好ましい。
磁性合金薄帯5の積層物6の外周面を非接着の絶縁被覆層7で覆った状態は、例えば絶縁性ゴムや絶縁性樹脂からなるチューブ内に磁性合金薄帯5の積層物6を挿入することで得ることができる。また、絶縁性ゴムや絶縁性樹脂からなるシートで磁性合金薄帯5の積層物6を包み、シートの端部間のみを接着するようにしてもよい。絶縁性ゴムや絶縁性樹脂からなるチューブは、小型化された積層物6の絶縁被覆層7として有効である。なお、絶縁被覆層7は積層物6のコイル導体3を巻回する部分を少なくとも覆っていればよい。
磁性合金薄帯5の積層状態を維持して取扱い性の低下等を防ぐためには、積層物6の周面全体を絶縁被覆層7で覆うことが好ましい。さらに、非接着状態の積層物6を所定形状に変形させた後に、接着剤や樹脂含浸等により一部を固定したり、また絶縁性のホルダに入れる、あるいは層間の絶縁物を固化する等によって、湾曲形状のコアを得ることも可能である。また、組立て性の向上や形状の安定化のために、積層物6の一部を接着性樹脂やバンド等で固定する等の方法を用いた場合であっても、磁性合金薄帯5の大半がフリーであれば本発明の効果を得ることができる。
絶縁被覆層7の内部空間は、インダクタンスL等の特性を高める上では積層物6で満たされている方がよい。ただし、絶縁被覆層7の内部空間に対する積層物6の占積率があまり大きすぎるとコア2の曲げ性等が低下するため、絶縁被覆層7内には磁性合金薄帯5の積層物6が自由に変形できる空間を残しておくことが好ましい。具体的には、絶縁被覆層7の内部空間(例えばチューブの内容積)に対する積層物6の占積率は90%以下とすることが好ましく、さらには80%以下とすることが望ましい。
積層物6の占積率があまり小さすぎるとインダクタ1の特性が低下するため、積層物6の占積率は30%以上とすることが好ましい。積層物6の占積率を低下させる方法として、例えば幅が異なる磁性合金薄帯5を積層して積層物6を構成することも有効である。なお、ここで言う占積率とは、絶縁被覆層7の内部空間に積層物6を最密充填した断面占積率を100とした場合の相対値を示すものとする。
このように、コア2を構成する磁性合金薄帯5の積層物6は、フリーな状態で絶縁被覆層7内に配置されており、さらに絶縁被覆層7自体も柔軟性を有するため、コア2を容易に曲げる(例えば湾曲させる)ことができる。その上で、曲げた状態で磁性合金薄帯5に不要な歪や応力が生じることを防ぐことができる。これによって、インダクタ1を限られたスペース内に配置する場合においても、インダクタ1本来の特性(インダクタンスLやQ値等)の低下を抑制することが可能となる。すなわち、インダクタ1を搭載する各種機器の小型・高性能化等に対応することができる。
図1ないし図3に示したインダクタ1は、複数の磁性合金薄帯5を非接着状態で積層した積層物6を有している。これに対して、図4に示すインダクタ1は複数の磁性合金薄帯5を、柔軟性を有する絶縁性接着剤層8を介して積層した積層物6を有している。図4はインダクタ1の一変形例を示す横断面図である。このような柔軟な絶縁性接着剤層8を有する積層物6であっても、コア2の曲げ性を高めることができ、曲げた状態での磁性合金薄帯5の歪や応力の発生を抑制することが可能となる。
このように、磁性合金薄帯5間の層間絶縁に柔軟な絶縁性接着剤層8を適用したインダクタ1によっても、曲げた状態で配置する場合の特性低下を抑制することができる。これによって、インダクタ1を搭載する各種機器の小型・高性能化等に対応することが可能となる。なお、図4に示すインダクタ1は、複数の磁性合金薄帯5を柔軟な絶縁性接着剤層8を介して積層した積層物6を用いる以外は図1ないし図3に示したインダクタ1と同様な構成を有している。特に、絶縁被覆層7の内部空間に対する積層物6の占積率は30%以上90%以下とすることが好ましい。
図4に示したインダクタ1において、柔軟性を有する絶縁性接着剤層8には接着強度よりも、優れた変形性と高い電気絶縁性を有することが重要である。接着剤層8の電気絶縁性が低いと、磁性合金薄帯5同士が接触して渦電流が増加するおそれがある。絶縁性接着剤層8には、例えばクロロプレンゴム系、二トリルゴム系、ポリサルファイド系、ブタジエンゴム系、SBR系、シリコーンゴム系等のエラストマー系接着剤、酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルアセタール系、塩化ビニル系、ポリスチレン系、ポリイミド系等の熱可塑性樹脂を中心とする樹脂系接着剤、これらを混合した接着剤等を使用することが好ましい。
柔軟性を有する絶縁性接着剤層8の厚さは、それ自体の伸びや磁性合金薄帯5の変形等を妨げないように0.1mm以下とすることが好ましい。さらに、積層物6を柔軟に変形させるためには、10%以上の伸び率を有する絶縁性接着剤を使用することが好ましい。また、磁性合金薄帯5間の絶縁性を良好に確保するためには、500V/mm以上の絶縁耐圧を有する絶縁性接着剤を使用することが好ましい。
また、磁性合金薄帯5の層間絶縁層には、冷間で成形が可能な材料を適用することも有効である。冷間成形が可能な層間絶縁層とは、200℃以下の温度で成形が可能な材料を指すものとする。このような層間絶縁層としては、例えば油性顔料や低温で処理した樹脂材料が挙げられる。低温で処理した樹脂材料は、完全に硬化させていない樹脂であってもよい。冷間成形が可能な層間絶縁層によれば、磁性合金薄帯5間の付着性が低減されるため、積層物6に生じる応力を低下させることができる。
このような層間絶縁層を適用する場合には、Co基アモルファス磁性合金からなる磁性合金薄帯5を用いて積層物6を形成することが好ましい。Co基アモルファス磁性合金薄帯は透磁率が高く、インダクタ1の巻数の低減やコイル抵抗値の減少を図ることができる。Co基アモルファス磁性合金薄帯は、特に40kHzにおけるQ値が高く、アンテナ素子の受信感度を高めることができる。
上述した実施形態のインダクタ1は、例えばアンテナ素子や方位センサのような磁気センサ等として使用される。特に、インダクタ1は信号搬送周波数が120〜140kHzのRFタグや信号搬送周波数が500kHz程度のペンタグ等のデータキャリア部品、また信号搬送周波数が40〜120kHzの電波時計のアンテナ素子に好適である。インダクタ1を信号搬送周波数が500kHz以下のデータキャリア部品や電波時計のアンテナ素子に適用することによって、データキャリア部品や電波時計の小型・高性能化等を図ることができる。
このように、インダクタ1はそれを搭載する機器の小型化や薄型化等に有効である。従って、携帯型の機器に好適に使用される。データキャリア部品は、例えばアンテナ素子としてのインダクタ1と、情報を記憶する素子やその他の回路等を含む回路部品(例えばICチップ)とを具備する。このようなデータキャリア部品と外部機器(リーダライタ等)との間で、電波により信号の伝達等が行われる。また、電波時計はアンテナ素子としてインダクタ1を具備する。
次に、本発明の第2の実施形態によるインダクタンス素子(インダクタ)について、図5ないし図8を参照して説明する。図5は本発明の第2の実施形態によるインダクタの概略構成を示す縦断面図である。同図に示すインダクタ11は、前述した第1の実施形態と同様に、長尺形状のコア(磁心)12と、このコア12の周囲にコイル導体を所定のターン数で巻回して構成したコイル(ソレノイドコイル)13とを具備している。コア12は、複数の磁性合金薄帯14を層間絶縁層15を介して積層した積層物16と、この積層物16の外周面を覆う等して固定もしくは保持する絶縁被覆層17とを有している。
磁性合金薄帯14間に配置されている層間絶縁層15には、絶縁性樹脂被膜、磁性合金薄帯14の表面酸化膜、絶縁性酸化物の被膜や粉体付着層等、各種公知の絶縁物を使用することができる。また、層間絶縁層15は前述した第1の実施形態と同様に、磁性合金薄帯14間の非接着状態を維持するものであってもよいし、また磁性合金薄帯14間の接着層を兼ねるものであってもよい。なお、磁性合金薄帯14は前述した第1の実施形態と同様な構成、例えば合金組成、磁歪値、厚さ、形状等を有していることが好ましい。また、絶縁被覆層17は前述した第1の実施形態と同様に絶縁性樹脂チューブで構成してもよいし、一般的な樹脂含浸等を適用してもよい。
図5に示すインダクタにおいて、コイル13の長手方向(コイル導体を巻回して構成したソレノイドコイルの軸方向)の長さをa[mm]、コア12のコイル長手方向に対応する方向の長さ(磁性合金薄帯14の長手方向の長さ)をb[mm]としたとき、コイル長さaはコア長さbに対してa≦b−2[mm]の関係を満足している。このようなコイル長さaとコア長さbとの関係を満足させることによって、インダクタンスLを向上させることができる。すなわち、a≦b−2[mm]の関係を満足する場合には、磁性合金薄帯14の長手方向に通る磁束が有効にコイル13を鎖交するため、インダクタンスLが向上する。
例えば、コイル長さaとコア長さbとが同程度である場合には、インダクタンスLに対して有効に働かない磁束、すなわちコイル13の脇から漏れる磁束が多くなるため、インダクタンスLが低下する。これに対して、コア長さbをコイル長さaより両端部でそれぞれ1mm以上長くする(a+2≦b)ことによって、コア長さbに応じて十分なインダクタンスLを得ることができる。言い換えると、インダクタンスLのコイル長さaに対する依存性が低減され、良好なインダクタンスLを安定して得ることが可能となる。
具体的には、a≦b−2[mm]の関係を満足させることによって、コア長さbで得られる最大インダクタンスに対して実用的なインダクタンス(例えば60%以上のインダクタンス)を確保することができる。言い換えると、コイル長さaがコア長さbに対してa>b−2[mm]となると、インダクタンスが急激に減少する。コイル長さaとコア長さbとの関係は、さらにa≦b−4[mm]を満足させることがより好ましく、これによってインダクタンスをさらに安定して向上させることが可能となる。
コイル長さaはコア長さbに対して長くするほどインダクタンスが向上するが、あまりコア長さbを長くしすぎてもそれ以上の効果を得ることができないと共に、インダクタ1の小型化が阻害されるおそれがある。実用的にはコア長さbはコイル長さaに対してb≦a+30[mm]の関係を満足させることが好ましい。同様に、コイル長さaを短くするほどインダクタンスが向上するが、あまりコイル長さaを短くしすぎると必要なターン数を得ることが困難になる。実用的にはコイル長さaは1mm以上とすることが好ましい。
なお、上記したコイル長さaとコア長さbとの関係は、前述した第1の実施形態のインダクタ1に対しても有効に作用する。従って、第1の実施形態のインダクタ1においても、コア2とコイル4が同様な関係を有していることが好ましい。
第2の実施形態のインダクタ11におけるコア12の形状について詳述する。例えば図6に示すように、絶縁チューブ(熱収縮チューブ等を含む)や樹脂含浸等を適用した場合には、磁性合金薄帯14の積層物16の外周面全面が絶縁被覆層17で覆われる。また、コア12の製造工程によっては、図7に示すように、磁性合金薄帯14の積層物16の側面が露出されることがある。積層物16を構成する磁性合金薄帯14の端部が層間絶縁層15で覆われていない場合には、図8に示すように、磁性合金薄帯14の幅方向の端部14aを層間絶縁層15の端部15aより内側に位置させることが好ましい。
上述したような構成を適用することによって、磁性合金薄帯14の積層物16の周囲にコイル導体を巻回した際に、磁性合金薄帯14の端部14a間におけるショートを抑制することができる。これによって、特性に優れるインダクタ11を安定して得ることが可能となる。層間絶縁層15の端部15aから磁性合金薄帯14の幅方向端部14aまでの距離d、言い換えると磁性合金薄帯14の幅方向端部14aが層間絶縁層15の端部15aから後退した距離dは0.001mm以上とすることが好ましい。
距離dの設定値が0.001mmを超えると、僅かな不具合で磁性合金薄帯14の端部14a間にショートが生じやすくなる。距離dは0.01mm以上とすることがより好ましい。ただし、距離dが大きすぎると磁性合金薄帯14の体積が減少して磁気特性が低下するため、距離dは0.4mm以下とすることが好ましく、さらには0.1mm以下とすることがより好ましい。なお、磁性合金薄帯14の幅方向端部14aを層間絶縁層15の端部15aより内側に後退させた構成は、例えば後述する製造工程に示すように、磁性合金薄帯14もしくはその積層物16に対してライトエッチングを施すことにより得ることができる。
次に、本発明の第3の実施形態よるインダクタンス素子について、図9を参照して説明する。図9に示すインダクタ21は、前述した第1および第2の実施形態と同様に、長尺形状のコア(磁心)22と、このコア22の周囲にコイル導体23を所定のターン数で巻回して構成したコイル(ソレノイドコイル)24とを具備している。コア22は、複数の磁性合金薄帯25を図示しない層間絶縁層を介して積層した積層物26と、この積層物26の外周面を覆う等して固定もしくは保持する絶縁被覆層27とを有している。
第3の実施形態のインダクタ21においては、図中に矢印Xで示すように、コア22を構成する磁性合金薄帯25の長手方向に磁気異方性が付与されている。なお、その他の構成については第1または第2の実施形態と同様とすることが好ましい。このようなインダクタ21は200kHz以下の周波数領域で使用されるものである。長手方向に磁気異方性が付与された磁性合金薄帯25を用いたインダクタ21は、200kHzを超える周波数領域ではインダクタンス特性に劣るものの、周波数領域を下げることでインダクタンスLが高くなり、100kHz以下の周波数領域で実用可能なインダクタンスLを得ることができる。
次に、本発明の第4の実施形態よるインダクタンス素子について説明する。この実施形態のインダクタは、前述した実施形態と同様に、長尺形状のコア(磁心)と、このコアの周囲にコイル導体を所定のターン数で巻回して構成したコイル(ソレノイドコイル)とを具備している。コアは、複数の磁性合金薄帯を層間絶縁層を介して積層した積層物と、この積層物の外周面を覆う等して固定もしくは保持する絶縁被覆層とを有している。この実施形態のインダクタにおいては、図10に示すように、磁性合金薄帯31の幅方向に対して斜め方向に磁気異方性が付与されている。なお、その他の構成については第1または第2の実施形態と同様とすることが好ましい。
磁性合金薄帯31の磁気異方性の付与方向(図中矢印Yで示す)は、磁性合金薄帯31の長手方向に対する角度θが70〜85°の範囲とされている。磁性合金薄帯31の長手方向とは、巻線周回面の法線方向を示すものである。磁気異方性は磁性合金薄帯31に磁場中熱処理を施す際の磁界方向により制御される。このように、幅方向に対して斜め方向に磁気異方性を付与した磁性合金薄帯31を用いることによって、インダクタのQ値を高めることができる。従って、インダクタをアンテナ素子として用いた場合に、信号の受信感度を向上させることが可能となる。
さらに、インダクタのQ値は磁性合金薄帯31の磁区幅にも影響される。すなわち、磁性合金薄帯31の面内幅方向に誘導磁気異方性の付与した場合、薄帯長手方向(巻線周回面の法線方向)に対する磁区幅を狭くすることによって、インダクタのQ値を高めることができる。薄帯長手方向に対する磁区幅mは、具体的には0.106mm以下とすることが好ましい。ここで、磁区幅mは磁化容易軸方向と垂直な方向のうち、巻線周回面の法線方向の単位長さあたりに配置された磁区数の逆数を示すものである。
このような条件(m≦0.106mm)を満足させることによって、インダクタのQ値を高めることができる。従って、そのようなインダクタをアンテナ素子として用いた場合に、信号の受信感度等を高めることが可能となる。また、磁区幅mは薄帯形状による反磁界のために寸法により効果が異なる。従って、磁性合金薄帯31の厚さtが幅wに対して十分に小さい場合には、m≦0.106×(w/0.8)[mm]の条件を満足させることが好ましい。
上述した第2ないし第4の実施形態のインダクタも、第1の実施形態と同様に、アンテナ素子や方位センサのような磁気センサ等として使用される。第2および第4の実施形態によるインダクタは、信号搬送周波数が120〜140kHzのRFタグや信号搬送周波数が500kHz程度のペンタグ等のデータキャリア部品、また信号搬送周波数が40〜120kHzの電波時計のアンテナ素子として好適である。第3の実施形態によるインダクタは、信号搬送周波数が120〜140kHzのRFタグや信号搬送周波数が40〜120kHzの電波時計のアンテナ素子に好適である。これらインダクタをデータキャリア部品や電波時計のアンテナ素子に適用することによって、それら機器の小型化や高性能化等を実現することができる。インダクタは携帯型の機器に好適に使用されるものである。
次に、本発明の第5の実施形態よるインダクタンス素子について、図11ないし図13を参照して説明する。図11は本発明の第5の実施形態によるインダクタの概略構成を示す斜視図である。同図に示すインダクタ41は、開磁路構造のコア(磁心)42と、このコア42の周囲にコイル導体を所定のターン数で巻回して構成したコイル(ソレノイドコイル)43とを具備している。コア42は前述した実施形態と同様に、複数の磁性合金薄帯を積層した積層物44を有している。なお、積層物44の外周部に前述した各実施形態と同様に絶縁被覆層を配置してもよいし、また絶縁ボビン内に積層物44を挿入配置してもよい。積層物44を構成する磁性合金薄帯の組成や形状、磁性合金薄帯間の層間絶縁等は前述した実施形態と同様とすることが好ましい。
上述した積層物44の両端部には、積層物44を構成する磁性合金薄帯と同様な端部用磁性合金薄帯45がそれぞれ配置されている。積層物44の両端部に設けられた端部用磁性合金薄帯45は、積層物44を構成する磁性合金薄帯と磁気的に結合されている。端部用磁性合金薄帯45は、例えば積層物44に接着剤で固定される。また、端部用磁性合金薄帯45に貫通孔を設け、この貫通孔内に積層物44を貫通させて固定するようにしてもよい。端部用磁性合金薄帯45と積層物44とは必ずしも接触している必要はないが、磁気的な結合の点からは1mm以内に配置されていることが好ましい。
このように、コア42を構成する積層物44の両端部に、積層物44を構成する磁性合金薄帯と同様な端部用磁性合金薄帯45をそれぞれ配置することによって、インダクタ41の特性(インダクタンスLやQ値)を向上させることができる。端部用磁性合金薄帯45の厚さは、インダクタ41の長さ(例えば16〜25mm)に対して無視できる範囲であるため、端部用磁性合金薄帯45はインダクタ41を小型・短尺化した場合の特性向上に寄与するものである。また、積層物44の両端部に端部用磁性合金薄帯45を配置する構成に代えて、T字状の磁性合金薄帯でコアを構成することも有効である。
図12に示すインダクタ41は、巻線間が接着固定されたソレノイド形状の空芯コイル46と、この空芯コイル46内にその両端から挿入されたT字状の磁性合金薄帯47とを有している。T字状の磁性合金薄帯47は空芯コイル46内にその両端から挿入することで積層されており、このT字状の磁性合金薄帯47の積層物がコアを構成している。T字状の磁性合金薄帯47はエッチングやプレス加工により得ることができる。各角部にはR形状を付与してもよい。このようなT字状の磁性合金薄帯47を用いることによって、積層物44の両端部に端部用磁性合金薄帯45を配置した場合と同様に、インダクタ41の特性(インダクタンスLやQ値)を向上させることが可能となる。
ソレノイド形状の空芯コイル46は、例えば融着線を用いることにより得ることができる。融着線は加熱または薬品処理等で固着させることができる。巻線は一般的には円形であるが、気密性を高めるために平角線を用いてもよい。空芯コイル46によれば、巻線工程後にT字状の磁性合金薄帯47を配置することができるため、巻線による応力劣化等を抑制することが可能となる。さらに、空芯コイル46と磁性合金薄帯47との隙間を極力小さくすることができる。例えば空芯コイル46と磁性合金薄帯47の積層物との間の隙間は0〜0.1mmの範囲とすることが好ましい。このように、コイル46と磁性合金薄帯47とを密着させることによって、インダクタ41のQ値を高めることが可能となる。
さらに、この実施形態のインダクタ41においては、図13に示すように、磁性合金薄帯の積層物48が両端部より中央部を薄くした形状を有していることが好ましい。このような形状を有する積層物48によれば、コイル49により積層物48を固定することができると共に、磁束を収束される効果が大きくなる。従って、インダクタ41をアンテナ素子に用いた場合の受信感度を向上させることが可能となる。
インダクタ41は、その長さY[mm]に対する40kHzにおけるインダクタンスL[mH]とQ値との積(L・Q)比が(L・Q/Y)が80以上であることが好ましい。これによって、インダクタ41からなるアンテナ素子の長さを短くした場合においても、良好な受信感度(電圧信号)を得ることができる。さらに、インダクタ41を10mの高さから落下させたとき、落下前の40kHzにおけるインダクタンスL[mH]とQ値との積(L・Q)に対する、落下後の40kHzにおけるインダクタンスL1[mH]とQ1値との積(L1・Q1)の変化率が±0.3%以内であることが好ましい。このように、落下衝撃による特性劣化を抑制することによって、共振周波数のずれによる受信感度の低下を抑制することが可能となる。このようなインダクタ41は腕時計型電波時計のアンテナ素子に好適である。
次に、本発明のインダクタンス素子(インダクタ)の製造方法の実施形態について、図14および図15を参照して説明する。図14は本発明の一実施形態によるインダクタンス素子(インダクタ)の製造工程を示している。まず、図14(a)に示すように、溶湯急冷法で幅広のアモルファス磁性合金薄帯51を作製する。幅広のアモルファス磁性合金薄帯に代えて、幅広の微結晶磁性合金薄帯またはその形成材料となるアモルファス合金薄帯を使用してもよい。
ここで言う幅広の磁性合金薄帯51とは、コアを構成する磁性合金薄帯の最終寸法より広い幅を有するものを意味し、基本的には溶湯急冷法で作製した段階のアモルファス磁性合金薄帯51が使用される。溶湯急冷法で作製された幅広のアモルファス磁性合金薄帯51は通常ロール状に巻回されており、この状態で幅広のアモルファス磁性合金薄帯51に磁場中熱処理を施す。具体的には、図14(a)に示すように、幅広のアモルファス磁性合金薄帯51の幅方向(図中矢印Y方向)に磁界を印加しながら熱処理する。
印加する磁界は、アモルファス磁性合金薄帯51の厚さ、幅および熱処理温度時の磁化により発生する反磁界より大きければよい。熱処理温度はアモルファス合金の結晶化温度およびキュリー温度より低いことが必要である。また、熱処理時間を長くするとアモルファス磁性合金薄帯51が脆化するため、所望の周波数特性が得られる範囲で短くすることが好ましい。このような磁場中熱処理によって、幅広のアモルファス磁性合金薄帯51にはその幅方向に磁気異方性が付与される。
次に、幅広のアモルファス磁性合金薄帯51の表面に絶縁被膜(図示せず)を形成する。絶縁被膜には、例えば絶縁性樹脂被膜、絶縁性酸化物の被膜や粉体付着層、表面酸化膜等を使用することができる。このような幅広のアモルファス磁性合金薄帯51を、図14(b)に示すように適当な長さに仮切断し、この仮切断した幅広のアモルファス磁性合金薄帯52を所望の枚数で積層する。この積層物53は例えば絶縁性樹脂で固定する。
次いで、積層物53を図14(c)に示すように、コアを構成する磁性合金薄帯の幅に応じて切断する。この幅方向の切断を行った積層物54は最終寸法の幅を有している。ここで、積層物54の側面は切断面となっており、磁性合金薄帯の幅方向端部が露出しているため、切断バリ等でブリッジするおそれがある。そこで、この磁性合金薄帯の幅方向端部におけるブリッジを解消するために、積層物54にライトエッチングを施すことが好ましい。このライトエッチングは磁性合金薄帯の幅方向端部が層間絶縁層(上述した絶縁被膜)の端部より内側に位置するように実施する。
具体的には、磁性合金薄帯の幅方向端部が層間絶縁層の端部から0.001mm以上、さらには0.01mm以上後退するように、ライトエッチングを実施することが好ましい。後退距離dは前述したように0.4mm以下、さらには0.1mm以下とすることが好ましい。このライトエッチングは磁性合金薄帯の幅方向端部におけるショートを防ぐためのものであり、幅方向切断によるバリの発生を抑制できれば省略してもよい。
この後、積層物54を図14(d)に示すように、コアを構成する磁性合金薄帯の長さに応じて切断する。なお、この切断後にバリ対策としてライトエッチングを施してもよい。この長さ方向の切断を行った積層物55は、コアとしての最終形状を有している。そして、幅広のアモルファス磁性合金薄帯51に施した磁場中熱処理に基づいて、磁性合金薄帯の幅方向には磁気異方性が付与されている。磁性合金薄帯に付与する磁気異方性は、前述した実施形態に示したように、薄帯長手方向に対して斜め方向であってもよい。
このように、磁場中熱処理を施した幅広のアモルファス磁性合金薄帯51を最終寸法の幅に切断することによって、反磁界の影響による異方性の低下を抑制することができる。すなわち、幅広のアモルファス磁性合金薄帯51であっても、その幅方向端部には反磁界が生じるが、その後の切断工程で反磁界の影響が除かれる。従って、磁性合金薄帯の幅を15mm以下というように狭小化した場合においても、磁性合金薄帯の幅方向に対して十分な磁気異方性を安定的に付与することが可能となる。従来のように、切断後に磁場中熱処理を実施した場合には反磁界の影響が大きくなるため、磁気異方性が低下してしまう。
上述したような磁性合金薄帯の積層物55をコアとして用い、このコアの周囲に巻線を施してコイルを形成することによって、目的とするインダクタを得ることができる。このようにして作製されたインダクタによれば、コアを構成する磁性合金薄帯の幅方向に十分な磁気異方性が付与されていることに基づいて、インダクタンス値を向上させることが可能となる。なお、図14(b)に示した仮切断工程を行わずに、当初から幅広のアモルファス磁性合金薄帯51を所望の長さに切断してもよい。このようなアモルファス磁性合金薄帯51を積層した場合にも同様の効果を得ることができる。
さらに、図15に示すように、磁場中熱処理を施した幅広のアモルファス磁性合金薄帯の表面に絶縁被膜を形成した後、その幅広のアモルファス磁性合金薄帯を再度巻き取り、この巻き取った状態の幅広のアモルファス磁性合金薄帯を磁性合金薄帯の最終幅に応じて切断してもよい(図15(a))。この最終幅に切断したアモルファス磁性合金薄帯56にライトエッチングを施す(図15(b))。次いで、アモルファス磁性合金薄帯56を適当な長さに仮切断し、さらに所望の枚数を積層する(図15(c))。この積層物57を絶縁チューブ(例えば熱収縮チューブ)58に挿入して固定する(図15(d))。
積層物57の固定方法は、絶縁チューブを使用した固定法に限られるものではない。例えば、積層物57の両外層上に珪素鋼鈑等の補強材を積層し、これら補強材と共に積層物を固定バンドで固定する方法、また樹脂含浸法で固定する方法等を適用してもよい。幅方向切断によるバリ発生が抑制できれば、ライトエッチングを省いてもよい。この後、絶縁チューブ58で固定した積層物57を、コアを構成する磁性合金薄帯の長さに応じて切断する(図15(e))。切断した積層物59はコアとしての最終形状を有している。
このような製造工程によっても、磁場中熱処理を施した幅広のアモルファス磁性合金薄帯51を最終寸法の幅に切断しているため、反磁界の影響による異方性の低下を抑制することができる。なお、最終幅に切断したアモルファス磁性合金薄帯56を当初から所望の長さに切断し、それを所望の枚数で積層した積層物を絶縁チューブに挿入して固定するようにしてもよい。そして、磁性合金薄帯の積層物59をコアとして用いて、このコアの周囲に巻線を施してコイルを形成することによって、目的とするインダクタが得られる。
上述した実施形態の製造工程に基づいて作製したインダクタも、前述した各実施形態のインダクタと同様に、アンテナ素子や方位センサのような磁気センサ等として使用される。製造されたインダクタは信号搬送周波数が120〜140kHzのRFタグや信号搬送周波数が500kHz程度のペンタグ等のデータキャリア部品、信号搬送周波数が40〜120kHzの電波時計のアンテナ素子として好適である。データキャリア部品や電波時計のアンテナ素子にインダクタを適用することによって、それら機器の小型・高性能化等を実現することができる。インダクタは携帯型の機器に好適に使用されるものである。
前述した各実施形態によるインダクタをアンテナ素子に適用する場合、複数のインダクタを電気的に直列接続して使用してもよい。図16は各実施形態によるインダクタをアンテナ素子として用いた腕時計型電波時計の一構成例を示す図である。腕時計型電波時計61は、時計本体62内に配置された複数のインダクタ63を有している。これら複数のインダクタ63は電気的に直列接続されている。各インダクタ63は素インダクタを構成するものである。このような直列接続された複数のインダクタ63によって、腕時計型電波時計61のアンテナ素子が構成されている。
このように、複数のインダクタ63でアンテナ素子を構成することによって、配置場所に制約されることなく、複数のインダクタ63の合計長さに相当するアンテナ特性を得ることができる。これは腕時計型電波時計のようにアンテナ素子の配置場所が制約される電波時計の受信感度の向上に寄与する。例えば、20mm程度のインダクタが必要であった電波時計において、10mm程度のインダクタを2個配置することで、同等のアンテナ特性を得ることができる。この際、各インダクタ63間の最短距離は3mm以上となるように配置する。各インダクタ63間の最短距離が3mm未満であると、お互いに干渉してアンテナ特性に必要なQ値が低下してしまう。各インダクタ63間の距離は電波時計内の設置面積等に応じて適宜に設定されるが、実用的には45mm以内とすることが好ましい。
さらに、アンテナ素子を構成する各インダクタ63は時計本体62内に限らず、バンド部64内に配置してもよい。バンド部64内に配置するインダクタには、前述した第1の実施形態に示したように、湾曲させた場合の特性低下が少ないインダクタンス素子を使用することが好ましい。このように、アンテナ素子を構成するインダクタをバンド部64内に配置することによって、例えば時計本体内にアンテナ素子を収容することが困難であった超小型の腕時計で、腕時計型電波時計を構成することが可能となる。なお、バンド部64内に配置する1つのインダクタのみでアンテナ素子を構成するようにしてもよい。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。
実施例1〜5、参考例1〜2、比較例1〜2
まず、(Co0.90Fe0.05Mn0.02Nb0.0371Si1514の合金組成を有し、かつ厚さ17μm×幅0.8mm×長さ50mmのアモルファス磁性合金薄帯を30枚用意した。これらアモルファス磁性合金薄帯の表面をSiO2で絶縁処理した後に積層した。このようなアモルファス磁性合金薄帯の積層物を、外径1.5mm、厚さ0.2mm、長さ50mmのシリコーン樹脂製チューブ(実施例1)内に挿入してコアを作製した。同様な形状を有するポリエチレン樹脂製チューブ(実施例2)、ポリプロピレン樹脂製チューブ(実施例3)、ポリアミド樹脂製チューブ(実施例4)、およびスチレンゴム製チューブ(実施例5)内に、それぞれアモルファス磁性合金薄帯の積層物を挿入してコアを作製した。
また、同様な形状を有するフェノール樹脂製チューブ(参考例1)およびエポキシ樹脂製チューブ(参考例2)を用いて、それぞれ実施例と同様なコアを作製した。さらに、アモルファス磁性合金薄帯間をエポキシ樹脂で接着した積層物(比較例1)およびアモルファス磁性合金薄帯の積層物をエポキシ樹脂で樹脂含浸した積層物(比較例2)を用いて、それぞれ実施例と同様なコアを作製した。
上述した各例のコアの周囲にコイル導体を30ターンで巻回してコイルを形成することによって、それぞれインダクタを作製した。これら各インダクタを端部間の距離が20mmとなるまで湾曲させることによって、その特性を評価した。具体的には、直線状態における初期インダクタンス値L0と、初期インダクタンス値L0に対する湾曲させた状態でのインダクタンス値Lの変化率(L/L0)を求めた。また、上記形状まで湾曲できるかどうかでコアの曲げ性を評価した。さらに、コアにコイル導体を巻回した際に、絶縁チューブが耐え得るかどうかで耐久性を評価すると共に、巻線の状態を評価した。これらの測定、評価結果を表2に示す。
Figure 0005289398
表2から明らかなように、実施例1〜5のインダクタはいずれも曲げ性に優れ、かつ曲げた状態においても良好なインダクタンスが維持されていることが分かる。なお、参考例1〜2のインダクタは曲げ性には優れていたものの、絶縁チューブの耐久性が低いことから、実施例に比べて実用性が劣ることが分かる。具体的には、参考例1〜2によるインダクタは絶縁チューブが破壊し、また巻線がほどけ、さらには磁性合金薄帯と巻線とが接触して巻線に傷が認められた。比較例1〜2のインダクタは曲げることが困難で、湾曲した状態での搭載等は実用的には不可能であることが確認された。具体的には、力を加えることで磁性合金薄帯間の接着が剥れると共に、磁性合金薄帯が破損して巻線を傷つけた。
実施例6
上記した実施例1において、表面粗さRfが異なるアモルファス磁性合金薄帯をそれぞれ用いる以外は、実施例1と同様にしてインダクタをそれぞれ作製した。これら各インダクタの直線状態におけるインダクタンスL0に対する湾曲状態(端部間の距離が20mmになるまで湾曲させた状態)でのインダクタンスLの比(L/L0)、同様に直線状態におけるQ値(Q0)に対する上記湾曲状態におけるQ値(Q)の比(Q/Q0)を、それぞれ測定、評価した。これらの結果を表3および図17に示す。
Figure 0005289398
表3および図17から明らかなように、アモルファス磁性合金薄帯の表面粗さRfは0.08〜0.45の範囲であることが好ましいことが分かる。アモルファス磁性合金薄帯の表面粗さRfは望ましくは0.1〜0.35の範囲である。そのような表面粗さRfを有するアモルファス磁性合金薄帯を用いることで曲げ性等が向上することから、曲げた状態でのインダクタンス値やQ値を高めることができる。
実施例7
上記した実施例1において、アモルファス磁性合金薄帯の積層数を変えてチューブ内の占積率を変更する以外は、実施例1と同様にしてインダクタをそれぞれ作製した。これら各インダクタの直線状態におけるインダクタンスL0、L0に対する湾極状態(実施例6と同様に湾曲させた状態)におけるインダクタンスLの比(L/L0)、同様に直線状態におけるQ値、Q0に対する上記湾曲状態におけるQ値(Q)の比(Q/Q0)を、それぞれ測定、評価した。これらの結果を表4、図18および図19に示す。なお、図18はインダクタを曲げた状態におけるLおよびQの占積率に対する変化を示す。図19はL/L0比およびQ/Q0比の占積率に対する変化を示す。
Figure 0005289398
表4、図18および図19から明らかなように、アモルファス磁性合金薄帯によるチューブ内の占積率を90%以下にすることによって、曲げた状態でのQ値を高く保つことができる。ただし、チューブ内の占積率が低すぎるとL0およびQ0の値が小さくなるため、実用的には20%以上の占積率を確保することが好ましい。占積率は40%以上とすることがより好ましい。
実施例8
(Co0.95Fe0.0575(Si0.50.525の合金組成を有し、厚さ15μm×幅35mmのアモルファス磁性合金薄帯を用意した。このアモルファス磁性合金薄帯の幅方向に1000A/mの磁界を印加して200℃で180分間熱処理した。次いで、アモルファス磁性合金薄帯の表面をエポキシ樹脂でコーティングし後、アモルファス磁性合金薄帯の幅が2mmとなるように加工した。なお、アモルファス磁性合金薄帯の長さは5〜80mmの範囲で複数用意した。このようなアモルファス磁性合金薄帯をそれぞれ20枚積層し、エポキシ樹脂で固定した。これら積層物の周囲に内径3mm、巻数100ターン、長さ8mmの巻線を施した。上述したコイル長さaを8mmで一定とし、コア長さbが5〜80mmの範囲の各インダクタのインダクタンス値を測定した。その測定結果を図20に示す。
図20から分かるように、コイル長さaが8mmのときにはコア長さbを10mm以上とすることで、良好なインダクタンスを得ることができる。図21は、コイル長さaを8mm、10mm、13mmとした場合に、コア長さbを5〜80mmの範囲で変化させた各インダクタのインダクタンス値(測定値)を示している。いずれの場合においても、コイル長さaとコア長さbとの関係がa>b−2[mm]になると、急激にインダクタンスが小さくなることが分かる。さらに、コイル長さaとコア長さbとの関係がa≦b−4[mm]を満足するときに、より良好なインダクタンスが得られることが分かる。
実施例9
上記した実施例8において、磁場中熱処理後のアモルファス磁性合金薄帯の加工を幅1mm、2mm、5mmにすると共に、コアの周囲に巻回するコイルの内径を2mm、3mm、7mmに変更する以外は、それぞれ実施例8と同様にしてインダクタを作製した。このような場合において、コア長さbが5〜80mmの範囲の各インダクタのインダクタンス値を測定した。その測定結果を図22に示す。図23は図22のインダクタンス値を相対値としたものである。図23から分かるように、いずれの場合もコイル長さaとコア長さbとの関係がa>b−2[mm]になると急激にインダクタンスが小さくなる。さらに、コイル長さaとコア長さbとの関係がa≦b−4[mm]を満足するときに、より良好なインダクタンスが得られることが分かる。
実施例10
表5に示す条件でそれぞれ熱処理したアモルファス磁性合金薄帯を幅2mm×長さ30mmに加工した後、それらの表面にポリイミド系絶縁膜を塗布、焼成した。このようなアモルファス磁性合金薄帯をそれぞれ20枚積層し、エポキシ樹脂で固定した。このような各積層物の周囲に内径4mm、巻数100ターンの巻線を施すことによって、それぞれインダクタを作製した。また、比較試料として、表面に絶縁膜を形成していないアモルファス磁性合金薄帯を用いてインダクタを作製した。
Figure 0005289398
このような各インダクタについて、1m離れた場所に置いたソレノイドコイルにより発生させた周波数100kHzの電磁界によって、各インダクタに発生した誘導起電力を測定した。測定結果を図24に示す。図24から明らかなように、アモルファス磁性合金薄帯間に層間絶縁膜が配置されていないと誘導起電力が低下することが分かる。これは積層膜間の渦電流損失による。
次に、上述したアモルファス磁性合金薄帯の積層物に条件を変えてライトエッチングを施し、図8に示した距離dが異なるコアを作製した。さらに、その周りに巻線を施してインダクタを作製した。なお、各試料は積層物をエポキシ樹脂で固めた後に側面を研磨し、この積層物のアモルファス磁性合金薄帯を30%HCl溶液でエッチングした。このエッチングの際の時間を変えることで、距離dを変化させた。
このようなインダクタをそれぞれ30個作製し、それぞれの誘導起電力を上述した方法で測定した。この測定結果について、Q値の標準偏差が10%以上になる場合はバラツキが大きいために不良と判断した。その結果を表6に示す。表6から、dは0.001mm以上とすることが好ましいことが分かる。また、dを大きくしすぎると、磁気特性に対して重要なアモルファス磁性合金薄帯の大きさが一定のままコアが大きくなるので、dは0.4mm以下、さらには0.1mm以下とすることが望ましい。
Figure 0005289398
実施例11
上記した実施例8と同様に、厚さ15μm×幅35mmのアモルファス磁性合金薄帯に磁場中熱処理した後に、アモルファス磁性合金薄帯の幅が2mmとなるように切断した。このようなアモルファス磁性合金薄帯(長さ:13mm)を16枚積層し、エポキシ樹脂で固定した。この積層物の周囲に巻数150ターンの巻線を施してインダクタを作製した。また、比較例として、幅2mmに切断した後に磁場中熱処理を施したアモルファス磁性合金薄帯を用いて同様なインダクタを作製した。なお、熱処理はいずれも幅方向に40kA/mの磁界を印加し、200℃×180minの条件で実施した。
これら各インダクタの誘導起電力を実施例10と同様にして測定した。その結果を図25および図26に示す。図26は誘導起電力を相対値で表したものである。これらの図から明らかなように、最終幅が広い場合には切断前後の熱処理で得られる特性はほとんど変わらないが、幅が4mm以下程度になると切断前の幅広状態で磁界中熱処理を施した方が良好な特性を得られることが分かる。すなわち、幅が5mm以下の場合には、切断前に熱処理することで特性が10%以上改善される。
実施例12
(Co0.95Fe0.0575(Si0.550.4525の合金組成を有し、かつ厚さ15μm×幅35mmのアモルファス磁性合金薄帯を用意し、このアモルファス磁性合金薄帯の幅方向に1000A/mの磁界を印加して200℃で180分間熱処理した。次いでアモルファス磁性合金薄帯の表面をエポキシ樹脂でコーティングし後、適当な長さに仮切断した。これを16枚積層してエポキシ樹脂で固定した後、この積層物にライトエッチングを施した。次に、この積層物を幅4mmに切断し、さらに長さ13mmに切断した。
このような積層物をコアとして用い、その周囲に巻数150ターンの巻線を施してインダクタとした。このようにして得たインダクタのインダクタンスを測定した。その結果を図27に示す。なお、図27中の比較例は磁場中熱処理を施していないアモルファス磁性合金薄帯を用いたインダクタの測定結果である。図27から明らかなように、この実施例によれば薄帯幅方向に良好な磁気異方性が付与されているため、インダクタンス値で8%以上の特性向上が図られていることが分かる。
実施例13
実施例12と同様なアモルファス磁性合金薄帯を用意し、このアモルファス磁性合金薄帯の幅方向に1000A/mの磁界を印加して200℃で180分間熱処理した。次いで、アモルファス磁性合金薄帯の表面をエポキシ樹脂でコーティングし後、アモルファス磁性合金薄帯を幅4mmに切断した。このアモルファス磁性合金薄帯にライトエッチングを施した後、適当な長さに仮切断した。これを16枚積層し、熱収縮チューブに挿入して固定した。次に、この熱収縮チューブで固定した積層物を長さ13mmに切断した。
このような積層物をコアとして用い、その周囲に巻数150ターンの巻線を施してインダクタとした。このようにして得たインダクタの誘導起電力を測定した。その結果を図28に示す。なお、図28中の比較例は磁場中熱処理を施していないアモルファス磁性合金薄帯を用いたインダクタの測定結果である。この実施例によれば薄帯幅方向に良好な磁気異方性が付与されているため、誘導起電力の値で40%以上の特性向上が図れる。
実施例14
図29は、磁気異方性を付与していないアモルファス磁性合金薄帯を用いたインダクタ(試料1)と、長手方向に磁気異方性を付与したアモルファス磁性合金薄帯を用いたインダクタ(試料2〜4)と、幅方向に磁気異方性を付与したアモルファス磁性合金薄帯を用いたインダクタ(試料5〜7)について、それぞれ周波数を変えてインダクタンスを測定した結果である。なお、熱処理はいずれも1000A/mの磁界を印加し、190℃×180minの条件で実施した。
図29から明らかなように、薄帯長手方向に磁気異方性を付与したアモルファス磁性合金薄帯を用いたインダクタは、薄帯幅方向に磁気異方性を付与したインダクタに比べて、周波数が高い領域ではインダクタンスが劣るものの、周波数が低い領域(200kHz以下)ではインダクタンスが向上していることが分かる。特に、100kHz以下の周波数領域でインダクタンスの向上が顕著であり、薄帯長手方向に磁気異方性を付与したアモルファス磁性合金薄帯を用いたインダクタは100kHz以下の周波数領域で使用することが好ましいことが分かる。
実施例15
長さ12mm×幅2mm×厚さ19μmのCo基アモルファス磁性合金薄帯を43枚積層した。積層物の厚さは0.83mmである。このようなCo基アモルファス磁性合金薄帯の積層物の周囲に、直径0.07mmの熱融着腺を1440ターンで巻回した後に熱融着させてコイルを形成した。コイルの巻幅は12mmとした。さらに、Co基アモルファス磁性合金薄帯の積層物の両端部に、4.5mm×3mmのCo基アモルファス磁性合金薄帯(厚さ19μm)を接着した。このようにして得たインダクタの長さは12.1mm、厚さは3.1mmである。また、Co基アモルファス磁性合金薄帯とコイルとの最小距離は0mmである。このインダクタを後述する特性評価に供した。
実施例16
長さ12mm×幅2mm×厚さ19μmのCo基アモルファス磁性合金薄帯を43枚積層した。積層物の厚さは0.83mmである。このようなCo基アモルファス磁性合金薄帯の積層物を液晶樹脂製の絶縁ボビン内に配置した。次いで、絶縁ボビンの周囲に直径0.07mmの熱融着腺を1440ターンで巻回した後に熱融着させてコイルを形成した。コイルの巻幅は12mmとした。さらに、コアの両端部に4.5mm×3mmのCo基アモルファス磁性合金薄帯(厚さ19μm)を接着した。このようにして得たインダクタの長さは12.8mm、厚さは4.3mmである。Co基アモルファス磁性合金薄帯とコイルとの最小距離は0.3mmである。このインダクタを後述する特性評価に供した。
実施例17
長さ30mm×幅0.8m×厚さ19μmのCo基アモルファス磁性合金薄帯を30枚積層した。積層物の厚さは0.58mmである。このようなCo基アモルファス磁性合金薄帯の積層物を、直径1.2mm、厚さ50μmの熱収縮チューブ内に配置した。次いで、熱収縮チューブの周囲に直径0.07mmの熱融着腺を1440ターンで巻回した後に熱融着させてコイルを形成した。コイルの巻幅は24mmとした。さらに、コアの両端部に2mm×2mmのCo基アモルファス磁性合金薄帯(厚さ19μm)を接着した。このようにして得たインダクタの長さは30.1mm、厚さは2mmである。Co基アモルファス磁性合金薄帯とコイルとの最小距離は0.05mmである。このインダクタを後述する特性評価に供した。
実施例18
直径0.06mmの熱融着線を1440ターンで巻回した後に熱融着させて空芯コイルを形成した。この空芯コイルの両側からT字型のCo基アモルファス磁性合金薄帯を挿入してインダクタを作製した。Co基アモルファス磁性合金薄帯の形状は11×2mm、厚さは19μmである。Co基アモルファス磁性合金薄帯の積層数は43枚、積層物の厚さは0.83mmである。このようにして得たインダクタの長さは12.2mm、厚さは3.2mmである。また、Co基アモルファス磁性合金薄帯とコイルとの最小距離は0mmである。このインダクタを後述する特性評価に供した。
実施例19
上記した実施例18において、インダクタの中央部をプレスしてCo基アモルファス磁性合金薄帯の両側が広がるようにする以外は、実施例18と同様にしてインダクタを作製した。このインダクタを後述する特性評価に供した。
比較例3
実施例15でコアとして用いたCo基アモルファス磁性合金薄帯の積層物と同形状(直方体/両端部の磁性合金薄帯はなし)のフェライトをコアとして用いる以外は、実施例15と同様にしてインダクタを作製した。このインダクタを後述する特性評価に供した。
上述した実施例15〜19の各インダクタと比較例3のインダクタの特性を以下のようにして測定、評価した。まず、各インダクタの40kHzにおけるインダクタンスLとQ値を測定した。これらの測定結果を表7に示す。また、アンテナとしての特性を以下のようにして評価した。まず、40kHzで共振するように各L値に対応するコンデンサを用意し、IC(NPC製SM9501A)と接続した。日時を変えて時刻情報を計5回受信し、時刻情報を得られるかどうかを評価した。この評価結果を表8に示す。さらに、実施例1および比較例3の各インダクタを10mの高さから木の床に自然落下させ、落下回数とL・Q値の変化率を調べた。この測定結果を表9に示す。
Figure 0005289398
Figure 0005289398
Figure 0005289398
表7および表8から明らかなように、各実施例のインダクタは単位長さあたりのL・Q値が高いため、受信性能に優れることが分かる。特に、単位長さあたりのL・Q値が80以上の場合には、受信性能の向上を図ることができる。なお、実施例17におけるコア両端の磁性合金薄帯を省いた場合、同様の性能を得るためにはコアを長尺化する必要があった。また、表9からは実施例のインダクタは落下衝撃耐性に優れることが分かる。比較例3のインダクタでは、1回目の落下試験でコアにひびが入り、3回目には割れてしまって空芯レベルまで特性が低下した。
実施例20
長さ30mm×幅0.8mm×厚さ16μmのCo基アモルファス磁性合金薄帯を30枚用意した。このようなCo基アモルファス磁性合金薄帯の両面に油性顔料からなるインクを塗布し、室温で乾燥させた後に積層した。油性顔料は層間絶縁層として機能するものである。このCo基アモルファス磁性合金薄帯の積層物を、直径1.4mmの熱収縮チューブ内に配置した後、チューブを熱収縮させて磁性合金薄帯を固定した。次いで、熱収縮チューブの周囲に直径0.07mmの熱融着線を1440ターンで巻回した後に熱融着させてコイルを形成した。このインダクタを後述する特性評価に供した。
参考例3
上記した実施例20において、層間絶縁層にポリイミド樹脂を用いる以外は、実施例20と同様にしてインダクタを作製した。層間絶縁層としてのポリイミド樹脂は400℃で熱処理した。このインダクタを後述する特性評価に供した。
参考例4
上記した実施例20において、Fe基アモルファス磁性合金薄帯を用いる以外は、実施例20と同様にしてインダクタを作製した。このインダクタを特性評価に供した。
上述した実施例20のインダクタと参考例3〜4の各インダクタの特性を以下のようにして測定、評価した。まず、各インダクタの40kHzにおけるインダクタンスLとQ値をLCRメータで測定した。これらの測定結果を表10に示す。また、アンテナとしての特性を以下のようにして評価した。まず、送信側のアンテナとして390×295mmのアクリル板に11ターンの巻線を形成したループアンテナを用意した。巻線端には7Vp−pの正弦波を入力した。受信側のアンテナは、各インダクタに800pFの共振コンデンサを並列接続し、40dBのアンプを通して共振時の出力電圧V0を測定した。さらに、共振の鋭さQa(Qa=f0/(f1−f2)(f0:共振周波数,f1,f2:共振時の出力電圧が3dB下がったときの周波数))を測定した。これらの測定結果を表11に示す。
Figure 0005289398
Figure 0005289398
層間絶縁層を冷間で成形した実施例20のインダクタはQ値に優れている。一方、参考例3〜4のインダクタは実施例20に比べてQ値が低下しており、このためにアンテナの出力感度V0や共振の鋭さQaが低くなっている。
実施例21
長さ30mm×幅0.8mm×厚さ16μmのCo基アモルファス磁性合金薄帯に430℃×30minの熱処理を施した後、1000A/mの直流磁場を印加しながら190℃×180minの磁界中熱処理を行った。この際、磁界の印加方向をCo基アモルファス磁性合金薄帯の長手方向(コイル巻回面の法線方向)と成す角が45〜90°の範囲となるように変化させた。このようなCo基アモルファス磁性合金薄帯を層間絶縁した後にそれぞれ30枚積層してコアとした。これら各コアに薄帯長手方向を巻回面方向とする1140ターンの巻線(巻線長さ:31mm、コイル径:0.07mm)を施してインダクタを作製した。
上述した各インダクタのQ値を測定した。この測定結果を図30および図31に示す。また、アンテナとしての特性を以下のようにして評価した。まず、各インダクタを共振数調整用のコンデンサとIC(NPC製SM9501A)に接続した。日時を変えて時刻情報を計5回受信し、時刻情報を得られるかどうかを評価した。評価結果を表12に示す。
Figure 0005289398
図30および図31から明らかなように、誘導磁気異方性の付与方向を薄帯長手方向に対して70°以上とすることで良好なQ値を得ることができる。さらに、誘導磁気異方性の付与方向が薄帯長手方向に対して70〜85°の範囲としたアモルファス磁性合金薄帯を用いた場合に、特に良好なアンテナ特性が得られることが分かる。
実施例22
厚さ16μmのCo基アモルファス磁性合金薄帯を用意し、これに各種の条件下で熱処理を施して面内幅方向に誘導磁気異方性を付与した。熱処理は大気中で実施し、磁界中熱処理は1000A/mの直流磁界中で実施した。Co基アモルファス磁性合金薄帯の磁区幅は図32および表13に示す通りである。なお、磁区幅は単位長さあたりの磁区数の逆数である。このようなCo基アモルファス磁性合金薄帯(長さ30mm×幅0.8mm)を30枚積層してコアを形成した後、薄帯長手方向を巻回面垂直方向とする1140ターンの巻線(巻線長さ:31mm、コイル径:0.07mm)を施してインダクタをそれぞれ作製した。各インダクタのQ値とアンテナ特性を実施例21と同様にして測定した。これらの測定結果を図32および表13に示す。
表13において、試料1はCo基アモルファス磁性合金薄帯を0.8mm幅にスリットした後、380℃×30minの条件で無磁界中熱処理を行い、さらに230℃×30minの条件で垂直磁界中熱処理を行ったものである。試料2は試料1の無磁界中熱処理条件を400℃×30minに変更したものである。試料3は試料1の無磁界中熱処理条件を430℃×60minに変更したものである。試料4はCo基アモルファス磁性合金薄帯を0.8mm幅にスリットした後、430℃×60minの条件で無磁界中熱処理を行い、さらに190℃×240minの条件で垂直磁界中熱処理を行ったものである。試料5は試料4の磁界中熱処理条件を230℃×240minに変更したものである。試料6は幅50mmのCo基アモルファス磁性合金薄帯に430℃×30minの条件で無磁界中熱処理を行い、さらに230℃×240minの条件で垂直磁界中熱処理を行った後、0.8mm幅にスリットしたものである。
Figure 0005289398
図32および表13から明らかなように、アモルファス磁性合金薄帯の磁区幅が0.106mm以下とすることで良好なQ値を得ることができる。さらに、磁区幅が0.106mm以下のアモルファス磁性合金薄帯を用いた場合に、特に良好なアンテナ特性が得られることが分かる。
実施例23
厚さ16μmのCo基アモルファス磁性合金薄帯を0.6mmの厚さに積層し、これを絶縁チューブ内に収納してコアを作製した。各コアの周囲に巻線を施してインダクタを作製した。このようなインダクタをアンテナ素子として腕時計型電波時計に配置し、その特性を評価した。インダクタの特性は40kHzにおけるインダクタンスLとQ値を測定した。また、日時を変えて時刻情報を計5回受信し、時刻情報を得られるかどうかを評価した。これらの測定・評価結果を表14に示す。
表14において、試料1は長さ10mm×幅1.2mmのCo基アモルファス磁性合金薄帯を用いたインダクタ(巻線:825ターン)を2個用意し、これらを時計本体の上下に15.5mmの間隔を開けて配置したものである。2個のインダクタは直列に接続した。試料2は長さ20mm×幅1.2mmのCo基アモルファス磁性合金薄帯を用いたインダクタ(巻線:1650ターン)を1個用意し、これを腕時計のバンド部分に配置したものである。時計本体とはフレキシブル基板を用いて接続した。試料3は長さ20mm×幅1.2mmのCo基アモルファス磁性合金薄帯を用いたインダクタ(巻線:1650ターン)を1個用意し、これを時計本体の上部に配置したものである。試料4は長さ10mm×幅1.2mmのCo基アモルファス磁性合金薄帯を用いたインダクタ(巻線:825ターン)を2個用意し、これらを時計本体の上下に1mmの間隔を開けて配置したものである。
Figure 0005289398
表14から明らかなように、試料1の腕時計型電波時計(2個のインダクタを直列接続して使用)は試料3(長尺なインダクタを使用)と同等な性能が得られており、その上で腕時計型電波時計の小型化に寄与することが分かる。なお、2個のインダクタを1mmの間隔で配置した試料4の腕時計型電波時計は、2個のインダクタが干渉するためにQ値の低下を招き、これによって受信特性が低下した。
本発明のインダクタンス素子によれば、小型化や短尺化した場合においても良好な特性を安定して得ることができる。また、曲げた状態で使用する場合の特性の低下を抑制することができる。従って、このようなインダクタンス素子は、例えば薄型化、小型化、短尺化したデータキャリア部品や電波時計のアンテナ素子等として有効に利用することができる。また、本発明のインダクタンス素子の製造方法によれば、良好なインダクタンスを有する小型のインダクタンス素子を再現性よく作製することができる。これらによって、小型・高性能なインダクタンス素子を提供することが可能となる。
1,11,21,41…インダクタ、2,12,22,42…コア(磁心)、3,23…コイル導体、4,13,24,43,49…コイル、5,14,25,31…磁性合金薄帯、6,16,26,44,48…積層物、7,17,27…絶縁被覆層、15…層間絶縁層、45…端部用磁性合金薄帯、46…空芯コイル、47…T字状磁性合金薄帯。

Claims (6)

  1. 信号搬送周波数が40〜120kHzの範囲の信号を受信するアンテナ素子として用いられるインダクタンス素子であって、
    複数のCo基アモルファス磁性合金薄帯を積層した積層物を備えるコアと、
    前記コアの周囲に配置されたコイルとを具備し、
    前記Co基アモルファス磁性合金薄帯はその長手方向に対する磁区幅mが0.106mm以下とされていることを特徴とするインダクタンス素子。
  2. 請求項1記載のインダクタンス素子において、
    信号搬送周波数が40kHzまたは60kHzの信号を受信するアンテナ素子として用いられることを特徴とするインダクタンス素子。
  3. 請求項1または請求項2記載のインダクタンス素子において、
    Co基アモルファス磁性合金薄帯はその長手方向に対して70〜85°の範囲に誘導磁気異方性が付与されていることを特徴とするインダクタンス素子。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のインダクタンス素子において、
    前記コアは、さらに前記積層物の両端部に前記Co基アモルファス磁性合金薄帯と磁気的に結合するように配置された端部用磁性合金薄帯備えることを特徴とするインダクタンス素子。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載のインダクタンス素子において、
    記コイルの長手方向の長さをa[mm]、前記コアの前記コイルの長手方向に対応する長さをb[mm]としたとき、a≦b−2[mm]を満足することを特徴とするインダクタンス素子。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載のインダクタンス素子において、
    前記複数のCo基アモルファス磁性合金薄帯層間絶縁層を介して積層されており、
    前記Co基アモルファス磁性合金薄帯はその幅方向の端部が前記層間絶縁層の端部より内側に位置していることを特徴とするインダクタンス素子。
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